(1) 会社の経営の基本方針について
2023年4月に創立80周年を迎えた当社グループは、新しい理念「Purpose」 (存在意義) と「Brand Slogan」を、10月に「Values」 (価値観) を制定いたしました。
新理念の制定は、CKDブランディングプロジェクトとして、海外を含む多様なCKDグループ社員が参画し、最終選考ではCKDグループ全社員の投票により決定いたしました。
会社の存在意義と目指す方向を定めた「Purpose」は、「自動化技術の探求と共創を続け健やかな地球環境と豊かな未来を拓きます。」とし、「お客様やビジネスパートナー、仲間とともに、豊かな未来を実現する」という意味が込められております。
Valuesの「C-SHIP」とは、CKD-SHIPを略したもので、「CKDグループ社員として持つべき価値観」を表しております。
そして、理念体系を包含し、未来に向けた私たちの考えや行動を象徴的に表した「Brand Slogan」は、「Creating Solutions Together」といたしました。
新たな理念をCKDグループ社員全員で共有し、私たちCKDはこれからも健やかな地球環境と豊かな未来の実現に向けて取組んでまいります。

当社グループは、各事業の経営計画の目標達成を軸に利益を確保しつつ、新しい事業と市場に挑戦するため、売上高、営業利益率の向上と、株主資本利益率 (ROE) を安定的に維持することを経営目標として企業価値の向上に努めております。
① 事業環境
世界では、地政学リスク拡大による資源・エネルギー価格の高騰や、政策動向による景気への影響が懸念されるなど、先行きが不透明な状況が続いておりますが、気候変動とともに高齢化や労働力不足が大きな社会的課題となっており、企業は持続可能な社会の実現に向けた課題解決につながる活動が求められております。
一方、IoT (Internet of Things) やAI (人工知能) などテクノロジーの進展により、ビジネスモデルの変化が進んでおり、製造業においても環境保護への取組みとともに、製品の高機能化や製造工程の自動化・省人化への取組みが一段と加速しております。
社会の価値観や市場そのものが大きく変化し、デジタル化が促進される中、人に頼らない生産設備や、設備の遠隔操作など製造業の自動化・省人化需要の一層の高まり、半導体設備投資といった電子産業における投資拡大、自動車の電動化に向けた需要の増加などを想定しております。
② 長期経営ビジョン及び中期経営計画
<長期経営ビジョン>
当社グループは、上述したPurpose「自動化技術の探求と共創を続け健やかな地球環境と豊かな未来を拓きます。」の下、自動機械装置と機器商品の開発・生産・販売・サービスを通じて、「技術革新と価値創造によって社会の課題解決に貢献」することを目指しております。
そして、2016年に策定した長期経営ビジョン「10年VISION GO CKD!」を、環境変化に合わせて、2度改訂し、2025年までの10年間における長期目線の取組みを強化しながら進めております。
「より豊かな社会づくりに貢献すること」「社員、そして家族を幸せにすること」「株主の皆様からの期待に応えること」の3つを目標として掲げ、4つの基本方針「新しい事業と市場に挑戦」「グローバル化を加速し海外市場を拡大」「サスティナブルな経営基盤の確立」「人材重視の企業風土を構築」に基づき、高い目標に向かって果敢に挑戦を続け、その結果生み出される新しい価値を世界に示してまいります。
そして、将来を見据えた新たな技術・商品の開発や、海外市場への積極的な展開、お客様第一のサービス体制強化を通じて、すべてのステークホルダーの皆様とともに、真のサスティナブル企業を目指してまいります。

<中期経営計画>
2026年3月期は、2023年3月期からスタートさせました第5次中期経営計画『Exciting CKD 2025』の最終年度となります。同様に2026年3月期が最終年度となります長期経営ビジョン「10年VISION GO CKD!」の達成を目指すとともに、次の長期経営ビジョンへつなげる基盤構築の位置付けとなります。
成長が見込まれる半導体や電池などの産業、電動事業や新事業、海外市場に注力するとともに、サービスビジネスにつながるカスタマーサービスを強化し、経営効率を向上させながら、経営基盤の強化に取組み、企業価値向上を目指してまいります。
2025年3月期を振り返りますと、自動機械事業では、PTP薬品包装機において、プラスチックごみを削減可能な「エコスクラップ技術」をベーリンガーインゲルハイム製薬との共創により世界で初めて実用化するなど、社会の課題解決につながる商品を拡充し、機器事業では、自動化・省人化ニーズ、半導体や電池産業など成長する産業に対応した生産能力増強と生産性向上に継続して努めました。また、専門知識がなくても、パソコンだけで誰でも簡単に電動機器や空気圧機器、そして画像検査までを自在に制御可能なプログラミングツール等、既存製品やコア技術に新たな機能を組み合わせたサービスビジネスの強化を加速させるとともに、環境負荷低減型商品で新たな価値の創出に取組んでおります。
