第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

当社グループは、独自性、先駆性をもった「光創造企業」として、常に世界の光マーケットで顧客のニーズを先取りし、そのニーズに具体的に応える新しい高付加価値製品・サービスの開発・提供を行い、事業の拡充を目指します。

また、すべてに「グローバルスタンダード」をベースとした高い企業倫理を確立し、革新的でスピーディーな経営を行うとともに、社会や環境との共生・共存を図り、ステークホルダーの信頼と期待に応えてまいります。

 

(2)経営戦略等

当社グループは、連結利益の最大化と長期成長に向けた光事業の拡大に向けて、既存事業を強化しつつ、新製品開発、新規用途開拓及び新規事業化のための戦略投資を積極的に推進してまいります。

平成30年3月期を初年度とする中期経営計画では、当社グループを取り巻く経営環境変化の中で、「次なる飛躍への基礎固め」をキーワードに「既存事業の収益性維持・改善」及び「新たな成長機会への追求」を重点経営課題として掲げ、設定した経営目標の達成を目指してまいります。

 1.既存事業の収益性維持・改善

既存市場における競争力強化により収益性とシェアを維持してまいります。光源事業においては生産工場でのIT・ロボット化や適地生産体制などを強化することで生産性及び品質を向上させ、また競争力のある製品ラインナップの拡充によりシェアを維持してまいります。装置事業においては、光学装置分野では高コスト体質改善の取り組みを継続的に行うとともに、好調な市況環境を背景に収益性を着実に改善してまいります。また、映像装置分野においては抜本的な収益構造改革を実行するとともに、市場競争力のある新製品を積極的に市場投入することで収益性を改善してまいります。

 2.新たな成長機会の追求

既存技術・既存製品の強みを活かした新たな市場への参入や新規事業の早期立ち上げを進めてまいります。光源事業では、既存技術・既存製品を活かした新規市場展開を拡大してまいります。具体的には、新たな市場として主に環境衛生分野(空気・水・ウィルス)などに着目し拡大を図ってまいります。また、独自性のある新光源(固体光源)の事業を早期に確立することで、既存ランプの置き換え需要に対応しつつ、新規市場への参入機会を増やしてまいります。装置事業の光学装置においては、新たなEUV検査用光源事業を着実に推進するとともに、IoTの拡大や5Gの進展によるデータセンターの拡大を背景とした各種露光装置の投資機会を着実に捉え拡大してまいります。また、映像装置では、既存の映像装置を活かした高付加価値なトータルソリューションビジネスを成長分野であるエンターテインメント市場で本格的に展開していくことにより拡大してまいります。装置事業に含まれるメディカル事業では、既存製品を活かした事業展開強化と中国を中心とした地域戦略により事業化を促進してまいります。

お、新たな成長機会を追求していくうえで、従来のモノの販売だけでなく、それに付随したサービスなど一貫して提供する提案型のビジネスモデルへ変革してまいります。また、シナジーを重視したM&A投資や事業提携を積極的に活用していくことで、新たな成長機会の追求を加速してまいります

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

中期経営計画の最終年度である平成32年3月期の達成目標として、連結営業利益150億円、連結営業利益率7.5%を重要業績評価指標(KPI)として設定し、各施策を着実に進めることで達成を目指してまいります。

 

(4)経営環境

当社グループを取り巻く経営環境を展望いたしますと、エレクトロニクス分野では、液晶分野の設備投資は中国を中心に継続しているものの、スマートフォンの市場成長は鈍化傾向にあります。また、中小型液晶パネルはハイエンドモデルを中心に有機ELの採用が進むものと予想されます。半導体分野では、スマートフォンの高性能化やIoT進展によるデータセンター向け高精細パッケージの需要やセンサー系電子部品の需要増加を背景とした露光装置の投資機会拡大が予想されます。一方で、エレクトロニクス分野全般においてエンドユーザーによるコスト効率化志向が高まっており、長寿命タイプ光源の採用拡大が継続すること、及び価格競争の激化による収益性への影響が懸念されます。

映像装置分野のシネマ分野では、デジタルシネマスクリーンの新設が中国などの新興国で引き続き見込まれるものの鈍化傾向にあり、今後のデジタルシネマプロジェクターの販売台数は減少傾向で推移することが見込まれます。また、一般映像分野では、プロジェクション市場へのフラットパネルディスプレイの浸透や、従来のランプタイプに代わる蛍光体レーザータイプのプロジェクター拡大により中小型プロジェクターで販売競争が激化し、収益性への影響が懸念されます。一方で、成長が期待されるアミューズメント施設や各種イベントなどのエンターテインメント分野では、高付加価値な映像ソリューションによる提案機会の増加が期待されます。

