第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、以下の基本理念と行動指針からなる企業理念に沿って経営を行ってまいります。

基本理念

私たち古河電池は、常に挑戦者であり続けることをスローガンとし、公正と誠実をモットーに、株主、従業員、お客様、地域社会をはじめとする様々なステークホルダーの期待に応えるため、永年にわたり培って来た技術力を核にして、絶え間ない革新を図り、持続的な成長と中長期的企業価値の向上を目指し、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献します。

行動指針

私たちは挑戦者である。

・常に高い倫理観をもち、公正、誠実に行動します。

・あらゆる業務において革新、改革、改善に挑戦します。

・現場・現物・現実を直視し、ものごとの本質を捉えます。

・主体的に考え、互いに協力して迅速に行動し、粘り強くやり遂げます。

・組織を超えて対話を重ね、高い目標に向けて相互研鑽に努めます。

 

(2)目標とする経営指標

新たに策定した2022年度から2025年度の中期経営計画では、以下の経営指標を目標として掲げています。

指標

2021年度連結業績

2022年度連結業績予想

2025年度連結業績目標

売上高

(百万円)

62,785

70,000

83,000

営業利益

(百万円)

3,212

2,400

5,500

営業利益率

(%)

5.1

3.4

6.6

ROIC

(%)

6.4

4.5

8.0

 

上記経営指標は以下の前提条件に基づいております。

 

2021年度連結業績

2022年度連結業績予想

2025年度連結業績目標

鉛LME価格

(US$/t)

2,205

2,300

2,100

鉛建値

(千円/t)

317

336

291

為替

(円/US$)

113

120

110

 

 

(3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

1.中長期的な会社の経営戦略について

当社は中長期的にサステナブル視点で事業を強化・拡大し、お客様や社会から期待に応えられる会社となるべく、(1) SDGsの目標達成に貢献するグローバル戦略の推進、(2) 基幹事業である鉛電池での収益向上、(3) 次世代電池を含む新製品開発と新しいソリューションビジネスの立上げ、(4) サステナブル経営のための人材育成による革新力の蓄積、を基本方針と定めております。

具体的な施策として、バイポーラ型鉛蓄電池やソリューションビジネスであるESS(Energy Storage System)事業など新製品の開発・新規事業の立上げや、海外パートナーシップの拡大による事業展開に注力してまいります。

詳細は、2022年5月12日発表の「2022~2025年度 中期経営計画の策定に関するお知らせ」をご確認ください。

 

2.対処すべき課題について

今後の見通しについては、短期的には新型コロナウイルスの影響に加え、足元の原材料やエネルギー関連のコスト上昇、為替変動や半導体不足といった様々な要素が事業にネガティブな影響を及ぼす可能性があるとみられ、当社グループを取り巻く環境は厳しい状況が続くと予想されます。また長期的には鉛蓄電池などの既存事業においては国内市場の成長率が鈍化中で競争が激化するとともに、海外の新興国市場の重要性がより高まってくると予想されます。このような状況下、海外事業の拡大並びに研究開発のための人材育成を重要な課題ととらえ、様々な施策を行ってまいります。

事業別の対処すべき課題は、次のとおりであります。

自動車事業については、新興国市場においてモータリゼーションが進む一方、日本をはじめとする先進国市場においては電動化・自動化・サービス化といった業界の構造変化が進むと予想されます。このような状況下、新興国・先進国それぞれの市場において競争力のある品質やコスト、あるいは機能を実現した製品を新たに開発すること、並びに市場で拡大させるためのマーケティング力の強化を課題ととらえ、実現してまいります。

産業事業については、再生可能エネルギー関連市場やデータセンター、スマートグリッド向けなどの需要が拡大する一方、価格競争がより一層激化すると予想されます。このような状況下、バイポーラ型蓄電池などの競争力のある鉛蓄電池並びに次世代蓄電池の開発・事業化を進めることや、ソリューションビジネスとなるESS(Energy Storage System)事業の立上げを進めることを課題ととらえ、実現してまいります。

