名称 株式会社AP78
所在地 東京都港区虎ノ門四丁目1番28号虎ノ門タワーズオフィス17階
普通株式
(1)本公開買付けに関する意見の内容
当社は、2024年7月23日開催の当社取締役会において、下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、同日時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をしておりました。
当社は上記取締役会において、本公開買付けが開始される際に、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載のとおり、本特別委員会(下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」において定義します。以下「本特別委員会」の記載において同じとします。)に対して、本特別委員会が2024年7月23日付で当社取締役会に対して提出した答申書(以下「2024年7月23日付答申書」といいます。)の意見に変更がないか否かを検討し、当社取締役会に対し、従前の意見に変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べること、及びかかる意見を踏まえ、本公開買付けが開始される時点で、改めて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議しておりました。そして、今般、当社は、公開買付者から、タイにおける競争法に基づく手続及び対応が2025年1月30日に完了し、2025年7月2日をもって本公開買付けの開始に向けて取得が必要となる日本の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了(注1)したことから、2025年7月4日、その他の一定の事項(注2)(以下「本前提条件」といいます。)が充足されることを前提に、2025年8月8日を本公開買付けの開始日として本公開買付けを開始したい旨の連絡を受け、本特別委員会は、当社に対して、2024年7月23日以後、本取引(下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」において定義します。以下「本取引」の記載において同じとします。)に影響を及ぼし得る重要な状況変化が発生しているか否かに関する事実関係の確認等を行い、上記諮問事項について検討を行った結果、2024年7月23日以後、①バイポーラ型鉛蓄電池の開発中止(注3)及び②非常用バッテリー(産業用FLH1220SL 小型鉛蓄電池)の一部ロットにおける液漏れ(以下「本漏液問題」といいます。)が発生し、これにより、当社は、2025年3月期決算において、本漏液問題に対する保証費用として製品保証費用1,858百万円を特別損失に計上したことを含む2025年8月7日までの事情を勘案しても2024年7月23日付で当社取締役会に対し行った答申内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2025年8月7日に、委員全員の一致の決議により、当社取締役会に対して、上記答申内容を変更する必要はないものと考える旨及び当社取締役会における本取引の実施についての決定は一般株主にとって公正なものであると思料する旨の答申書(以下「2025年8月7日付答申書」といいます。)を提出しました。
その上で、当社は、本特別委員会から提出された2025年8月7日付答申書の内容を最大限尊重しながら、当社の業況や本取引を取り巻く環境を踏まえ、本公開買付けを含む本取引の一連の手続及び本取引に関する諸条件について改めて慎重に検討を行った結果、2025年8月7日現在においても、2024年7月23日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断したことから、2025年8月7日開催の当社取締役会において、下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載の過程及び理由に基づき、改めて、本公開買付けに対して賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨を決議いたしました。本特別委員会の委員の構成及び具体的な活動内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び意見の入手」をご参照ください。
上記の各当社取締役会決議は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載の方法により決議されております。
(注1) 日本及びタイの競争法に基づき必要な手続及び対応が履践され、待機期間が経過していること、並びに禁止命令、排除措置命令その他これらに類する措置又は当該措置の実施に係る手続が講じられていないことをいうとのことです。なお、2024年7月23日以降、事実関係及び法令の適用について改めて検討をした結果、日本の法律事務所の助言に基づき、同日時点で本取引につき必要になると考えていた外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号。その後の改正を含みます。以下「外為法」といいます。)上の手続は不要と判断したとのことです。
(注2) 公開買付者によれば、(a)本特別委員会において、当社取締役会が本公開買付けに賛同し、株主による応募を推奨する旨の意見表明に係る決議を行うことについて肯定的な内容の答申が適法かつ有効になされ、これが法令に従って公表されており、かつ、当該答申が変更若しくは撤回されておらず、これと矛盾する内容のいかなる答申もなされていないこと、(b)当社取締役会により、本公開買付けに賛同し、株主による応募を推奨する旨の意見表明に係る決議がなされ、これが法令等に従って公表されており、かつ、かかる決議が変更若しくは撤回されておらず、これと矛盾する内容のいかなる決議も行われていないこと、(c)本取引のいずれかの実行を制限又は禁止する国内外の司法・行政機関等の判断等がなされておらず、かつ、そのおそれもないこと、(d)本不応募契約(下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」において定義します。以下「本不応募契約」の記載において同じとします。)に基づき当社の親会社である古河電気工業株式会社(以下「古河電気工業」といいます。)が履行又は遵守すべき義務が重要な点において全て履行又は遵守されていること、(e)本不応募契約に定める古河電気工業による表明及び保証がいずれも重要な点において真実かつ正確であること、(f)国内外の競争法その他の規制法上のクリアランスの取得が完了していること、(g)当社から、当社に係る業務等に関する重要事実(法第166条第2項に定めるものをいいます。)並びに当社の株券等の公開買付け等の実施に関する事実及び中止に関する事実(法第167条第2項に定めるものをいいます。)で当社が公表(法第166条第4項又は法第167条第4項に定めるものをいいます。)していないものが存在しない旨の確認が得られていること、(h)本不応募契約締結日以降、法令等上、公開買付者が本公開買付けを撤回することができる事由が生じていないこと、(i)当社と公開買付者との間で、本覚書(下記「(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「② 本覚書」において定義します。以下「本覚書」の記載において同じとします。)が有効に締結され、かつ存続していること、並びに、本覚書に定める当社の表明及び保証がいずれも重要な点において真実かつ正確であることが見込まれており、かつ、当社が本覚書に基づき履行又は遵守すべき義務が全ての重要な点において履行又は遵守されていること、(j)当社と古河電気工業の間で、本付随契約(下記「(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「④ 本付随契約」において定義します。以下「本付随契約」の記載において同じとします。)が有効に締結され、かつ存続していること、(k)本株主間契約(下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」において定義します。以下「本株主間契約」の記載において同じとします。)が有効に締結され、かつ存続していること、並びに、古河電気工業が本株主間契約に基づき履行又は遵守すべき義務(なお、公開買付者によれば、本前提条件となる義務としては、秘密保持その他の一般条項に基づく義務が想定されているとのことです。)が全ての重要な点において履行又は遵守されていること、(l)当社並びにその子会社及び関連会社(以下「当社グループ」といいます。)全体の事業、財務状況、経営状況、資産、負債又はキャッシュ・フローに短期的でなく重大な悪影響を及ぼすおそれのある具体的な事由又は事象が生じていないこと、及び(m)本取引実行後において、当社の株主が公開買付者以外に存在しないこと(但し、当社を除きます。)が合理的に確実と見込まれることを本公開買付け開始の前提条件としているとのことです。
(注3) 「バイポーラ型鉛蓄電池」とは、1枚の電極基板の表と裏にそれぞれ正極と負極があり、その間に電解質を含んだセパレータを介してバイポーラ電極を積層する構造を有した次世代型鉛蓄電池をいいます。なお、2025年3月27日付「古河電池、「バイポーラ型蓄電池」量産化の中止を決定」で公表いたしましたとおり、これまでの量産化の検討の中で、当初想定していた性能の達成が困難であること、鉛を始めとした原材料価格が高騰していること、競争環境の激化等により収益性を確保した量産が困難であることが判明したことから、バイポーラ型鉛蓄電池の量産化に向けた取り組みを中止しております。
(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由
本公開買付けに関する意見の根拠及び理由のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。
① 本公開買付けの概要
公開買付者は、本公開買付けを通じて当社株式を取得及び所有することを主たる目的として、2024年2月2日に設立された株式会社とのことです。本書提出日現在、公開買付者は、サステナブル・バッテリー・ホールディングス株式会社(以下「公開買付者親会社」といいます。)の完全子会社であり、公開買付者親会社の発行済株式については、(ⅰ)株式会社アドバンテッジパートナーズ(以下「AP」といいます。)が投資関連サービスを提供するファンド(以下、総称して「APファンド」といいます。)が71.96%(議決権割合:85.04%)、(ⅱ)東京センチュリー株式会社(以下「TC」といいます。)の完全子会社であるTCインベストメント・パートナーズ株式会社(以下「TCIP」といい、公開買付者、公開買付者親会社、AP、APファンド、TC、TCIPを総称して「公開買付者ら」といいます。)が19.98%(議決権割合:14.89%)、(ⅲ)古河電気工業が8.00%(議決権割合:0.00%)、及び(ⅳ)公開買付者親会社の経営陣である個人株主が0.06%(議決権割合:0.07%)をそれぞれ所有しているとのことです。
APファンド、TC、TCIP及び古河電気工業は、公開買付者を通じた本取引の実施及び当社の運営に関する諸条件等に関する株主間契約(以下「本株主間契約」といいます。)を2025年8月1日付で締結しており、本株主間契約において、APファンド及びTCIPは、本公開買付けの成立後、本公開買付けに係る決済の開始日の前営業日までに公開買付者親会社に対する出資(以下「本親会社出資」といいます。)を実施し、また、古河電気工業は、本自己株式取得の完了後速やかに公開買付者親会社に対する出資(以下「本古河電気工業出資」といいます。)を実施することを合意しているとのことです。本親会社出資及び本古河電気工業出資が完了した後の公開買付者親会社の株式所有割合は、APファンドが約60%、TCIPが約20%、古河電気工業が約20%、公開買付者親会社の経営陣である個人株主が0.06%未満となる見込みであり、古河電気工業は、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の一連の手続を経て、当社を完全子会社化することを企図した一連の取引(以下「本取引」といいます。)の完了後も、公開買付者親会社の株式の所有を通じて、当社株式の約20%を間接所有する予定とのことです(注1)。
(注1) APファンド及びTCIPが実施する本親会社出資及び本古河電気工業出資の前提となる公開買付者親会社の1株当たり株式価値は、いずれも同一の価格を前提としているとのことです。また、公開買付者親会社の1株当たりの払込金額を決定する前提となる公開買付者親会社の企業価値評価における(公開買付者親会社が公開買付者を通じて間接的に所有する)当社株式の価値は、本取引における当社の株式価値と同額としており、本古河電気工業出資によって古河電気工業を少数株主と比して有利に取り扱うものではないとのことです。
なお、公開買付者親会社の経営陣である個人株主は、継続して経営に関与することを予定しており、本取引が完了した後も、引き続き公開買付者親会社の株式を所有する予定とのことです。公開買付者によれば、本取引が完了した後の公開買付者親会社の株式所有割合については、APは数多くの投資実績と投資先企業の価値向上のノウハウを有していること、TCIPの親会社であるTCは「金融・サービス・事業」を融合させたビジネスの知見と広範な顧客基盤を有していること、更に古河電気工業は当社の事業パートナーでもあることを踏まえ、各社独自の強みを融合させ、当社との協業を推進するための最適な出資構成として、APが過半数の議決権を持ち、TC及び古河電気工業が持分法適用関連会社として継続支援することが適当であるという考えのもと、本親会社出資及び本古河電気工業出資が完了した後の公開買付者親会社の株式所有割合は維持される見込みとのことです。また、公開買付者、APファンド、TCIP及び公開買付者親会社の経営陣である個人株主は、本書提出日現在、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)プライム市場に上場している当社株式を所有していないとのことですが、当社の親会社である古河電気工業は、当社株式18,781,200株(所有割合(注2):57.30%)を所有しているとのことです。
(注2) 「所有割合」とは、当社が2025年8月7日付で公表した「2026年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(以下「当社決算短信」といいます。)に記載の2025年6月30日現在の当社の発行済株式総数(32,800,000株)から、当社決算短信に記載の同日現在の当社が所有する自己株式数(22,436株)を控除した株式数(32,777,564株、以下「本基準株式数」といいます。)に対する割合をいい、その計算において小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の計算において同じとします。
APは、1997年に日本で最初のバイアウト専用ファンドに対して投資関連サービス提供を開始して以降、日本のプライベート・エクイティ投資市場の黎明期から市場の立上げを担ってきた国内独立系サービスプロバイダーであるとのことです。AP及びそのグループ会社(以下「APグループ」といいます。)は、それぞれが投資関連サービスを提供するファンドを通じて、日本の企業を対象としたバイアウトファンド(注3)、アジアの企業を対象としたバイアウトファンド、マイノリティ投資(注4)を通して上場企業の成長支援を行うプライベートソリューションズファンド(注5)、水素バリューチェーンに関連する国内外の資産や企業への投資を行う水素ファンドの運営を行っているとのことです。APは、28年間の活動を通じて、サービス提供先である国内企業を主な投資対象とするバイアウトファンドによる累積で約70件以上の投資実績と内部に蓄積された各種ノウハウ、そして多数の投資案件を通じて培った企業価値向上に関する豊富な経験や知見を有する人材群が大きな強みと考えており、「ファンド投資先企業を、ファンドから離れた後も強く競争力を保ち、地球環境問題や社会的課題の解決に貢献しながら永続的に成長する企業へと発展させる」、「単にファンドとその投資家に価値提供をするに留まらず、他の株主、従業員・家族、取引先、金融機関等、全ての関係者がファンドの投資を通して経済価値を享受できるよう、投資実行のプロセス、投資後の経営プロセスをサポートする」を理念として活動を行っているとのことです。APにおける2022年以降の国内のバイアウトファンドの投資実績としては、ホリゾンタルDX、バーティカルDX及びカスタマーエンゲージメント事業を行うスパイラル株式会社、保険代理店関連事業を行う株式会社NFCホールディングス、貴金属地金・ダイヤモンド・宝飾品・ブランド時計等の買取・販売、オークション運営を行う株式会社ネットジャパン、プラスチック成形・二次加工事業を行う大宝工業株式会社、コインパーキング事業を行うエコロシティ株式会社、左官材・タイル材等の湿式建材の製造販売を行う日本化成株式会社、化粧品企画製造販売業を行う株式会社クオリティファースト、製錬・資源事業を行う東邦亜鉛株式会社、システム建築事業を行うスペースバリューホールディングス株式会社、屋内足場・台車等の建設用軽仮設機材に特化した卸レンタル事業を行う株式会社アクトワンヤマイチへの投資があげられるとのことです。
(注3) 「バイアウトファンド」とは、投資家から集めた資金で企業の議決権の一定以上(多くは過半数)を取得し、企業価値を高めた上で株式を売却することで資金を回収し、投資家に利益配分することを目的としたファンドを指します。
(注4) 「マイノリティ投資」とは、投資対象となる企業の株式を議決権の過半数を超えない範囲で取得する投資を指します。
(注5) 「プライベートソリューションズファンド」においては、投資家に利益配分することを目的としている点はバイアウトファンドと同様ですが、投資戦略が異なり、上場企業の株式を上場を維持したまま取得するとともに経営陣と一体となって企業価値向上に取り組む投資戦略を採っております。
TCは、リースを祖業とするセンチュリー・リーシング・システム株式会社(1969年7月設立)及び、同じくリースを祖業とする東京リース株式会社(1964年8月設立)が、2009年4月に合併によりできた会社ですが、その後、ポートフォリオを変革し、従来型リースから「金融・サービス企業」へと進化させ、現在、国内外のパートナー企業との共創による「金融×サービス×事業」を融合したビジネスモデルを展開しているとのことです。広範な顧客基盤を有する「国内リース事業分野」、法人・個人向けオートリースにレンタカーを擁する「オートモビリティ事業分野」、航空機事業や不動産事業、事業投資等を通じて成長を牽引する「スペシャルティ事業分野」、世界30以上の国と地域に拠点網を有する「国際事業分野」、国内外で再生可能エネルギー関連事業を手掛ける「環境インフラ事業分野」の5つの分野で事業を展開し、幅広い事業領域で社会課題の解決に貢献する独自の金融・サービスを提供しているとのことです。また、APグループとの戦略的提携に基づき、APグループの統括会社であるAdvantage Partners Pte. Ltd.の株式の一部を保有し、事業投資におけるパートナーとして協業を推進しているとのことです。
公開買付者は、2024年7月23日付「株式会社AP78による当社株式に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」(以下「2024年7月23日付当社プレスリリース」といいます。)にて公表しておりましたとおり、本前提条件が充足された場合(又は公開買付者により放棄された場合)、本取引の一環として、本公開買付けを実施することを決定していたとのことです。具体的には、本取引は、(a)本公開買付け、(b)公開買付者が本公開買付けにおいて当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び古河電気工業が所有する当社株式18,781,200株(所有割合:57.30%)(以下「古河電気工業売却予定株式」といいます。)を除きます。)を取得できなかった場合に当社が行う本株式併合(下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」において定義します。以下「本株式併合」の記載において同じとします。)を通じて、当社の株主を公開買付者及び古河電気工業のみとすること、(c)古河電気工業が所有する全ての当社株式を当社が取得すること(以下「本自己株式取得」といいます。)、(d)本古河電気工業出資により構成され、最終的に、公開買付者が当社を完全子会社化することを企図しているとのことです。
その後、公開買付者は、本公開買付けの実施に向けて、国内外(日本及びタイ)の競争法に基づく必要な手続及び対応を進めていたとのことですが、当社が2025年3月27日付で公表した「(開示事項の経過)株式会社AP78による当社株式に対する公開買付け実施に向けた進捗状況のお知らせ」及び同年6月20日付で公表した「(開示事項の経過)株式会社AP78による当社株式に対する公開買付け実施に向けた進捗状況のお知らせ」においてお知らせいたしましたとおり、両日時点で、日本及びタイの競争法に基づく本公開買付けの実施のために必要な手続及び対応のうち、日本における競争法に基づき必要な手続及び対応が完了していなかったとのことです。そして、2025年6月30日、本公開買付けによる当社株式の取得(以下「本株式取得」といいます。)に関する計画の届出(以下当該届出を「事前届出」といいます。)を行い、当該事前届出は同日付で受理されたとのことです。また、2025年7月2日付で公正取引委員会より「排除措置命令を行わない旨の通知書」及び「禁止期間の短縮の通知書」を受領し、日本における競争法に基づき必要な手続及び対応が完了したとのことです。そのため、公開買付者は、2025年7月4日、その他の本前提条件が充足されることを前提に2025年8月8日を本公開買付けの開始日として本公開買付けを開始したい旨を当社に対して連絡したとのことです。
当社は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載のとおり、本公開買付けが開始される際に、本特別委員会に対して、2024年7月23日付答申書の意見に変更がないか否かを検討し、当社取締役会に対し、従前の意見に変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べること、及びかかる意見を踏まえ、本公開買付けが開始される時点で、改めて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議しておりました。そして、今般、当社は、公開買付者から、タイにおける競争法に基づく手続及び対応が2025年1月30日に完了し、2025年7月2日をもって本公開買付けの開始に向けて取得が必要となる日本の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことから、2025年7月4日、その他の本前提条件が充足されることを前提に、2025年8月8日を本公開買付けの開始日として本公開買付けを開始したい旨の連絡を受け、本特別委員会は、当社に対して、2024年7月23日以後、本取引に影響を及ぼし得る重要な状況変化が発生しているか否かに関する事実関係の確認等を行い、上記諮問事項について検討を行った結果、2024年7月23日以後、当社においては、①バイポーラ型鉛蓄電池の開発中止及び②本漏液問題を含む2025年8月7日までの事情を勘案しても2024年7月23日付で当社取締役会に対し行った答申内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2025年8月7日に、委員全員の一致の決議により、当社取締役会に対して、上記答申内容を変更する必要はないものと考える旨及び当社取締役会における本取引の実施についての決定は一般株主にとって公正なものであると思料する旨の2025年8月7日付答申書を提出しました。
このような中、今般、公開買付者は、以下の方法により、本前提条件がいずれも充足され本公開買付けを開始する条件が整ったことを確認したことから、本公開買付けを2025年8月8日より開始することとしたとのことです。なお、当社が所有する自己株式数は、2024年3月31日時点の22,332株から2025年6月30日時点の22,436株に変動があったことから、2024年7月23日付当社プレスリリースにおいてお知らせいたしました買付予定数の下限(3,070,600株)を3,070,500株に変更しており、また、本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)について2024年7月23日付当社プレスリリースにおいて20営業日と設定する予定とお知らせいたしましたところ、公開買付期間は21営業日に設定している一方で、その他の本公開買付けの内容や条件に変更はないとのことです。
(a)公開買付者は、当社より、2025年8月7日時点において、本特別委員会において、当社の取締役会が本公開買付けに賛同し、株主による応募を推奨する旨の意見表明に係る決議を行うことについて肯定的な内容の答申が適法かつ有効になされ、これが法令に従って公表されており、かつ、当該答申が変更若しくは撤回されておらず、これと矛盾する内容のいかなる答申もなされていない旨の報告を受け、本前提条件(a)の充足を確認したとのことです。
(b)公開買付者は、当社より、2025年8月7日時点において、当社の取締役会により、本公開買付けに賛同し、株主による応募を推奨する旨の意見表明に係る決議がなされ、これが法令等に従って公表されており、かつ、かかる決議が変更若しくは撤回されておらず、これと矛盾する内容のいかなる決議も行われていない旨の報告を受け、本前提条件(b)の充足を確認したとのことです。
(c)公開買付者は、当社より、2025年8月7日時点において、本取引のいずれかの実行を制限又は禁止する国内外の司法・行政機関等の判断等がなされておらず、かつ、そのおそれもない旨の報告を受け、かつ、公開買付者としても、本取引のいずれかの実行を制限又は禁止する国内外の司法・行政機関等の判断等は認識していないことから、本前提条件(c)の充足を確認したとのことです。
(d)公開買付者は、古河電気工業より、本不応募契約に基づき古河電気工業が履行又は遵守すべき義務が重要な点において全て履行又は遵守されている旨の報告を受け、かつ、公開買付者としても、本不応募契約に基づき古河電気工業が履行又は遵守すべき義務の違反は認識していないことから、本前提条件(d)の充足を確認したとのことです。
(e)公開買付者は、古河電気工業より、2025年8月7日時点において、本不応募契約に定める古河電気工業による表明及び保証がいずれも重要な点において真実かつ正確である旨の報告を受け、かつ、公開買付者としても、本不応募契約に定める古河電気工業による表明及び保証の違反は認識していないことから、本前提条件(e)の充足を確認したとのことです。
(f)公開買付者は、上記のとおり、国内外の競争法その他の規制法上のクリアランスの取得が完了したことから、本前提条件(f)の充足を確認したとのことです。
(g)公開買付者は、当社より、2025年8月7日時点において、当社に係る業務等に関する重要事実(法第166条第2項に定めるものをいいます。)並びに当社の株券等の公開買付け等の実施に関する事実及び中止に関する事実(法第167条第2項に定めるものをいいます。)で当社が公表(法第166条第4項又は法第167条第4項に定めるものをいいます。)していないものが存在しない旨の報告を受け、本前提条件(g)の充足を確認したとのことです。
(h)公開買付者は、当社より、2025年8月7日時点において、本不応募契約締結日以降、法令等上、公開買付者が本公開買付けを撤回することができる事由が生じていない旨の報告を受け、本前提条件(h)の充足を確認したとのことです。
(i)本覚書が有効に締結され、かつ存続しており(本書提出日現在においても同様です。)、公開買付者は、当社より、本覚書に定める当社の表明及び保証がいずれも重要な点において真実かつ正確である旨、かつ、当社が本覚書に基づき履行又は遵守すべき義務が全ての重要な点において履行又は遵守されている旨の報告を受け、また、かかる本覚書の表明及び保証の違反又は義務の不履行若しくは不遵守を認識していないことから、本前提条件(i)の充足を確認したとのことです。
(j)公開買付者は、当社より、2025年8月7日時点において、当社と古河電気工業の間で、本付随契約が有効に締結され、かつ変更されずに存続している旨の報告を受け、本前提条件(j)の充足を確認したとのことです。
(k)公開買付者は、本株主間契約が有効に締結され、かつ変更されずに存続しており(本書提出日現在においても同様です。)、並びに、古河電気工業より、古河電気工業が本株主間契約に基づき履行又は遵守すべき義務が全ての重要な点において履行又は遵守されている旨の報告を受け、かつ、公開買付者としても、本株主間契約に基づき古河電気工業が履行又は遵守すべき義務の不履行又は不遵守を認識していないことから、本前提条件(k)の充足を確認したとのことです。
