(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益の回復や雇用環境の改善が見られる中で、緩やかな回復基調で推移しております。
世界経済においては、米国における新大統領の政策動向や中国を始めとする新興国経済は、依然として先行き不透明な状況にあります。
蓄電池業界におきまして、世界的な自動車への環境規制により車載用リチウムイオン電池の需要が拡大していくと想定されております。また自動車以外では、家庭用及び産業用において、持続可能な低炭素社会を実現するため、再生可能エネルギーとの組合わせによるビジネスモデルが拡大しておりますが、新規参入する企業も増加してることから競争が激化してきております。
このような経済状況の中、当社グループは「2018年中期ビジョン(2016-18年)」を達成すべく、鉛事業を中心に、製品の品質向上及び技術開発を継続して行うとともに、タイ・インドネシアに続く次の事業基盤として、ベトナムにおける蓄電池メーカーDRY CELL AND STORAGE BATTERY JOINT STOCK COMPANYの発行済株式10.5%を取得し、経済成長著しいベトナムにおいて、お客様に販売・アフターサービスを一貫して提供できる体制を整えております。またタイにおける風力発電I-WIND社との成約合意につきましては、当社のサイクル用長寿命形キャパシタハイブリッド制御弁式据置鉛蓄電池UltraBatteryが採用されており、再生可能エネルギー分野において積極的な展開を行っております。
この結果、当社グループの売上高は前期比1,214百万円(2.2%)増の55,320百万円となりました。これは、国内における補修用電池の販売やタイ子会社における自動車用電池の販売が好調に推移したことによるものであります。このうち海外売上高は、18,429百万円となり、売上全体の33.3%となりました。
損益面につきましては、営業利益は3,336百万円(前期は営業利益2,928百万円)、経常利益は2,892百万円(前期は経常利益2,898百万円)となりました。
また、ポリ塩化ビフェニル(PCB)の撤去、処分等に関する見込み額89百万円を特別損失「環境対策引当金繰入額」として計上いたしました。以上などに、税金費用を考慮した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は2,373百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益2,367百万円)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
なお、セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高又は振替高1,769百万円を含み、セグメント利益は営業利益(のれん償却前)ベースの数値であります。
(自動車)
自動車の売上高は前期比1,750百万円(4.8%)増の38,560百万円、セグメント利益は前期比523百万円(50.0%)増の1,571百万円となりました。これは主に、国内における補修用電池の販売やタイ子会社における自動車用電池の販売が好調に推移したことによるものであります。
(産業)
産業の売上高は前期比292百万円(1.6%)減の17,412百万円、セグメント利益は前期比186百万円(10.6%)減の1,564百万円となりました。これは主に、国内における産業用電池の更新需要が減少したことによるものであります。
(不動産)
不動産の売上高は前期比16百万円(4.3%)増の390百万円、セグメント利益は前期比57百万円(42.2%)増の192百万円となりました。
(その他)
その他の売上高は25百万円(3.7%)増の726百万円、セグメント利益は前期比8百万円(27.8%)増の37百万円となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ2,347百万円増加し5,735百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金収支は、3,697百万円(前連結会計年度比33.8%)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が2,786百万円、減価償却費が2,363百万円、利息及び法人税等の支払1,630百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金収支は、△3,213百万円(前連結会計年度比465.2%)となりました。これは主に有形固定資産及び投資有価証券の取得による支出3,149百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金収支は、1,938百万円(前連結会計年度比-%)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出1,576百万円、配当金及びリース債務の支払411百万円がありましたが、長期借入金による収入2,800百万円があった事などによるものであります。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%) |
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自動車(百万円) |