さらに海外市場では、2022年に米国オースティン工場、2024年にインド工場が稼働し、2025年にはマレーシア新工場の稼働を予定しております。半導体や電池をはじめとする成長性の高い市場や、ASEANやインドといった機器商品の需要拡大が見込める地域において生産体制強化を進め、新たな基盤を最大限に活用しながら新規案件の獲得につなげ、事業の拡大に取組んでまいります。
今後も、中長期的な成長と企業価値向上を考え、将来に向けた事業基盤を築くための投資を進めてまいります。






(4) 会社の対処すべき課題について
<中長期的な成長に向けた取組み>
2025年度は、「10年VISION GO CKD!」と第5次中期経営計画「Exciting CKD 2025」の最終年度となります。Purposeの実現に向け、当社の技術と未来を担う人材の価値を最大限に引き出し、共創による社会貢献と新たな価値を提供しております。最終年度を全力で駆け抜け、次の10年でさらなる高みを目指してまいります。
① 収益・事業戦略モデルの進化
注力する「半導体産業」では、生成AIやEV・自動運転分野の成長を背景に2030年に1兆ドル市場へ拡大すると予想されており、国内外での生産拠点強化のため、2024年度に北陸工場を稼働させ、マレーシアにも新工場を竣工いたしました。微細化・積層化・ハイブリッドボンディングなど先端技術領域への対応を進めるため、お客様に寄り添い、ニーズを理解し、当社の様々な技術を組み合わせ、新たな価値を提供することにより、業界内でのさらなる存在感の向上を目指してまいります。また、もう1つの注力する産業である「電池産業」では、BEVに加えHEVの再評価を背景に市場拡大が進む中、高速・高精度な巻回機や二次電池製造工程向け機器を展開しております。人手不足や効率化といった社会課題に対応しつつ、安定稼働や製品の長寿命化など、顧客の多様なニーズに応える体制を強化しております。
注力する「新商品・新事業」では自動化・省人化の需要を受け、ハード面だけでなくソフト面も強化しております。画像処理AIツールや、専門知識がなくても、パソコンだけで電動機器、空気圧機器や画像検査の一括制御が可能なデバイスプログラミングツールなどを展開し、既存製品やコア技術に新たな機能を組み合わせたサービスビジネスを強化しております。ハード面では生産性向上や労働災害予防に寄与するヒューマンアシスト機器を拡充いたしました。さらに環境課題への取組みとして、環境負荷低減型商品や長寿命機器の開発、そして社内のCO2削減施策にも取組み、持続可能な社会への貢献を進めております。
注力する地域「海外市場」においては、2022年に稼働した米国オースティン工場、先に述べたマレーシア工場のほか、2024年5月にはインド工場を竣工いたしました。半導体や電池をはじめとする成長性の高い市場やASEANやインドといった機器商品の需要拡大が見込める地域において生産体制強化を進め、新たな基盤を最大限に活用しながら新規案件の獲得につなげ事業の拡大に取組んでまいります。
② 経営効率の向上
資本コストを意識した事業管理を行うため、自己資本比率の適正化とともに、成長投資と株主還元のバランスを重視した資本政策を推進しております。経営指標としてはROEやROICを取り入れ、ビジネスユニットごとの資本効率を可視化し、資源配分の最適化を図っております。また、中期経営計画においては、営業活動により創出された資金を、持続的な成長に必要な資金として確保し、成長投資と基盤強化に活用してまいりました。成長投資においては、2022年度は米国オースティン工場、2023年度は北陸工場、2024年度にはインド工場とマレーシア工場を竣工いたしました。生産ラインの自動化や省エネ設備の導入などにより、生産性の向上が見込めます。新規案件の獲得や受注の拡大を図りながら生産性を高め、企業価値向上に努めてまいります。
③ 経営基盤の強化
当社グループは、Purposeに基づき、ESG (環境・社会・ガバナンス) への取組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献することにより、企業価値の向上を目指してまいります。また、事業活動を通じてCSR (企業の社会的責任) 活動を推進し、当社が保有する技術を活用し、社外の様々な方々との共創によって、商品・サービスの品質及び技術革新を追及しながら、地球環境の保護と社会の課題解決に貢献いたします。
環境面においては、気候変動や資源循環・廃棄といった課題に対応するため、自動機械事業では、PTP薬品包装機においてバイオマスプラスチックを使用した包装機の開発やPTPシート生産時のプラスチック使用量の削減に取組んでおります。機器事業では、エネルギーの効率的な利用に貢献する環境負荷低減型商品パルスブローバルブ、生産エネルギーの見える化で省エネルギー改善に貢献するエアモニタリングユニットを開発いたしました。デジタル技術や基幹システムを活用し、最適な組織編成で生産性を一段と向上させ、事業を通じて環境や社会に貢献しながら、持続可能な成長を実現するための経営基盤を確立してまいります。