(l)公開買付者は、当社より、2025年8月7日時点において、当社グループ全体の事業、財務状況、経営状況、資産、負債又はキャッシュ・フローに短期的でなく重大な悪影響を及ぼすおそれのある具体的な事由又は事象が生じていない旨の報告を受け、本前提条件(l)の充足を確認したとのことです。
(m)公開買付者は、本取引実行後において、当社の株主が公開買付者以外に存在しないこと(但し、当社を除きます。)が合理的に確実と見込まれることから、本前提条件(m)の充足を確認したとのことです。
これに対して、当社は、本特別委員会から提出された2025年8月7日付答申書の内容を最大限尊重しながら、当社の業況や市場環境の変化等を踏まえ、本公開買付けに関する諸条件の内容について改めて慎重に協議及び検討した結果、2025年8月7日時点においても、2024年7月23日時点における当社の本公開買付けに関する判断を変更する要因はないと考えたことから、2025年8月7日開催の当社取締役会において、改めて、本公開買付けに対して賛同する旨及び当社の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議いたしました。本特別委員会の委員の構成及び具体的な活動内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び意見の入手」をご参照ください。
また、2024年7月23日及び2025年8月7日開催の当社の各取締役会決議の詳細については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。
本公開買付けに際して、公開買付者及び古河電気工業は、2024年7月23日付で、(a)古河電気工業が所有する古河電気工業売却予定株式について本公開買付けに応募せず、(b)本株式併合の効力発生後に当社が実施する予定の本自己株式取得に応じて古河電気工業売却予定株式の全てを売却すること等を合意した不応募契約(以下「本不応募契約」といいます。)を締結したとのことです。なお、本不応募契約の詳細については、下記「(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「① 本不応募契約」をご参照ください。
なお、古河電気工業が所有する当社株式を公開買付者が本公開買付けにより取得する方法によらず、当社が本自己株式取得により取得することとしたのは、本取引においては、古河電気工業に法人税法(昭和40年法律第34号。その後の改正を含みます。以下「法人税法」といいます。)に定めるみなし配当の益金不算入規定が適用されることが見込まれることを踏まえ、本自己株式取得における当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本自己株式取得価格」といいます。)を本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)より低い価格で設定することにより当社の少数株主の皆様の利益を最大化させることを目的としているとのことです。公開買付者及び古河電気工業は、本自己株式取得を付議議案に含む臨時株主総会の開催を、本公開買付け及び本株式併合の効力発生を経て、当社の株主が公開買付者と古河電気工業のみとなった後に当社に要請する予定とのことです。また、公開買付者及び古河電気工業は、本不応募契約において、古河電気工業売却予定株式について、本株式併合の効力発生を条件として、当社をして実施する予定の本自己株式取得によって売却することを合意したとのことです。なお、本自己株式取得価格は、古河電気工業が本公開買付けに応募した場合の税引き後手取り額と本自己株式取得に応じた場合に得られる税引き後手取り額(法人税法に定めるみなし配当の益金不算入規定が適用されることを前提に計算した金額)が同等となる金額として設定されているとのことです。
公開買付者は、本公開買付けにおいて、買付予定数の下限を3,070,500株に設定しており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の数の合計が買付予定数の下限(3,070,500株)に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。他方、公開買付者は、本公開買付けを通じて、当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び古河電気工業売却予定株式を除きます。)を取得することを目的としていることから、買付予定数の上限は設定しておらず、応募株券等の数の合計が買付予定数の下限(3,070,500株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。
なお、買付予定数の下限(3,070,500株)は、本基準株式数(32,777,564株)に係る議決権数の数である327,775個に3分の2を乗じた数(218,517個)(小数点以下を切り上げた数。)に100を乗じた数から、古河電気工業売却予定株式(18,781,200株)を控除した株式数(3,070,500株)と設定しているとのことです。これは、本取引において、公開買付者が当社株式の非公開化を目的としており、本株式併合を実施する際には、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。)第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされることから、本取引の実施を確実に遂行すべく、本公開買付け後に公開買付者及び古河電気工業が当社の総株主の議決権数の3分の2以上を所有することで、当該要件を満たすことができるように設定されたものとのことです。
なお、2024年7月23日付当社プレスリリース時点から当社が所有する自己株式数は、2024年3月31日時点の22,332株から2025年6月30日時点の22,436株に変動があったことから、本基準株式数についても32,777,668株から32,777,564株に変動が生じ、2024年7月23日付当社プレスリリースにおいてお知らせいたしました買付予定数の下限も、3,070,600株から3,070,500株に変更があるとのことです。本公開買付けにおいて、公開買付者が当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び古河電気工業売却予定株式を除きます。)を取得できなかった場合には、公開買付者は、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本公開買付けの成立後に、当社に対して、本株式併合を実施することにより、当社の株主を公開買付者及び古河電気工業のみとすることを要請する予定とのことです。
公開買付者は、本公開買付けに係る決済に要する資金を、公開買付者親会社からの出資、TCからの借入金(以下「本TCブリッジローン」といいます。)及び金融機関からの借入れにより賄うことを予定しており、本公開買付けの成立等を条件として、本公開買付けに係る決済の開始日の前営業日までに、当該出資、本TCブリッジローンの借入れ及び金融機関からの借入れを受けることを予定しているとのことです。なお、公開買付者によれば、本公開買付けが成立した場合、本株式併合の効力発生後、本業への経営資源の集中と有利子負債の削減の一環として、当社の子会社である本多電機株式会社(HDホールディングス株式会社より、2025年4月1日付で商号変更しております。)が保有している収益不動産の一部の売却プロセスを実施し、当該収益不動産の売却後、当該売却代金の一部を本TCブリッジローンの返済に充当することを予定しているとのことです。
また、公開買付者親会社は、当該出資に要する資金をAPファンド及びTCIPによる本親会社出資により調達する資金で補うことを予定しており、本公開買付けの成立等を条件として、本公開買付けに係る決済の開始日の前営業日までに、本親会社出資を受けることを予定しているとのことです。
なお、本自己株式取得は、当社の分配可能額の範囲内で行われますが、当社において本自己株式取得の対価として支払う現金の額並びに当社の保有する現預金及び事業運営に要する現預金の水準等を勘案して、公開買付者は本自己株式取得の原資として当社への貸付け(以下「本貸付け」といいます。)を行うとともに、当社にて当社子会社が保有する余剰現預金を原資とした当社の子会社からの借入れ又は借入れと配当の受領の組み合わせ(以下「本借入れ」といいます。)を行い、当該資金を本自己株式取得に際して古河電気工業に支払う金額の一部に充てることを予定しております。また、公開買付者は、当社において本自己株式取得を実施するために必要な分配可能額を確保するため、必要に応じて、会社法第447条第1項及び第448条第1項に基づく当社の資本金、資本準備金及び利益準備金の額の減少による減資(注6)(以下「本減資等」といいます。)を予定しているとのことです。なお、古河電気工業は、本自己株式取得の実行後に当社の親会社には該当しないこととなりますが、本古河電気工業出資により公開買付者親会社の株式の約20%を所有する予定であり、当社株式の約20%を引き続き間接的に所有する予定とのことです。これにより、当社と古河電気工業及びそのグループ会社との間の既存の取引関係(製品の継続的売買、役務の提供、製品の共同開発等)は継続される予定です。
(注6) 本減資等においては、当社の資本金及び資本準備金の額を減少し、その他資本剰余金へ振り替える予定とのことです。
なお、本取引を図で表記すると大要以下のとおりとなるとのことです。
(ⅰ)現状
本書提出日現在、当社株式の所有割合のうち、57.30%を古河電気工業が、残りの42.70%を少数株主が所有しております。
(ⅱ)公開買付者による本公開買付け及びその決済に要する資金の調達(2025年9月中旬頃)
公開買付者は、当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び古河電気工業売却予定株式を除きます。)を対象として、本公開買付けを実施します。公開買付者は、本公開買付けの決済に要する資金を、公開買付者親会社からの出資、本TCブリッジローン及び金融機関からの借入れにより賄うことを予定しており、公開買付者親会社は、公開買付者への出資に要する資金をAPファンド及びTCIPからの本親会社出資により賄うことを予定しているとのことです。
(ⅲ)本株式併合を用いたスクイーズアウト(2025年12月下旬頃(予定))
公開買付者は、本公開買付けの成立後、公開買付者が当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び古河電気工業売却予定株式を除きます。)を取得できなかった場合には、当社に対して本株式併合を実施し、当社の株主を公開買付者及び古河電気工業のみとすることを要請する予定とのことです。
(ⅳ)本自己株式取得に係る資金の確保(2025年12月下旬頃(予定))
公開買付者は、当社株式の上場廃止及び本株式併合の効力発生後に、当社において本自己株式取得の対価として支払う現金の額及び当社の保有する現預金やその事業運営に要する現預金の水準等を勘案し、本自己株式取得に必要となる資金を確保するために、公開買付者から当社に対する本貸付けを行うとともに、当社をして当社子会社からの本借入れを実施する予定とのことです。
(ⅴ)当社による本自己株式取得及び本古河電気工業出資(2025年12月下旬頃(予定))
公開買付者は、当社による本自己株式取得に係る資金の確保を完了後、古河電気工業売却予定株式の全てを、本自己株式取得を通じて取得させることを予定しているとのことです。また、古河電気工業は、本自己株式取得の完了後速やかに本古河電気工業出資を行うとのことです。
(ⅵ)本取引後
公開買付者は、本取引後、当社の発行済株式(但し、当社が所有する自己株式を除きます。)の全てを所有する予定であるとのことです。なお、本取引後の公開買付者親会社の株式所有割合は、APファンド約60%、TCIP約20%、古河電気工業約20%、公開買付者親会社の経営陣である個人株主が0.06%未満となる予定とのことです。
② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針
(ⅰ)当社を取り巻く経営環境等
当社は、1914年4月に古河電気工業の前身である横浜電線製造株式会社(1920年4月に古河電気工業株式会社に商号変更)において鉛蓄電池の製造を開始し、1950年9月に古河電気工業より分離独立し、電池製作所の事業を継承して古河電池株式会社として発足いたしました。また、1961年12月に東京証券取引所市場第二部に株式を上場し、1972年8月に市場第一部に指定替えされ、2022年4月の東京証券取引所における市場区分の見直しにより、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場に上場しております。
当社は、目指す姿として「蓄える力、動かす力、見守る力で社会を支え未来を創造する」ことを掲げており、その実現に向け、常に挑戦者であり続けることをスローガンとし、公正と誠実をモットーに、株主、従業員、お客様、地域社会を始めとする様々なステークホルダーの期待に応えるため、永年にわたり培ってきた技術力を核にして、絶え間ない革新を図り、持続的な成長と中長期的企業価値の向上を目指し、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献することを基本理念として定めております。
本書提出日現在、当社は、当社の親会社(古河電気工業)、連結子会社7社及び持分法適用関連会社1社で構成される企業グループとして、四輪車及び二輪車用蓄電池の開発・製造・販売及びこれに付随する事業(以下「自動車事業」といいます。)、並びに機器操作用蓄電池及びUPS(無停電電源装置)(注1)等の開発・製造・販売及びこれに付随する事業(以下「産業事業」といいます。)を主たる事業として展開しております。
また、近年は、サステナビリティの分野における社会的ニーズが高まる中で、EVやハイブリッド車等の環境対応車、太陽光や風力といった再生可能エネルギーシステム等、電池製品の活躍の場が大きく広がっております。このようなニーズにお応えするために、現在取り組んでおります2022年度から2025年度を対象期間とした中期経営計画の中では、電池をコアデバイスとしたESS(エネルギー・ストレージ・システム)(注2)事業の立上げを目標としております。また、リチウムイオン電池のドローン市場への展開やアルカリ電池のグローバル展開といった施策にも力を入れております。なお、2020年6月9日に当社が公表したバイポーラ型鉛蓄電池の製品化についても目指しておりましたが、その後、これまでの量産化の検討の中で、当初想定していた性能の達成が困難であること、鉛を始めとした原材料価格が高騰していること、競争環境の激化等により収益性を確保した量産が困難であることが判明したことから、2025年3月27日に中止を決定しております。
(注1) 「UPS(無停電電源装置)」とは、Uninterruptible Power Supplyの略で、停電時に電力の供給を継続することを目的とした電源装置をいいます。
(注2) 「ESS(エネルギー・ストレージ・システム)」とは、電力貯蔵システムのことをいいます。太陽光発電を自家消費用途で導入する際、同時にESSを採用すると、電力の供給量が多く需要が少ないときには蓄電し、供給量が減少し、かつ需要がピークに達した際に電力を供給できるようになり、再生可能エネルギーを効率良く利用できるようになります。
自動車事業を取り巻く環境としては、新興国市場においてモータリゼーションが進む一方、先進国市場を中心に、電動化・自動化・サービス化といった業界の構造再編が一層進むと予想されます。当社は、このような市場の変化に柔軟に対応すべく、それぞれの市場において競争力のある製品や品質、サービスを提供するとともに環境対応車用電池等を強みにした新たな海外市場の攻略やインドネシア市場における収益力の強化に取り組んでおります。
産業事業を取り巻く環境については、再生可能エネルギー関連市場やデータセンター、スマートグリッド向け等の需要の拡大が見込まれるものの、価格競争が一層激化すると予想されます。当社は、これらの変化に対して、競争力のある電池の開発や、海外市場への展開、また電池の特徴を活かしたソリューションビジネスにつながるESS(エネルギー・ストレージ・システム)事業の展開に取り組んでおります。
こうした中、当社は、2022年5月12日に公表した2022年度から2025年度を対象期間とした中期経営計画において、(1)SDGsの目標達成に貢献するグローバル戦略の推進、(2)基幹事業である鉛畜電池での収益向上、(3)次世代電池を含む新製品開発と新しいソリューションビジネスの立上げ、(4)サステナブル経営のための人材育成による革新力の蓄積を基本方針と定め、具体的な施策として、ソリューションビジネスであるESS(エネルギー・ストレージ・システム)事業等の新製品の開発・新規事業の立上げや、海外パートナーシップの拡大による事業展開に取り組んでまいりました。
しかしながら、今後の当社を取り巻く環境の見通しとしては、短期的にはインフレに対して各国中央銀行による金利引上げに伴う各国の景気減速や、世界的な政治混乱等に端を発する原材料価格・エネルギーコストの高騰及び資源・半導体不足等が当社の事業にとってネガティブな要素となり、厳しい状況が続くと予想されます。また、長期的には、再生可能エネルギー等拡大が見込まれる市場はあるものの、主力事業である国内鉛蓄電池市場の成長率は全体としては鈍化が見込まれており、競争も激化すると予想されます。特に、近年の原材料価格・エネルギーコストの高騰による影響は大きく、当社が2023年2月7日付で公表した「通期業績予想の修正及び配当予想の修正に関するお知らせ」に記載のとおり、想定を超える原油価格高騰等によるエネルギーや主な原材料である鉛価格上昇を受け、製造・物流コストが増加したことやそれらの価格転嫁活動が途上であること等により当社の採算性は悪化いたしました。その後、2023年4月において産業用鉛蓄電池及び産業用電源システム、2023年9月において市販向け自動車用鉛蓄電池の価格改定を発表し業績改善に努めたこと、また、原材料価格及びエネルギーコストの高騰が軟化したことにより、当社の採算性は改善の方向にありますが、依然として原材料価格・エネルギーコスト等の市況の変化及び中長期的な国内鉛蓄電池市場の成長鈍化に対応を要する状況にあります。
今後の当社の中長期的な成長のためには、生産の効率化等で国内の既存事業の競争力を強めるだけではなく、新興国市場での海外事業の拡大や、競争力を持った新たな電池の開発、新規事業の立上げ、それらを達成するための人材育成といった重要な課題に対して、短期的な業績視点にとらわれない中長期的な視点での経営の舵取りが求められております。
(ⅱ)公開買付者と当社及び古河電気工業との協議、公開買付者による意思決定の過程等
当社は、上記「(ⅰ)当社を取り巻く経営環境等」に記載の経営環境を踏まえ、新製品の開発や新規事業の立上げ等を通じた当社事業の中長期的な拡大及び企業価値向上の実現のほか、上場会社におけるコーポレート・ガバナンスの強化が求められている中で、資本構成のあり方を含めて様々な検討を進めてまいりました。そうした中、当社においては、2020年6月頃から同年10月頃にかけて、当社の資本政策の検討の一環として、AP及びTCを含む複数の投資家と当社に対する資本市場の見方について意見交換を行う機会がありました(AP及びTCの詳細については、上記「① 本公開買付けの概要」に記載のとおりです。)。AP及びTCとの間では、当社の属する鉛蓄電池業界の動向や鉛蓄電池業界における当社の状況について議論するとともに、経済産業省が2019年6月に策定した「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」を踏まえ、親子上場の解消の可能性を含めた当社の資本政策のあり方等についても議論を行いました。
AP及びTCは、当該意見交換を通じて、国内外において一定の顧客基盤を有していること等の強みを認識し、今後具体的に投資について検討をしたいと考えるに至り、当該協議以降、当社との間で協議を重ねてきたとのことです。
また、AP及びTCは、2020年9月中旬頃、当社の親会社である古河電気工業との間でも、当社の中長期的な企業価値向上や親子上場に該当する当社との資本関係の見直し等の観点から、当社株式の非公開化を含めた様々な選択肢について初期的な協議を実施したとのことです。なお、当社と古河電気工業には事業面での関係(その時点ではバイポーラ型鉛蓄電池の共同開発等を含みます。)も存在していたことから、当社株式を非公開化する場合におけるマイノリティでの再投資の可能性についても、初期的な協議を行ったとのことです。
その後、当社は、2020年10月上旬、当社の支配株主(親会社)である古河電気工業より、同社と当社の親子上場関係の解消に向け、古河電気工業並びにAP及びTCによる当社株式を非公開化することに関する初期的な打診を受けました。当社は、当該打診の内容に鑑み、当社の資本政策に関する意思決定の恣意性を排除し、当社の意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保し、利益相反を回避するために、2020年10月下旬開催の当社取締役会の決議により、当社社外取締役(独立役員)である飯村北氏及び佐藤達郎氏並びに当社社外監査役(独立役員)である小川幸伸氏の3名により構成される本特別委員会を設置いたしました。もっとも、当該取締役会決議においては、具体的な諮問事項及び本特別委員会の権限等については、AP及びTCから具体的な提案を受領した段階又は当社が別途検討する資本政策等が具体化した段階等の適切な時期に改めて決定するものとされておりました。また、当社は、当該資本政策の検討に関し、2020年11月中旬頃、古河電気工業、AP、TC及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてPwCアドバイザリー合同会社(以下「PwC」といいます。)を、2020年12月上旬頃、古河電気工業、AP、TC及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所(現森・濱田松本法律事務所外国法共同事業をいい、以下単に「森・濱田松本法律事務所」といいます。)を選任しました。
2021年1月下旬以降、AP及びTCは、より具体的に本取引に関して検討を進めるために、当社に対して初期的な資料開示を依頼するとともに、当社の経営陣等に対するインタビュー等を実施しました。他方で、AP及びTCは、同時期に昭和電工株式会社(現在の株式会社レゾナック・ホールディングス)の連結子会社であった昭和電工マテリアルズ株式会社(現在の株式会社レゾナック。以下「昭和電工マテリアルズ」といいます。)に対し、同社が営む蓄電デバイス・システム事業(以下「エナジーウィズ事業」といいます。)の買収意向を表明しており、昭和電工マテリアルズとの間でエナジーウィズ事業の買収に関する協議を実施していたとのことです。エナジーウィズ事業の主要な事業は自動車用及び産業用の鉛蓄電池事業であり、当社と競合する関係にある中で、エナジーウィズ事業に対する投資検討と本取引を同時並行で進めることは、競争法上のクリアランスの取得に相応の期間がかかる可能性が高いと考えられたことから、これらを同時に検討することは困難であると考えるに至り、本取引の検討を中止し、2021年2月下旬、当社に対して、本取引の検討を中止する旨の申出をしたとのことです。
その後、AP及びTCは、昭和電工マテリアルズとの協議を経て、2021年12月1日、APファンド、TCIP及び古河電気工業が出資する公開買付者親会社の子会社であるサステナブル・バッテリー・ソリューションズ株式会社(以下「SBS」といいます。)を通じて、昭和電工マテリアルズからエナジーウィズ事業の吸収分割承継会社(以下「旧エナジーウィズ」といいます。)の株式取得を完了したとのことです。なお、その後、SBSは、SBSを存続会社、旧エナジーウィズを消滅会社とする合併を実施しており、存続会社となったSBSはエナジーウィズ株式会社(以下「エナジーウィズ」といいます。)に商号を変更したとのことです。
エナジーウィズ事業への投資が決定したことから、AP及びTCは改めて当社株式の取得に関して、競合関係にある当社とエナジーウィズとの統合も視野に入れて初期的に検討したところ、鉛蓄電池業界におけるプレイヤー間の相対比較として、産業分野に力を入れているエナジーウィズと自動車分野に力を入れている当社において統合によって相互に利益拡大の余地があると考えられること、当社及びエナジーウィズは双方とも今後の事業戦略として、国内のみならず海外(特にアジア)における事業拡大を展望しているところ、両社が統合することによる競争力の強化は、今後の海外戦略を推進する上でも有効と考えられること、両社で重複している製品について、製造効率化や仕入れ、物流の共通化及び効率化を行うことによりコストシナジーが見込まれると考えたことから、本取引について検討することは当社及びエナジーウィズの双方の企業価値向上に繋がり得るとの考えに至ったとのことです。
そこで、2021年12月下旬に、AP及びTCは、当社及び古河電気工業に対して、改めて本取引について具体的な検討を進めたい旨を記載した初期的な意向表明書を提出するとともに、AP及びTCが当社株式の取得に関する検討を中止した2021年2月下旬から約1年経過していたことから、改めて当社に対して資料開示を依頼し、初期的な検討を開始したとのことです。その後、AP及びTCは、事業計画を含む初期的な情報の開示を受け、初期的な検討を実施した結果、2022年2月中旬、AP及びTCは、当社に対して、将来的な当社とエナジーウィズとの経営統合も見据え、エナジーウィズの親会社である公開買付者親会社を主体として、当社株式の非公開化に関する検討を具体的に進めたいとの意向を伝達するとともに、本取引の実現可能性の精査のために、公開買付者親会社による当社に対するデュー・ディリジェンスを実施したい旨の申入れを行い、当社から、デュー・ディリジェンスに応じる旨の連絡を受けたとのことです。
その後、公開買付者親会社は、2022年5月上旬から同年7月中旬にかけて、事業面に関するデュー・ディリジェンスを当社に対して実施したとのことです。公開買付者親会社は、事業面のデュー・ディリジェンスを通じて、鉛蓄電池業界を取り巻く事業環境について、世界規模でカーボンニュートラル社会の実現に向けて大きくシフトチェンジが進むことにより、当社の中核事業である自動車用途蓄電池においては自動車のxEV(注1)化の進展、産業用途蓄電池においては再生可能エネルギー領域等による市場拡大が見込まれる一方、電池サイズ・重量やエネルギー密度の観点で鉛蓄電池からリチウムイオン電池等のほかの電池へのシェアの遷移が見込まれ、したがって、リサイクル性が高く、コスト競争力と安全性に優れる鉛蓄電池の需要は、自動車用途・産業用途のいずれの既存領域においても短中期的には残存するものと見込まれるものの、長期的には新たな市場・用途領域でのシェア獲得に向けた競合他社との競争環境の激化が想定されるとの認識を持ったとのことです。
(注1) 「xEV」とは、電気自動車(BEV)、ハイブリッド車(HEV・HV)、プラグインハイブリッド車(PHEV・PHV)、燃料電池車(FCEV・FCV)をいいます。
その一方で、公開買付者親会社は、こうした事業環境においても、本取引によってエナジーウィズと当社が公開買付者親会社の下で一つのグループとして事業運営を行い、具体的には以下の(a)から(c)に挙げるシナジーを最大化することにより、鉛蓄電池製造のみならず、その周辺領域におけるソリューションビジネスを含む新規事業(以下、総称して「蓄電ソリューション」といいます。)の育成を通じて、グローバルで競争力のある蓄電ソリューションのプロバイダーとしての更なる成長を図っていくことができるとの認識も持ったとのことです。また、本取引を通じて当社株式を非公開化することにより、短期的な株式市場からの評価に影響されることなく、中長期的かつ柔軟な意思決定を行うことができるだけでなく、親子上場による古河電気工業と少数株主との間の利益相反構造の解消にも繋がること、また、現在の親会社である古河電気工業が本取引後も公開買付者親会社の株主として当社との資本関係を継続することにより、当社とエナジーウィズが公開買付者親会社の下で一つのグループとして、より早期に協業効果を発現させることにも繋がるとの認識も持ったとのことです。
公開買付者親会社は、AP、TC、公開買付者親会社の子会社であるエナジーウィズ、並びに公開買付者親会社の株主となるAPファンド、TCIP及び古河電気工業(以下、総称して「公開買付者関係者」といいます。)との協業による当社グループにおけるシナジーについて、具体的に以下を想定しているとのことです。
(a)既存事業における利益拡大