これらの取り組みを通して、古河電池グループが持てる力を最大化し、既存製品の枠を超えて事業領域を拡大させていくとともに、パートナーシップを通じて包括的で安全かつ強靭で持続可能な人々の暮らしを支えてまいります。そして、より一層必要とされ、親しまれる企業を目指してまいります。

 

3.気候変動への取り組みとTCFDへの対応

当社は、事業活動におけるCO2排出量の削減活動を進めておりますが、気候変動に関するリスク・機会が経営上の重要課題であることも認識し、TCFD提言に賛同しました。今後も蓄電池や電源製品の製造・販売、更にESS事業も新たな取組みとして加え、真に豊かで持続可能な社会の実現に向け、TCFDを活用した気候変動対策を通して地球環境の保護に努めると共に、ステークホルダーの皆様との信頼関係を強化して企業価値の向上につなげてまいります。

①ガバナンス

当社は、気候変動に関する問題を重要課題の一つとして位置づけています。代表取締役社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会を設置し、サステナビリティ及びマテリアリティに関する重要事項を審議しています。そして、審議した内容を取締役会に定期的に報告しています。

なお、サステナビリティ委員会のもとにはTCFDに関するワーキンググループを設置し、気候変動に関する取組みを管理・推進しています。

 

②戦略

当社は、気候変動に関するリスクと機会を「移行リスク」「物理リスク」「機会」の区分でシナリオ特定と評価を実施し、IPCC/RCP8.5(平均気温4℃以上上昇)とIPCC/SR1.5(平均気温上昇1.5℃以内)のシナリオとその他の社内外情報を基に事業影響や顕在可能性等を評価検討しました。

区分

分類

時期

事業への影響

対応

顕在可能性と

影響

移行

リスク

規制

短期

カーボンプライシングの導入・拡大による事業収益への影響

・太陽光発電設備を増設し使用電力の一部をグリーン電力(再生可能エネルギー)に変更することによる、CO2排出量の抑制

1.5℃シナリオ

顕在可能性:高

影響:大

 

4℃シナリオ

顕在可能性:低

影響:小

テクノ

ロジー

・市場

中期

サステナブル対応のための設備導入コストの増加による事業収益への影響

・中長期的に収益へと繋がる設備の導入、並びに工場の再構築

・電池製品の長寿命化、並びにバイポーラ型蓄電池(ESS含む)の提供

物理

リスク

慢性

長期

平均気温上昇に伴う職場環境悪化による、職場環境の維持のためのエネルギーコストの増加

・グリーン電力や低炭素設備を使用することによる、気温上昇に対応した職場環境への改善

1.5℃シナリオ

顕在可能性:中

影響:小

 

4℃シナリオ

顕在可能性:高

影響:大

急性

気候変動により異常気象が増加し、被害甚大化で調達先サプライチェーン寸断等に起因する生産停止による損失の拡大

・調達先サプライチェーン寸断対策のための調達先の複数化

・海外拠点のサプライチェーンにおいては、国外からの調達先確保の検討

機会

製品と

サービス

中期

再生可能エネルギー普及拡大による、電力安定供給に貢献できる高効率な蓄電池や蓄電システムの需要増加

・蓄電システムの外注生産検討も含めた生産性の向上

・バイポーラ型鉛蓄電池及び汎用性の高いESS製品の事業化

1.5℃シナリオ

顕在可能性:高

影響:大

 

4℃シナリオ

顕在可能性:低

影響:小

 

③リスク管理

当社は、リスクを「当社グループの事業目的の達成に重要な影響を与え得る損失の危険を伴う不確定要素」と定義しています。気候変動に関する事業活動におけるリスクをTCFD推進ワーキンググループで検討し、サステナビリティ委員会での審議、取締役会での承認を経て、リスクマネジメント委員会と連携してリスクを管理しています。

 