社会面においては、当社グループでは、「人材重視の企業風土」を経営理念の一つとして掲げており、「人材」を「人財」として企業の持続的な発展・成長のための重要な経営資源と位置付けております。当社グループのすべての人を生かす経営を推進していくため、2023年に新たな組織として、「人材戦略委員会」を発足し、さらに、すべての社員がいきいきと働ける会社・職場を実現するために、あるべき姿を描き、理想の人材戦略を推進していくことを目的に、「人材戦略委員会」の下部組織として「未来人材プロジェクト」を発足いたしました。PurposeとValuesを実現するための人材育成に取組み、社員との対話を通じて、エンゲージメント向上に向けた人事制度改革にも取組んでまいります。
ガバナンス面においては、機密情報やデータの漏洩、コンプライアンス違反など、社内の不正により会社経営に大きな影響を受けるリスクが高まっている中、グローバルな視点により健全な事業基盤を構築し、持続的な成長に取組んでおります。全社でコンプライアンスを徹底し、起こりうるリスクを想定し、対応することで成長につなげてまいります。
当社グループのサスティナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
ESGやSDGsへの対応を推進し、事業活動を通して地球環境や豊かな社会づくりに貢献するため、取締役会の諮問機関としてサスティナビリティ委員会を設置しています。サスティナビリティ委員会は、代表取締役社長を委員長、関係役員・部門長を委員として構成し、原則6か月ごとに開催し、サスティナビリティに関する経営課題について確認及び審議しています。審議された内容は、取締役会に報告しています。
サスティナビリティに関するリスク管理については、
(3) 気候変動への対応
① ガバナンス
気候変動に関するガバナンスについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) ガバナンス」を参照ください。
② 戦略
当社グループは、サプライチェーン全体を対象に気候変動に伴い生じ得るリスクと機会について洗い出し、事業への影響の分析及び考察を行っています。分析にはIEAが公表する4℃シナリオと1.5℃未満シナリオを用いており、それぞれの世界観における2030年時点の当社グループへの影響について考察を行っています。
a. 分析結果
各シナリオで想定されるリスクと機会を特定いたしました。4℃シナリオでは、台風や大雨などの異常気象の激甚化に伴い、操業停止や物流機能の停止による対応コストの増加が大きなリスクになると推測されます。
一方で1.5℃未満シナリオでは、世界的な脱炭素の取組みにより炭素税・排出権取引の導入や化石燃料由来の電力価格が高騰することが予測され、操業コストの増加が大きなリスクと推測されます。
〔気候変動に関するリスク・機会と当社グループの対応〕
b. 気候変動に関するリスク・機会に対する当社グループの対応
③ リスク管理
気候変動に関するリスク管理については、
当社グループでは“脱炭素社会の実現”に貢献するため、2050年度CO2排出量実質ゼロを基準として、バックキャスティングによりCO2排出量の中長期削減目標を設定し、CO2排出量削減に取組んでいます。
〔指標〕
〔CO2排出量削減目標〕
2030年度 50%削減 (総量、2022年度対比)
2030年度 50%削減 (売上高原単位、2013年度対比)
2050年度 実質排出ゼロ
(注) 1. CO2排出量はスコープ1・2の合計であります。
2. スコープ1は、当社、国内子会社及び在外子会社の主な排出量の合計で、環境省HP公開の排出係数を使用しています。
3. スコープ2は、当社、国内子会社及び在外子会社の主な排出量の合計で、環境省HP公開の基礎排出係数を使用しています。なお、当社営業所及び在外子会社は本社と同じ排出係数を使用しています。
4. J-クレジット制度、グリーン電力証書によるCO2排出量の相殺分を含みます。
5. CO2排出量削減率の2024年度実績は第三者検証前の参考値であり、第三者検証後の実績値は統合報告書に掲載予定であります。
(4) 人的資本
① 戦略
Purposeの実現に向けて、経営戦略と人的資本経営を連動させて、企業価値向上に取組んでいます。特に、10年VISIONに掲げている「人材重視の企業風土を構築」のためには、人材の獲得・育成・エンゲージメント向上を最大の課題であると認識し、人的資本投資により注力し当社の成長へとつながる仕組みづくりを推進しています。
〔人材育成方針〕
当社グループは、エンゲージメントの高い働きがいのある職場づくり、計画的な未来人材の育成、ダイバーシティ&インクルージョンを通じて「人材重視の企業風土」を築いていきます。
〔社内環境整備方針〕
当社の人材育成方針を実現するために、3つの重点方策ごとに効果的な施策や制度の整備・意識改革を推進しております。