35,959 |
5.2 |
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産業(百万円) |
16,722 |
△2 |
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不動産(百万円) |
- |
- |
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報告セグメント計(百万円) |
52,681 |
2.8 |
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その他(百万円) |
- |
- |
|
合計(百万円) |
52,681 |
2.8 |
(注)1.金額は標準販売価格により表示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注状況
当社グループは、主力製品である自動車用蓄電池について、主として見込生産を行っているため、受注高、受注残高について特記すべき事項はありません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
自動車(百万円) |
37,828 |
4.2 |
|
産業(百万円) |
17,106 |
△1.9 |
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不動産(百万円) |
370 |
4.4 |
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報告セグメント計(百万円) |
55,305 |
2.2 |
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その他(百万円) |
14 |
14.1 |
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合計(百万円) |
55,320 |
2.2 |
(注)1.総販売実績に対し、10%以上に該当する販売先はありません。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.セグメント間の取引については相殺消去しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、永年にわたり培ってきた技術力を核とし、絶え間ない革新により、次のような基本方針を掲げて真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献していきます。
①公正と誠実を基本に、常に社会の期待と信頼に応え続けます。
②お客様の満足のために知恵を集結し、お客様とともに成長します。
③世界をリードする技術革新と、あらゆる企業活動における変革に絶えず挑戦します。
④多様な人材を活かし、創造的で活力溢れる企業を目指します。
また、事業活動の推進については、次の行動指針により行動いたします。
①常に高い倫理観をもち、公正、誠実に行動します。
②あらゆる業務において革新、改革、改善に挑戦します。
③現場・現物・現実を直視し、ものごとの本質を捉えます。
④主体的に考え、互いに協力して迅速に行動し、粘り強くやり遂げます。
⑤組織を超えて対話を重ね、相互に高い目標にむけて努力します。
(2)目標とする経営指標
当社は、平成28年5月に「2018年中期ビジョン(2016-18年)」を策定いたしました。当社グループが目指している損益目標及び経営指標(いずれも連結ベ-ス)は次のとおりです。
(2019年3月期目標値)
売上高:800億円 営業利益:60億円
総資産利益率(ROA):10.0% 自己資本比率:45.0% 海外売上高比率:53.1%
(3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
今後の日本国内経済の見通しとしては、底堅い消費と緩やかな設備投資の増加に支えられた内需により、緩やかに拡大が続くものと見込まれます。一方、米国政府の保護貿易主義、金利上昇を伴う出口戦略による経済への影響、中国経済の減速、英国のEU離脱や加盟各国の政治リスクによるユーロ圏経済の混乱、また、地政学的な要因などが、世界経済における中長期的なリスクになると考えられます。このようなリスクに起因する国際的な貿易の停滞や世界経済の減速は、当社グループの事業に対しても悪影響を及ぼす可能性があります。
このような経営環境の下、当社グループは、長期経営ビジョン「Dynamic innovation 2020」の実現へ向けて、2016年度を初年度といたします「2018年中期ビジョン(2016-18年)」を新たに策定し、事業拡大による売上増(新製品・新規市場・海外)、効率化と合理化による利益率増(集約・コスト削減)、海外拠点拡大による海外売上高比率増(拠点能力の拡大・新たな拠点)を拡大に向けたキーワードとして取組みをスタートしました。また、2016年度から2020年度の5年間を「打って出る5年間」と位置づけ、ダイナミックに成長を目指し、長期経営ビジョン達成に向けて取組んでまいります。事業セグメント別の課題として、自動車電池事業では国内の生産と販売体制の効率化を実行し、いわき事業所での設備投資の効果を最大に発揮することでコスト削減と環境対応車用電池の量産本格化を進めます。海外拠点(タイ・インドネシア)では、生産体制増強、事業拡大を進め、さらに、次の事業展開の検討を行います。産業機器事業では再生可能エネルギーの活用分野を中心とした、国内外の新市場への取組みを強化し、また、国内生産拠点に対する投資によって品質力とコスト競争力のアップに取組みます。