④指標と目標

当社は、気候変動に関する指標を温室効果ガス排出量※と定め「2030年における国内事業場のGHG排出量の削減目標を2017年度比46%減」に目標設定しました。

脱炭素社会実現へ貢献するため、CO2削減の中期計画を策定し、グリーン電力導入や低炭素設備導入などの取組みを実施し、2030年度におけるGHG排出量削減目標の達成に向け、排出量削減を含む省エネ活動を推進してまいります。

※事業活動における温室効果ガス排出量(Scope1,2)

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)為替相場の変動による影響について

①リスクの内容および経営成績、財政状態に与える影響内容

当社グループの取引には外貨による輸出・輸入が含まれており、為替相場の変動が当社グループの売上高、売上原価や営業債権、営業債務等に影響を与える可能性があります。

②顕在化の可能性および発生時期

市場動向によるため顕在化する可能性は高く、また時期については常に発生するリスクが考えられます。

③対応策

外貨での取引を行う場合で取引開始から決済まで期間が長期に及ぶなど、為替変動リスクが高い取引については、為替予約取引を行い、為替変動リスクを回避いたします。

 

(2)主要製品に使用される原材料の価格変動について

①リスクの内容および経営成績、財政状態に与える影響内容

当社グループの主要製品に使用される原材料(鉛・ニッケル)は、その価格変動率が大きく、当社グループの売上高、売上原価や営業債権、営業債務等に影響を与える可能性があります。

②顕在化の可能性および発生時期

市場動向によるため顕在化する可能性は高く、また時期については常に発生するリスクが考えられます。

③対応策

原材料の購入のうち一部についてはコモディティスワップ取引を行い、価格変動リスクを回避しており、また、一部販売先については契約に基づき販売価格を原材料の市場価格に連動させる事でリスクを回避しております。

 

(3)海外活動に潜在するリスクについて

①リスクの内容および経営成績、財政状態に与える影響内容

当社グループは、現在海外で生産・販売を行っておりますが、地域によっては政治的及び社会的リスクがあり、当社グループの売上高、売上原価および特別損失や営業債権、営業債務等に影響を与える可能性があります。

②顕在化の可能性および発生時期

一部地域については過去にクーデターが発生しており、今後も発生する可能性は高いと想定されます。また時期については常に発生するリスクが考えられます。

③対応策

グループBCP(事業継続計画)を的確に構築・実行して業務中断に伴うリスクを最小限に抑えるため、平時から準備しております。

なお、ウクライナ情勢については、経済制裁や各国規制等による営業活動への影響はあるものの当社グループの業績及び財政状態に与える影響は軽微と見込んでおります。

 

(4)債権の回収リスクについて

①リスクの内容および経営成績、財政状態に与える影響内容

当社グループは、取引先の業績悪化等により特に取引額の大きい得意先の信用状況が悪化した場合、当社グループの営業外費用や営業債権等に影響を与える可能性があります。

②顕在化の可能性および発生時期

与信管理の徹底により顕在化の可能性は低いと想定しておりますが、景気動向等により急激に可能性が高まる事も想定しております。また時期については常に発生するリスクが考えられます。

③対応策

取引先の信用リスクに対して細心の注意を払い与信管理体制を強化いたしました。

 

(5)大規模災害等の影響について

①リスクの内容および経営成績、財政状態に与える影響内容

当社グループの製造拠点は、国内では栃木県、福島県にあり、海外ではタイ、インドネシアにあります。東日本大震災では、国内の両事業所が少なからず被害を受け、タイの大洪水では、取引先企業の操業停止の影響を受け一時操業停止となりました。今後、地震や風水害などの自然災害、伝染病・感染症の流行による影響を受け、部品供給が不可能、あるいは遅延する恐れがあり、当社グループの売上高、売上原価および特別損失や営業債権、営業債務等に影響を与える可能性があります。

②顕在化の可能性および発生時期

提出日現在において、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が続いており、今後も同様の事象が発生する可能性は高く、また時期については常に発生するリスクが考えられます。

③対応策

BCPを的確に構築・実行して業務中断に伴うリスクを最小限に抑えるため、平時から準備しております。

 