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループにおきましては、中長期で各既存市場の成長が鈍化傾向にあることから、既存市場での高シェアと収益性を維持しつつ新規市場への参入や新規事業創出を加速させていくことが事業上の課題となっています。また、光源事業では従来のランプに代わる固体光源化が徐々に進んでおり、固体光源事業の着実な推進が課題となっています。

これらの課題に対処すべく、多様化するマーケットニーズに対応した競争力のある製品のラインナップ充実や、徹底した製造コストの低減、品質・生産性の向上に加え、国内外での生産拠点・販売拠点とネットワークの拡大強化を図り、サービス体制の充実等に努めるとともに、既存技術・製品の強みを活かした提案型トータルソリューションビジネスの展開拡大やオープンイノベーションの活用などにより、世界のマーケットへ向けて高付加価値な光源、光学装置及び映像装置を既存市場のみならず、新規市場への拡販を図ってまいります。また、強固な財務基盤を背景に、積極的にシナジー重視のM&Aや企業提携などに取り組み、機動力ある事業の発展を図ってまいります

また健全な財務体質を維持しつつ、成長への投資と株主還元に関し、バランスのとれた資産配分を安定的に行うことが財務上の課題となっております

一方、企業の社会的責任として、環境問題を重要な経営課題の一つと捉え、省エネルギー・省資源、廃棄物削減・リサイクル化、環境負荷の低減等に積極的に取り組んでまいります。

そして、あらゆるステークホルダーからの信頼にお応えするための施策として、コーポレートガバナンス、コンプライアンス体制強化による内部統制システムの充実、BCPなどリスク管理体制の整備による安定した事業継続にも努めてまいります。

2【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財務状況及びキャッシュ・フロー等の業績に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、記載した事項は、有価証券報告書提出日(平成30年6月28日)現在において当社グループが判断したものですが、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

 

(1)半導体、フラットパネル業界の需要動向による影響について

当社グループの業績は、半導体やフラットパネル業界における需給の影響を受ける状況にあります。現状におきまして当社の取扱品目には、製造装置用のランプという消耗品があり、工場が安定的に稼動することを前提に需要が発生する構造となっております。しかしながら、当社が扱う半導体やフラットパネルの製造装置につきましては、各々の業界における短期・中長期的な市況の変動や技術革新の影響を受け、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(2)各種照明・照射光源の需要変動等による影響について

当社グループは半導体、フラットパネル分野以外に、各種照明やデータプロジェクター用及びデジタルシネマプロジェクター用光源等をマーケットに供給しておりますが、これらの光源は、技術動向、価格動向、需要変動の影響を受け、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(3)映像装置の需要変動等による影響について

当社グループでは、映画館用及び業務用大型プロジェクターを提供しておりますが、各地域における需要変動や、マーケットにおける技術動向、価格動向により、当社グループの業績、財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(4)原材料等の調達に係るリスクについて

当社グループは原材料を外部調達しており、幅広い供給元から原材料供給を受けることで、質の確保はもとより、同時に安定した価格で量の確保を行っております。しかし、特にランプ製造の過程においては主要原材料としてタングステンやモリブデン等のレアメタルや特殊ガスを使用していることから、これらの原材料の供給不足や価格高騰により製造原価が上昇する可能性があることが、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(5)国際的活動及び海外進出に潜在するリスクについて

当社グループの生産及び販売活動は、北米やヨーロッパ、並びにアジア等の日本国外でも行われております。これらの海外進出には、各国における諸規則や諸規制等の変更、人材確保の不安定さ、インフラ面の未整備、社会的混乱等が発生するリスクが内在しており、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(6)知的財産権によるリスクについて

当社グループは頻繁な技術革新を伴う業界に属しており、特許、商標及びその他の知的財産権の保護・維持・管理が、各市場シェア及び競争力の維持のためには重要となります。しかし、当社グループの保有する当該権利が第三者に侵害された場合や、当社グループが第三者の保有する当該権利を侵害した場合において、訴訟へと発展する可能性があります。こうした知的財産権の保護が大きく損なわれるような場合には、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(7)外国為替のリスクについて