公開買付者親会社は、自動車用途領域では、xEV化の世界的な進展の流れの中で、鉛蓄電池からリチウムイオン電池や全固体電池への代替が長期的には見込まれるものの、鉛蓄電池の価格優位性は依然として高く、低温始動性といった機能的観点からも引き続き補機用途での需要が見込まれるものと考えているとのことです。現状、電気自動車(BEV)においても鉛蓄電池が採用されており、低温耐用性が確保されない限りは、あらゆる環境下における安定的な始動を最優先に考える自動車メーカーにとって、鉛蓄電池から他蓄電池への切り替えは短期的には想定しづらいものと考えているとのことです。加えて、鉛規制の導入や電圧規格の変更に伴う高電圧化の動向を踏まえても鉛蓄電池から早期にリチウムイオン電池等のほか蓄電池へ切り替わる可能性は低く、今後もその需要は底堅いものであると考えているとのことです。
産業用途領域においては、蓄電池の小型化ニーズが高まっているデータセンター・通信用途ではリチウムイオン電池への代替が一定程度進行することが想定されるものの、鉛蓄電池の価格優位性や安定性・長年の実績を背景に今後も堅調な需要が継続するものと考えているとのことです。また、鉄道車両用途やビル火災報知機用途のアルカリ蓄電池を始めとするニッチ領域については、当社製品の豊富な取扱い実績・信頼性を背景に、安定した事業運営が継続可能であると認識しているとのことです。
これらの自動車及び産業用途領域の既存の蓄電池事業については、大きな市場成長は見込みにくいものの、堅調な需要が見込まれる市場であり、インフレ環境下での価格転嫁の徹底による粗利改善に加え、鉛使用率を低減した基板製造手法の適用拡大、搬送工程自動化等の合理化施策によるコストダウン、下記「(c)エナジーウィズとの提携・協業の実施」に記載のエナジーウィズとのシナジー等を発現しつつ、引き続き注力領域として利益拡大・キャッシュ・フローの拡大に向けて取り組むとのことです。
(b)新規事業の育成
公開買付者親会社は、当社の主要事業領域である鉛蓄電池事業においては、自動車用途についてはxEVの進展による将来的なリチウムイオン電池への代替の可能性、産業用途については単体電池販売中心から電源システムへのビジネスモデルの転換といった事業構造が大きく変化するリスクがあると認識しているとのことです。これらの事業環境の変化が当社の事業に与える影響は、短期から中期的においては大きくないと考えられるものの、長期的には、2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けて、鉛蓄電池の存続に影響を与えるリスク要因になると考えているとのことです。
当社では、このような長期的な事業環境・事業構造の変革を見据え、再生可能エネルギー領域におけるソリューションビジネスの推進等、新たな成長領域の創出に取り組んでおります。また、再生可能エネルギー領域における需要を取り込むためには、将来的な系統安定化システムの広がりを見据えた上で、短周期変動に対応するリチウムイオン電池と、長周期の余剰電力貯蔵のための鉛蓄電池等、複数の電池を組み合わせた提案メニューの拡充といった施策検討も必要と考えており、これらの領域には積極的にリソースを投下し、将来の新規事業育成のために投資していくことが重要と考えているとのことです。
そのためには、公開買付者親会社は、エナジーウィズとの提携・協業はもちろんのこと、その他の公開買付者関係者との協業により、新しい事業モデルの構築や育成を支援することも有効と考えているとのことです。
TCは祖業であるリースを通じて「モノを目利きする力」を磨くとともに、「モノのライフサイクル」に着目した共同事業を実現してきた実績を有しているとのことです。当社として「次世代電池を含む新開発と新しいソリューションビジネスの立上げ」を目指していることから、TCのファイナンス知見が当社の新規事業育成のためになるものと考えているとのことです。
また、当社の親会社である古河電気工業は、公開買付者親会社の株主という関係性を通じて、本取引後も当社を支援することを想定しているとのことです。
(c)エナジーウィズとの提携・協業の実施
公開買付者親会社は、公開買付者親会社の下で当社とエナジーウィズが連携・協業することで、グローバルでも上位の売上高規模を有する鉛蓄電池メーカーとなり、広範な顧客基盤や幅広い製品・ソリューションのラインナップを活かして、国内外の競合企業と渡り合うことが可能になると考えているとのことです。これまでのデュー・ディリジェンスの結果、両社提携に伴う具体的なシナジー効果を発現する方法として、下記施策の検討余地があるものと想定しているとのことです。
・製品ラインナップの相互補完
主に少量多品種分野における製品ラインナップの相互補完により、既存の製品ラインナップ不足により生じていた機会損失を低減し、また品種・生産拠点の相互活用により、少量生産のためにコストが高くなっていた製品分野については、開発・生産の両面からの効率化の実現を可能とすること
・次世代電池等の研究開発共同化
研究開発をエナジーウィズと共同化することで、重複する費用の集約や人員・設備の相互活用等、研究開発体制の最適化・効率化により研究開発力を強化することを長期的には可能とすること
・鉛を始めとする原材料の共同購買によるスケールメリット
当社の製造コストの大部分を鉛等の原材料の調達コストが占めており、エナジーウィズとの共同購買によるスケールメリットを活用することで費用を抑え、調達コストの削減を可能とすること
・エナジーウィズとの協業を通じた営業効率改善
効率的な営業サポート体制の構築に加え、エナジーウィズとの間で営業ノウハウを相互に共有することで、当社の営業活動の拡充を推進させ、ひいては当社の収益性の改善に資するものとすること
・共同配送及び物流倉庫の相互活用等による物流効率化
エナジーウィズとの共同配送により、積載率の向上及びボリュームディスカウントに加え、物流倉庫の相互活用を通じて、物流面での効率化を実現すること
(ⅲ)本公開買付けにおける交渉の経緯
公開買付者親会社は、2022年6月中旬に、事業面のデュー・ディリジェンスを通じて、当社が検討しているいわき事業所投資計画(注2)についても当社から情報開示を受けたとのことです。公開買付者親会社によれば、当社がいわき事業所投資計画による設備投資を実施した場合に多額の資金負担が生じる可能性があるが、この時点では、地盤改良及び再建築等に関する具体的な工事計画や必要金額については未確定の事項が多いとの説明を当社から受けたとのことです。
(注2) 「いわき事業所投資計画」とは、当社いわき事業所の旧充電工場の床が酸食による陥没が進んでいること等に伴う、地盤対策に係る工事及びそれに関連する投資計画をいいます。
公開買付者親会社は、上記のとおり、本取引を通じて当社と公開買付者関係者との間でシナジーが見込まれ、当社の中長期的な企業価値向上の観点からも、本取引が有効であると考えるに至ったとのことですが、当社の計画しているいわき事業所投資計画については、具体的な工事内容や投資時期・投資規模を含む投資計画について未確定な事項が多く、今後の具体的な検討段階において、投資の見積金額が大きく変動する可能性も否定できないことから、公開買付者親会社としては、より詳細な検討が必要であると考えるに至ったとのことです。そこで、2022年6月下旬、公開買付者親会社は当社に対して、本取引に関して引き続き検討は継続したいと考えているものの、いわき事業所投資計画に関する精査を含む追加的なデュー・ディリジェンスを実施したい旨の申入れを行い、当社に対するデュー・ディリジェンスを継続し、2022年7月下旬に、当社が引き続きデュー・ディリジェンスに協力することを前提とした本取引に係る法的拘束力を有しない意向表明書を当社に対して提出したとのことです。その後、公開買付者親会社は当社に対して、2022年9月から同年12月頃にかけて更なるデュー・ディリジェンスを実施したものの、その過程において、当社が2023年2月7日付で公表した「通期業績予想の修正及び配当予想の修正に関するお知らせ」に記載のとおり、主な原材料である鉛価格上昇や想定以上の原油価格高騰等によるエネルギー価格上昇による事業の採算性への影響に鑑み、公開買付者親会社は、当社の事業環境の見通し及び事業計画についてもより詳細かつ慎重な検証が必要であると判断したとのことです。
公開買付者親会社は、2023年2月下旬以降、当社を取り巻く事業環境を注視しながら、いわき事業所投資計画の投資時期や投資規模等に関する精査、鉛価格やエネルギー価格の上昇の見通し及び当該価格上昇に対する製品への価格転嫁を始めとする当社の対応能力の精査、並びに直近の財務状況及びそれを踏まえた事業計画の見通し等について事業面でのデュー・ディリジェンスを継続したとのことです。その後、公開買付者親会社は、2023年6月から2024年1月頃にかけて、上記の事業面でのデュー・ディリジェンスと並行して、2022年に実施したデュー・ディリジェンスから相応の期間が経過したことを踏まえた、財務・法務等に関する追加的なデュー・ディリジェンスを実施したとのことです。
その結果、公開買付者親会社は、当社を取り巻く事業環境には引き続き注視が必要ではあるものの、いわき事業所投資計画の投資規模が当初想定されていたほど多額にはならないことが見込まれること、また、当社の業績が製品への価格転嫁等を通じて回復基調にあることを確認し、2024年2月22日、当社が2024年3月期に係る期末配当(以下「本期末配当」といいます。)を含めその後の配当支払いを行わないこと、本取引の検討及び経済条件に悪影響を及ぼすような追加的な検出事項がないこと等を条件として、当社に対して本公開買付価格を1,120円(提案日の前営業日である同年2月21日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値958円に対して16.91%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアム率及びディスカウント率の計算について同じとします。)、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値925円(円未満を四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じとします。)に対して21.08%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値888円に対して26.13%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値917円に対して22.14%のプレミアムをそれぞれ加えた金額)、本自己株式取得価格を799円とする旨の初回提案(以下「最終意向表明書」といいます。)を書面で行ったとのことです。
これに対して、公開買付者親会社は、同年3月29日に、当社及び本特別委員会から、当該提案価格は当社の企業価値及び少数株主の利益に鑑み十分な水準にあるとは評価できないこと、また、本取引の公表予定日が本期末配当の配当基準日である同年3月31日以降になることが見込まれることに鑑み本期末配当を行わないことは困難である旨の回答を受けたとのことです。
そして、公開買付者親会社は、本公開買付価格及び本自己株式取得価格について改めて検討を行い、2024年4月8日に、本特別委員会に対して、当該時点において当社が本期末配当の配当予想額として公表していた1株あたり21円の配当金支払いが実施される前提に見直した上で、本公開買付価格を1,120円(提案日の前営業日である同年4月5日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値1,024円に対して9.38%、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値1,006円に対して11.33%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値956円に対して17.15%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値924円に対して21.21%のプレミアムをそれぞれ加えた金額)、本自己株式取得価格を800円とする旨の2回目の提案を書面で行ったとのことです。なお、公開買付者親会社によれば、本公開買付価格の2回目の提案価格は、初回提案価格である1,120円と同額であるものの、本期末配当の実施を前提とする価格に見直したことから、実質的には本期末配当に相当する金額である1株当たり21円分の本公開買付価格の引上げであると考えているとのことです。また本自己株式取得価格については、古河電気工業から追加的に受領した財務情報に基づいて改めて試算した金額とのことです。
これに対して、公開買付者親会社は、2024年4月22日に、当社及び本特別委員会から、当該提案価格は当社の企業価値及び少数株主の利益に鑑み十分な水準にあるとは評価できないとして、本公開買付価格の引上げを改めて要請する旨の回答を受けたとのことです。
当社及び本特別委員会からの当該回答を受けて、公開買付者親会社は、本公開買付価格及び本自己株式取得価格について改めて検討を行い、2024年5月23日に、本特別委員会に対して、本期末配当の実施を前提に本公開買付価格を1,200円(提案日の前営業日である同年5月22日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値1,111円に対して8.01%、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値1,055円に対して13.74%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値1,025円に対して17.07%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値956円に対して25.52%のプレミアムをそれぞれ加えた金額)、本自己株式取得価格を856円とする旨の3回目の提案を書面で行ったとのことです。
これに対して、公開買付者親会社は、2024年5月31日に、当社及び本特別委員会から、当該提案価格は、いまだ当社の企業価値及び少数株主の利益に鑑み十分な水準にあるとは評価できないとして、本公開買付価格の引上げを改めて要請する旨の回答を受けたとのことです。
当社及び本特別委員会からの当該回答を受けて、公開買付者親会社は、本公開買付価格及び本自己株式取得価格について改めて真摯に検討を行い、2024年6月5日に、本特別委員会に対して、本公開買付価格を1,250円(提案日の前営業日である同年6月4日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値1,189円に対して5.13%、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値1,121円に対して11.51%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値1,050円に対して19.05%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値976円に対して28.07%のプレミアムをそれぞれ加えた金額)、本自己株式取得価格を890円とする旨の最終提案を書面で行ったとのことです。
これに対して、公開買付者親会社は、2024年6月7日に、当社及び本特別委員会から、最終提案の提案価格は、いまだ当社の企業価値及び少数株主の利益に鑑み十分な水準にあるとは評価できないとして、本公開買付価格の引上げを改めて要請する旨の回答を受けたとのことです。また、その後公開買付者親会社は、2024年6月14日に、当社及び本特別委員会から、本公開買付価格の引上げを改めて要請する旨の回答を受けたとのことです。
当社及び本特別委員会からの当該回答を受けて、公開買付者親会社は、2024年6月20日に、本公開買付価格を1,400円(提案日の前営業日である同年6月19日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値1,401円に対して0.07%をディスカウントした金額、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値1,208円に対して15.89%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値1,096円に対して27.74%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値1,013円に対して38.20%のプレミアムをそれぞれ加えた金額)、本自己株式取得価格を994円とする旨の提案を行ったとのことです。なお、公開買付者親会社によれば、当該提案価格は、当社の市場株価が、公開買付者親会社が合理的に評価する当社の本源的価値を上回る中での経済合理性を超えた判断に基づくものとのことでした。
これに対して、公開買付者親会社は、2024年6月26日に、当社及び本特別委員会から、一次的に当該提案価格について慎重に検討する旨の回答を受領し、2024年7月11日には、当該提案を受領した時点における当社株式の市場価格の推移については、取引量や変動幅等に鑑みれば、通例的ではない取引その他の要因の影響を受けた可能性も否定できないものの(詳細は下記「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅲ)判断内容」のうち、当社が本公開買付価格を当社の少数株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは、当社の少数株主の皆様に対して合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると判断した理由(オ)に記載の(注)をご参照ください。)、少数株主の利益への更なる配慮や、本取引の実現可能性を高めること等の観点から、公開買付価格の引上げの検討を再度要請する旨及び少数株主が本公開買付けに応募するか否かの判断の機会を十分に確保し、取引条件の公正性を担保するために、本公開買付けにおける買付予定数の下限を、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の条件を充足する数に設定することについての検討を要請する旨の回答を受けたとのことです。
本特別委員会からの当該回答を受けて、公開買付者親会社は、2024年7月19日に、公開買付価格について公開買付者親会社において再度検討したものの、本公開買付価格の更なる引上げは困難であり、マジョリティ・オブ・マイノリティについても、本取引の成立を不安定にする懸念があり、少数株主にとっても不利益があり、受け入れることは困難である旨回答を行ったとのことです。
その後公開買付者親会社は、2024年7月22日に、当社及び本特別委員会から、公開買付者親会社の提案する公開買付価格である1,400円は、下記「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅲ)判断内容」記載のとおり、当社の少数株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは、当社の少数株主の皆様に対して合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると評価できること、公開買付者親会社による当初の提案価格から4度の価格引上げが行われ、その後も当社及び本特別委員会において公開買付者及びその関係者との間で真摯に価格の引上げの交渉を実施したこと等を踏まえ、本公開買付価格を1,400円とすることに合意する旨の回答を受けたとのことです。
これらの協議・交渉の結果、公開買付者らと当社は、2024年7月22日、本公開買付価格を1,400円、本自己株式取得価格を994円とすることで合意に至りました。
その後、公開買付者は、タイにおける競争法に基づく手続及び対応が2025年1月30日に完了し、また、2025年7月2日をもって本公開買付けの開始に向けて取得が必要となる日本の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したため、上記「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、公開買付者は、2025年7月4日、その他の本前提条件が充足されることを前提に同年8月8日を本公開買付けの開始日として本公開買付けを開始したい旨を当社に対して連絡したとのことです。公開買付者は、2025年8月7日、その他の本前提条件がいずれも充足されたこと(本公開買付け開始時点で判断される事項については、当該時点で充足される見込みであること)を確認したことから、本公開買付けが開始可能な状態になったと判断し、本公開買付けを2025年8月8日より開始することとしたとのことです。
(ⅳ)本公開買付け後の経営方針
公開買付者親会社によれば、将来的には公開買付者を通じて社外取締役等の役員等の派遣の可能性はあるとのことですが、現時点において派遣人数や候補者の具体的な想定はないとのことです。また、公開買付者親会社は、当社とエナジーウィズとの間で、相互の人事交流・技術交流や上記「(ⅱ)公開買付者と当社及び古河電気工業との協議、公開買付者による意思決定の過程等」の「(c)エナジーウィズとの提携・協業の実施」に記載の施策実現に向け、プロジェクトチームを発足し、共同での取組みとしてシナジー創出を目指すことを考えているとのことですが、具体的な方法やタイミングについては、本書提出日現在未定であり、その他の本公開買付け後の経営体制、経営方針等と併せて、本公開買付けの成立後に、当社の経営陣との間で協議・検討を行い、最適な組織体制構築に向けた支援をしていきたいと考えているとのことです。また、本書提出日現在、当社と古河電気工業及びそのグループ会社との間には製品の継続的売買、役務の提供、製品の共同開発等の取引関係があります。本取引後、当社は古河電気工業の子会社ではなくなり、当社と古河電気工業との間の直接の資本関係はなくなりますが、上記の取引関係は継続される予定です。
公開買付者親会社は、上記「(ⅱ)公開買付者と当社及び古河電気工業との協議、公開買付者による意思決定の過程等」の(a)から(c)に記載のシナジー施策を早期に実行するためには、当社の事業領域や成長分野に経営資源を集中させることが重要と考えているとのことです。そのためには、収益不動産については、本取引後に本業に影響が生じない範囲内で売却することも検討しているとのことです。なお、当社の子会社である本多電機株式会社が保有している収益不動産の一部について売却プロセスを実施し、当該不動産の売却後、当該売却代金の一部を本TCブリッジローンの返済に充当する予定であることにつきましては、上記「① 本公開買付けの概要」をご参照ください。
なお、当社は、公開買付者ら及び古河電気工業との間で、本取引の実行後における公開買付者親会社及び当社の経営体制等並びに当社とエナジーウィズの間の資本及び業務上の提携に関し、2024年7月23日付で、本合意書(下記「4.本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「(3)資本業務提携に関する合意書」に定義します。以下「本合意書」の記載において同じとします。)を締結しております。本合意書の詳細は、下記「4.本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「(3)資本業務提携に関する合意書」をご参照ください。
APファンド、TC、TCIP及び古河電気工業は、2025年8月1日付で、本取引が完了した後の当社の取締役の指名に関する内容を含む本株主間契約を締結しているとのことです。本株主間契約の詳細は、下記「4.本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「(5)本株主間契約」をご参照ください。
③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由
(ⅰ)検討体制の構築の経緯
上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」に記載のとおり、当社は、2020年10月上旬、古河電気工業から、同社と当社の親子上場関係の解消に向け、古河電気工業並びにAP及びTCにおいて当社株式を非公開化することに関する初期的な打診を受けました。これを受け、当社は、当社が古河電気工業の連結子会社であり、当社と古河電気工業との間で構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に発生する可能性があることに鑑み、当社企業価値の向上及び少数株主の利益を図るため、当社資本政策の検討及びその判断について公正性を担保することを目的として、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、2020年10月下旬開催の取締役会決議により、上記打診に係る取引を含む当社の資本政策の検討を目的として、当社社外取締役(独立役員)である飯村北氏及び佐藤達郎氏並びに当社社外監査役(独立役員)である小川幸伸氏の3名により構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置しました。当該取締役会決議においては、具体的な諮問事項及び本特別委員会の権限等については、AP及びTCから具体的な提案を受領した段階又は当社が別途検討する資本政策等が具体化した段階等の適切な時期に改めて決定するものとされておりました。
また、当社は、2020年11月中旬に、古河電気工業、AP、TC及び当社のいずれからも独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてPwCを選任するとともに2020年12月上旬に、古河電気工業、AP、TC及び当社のいずれからも独立したリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を選任しました。
その後、当社は、本特別委員会の実質的な関与の下で、より当社の企業価値を高める提案の可能性を追求すべく、当社の資本政策について検討を重ねるとともに、当社の資本及び業務上の提携先となり得る事業会社1社及び金融投資家1社との間で初期的な意向の確認等を実施しました。そして、当社は、2021年12月下旬、AP及びTCから上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅱ)公開買付者と当社及び古河電気工業との協議、公開買付者による意思決定の過程等」記載の初期的な意向表明書を受領するとともに、他の候補者(事業会社1社及び金融投資家1社の共同提案)から、同様の当社株式の非公開化を伴う取引に係る提案を受けたことから、当社の中長期的な企業価値向上の観点からこれらの提案について真摯に検討する必要があるものと判断し、2022年1月中旬、当社取締役会において、各候補者、古河電気工業及び当社並びに各取引の成否から独立した立場にある本特別委員会に対し、本取引及び他の候補者の提案した取引の各提案について所定の諮問事項について検討を依頼する旨、改めて決議を行いました。かかる決議を踏まえ、2022年1月下旬、本特別委員会は、各候補者、古河電気工業及び当社並びに各取引の成否から独立したファイナンシャル・アドバイザーとしてPwC及び同じく独立したリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を引き続き起用することを承認するとともに、各候補者に対してインタビューを実施し、初期的な資料の徴求を行いました。その後、当社は本特別委員会の実質的な関与の下で各候補者の提案について検討を進めていたものの、2022年4月頃、AP及びTC以外の候補者より、当該候補者の提案する取引を検討する環境が整わない旨の連絡を受けました。
他方で、AP及びTCはその後も当社に対するデュー・ディリジェンスを継続し、当社は、かかる追加的なデュー・ディリジェンスの後、2022年7月下旬、公開買付者親会社名義による、本取引に係る法的拘束力を有しない意向表明書を受領しました。当該意向表明書の提出等も踏まえ、本特別委員会は、2022年9月上旬、公開買付者ら、古河電気工業及び当社並びに本取引の成否のいずれからも独立した本特別委員会独自の第三者算定機関として株式会社プルータス・コンサルティング(以下「プルータス」といいます。)を選任する旨を決定しました。
その後、AP及びTCは、2022年9月から同年12月頃及び2023年6月から2024年1月頃にかけて、いわき事業所投資計画に関する当社の検討の進捗状況に加え、バイポーラ型鉛蓄電池事業の収益化に係る検証や鉛価格を含む原材料費・エネルギー価格の高騰等への対処の進展に応じて、断続的に当社に対する事業面でのデュー・ディリジェンスを継続しました。その上で、当社は、公開買付者らから、当該デュー・ディリジェンスの結果も踏まえ、2024年2月22日付で、公開買付者親会社名義で、最終意向表明書の提出を受けました。当該意向表明書の提出を受けて、当社は、2024年2月下旬開催の当社取締役会において、本特別委員会に対する諮問の対象となる取引が本取引であることを明確化し、本特別委員会の委員の構成、本特別委員会の権限等を確認する旨の決議を行いました。なお、本特別委員会の委員の構成その他具体的な諮問事項等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び意見の入手」をご参照ください。