(6)金利の上昇について

①リスクの内容および経営成績、財政状態に与える影響内容

当社グループの有利子負債には、金利変動の影響を受けるものが含まれております。したがって、金利上昇により支払利息が増加する可能性があります。

②顕在化の可能性および発生時期

市場動向によるため顕在化する可能性は高く、また時期については常に発生するリスクが考えられます。

③対応策

返済期間が長期間になる場合等、金利変動リスクが高い取引については、金利スワップ取引を行い金利変動リスクを回避いたします。

 

(7)資産について

①リスクの内容および経営成績、財政状態に与える影響内容

当社グループが保有する資産の一部については時価や事業計画から算定された将来キャッシュ・フローに基づく会計上の見積りにより計上されており、市況や事業環境の悪化によって、当社グループが保有する資産の市場価格が著しく低下する場合や事業計画が達成出来ない場合等においては減損損失や引当金の計上等により当社グループの経営成績、財政状態に影響を与える可能性があります。

②顕在化の可能性および発生時期

市場動向や事業計画の状況によるため顕在化する可能性は高く、また時期については常に発生するリスクが考えられます。なお、インドネシア子会社においては営業損失の状態が続いており、保有する資産の減損損失の兆候を識別しております。

③対応策

市場動向や事業計画の進捗状況について定期的なモニタリングを行っており、早期の兆候把握に努めております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当社グループの売上高は前期比2,827百万円(4.7%)増加し62,785百万円となりました。

営業利益は前期比1,184百万円減少し3,212百万円(前期は営業利益4,397百万円)、経常利益は前期比1,085百万円減少し3,394百万円(前期は経常利益4,480百万円)となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は前期比222百万円増加し3,837百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益3,614百万円)となりました。

 

②財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」という)に比べて2,995百万円増加し60,681百万円となりました。

当連結会計年度末の負債の合計は、前期末比557百万円増加の26,855百万円となりました。

当連結会計年度末における純資産は、前期末比2,437百万円増加して33,826百万円となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、4,257百万円のプラスとなりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、808百万円のマイナスとなりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、2,075百万円のマイナスとなりました。

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度に比べ1,393百万円増加し10,169百万円となりました。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

自動車(百万円)

42,819

8.6

産業(百万円)

18,793

11.1

不動産(百万円)

報告セグメント計(百万円)

61,612

9.4

その他(百万円)

合計(百万円)

61,612

9.4

(注)金額は標準販売価格により表示しております。

 

b.受注実績

 当社グループは、主力製品である自動車用蓄電池について、主として見込生産を行っているため、受注高、受注残高について特記すべき事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

自動車(百万円)

43,812

3.7

産業(百万円)

18,605

7.3

不動産(百万円)

302

△17.1

報告セグメント計(百万円)

62,720

4.6

その他(百万円)

65

573.3

合計(百万円)

62,785

4.7

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

General Motors Overseas Distribution Corporation

6,294

10.5

6,622

10.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積もりに用いた仮定のうち重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)経営成績の分析

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響やウクライナ情勢等による原材料価格の上昇などにより依然として厳しい状況にあります。

先行きについては、感染症の影響やウクライナ情勢等の不透明感が見られる中で、さらなる原材料価格の上昇や金融資本市場の変動等の下振れリスクがあると想定されます。

我が国経済においても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止策を講じるなかで、各種政策効果などにより一部持ち直しの動きが見られますが、依然として厳しい状況にあります。

また先行きについても、世界経済と同様に感染症の影響やウクライナ情勢などにより景気はさらに下振れするリスクがあると想定されます。

蓄電池業界においては、自動車分野は新興国市場においてモータリゼーションが進む一方で、日本をはじめとする先進国市場においては電動化・自動化・サービス化といった業界の構造変化が進んでおります。

