文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、永年にわたり培ってきた技術力を核とし、絶え間ない革新により、次のような基本方針を掲げて真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献していきます。
①公正と誠実を基本に、常に社会の期待と信頼に応え続けます。
②お客様の満足のために知恵を集結し、お客様とともに成長します。
③世界をリードする技術革新と、あらゆる企業活動における変革に絶えず挑戦します。
④多様な人材を活かし、創造的で活力溢れる企業を目指します。
また、事業活動の推進については、次の行動指針により行動いたします。
①常に高い倫理観をもち、公正、誠実に行動します。
②あらゆる業務において革新、改革、改善に挑戦します。
③現場・現物・現実を直視し、ものごとの本質を捉えます。
④主体的に考え、互いに協力して迅速に行動し、粘り強くやり遂げます。
⑤組織を超えて対話を重ね、相互に高い目標にむけて努力します。
(2)目標とする経営指標
当社は、2016年5月に「2018年中期ビジョン(2016-18年)」を策定いたしましたが損益目標及び経営指標(いずれも連結ベース)に対しまして、直近の業績を踏まえて下記の通り見直しさせていただきました。
(当初 2019年3月期目標値)
売上高:80,000百万円 営業利益:6,000百万円
総資産利益率(ROA):10.0% 自己資本比率:45.0% 海外売上高比率:53.1%
(見直し 2019年3月期目標値)
売上高:64,000百万円 営業利益:3,200百万円
総資産利益率(ROA): 5.8% 自己資本比率:45.0% 海外売上高比率:40.0%
(3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
今後の日本経済の見通しとしては、堅調な消費と雇用環境の改善に下支えされた内需の緩やかな拡大が予想されますが、一部業種の人材不足や将来的な社会保障費の増大の不安などの不確定要素も多く見受けられます。一方、世界経済の見通しとしては、米中を中心とした、巨大経済圏における政策の不明瞭感や、東アジア・中東を筆頭に地政学的な変動要因が中長期的リスクになると考えられます。このようなリスクに起因する国際的な貿易の停滞や世界経済の減速が当社グループの事業に対して悪影響を及ぼす可能性も考えられます。
このような経営環境の下、当社グループは、長期経営ビジョン「Dynamic Innovation 2020」の実現へ向けて「2018年中期ビジョン(2016-18年)」を策定し、諸施策を講じてまいりました。この中期計画で明らかになった課題を踏まえまして、さらなる利益率増(集約・コスト削減)、海外拠点拡大による海外売上高比率増(拠点能力の拡大・新たな拠点)、コンプライアンス・ガバナンス強化に取り組んでまいります。事業セグメント別の課題として、自動車電池事業では環境に配慮した高機能の車載用電池を供給するため、いわき工場に設備投資した新ラインの技術力、生産力、品質力を高めた製品を展開いたします。また、日本の工場をマザー工場として位置づけ海外工場への展開を行い収益力を高めてまいります。海外拠点(インドネシア・タイ)では、まずはインドネシアでの生産・販売力強化を通じて現地におけるしっかりとした体制を構築すること、タイでの生産力増強などに取り組んでまいります。産業機器事業では産業用蓄電池の主要生産拠点である今市事業所の拡大整備に着手し事業革新および原価低減を推進し、さらなる効率化を目指すとともに再生可能エネルギーの活用分野を中心とした、国内外の新市場への取り組みを強化し、品質力とコスト競争力のアップに取り組みます。グループ内外を問わず、あらゆるステークホルダーの皆様から信頼いただける企業であり続けるために、当社グループの企業活動が社会にあたえる影響に責任を持ち、経営の健全性、公正性を確保するべくコンプライアンスをさらに徹底し、自然災害などに対する危機管理対策を含めたリスクマネジメントを強化してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)為替相場の変動による影響について
当社グループの取引には外貨による輸出・輸入が含まれており、為替相場の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(2)主要製品に使用される原材料の価格変動について
当社グループの主要製品に使用される原材料(鉛・ニッケル)は、その価格変動率が大きく、当社グループの経営成績及び財政状態に少なからず影響を与える可能性があります。
(3)海外活動に潜在するリスクについて
当社グループは、現在海外で生産・販売を行っておりますが、地域によっては政治的及び社会的リスクがあり、当社グループの経営成績及び財政状態に少なからず影響を与える可能性があります。
(4)債権の回収リスクについて
当社グループは、取引先の信用リスクに対して細心の注意を払い与信管理体制を強化しておりますが、取引先の業績悪化等により特に取引額の大きい得意先の信用状況が悪化した場合、当社グループの事業、経営成績、財政状態に影響を与える可能性があります。
(5)自然災害の影響について
当社グループの製造拠点は、国内では栃木県、福島県にあり、海外ではタイ、インドネシアにあります。東日本大震災では、国内の両事業所が少なからず被害を受け、タイの大洪水では、取引先企業の操業停止の影響を受け一時操業停止となりました。今後、地震や風水害などの自然災害の影響を受け、部品供給が不可能、あるいは遅延する恐れがあり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。このため、BCP(事業継続計画)を的確に構築・実行して業務中断に伴うリスクを最小限に抑えるため、平時から準備してまいります。
(6)金利の上昇について