また、当社は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した検討体制の構築」に記載のとおり、公開買付者関係者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を当社の社内に構築するとともに、かかる検討体制に独立性の観点から問題がないことについて本特別委員会の承認を受けております。
(ⅱ)検討・交渉の経緯
当社は、上記「(ⅰ)検討体制の構築の経緯」に記載のとおり、2020年10月に古河電気工業から当社株式の非公開化について初期的な打診を受けた後、当社の資本政策について、AP及びTC以外の候補先との間の資本業務提携の可能性も含めて検討を重ねてきました。
そして、本特別委員会は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び意見の入手」に記載のとおり、2024年2月22日付で、公開買付者親会社名義の最終意向表明書を受領して以降、公開買付者らとの間で、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件について継続的に協議及び交渉を行ってまいりました。具体的には、当社は、2024年2月22日、公開買付者親会社から、当社が本期末配当を含めその後の配当支払いを行わないこと、本取引の検討及び経済条件に悪影響を及ぼすような追加的な検出事項がないこと等を条件として、本公開買付価格を1,120円(提案日の前営業日である同年2月21日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値958円に対して16.91%、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値925円に対して21.08%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値888円に対して26.13%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値917円に対して22.14%のプレミアムをそれぞれ加えた金額)、本自己株式取得価格を799円とする最終意向表明書を受領しました。これに対して、当社及び本特別委員会は、2024年3月29日、公開買付者親会社に対して、当該提案価格は当社の企業価値及び少数株主の利益に鑑み十分な水準にあるとは評価できない旨、また、本取引の公表予定日が本期末配当の配当基準日である同年3月31日以降になることが見込まれることに鑑み本期末配当を行わないことは困難である旨を回答いたしました。
本特別委員会は、2024年4月8日、公開買付者親会社から、当該時点において当社が本期末配当の配当予想額として公表していた1株あたり21円の配当金支払いが実施されることを前提として、本公開買付価格を1,120円(提案日の前営業日である同年4月5日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値1,024円に対して9.38%、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値1,006円に対して11.33%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値956円に対して17.15%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値924円に対して21.21%のプレミアムをそれぞれ加えた金額)、本自己株式取得価格を800円とする再提案を受領しました。これに対して、当社及び本特別委員会は、2024年4月22日、公開買付者親会社に対して、当該提案価格は、本期末配当が実施されることを前提としても、当社の企業価値及び少数株主の利益に鑑みいまだ十分な水準にあるとは評価できない旨を回答し、本公開買付価格の引上げを要請いたしました。
本特別委員会は、2024年5月23日、公開買付者親会社から、本公開買付価格を1,200円(提案日の前営業日である同年5月22日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値1,111円に対して8.01%、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値1,055円に対して13.74%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値1,025円に対して17.07%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値956円に対して25.52%のプレミアムをそれぞれ加えた金額)、本自己株式取得価格を856円とする再提案を受領しました。これに対して、当社及び本特別委員会は、2024年5月31日、公開買付者親会社に対して、当該提案価格は、当社の企業価値及び少数株主の利益に鑑みいまだ十分な水準にあるとは評価できない旨回答し、本公開買付価格の再検討を要請いたしました。
本特別委員会は、2024年6月5日、公開買付者親会社から、最終提案として、本公開買付価格を1,250円(提案日の前営業日である同年6月4日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値1,189円に対して5.13%、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値1,121円に対して11.51%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値1,050円に対して19.05%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値976円に対して28.07%のプレミアムをそれぞれ加えた金額)、本自己株式取得価格を890円とする再提案を受領しました。これに対して、本特別委員会は、2024年6月7日、公開買付者親会社に対して、最終提案の提案価格は、いまだ当社の企業価値及び少数株主の利益に鑑み十分な水準にあるとは評価できないとして、本公開買付価格の引上げを改めて要請する旨の回答を行い、2024年6月14日、本公開買付価格の引上げを改めて要請いたしました。
その後、本特別委員会は、2024年6月20日、公開買付者親会社から、本公開買付価格を1,400円(提案日の前営業日である同年6月19日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値1,401円に対して0.07%をディスカウントした金額、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値1,208円に対して15.89%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値1,096円に対して27.74%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値1,013円に対して38.20%のプレミアムをそれぞれ加えた金額)、本自己株式取得価格を994円とする再提案を受領しました。なお、公開買付者親会社によれば、当該提案価格は、当社の市場株価が、公開買付者親会社が合理的に評価する当社の本源的価値を上回る中での経済合理性を超えた判断に基づくものとのことでした。
その後、当社及び本特別委員会は、2024年6月26日、公開買付者親会社に対して、一次的に当該提案価格について慎重に検討する旨の回答を行い、2024年7月11日には、当該提案を受領した時点における当社株式の市場価格の推移については、取引量や変動幅等に鑑みれば、通例的ではない取引その他の要因の影響を受けた可能性も否定できないものの(詳細は下記「(ⅲ)判断内容」のうち、当社が本公開買付価格を当社の少数株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは、当社の少数株主の皆様に対して合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると判断した理由(オ)に記載の(注)をご参照ください。)、少数株主の利益への更なる配慮や、本取引の実現可能性を高めること等の観点から、本公開買付価格の引上げの検討を要請すること及び少数株主が本公開買付けに応募するか否かの判断の機会を十分に確保し、取引条件の公正性を担保するために、本公開買付けにおける買付予定数の下限を、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の条件を充足する数に設定することについての検討を要請する旨を連絡いたしました。
本特別委員会は、2024年7月19日、公開買付者親会社から、本公開買付価格について公開買付者親会社において再度検討したものの、本公開買付価格の更なる引上げは困難であり、マジョリティ・オブ・マイノリティについても、本取引の成立を不安定にする懸念があり、少数株主にとっても不利益があり、受け入れることは困難である旨の回答を受領しました。
これに対して、当社及び本特別委員会は、2024年7月22日、公開買付者親会社の提案する公開買付価格である1,400円は下記「(ⅲ)判断内容」記載のとおり、当社の少数株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは、当社の少数株主の皆様に対して合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると評価できること、公開買付者親会社による当初の提案価格から4度の価格引上げが行われ、その後も当社及び本特別委員会において公開買付者及びその関係者との間で真摯に価格の引上げの交渉を実施したこと等を踏まえ、本公開買付価格を1,400円とすることに合意することを決定し、同日、公開買付者親会社に対してその旨連絡しました。これらの協議・交渉の結果、公開買付者らと当社は、2024年7月22日、本公開買付価格を1,400円、本自己株式取得価格を994円とすることで合意に至りました。
かかる交渉の過程において、本特別委員会は、PwC、プルータス、及び森・濱田松本法律事務所から受けた各種助言を踏まえて少数株主の利益の観点から慎重に検討を重ね、自ら交渉方針を決定しております。
そして、当社は、2024年7月23日、本特別委員会から2024年7月23日付で①当社取締役会が、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを決議することは妥当であると考える旨、並びに②本取引を行うことは、当社の少数株主にとって不利益なものではないと考える旨の2024年7月23日付答申書の提出を受けました(2024年7月23日付答申書の概要及び本特別委員会の具体的な活動内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び意見の入手」の「A.2024年7月23日付答申書」をご参照ください。)。また、当社は、2024年7月23日付答申書と併せて、本特別委員会から、2024年7月22日付で本特別委員会がプルータスから提出を受けた当社株式の価値算定結果に関する株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(プルータス)」といいます。)及び本公開買付価格1,400円が当社株式(但し、当社が所有する自己株式及び古河電気工業売却予定株式を除きます。)の株主にとって財務的見地から公正である旨のフェアネス・オピニオン(以下「本フェアネス・オピニオン」といいます。)の提出も受けております(本株式価値算定書(プルータス)及び本フェアネス・オピニオンの概要については、下記「(3)算定に関する事項」の「② 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」をご参照ください。)。
(ⅲ)判断内容
以上の経緯の下、当社は、2024年7月23日開催の当社取締役会において、森・濱田松本法律事務所から受けた法的助言、PwCから2024年7月22日付で取得した株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(PwC)」といいます。)並びに本特別委員会がプルータスから取得した本株式価値算定書(プルータス)及び本フェアネス・オピニオンの内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された2024年7月23日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引を通じて当社の企業価値を向上させることができるか、本取引は公正な手続を通じて行われることにより少数株主の享受すべき利益が確保されるものとなっているか等の観点から慎重に協議を行いました。
その結果、以下のとおり、当社としても、本取引は当社の企業価値の向上に資するとの結論に至りました。
(ア)上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」に記載のとおり、当社は、近年のサステナビリティの分野における社会的ニーズの高まりを背景に、EVやハイブリッド車等の環境対応車、太陽光や風力といった再生可能エネルギーシステム等、電池製品へのニーズの多様化にお応えするために、これまでの鉛蓄電池とは構造が異なるバイポーラ型鉛蓄電池の製品化や、電池をコアデバイスとしたESS(エネルギー・ストレージ・システム)事業の立上げ、また、リチウムイオン電池のドローン市場への展開やアルカリ電池のグローバル展開といった施策に力を入れてまいりました。
(イ)蓄電池業界を取り巻く事業環境は、世界規模でカーボンニュートラル社会の実現に向けて大きくシフトチェンジが進むことにより、当社の中核事業である自動車用途蓄電池においては自動車のxEV化の進展、産業用途蓄電池においては再生可能エネルギー領域等による市場拡大が見込まれる一方、電池サイズ・重量やエネルギー密度の観点で鉛蓄電池からリチウムイオン電池等のほか電池へのシェアの遷移が見込まれ、したがって、リサイクル性が高く、コスト競争力と安全性に優れる鉛蓄電池の需要は、自動車用途・産業用途のいずれの既存領域においても短中期的には残存するものと見込まれるものの、長期的には新たな市場・用途領域でのシェア獲得に向けた競合他社との競争環境の激化が想定されるものと考えております。このような長期的な事業環境・事業構造の変革を見据え、当社は、バイポーラ型鉛蓄電池事業を始めとする新規事業の創出のための投資計画や構造改革の取り組みを行っておりますが、これらは、中長期的には当社の収益の維持・拡大につながる可能性があるものの、短期的には利益の縮小やキャッシュ・フローの悪化を伴う懸念があります。
(ウ)また、今後の当社を取り巻く環境の見通しとしては、短期的にはインフレに対して各国中央銀行による金利引上げに伴う各国の景気減速や、世界的な政治混乱等に端を発する原材料価格・エネルギーコストの高騰及び資源・半導体不足等が当社の事業にとってネガティブな要素となり、厳しい状況が続くと予想されるところであり、長期的には、再生可能エネルギー等拡大が見込まれる市場はあるものの、主力事業である国内鉛蓄電池市場の成長率は全体としては鈍化が見込まれており、競争も激化すると予想されます。特に、近年の原材料価格・エネルギーコストの高騰による影響は大きく、原材料価格・エネルギーコスト等の市況の変化及び中長期的な国内鉛蓄電池市場の成長鈍化に対応を要する状況にあると認識しております。
(エ)こうした環境のもと、今後の当社の中長期的な成長のためには、生産の効率化等で国内の既存事業の競争力を強めるだけではなく、新興国市場での海外事業の拡大や、競争力を持った新たな電池の開発、新規事業の立上げ、それらを達成するための人材育成といった重要な課題に対して、短期的な業績視点にとらわれない中長期的な視点での経営の舵取りが求められております。
(オ)こうした状況下で、当社は、AP、TC及び古河電気工業との間で、当社の事業戦略及び資本政策について協議を行い、当社の中長期的な成長と企業価値向上に資する戦略的な選択肢として、公開買付者らとエナジーウィズとの協業、及び公開買付者らによる本公開買付けを通じた当社株式の取得の可能性に関する協議を深めました。当社は、公開買付者らが、当社に対するデュー・ディリジェンス及び各種分析を通じて、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」に記載のとおり、当社の事業全体をグローバルで競争力のある蓄電ソリューションプロバイダーとしての更なる成長を図っていくためには、本取引によってエナジーウィズと当社が公開買付者親会社の下で一つのグループとして事業運営を行い、短期的な株式市場からの評価に影響されることなく、中長期的かつ柔軟な意思決定を行うことを通じて、当社と公開買付者ら及びエナジーウィズとの協業を通じてシナジーを最大化させることが必要との理解に至ったと認識し、当社としても同様の理解に至りました。
具体的には、以下のシナジー効果が見込まれるものと考えております。
・既存事業における利益拡大
APは、サービス提供先のファンドによる累積で約70件の投資実績と内部に蓄積された各種ノウハウ、経験豊富で能力の高い人材群を有していること、TCは粗利改善、合理化施策によるコストダウンについての一定の知見を有していること、AP及びTCは、既にエナジーウィズをグループ傘下としており鉛蓄電池業界についての知見も相当程度有していると考えられることからすると、インフレ環境下での価格転嫁の徹底による粗利改善に加え、鉛使用率の低減基板製造手法の適用拡大、搬送工程自動化等の合理化施策によるコストダウン、エナジーウィズとのシナジー等を発現しつつ、引き続き注力領域として利益拡大・キャッシュ・フローの拡大に向けて取り組むことによって、既存事業における利益拡大が見込まれるものと考えております。
・新規事業の育成
当社では、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅱ)公開買付者と当社及び古河電気工業との協議、公開買付者による意思決定の過程等」の「(b)新規事業の育成」に記載の新規分野について必ずしも十分なリソースの投入が行われておりませんでしたが、公開買付者親会社による積極的なリソースの投下、TCのファイナンスの知見の提供、及び古河電気工業による支援等を通じて、当該新規事業の育成が促進されるものと考えております。
・エナジーウィズとの提携・協業の実施
公開買付者親会社の下で当社とエナジーウィズが連携・協業することで、共同購入によるスケールメリットや共同配送及び物流倉庫の相互活用等による物流効率化といったコストに関する施策やエナジーウィズの顧客へのアプローチによる販路拡大施策を実施することが可能になるものと考えております。
・持続可能な開発目標(SDGs)の実現への貢献
当社においては、バイポーラ型鉛蓄電池については現時点では研究開発に十分なリソースを割くことができておりませんでしたが、エナジーウィズと協働することで、必要な人材や知見が集まることが期待され、また、公開買付者親会社によるサポートにより十分な資力等があれば、バイポーラ型鉛蓄電池についても製品化に向けた更なる前進が促進されるものと考えております。
・経営基盤強化のためのスポンサー支援
公開買付者らによれば、(a)新規顧客獲得・マーケット拡大の積極的な支援、(b)必要なパートナーとの提携やM&Aの活用、(c)経営人材育成の仕組み作り、(d)指標の見える化を通じた経営への規律の導入、及び(e)営業体制強化の支援等のスポンサー支援(経営基盤強化のための支援)を行う予定とのことであり、これらの支援は当社の事業の利益拡大及び収益率の拡大に寄与するものと考えております。
(カ)なお、本取引の実施後、当社は上場廃止となる予定であることから、非公開化により、①株式市場から大きな資金調達ができなくなるといった資金調達における悪影響、及び②上場会社としてのブランドを喪失することで従業員の採用及びリテンションにおける悪影響が生じることが一般に予想されるものと認識しております。しかしながら、AP及びTCによるサポートを考えれば、資金面においても上場廃止による直接的な影響は考えづらい上、相当金額を必要とする上場コストの削減も期待されます。また、本取引後は、AP及びTCのサポートによる人材の斡旋を受けることが期待できることに加え、むしろこれまで以上に当社の成長・発展が実現できることを説明することで、当社の従業員はこれまで以上に高い意識をもって働くことが可能となり、採用活動やリテンションへの好影響も期待できることも考えられることから、一般に予想されるような悪影響は見込まれないと考えております。また、古河電気工業グループ(古河電気工業及びその子会社の総称を意味します。以下同じとします。)からの離脱による影響については、従来当社は独立した上場会社として事業運営に関する独立性を確保し、独自に経営方針等を決定してきたこと、また、古河電気工業グループからの離脱となるものの古河電気工業は本取引後において公開買付者親会社の株式の約20%を所有することから必ずしも資本関係がなくなるわけではなく、また、古河電気工業との取引に関しては、現時点においても当社と古河電気工業との取引は年間3億円程度と多額ではなく、現状行っている取引の価格その他の取引条件は当社と関連を有しない独立当事者間の取引と同様の条件によっており、今後も同様の取引を維持できることが想定されることから、同社グループからの離脱による特段のデメリットは想定しておりません。
また、当社は、公開買付者親会社から、本取引として、本自己株式取得を組み合わせた方法が提案されたことから当該方法についても検討を行いました。当社は、公開買付者らから、本自己株式取得価格は、本株式併合前の1株当たり994円となるとのことですが、当該価格は、古河電気工業が本公開買付けに応募した場合の税引き後手取り額と本自己株式取得に応じた場合に得られる税引き後手取り額(法人税法に定めるみなし配当の益金不算入規定が適用されることを前提に計算した金額)が同等となる金額として設定されているとの説明を受けております。当社においても、PwCの助言も得て、公開買付者らの当該説明の合理性について検証を行った結果、古河電気工業及び当社の2024年3月期の財務数値等を参照した一定の前提の下で、現行税制上、古河電気工業が理論上享受し得る税務メリットを考慮しても、本自己株式取得によって古河電気工業が当社株式の対価として得る経済的利益が、本公開買付けによって当社の少数株主が当社株式の対価として得る経済的利益を上回ることはないと判断しております。したがって、当社は、本自己株式取得を行うことにより、古河電気工業が本公開買付けにより当社株式を売却する場合と比較して少数株主が応募する本公開買付価格を高額に設定することができることから、本自己株式取得を用いる本取引の方法は、古河電気工業を除く少数株主の利益に資するものといえると判断しております。
また、当社は、以下の点等から、本公開買付価格1,400円は当社の少数株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは、当社の少数株主の皆様に対して合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
(ア)当社において、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件の公正性を担保するための措置が十分に講じられた上で、公開買付者ら、古河電気工業及び当社並びに本取引の成否のいずれからも独立した本特別委員会の実質的な関与の下、公開買付者ら及び古河電気工業との間で真摯に交渉を重ねた上で合意された価格であること。
(イ)当社における独立した本特別委員会から取得した2024年7月23日付答申書において、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び意見の入手」に記載のとおり、本公開買付価格を含む本取引の取引条件は妥当であると判断されていること。
(ウ)下記「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されているPwCによる当社株式に係る株式価値算定結果に照らし、市場株価基準方式及び類似会社比準方式による算定結果の範囲を上回っており、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー方式(以下「DCF方式」といいます。)による算定結果の範囲の中央値を上回る水準であること。
(エ)下記「(3)算定に関する事項」の「② 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」に記載されているプルータスによる当社株式に係る株式価値算定結果に照らし、市場株価法による算定結果の範囲を上回っており、DCF方式による算定結果の範囲の中央値を上回る水準であること。また、下記「(3)算定に関する事項」の「② 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」に記載のとおり、プルータスから、本公開買付価格1,400円が当社の少数株主にとって財務的見地から公正である旨の本フェアネス・オピニオンが発行されていること。
(オ)本公開買付けの開始予定の公表日の前営業日である2024年7月22日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値の1,159円に対して20.79%、過去1ヶ月間(2024年6月23日から2024年7月22日まで)の終値単純平均値1,258円に対して11.29%、過去3ヶ月間(2024年4月23日から2024年7月22日まで)の終値単純平均値1,186円に対して18.04%、過去6ヶ月間(2024年1月23日から2024年7月22日まで)の終値単純平均値1,083円に対して29.27%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となっており、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降2024年7月19日までに公表され、成立した上場子会社の非公開化を目的とした公開買付け事例(マネジメント・バイアウト(MBO)の事例を除きます。)のうち、対象者の時価総額が300億円以上であり、かつ、対象となる株式につき案件公表前からPBR1倍を超えている事例において付されるプレミアムの実例22件(プレミアム率の平均値は、公表日前営業日が45.63%、直近1ヶ月間が49.91%、直近3ヶ月間が52.13%、直近6ヶ月間が53.49%であり、プレミアム水準の中央値は、公表日前営業日が39.28%、直近1ヶ月間が38.63%、直近3ヶ月間が41.40%、直近6ヶ月間が48.61%。なお、公表日前に事前報道がなされた事例は、事前報道がなされた日以前の市場株価を基準としてプレミアムを算出。)と比較したとき、直近1ヶ月間又は直近3ヶ月間の平均値を参照する場合には同等の水準にあるとは必ずしもいえないものの、2024年6月後半において当社株式の市場取引及び市場価格の状況は通常とは異なる状況にあり(注)、より中長期的な株価動向を重視することに一定の合理性があるところ、本公開買付価格の直近6ヶ月の終値単純平均値に対するプレミアム率は上記過去事例との対比においても相応の水準と評価し得ることも勘案すると、市場価格に対するプレミアム率の水準の観点からも本公開買付価格は不合理なものではないと判断できること。
(注) 2024年6月14日以降、当社の業績に影響を与える重要な事実等は発生していないにもかかわらず、2024年6月13日以前の10日間(2024年6月4日から2024年6月13日)と比較して、2024年6月14日以降の10日間(2024年6月14日から2024年6月23日)において、当社株式の出来高単純平均値は219%増加し、かつ、終値単純平均値は13%上昇しております。また、本公開買付価格は、上記2024年6月14日以降の市場価格の状況を考慮しないこととする場合、その前営業日である2024年6月13日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値の1,249円に対して12.09%、過去1ヶ月間(2024年5月14日から2024年6月13日まで)の終値単純平均値1,162円に対して20.48%、過去3ヶ月間(2024年3月14日から2024年6月13日まで)の終値単純平均値1,073円に対して30.48%、過去6ヶ月間(2023年12月14日から2024年6月13日まで)の終値単純平均値996円に対して40.56%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となっております。
(カ)下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が講じられており、少数株主の利益が確保されていると認められること。
以上より、当社は、2024年7月23日開催の当社取締役会において、同日時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をしておりました。