産業分野においては再生可能エネルギー関連市場やデータセンター向け、スマートグリッド向け等の需要が拡大しております。

先行きについては、短期的には感染症の流行やウクライナ情勢などによりサプライチェーンに影響を与え、自動車・産業ともに厳しい状況となる事が想定されます。

当社グループにおいては、「海外拠点の安定成長」「次世代電池を含む新商品開発を通じたビジネス創出」「基幹事業としての鉛蓄電池事業の収益向上」「人財育成による革新力の蓄積」を重点施策に定め、中長期的企業価値の向上を目指し推進するとともに、感染症に対しては、各拠点での定期的な消毒やテレワーク等の感染拡大防止策を柔軟に実施する事で事業の継続に努めました。

(経営成績)

当社グループの売上高は前期比2,827百万円(4.7%)増加し62,785百万円となりました。これは、主に自動車向けの販売が堅調に推移した事によります。このうち海外売上高は20,705百万円となり、売上高全体の33.0%となりました。

損益面につきましては、営業利益は国内外での販売は堅調に推移したものの、主な原材料である鉛等の価格上昇などにより前期比1,184百万円減少し3,212百万円(前期は営業利益4,397百万円)、経常利益は前期比1,085百万円減少し3,394百万円(前期は経常利益4,480百万円)となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は前期比222百万円増加し3,837百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益3,614百万円)となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、従来の方法と比較して、当連結会計年度の売上高は2,509百万円減少し、営業利益は92百万円減少し、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ73百万円減少しております。

詳細については、「5.連結財務諸表及び主な注記(5)連結財務諸表に関する注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 

セグメント別の状況は以下の通りです。

なお、セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高または振替高2,081百万円を含み、セグメント利益は営業利益(のれん償却前)ベースの数値であります。

自動車の売上高は前期比1,040百万円(2.4%)増の45,015百万円、セグメント利益は前期比912百万円(29.5%)減の2,181百万円となりました。これは、主に国内外で販売は堅調に推移したものの主な原材料である鉛等の価格上昇などにより利益率が減少した事によります。

産業の売上高は前期比1,095百万円(6.2%)増の18,708百万円となりました。セグメント利益は前期比41百万円(3.8%)増の1,127百万円となりました。これは、主に民間の設備投資が回復してきた事により販売が堅調に推移した事によります。

不動産の売上高は前期比62百万円(16.1%)減の322百万円、セグメント利益は前期比67百万円(36.4%)減の118百万円となりました。

その他の売上高は27百万円(3.5%)増の820百万円、セグメント損失は214百万円(前期はセグメント利益31百万円)となりました。これは、主に新規事業の稼働準備費用となります。

 

(b)財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」という)に比べて2,995百万円増加し60,681百万円となりました。流動資産は、前期末比3,524百万円増加し32,548百万円となり、固定資産は、前期末比529百万円減少し28,133百万円となりました。

流動資産増加の主な要因は、現金及び預金、商品及び製品の増加などによるものであります。

固定資産のうち、有形固定資産は、前期末比41百万円減少し23,081百万円となりました。この減少の主な要因は、減価償却の金額が固定資産の取得を上回った事等によるものであります。

投資その他の資産は、前期末比938百万円減少し4,268百万円となりました。

当連結会計年度末の負債の合計は、前期末比557百万円増加し26,855百万円となりました。

流動負債は、前期末比1,762百万円増加し16,451百万円、固定負債は、前期末比1,204百万円減少し10,404百万円となりました。

有利子負債(短期借入金及び長期借入金の合計額)は、前期末比1,003百万円減少し5,075百万円となりました。

また、当連結会計年度末における自己資本は、前期末比2,437百万円増加し32,546百万円となり、自己資本比率は、前期末の52.2%から53.6%となりました。

 

(c)キャッシュ・フローの分析

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が4,915百万円、減価償却費が2,747百万円、利息及び法人税等の支払額1,516百万円などにより全体としては4,257百万円のプラスとなりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出2,080百万円などにより808百万円のマイナスとなりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出1,682百万円などにより2,075百万円のマイナスとなりました。

以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度に比べ1,393百万円増加し10,169百万円となりました。

なお、当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

(資金需要)

当社グループの資金需要のうち主なものは、原材料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

(財務政策)