当社グループの有利子負債には、金利変動の影響を受けるものが含まれております。したがって、金利上昇により支払利息が増加する可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当社グループの売上高は前期比5,215百万円(9.4%)増加し60,536百万円となりました。
営業利益は前期比355百万円減少し2,980百万円(前期は営業利益3,336百万円)、経常利益は前期比81百万円減少し2,810百万円(前期は経常利益2,892百万円)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は前期比236百万円減少し2,136百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益2,373百万円)となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産の合計は、前連結会計年度末(以下「前期末」という。)に比べて25百万円減少し54,997百万円となりました。
当連結会計年度末の負債の合計は、前期末比3,290百万円減少の29,841百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産の合計は、前期末比3,265百万円増加し25,156百万円となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、2,375百万円のプラスとなりました。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、2,440百万円のマイナスとなりました。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、1,530百万円のマイナスとなりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度に比べ1,540百万円減少し4,194百万円となりました。
④生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
自動車(百万円) |
39,961 |
11.1 |
|
産業(百万円) |
16,895 |
1.0 |
|
不動産(百万円) |
- |
- |
|
報告セグメント計(百万円) |
56,856 |
7.9 |
|
その他(百万円) |
- |
- |
|
合計(百万円) |
56,856 |
7.9 |
(注)1.金額は標準販売価格により表示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループは、主力製品である自動車用蓄電池について、主として見込生産を行っているため、受注高、受注残高について特記すべき事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
自動車(百万円) |
43,191 |
14.2 |
|
産業(百万円) |
16,968 |
△0.8 |
|
不動産(百万円) |
364 |
△1.7 |
|
報告セグメント計(百万円) |
60,524 |
9.4 |
|
その他(百万円) |
12 |
△18.3 |
|
合計(百万円) |
60,536 |
9.4 |
(注)1.総販売実績に対し、10%以上に該当する販売先はありません。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる見積りが会計基準の一定の範囲内で行われており、連結決算日における資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りには不確実性が伴い実際の結果とは異なる場合があるため、連結財務諸表に影響を及ぼすものと考えられます。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)経営成績の分析
当連結会計年度の経済状況は、世界経済においては、米国における新大統領の政策動向や中国の経済成長の伸び悩み等が懸念されるものの、緩やかな回復基調で推移しております。
我が国経済においても、個人消費の持ち直しや設備投資の増加等の動きが見られ、緩やかな回復基調で推移しております。一方、労働需給のひっ迫に伴う人件費の上昇懸念や資源価格の高止まり等、依然として先行きは不透明な状況となっております。
蓄電池業界においては、自動車分野は緩やかな回復基調の経済状況に支えられ、鉛蓄電池の需要は堅調に推移しました。また、環境規制による電気自動車への移行が加速し、安全で性能の高い次世代の蓄電池の需要が拡大すると見込まれております。自動車分野以外ではパリ協定による温室効果ガス削減目標を実現するため、各国で再生可能エネルギーの普及促進が想定されるとともに、安定した電力供給のために蓄電池の需要が拡大すると見込まれております。
当社グループにおいては、中期経営計画である「2018年中期ビジョン(2016-18年)」を達成すべく、既存事業である鉛蓄電池の品質向上およびコスト削減のための投資を継続して行うとともに、首都大学東京と次世代リチウムイオン電池開発のため2017年4月に(株)ABRIを設立し、新事業へ向けた技術開発も推進しております。また、再生可能エネルギー分野においては、インドネシアでの太陽光発電用の蓄電サブシステムの納入やエコマリンパワー社が実施する船舶用再生可能エネルギープロジェクトのバッテリー供給業者に認定される等、引き続き積極的に事業展開しております。
この結果、当社グループの売上高は前期比5,215百万円(9.4%)増加し60,536百万円となりました。これは、国内および海外における自動車用電池の販売が好調に推移したことによるものであります。このうち海外売上高は21,114百万円となり、売上高全体の34.9%となりました。