また、本公開買付けは、本前提条件が充足された場合又は公開買付者により放棄された場合には、速やかに開始されることが予定されており、2024年7月23日時点において、公開買付者は、国内外の競争当局における手続等に要する期間を正確に予想することは困難であるものの、2025年3月下旬を目途に本公開買付けの開始を目指していたとのことです。そのため、当社は、上記取締役会において、本公開買付けが開始される際に、本特別委員会に対して、2024年7月23日付答申書の意見に変更がないか否かを検討し、当社取締役会に対し、従前の意見に変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べること、及びかかる意見を踏まえ、本公開買付けが開始される時点で、改めて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議しておりました。
そして、今般、当社は、公開買付者から、タイにおける競争法に基づく手続及び対応が2025年1月30日に完了し、2025年7月2日をもって本公開買付けの開始に向けて取得が必要となる日本の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことから、2025年7月4日、その他の本前提条件が充足されることを前提として、2025年8月8日を本公開買付けの開始日として本公開買付けを開始したい旨の連絡を受け、本特別委員会は、当社に対して、2024年7月23日以後、本取引に影響を及ぼし得る重要な状況変化が発生しているか否かに関する事実関係の確認等を行い、上記諮問事項について検討を行った結果、2024年7月23日以後、当社においては、①バイポーラ型鉛蓄電池の開発中止及び②本漏液問題を含む2025年8月7日までの事情を勘案しても2024年7月23日付で当社取締役会に対し行った答申内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2025年8月7日に、委員全員の一致の決議により、当社取締役会に対して、上記答申内容を変更する必要はないものと考える旨及び当社取締役会における本取引の実施についての決定は一般株主にとって公正なものであると思料する旨の2025年8月7日付答申書を提出しました。その上で、当社は、本特別委員会から提出された2025年8月7日付答申書の内容を最大限尊重しながら、当社の業況や本取引を取り巻く環境を踏まえ、本公開買付けを含む本取引の一連の手続及び本取引に関する諸条件について改めて慎重に検討を行った結果、2025年8月7日現在においても、2024年7月23日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断したことから、2025年8月7日開催の当社取締役会において、改めて、本公開買付けに対して賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨を決議いたしました。
なお、上記の各当社取締役会決議は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載の方法により決議されております。
(3)算定に関する事項
① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
(ⅰ)算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係
当社は、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件の妥当性についての検討、交渉及び判断を行うにあたり、当該取引条件の公正性を担保するために、公開買付者ら、古河電気工業及び当社並びに本取引の成否のいずれからも独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるPwCに対し、当社株式の価値算定及び付随する財務分析を依頼し、2024年7月22日付で、本株式価値算定書(PwC)を取得いたしました。当社取締役会は、2024年7月23日以後、①バイポーラ型鉛蓄電池の開発中止及び②本漏液問題を含む2025年8月7日時点までの状況を考慮しても、本株式価値算定書(PwC)に影響を与える前提事実に大きな変更はないと考えられること、当社グループや業界を取り巻く中長期的な事業環境にも特段の変化はないと考えられること、並びに、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び意見の入手」の「B.2025年8月7日付答申書」に記載のとおり、特別委員会が本株式価値算定書(プルータス)の内容の変更及び更新等を要請する必要はないと判断していることも踏まえ、本株式価値算定書(PwC)の内容の変更及び更新等は不要であると判断しております。なお、当社は、①バイポーラ型鉛蓄電池の開発中止が、本事業計画(下記「(ⅱ)算定の概要」に定義します。)に与える影響は軽微であること及び②本漏液問題は時限的・一過性の特殊要因であることを踏まえ、本株式価値算定書(PwC)における価値算定の前提となった本事業計画自体を見直す必要はないものと考えております。
PwCは、公開買付者ら、古河電気工業及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して、記載すべき重要な利害関係を有しておりません。また、本取引に係るPwCの報酬は、本取引の完了を条件に支払われる成功報酬及び本取引の成否にかかわらず支払われる固定月額報酬とされております。当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が成立した場合又は不成立となった場合に当社が負担することとなる報酬の条件等も勘案すれば、本取引の完了を条件として支払われる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないとの判断の下、PwCを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任いたしました。なお、当社は、本取引に際して実施されている他の本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を踏まえると、当社の一般株主の利益には十分な配慮がなされていると考え、PwCから本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
(ⅱ)算定の概要
PwCは、複数の株式価値算定手法の中から当社株式の株式価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討した上、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価基準方式を、当社と比較的類似する事業を営む上場会社が複数存在し、類似会社との比較による株式価値の類推が可能であることから類似会社比準方式を、また、当社の将来の事業活動の状況を評価に反映するためにDCF方式を用いてそれぞれ株式価値の算定を行いました。
PwCが上記各手法に基づき算定した当社株式の1株当たりの価値はそれぞれ以下のとおりです。
市場株価基準方式:1,083円から1,258円
類似会社比準方式:1,110円から1,223円
DCF方式 :1,243円から1,522円
市場株価基準方式では、本公開買付けに関する当社取締役会決議日の前営業日にあたる2024年7月22日を基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日終値1,159円、直近1ヶ月間の終値平均値1,258円、直近3ヶ月間の終値平均値1,186円及び直近6ヶ月間の終値平均値1,083円を基に、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を1,083円から1,258円と算定しております。
類似会社比準方式では、当社と比較的類似する事業を営む上場企業の企業価値に対するEBIT及びEBITDAの倍率を用いて、当社の株式価値を算定し、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を1,110円から1,223円と算定しております。
DCF方式では、当社が合理的に予測可能な期間まで作成した2025年3月期から2027年3月期までの事業計画における収益及び投資計画(以下「本事業計画」といいます。)、当社の2024年3月期における財務情報、及び一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2025年3月期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、事業リスク及び当社の企業規模等を勘案した上で設定したサイズプレミアムを考慮した適切な割引率で現在価値に割り引いて当社の株式価値を算定し、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を1,243円から1,522円と算定しております。なお、割引率は加重平均資本コスト(WACC:Weighted Average Cost of Capital)とし、7.76%~8.76%を採用しております。また、継続価値の算定に当たっては、永久成長率法を採用し、外部環境等を勘案した上で永久成長率を1.25%~1.75%として、継続価値を44,411百万円~54,260百万円と算定しております。
PwCがDCF方式による算定の前提とした本事業計画に基づく財務予測は以下のとおりです。なお、本事業計画には、大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2026年3月期において、前年度の設備投資(産業事業及び新規システム投資に関する初期投資)に係る支払いなどに伴い、フリー・キャッシュ・フローの対前年比756百万円(38.2%)減少を見込んでおります。また、2027年3月期において、エネルギー価格や原材料価格の高騰に対応する価格転嫁の実施などによる営業利益増加により、フリー・キャッシュ・フローの対前年比614百万円(50.3%)増加を見込んでおります。
また、本事業計画は本取引の実施を前提としたものではなく、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」に記載の本取引後の具体的な施策及びその効果については含んでおりません。
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(単位:百万円) |
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2025年3月期 |
2026年3月期 |
2027年3月期 |
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売上高 |
80,000 |
83,750 |
87,650 |
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営業利益 |
4,000 |
4,547 |
5,175 |
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EBITDA |
7,289 |
7,980 |
8,734 |
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フリー・キャッシュ・フロー |
1,977 |
1,221 |
1,835 |
(注) EBITDAは、営業利益に減価償却費を加算することで計算し、フリー・キャッシュ・フローは当該EBITDAを基に算出しています。
なお、本事業計画はPwC及びプルータスにおいて当社株式の価値算定を行うために策定されたものであり、本事業計画における2026年3月期の売上高及び営業利益の計画値は、当社が2022年5月12日付「2022~2025年度 中期経営計画の策定に関するお知らせ」において公表した中期経営計画上の2026年3月期の売上高及び営業利益の計画値と異なります。具体的には売上高は中期経営計画対比増額、営業利益は中期経営計画対比減額しておりますが、これは、当社の想定を超える原油価格高騰等によるエネルギー価格の高騰や主な原材料である鉛価格の上昇を受け、製造・物流コストが増加したこと等により、2023年3月期以降、計画を下回る実績となっていること等を考慮したものであります。もっとも、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅲ)本公開買付けにおける交渉の経緯」のとおり、当社においては、エネルギー価格や原材料価格の高騰について、価格転嫁による対応を加速して採算性の改善に努めていることから、本事業計画については、そのような施策の実施状況及び効果の見通しについても考慮しております。また、本事業計画の策定に際しては、本特別委員会において事前に策定プロセスの確認を行っており、現に古河電気工業の役職員ではなく、かつ過去に古河電気工業の役職員ではなかった者が策定責任を負うものとし、また、各事業部門の古河電気工業出身者の関与についても必要最小限とする方針及び体制がとられております。本事業計画の合理性の検証プロセス等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び意見の入手」もご参照ください。
PwCは、当社株式の株式価値の算定に際して、当社から受けた情報、ヒアリングにより聴取した情報、一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、採用したそれらの資料及び情報が全て正確かつ完全なものであること、かつ、当社株式の株式価値の算定に重大な影響を与える可能性がある事実でPwCに対して未開示の事実はないことを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。加えて、本事業計画に関する情報については、当社の経営陣による現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。また、当社の資産及び負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への評価、鑑定又は査定の依頼も行っておりません。PwCによる当社株式の株式価値の算定は、2024年7月22日までの上記情報を反映したものであります。PwCは、算定の基礎とした本事業計画について、複数回、当社と質疑応答を行い、また、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び意見の入手」に記載のとおり、本特別委員会がその内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性を確認しております。
② 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得
(ⅰ)算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係
本特別委員会は、本諮問事項(下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び意見の入手」において定義します。)の検討を行うにあたり、公開買付者ら、古河電気工業及び当社並びに本取引の成否のいずれからも独立した第三者算定機関であるプルータスに対し、当社株式の価値算定及び付随する財務分析、並びに本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)の表明を依頼し、2024年7月22日付で、本株式価値算定書(プルータス)及び本フェアネス・オピニオンを取得いたしました。本特別委員会は、2024年7月23日以後、①バイポーラ型鉛蓄電池の開発中止及び②本漏液問題を含む2025年8月7日時点までの状況を考慮しても、本株式価値算定書(プルータス)及び本フェアネス・オピニオンに影響を与える前提事実に大きな変更はないと考えられること、当社グループや業界を取り巻く中長期的な事業環境にも特段の変化はないと考えられることから、本株式価値算定書(プルータス)及び本フェアネス・オピニオンの内容の変更及び更新等は不要であると判断しております。
また、当社取締役会は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、2024年7月23日、本特別委員会から2024年7月23日付答申書を受領した際、併せて本株式価値算定書(プルータス)及び本フェアネス・オピニオンを受領しており、これらの内容も踏まえて、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載の決議を実施しております。
プルータスは、公開買付者ら、古河電気工業及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して、記載すべき重要な利害関係を有しておりません。また、本取引に係るプルータスの報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本公開買付けを含む本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
(ⅱ)算定の概要
プルータスは、複数の株式価値算定手法の中から当社株式の株式価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討した上、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法を、また、当社の将来の事業活動の状況を評価に反映するためにDCF方式を用いてそれぞれ株式価値の算定を行いました。
プルータスが上記各手法に基づき算定した当社株式の1株当たりの価値はそれぞれ以下のとおりです。
市場株価法:1,083円から1,258円
DCF方式:1,106円から1,615円
市場株価法では、本公開買付けに関する当社取締役会決議日の前営業日にあたる2024年7月22日を基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日終値1,159円、直近1ヶ月間の終値単純平均値1,258円、直近3ヶ月間の終値単純平均値1,186円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値1,083円を基に、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を1,083円から1,258円と算定しております。
プルータスがDCF方式による算定の前提とした本事業計画に基づく財務予測は以下のとおりです。DCF方式では、本事業計画、当社の2024年3月期における財務情報、及び一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2025年3月期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、事業リスクを考慮した適切な割引率で現在価値に割り引いて当社の株式価値を算定し、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を1,106円から1,615円と算定しております。なお、割引率は加重平均資本コスト(WACC:Weighted Average Cost of Capital)とし、6.20%~8.89%を採用しております。また、継続価値の算定に当たっては、永久成長率法を採用し、理論上想定される長期的な経済環境等を踏まえ永久成長率は0%として、継続価値を38,780百万円~55,577百万円と算定しております。
プルータスがDCF方式による算定の前提とした本事業計画には、大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2027年3月期において、エネルギー価格や原材料価格の高騰に対応する価格転嫁の実施などによる営業利益増加により、フリー・キャッシュ・フローの対前年比605百万円(56.5%)増加を見込んでおります。
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(単位:百万円) |
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2025年3月期 |
2026年3月期 |
2027年3月期 |
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売上高 |
80,000 |
83,750 |
87,650 |
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営業利益 |
4,000 |
4,547 |
5,175 |
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EBITDA |
7,289 |
7,980 |
8,734 |
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フリー・キャッシュ・フロー |
1,191 |
1,071 |
1,676 |
(注) EBITDAは、営業利益に減価償却費を加算することで計算し、フリー・キャッシュ・フローは当該EBITDAを基に算出しています。
また、本事業計画は本取引の実施を前提としたものではなく、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」に記載の本取引後の具体的な施策及びその効果について、上場維持コストの削減効果を除き、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、含んでおりません。
プルータスは、当社株式の株式価値の算定に際して、当社から受けた情報、ヒアリングにより聴取した情報、一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、採用したそれらの資料及び情報が全て正確かつ完全なものであること、かつ、当社株式の株式価値の算定に重大な影響を与える可能性がある事実でプルータスに対して未開示の事実はないことを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。加えて、本事業計画に関する情報については、当社の経営陣による現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。また、当社の資産及び負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への評価、鑑定又は査定の依頼も行っておりません。プルータスによる当社株式の株式価値の算定は、2024年7月22日までの上記情報を反映したものであります。プルータスは、算定の基礎とした本事業計画について、当社と質疑応答を行い、また、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び意見の入手」に記載のとおり、本特別委員会がその内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性を確認しております。
(ⅲ)フェアネス・オピニオンの概要
本特別委員会は、2024年7月22日付で、プルータスから本公開買付価格である1,400円が、当社の少数株主にとって財務的見地から公正である旨の本フェアネス・オピニオンを取得しております。本フェアネス・オピニオンは、当社が作成した事業計画に基づく当社株式の価値算定結果に照らして、本公開買付価格である1株当たり1,400円が、当社の少数株主にとって財務的見地から公正であることを意見表明するものです。なお、本フェアネス・オピニオンは、プルータスが当社から、事業の現状、将来の事業計画等の開示を受けるとともに、それらに関する説明を受けた上で実施した当社株式の株式価値算定の算定結果に加えて、本公開買付けの概要、背景及び目的に係る当社との質疑応答、プルータスが必要と認めた範囲内での当社の事業環境、経済、市場及び金融情勢等についての検討並びにプルータスにおけるエンゲージメントチームとは独立した審査会におけるレビュー手続を経て発行されております。
(注) プルータスは、本フェアネス・オピニオンを作成するに当たって当社から提供を受けた基礎資料及び一般に公開されている資料、並びに当社から聴取した情報が正確かつ完全であることを前提としております。プルータスはその正確性及び完全性について、独自の調査、検証を実施しておらず、その義務を負うものではありません。したがって、プルータスはこれらの資料の不備や重要事実の不開示に起因する責任を負いません。プルータスは、本フェアネス・オピニオンの基礎資料として用いた本事業計画その他の資料は、当該資料の作成時点における最善の予測と判断に基づき合理的に作成されていることを前提としております。プルータスはその実現可能性を保証するものではなく、これらの作成の前提となった分析若しくは予測又はそれらの根拠となった前提条件については、何ら見解を表明するものではありません。
プルータスは、法律、会計又は税務の専門機関ではありません。したがって、プルータスは本公開買付けに関する法律、会計又は税務上の問題に関して何らかの見解を述べるものでもなければ、その義務を負うものでもありません。
プルータスは、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、当社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みます。)に関して独自の評価又は鑑定を行っておらず、これらに関していかなる評価書や鑑定書の提出も受けておりません。したがって、プルータスは当社の支払能力についての評価も行っておりません。
本フェアネス・オピニオンは、当社が本公開買付けを含む本取引の公正性について検討する際の参考資料としてご使用いただく目的で、本公開買付価格の公正性に関する意見を財務的見地から表明したものです。したがって、本フェアネス・オピニオンは、本取引の代替的な選択肢となり得る取引との優劣、本取引の実施によりもたらされる便益、及び本取引実行の是非について、何らの意見を述べるものではありません。
本フェアネス・オピニオンは、当社の発行する有価証券の保有者、債権者、その他の関係者に対し、いかなる意見も述べるものではありません。したがって、プルータスは本フェアネス・オピニオンに依拠した株主及び第三者の皆様に対して何らの責任も負いません。
本フェアネス・オピニオンは、本公開買付価格が、当社の少数株主にとって財務的見地から公正か否かについて、本フェアネス・オピニオン提出日現在の金融及び資本市場、経済状況並びにその他の情勢を前提に、同日までにプルータスに供され又はプルータスが入手した情報に基づいて、同日時点における意見を述べたものです。今後の状況の変化によりこれらの前提が変化しても、プルータスはその意見を修正、変更又は補足する義務を負いません。
本フェアネス・オピニオンは、本フェアネス・オピニオンに明示的に記載された事項以外、又は本フェアネス・オピニオンの提出日以降に関して、何らの意見を推論させ、示唆するものではありません。
③ 公開買付者による算定方法
公開買付者は、本公開買付価格を決定するに際し、本取引の実現可能性の精査の為のデュー・ディリジェンスを実施し、当社の事業及び財務状況を多角的・総合的に分析したとのことです。また、公開買付者は、当社株式が金融商品取引所を通じて取引されていることに鑑みて、公開買付者親会社が本特別委員会に対して、本公開買付価格の更なる引上げは困難である旨回答を行った2024年7月19日の前営業日である2024年7月18日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値(1,161円)、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値1,283円、同直近3ヶ月間の終値単純平均値1,181円及び同直近6ヶ月間の終値単純平均値1,078円を参考にしたとのことです。公開買付者は、上記の多角的・総合的な分析を踏まえ、当社との協議及び交渉を経て本公開買付価格を決定しており、第三者算定機関からの株式価値算定書は取得していないとのことです。
本公開買付価格である1,400円は、本公開買付けの開始予定の公表日(2024年7月23日)の前営業日である2024年7月22日の当社株式の東京証券取引所プライム市場における終値1,159円に対して20.79%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,258円に対して11.29%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値1,186円に対して18.04%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,083円に対して29.27%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となっているとのことです。また、当社株式1株当たりの本公開買付価格1,400円は、本公開買付けの開始についての公表日の前営業日である2025年8月6日の当社株式の東京証券取引所プライム市場における終値1,390円に対して0.72%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となっているとのことです。