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、投資を目的とした資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。なお、これら運転資金及び設備を目的とした資金につきましては、国内・海外子会社のものを含め当社にて管理しております。

 

(d)経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

新たに策定した2022年度から2025年度の中期経営計画では、以下の経営指標を目標として掲げています。

指標

2021年度連結業績

2022年度連結業績予想

2025年度連結業績目標

売上高

(百万円)

62,785

70,000

83,000

営業利益

(百万円)

3,212

2,400

5,500

営業利益率

(%)

5.1

3.4

6.6

ROIC

(%)

6.4

4.5

8.0

 

上記経営指標は以下の前提条件に基づいております。

 

2021年度連結業績

2022年度連結業績予想

2025年度連結業績目標

鉛LME価格

(US$/t)

2,205

2,300

2,100

鉛建値

(千円/t)

317

336

291

為替

(円/US$)

113

120

110

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)インドのEXIDE INDUSTRIES LTD.との間で、四輪車用電池及び二輪車用VRLA電池の技術援助契約を締結しております。四輪車用電池は2005年12月1日に締結し、二輪車用VRLA電池は2007年3月9日に締結しており、両契約とも現在継続中であります。

 

(2)米国のEAST PENN manufacturing co.,inc.との間で、自動車用及び産業用鉛電池にウルトラキャパシタ機能を付与したハイブリッド電池「UltraBattery」の技術援助契約を締結しております。契約期間は2008年8月19日から17年間であります。

 

(3)インドのEXIDE INDUSTRIES LTD.との間で、四輪車用ISS電池の技術援助契約を締結しております。2010年2月1日に締結し現在継続中であります。

 

5【研究開発活動】

当社及び当社の関係会社は、自動車及び各種産業用二次電池、電源及び応用機器メーカーとして、電気エネルギーの貯蔵・変換と高効率化に関する研究開発を推進し、鉛蓄電池、アルカリ蓄電池、リチウムイオン電池及びマグネシウム空気電池、それらの周辺機器及び電源装置の新製品、新技術、新プロセス、要素・基盤技術、次世代蓄電池技術、環境対応技術の開発を行っております。

また、各種製品の品質・信頼性の改善並びに生産性向上とコストダウンを図るための基盤技術、生産技術、設備技術の開発も積極的に実施しております。

さらに、これらの研究開発活動を通して環境配慮型製品の開発と提供、省エネ生産プロセスの開発を推進し、SDGs達成に貢献する事業活動の一翼を担っております。

当連結会計年度における研究開発費総額は1,943百万円であります。この中には、グループ外部からの受託研究等費用18百万円が含まれております。受託研究等の費用を除くセグメント別の研究開発費の内訳は自動車1,020百万円、産業905百万円となっております。

各事業分野別の研究の目的、主要課題及び研究成果は次のとおりであります。

自動車用鉛蓄電池の分野では、顧客要求に応える現用電池の性能改善(「Altica[アルティカ]」シリーズ)、国内・海外の環境規制に対応して急速に普及・拡大しているIS(アイドリングストップ)車に適応したIS車用鉛蓄電池(「ECHNO[エクノ] IS UltraBattery」、「ECHNO[エクノ] IS」など)やグローバル標準規格であるEN規格(欧州統一規格)対応品「ECHNO[エクノ] ENシリーズ」の性能向上・コストダウン・ラインナップ拡大を進め、国内・海外の新車メーカー採用の拡大と市販展開の拡大を鋭意進めております。2021年は、「ECHNO[エクノ] ENシリーズ」をリニューアルし、IS 車をターゲットとしたECHNO[エクノ] EN Premiumシリーズ(LN0, LN1 を除く)、通常車・HV 車をターゲットとしたECHNO[エクノ] EN High Gradeシリーズの 2 シリーズをラインアップすることで、顧客要求に幅広く対応しております。