当社グループは、円建とともに外貨建も含めて一般事業取引や投融資を行っております。従って、外貨によって行っている当社グループの商取引及び投融資の損益は、外国為替の変動による影響を受ける状況にあります。これに対して為替予約を適宜行ってはおりますが、為替リスクを完全に回避することはできないため為替の変動が当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(8)有価証券の価格変動リスクについて

当社グループは有価証券を保有しており、価格変動リスクを負っており、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、各国の金融政策による為替変動リスクや米国の保護主義による貿易摩擦など先行き不透明な状況ですが、米国や中国及び新興国では、緩やかな景気拡大が継続しました。国内経済は、企業収益や雇用環境、個人消費の改善が続くなど、景気は緩やかな回復基調が継続しました。

このような経済環境のもと、当社グループの事業について概観いたしますと、半導体・電子部品及びフラットパネルディスプレイ関連市場が好調に推移したことから、関連する光源事業及び光学装置の需要が拡大しました。一方で、中国におけるシネマプロジェクターの固体光源化の拡大による競争激化により、関連する光源事業及び映像装置の需要は縮小傾向となりました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.  財政状態

(資産)

当連結会計年度末における資産は、3,072億6千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億6千5百万円減少いたしました。主な減少要因は、債券償還及び株式売却による有価証券及び投資有価証券の減少、土地及び建物及び構築物売却等による有形固定資産の減少であります。一方、主な増加要因は、債券償還及び株式売却による現金及び預金の増加、厚生年金基金代行返上による退職給付に係る資産の増加であります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債は、919億5千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ31億8千2百万円減少いたしました。主な減少要因は、厚生年金基金代行返上による退職給付に係る負債の減少であります。一方、主な増加要因は、期末日が休日であったことによる支払手形及び買掛金の増加であります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、2,153億6百万円となり、前連結会計年度末に比べ20億1千6百万円増加いたしました。主な増加要因は、利益獲得による利益剰余金の増加であります。一方、主な減少要因は、株式売却等によるその他有価証券評価差額金の減少であります。

 

b.  経営成績

当連結会計年度は、売上高は1,734億9千7百万円(前年同期比0.4%増)、営業利益は101億5千1百万円(前年同期比18.0%増)、経常利益は120億5千万円(前年同期比9.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は米国における税制改正法の成立等に伴い、繰延税金資産が減少し法人税等調整額を77億3千1百万円計上しましたが、特別利益として厚生年金基金代行返上益及び投資有価証券売却益を計上したことなどにより110億1百万円(前年同期比56.2%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

(光源事業)

[放電ランプ]

露光用UVランプは、有機ELディスプレイや大型液晶パネルなどを中心としたフラットパネルディスプレイ関連の設備投資が拡大し、稼働率も高水準を維持したことから、リプレイスランプの需要が増加しました。シネマプロジェクター用クセノンランプは、中国におけるシネマプロジェクターの固体光源化が進み、リプレイスランプの需要は弱含みで推移しました。データプロジェクター用ランプは、セットメーカーの新製品に高ワッテージのランプが採用されたことから、販売が拡大しました。

[ハロゲンランプ]

ハロゲンランプ全体では、照明用ランプにおいて固体光源化が進み、販売はやや弱含みとなったものの、OA用ランプは、高付加価値な環境対応ランプの割合が増加傾向にあり、販売は堅調に推移しました。

 

その結果、売上高は743億3百万円(前年同期比0.3%増)、セグメント利益は104億2百万円(前年同期比28.1%増)を計上いたしました。

 

(装置事業)

[映像装置]

シネマ分野では、中国を中心とした新興国においてシネマスクリーンの新設が続いているものの、ランプに代わる蛍光体レーザー光源を使用したプロジェクターの拡大による競争激化により、売上は減少しました。一般映像分野では、エンターテインメント分野を中心にプロジェクションマッピングやデジタルサイネージ関連のソリューション案件が増加したものの、その他分野での販売が低調に推移したことから、売上は減少しました。

[光学装置]

プリント基板向け及び次世代スマートフォン用メーン基板向け直描式露光装置の需要が好調に推移していることから、販売が拡大しました。また、スマートフォンに搭載する電子部品の小型化、高機能化を背景に、関連する電子デバイス向け投影露光装置の販売が増加しました。一方で、中小型液晶パネルの高精細化に向けた需要は継続しているものの、モバイル用高精細液晶パネル向け光配向装置の販売は減少しました。

 

その結果、売上高は977億1千6百万円(前年同期比0.1%減)、セグメント損失は5億9百万円を計上いたしました。

 