当社グループがあらゆるステークホルダーの皆様から信頼いただける企業であり続けるために、当社グループの企業活動が社会にあたえる影響に責任を持ち、経営の健全性、公正性を確保するべくガバナンスをさらに徹底し、自然災害などに対する危機管理対策を含めた外部リスク管理の強化に取組みます。
(1)為替相場の変動による影響について
当社グループの取引には外貨による輸出・輸入が含まれており、為替相場の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(2)主要製品に使用される原材料の価格変動について
当社グループの主要製品に使用される原材料(鉛・ニッケル)は、その価格変動率が大きく、当社グループの経営成績及び財政状態に少なからず影響を与える可能性があります。
(3)海外活動に潜在するリスクについて
当社グループは、現在海外で生産・販売を行っておりますが、地域によっては政治的及び社会的リスクがあり、当社グループの経営成績及び財政状態に少なからず影響を与える可能性があります。
(4)債権の回収リスクについて
当社グループは、取引先の信用リスクに対して細心の注意を払い与信管理体制を強化しておりますが、取引先の業績悪化等により特に取引額の大きい得意先の信用状況が悪化した場合、当社グループの事業、経営成績、財政状態に影響を与える可能性があります。
(5)自然災害の影響について
当社グループの製造拠点は、国内では栃木県、福島県にあり、海外ではタイ、インドネシアにあります。東日本大震災では、国内の両事業所が少なからず被害を受け、タイの大洪水では、取引先企業の操業停止の影響を受け一時操業停止となりました。今後、地震や風水害などの自然災害の影響を受け、部品供給が不可能、あるいは遅延する恐れがあり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。このため、BCP(事業継続計画)を的確に構築・実行して業務中断に伴うリスクを最小限に抑えるため、平時から準備してまいります。
(6)金利の上昇について
当社グループの有利子負債には、金利変動の影響を受けるものが含まれております。したがって、金利上昇により支払利息が増加する可能性があります。
(1)インドのEXIDE INDUSTRIES LTD.との間で、四輪車用電池及び二輪車用VRLA電池の技術援助契約を締結しております。四輪車用電池は平成17年12月1日に締結し、二輪車用VRLA電池は平成19年3月9日に締結しており、両契約とも現在継続中であります。
(2)米国のEAST PENN manufacturing co.,inc.との間で、自動車用及び産業用鉛電池にウルトラキャパシタ機能を付与したハイブリッド電池「UltraBattery」の技術援助契約を締結しております。契約期間は平成20年8月19日から17年間であります。
(3)インドのEXIDE INDUSTRIES LTD.との間で、四輪車用ISS電池の技術援助契約を締結しております。平成22年2月1日に締結し現在継続中であります。
(4)ベトナムのDRY CELL AND STORAGE BATTERY JOINT STOCK COMPANYの既存株主との間で株式譲渡契約を平成28年9月に締結いたしました。
なお、当該契約に基づき、平成28年9月30日付で10.5%の株式を取得しております。
当社グループは自動車及び各種産業用二次電池、電源及び応用機器メーカーとして、電気エネルギーの貯蔵・変換と高効率化に関する研究開発を推進し、鉛蓄電池、アルカリ蓄電池、リチウムイオン蓄電池及びマグネシウム空気電池などの新種電池、それらの周辺機器及び電源装置の製品開発と環境対応技術の開発を行っております。また各種製品の品質・信頼性の改善並びに生産性向上とコストダウンを図るための基盤技術、生産技術及び設備技術開発も積極的に実施しております。
当連結会計年度における研究開発費総額は1,467百万円であります。この中には、グループ外部からの受託研究等の費用3百万円が含まれております。各事業分野別の研究の目的、主要課題及び研究成果は次のとおりであります。
自動車用鉛蓄電池の分野では、顧客要求に応える現用電池の性能改善に加え、国内・海外の環境規制に対応して急速に普及・拡大しているIS(アイドリングストップ)車、マイクロハイブリッド車に適応したIS車用鉛蓄電池(キャパシタハイブリッド型鉛蓄電池「ECHNO[エクノ] IS UltraBattery」など)の性能向上、コストダウン、ラインナップ拡大による新車メーカー採用と市販展開の拡大を鋭意進めています。また、EN規格(欧州統一規格)対応品の開発を進めており、新車メーカーに採用されるなどの成果をあげています。
一方、厳しさを増す品質、性能、価格競争に対応するため、電池設計の見直しや活物質の利用率向上による材料のセービングなど様々なコストダウンに精力的に取り組んでおります。さらに、生産技術、設備技術開発の取組みとして、新設備・新生産技術の導入や新材料の適用による工程品質改善、材料ロスの低減、工程屑鉛のリサイクル、工程の見える化などを継続して推進しております。
