独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書

 

 

 

2025年6月24日

 

株 式 会 社 村 田 製 作 所

 

     取   締   役   会   御   中

 

 

 

有限責任監査法人ト ー マ ツ

京都事務所

 

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

河津 誠司

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

美濃部 雄也

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

西田 幸平

 

<連結財務諸表監査>

監査意見

 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社村田製作所の2024年4月1日から2025年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結財政状態計算書、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結持分変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表注記について監査を行った。

 当監査法人は、上記の連結財務諸表が、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条により規定された国際会計基準に準拠して、株式会社村田製作所及び連結子会社の2025年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

 

有形固定資産の評価

監査上の主要な検討事項の

内容及び決定理由

監査上の対応

 2025年3月31日において、連結財務諸表での有形固定資産の計上額は1,183,727百万円であり、当該金額は、総資産の39%を占めている。会社は経営環境の変化が速いエレクトロニクス産業において、スマートフォンやPCなどエッジデバイスの進化、ITインフラ構築及びAIサーバーを中心としたデータセンターの需要増加、モビリティ市場における電動化・電装化の進展などに伴う中長期的な市場の需要増加を見据えた相当規模の設備投資を継続的に実施している。

 「【連結財務諸表注記】3. 重要性がある会計方針」に記載のとおり、会社は有形固定資産について、資金生成単位又は資金生成単位グループごとに各報告期間の末日に資産が減損している可能性を示す兆候の有無を評価している。

 さらに、兆候が識別された場合には、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか高い方の金額を回収可能価額とし、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合に減損損失を計上している。当連結会計年度では、MEMS慣性力センサ事業において自動運転の高度化が当初の想定よりも緩やかな状況の中で、最新の事業計画に基づき回収可能価額を算定した結果、回収可能価額が帳簿価額を下回っていると判断し、減損損失10,352百万円を計上している。

 兆候の有無の評価及び使用価値算定には事業計画を含む様々な仮定を基礎としている。特に事業計画に含まれる売上収益は経営者の主観的な判断による影響を受け、不確実性を有する。

 以上の理由により、有形固定資産の評価に慎重な検討が必要であることから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項として識別した。

 当監査法人は、有形固定資産の評価を検討するに当たり、主として以下の監査手続を実施した。

(1) 有形固定資産の減損の兆候判定、認識及び測定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。

(2) 減損の兆候判定について、業績が悪化傾向の資金生成単位又は資金生成単位グループに関して下記の手続を実施した。

• 取締役会等の各種会議体の議事録、経営者により承認された事業計画等の閲覧により、帳簿価額を回収できないことを示す事象、又は状況変化の発生有無を検討した。

• 経営者により承認された事業計画について、基礎資料等の閲覧、マーケット状況等の外部データの閲覧、経理財務オペレーションサービス・業務開発部及び事業部に対する質問により、売上収益は市場環境の分析結果等を反映し、直近までの入手可能な事実を反映した見通しになっていることを検討した。また、過去の事業計画と実績数値を比較することにより、事業計画の合理性を検討した。

(3) MEMS慣性力センサ事業の見積将来キャッシュ・フローに基づく使用価値について、下記の手続を実施した。

• 見積将来キャッシュ・フローの基礎となる経営者により承認された事業計画について、兆候判定の検討の過程で用いた事業計画との整合性を検討した。

• 使用価値の算定方法について、計算資料の閲覧により、適用される財務報告の枠組みに照らして適切であるかを検討した。

 

のれんの評価

監査上の主要な検討事項の

内容及び決定理由

監査上の対応

 2025年3月31日において、連結財務諸表でののれんの計上額は135,746百万円である。会社は主に通信、モビリティ市場における差異化技術の獲得、中期計画で掲げている新たなビジネスモデルの創出等を目的に株式取得や事業譲受を一定数実施している。主なのれんの計上額は、高周波モジュール製品等に係る事業ののれん56,637百万円、表面波フィルタ製品に係る事業ののれん42,486百万円である。

 「【連結財務諸表注記】3. 重要性がある会計方針」に記載のとおり、会社は、のれんについては各報告期間の末日ごとに資産が減損している可能性を示す兆候の有無を評価し、減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積り、減損テストを実施している。また、減損の兆候の有無に関わらず、毎年同じ時期に回収可能価額を見積り、減損テストを実施している。

 のれんの減損テストでは、のれんを含む資金生成単位又は資金生成単位グループの使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか高い方の金額を回収可能価額とし、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合に減損損失を計上している。なお、使用価値は経営者が承認した今後5年以内の事業計画と成長率を基礎とした見積将来キャッシュ・フローを税引前割引率を用いて現在価値に割り引いて算定している。

 割引後見積将来キャッシュ・フローは事業計画、成長率、割引率などの様々な仮定を基礎としている。特に事業計画に含まれる売上収益は経営者の主観的な判断による影響を受け、不確実性を有する。また、割引率は、計算手法及びインプットデータの選択に当たり高度な専門知識及び判断を必要とし、変動した場合の金額的影響が大きい。

 以上の理由により、のれんの評価は慎重な検討が必要であることから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項として識別した。

 

 当監査法人は、のれんの評価を検討するに当たり、主として以下の監査手続を実施した。

(1) のれんの減損の兆候判定、減損損失の計上要否の判定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。

(2) 会社が利用する外部の評価専門家の経歴資料の閲覧、外部の評価専門家に対する質問により、外部の評価専門家の知識や経験を評価し、能力及び客観性に問題がないかを検討した。

(3) 見積将来キャッシュ・フローの割引現在価値に基づく使用価値について、下記の手続を実施した。

• 経営者により承認された事業計画について、基礎資料等の閲覧、マーケット状況等の外部データの閲覧、財務戦略部及び事業部に対する質問により、売上収益は市場環境の分析結果等を反映し、直近までの入手可能な事実を反映した見通しになっていることを検討した。また、過去の事業計画と実績数値を比較することにより、事業計画の合理性を検討した。

• 割引率について、当監査法人のネットワーク・ファームの評価専門家を関与させ、算出方法、使用されている指標、算出上の仮定が、市場の状況や観察可能なデータに基づいて合理的と判断される範囲内であるかを検討した。

• 使用価値の算定方法について、当監査法人のネットワーク・ファームの評価専門家を関与させ、実務上一般に公正妥当と認められる評価手法と整合的であり、妥当であるかを検討した。

• 売上収益と割引率について不確実性を加味した感応度分析を実施し、これらが使用価値に与える影響を評価した。

 

その他の記載内容

 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

連結財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任

 経営者の責任は、国際会計基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

 連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、国際会計基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

 監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

連結財務諸表監査における監査人の責任

 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、国際会計基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・ 連結財務諸表に対する意見表明の基礎となる、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、連結財務諸表の監査を計画し実施する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

 監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

 監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

 監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

<内部統制監査>

監査意見

 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、株式会社村田製作所の2025年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。

 当監査法人は、株式会社村田製作所が2025年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

内部統制報告書に対する経営者及び監査等委員会の責任

 経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。

 監査等委員会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。

 なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。

 

内部統制監査における監査人の責任

 監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。

 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。

・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、内部統制の監査を計画し実施する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

 監査人は、監査等委員会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

 監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

 

<報酬関連情報>

 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】に記載されている。

 

利害関係

 会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

 

以 上

 

(注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

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