(その他事業)

その他事業におきましては、成形機及び食品関連機械において大型案件の増加が寄与し売上が増加しました。

 

その結果、売上高は34億6千4百万円(前年同期比4.7%増)、セグメント利益は1億2千9百万円(前年同期比208.7%増)を計上いたしました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ150億6千1百万円増加し660億3千5百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、155億6千7百万円の収入(前連結会計年度は126億2千4百万円の収入)となりました。

この主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上214億3千7百万円、減価償却費の発生67億9千万円及び仕入債務の増加49億9千4百万円による収入と、退職給付に係る負債の減少71億8千万円、投資有価証券売却益の発生59億2千4百万円、たな卸資産の増加47億6千6百万円及び法人税等の支払35億6千8百万円の支出によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、43億2千2百万円の収入(前連結会計年度は152億5千4百万円の支出)となりました。

この主な要因は、定期預金の払戻139億2百万円、有価証券の売却及び償還88億6千1百万円、投資有価証券の売却及び償還105億9千7百万円による収入と、定期預金の預入101億2千6百万円、有価証券の取得33億4千5百万円、有形固定資産の取得42億7百万円、投資有価証券の取得122億2千6百万円の支出によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、36億1千3百万円の支出(前連結会計年度は68億6千4百万円の収入)となりました。

この主な要因は、長期借入による39億1千6百万円の収入と、長期借入金の返済53億5千8百万円及び配当金の支払33億2千9百万円の支出によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.  生産実績

 生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

光源事業(百万円)

57,170

110.0

装置事業(百万円)

76,787

98.6

  報告セグメント計(百万円)

133,958

103.1

その他(百万円)

合計(百万円)

133,958

103.1

 (注)1.上記金額は販売価格にて算定しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記金額に消費税等は含まれておりません。

 

b.  受注実績

当社グループの生産は過去の販売実績及び市場調査による需要の予測並びに将来の予測等を考慮し、生産計画を設定し、これに基づいて勘案された見込生産であります。

 

c.  販売実績

販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

光源事業(百万円)

72,412

100.7

装置事業(百万円)

97,656

100.0

  報告セグメント計(百万円)

170,068

100.3

その他(百万円)

3,428

104.0

合計(百万円)

173,497

100.4

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記金額に消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

なお、連結財務諸表作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

当連結会計年度は、中期経営計画の1年目にあたり、「次なる飛躍への基礎固め」をキーワードに「既存事業の収益性の維持・改善」及び「新たな成長機会の追求」を重点経営課題として掲げ、設定した経営目標の達成を目指しております。

a.  既存事業の収益性の維持・改善

装置事業における光学装置において、高コスト体質による収益性の課題があり、これを改善するために様々な体質改善の取り組みを進めています。具体的には、利益重視の施策(適正価格での受注や製品の標準化)や生産工程の見直し(ファブライト化やITなどを活用した生産革新)です。これらの取り組みなどが功を奏し、当連結会計年度の光学装置事業の収益性は大幅に改善しました。また、光源事業においては、既存事業で強固な品質と競争力確保への取り組みを積極的に行うことで、各市場におけるシェアを維持し、安定した収益性を維持していくため、圧倒的な品質向上及び労働生産性の向上を目的として、生産工場でのIT・ロボット化への取り組みを進めた結果、不良率の低減やリードタイム短縮などの効果により生産性が向上しました。一方で、装置事業における映像装置において、シネマ分野及び一般映像分野ともにランプに代わる蛍光体レーザー光源を使用したプロジェクターの拡大などにより競争が激化し、売上高及び利益ともに低迷しました。このような状況に対し、次期に固定費削減を含む抜本的な収益構造改革を実行し収益性改善を目指します。

b.  新たな成長機会の追求

新規市場開拓・新規事業創出では、新規の新しい芽が出始めています。また、シナジー重視のM&Aでは、装置事業における光学装置において、露光装置事業の買収を実施しました。しかし、想定よりスピードが不足しており、当中期経営計画後の「光企業」としての飛躍に向け、今後更に「質」と「スピード」を向上してまいります。

 

・経営成績の分析

当連結会計年度は、中期経営計画1年目の経営目標として、重要業績評価指標(KPI)を連結営業利益100億円、連結営業利益率5.6%を掲げスタートしました。その結果、当連結会計年度の連結営業利益は101億円となり、対期初計画値と比較し101.5%の達成率となりました。