1. エンゲージメントの高い働きがいのある職場づくり
(1) 成長・チャレンジの促進
Purposeの実現に向けて、Valuesを発揮し、成長・チャレンジを促進するため、社員の活動を評価するGO CKD! Awardの開催や、キャリアプランを支援するために社内公募制度の導入を行っています。
また、社員が新規事業の立ち上げを目指した“ワクワク”するテーマを提案するイノベータ・チャレンジ制度を導入し、採択されたテーマについては、事業化に向けた具体的な企画立案を進めています。
(2) 働き方改革・働く環境整備
社員の健康を重要な経営課題の一つと捉え、2019年に「CKD健康経営宣言」を掲げて、健康保険組合や労働組合と連携し社員の健康意識を高め、心身ともに健康で活き活きと働ける職場づくりに取組んでいます。
健康経営戦略マップ及び重点施策である「ワークライフバランスの実現」「生活習慣病予防」「働きやすい環境整備」に向けた取組みを推進し継続した改善を図り、6年連続で大規模法人部門「健康経営優良法人2025」の認定を受けています。
また、ストレスチェック・エンゲージメント調査を毎年実施し、その結果をフィードバックし職場改善アクションプランを作成、実施することで働きやすい職場環境の実現に取組んでいます。
(3) 経営層との信頼関係構築
エンゲージメント向上を目的に、社長が各地の工場や営業所に赴き、社員から直接意見を聞く場として少人数での座談会を開催いたしました。また、会社の方向性や財務状況を社員に知ってもらう機会として社長自ら説明する「タウンホールミーティング」と経営企画部IR室が説明する「社内向けIR」を開催するなどコミュニケーションの強化を図っています。
2. 計画的な未来人材の育成
(1) 人材の獲得
人材基盤を維持するとともに、事業戦略に連動した採用計画に基づき、必要な人材を採用するため、留学生を含む新卒採用活動、アルムナイ・リファラル採用などキャリア採用活動にも力を入れています。また、アニメ「はたらく細胞」とのコラボレーションした広告やポスター、大学内サイネージなど企業認知度を高めるための施策も幅広く実施しています。
(2) 人材育成
PurposeとValuesを実現する共通の人材像を役割等級別に定義し、必要な能力・知識を習得するための研修を実施しています。人事部主管の階層別教育だけでなく、事業部門が技術者としてのテクニカルスキル習得のための各種研修メニューも充実させています。また、「技能道場」を設置し、シニア社員が講師となって、自身の技能を後進に伝承し若手を育成することに大きなやりがいを持って取組んでいます。
また、未来人材の育成として次世代リーダーの計画的な育成に向けた外部研修やグローバル人材の育成、デジタル人材育成に向けた研修など幅広く展開しています。
3. ダイバーシティ&インクルージョン
(1) 多様な人材の活躍推進
性別・国籍・年齢等に関係なく、多様な人材一人ひとりの可能性を大切にし、それぞれの能力を最大限に発揮して活躍できる環境・制度づくりを推進しています。
女性活躍推進の取組みとして、マインド醸成を目的としたキャリア開発研修の実施や、他社女性管理職社員との交流会を実施するなど、積極的に次期管理職候補の育成に取組み、2030年度に女性管理職比率10%を目指しています。
シニア人材の活躍については、定年退職者が高いモチベーションを維持し、また若年層の育成・指導に欠かせない人材として65歳を第2定年として継続雇用し活躍いただいています。この制度を活用し59名の65歳以上の従業員が活躍しています。
障がい者の活躍については、2022年に「ソーシャルファーム わーくはぴねす農園」の運用を開始するなど、障がい者の方々が活躍できる職場づくりを推進し雇用拡大に努めており、障がい者雇用率は、2024年3月末で2.65%と法定雇用率2.5%を上回っています。
(2) ワークライフバランス・就業環境整備
仕事と子育てを両立できる働きやすい環境づくりとして、2018年4月に社内託児所を開所、短時間勤務を子どもが小学6年生を終えるまでに延長、男性社員の育児休業取得率向上の積極的推進など、育児支援制度を拡充しました。また、働き方の柔軟化と業務の効率化を目的としてテレワーク制度を導入しました。今後、フレックスタイム制度を更に充実させていくことを検討しています。
さらに、安全で安心して働ける環境整備の取組みとして、海外子会社を含めた全社での労働安全衛生活動を推進しています。①リスクアセスメントの推進、②「ポケテナシ」活動の展開、③全社労働安全衛生大会の開催などを推進しています。安全衛生への意識を高め、災害ゼロを目指し、全員参加で安全衛生活動に取組み、安全第一の企業文化を築いていきます。
② 指標及び目標
社内環境整備方針について、以下の指標を用いております。当該指標に関する目標と実績については、以下のとおりであります。
(注) 1. 上記の戦略に関する指標、目標及び実績については、提出会社を対象範囲としているため、連結子
会社は含んでおりません。
2. ワークエンゲージメントとは、仕事に対する意識・行動(外部調査結果に基づく偏差値)となりま