産業用蓄電池の分野では、現用電池の性能改善とコストダウンを進めると共に、カーボンニュートラルの実現に資する系統運用、太陽光・風力発電電力需給調整用蓄電池として、サイクルユース用制御弁式鉛蓄電池「FCP」シリーズと、産業用キャパシタハイブリッド型鉛蓄電池「UltraBattery」の市場展開と拡販を進めております。系統安定化用の市場ニーズとしては、“寿命20年”というこれまでにない高い寿命性能が求められており、これに応えるため、2021年度は、すでに開発したFCP-1000S型に続き、このような用途に最適で大規模な系統安定化用サイクル電池FCP-500S型を開発しました。

そして、再生可能エネルギー導入時に課題とされる出力変動抑制に寄与する次世代型高性能電力貯蔵用蓄電池として、バイポーラ型鉛蓄電池の開発を進めており、2021年度は、古河電気工業と共に実証用電池の供給に向けた取組を進めました。

ニッケル・カドミウム蓄電池では、鉄道車両用電池の性能向上と拡販のため実車試験とベンチ試験を進めています。また、顧客要求に対応した新形電池及び電池関連機器の新製品開発や基盤技術・生産技術の向上とコストダウンに向けた取り組みを引き続き進めております。

電源機器の分野では、電源装置の品種拡大と性能向上及び特定用途電源の開発を進めております。2021年度は、系統安定化用などサイクルユース用鉛蓄電池の需要の高まりを受けて、既に製品化している鉛蓄電池のSOC(充電状態)を把握するBMU(Battery Monitoring Unit)の運用上の課題改善を進め、設置レイアウトの自由度を向上させるセンサHUB 延長基板を開発しました。また、新型電流・電圧センサに対応した、SIU(String sensor Interface Unit)を開発し、BMUの性能向上とコストダウンを両立させた取り組みを進めております。

一方、厳しさを増す品質、性能、価格競争に対応するため、各種の規格値を満足させつつ、電池設計の見直しや活物質の利用率向上による材料のセービング及び耐久性の向上による寿命性能の改善を図るなど、様々なコストダウンや基盤技術開発に精力的に取り組んでおります。更に、生産技術開発、設備技術開発の取り組みとして、新設備・新生産技術の導入や新材料の適用による工程品質改善、材料ロスの低減、工程屑鉛のリサイクル、工程の見える化、省エネ工程プロセスの開発などを継続して推進しております。

リチウムイオン電池では、これまで進めてきた産業用リチウムイオンバッテリーユニットの開発と技術展開、用途拡大に加え、マクセル株式会社より承継した積層ラミネート型リチウムイオン電池事業を拡大するため、産業用向け電池システムと電池パックの製品化と高性能化開発を進めております。2021年度は、ドローン用及びロボット用インテリジェントリチウムイオン電池パックと標準充電器を製品化しました。

宇宙用途では、JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)と小型月着陸実証機(SLIM)など次期衛星用電池の開発を継続的に進めると共に、引き続き、小惑星探査機「はやぶさ2」、金星探査機「あかつき」、及び水星磁気圏探査機「みお」の運用を支援しております。

2017年度に当社100%子会社として設立した東京都立大学発ベンチャー株式会社ABRI (Advanced Battery Research Institute)では、三次元規則配列多孔質(3DOM)構造ポリイミドセパレータを用いたリチウム金属負極のサイクル特性向上、及びグラフェンを用いた高性能正極材料の研究など、次世代電池の実用化を目指して研究開発を進めております。

新規事業核、新規事業領域の取り組みとして、非常用・防災用マグネシウム空気電池「MgBOX(マグボックス)」、「MgBOX slim(マグボックス スリム)」の用途拡大に取り組んでおります。

そのほか、コンピュータシミュレーション技術の活用では、シミュレーションによる鋳造技術向上、成形技術向上を支援すると共に、詳細な電池設計、熱分析、強度解析などの技術構築と熱流体解析ソフトの導入などを行い、新製造技術導入や製品製作前の設計段階における事前解析・品質確認、3Dプリンタによる3DCAD設計の試作造形、蓄電池特性の改善、鉛のセービング、工場での生産効率向上等に適用し、開発のスピードアップを図っております。