(4)上場廃止となる見込み及びその事由
当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場に上場されていますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。
また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、公開買付者は、本公開買付けの成立後に、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び古河電気工業売却予定株式を除きます。)の取得を目的とした手続を実施することを予定しているとのことですので、その場合、当社株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、当社株式が上場廃止となった後は、当社株式を東京証券取引所において取引することはできません。
上場廃止を目的とする理由及び少数株主への影響及びそれに対する考え方については、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」及び下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」をご参照ください。
(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)
公開買付者は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、当社を公開買付者の完全子会社とする方針とのことであり、本公開買付けが成立した場合であって、本公開買付けにより当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び古河電気工業売却予定株式を除きます。)を取得することができなかった場合には、本公開買付けの決済の完了後速やかに、当社に対して、以下の方法により、当社の株主を公開買付者及び古河電気工業のみとするための手続を行うよう要請することを予定しているとのことです。
具体的には、本公開買付けの成立後、公開買付者は、会社法第180条に基づき、当社株式の併合を行うこと(以下「本株式併合」といいます。)及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を11月中旬頃に開催することを当社に要請する予定であり、公開買付者及び古河電気工業は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。
本臨時株主総会において本株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた本株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなります。本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた当社の株主に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じとします。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになります。当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の各株主(但し、公開買付者、古河電気工業及び当社を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うよう当社に要請する予定とのことです。また、当社株式の併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者は、当社に対して、公開買付者及び古河電気工業のみが当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の各株主(但し、公開買付者、古河電気工業及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定するよう要請する予定とのことです。当社は、本公開買付けが成立した場合には、公開買付者によるこれらの要請に応じる予定です。
また、本株式併合に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、本株式併合により株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めにしたがって、当社の株主は、当社に対してその所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格決定の申立てを行うことができる旨が定められています。上記のとおり、本株式併合においては、本公開買付けに応募されなかった当社の各株主(但し、公開買付者、古河電気工業及び当社を除きます。)が所有する当社株式の数は1株に満たない端数となる予定ですので、本株式併合に反対する当社の株主は、価格決定の申立てを行うことができることになる予定です。なお、上記申立てがなされた場合の当社株式の買取価格は、最終的には裁判所が判断することとなります。
上記の各手続については、関係法令についての改正、施行、当局の解釈等の状況、本公開買付け後の公開買付者及び古河電気工業の株券等所有割合及び公開買付者以外の当社の株主の当社株式の所有状況等によっては、実施に時間を要し、又はそれと概ね同等の効果を有するその他の方法に変更する可能性があります。但し、その場合でも、本公開買付けに応募されなかった当社の各株主(但し、公開買付者、古河電気工業及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定される予定とのことです。
なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記の手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様において自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。
(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置
公開買付者及び当社は、本日現在、公開買付者と当社の支配株主(親会社)である古河電気工業との間で本不応募契約を締結しており、古河電気工業と当社の少数株主の利害が必ずしも一致しない可能性もあることを踏まえ、本公開買付価格の公正性を担保し利益相反を回避する観点から、以下の措置を実施しました。
なお、公開買付者は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本書提出日現在、当社の親会社である古河電気工業が当社株式18,781,200株(所有割合:57.30%)を所有しているため、本公開買付けにおいていわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けにおける買付予定数の下限が高くなり、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する少数株主の利益に資さない可能性もあるものと考えられることから、「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定していないとのことです。もっとも、本公開買付けにおいては、公開買付者及び当社において以下の措置を講じていることから、公開買付者としては、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えているとのことです。
また、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
① 当社における独立した特別委員会の設置及び意見の入手
A.2024年7月23日付答申書
(ⅰ)設置等の経緯
当社は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅰ)検討体制の構築の経緯」に記載のとおり、2020年10月下旬、公開買付者ら、古河電気工業及び当社並びに本取引の成否のいずれからも独立した、当社の社外取締役(独立役員)である飯村北氏及び佐藤達郎氏並びに当社社外監査役(独立役員)である小川幸伸氏の3名によって構成される本特別委員会を設置いたしました。本特別委員会の委員は設置当初から変更しておらず、また、本特別委員会の委員の報酬は、答申内容にかかわらず支給されるタイムチャージ制度の報酬のみとしており、本公開買付けの開始や本公開買付けを含む本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
そして、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅰ)検討体制の構築の経緯」に記載の経緯を経て、当社は、2024年2月28日開催の当社取締役会決議により、本特別委員会に対して、①当社取締役会に対し取引の実施を勧告するか(取引が当社株式に対する公開買付けを含む場合には、当該公開買付けについて賛同すべきか否か、また、当社株主に対して公開買付けへの応募を推奨すべきか否かに係る勧告を含む。)、②当社取締役会における取引の実施についての決定が当社の少数株主にとって不利益なものでないか(以下、総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問しました。
加えて、当社取締役会は、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して本取引に関する意思決定を行うこと、及び特別委員会が本取引の取引条件が妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は当該取引条件による本取引の承認をしないことを決議するとともに、本特別委員会に対して、以下の権限を付与することを決議しました。
(a)当社が本取引に係る関係者との間で行う協議・交渉過程に実質的に関与し、本特別委員会が必要と認める場合には本取引に係る関係者との間で自ら協議・交渉を行うこと(本取引の関係当事者との間で本取引の諸条件又はこれに付随関連する事項に係る契約を締結する場合には当該契約の内容の協議・交渉を行うことを含む。)
(b)本特別委員会においてリーガル・アドバイザー、ファイナンシャル・アドバイザー等のアドバイザーを選任し(この場合の費用は当社負担とする。)、又は、当社のリーガル・アドバイザー、ファイナンシャル・アドバイザー等のアドバイザーを指名・承認(事後承認を含む。)すること
(c)当社の役職員、本取引の関係者その他本特別委員会が必要と認める者から必要な事項を聴取し又は必要な情報を受領すること
(d)事業計画の内容及び作成の前提に係る情報を含め、当社の役職員から本取引に関する検討及び判断に必要な情報を受領すること
(e)その他本取引に関する検討及び判断に際して必要と本特別委員会が認める事項
(ⅱ)検討の経緯
本特別委員会は、本諮問事項に関して、2024年2月28日より同年7月23日まで合計24回にわたって、それぞれ委員3名全員出席のもと開催され、本諮問事項に関する審議を行ったほか、各会日間においても電子メール等を通じて、報告・情報共有等を行うなどして、本諮問事項について、慎重に検討及び協議を行っております。具体的には、本特別委員会は、まず、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載の経緯を前提に、2024年2月下旬、本取引に関して、公開買付者ら、古河電気工業及び当社並びに本取引の成否のいずれからも独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてPwCを選任することを改めて承認するとともに、同じく公開買付者ら、古河電気工業及び当社並びに本取引の成否のいずれからも独立したリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を選任することを改めて承認しました。その上で、本特別委員会は、本諮問事項の検討にあたり、当社から、当社の事業環境、公開買付者らが提案する本取引の目的、本取引が当社事業に与える影響等について説明を受け、これらの点に関する質疑応答を行いました。また、本特別委員会から公開買付者らに対して、エナジーウィズの事業内容、経営成績、財務状態その他事業環境等を含め、公開買付者らの事業環境、本取引の目的及び背景、本取引実行後の経営方針等につき質問し、公開買付者らより、書面による回答を受領するとともに、複数回のヒアリングを実施しました。本特別委員会は、当社から直近の業績及び事業計画の内容等について説明を受け、これらの点に関する質疑応答を行いました。更に、第三者算定機関であるPwC及びプルータスから、当社株式の株式価値の算定結果に関する説明を受け、質疑応答を行いました。加えて、本特別委員会は、当社より、当社と公開買付者らとの間の本公開買付価格に係る交渉状況の説明を適時に受け、質疑応答を行いました。また、本特別委員会は、当社のリーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程等について説明を受け、これらの点に関する質疑応答を行いました。
(ⅲ)判断内容
本特別委員会は、上記の各調査、協議及び検討の内容を踏まえ、当社のリーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所からの法的助言の内容も踏まえつつ、本諮問事項について慎重に協議及び検討を行った結果、2024年7月23日に、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、以下の内容の2024年7月23日付答申書を提出しております。
(a)答申内容
本特別委員会から当社取締役会に対する2024年7月23日時点の答申内容は以下のとおりである。但し、本取引については、競争法上の届出対応等のため、公表から本公開買付けの開始までに相応の期間を要することが想定されており、本公開買付けの開始までの期間において、当社の市場株価その他の本取引の前提若しくはその条件等に重要な変更が生じ、又は本取引の実施若しくはその条件等の妥当性等に重要な影響を及ぼす事象が生じた場合、別途の考慮を要する可能性がある。そのため、本特別委員会の答申は、2024年7月23日付答申書作成時点の状況を前提とした2024年7月23日付答申書作成時点の答申である。
ⅰ.当社取締役会に対し本取引の実施を勧告する。当社は本公開買付けについて賛同の立場を表明し、当社株主に対して公開買付けへの応募を推奨すべきと思料する。
ⅱ.取締役会における本取引の実施についての決定は、当社の少数株主にとって不利益なものでないと思料する。
(注) 取締役会における本取引の実施に係る決定には、(ⅰ)本公開買付けに賛同の意見を表明し、当社株主に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の決定、並びに(ⅱ)本株式併合の実施に係る決定その他の本取引の一環として本公開買付け後に行われる当社の非公開化の手続及び本自己株式取得に係る決定を含む。
(b)答申理由
ⅰ.以下の各事項を含む関係事情を考慮した結果、特別委員会は、本取引は当社の企業価値の向上に資すると判断するに至った。
●本取引の背景及び目的
・本取引の主たる目的は、当社を非公開化することによって親子上場に伴う構造的な弊害を解消するとともに、鉛蓄電池業界の事業環境・経営環境に迅速かつ柔軟に対応し、当社の企業価値の向上効果を実現することにある。
・鉛蓄電池業界を取り巻く事業環境・事業構造を踏まえると、鉛蓄電池の需要は短中期的には残存するものと見込まれるものの、長期的には新たな市場・用途領域でのシェア獲得に向けた競合他社との競争環境の激化が想定される。そのため、今後の当社の中長期的な成長のためには、生産の効率化等で国内の既存事業の競争力を強めるだけではなく、新興国市場での海外事業の拡大や、競争力を持った新たな電池の開発、新規事業の立上げ、それらを達成するための人材育成といった重要な課題に対して、短期的な業績視点にとらわれない中長期的な視点での経営の舵取りが求められる状況にある。本取引によって、新たにエナジーウィズ及び公開買付者親会社と協働・連携することにより、このような事業環境・経営環境の変化に対応することは本取引を行う一つの目的である。
・また、本取引によってエナジーウィズと当社が公開買付者親会社の下で一つのグループとして事業運営を行い、グローバルで競争力のある蓄電ソリューションプロバイダーとしての更なる成長を図っていくことも本取引の目的の一つである。現在の親会社である古河電気工業が本取引後も公開買付者親会社の株主として当社との資本関係を継続することは、当社とエナジーウィズが公開買付者親会社の下で一つのグループとして、より早期に協業効果を発現させることにも繋がると考えられる。
●本取引に伴う企業価値向上効果(シナジー)の内容及びその実現可能性
・既存事業における利益拡大という観点では、当社においてこれまでに一定程度の対応がなされてきたが、APの投資実績、各種ノウハウ、経験豊富で能力の高い人材群と、TCの粗利改善、合理化施策によるコストダウンについての知見に加え、AP及びTCが既にエナジーウィズをグループ傘下としており鉛蓄電池業界についての知見も相当程度有していると推測される。これらの事情も踏まえるとエナジーウィズ並びにAP及びTCとの協働による粗利改善、合理化施策による当社のコストダウンについての実現可能性は相当程度高いと考えられる。
・新規事業の育成という観点では、当社ではこれまでに必ずしも十分なリソースの投入が行われていなかったが、本取引後における公開買付者親会社の積極的なリソースの投下により、当社の新規分野の開拓が一層進むことが期待される。AP及びTCは、現在の当社の親会社である古河電気工業とは異なり、既に公開買付者親会社を通じてエナジーウィズに対する投資を行い、積極的な支援をしているとのことであり、当社とエナジーウィズとの協働を想定して本取引を行う以上、AP及びTCにおいて鉛蓄電池事業は相応の重点が置かれる分野であることが想定されるから、新規分野におけるリソースの投入に関しても、実現可能性が相当程度高いものと考えられる。
・エナジーウィズとの提携・協業の実施という観点では、製品ラインナップの相互補完、次世代電池等の研究開発共同化、原材料の共同購買によるスケールメリット、営業効率改善等の施策が考えられる。エナジーウィズとの共同購入によるスケールメリットや共同配送及び物流倉庫の相互活用等による物流効率化といったコストに関する施策は、両社が同一事業を営んでいることから実現可能性が高く、また、エナジーウィズとの協働により今まではリーチできなかったエナジーウィズの顧客へのアプローチが可能になり、販路拡大にもつながることが想定される。
・持続可能な開発目標(SDGs)の実現への貢献という観点では、鉛蓄電池のリサイクル等についての優位性は明らかであるが、バイポーラ型鉛蓄電池については現時点では研究開発に十分なリソースを割くことができていなかったものと考えられ、エナジーウィズと協働することで、必要な人材や知見が集まることが期待され、また、公開買付者親会社によるサポートにより十分な資力等があれば、バイポーラ型蓄電池についても製品化に向けた更なる前進が促進される。
・経営基盤強化のための支援という観点では、AP及びTCによる新規顧客獲得・マーケット拡大、必要なパートナーとの提携やM&Aの活用、経営人材育成の仕組み作り、指標の見える化を通じた経営への規律の導入、営業体制強化に関する支援が期待され、AP及びTCの実績に照らせばこれらの支援は十分に可能な内容であると考えられる。
・以上から、本取引によるエナジーウィズとの協働及びAP及びTCからのスポンサー支援等の企業価値向上効果には合理的な実現可能性がある。
●本取引による事業上の悪影響の可能性の検証
・本取引実施後、当社は上場廃止となるから、株式市場から大きな資金調達ができなくなるといった資金調達における悪影響も考え得るものの、AP及びTCによるサポートを考えれば、資金面においても上場廃止による直接的な影響は考えづらい上、相当金額を必要とする上場コストの削減も期待される。
・上場企業の信用を重視する者も一定程度いることから、人材の確保等が難しくなる可能性も想定されるが、AP及びTCのサポートによる人材の斡旋等によりカバーすることは可能であると考えられる上、むしろこれまで以上に当社の成長・発展が期待できることを説明することから、当社の従業員の採用活動やリテンションに好影響を与える可能性もある。
・なお、古河電気工業のグループから離脱することに伴う悪影響については、現時点においても当社と古河電気工業との取引は年間3億円程度と多額ではなく、現状行っている取引の価格その他の取引条件は当社と関連を有しない独立当事者間の取引と同様の条件によっており、今後も同様の取引を維持できることが想定されることから、同社グループからの離脱による特段のデメリットは想定されない。
・以上から、本取引のデメリットが当社の事業に与える影響は大きくないと考えられる。
●本取引以外の選択肢についての検討
・現時点においては公開買付者以外に、本取引に代替する取引の提案はなされておらず、また、鉛蓄電池業界における国内外の有力な競合他社は限られており、本取引のように類似規模の競合他社(本取引におけるエナジーウィズ)との協業によるシナジーが期待できる提案者が現れる可能性は乏しい。
・古河電気工業による当社株式の早期の第三者への譲渡を前提とし、かつ、当社へのシナジー効果が十分見込まれる取引でなければならないことを考慮すれば、現時点において本取引以外の選択肢を想定することは難しい。
ⅱ.以下の各事項を含む関係事情を考慮した結果、本特別委員会は、当社の少数株主の利益を図る観点から、本取引の取引条件の妥当性は確保されていると判断するに至った。
●本取引の方法は少数株主の利益を損なうものではないこと
・本取引においては、一段階目として現金を対価とする公開買付けを行い、二段階目である本公開買付け後のスクイーズアウトに際しては、現金を対価とする株式併合の方法を採用することが予定されているところ、かかる手法は、本取引のような非公開化を目指す取引においては一般的に採用されている方法であり、特段不合理な点はない。
・本事業計画は、その策定体制及び手続、プルータス及びPwCからの意見、当社から説明を受けた作成方針、重要な前提条件及びその他の内容等に鑑みて、当社株式の算定の前提とする事業計画として合理性があるものである。具体的には、本事業計画は、当社の中期経営計画策定手続と同様の合理的作成過程を経て作成されたものであり、古河電気工業の役職員ではなく、かつ過去に古河電気工業の役職員ではなかった者が策定責任を負うものとし、また、各事業部門の古河電気工業出身者の関与についても必要最小限とする方針及び体制が採られている。本事業計画は、当社からの作成方針等の説明、プルータス及びPwCからの意見、重要な前提条件及び作成経緯等に鑑みて、その内容も、当社株式の算定の前提とする事業計画として合理性があるものである。また、本特別委員会は、本事業計画につき、2022年5月30日付の中期事業計画との対比における、その後の当社の実績や経営環境の変化等を踏まえた合理性の検証も行ったが、特段不合理な点は認めなかった。なお、本事業計画に関連して、同計画策定後、当社が取引先に納入した製品の一部ロットにおいて不具合が発生し、同計画に盛り込まれていない損失の可能性が発覚したものの、当委員会としては、当社の少数株主の利益に配慮する観点などから、本公開買付価格に係る各算定機関の価値算定に際して、本事業計画を維持することが合理的であると判断した。
・本株式価値算定書(プルータス)は、算定方法及び算定内容について特に不合理な点は認められず、信用できるものと判断されるところ、本公開買付価格は、本株式価値算定書(プルータス)の市場株価法における評価レンジの上限値を上回り、DCF方式における評価レンジの中央値(1,360.5円)を上回る水準となっている。
・本特別委員会の第三者評価機関であるプルータスから受けた本フェアネス・オピニオンにおいて、プルータスは、本公開買付価格が当社の少数株主にとって財務的見地から公正なものと考える旨の意見を述べているところ、本フェアネス・オピニオンの発行手続及び内容に特に不合理な点は認められない。
・本株式価値算定書(PwC)は、算定方法及び算定内容について特に不合理な点は認められず、信用できるものと判断されるところ、本公開買付価格は、市場株価基準方式及び類似会社比準方式における評価レンジの上限値を上回り、また、DCF方式における評価レンジの中央値(1,382.5円)を上回る水準となっている。
・本公開買付価格のプレミアム水準は、プルータスの評価基準日(2024年7月22日)の終値(1,159円)及び同日以前1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の各期間にわたる株価終値の平均値(それぞれ、1,258円、1,186円、1,083円)に対してはそれぞれ20.79%、11.29%、18.04%、29.27%、PwCの評価基準日である2024年7月22日の終値(1,159円)及び同日までの1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の各期間にわたる株価終値の平均値(それぞれ、1,258円、1,186円、1,083円)に対しては、それぞれ20.79%、11.29%、18.04%、29.27%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となっている。この点、本公開買付けの開始予定の公表日の過去1ヶ月又は過去3ヶ月の終値平均値との対比におけるプレミアムの水準については、PwCから提供された過去の同種の非公開化事案におけるプレミアム水準と同等であるとは必ずしもいえない。しかしながら、2024年6月後半の当社株式の市場取引及び市場価格の状況は通常とは異なる状況にあり、より中長期的な株価動向を重視することに一定の合理性があると考えられるところ、本公開買付価格の直近6ヶ月の終値単純平均値に対するプレミアム水準は上記過去事例との対比においても相応の水準と評価し得ることも勘案すると、市場価格に対するプレミアムの水準の観点からも本公開買付価格は不合理なものではないと評価し得る。また、本公開買付価格は将来の収益力に基づき企業価値及び株式価値を算定する手法であるDCF方式によりPwC及びプルータスが算定した評価レンジの中央値を上回る水準となっていること、第三者算定機関であるプルータスから本公開買付価格が当社の少数株主にとって財務的見地から公正なものと考える旨の本フェアネス・オピニオンが提出されていることに鑑みても、プレミアムの水準が不合理とはいえず、合理的なプレミアムの水準にあると評価できると考えられる。
●本自己株式取得価格は少数株主の利益の観点から妥当であること
・本自己株式取得価格は古河電気工業を除く少数株主の経済的利益を最大化することを目的として、古河電気工業が本自己株式取得に応じた場合に法人税法に定めるみなし配当の益金不算入規定が適用されることにより、古河電気工業が理論上享受し得る税務メリットを最大限考慮した場合においても、古河電気工業が本公開買付けに応募する場合と本自己株式取得に応じる場合とで税引き後の手取金額が同等となる金額として設定されており、本取引において本自己株式取得が行われるからといって、当社の少数株主の犠牲のもとに、古河電気工業が不当に利益を得るものではない。
・本特別委員会においては、本古河電気工業出資の価格の設定方針についても、公開買付者関係者(公開買付者及び公開買付者親会社に加え、AP及びTCを総称していう。以下「① 当社における独立した特別委員会の設置及び意見の入手」において同じ。)に確認を行った。その結果、本古河電気工業出資における公開買付者親会社の普通株式1株当たりの払込価額は、AP、TC及び古河電気工業で同一価格とするなど、古河電気工業を少数株主と比して有利に取り扱っているものではないことについて説明を受け、少数株主の利益その他の株主間の公平の観点から、古河電気工業を不当に利する価格の設定は行われないことを確認した。
●その他の条件も少数株主の利益を損なうものとは認められないこと
・下記「(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「③ 資本業務提携に関する合意書」に記載のとおり、本取引実行後も当面の間(少なくとも本株式併合の効力発生日後3年間)、当社グループの従業員の雇用や、商号、商標及びブランドの表示等について維持されることが合意されており、当社の事業活動が現状と同様に維持されることが見込まれる。また、資本業務提携に関する合意書において、シナジー委員会及びその他のプロジェクトチームを設置し業務提携に向けた協議を行うことも予定されている。資本業務提携に関する合意書における合意が遵守されることにより、当社の事業及び経営体制等を当面維持しつつ、エナジーウィズとの業務提携に向けた協議を進めることが期待でき、スムーズな業務提携が見込まれる。