す。
3. 健康経営優良法人認定制度とは、経済産業省と日本健康会議が共同で、優良な健康経営を実践して
いる法人を顕彰する制度となります。認定法人の上位500社が「ホワイト500」に認定されます。
当社グループは、事業の継続と企業価値の向上を確保していくために企業活動に付随する様々なリスクを識別し、そのリスクを適正に評価した上で効率的、効果的な経営活動を行っています。
取締役会直轄の組織としてリスク管理委員会を設置し、活動の進捗及び結果を定期的に取締役会へ報告し、リスク管理を推進しています。
また、リスク管理委員会の下部組織としてリスク管理室を設置しており、監査部門による監視体制も構築することで、リスクへの管理体制を強化しています。
具体的な活動として、リスク管理室は業務部門が行う全社リスクの抽出、分析、評価、モニタリングの支援を行います。また、重点リスクに対する業務部門の取組み状況をモニタリングし必要に応じて改善を促す役割を担い、リスク管理委員会へ定期的に報告を上げます。海外子会社については、海外管理部門がリスク管理室と連携し、支援を行います。
監査部門は、業務部門とリスク管理室及び海外管理部門が機能するよう、監査、助言、連携を行います。

(3) リスクの特定プロセス
各事業部門、グループ会社及び本社管理部門にて企業価値の向上及び経営目標の達成を阻害するリスクと対策を洗い出しています。リスクの特定を行い、発生する頻度と発生した時の影響度からリスクの重要度を評価しています。また、特定された重点リスクに関して取締役会に報告し共有しています。
(4) リスクと機会
当社グループは、企業価値に影響を与える可能性のあるリスクに対応できる体制を整えるとともに、必要に応じて選定したリスクを見直しています。また、リスクは必ずしもマイナスの要因となるだけではなく、当社の一層の成長の機会となる可能性もあるため、適切に機会を捉えて果敢に挑戦を続けていきます。リスクマネジメントを推進し、事業を通じた取組みを通して企業価値を向上させるとともに、持続可能な社会の実現を目指しています。
当社グループのリスクに対する考え方としては、外部環境や内部環境の変化により経営目標の達成や社会的信用など企業価値に影響を与える可能性のある不確実な事象をリスクと定義しています。グローバルに事業を展開していくためには、リスクを適切に管理することが極めて重要な経営課題であると考え、リスク管理体制を整備しています。
当社グループの経営成績及び財政状態などに影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度における当社グループ (当社及び連結子会社) の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー (以下、「経営成績等」という。) の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
自動機械部門では、国内におけるジェネリック医薬品の安定供給に向けた投資が継続されていましたが、最終段階に入った装置需要を取り込むことで、薬品包装機の売上高が増加いたしました。また、日系自動車メーカーのHEV向け車載用電池への投資が増加していることから、リチウムイオン電池製造システムの売上高が増加いたしました。
その結果、売上高は25,331百万円 (前期比43.3%増) 、セグメント利益は収益改善の効果にセールスミックスも加わり、5,489百万円(前期比85.2%増)となりました。
機器部門では、国内市場において、世界的に旺盛な生成AI関連の投資を背景に、半導体・電子部品業界の一部の顧客で在庫消化が進み、半導体製造装置向け機器の売上高が増加いたしました。また、自動機械部門と同様に、国内メーカーの車載用電池への投資増加を受け、HEV向けの二次電池製造工程向け機器の売上高が増加いたしました。
海外市場では、半導体製造装置の国産化が進む中国や、HBM関連の投資が旺盛だった韓国や台湾、半導体や半導体製造装置の重要な供給拠点となったシンガポールで売上高が増加いたしました。
その結果、売上高は130,302百万円 (前期比11.6%増) 、セグメント利益は売上増加により、18,211百万円(前期比22.7%増)となりました。
このような状況の下で、当連結会計年度における業績は、売上高155,634百万円(前期比15.8%増)、営業利益19,018百万円(前期比45.0%増)、経常利益19,167百万円(前期比46.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益13,520百万円(前期比62.1%増)となりました。
次年度の見通しと方針について、次期の世界経済の見通しは、米国の政策による各国での経済活動への影響から、設備投資需要の減少が予測されるなど、不透明感が強まっております。一方で、当社を取り巻く事業環境は、人手不足による自動化・省人化需要は底堅く推移し、同時に、環境負荷低減商品の需要増加が見込まれております。また、半導体市場では、微細化・積層化による生産プロセスの複雑化によって、新たな需要が生み出されております。また、中国における半導体や製造装置の国産化需要が益々拡大していくと期待されております。