産業用電池の分野では、現用電池の性能改善とコストダウンを進めるとともに、平成23年度に製品化したサイクルユース用制御弁式鉛蓄電池「FCP」シリーズと、平成25年度に製品化した次世代産業用キャパシタハイブリッド型鉛蓄電池「UltraBattery」を、風力/太陽光発電などの再生可能エネルギー分野、ピークシフト、ロードレベリングなどの電力分野のサイクル用途向けに適用できる長寿命鉛蓄電池として市場展開を進めております。平成27年度は、次世代産業用キャパシタハイブリッド型鉛蓄電池「UltraBattery」の小容量モノブロックタイプ「UB-50-12」を追加ラインナップしました。また、平成28年度には計画放電など放電頻度が高い鉄道地上設備のスタンバイ用としてFCR形電池を製品化しました。
次世代産業用「UltraBattery」は、数々の民間実証試験や、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)、経済産業省などが進めるスマートコミュニテイ・スマートグリッド実証事業において、優れた性能を有する電池であることを実証し、さらに、平成24年度に当社の福島県いわき事業所内に構築したマイクログリッド蓄電システムにおいて、実証及び運用ノウハウの蓄積や最適な運用技術の開発を進めております。またスマートコミュニテイ・スマートグリッド実証事業の蓄電設備を当社の福島県いわき事業所内と栃木県今市事業所内へ移設して実証試験を継続しております。
ニッケル・カドミウム蓄電池では、鉄道車両用電池の拡販のため実車試験とベンチ試験を進めています。また、顧客要求に対応した電池関連機器の新製品開発や基盤技術・生産技術の向上とコストダウンに向けた取組みを引き続き進めております。
電源機器の分野では、電源装置の品種拡大と性能向上及び特定用途電源の開発を進めています。
リチウムイオン電池では、JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)と次期衛星用電池の開発を継続的に進めるとともに、小惑星探査機「はやぶさ2」、金星探査機「あかつき」の運用を支援しております。また、安全性が高く、環境負荷の低い水性ペースト式リン酸鉄リチウムイオン電池の開発を進め、スマートコミュニテイ・スマートグリッド用途に向けた実証試験を進めております。さらに平成28年度は、JR東日本のエキナカ自販機向けにリチウムイオンバッテリーユニットを開発し、東京駅のエキナカ自販機「acure<アキュア>」に設置しました。
新規事業核、新規事業領域の取組みとして、平成26年度に製品化した非常用マグネシウム空気電池「MgBOX(マグボックス)」と、平成27年度に一般家庭向けに従来の約2分の1に小型化した「MgBOX slim(マグボックススリム)」を鋭意拡販しており、平成28年5月のG7伊勢志摩サミットの国際メディアセンター(IMC)に広報展示されました。また、平成29年2月には、循環型社会形成推進基本法の個別法のひとつとしてのグリーン購入法が変更され、「MgBOX(マグボックス)」と「MgBOX slim(マグボックススリム)」が、適合品となりました。
そのほか、コンピュータシミュレーション技術の活用では、シミュレーションによる鋳造技術向上、成形技術向上を支援するとともに、詳細な電池設計、熱分析、強度解析などの技術構築と熱流体解析ソフトの導入などを行い、新製造技術導入や製品製作前の設計段階における事前解析・品質確認、蓄電池特性の改善、鉛のセービング、工場での生産効率向上等に適用し、開発のスピードアップを図っております。
(1)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」という)に比べて4,614百万円増加し55,023百万円となりました。流動資産は、前期末比3,058百万円増加し24,733百万円となり、固定資産は、前期末比1,555百万円増加の30,290百万円となりました。
流動資産増加の主な要因は、現預金及び棚卸資産の増加によるものであります。
固定資産のうち、有形固定資産は、前期末比132百万円増加の24,940百万円となりました。この増加の主な要因は、建設仮勘定の増加によるものであります。
投資その他の資産は、前期末比1,470百万円増加し5,108百万円となりました。
当連結会計年度末の負債の合計は、前期末比2,275百万円増加の33,131百万円となりました。
流動負債は、前期末比1,693百万円増加の16,839百万円、固定負債は、前期末比581百万円増加の16,292百万円となりました。
有利子負債(短期借入金及び長期借入金の合計額)は、前期末比1,713百万円増加の13,250百万円となりました。
なお、当連結会計年度末における自己資本は、前期末比2,224百万円増加して20,607百万円となり、自己資本比率は、前期末の36.5%から37.5%となりました。また、1株当たり純資産額は、前期末の560.81円から628.70円になりました。
(2)経営成績
「1.業績等の概要 (1)業績」を参照。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
「1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」を参照。