・その他、本公開買付価格及び本自己株式取得価格以外の本取引の取引条件に関しても、当社の少数株主の犠牲のもとに、公開買付者関係者が不当に利益を得るものと認めるべき事由は確認されておらず、本取引の取引条件の妥当性を害する事情は見当たらない。
・本公開買付けにおいては、上記のとおり、本前提条件を条件として開始することが予定されているところ、かかる条件についても、本取引においては、関係法域における競争法上の届出を本取引の公表後に行う必要があること等の事情があることに鑑みれば、特段不合理なものではない。
ⅲ.以下の各事項を含む関係事情を考慮した結果、本特別委員会は、当社の少数株主の利益を図る観点から、本取引の手続には公正性が認められると判断するに至った。
・本特別委員会は、古河電気工業より初期的な意向表明を受けた後速やかに設置されている。
・本特別委員会の委員は、当社の独立社外取締役2名及び独立社外監査役1名であり、本特別委員会の設置に先立ち、当社は、各委員について公開買付者関係者、古河電気工業及び当社からの独立性を有していること、及び本取引の成否に関して少数株主とは異なる重要な利害関係を有していないことを確認している。
・当社取締役会は、当委員会の判断内容を最大限尊重して本取引に関する意思決定を行う旨、並びに、本特別委員会に対し、(a)当社が本取引に係る関係者との間で行う協議・交渉過程に実質的に関与し、本特別委員会が必要と認める場合には本取引に係る関係者との間で自ら協議・交渉を行うこと(本取引関連契約の内容の協議・交渉を行うことを含む。)、(b)本特別委員会においてリーガル・アドバイザー、ファイナンシャル・アドバイザー等のアドバイザーを選任し(この場合の費用は当社負担とする。)、又は、当社のリーガル・アドバイザー、ファイナンシャル・アドバイザー等のアドバイザーを指名・承認(事後承認を含む。)すること、(c)当社の役職員、本取引の関係者その他本特別委員会が必要と認める者から必要な事項を聴取し又は必要な情報を受領すること、(d)事業計画の内容及び作成の前提に係る情報を含め、当社の役職員から本取引に関する検討及び判断に必要な情報を受領すること、及び(e)その他本取引に関する検討及び判断に際して必要と本特別委員会が認める事項について権限を付与する旨を決議している。
・本特別委員会の委員は、通常の役員報酬以外に、委員としての職務に関する報酬を受領しているが、委員としての職務に関する報酬は答申内容にかかわらず支払われるタイムチャージによる報酬である。
・本特別委員会は、本特別委員会独自の第三者算定機関としてプルータスを、その独立性、専門性及び実績等を確認した上で選任し、その助言を受けるとともに、本株式価値算定書(プルータス)及び本フェアネス・オピニオンを取得している。
・当社は、公開買付者関係者、古河電気工業及び当社並びに本取引から独立したリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を選任し、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引の諸手続並びに本取引に係る当社の意思決定の方法及びその過程等に関する助言を含む法的助言を受けた。
・本特別委員会は、当社のリーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所について、その独立性、専門性及び実績等を確認した上で、その選任を承認するとともに、必要に応じて助言を受け、それに基づき本取引の検討において講じるべき公正性担保措置の内容及び程度について検討し、その採否を判断した。
・当社は、公開買付者関係者、古河電気工業及び当社並びに本取引から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてPwCを選任し、当社株式の価値算定、公開買付者との交渉方針に関する助言を含む財務的見地からの助言及び補助を受けるとともに、2024年7月22日付で本株式価値算定書(PwC)を取得した。
・本特別委員会は、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるPwCについても、その独立性の程度、専門性及び実績等を確認した上で、その選任を承認し、必要に応じて助言を受けた。
・公開買付者関係者及び当社は、当社が公開買付者以外の買収提案者(以下「対抗的買収提案者」といいます。)と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、対抗的な買付け等の機会を妨げないこととすることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮している。
・公開買付期間は、法第27条の2第2項及び金融商品取引法施行令第8条第1項の規定する下限である20営業日とすることを予定している。しかし、本公開買付けの開始に当たっては、国内外(日本及びタイ)の競争法に基づく必要な手続及び対応に一定の期間を要することから、公開買付者は、2025年3月下旬を目途に本公開買付けの開始を目指しているとのことであり、本公開買付けの予定を公表した2024年7月23日から本公開買付の開始までの期間を含めると、本公開買付けの予定の公表後、公開買付者以外の者による対抗提案が可能な期間が実質的には法令に定められた最短期間よりも長期(少なくとも30営業日以上)にわたる期間が設定されている。したがって、本取引において公表後に他の潜在的な買収者が対抗提案を行うことが可能な環境が確保されている。
・本公開買付けにおいてマジョリティ・オブ・マイノリティ条件は設定されていないが、仮に同条件を設定する場合には本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する少数株主の利益に資さない可能性もあることに加え、本取引においては他に十分な公正性担保措置が講じられていると認められることから、本特別委員会は、同条件の設定がなされていないことをもって手続の公正性が損なわれるものではないと考える。
・本特別委員会は、本公開買付けに関する開示書類のドラフトについて、PwC及び森・濱田松本法律事務所からも助言を受け、その内容を確認している。また、本取引に関しては、本特別委員会としても、公開買付者関係者、古河電気工業及び当社のそれぞれに対して本特別委員会への出席を求め、関係事項の説明を受けるとともに、不明点を質問する等して情報の入手に努めた。その結果、本取引に関しては、必要十分な開示がなされており、少数株主による十分な情報に基づく適切な判断の機会が確保される予定であると認められると判断した。
・公開買付者は、本公開買付けの成立後、本株式併合及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会を速やかに開催することを当社に要請する予定であるとのことであり、本株式併合をする際に、当社の株主に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定されることを明らかとしていることから、当社の株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これをもって強圧性が生じないように配慮していると認められる。
・その他本取引に係る協議、検討及び交渉の過程において、当社が公開買付者関係者又は古河電気工業より不当な影響を受けたことを推認させる事実は認められないこと
ⅳ.以上のⅰ乃至ⅲのとおり、本取引は、当社の企業価値の向上に資するものと認められるとともに、本取引の取引条件は、少数株主の利益を図る観点からも妥当であり、かつ、本取引においては公正な手続が実施されている。したがって、本特別委員会は、当社取締役会に対し、本公開買付けが開始された場合には、(ⅰ)本公開買付けに賛同の意見を表明し、当社株主に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の決定、及び(ⅱ)本取引の一環として本公開買付け後に行われる当社の非公開化の手続に係る決定を行うことを勧告する。また、同様に、本特別委員会は、当社取締役会が本取引の実施に係る決定を行うことは、当社の少数株主にとって不利益なものでないと思料する。
B.2025年8月7日付答申書
(ⅰ)検討の経緯
当社は、2024年7月23日開催の当社取締役会決議により、本特別委員会に対して、本公開買付けが開始される際には、2024年7月23日付答申書の意見に変更がないか否かを検討し、当社の取締役会に対し、従前の意見に変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見(以下「本追加諮問事項」という。)について諮問しました。
上記2024年7月23日付当社取締役会決議による諮問を受けて、本特別委員会は、2024年7月24日から2025年8月7日までの間、合計14回にわたって、それぞれ委員3名全員出席のもと開催され、本追加諮問事項に関する審議を行ったほか、各会日間においても電子メール等を通じて、報告・情報共有等を行うなどして、本追加諮問事項について慎重に協議及び検討を行っております。
具体的には、本特別委員会は、本追加諮問事項の検討にあたり、以下のとおり、当社から、当社の事業環境、直近の業績及び事業計画の内容等について説明を受け、これらの点に関する質疑応答を行いました。更に、第三者算定機関であるPwC及びプルータスから、当社株式の株式価値の算定結果に関する説明を受け、質疑応答を行いました。また、本特別委員会は、当社のリーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程等について説明を受け、これらの点に関する質疑応答を行いました。
ⅰ.本前提条件の充足状況等の確認
本特別委員会は、公開買付者において、タイにおける競争法に基づく手続及び対応が2025年1月30日に完了し、2025年7月2日をもって本公開買付けの開始に向けて取得が必要となる日本の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了した旨の連絡その他の情報を踏まえ、本前提条件のうち、当社及び当委員会による行為に関する条件以外の条件がいずれも充足されたことを確認いたしました。
また、本特別委員会は、本取引に際して、本取引等に関連する当事者の義務等を規定するものとして2024年7月23日付で締結された本覚書に関し、本公開買付けの開始までに履行されるべき義務の履行状況等についても確認いたしました。
ⅱ.事業計画の確認及び当社株式価値の再算定の要否の検証
本特別委員会は、当社が本公開買付けにおける公開買付価格の協議、交渉等や当社株式価値の算定の前提とした本事業計画について、その後の当社業績(実績)も踏まえ検討を行いましたが、本事業計画は、その内容、重要な前提条件及び作成経緯等に鑑みても、公開買付者関係者との公開買付価格の交渉の前提とする事業計画として合理性がある旨の判断を変更すべき事情はないことを確認いたしました。
また、本特別委員会は、プルータス作成の本株式価値算定書(プルータス)及び本フェアネス・オピニオン並びにPwC作成の本株式価値算定書(PwC)の基準日である2024年7月22日以降、本事業計画の修正を要する後発事象等も発生していないことを確認した上、当社株式価値の再算定を行う必要はないと判断いたしました(当該判断に際し、本特別委員会は、いわき事業所投資計画の進捗や、当該進捗に応じた本事業計画の修正の要否についても、慎重に検討いたしました。)。
なお、上記基準日以降、当社においては、①バイポーラ型鉛蓄電池の開発中止を決定し、また、②本漏液問題が発生したことにより、2025年3月期決算において、本漏液問題に対する保証費用として製品保証費用1,858万円を特別損失に計上し、①及び②のそれぞれについてその旨を開示しております。もっとも、本特別委員会は、①についてはバイポーラ型鉛蓄電池以外の既存事業等における本取引に伴う企業価値向上効果(シナジー)の内容及びその実現可能性等を勘案し、また、②については当社株式価値算定にあたり引き下げ要因にはなり得るものの引き上げ要因になるとは解し難い点等を考慮した結果、これらの事情を勘案しても、2024年7月23日付で当社の取締役会に対し行った答申内容を変更すべき事情及び取締役会における本取引の実施についての決定が一般株主にとって公正なものではないと判断すべき事情(下記「(ⅱ)判断内容」の「(b)答申理由」参照)は見当たらないと判断いたしました。
ⅲ.本特別委員会の第三者算定機関からの財務的な助言の取得
本特別委員会は、本特別委員会独自の第三者算定機関であるプルータスから、本取引に関して財務的な観点から助言を取得いたしました。
ⅳ.当社のファイナンシャル・アドバイザー兼第三者算定機関からの財務的な助言の取得
本特別委員会は、当社のファイナンシャル・アドバイザー兼第三者算定機関であるPwCから、本取引に関して財務的な観点から助言を取得いたしました。
ⅴ.当社のリーガル・アドバイザーからの法的な助言の取得
本特別委員会は、当社のリーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所から、本取引の検討過程において公正性を担保するためにとるべき措置、当委員会における審議の方法及び過程、公開買付者関係者との交渉等について随時助言を取得いたしました。
ⅵ.当社から受領した資料の検討
本特別委員会は、バイポーラ型鉛蓄電池の開発中止に関する資料、本漏液問題の対応及びこれらに伴う決算への影響に関する資料並びに当社の2025年3月期の事業報告、計算書類及び連結計算書類並びに有価証券報告書のほか、公開買付者から開示を受けた本公開買付けに係る公開買付届出書のドラフト、当社が2025年8月7日に公表する予定の本公開買付けに関する意見表明に係るプレスリリース及び2026年3月期第1四半期決算短信並びにエナジーウィズの財務情報等を含む関連資料(これらを総称して、以下「本検討対象資料」という。)の提供を受け、その検証を行いました。
ⅶ.その他の対応事項
本特別委員会は、本取引公表後、Sector Theta ASという外国投資会社から当社取締役会宛てに書簡が送付され、本公開買付価格の妥当性やマーケット・チェックなど手続の公正性について質問を受けたことに関し、当該書簡への返答案を事前に確認いたしました。
(ⅱ)判断内容
本特別委員会は、以上の経緯で、2025年8月7日に、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、以下の内容の2025年8月7日付答申書を提出しております。
(a)答申内容
本特別委員会は、当社取締役会に対し、本追加諮問事項に関し、2024年7月23日付答申書における答申内容に変更はない旨及び取締役会における本取引の実施についての決定は一般株主にとって公正なものであると思料する旨を答申する。
(b)答申理由
ⅰ.本取引のスキーム
公開買付者関係者及び当社からの説明並びに本検討対象資料によれば、本取引のスキームは、2024年7月23日付答申書の第三の1.及び本意見表明プレスリリース「3.本公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載されているとおりである。
2024年7月23日以降、当社が所有する自己株式数は、2024年3月31日時点の22,332株から2025年6月30日時点の22,436株に変動があったことから、買付予定数の下限が3,070,600株から3,070,500株に変更されており、また、公開買付期間について20営業日と設定する予定であったところ21営業日に設定されているが、その他特段の変更はない。
ⅱ.本取引は当社の企業価値の向上に資するか否かという視点
公開買付者関係者及び当社からの説明並びに本検討対象資料によれば、2024年7月23日付答申書において検討した、(ⅰ)本取引の背景及び目的、(ⅱ)本取引に伴う企業価値向上効果(シナジー)の内容及びその実現可能性、(ⅲ)本取引による事業上の悪影響の可能性の検証、並びに(ⅳ)本取引以外の選択肢についての検討に関して、2024年7月23日付答申書の第三の3.及び上記「① 当社における独立した特別委員会の設置及び意見の入手」の「A.2024年7月23日付答申書」の「(ⅲ)判断内容」に記載されているとおりであり、特段変更すべき事情は見当たらない。以上より、当委員会は、2024年7月23日付答申書の第三の3.及び上記「① 当社における独立した特別委員会の設置及び意見の入手」の「A.2024年7月23日付答申書」の「(ⅲ)判断内容」に記載されている本取引は当社の企業価値の向上に資するものであるとの意見を変更する必要はないとの判断に至った。
ⅲ.本取引の取引条件の妥当性及び手続の公正性が認められるかという視点
●取引条件の妥当性の検討
・取引条件の変更の有無
当社によれば、買付予定数の下限が3,070,600株から3,070,500株に変更されたこと及び公開買付期間が20営業日から21営業日に変更されたことを除き、2024年7月23日時点から、本取引の条件に変更はないことを公開買付者から確認しているとのことである。
なお、本特別委員会は、上記公開買付期間の変更は、2024年7月23日付答申書における検討内容を左右する事情ではないものと判断している。
・本公開買付価格を維持することの当否
当社によれば、本事業計画や当社株式価値の評価に重大な影響を及ぼし得る重要な状況の変化は発生していないとのことである。本特別委員会としても、いわき事業所投資計画の進捗や、バイポーラ型鉛蓄電池の開発中止及び本漏液問題の発生を含む2024年7月23日以降に発生又は判明した事象も考慮し慎重に検討を行ったが、現時点において、本取引との関係において本事業計画を更新して株式価値算定を再度実施する必要性は認めていない。本漏液問題の発生は当社業績に大きな影響を及ぼしているが、特別損失(製品保証費用)の計上等により業績を下方修正する要因となっており(現に当社は2024年9月26日に2025年3月期の通期連結業績予想の下方修正を行っている。)、当社株式価値を引き下げる要因となりこそすれ、引き上げる要因になるとは解し難い。
また、本特別委員会は、本特別委員会の第三者評価機関であるプルータスから2024年7月22日付の本株式価値算定書(プルータス)及び本公開買付価格が当社の少数株主にとって財務的見地から公正であることに関する2024年7月22日付の本フェアネス・オピニオンを取得しているところ、当社は株式価値算定の前提となった本事業計画を変更する予定はないこと及び現時点においてプルータスが当社から聴取した内容によれば本事業計画を変更すべき後発事象等は見当たらないこと等を踏まえ、本事業計画を前提とする本株式価値算定書(プルータス)のアップデートは行われておらず、また、プルータスによれば本追加答申書提出日においても、本フェアネス・オピニオンの妥当性は変わらないものと認識しているとのことである。プルータスによれば、2025年8月7日時点で新たな算定は実施していないが、本株式価値算定書(プルータス)に用いた前提と現時点でプルータスが当社より聴取した内容及び2024年7月22日以降に明らかになった当社業績等を比較したところ、概算では算定をアップデートしても、本株式価値算定書(プルータス)の評価レンジが大きく変動することはないと見ているとのことである。また、プルータスは2025年8月7日時点でのフェアネス・オピニオンの可否を正式には検討していないが、仮に現時点で算定を更新しても本株式価値算定書(プルータス)の株価レンジに重要な変更がないとすれば、改めてフェアネス・オピニオンの依頼を受けた場合でも、当時の意見に変わりはないとの整理が可能であろうとのことである。
加えて、当社は、当社のファイナンシャル・アドバイザー兼第三者算定機関であるPwCから2024年7月22日付の本株式価値算定書(PwC)を取得しているところ、当社は株式価値算定の前提となった本事業計画を変更する予定はないこと及び現時点においてPwCが当社から聴取した内容によれば本事業計画を変更すべき後発事象等は見当たらないこと等を踏まえ、本事業計画を前提とする本株式価値算定書(PwC)のアップデートは行われていない。本特別委員会としても、当社が株式価値算定の前提となった本事業計画を変更する予定のないこと及び当社から聴取した内容によれば本事業計画を変更すべき後発事象等は見当たらないこと、本事業計画はそれ以前に公表されていた財務予測と大きく異なる財務予測を用いていないこと、及び本公開買付価格の検討の前提となる株式価値算定において割引率や継続価値などに関して重要な前提条件が置かれていないこと等を踏まえると、現時点において、本株式価値算定書(プルータス)、本フェアネス・オピニオン及び本株式価値算定書(PwC)の内容について不合理な点は認められず、各算定書等をアップデートする必要性を認めていない。
なお、本特別委員会は、2024年7月23日時点で、プルータスの同日付の本株式価値算定書(プルータス)及びPwCの同日付の本株式価値算定書(PwC)による各算定について、いずれも、その割引率の設定(前提となるβ値の設定を含む。)や継続価値の算定方法を含めて検討の上、特に不合理な点は認められないものと判断し、その旨2024年7月23日付答申書に記載していたところである。本特別委員会としては、引き続き当該判断に変更はない。なお、割引率の決定における追加的なリスク・プレミアムの考慮及び継続価値の算定については、永久成長率法を採用すること自体はDCF法の算定において一般的であり、サイズ・プレミアムの考慮及び永久成長率の設定に関して、プルータスとPwCにおいて若干の相違があるが、いずれも相応に理由があり、不合理ではないものと思料する。
・その他の取引条件を維持することの当否
本特別委員会は本公開買付価格が維持されることに加え、本自己株式取得価格や本覚書及び本合意書に定める内容が維持されることについても検証を行ったが、PwCより2024年7月24日以降、本自己株式取得価格の分析に影響を与える税制の変更その他の事情は生じていない旨を聴取しており、また、本覚書及び本合意書についても、その変更を求めるべき事情が生じていないことを確認している。
・小括
以上より、本特別委員会は、2024年7月23日付答申書の第三の4.(1)及び「① 当社における独立した特別委員会の設置及び意見の入手」の「A.2024年7月23日付答申書」の「(ⅲ)判断内容」に記載されている当社の少数株主の利益を図る観点から、本取引の取引条件の妥当性が認められるとの意見を変更する必要はないとの判断に至った。
●手続の公正性の検討
・2024年7月23日以降も本特別委員会の委員構成に変更はなく、本特別委員会は、当社、当委員会独自の第三者算定機関であるプルータス、当社のリーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所、並びに当社のファイナンシャル・アドバイザー兼第三者算定機関であるPwCから、本答申の内容等について助言を受け、本答申書のドラフトについて複数回にわたり審議している。
・さらに、本特別委員会はプルータスから本株式価値算定書(プルータス)及び本フェアネス・オピニオンを、当社はPwCから本株式価値算定書(PwC)を取得しているところ、本特別委員会は、これらに影響を与える前提事実(本事業計画の内容を含む。)に重要な変更は存在しないと認識しており、プルータス及びPwCにおいても同じ認識である旨確認している。
・加えて、2024年7月23日以降、本特別委員会の承認を受けた当社の独立した検討体制に変更はなく、引き続き適切な検討体制が構築され、また、有効に機能していたものと評価できる。また、本取引に関連する当社取締役会における審議及び決議並びに本取引の検討・交渉には、引き続き、利害関係のない取締役のみが参加する予定であるとのことである。
・上記のほか、当社は、2024年7月23日以降も公開買付者関係者との間で、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は行っていないため、他の買収者が当社に対して買収提案を行う機会は確保されていたといえる。また、本公開買付けは本日に開始される予定であるところ、本公開買付けの公表から本公開買付けの開始日までの期間を含めれば対抗提案が可能な期間が実質的には法令に定められた公開買付期間の最短期間よりも長期(少なくとも30営業日以上)にわたって確保されており、当社の株主に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保しつつ、公開買付者以外の者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保されることにより、いわゆる間接的なマーケット・チェックを実施し、これをもって本公開買付けの公正性を担保することを企図している。
なお、本取引において、市場における潜在的な買収者の有無を調査・検討する、いわゆる積極的なマーケット・チェックとしての入札により複数の法的拘束力ある提案が提出されたわけではないが、2019年6月28日に経済産業省により公表された「公正なM&Aの在り方に関する指針」においても、マーケット・チェックの方法として、そもそも入札手続のような積極的なマーケット・チェックを行うことが必須とはされていない。また、当委員会としては、AP及びTC以外の他の候補者(事業会社1社及び金融投資家1社)との間で初期的な意向確認を行い、提案を募るプロセスを実施したことに鑑みれば、その意味では本取引に関しては積極的マーケット・チェック又はこれに準じたプロセスがとられたと評価するところである。このような本取引の検討にかかる経緯や本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するために実施された各種措置の内容等を勘案すれば、本取引においてマーケット・チェックの観点から特段公正性が阻害されることはないと考えられる。
・また、本特別委員会は、本公開買付けの開始に伴って開示される書類のドラフトについて、PwC及び森・濱田松本法律事務所から説明を受け、本取引について2024年7月23日以降の事実関係も含めて充実した情報開示がなされる予定であることを確認した。
・加えて、本取引に係る協議、検討及び交渉の過程において、当社が公開買付者関係者又は古河電気工業より不当な影響を受けたことを推認させる事実は2025年8月7日時点においても認められないものと考えられる。
・以上より、2024年7月23日付答申書の第三の4.(2)及び上記「① 当社における独立した特別委員会の設置及び意見の入手」の「A.2024年7月23日付答申書」の「(ⅲ)判断内容」に記載されている当社の少数株主の利益を図る観点から、本取引の手続には公正性が認められるとの意見を変更する必要はないとの判断に至った。
ⅳ.取締役会における本取引の実施についての決定が一般株主にとって公正なものであるか否か
本特別委員会は、本諮問事項の諮問後に東京証券取引所が定める有価証券上場規程の改正(2025年7月7日公表、同年同月22日施行)及び会社情報適時開示ガイドブックの改訂がなされたことを踏まえ、取締役会における本取引の実施についての決定が一般株主にとって公正なものであるか否かについても検討を行った。
●本特別委員会が当社取締役会に提出した2024年7月23日付答申書において、本特別委員会は、取締役会からの諮問事項への答申として、「取締役会における本取引の実施についての決定は、当社の少数株主にとって不利益なものでないと思料する」との意見を述べているが、この意見を検討するにあたり、当委員会は本取引が当社の企業価値向上に資するか否かという視点及び本取引の取引条件の妥当性及び手続の公正性が認められるかという視点から、少数株主にとって不利益なものでないか否かにとどまらず、一般株主にとって公正なものであるか否かについても検討している。
本特別委員会は、2024年7月23日付答申書の提出時点においても、本公開買付けに賛同の意見を表明し、当社株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを含めて、当社取締役会が本取引の実施に係る決定を行うことは一般株主にとって公正なものであると判断していたところであるが、2024年7月23日付答申書における意見及びその検討並びに上述した2024年7月23日以降の事情の検討を踏まえても、引き続き、取締役会における本取引の実施についての決定が一般株主にとって公正なものであると思料する。
② 当社における独立したリーガル・アドバイザーからの助言の取得
当社は、本公開買付けに係る当社取締役会の意思決定の過程における公正性及び適正性を確保するために、公開買付者ら、古河電気工業及び当社並びに本取引の成否のいずれからも独立したリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を選任し、同事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けております。