当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 自動機械部門以外は、需要見込による生産方法をとっております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.当連結会計年度において、自動機械部門の販売高が著しく増加しております。これは主として、薬品包装機
及びリチウムイオン電池製造システムの売上増の影響によるものであります。
(2) 財政状態
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ2,581百万円増加の210,867百万円となりました。これは主に、商品及び製品が3,397百万円、原材料及び貯蔵品が5,724百万円、有形固定資産が3,126百万円、投資有価証券が2,897百万円それぞれ減少したものの、現金及び預金が7,030百万円、受取手形が1,461百万円、契約資産が1,827百万円、電子記録債権が7,153百万円それぞれ増加したことによるものであります。
特に、売上増加に伴う売掛金回収増加により現金及び預金が増加したことで、資産が増加しております。
負債は、前連結会計年度末に比べ4,841百万円減少の74,345百万円となりました。これは主に、未払法人税等が3,514百万円増加したものの、支払手形及び買掛金が3,315百万円、電子記録債務が1,043百万円、流動負債のその他に含まれる前受金が3,000百万円、長期借入金が1,124百万円減少したことによるものであります。
特に、支払サイト短縮により支払手形及び買掛金並びに電子記録債務が減少したことで、負債が減少しております。
純資産は、前連結会計年度末に比べ7,423百万円増加の136,521百万円となりました。
当連結会計年度では、親会社株主に帰属する当期純利益の増加により、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ2.8ポイント増加の64.7%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物 (以下「資金」という。) は、前連結会計年度末に比べ6,604百万円増加の34,344百万円となりました。
当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、19,174百万円 (前期比152.3%増) となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益19,588百万円、減価償却費6,568百万円、棚卸資産の減少10,624百万円及び補助金の受取額1,454百万円による資金の増加、売上債権及び契約資産の増加11,585百万円、仕入債務の減少4,247百万円、前受金の減少3,000百万円並びに法人税等の支払額2,508百万円による資金の減少によるものであります。
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、6,057百万円 (前期比70.1%減) となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出5,703百万円による資金の減少によるものであります。
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、6,179百万円 (前期は13,055百万円の増加) となりました。
これは主に、長期借入金の返済による支出1,128百万円、配当金の支払額4,269百万円による資金の減少によるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきまして、当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用、研究開発費並びに当社グループの設備新設、改修等にかかる投資であり、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入れによる資金調達にて対応していくこととしております。
当社グループは、円滑な事業活動に必要となる流動性の確保と財源の健全性及び安全性の確保を資金調達の基本としており、市場環境等を考慮した上で、有効かつ機動的な資金調達を実施しております。資金需要を満たすための資金は、原則として営業活動によるキャッシュ・フローを主とした内部資金を財源としておりますが、多額の投資に対する資金需要が見込まれる場合などは、銀行等からの借入れなどの外部資金を活用いたします。
資金調達を行う場合は、期間や国内外の市場金利動向、自己資本比率、DEレシオ (負債資本倍率) などの財務指標への影響度などを総合的に勘案しながら、最適な資金調達を実施してまいります。