損益面につきましては、営業利益は主な原材料である鉛価格が上昇した影響等により前期比355百万円減少し2,980百万円(前期は営業利益3,336百万円)、経常利益は前期比81百万円減少し2,810百万円(前期は経常利益2,892百万円)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は前期比236百万円減少し2,136百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益2,373百万円)となりました。
セグメント別の状況は以下の通りです。
なお、セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高または振替高2,256百万円を含み、セグメント利益は営業利益(のれん償却前)ベースの数値であります。
自動車の売上高は前期比5,838百万円(15.1%)増の44,399百万円、セグメント利益は前期比228百万円(14.5%)増の1,800百万円となりました。これは主に、国内および海外における自動車用電池の販売が好調に推移したことによるものであります。
産業の売上高は前期比130百万円(0.7%)減の17,282百万円となりました。これは主に、国内における産業用電池の更新需要が減少したことによるものであります。セグメント利益は前期比581百万円(37.2%)減の982百万円となりました。これは主に、主原料である鉛価格が上昇した影響等により売上原価が増加したためであります。
不動産の売上高は前期比6百万円(1.6%)減の384百万円、セグメント利益は前期比3百万円(1.9%)減の188百万円となりました。
その他の売上高は0百万円(0.1%)増の726百万円、セグメント利益は前期比7百万円(19.1%)減の30百万円となりました。
(b)財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」という)に比べて25百万円減少し54,997百万円となりました。流動資産は、前期末比53百万円増加し24,787百万円となり、固定資産は、前期末比79百万円減少の30,210百万円となりました。
流動資産増加の主な要因は、棚卸資産の増加によるものであります。
固定資産のうち、有形固定資産は、前期末比86百万円減少の24,854百万円となりました。この減少の主な要因は、減価償却の金額が固定資産の取得を上回ったことによるものであります。
投資その他の資産は、前期末比60百万円増加し5,169百万円となりました。
当連結会計年度末の負債の合計は、前期末比3,290百万円減少の29,841百万円となりました。
流動負債は、前期末比2,641百万円減少の14,198百万円、固定負債は、前期末比649百万円減少の15,642百万円となりました。
有利子負債(短期借入金及び長期借入金の合計額)は、前期末比2,713百万円減少の10,537百万円となりました。
また、当連結会計年度末における自己資本は、前期末比2,687百万円増加して23,295百万円となり、自己資本比率は、前期末の37.5%から42.4%となりました。
(c)キャッシュ・フローの分析
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が2,804百万円、減価償却費が2,543百万円、利息及び法人税等の支払額1,783百万円などにより全体としては2,375百万円のプラスとなりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出2,511百万円などにより2,440百万円のマイナスとなりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、子会社の増資に伴う非支配株主からの払込による収入1,644百万円がありましたが、長期借入金の返済による支出2,092百万円等により1,530百万円のマイナスとなりました。
以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度に比べ1,540百万円減少し4,194百万円となりました。
なお、当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
(資金需要)
当社グループの資金需要のうち主なものは、原材料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
(財務政策)
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、投資を目的とした資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。なお、これら運転資金及び設備を目的とした資金につきましては、国内・海外子会社のものを含め当社にて管理しております。
(d)経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは資産効率の向上、資本の有効利用及び海外への積極的な展開が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え「総資産利益率(ROA)」、「自己資本比率」及び「海外売上比率」を重要な指標として位置付けております。引き続きこれらの指標について、改善されるよう取り組んでまいります。
なお、当連結会計年度における指標の状況については以下のとおりであります。
|
指標の名称 |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
前連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比 |
|
総資産利益率(ROA) (%) |
5.1 |
5.5 |
△0.4 |
|
自己資本比率 (%) |
42.4 |
37.5 |
4.9 |
|
海外売上比率 (%) |
34.9 |
33.3 |
1.6 |
※上記指標はいずれも連結財務諸表の金額を基に作成しております。