セグメント別では、光源事業においては、半導体、電子部品及びフラットパネルディスプレイ市場が好調に推移したことから露光用UVランプが想定以上に推移したものの、シネマプロジェクター用クセノンランプは、中国を中心とした固体光源化によるランプリプレース需要の減少及びこれによる競争激化により単価が下落しました。その結果、セグメント売上高は、期初計画値745億円に対し達成率97.2%の724億円となりました。

装置事業においては、映像装置において、シネマ分野及び一般映像分野ともにランプに代わる蛍光体レーザー光源を使用したプロジェクターが拡大したことなどにより競争が激化したことから、映像装置の売上高は、期初計画値725億円に対し達成率86.6%の627億円となりました。一方で光学装置においては、半導体、電子部品及びフラットパネルディスプレイ市場が好調に推移し、各種露光装置の需要が拡大したことなどから、光学装置の売上高は、期初計画値275億円に対し達成率120.4%の330億円となりました。その結果、セグメント売上高は、期初計画値1,025億円に対し達成率95.3%の976億円となりました。

 

③資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料、商品等の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金の残高は26,824百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は66,035百万円となっております。

 

4【経営上の重要な契約等】

経営上の重要な契約として特記すべき事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社グループは、産業用光源の開発・製造を中核として光学系技術をはじめ、エレクトロニクスやメカトロニクスなど、光を利用・応用していく上で不可欠なさまざまな周辺技術の開発を推し進め、光のユニット化、光の装置・システム化へと事業を展開しております。新市場・新技術の動向を常に把握し、戦略的な研究開発活動を行うと共に、各研究開発部門が相互に連携・連動しながら数々の新しい光源及び光の関連装置やソリューションを生み出す体制となっております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は106億7千5百万円であり、光源事業及び装置事業を中心に行っております。なお、各セグメントの研究開発費はセグメント間の取引を含んでおります。

当連結会計年度の主な成果は、次のとおりであります。

 

(光源事業)

・業界最高出力の近赤外線領域LEDの開発

子会社であるウシオオプトセミコンダクター株式会社は、業界最高出力の近赤外線領域LEDの開発に成功し、量産を開始しました。これまでこの波長領域は高出力のLEDが無い事から、複数のLEDチップを配列する方法しか無く、装置の大型化や高コストが問題となり用途が限られていました。本製品を用いることで、液体、固体、気体の含有物質の分析装置や、医療分野においては血中酸素飽和度を測定するパルスオキシメーターや血糖値測定装置など、幅広い用途に利用可能となり、産業の発展に寄与すると考えています。

光源事業に係る研究開発費は47億2千1百万円であります。

 

(装置事業)

(1)高精細直描式(注1)露光装置(注2)の開発

子会社である株式会社アドテックエンジニアリングは、高精細直描式露光装置を開発しました。接触式の露光装置に比べて補正機能に優れ、マスク(注3)を必要としないため、ランニングコストの削減が可能となります。また、細線パターンを安定的かつ高速に露光することができるため、生産性の向上に寄与します。プリント基板のより細線化が求められる次世代スマートフォン製造プロセスへの採用拡大を目指していきます。

 

注1)高出力レーザーを用いて直接回路パターンを形成する方式
  注2)半導体や液晶などの微細な回路パターンを紫外線で形成する装置
  注3)電子部品の回路パターン等を対象物に転写する際の原版

 

(2)小型で高効率のシネマ用レーザープロジェクターの開発

子会社であるCHRISTIE DIGITAL SYSTEMS CANADA INC.は、赤・緑・青のレーザーから白色光を作り出す「純粋なレーザー」を使った小型で高効率のシネマ用レーザープロジェクターを開発しました。レーザー素子はランプと比較して体積が小さいため、モジュールの小型化が可能な一方、高度な光学設計を必要とします。また、温度、湿度、波長、安全性など、より高度に管理する必要があります。長年培ってきた高度な光学設計とアルゴリズム設計により開発されたLOS(レーザーオプティカル・サブシステム)技術(注4)は、プロジェクターの小型化、消費エネルギーの削減、ランニングコストの削減を可能とし、今後、シネマ分野以外へも普及・拡大が期待できます。

 

注4)赤・緑・青レーザー素子を最適配置し、効率よく集光することで、白色光を出力する技術

 

装置事業に係る研究開発費は59億4百万円であります。

 

(その他事業)

その他事業に係る研究開発費は4千9百万円であります。