設備投資資金については、2024年度は、設備投資5,023百万円、研究開発費3,546百万円となりました。2025年度以降も事業拡大に向けた生産能力増強及び自動化投資を行ってまいります。
株主還元については、経営における重要課題の一つとして考えており、連結配当性向40%を目安としております。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」 をご確認ください。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたっては、資産、負債、収益及び費用の数値に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りとは異なることがあります。
連結財務諸表を作成するにあたって、在庫調整の長期化による半導体設備投資の抑制、中国経済の景気後退による製造業における投資の伸び悩み、地政学リスクの拡大等の不確実な環境下にあるなかで、主要得意先が属する半導体、自動車及び工作機械等の市況の変化の影響を考慮した仮定を用いて、その不確実性を見積りに反映しております。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りの仮定のうち、機器部門の棚卸資産の評価、繰延税金資産の回収可能性及び固定資産の減損について見積り特有の不確実性により、財政状態及び経営成績に重要な影響が及ぶ可能性があると考えております。
なお、機器部門の棚卸資産の評価の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。当該評価について、市況の変動等により見直しが必要になった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社は、財務上の特約が付された金銭消費賃貸契約を締結しております。
契約に関する内容等は、以下のとおりであります。
(1) 契約締結日
2023年5月26日
(2) 金銭消費賃貸契約の相手方の属性
都市銀行、信託銀行、地方銀行、生命保険会社
(3) 金銭消費賃貸契約に係る債務の期末残高及び弁済時期並びに当該債務に付された担保の内容
シンジケーション方式タームローン契約
(4) 財務上の特約の内容
① 2023年3月期末日及びそれ以降の各事業年度末日における単体の貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額を、2022年3月期末日における単体の貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額の75%に相当する金額、又は直近の事業年度末日における単体の貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額の75%に相当する金額のうち、いずれか高いほうの金額以上に維持すること。
② 2023年3月期末日及びそれ以降の各事業年度末日における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額を、2022年3月期末日における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額の75%に相当する金額、又は直近の事業年度末日における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額の75%に相当する金額のうち、いずれか高いほうの金額以上に維持すること。
当社グループは、創造的な知恵と技術で多種多様な流体制御と自動化の技術を活かし、豊かな社会づくりに貢献できる商品の開発をしております。また、市場のタイミングを逃がさないスピードでお客様に満足いただける商品とサービスが提供できるように、開発・生産・販売の各部門が組織的な活動を進めております。
商品開発の基本指針としましては、「グローバル化を推進するための海外商品開発の活動」「環境対応ビジネスを促進するエコ商品の開発活動」「5年10年後を見据えた先端技術開発活動」に取組んでまいりました。
当連結会計年度における各事業部門の研究開発項目は次のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費は、
当部門では、自動化技術の探求と共創を継続し、安全で安心な自動化設備をお客様に提供するべく研究開発活動に取組んでおります。
包装事業では、人と地球にやさしい商品の開発、お客様の生産活動に合わせた自動機械の提案を行っております。薬品包装機では包材がスクラップとなっていた部分をなくし、お客様の生産活動において大幅なスクラップ削減を実現いたしました。加えて、モノマテリアル対応については薬品メーカー、材料メーカー、装置メーカーが協力し、包材のケミカルリサイクルを実現させるべく開発を進めております。薬品包装機はトップメーカーとして、新たな環境負荷低減への提案と省人化提案を行い、お客様の生産性向上に貢献してまいります。薬品包装検査においては、精度向上と迅速なサービスを実現させるシステム改修を行い、ICT技術により、装置の稼働状況をわかるようにすることで装置の予防や保全につなげてまいります。CKDフィールドエンジニアリング㈱ではお客様の困りごとに対応するための情報を蓄積し分析することで、リスクを予測し、適時、サポート提案を行うことにも取組んでまいります。