(1)インドのEXIDE INDUSTRIES LTD.との間で、四輪車用電池及び二輪車用VRLA電池の技術援助契約を締結しております。四輪車用電池は平成17年12月1日に締結し、二輪車用VRLA電池は平成19年3月9日に締結しており、両契約とも現在継続中であります。
(2)米国のEAST PENN manufacturing co.,inc.との間で、自動車用及び産業用鉛電池にウルトラキャパシタ機能を付与したハイブリッド電池「UltraBattery」の技術援助契約を締結しております。契約期間は平成20年8月19日から17年間であります。
(3)インドのEXIDE INDUSTRIES LTD.との間で、四輪車用ISS電池の技術援助契約を締結しております。平成22年2月1日に締結し現在継続中であります。
当社及び当社の関係会社は、自動車及び各種産業用二次電池、電源及び応用機器メーカーとして、電気エネルギーの貯蔵・変換と高効率化に関する研究開発を推進し、鉛蓄電池、アルカリ蓄電池、リチウムイオン電池及びマグネシウム空気電池などの新種電池、それらの周辺機器及び電源装置の製品開発と環境対応技術の開発を行っております。また各種製品の品質・信頼性の改善並びに生産性向上とコストダウンを図るための基盤技術、生産技術、設備技術開発も積極的に実施しております。
当連結会計年度における研究開発費総額は1,543百万円であります。この中には、グループ外部からの受託研究等の費用35百万円が含まれております。受託研究等の費用を除くセグメント別の研究開発費の内訳は自動車830百万円、産業676百万円となっております。
各事業分野別の研究の目的、主要課題及び研究成果は次のとおりであります。
自動車用鉛蓄電池の分野では、顧客要求に応える現用電池の性能改善に加え、国内・海外の環境規制に対応して急速に普及・拡大しているIS(アイドリングストップ)車、マイクロハイブリッド車に適応したIS車用鉛蓄電池(キャパシタハイブリッド型鉛蓄電池「ECHNO[エクノ] IS UltraBattery」など)の性能向上、コストダウン、ラインナップ拡大による新車メーカー採用と市販展開の拡大を鋭意進めています。また、グローバル標準規格であるEN規格(欧州統一規格)対応品の開発についても鋭意進めており、平成29年5月にECHNO[エクノ] ENシリーズを発売するなど、新車メーカー採用と市販展開の拡大の成果を挙げています。
産業用蓄電池の分野では、現用電池の性能改善とコストダウンを進めるとともに、平成23年度に製品化したサイクルユース用制御弁式鉛蓄電池「FCP」シリーズと、平成25年度に製品化した次世代産業用キャパシタハイブリッド型鉛蓄電池「UltraBattery」を、風力/太陽光発電などの再生可能エネルギー分野、ピークシフト、ロードレベリングなどの電力分野のサイクル用途向けに適用できる長寿命鉛蓄電池として市場展開を進めております。平成29年度には、エコマリンパワー社の船舶用バッテリー供給業者に正式認定されるなど用途拡大を進めています。平成29年度にはまた、再生可能エネルギー併設用蓄電システムの多並列構成による大容量化要求に対応するため、当社のエフビー工場(針貝工場)に「UltraBattery」 とスタンバイとサイクルの両用途で使用可能なデュアルユースタイプのFCR 形蓄電池を用いた多並列型蓄電システムを構築し、実証及び運用ノウハウの蓄積や最適な運用技術の開発を進めました。また、株式会社九電工が実証を開始したインドネシア東部スンバ島の太陽光発電と鉛蓄電池を組み合わせたエネルギーマネジメントシステム向けに、当社サイクルユース用鉛蓄電池FCP-1000とバッテリーモニタリングユニット(BMU)を蓄電サブシステムとして開発・納入しました。
一方、厳しさを増す品質、性能、価格競争に対応するため、新JISなどの規格値を満足させつつ、電池設計の見直しや活物質の利用率向上による材料のセービングや耐久性の向上による寿命性能の改善などを図り、様々なコストダウンや基盤技術開発に精力的に取り組んでおります。更に、生産技術、設備技術開発の取り組みとして、新設備・新生産技術の導入や新材料の適用による工程品質改善、材料ロスの低減、工程屑鉛のリサイクル、工程の見える化などを継続して推進しております。
ニッケル・カドミウム蓄電池では、鉄道車両用電池の拡販のため実車試験とベンチ試験を進めています。また、顧客要求に対応した電池関連機器の新製品開発や基盤技術・生産技術の向上とコストダウンに向けた取り組みを引き続き進めております。
電源機器の分野では、電源装置の品種拡大と性能向上及び特定用途電源の開発を進めています。
リチウムイオン電池では、安全性が高く、環境負荷の低い水性ペースト式リン酸鉄リチウムイオン電池の開発を進め、スマートコミュニティ・スマートグリッド用途に向けた実証試験を継続して進めております。さらに、主として産業用途のリチウムイオンバッテリーユニットの技術展開と用途拡大を進めています。宇宙用途では、JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)と次期衛星用電池の開発を継続的に進めると共に、引き続き、小惑星探査機「はやぶさ2」、金星探査機「あかつき」の運用を支援しております。
平成29年度はまた、首都大学東京発ベンチャーとして同大学の南大沢キャンパスに、株式会社ABRI (Advanced Battery Research Institute)を設立し、首都大学東京と共同でリチウムイオン電池のさらなる高性能化と実用化を推進しております。
新規事業核、新規事業領域の取り組みとして、非常用マグネシウム空気電池「MgBOX(マグボックス)」に続き、携帯電話以外の駆動も可能な高出力電池の開発を続けています。
そのほか、コンピュータシミュレーション技術の活用では、シミュレーションによる鋳造技術向上、成形技術向上を支援すると共に、詳細な電池設計、熱分析、強度解析などの技術構築と熱流体解析ソフトの導入などを行い、新製造技術導入や製品製作前の設計段階における事前解析・品質確認、蓄電池特性の改善、鉛のセービング、工場での生産効率向上等に適用し、開発のスピードアップを図っております。