なお、森・濱田松本法律事務所は、当社及び公開買付者らの関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して、記載すべき重要な利害関係を有しておりません。また、本取引に係る森・濱田松本法律事務所の報酬は、本取引の成否にかかわらず、稼働時間に時間単価を乗じて算出するものとされており、本公開買付けを含む本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。更に、本特別委員会において、森・濱田松本法律事務所の独立性に問題がないことが確認されております。
③ 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
当社は、公開買付者らから提示された本公開買付価格に対する意思決定の過程における公正性を担保するために、公開買付者ら、古河電気工業及び当社並びに本取引の成否のいずれからも独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として、PwCに当社株式の株式価値の算定を依頼し、PwCから2024年7月22日付で本株式価値算定書(PwC)を取得しました。
なお、PwCは、公開買付者ら、古河電気工業及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して、記載すべき重要な利害関係を有しておりません。また、本取引に係るPwCに対する報酬は、本取引の完了を条件に支払われる成功報酬及び本取引の成否にかかわらず支払われる固定月額報酬とされております。当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が成立した場合又は不成立となった場合に当社が負担することとなる報酬の条件等も勘案すれば、本取引の完了を条件として支払われる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないとの判断の下、上記の報酬体系によりPwCを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任いたしました。
なお、当社取締役会は、2024年7月23日開催の当社取締役会以降、当社においては、①バイポーラ型鉛蓄電池の開発中止及び②本漏液問題を含む2025年8月7日時点までの状況を考慮しても、本株式価値算定書(PwC)に影響を与える前提事実に大きな変更はないと考えられること、当社グループや業界を取り巻く中長期的な事業環境にも特段の変化はないと考えられること、並びに、上記「① 当社における独立した特別委員会の設置及び意見の入手」の「B.2025年8月7日付答申書」の「(ⅱ)判断内容」に記載のとおり、特別委員会が本株式価値算定書(PwC)の内容の変更及び更新等を要請する必要はないと判断していることも踏まえ、本株式価値算定書(PwC)の内容の変更及び更新等は不要であると判断しております。本株式価値算定書(PwC)の概要は、上記「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」の「(ⅱ)算定の概要」をご参照ください。
④ 当社における独立した検討体制の構築
当社は、本特別委員会の指示を受け、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、公開買付者ら及び古河電気工業から独立した立場で、当社の企業価値の向上及び当社の少数株主の皆様の利益の確保の観点から、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制を当社の社内に構築いたしました。
具体的には、本特別委員会は、古河電気工業から初期的な打診を受けて同委員会が設置された後速やかに、構造的又は潜在的な利益相反の影響を受けるおそれを排除する観点から、古河電気工業の役職員を現に兼務し又は過去に兼務していた当社の役職員は、本取引及び含む当社の資本政策に係る取引についての検討、協議及び交渉には関与しない方針とすることを確認し、当社においては、かかる取扱いを継続しております。
また、本特別委員会は、公開買付者ら及び古河電気工業との間の協議、交渉に限らず、その前提となる公開買付者らによるデュー・ディリジェンスへの対応や本事業計画の策定に関しても、これらに関与する当社役職員やその具体的な関与のあり方についても事前に報告を求め、公開買付者ら及び古河電気工業から独立した立場から公正な検討プロセスを経る観点から問題がないか、検証を行っております。
⑤ 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得
本特別委員会は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者ら、古河電気工業及び当社並びに本取引の成否のいずれからも独立した第三者算定機関であるプルータスに対して、当社の株式価値の算定を依頼し、2024年7月22日付で本株式価値算定書(プルータス)を取得して参考にしておりました。なお、プルータスは、公開買付者ら、古河電気工業及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して、記載すべき重要な利害関係を有しておりません。
また、本特別委員会は、プルータスに、本公開買付価格が当社の少数株主にとって財務的見地から公正である旨の本フェアネス・オピニオンを2024年7月22日付で取得しております。
なお、特別委員会は、2024年7月23日開催の当社取締役会以後、①バイポーラ型鉛蓄電池の開発中止及び②本漏液問題を含む2025年8月7日時点までの状況を考慮しても、本株式価値算定書(プルータス)及び本フェアネス・オピニオンに影響を与える前提事実に大きな変更はないと考えられること、当社グループや業界を取り巻く中長期的な事業環境にも特段の変化はないと考えられることから、本株式価値算定書(プルータス)及び本フェアネス・オピニオンの内容の変更及び更新等は不要であると判断しております。
詳細につきましては、上記「(3)算定に関する事項」の「② 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」の「(ⅱ)算定の概要」をご参照ください。
⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見
当社は、森・濱田松本法律事務所から受けた法的助言、PwCから取得した本株式価値算定書(PwC)並びに本特別委員会がプルータスから取得した本株式価値算定書(プルータス)及び本フェアネス・オピニオンの内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された2024年7月23日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引を通じて当社の企業価値を向上させることができるか、本取引は公正な手続を通じて行われることにより少数株主の享受すべき利益が確保されるものとなっているか等の観点から慎重に協議を行いました。その結果、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、本取引が当社の企業価値の向上に資するものであるとともに、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると判断し、当社取締役会は、2024年7月23日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(取締役合計9名のうち、過去に古河電気工業の役職員であった黒田修氏及び千葉徹氏並びに現在古河電気工業の役職員である高木啓史氏を除く6名)の全員一致で、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をしておりました。なお、上記取締役会に出席した監査役(監査役合計3名のうち、過去に古河電気工業の役職員であった上村高敏氏を除く2名)はいずれも上記決議を行うことについて異議がない旨の意見を述べております。
そして、今般、当社は、公開買付者から、タイにおける競争法に基づく手続及び対応が2025年1月30日に完了し、2025年7月2日をもって本公開買付けの開始に向けて取得が必要となる日本の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことから、その他の本前提条件が充足されることを前提として、2025年8月8日を本公開買付けの開始日として本公開買付けを開始したい旨の連絡を2025年7月4日に受け、本特別委員会は、当社に対して、2024年7月23日以後、本取引に影響を及ぼし得る重要な状況変化が発生しているか否かに関する事実関係の確認等を行い、上記諮問事項について検討を行った結果、2024年7月23日以後、①バイポーラ型鉛蓄電池の開発中止及び②本漏液問題を含む2025年8月7日までの事情を勘案しても2024年7月23日付で当社取締役会に対し行った答申内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2025年8月7日に、委員全員の一致の決議により、当社取締役会に対して、上記答申内容を変更する必要はないものと考える旨及び当社取締役会における本取引の実施についての決定は一般株主にとって公正なものであると思料する旨の2025年8月7日付答申書を提出しました。その上で、当社は、本特別委員会から提出された2025年8月7日付答申書の内容を最大限尊重しながら、当社の業況や本取引を取り巻く環境を踏まえ、本公開買付けに関する諸条件について改めて慎重に検討を行った結果、2025年8月7日現在においても、2024年7月23日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断したことから、2025年8月7日開催の当社取締役会において、改めて、本公開買付けに対して賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨を決議いたしました。
上記の2025年8月7日の当社取締役会においては、当社の取締役9名のうち、黒田修氏及び小林慶太氏は過去に古河電気工業の役職員であったことがあり、また、高木啓史氏は現に古河電気工業の役職員であることから、利益相反の疑いを回避するため、上記取締役会における審議及び決議に一切参加しておらず、また、当社の立場において、本取引に関して、公開買付者ら及び古河電気工業との協議及び交渉に一切参加しておりません。なお、上記取締役会に出席した監査役(監査役合計3名のうち、過去に古河電気工業の役職員であった上村高敏氏を除く2名)はいずれも上記決議を行うことについて異議がない旨の意見を述べております。
⑦ 他の買付者からの買付機会を確保するための措置
公開買付者は、公開買付期間を21営業日に設定しているところ、本公開買付けの予定を公表した2024年7月23日から本公開買付けの開始までの期間が長期にわたったため、公開買付者以外の者による当社株式に対する買付け等の機会は確保されているものと考えているとのことです。実際に、本公開買付けの予定の公表から現在に至るまで1年以上が経過していますが、対抗提案等はなされておりません。
加えて、公開買付者関係者及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、対抗的な買付け等の機会を妨げないこととすることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しております。
また、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅰ)検討体制の構築の経緯」に記載のとおり、当社は他の買付候補者との比較を通じてAP及びTCが選定された経緯があります。したがって、公開買付者以外の者による当社株式に対する買付け等の機会は既に十分に設けられていたと考えております。
⑧ 当社の株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保するための措置
公開買付者は、上記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、(ⅰ)本株式併合及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む本臨時株主総会の開催を当社に要請をすることを予定しており、当社の株主に対して株式買取請求権又は価格決定請求権が確保されない手法は採用しないこと、(ⅱ)本株式併合を行う際に、当社の株主に対価として交付される金銭は本公開買付価格に当該各株主(但し、公開買付者、古河電気工業及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数を乗じた価格と同一となるように算定されることを明らかにしていることから、当社の株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これをもって強圧性が生じないように配慮しているとのことです。
(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項
① 本不応募契約
本公開買付けに際し、公開買付者は、古河電気工業との間で、2024年7月23日付で本不応募契約を締結し、古河電気工業は、古河電気工業売却予定株式(18,781,200株)について本公開買付けに応募しないことを合意しているとのことです。但し、本不応募契約締結後、公開買付期間満了日までに、対抗的買収提案者から本公開買付価格を5%以上(注)上回る買付け等の価格により当社株式を対象とする公開買付け(以下「適格対抗公開買付け」といいます。)が開始された場合又は適格対抗公開買付けに係る提案(適格対抗公開買付けの決済を行うために必要となる資金を確保することができる合理的な根拠があるものに限り、かつ、適格対抗公開買付けに係る取得価額以外の事由も勘案の上、本取引より優れていると合理的に判断できるものに限る。)若しくは今後適格対抗公開買付けに該当する提案となる可能性が合理的に認められるその他の提案(以下、適格対抗公開買付けと総称して「適格対抗提案等」といいます。)で具体的かつ実現可能性が合理的に認められるものを受領した場合、古河電気工業は、本不応募契約に定める自らの義務の違反がない場合に限り公開買付者に対して本公開買付価格及び本自己株式取得価格の変更について協議を申し入れることができ、かかる協議を踏まえても、公開買付者が本公開買付価格を適格対抗提案等における公開買付けに係る買付け等の価格以上の金額に変更し、かつ、本自己株式取得価格につき、その算定の際に用いたものと同様の手法に基づいて、適格対抗提案等に係る取得対価を基準に本自己株式取得による税効果を考慮して算定される金額以上に変更しなかった場合には、本契約を解除できることも合意しているとのことです。
(注) 当該数値は公開買付者及び古河電気工業の間の交渉により決められたものであるとのことです。
本不応募契約においては、(ⅰ)本公開買付けの決済後、本株式併合の実施に必要な事項を議案とする株主総会の開催を含む、当社の株主を公開買付者及び古河電気工業のみとするために必要な手続を実施させ、当該手続に必要な一切の行為を行うこと、(ⅱ)当社をして、本株式併合の効力発生日から本自己株式取得の実行日までの間に、法令等上可能な範囲で、当社の各子会社が保有する現金を、当該各子会社から当社に対し、配当又は貸付けの方法で支払わせるとともに、公開買付者からの借入れを行わせること、(ⅲ)本自己株式取得を行うために必要な分配可能額を確保するため、当社をして本減資等を実施させること、(ⅳ)本株式併合の効力発生後速やかに、古河電気工業は、本自己株式取得により、本自己株式取得価格である994円に、本株式併合の効力発生直前時における古河電気工業売却予定株式(但し、本株式併合により1株未満の端数となった部分に相当する株式(もしあれば)を除く。)の数を乗じた金額を対価の総額として、古河電気工業が所有する当社株式の全てを当社に譲渡することを合意しているとのことです。
なお、本不応募契約において、本前提条件、公開買付者及び古河電気工業による表明保証事項(注)、株主総会における議決権を除く株主権の不行使、クリアランスの取得に向けた対応及び協力、公開買付者における資金調達に関する古河電気工業の協力、本付随契約の内容の協議義務、当社グループに関する情報提供への協力、本前提条件充足に向けた公開買付者及び古河電気工業の努力義務、公開買付者及び古河電気工業が本不応募契約に基づく自らの義務の不履行又は表明保証事項に違反した場合の補償義務、契約上の地位又は権利義務の譲渡禁止、公開買付者及び古河電気工業各自に発生する費用及び公租公課の負担義務を合意しているとのことです。
(注) 本不応募契約において、公開買付者は、(1)設立及び存続の有効性、(2)本不応募契約の締結及び履行に必要な権利能力及び行為能力、(3)本不応募契約の有効性及び強制執行可能性、(4)本不応募契約の締結及び履行についての関係法令への抵触の不存在、(5)倒産手続等の不存在、(6)反社会的勢力との取引及び活動又は運営への関与の不存在、(7)日本及びタイの競争法並びに外為法に基づく必要な手続及び対応以外に必要となるクリアランスの不存在、(8)資金調達の確実性について表明及び保証を行っているとのことです。本不応募契約において、古河電気工業は、(1)設立及び存続の有効性、(2)本不応募契約の締結及び履行に必要な権利能力及び行為能力、(3)本不応募契約の有効性及び強制執行可能性、(4)本不応募契約の締結及び履行についての関係法令への抵触の不存在、(5)古河電気工業売却予定株式の適法かつ有効な所有・担保権等の不存在、(6)当社による当社グループ株式の適法かつ有効な所有、(7)倒産手続等の不存在、(8)反社会的勢力との取引及び活動又は運営への関与の不存在、(9)当社グループが古河電気工業又はその子会社と締結している契約に係る独立当事者間取引基準、(10)当社公表の有価証券報告書その他の開示書類の内容の適正性、(11)財務諸表等の正確性、(12)親会社又は兄弟会社を制約する契約の不存在、(13)訴訟等の不存在、(14)許認可等の維持、(15)関係法令の遵守、(16)環境に関連する訴訟等の不存在、(17)未公表の重要事実の不存在について表明及び保証を行っています。
② 本覚書
本公開買付けに際し、当社は、公開買付者との間で、2024年7月23日付で、以下の内容の覚書(以下「本覚書」という。)を締結しております。本覚書においては、(ⅰ)当社において、本公開買付けの決済後、本株式併合の実施に必要な事項を議案とする株主総会の開催を含む、当社の株主を公開買付者及び古河電気工業のみとするために必要な手続を実施し、当該手続に必要な一切の行為を行うこと、(ⅱ)当社において、本株式併合の効力発生日から本自己株式取得の実行日までの間に、法令等上可能な範囲で、当社の各子会社が保有する現金を、当該各子会社から当社に対し、配当又は貸付けの方法で支払わせるとともに、公開買付者からの借入れを行うこと、(ⅲ)本自己株式取得を行うために必要な分配可能額を確保するため、当社において本減資等を実施すること、(ⅳ)本株式併合の効力発生後速やかに、古河電気工業は、本自己株式取得により、本自己株式取得価格である994円に、本株式併合の効力発生直前時における古河電気工業売却予定株式(但し、本株式併合により1株未満の端数となった部分に相当する株式(もしあれば)を除く。)の数を乗じた金額を対価の総額として、古河電気工業が所有する当社株式の全てを当社に譲渡することを合意しています。
また、上記のほか、当社及び公開買付者による表明保証事項(注1)、当社グループにおける従前の慣行に従った通常の業務の範囲内における業務遂行義務、当社グループによる業務遂行における重要事項及びインサイダー取引規制の対象となる行為の実施に係る事前協議義務、本取引の実行に伴い必要となる諸手続の履践に係る義務、当社グループに関する情報提供義務、当社における本覚書締結日以降本公開買付けの開始日までの間の剰余金配当の不実施義務、いわき事業所投資計画の対応に関する協議義務、本付随契約の内容の協議義務、公開買付者及び当社における本取引の実施に係る資金調達の実施に関する義務、2024年7月23日から本自己株式取得の実行日までの間、公開買付者以外の者から、本取引と実質的に抵触し又は本取引の実行を困難にする取引の具体的提案(以下「対抗提案」といいます。)があった場合の協議義務、当社及び公開買付者が本覚書に基づく自らの義務の不履行又は表明保証事項に違反した場合の補償義務、本覚書の解除・終了(注2)、当社及び公開買付者各自に発生する費用及び公租公課の負担義務等を合意しております。
(注1) 本覚書において、当社は、(1)設立及び存続の有効性、(2)本覚書の締結及び履行に必要な権利能力及び行為能力、(3)本覚書の有効性及び強制執行可能性、(4)本覚書の締結及び履行についての関係法令との抵触の不存在、(5)当社株式の適法かつ有効な発行及び当社による当社グループ株式の適法かつ有効な所有、(6)倒産手続等の不存在、(7)反社会的勢力との取引及び活動又は運営への関与の不存在、(8)当社公表の有価証券報告書その他の開示書類の内容の適正性、(9)2024年4月1日以降の重大な後発事象の不存在、(10)訴訟等の不存在、(11)関係法令の遵守、(12)公開買付者への適切な情報開示について表明及び保証を行っています。本覚書において、公開買付者は、(1)設立及び存続の有効性、(2)本覚書の締結及び履行に必要な権利能力及び行為能力、(3)本覚書の有効性及び強制執行可能性、(4)本覚書の締結及び履行についての関係法令との抵触の不存在、(5)倒産手続等の不存在、(6)反社会的勢力との取引及び活動又は運営への関与の不存在、(7)資金調達の確実性について表明及び保証を行っています。
(注2) 本覚書において、当社は、(1)公開買付者の表明及び保証の重大な違反があった場合、(2)公開買付者に本覚書上の義務の重大な不履行があった場合、(3)公開買付者について倒産手続の開始の申立てがなされた場合、(4)公開買付者が2026年1月末日までに本公開買付けを開始しない場合、(5)対抗提案(本公開買付価格を上回る金額に相当する取得対価により当社の株式を対象とする公開買付け(当社の株式の買付予定数の上限がないものに限る。)を含む提案又はその他これに準じた当社の株式の非公開化の提案(組織再編によるものを含む。)であって、当該提案に係る取引を行うために必要となる資金を確保することができる合理的な根拠があるものに限り、かつ、当該公開買付けに係る取得価額以外の事由も勘案の上、本取引より優れていると合理的に判断できるものに限る。以下本項において同じ。)が行われ、公開買付者との間で協議を経た場合において、本覚書を解除した上で、対抗提案を行った者との間で対抗提案に係る協議又は交渉を行わないことが取締役の善管注意義務に違反する合理的な可能性があると合理的に判断されるとき、及び(6)本特別委員会が本公開買付けに対して反対する旨の答申を提出した場合又は賛同する旨の答申を撤回した場合に、本覚書を解除できるものとされております。また、公開買付者は、(1)当社の表明及び保証の重大な違反があった場合、(2)当社に本覚書上の義務の重大な不履行があった場合、及び(3)当社に倒産手続の開始の申立てがなされた場合に、本覚書を解除できるものとされております。
③ 資本業務提携に関する合意書
当社は、本取引の実行後における当社及び公開買付者親会社の経営体制等並びに当社とエナジーウィズの間の資本及び業務上の提携に関し、公開買付者ら及び古河電気工業との間で、2024年7月23日付で、資本業務提携に関する合意書(以下「本合意書」という。)を締結しております。本合意書においては、(ⅰ)当社による公開買付者親会社の取締役候補者1名の指名権、(ⅱ)本取引実行後も当面の間(少なくとも本株式併合の効力発生日後3年間)、当社グループの従業員の雇用や、商号、商標及びブランドの表示等について維持されること、並びに当社の工場、事業所その他の生産・研究開発の拠点及び支店、支社、営業所等の部署又は施設に係る統廃合の実施については、当社取締役会の意見を尊重すること、(ⅲ)当社において、定款変更、合併その他の組織再編又は解散・清算等の会社の基礎的事項に係る変更を行う場合の当事者間における協議義務、並びに(ⅳ)シナジー委員会その他のプロジェクトチームを設置し既存事業の利益拡大、新規事業の創出、エナジーウィズとの間の提携・協業等の事項について業務提携に向けた協議を行うことを合意しております。
また、上記のほか、当社、公開買付者ら及び古河電気工業が本合意書に基づく自らの義務に違反した場合の補償義務、契約上の地位又は権利義務の譲渡禁止、当社、公開買付者ら及び古河電気工業各自に発生する費用及び公租公課の負担義務、本合意書上の義務の非連帯を合意しております。
④ 本付随契約
当社と古河電気工業は、本取引後の当社の事業の円滑な運営を目的とし、2025年8月7日付で移行サービス契約書(以下「本付随契約」といいます。)を締結しております。
本付随契約においては、当社と古河電気工業は、当社が古河電気工業の子会社でなくなることに伴い当社において必要となる対応事項に係る古河電気工業による支援、締結日時点で古河電気工業から当社に提供されている役務提供の継続、当社グループと古河電気工業及びそのグループ会社との間の既存の契約の存続、古河電気工業から当社に提供されているオフィスの使用継続、当社グループと古河電気工業の間のブランド活用に関する契約を始めとする古河電気工業及びそのグループ会社との間の契約の維持並びに秘密保持その他の一般条項について合意しております。
⑤ 本株主間契約
APファンド、TC、TCIP及び古河電気工業は、2025年8月1日付で、公開買付者を通じた本取引の実施、本取引実施後の公開買付者親会社及び公開買付者のガバナンス等に関する本株主間契約を締結しております。本株主間契約においては、(ⅰ)本親会社出資の実施並びに本古河電気工業出資の条件及び実施方法、(ⅱ)公開買付者による本不応募契約上の義務の履行、(ⅲ)本覚書及び本TCブリッジローンの実施に係る契約上の義務の履行、古河電気工業による本不応募契約上の義務の履行、並びに(ⅳ)APファンドによる公開買付者親会社に関する表明保証事項(注1)のほか、本取引が完了した後の(ⅰ)公開買付者親会社における株式所有割合及び議決権割合(APファンド約60%、TCIP約20%、古河電気工業約20%とすること)、(ⅱ)公開買付者の機関構成をAPファンド指名取締役1名とすること、(ⅲ)当社の取締役について、APファンドは2名、TCは1名、古河電気工業は1名(公開買付期間満了日(本公開買付けが成立した場合に限る。)後最初に到来する当社の取締役の任期満了時以降は、APファンドは7名、TCは1名、古河電気工業は1名)をそれぞれ指名する権利を有すること、(ⅳ)当社の取締役会その他重要な会議体へのAPファンド、TC及び古河電気工業によるオブザーバー派遣の権利、(ⅴ)公開買付者並びにその子会社及び関連会社(以下「本公開買付者グループ」という。)が重要な業務執行の決定を行う場合の意思決定方法、(ⅵ)本公開買付者グループによる業務執行に係る事前承諾事項(注2)、並びに(ⅶ)デッドロック時の誠実協議について合意しているとのことです。
(注1) 本株主間契約において、APファンドは、公開買付者親会社並びにエナジーウィズ及びその子会社の(1)設立及び存続の有効性、(2)倒産手続等の不存在、(3)反社会的勢力との取引及び活動又は運営への関与の不存在について表明及び保証を行っています。
(注2) 本株主間契約において、(1)本公開買付者グループにおける重要な業務執行の決定には、公開買付者の取締役の承認を要し、また当社の取締役会に先立って、当該承認を求めるべき事項につきAPファンド、TC及び古河電気工業で協議すること、(2)組織再編又は会社の基礎的事項に係る変更を行う場合のAPファンド、TC及び古河電気工業による事前同意事項、(3)公開買付者の配当、公開買付者の取締役に対する報酬、本公開買付者グループの子会社(当社を除きます。)の解散等についての協議義務が定められています。
|
氏名 |
役職名 |
所有株式数(株) |
議決権の数(個) |
|
黒田 修 |
代表取締役社長 |
5,400 |
54 |
|
河合 哲也 |
取締役専務執行役員 |
1,700 |
17 |
|
田口 仁 |
取締役常務執行役員 |
4,500 |
45 |
|
外崎 直人 |
取締役常務執行役員 |
― |
― |
|
小林 慶太 |
取締役執行役員 |
― |
― |
|
江口 直也 |
取締役 |
― |
― |
|
飯村 北 |
取締役 |
― |
― |
|
佐藤 達郎 |
取締役 |
― |
― |
|
高木 啓史 |
取締役 |
― |
― |
|
上村 高敏 |
監査役 |
2,600 |
26 |
|
小川 幸伸 |
監査役 |
― |
― |
|
木川 真希子 |
監査役 |
― |
― |
|
計 |
14,200 |
142 |
|
(注1) 役職名、所有株式数及び議決権の数は本書提出日現在のものです。
(注2) 取締役である江口直也、飯村北、佐藤達郎は社外取締役です。
(注3) 監査役である小川幸伸、木川真希子は、社外監査役です。
(注4) 監査役木川真希子の戸籍上の氏名は、上野眞希子です。
該当事項はありません。
以 上