電池事業では、車載用電池の市場拡大に伴い、リチウムイオン電池用巻回機で培った技術を基に安全で高品質な電池生産を実現させる生産装置を提案しております。今後は、さらに多様化する電池仕様に対応することでターゲット市場を広げてまいります。急速に技術革新が行われる車載用電池の技術に追従し、より生産性の高い設備を構築し、省スペース化と電池の性能・寿命の向上を実現させる生産設備の開発に取組んでまいります。
はんだ印刷検査事業では、車載や通信業界などで要求される2列での基板検査を可能とし、生産性向上に寄与するデュアルレーンタイプを「VP9000シリーズ」に加え、海外市場からの要求にも応えられるラインナップとなりました。グローバル市場への展開は、アジア・欧州市場を狙い、デザイン性や操作性にもこだわった開発と海外規格や多言語対応にも取組み、お客様へ新たな付加価値を提供してまいります。また、進化するSMT業界に追従するため、さらなる微細検査技術への開発を継続してまいります。
新たな検査を提案する検査事業では、薬品包装検査で培った画像検査技術をブラッシュアップし、AI技術を活用した検査や目視では困難な透明体検査技術を加え、分光スペクトルを活用した新たな技術に取組み新市場の構築を進めてまいります。
研究開発費の金額は、
市場の変化に柔軟かつ迅速に対応するため、お客様の環境問題や社会課題に対し、コア技術である自動化技術の探究と共創を継続し、空圧・流体制御機器事業と電動機器事業で培った開発力と技術力を生かし、技術・サービスで解決策を創る製品やサービスを開発・提案できるよう研究開発活動に取組んでおります。
世界で課題となっている環境対応に対しては、カーボンニュートラルの達成やエネルギーの効率的な利用に貢献するため、はじめに装置・ラインごとのエアの消費量の見える化を可能にするエアモニタリングユニットCVUシリーズを発売いたしました。ワンストップでデータ監視が可能なCVU-Mシリーズと構築済みの監視システムに増設するCVU-Tシリーズがあり、CVU-Mでは、エアの流量・圧力監視だけでなく、電力料金・CO2排出量への換算も可能で、将来必要となる可能性が高い製品ごとのCO2排出量の算出にもお役立ていただけます。
さらにエア消費量の把握だけでなく、改善に貢献できる環境負荷低減型商品パルスブローバルブBNPシリーズを発売いたしました。一般的な工場での電力消費の20~30%が圧縮エアで消費されており、その約70%がエアブローと言われております。BNPシリーズのエアパルスブローをお使いいただくことで連続ブローと比較して最大75%のエア消費の削減が実現できます。BNPは電源不要で動作し、装置に取り付けるユニットタイプと手に持って使うガンタイプがありますので、いつでも・どこでも簡単に導入いただけます。
空圧との駆動エネルギーベストミックスを目指す電動機器においては、電動アクチュエータDシリーズ用コントローラESC4シリーズ、多軸コントローラECMGシリーズに海外からのご要望が多かったPROFINETオプション追加、電動アクチュエータFLCRシリーズにオプション追加など、さらにシステムの拡充を行いました。
DXを活用した生産活動の変化に対しては、通信機器として、産業用ネットワークへの対応のみであったリモートI/O RTシリーズにIT系システムと親和性の高いWebAPI対応子局を追加いたしました。これによりデータ収集やモニタリングを目的としたITシステムの構築に貢献でき、CVU-Mの中心的なシステム構成機器としてPC上でのモニタリングを可能にいたしました。また、産業用エッジデバイス無線通信のスタンダードであるIO-Link Wirelessに対応した、名刺サイズのデジタル16点入力ユニットWDシリーズを発売いたしました。ロボットハンド用シリンダスイッチの無線化による断線リスクの低減や、可動部に設置されているスイッチの配線をWDで中継することでケーブルキャリア内の省配線化などが可能になります。
その他に、労働力の高齢化や多様化が進む中で人に優しく使いやすい機器の開発にも注力し、ものづくりの現場に寄り添った開発活動を推進しております。ヒューマンアシスト機器で発売以来好評をいただいておりますパワフルアームPAWでは搬送できなかった100kgワークの搬送が可能なサポートアームSAW Limited Editionを発売いたしました。
これらの研究開発活動においてお客さまの課題解決に貢献できる商品の開発をさらに強化し、カーボンニュートラルの実現とSDGsの達成に寄与する製品・サービスを持続的にお客様に提供してまいります。
研究開発費の金額は、