当社は、2026年4月から2029年3月までの3年間の中期経営計画を2026年5月に開示しております。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、創業以来、一貫して創意と誠実を尊ぶ企業文化のもと、「記録と再生」をコアに据えて事業展開してまいりました。
当社グループは、企業理念を表現したタグラインである「Recording Tomorrow」のもと、レコーディング・ソリューション・カンパニーとして音響機器事業、情報機器事業を両輪とし、お客様の要請に応え、法令・規制を遵守して、魅力ある高品質な製品とサービスを提供し続けるとともに、ステークホルダーの皆様にご満足いただけるよう新しい価値を提供し、人・社会・未来に貢献する企業となることを目指しています。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、目標とする重要な経営指標をROE、営業利益率、営業キャッシュフローとし、資本効率、利益率を改善しキャッシュ創出を目指します。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、前中期経営計画において財務体質の改善を進め、自己資本比率の向上およびキャッシュ創出力の強化を実現いたしました。これにより、事業の持続的成長に向けた基盤整備は一定の進展を見せており、新中期経営計画「S-10」においては、経営の重点を資本効率および収益性の向上に移行いたします。
本計画では、資本市場から要求される株主資本コストを上回る水準の確保を前提として、ROE10%以上を安定的に維持することを最重要目標に掲げ、収益構造の転換と資本効率の継続的な改善に取り組みます。
基本戦略としては、「ニッチトップ戦略」を継続し、特定領域における競争優位性を確立した上で、関連製品およびシステム・ソリューションの展開を通じて付加価値の最大化を図ります。また、事業運営においては、事業ポートフォリオの最適化を推進し、BtoB事業の拡大により収益性の向上を図るとともに、高付加価値BtoC事業を通じてブランド価値を高めることで、収益基盤の強化と安定化を実現いたします。加えて、人材の能力発揮と成果を重視した評価制度の設計や人的資本への戦略的投資を通じて、持続的な成長を支える組織基盤の強化を図るとともに、DXおよびAIの活用により業務の生産性向上と付加価値創出力の強化を推進いたします。
当社グループは、これらの取り組みを通じて収益力の安定化と資本効率の向上を実現し、資本市場の期待に応える持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
(4)会社の対処すべき課題
当社グループは、創業以来「記録と再生」をコアに据え、技術革新による記録メディアの変遷とともに、常に高い記録品質を付加価値とする機器をお客様に提供し続けてきました。しかしながら、インターネットや通信技術の発展に伴い、個人・法人ともにメディアやその記録再生機器に対するニーズは、減少傾向にあります。当社グループは、そのようなニーズの変化について課題と認識する一方で、競合他社と差別化を図る好機と捉え、音響機器・情報機器の両事業においてネットワーク対応機器およびソリューションの提案・提供を急ぎ、一層の高付加価値化による収益力向上と事業成長を目指します。
当社グループは、記録・再生技術への探究心を原点とした事業活動を通じて環境負荷の低減に努め、持続可能な社会を実現することを使命とし、サステナビリティを推進してまいります。事業を通じた文化と産業への貢献を軸とし、環境面では事業活動に伴うCO2排出量把握や廃棄物の削減を、人的資本面では育成プログラムの推進による人材基盤の強化や女性活躍促進に向けた女性採用比率の向上に取り組んでまいります。
また、株主の皆様に対する利益還元については、これまでの株主還元方針を継続することとし、自己資本比率が25%を超えることを目安として、配当を実施いたします。次期についても2026年6月26日開催の株主総会におけるご承認を経て配当を継続いたします。なお、2026年5月13日に新中期経営計画と同時に新たな株主還元方針を開示致しており、当該計画期間最終年度の2029年3月期に営業利益850百万円を達成することを前提として、配当性向20%以上とすることを目標としております。
当社グループは、上記のお客様、従業員、社会・環境、株主の皆様の他、金融機関を含むお取引先など全てのステークホルダーに「品質」を約束するブランドとなることで企業価値の持続的成長を目指しており、「品質」向上に向けた短期および中長期の経営課題解決に引き続き取り組んでまいります。
当社は、人々の健康と安全、自然の営みを尊重し、創意と工夫を尊ぶ企業文化のもと、記録・再生技術への探究心を原点とした事業活動を通じて、環境負荷の低減に努め、持続可能な社会を実現することを使命としています。国際社会の一員として、多方面との協力・協調を図り、サステナビリティの達成に貢献してまいります。
<全般>
(1)ガバナンス
当社では、製品の設計・開発・製造、サービス提供を中心とする事業活動のあらゆる場面で、技術的・経済的に可能な範囲で環境に配慮し活動する基本方針とし、取締役会が全体を監督する体制のもと、事業戦略コミッティ(事業戦略コミッティにつきましては、
(2)リスク・機会の管理方法
テーマは、実現可能性、当社事業との親和性、期待される効果、将来の発展性等を勘案し、事業戦略コミッティにおいて、目標を含めて決定しております。
また、同業他社、ユーザー、廃棄物処理関連事業者等と情報を共有しながら、リスク低減効果が期待できる活動に費用・工数を充てて行くこととしております。また、機会についても関連する費用・工数を勘案のうえ、年次事業計画および中期事業計画に照らして親和性のある活動を中心に検討し、事業活動との整合性も高めて行きます。
(3)指標および目標
当社グループは、温室効果ガス排出量を重要な管理指標と位置付け、その把握および継続的な低減に取り組んでおります。現時点では具体的な数値目標の設定には至っておりませんが、排出量の実績管理を通じた改善活動を継続するとともに、中長期的な削減目標の設定に向けた検討を進めてまいります。
<人的資本経営への取組み>
当社グループは、全てのステークホルダーに「品質」を約束するブランドとなることで企業価値の持続的成長を目指すことを方針としており、その原動力は人材であるとの認識のもと、育成・採用の取組みを進めております。
(1)人材育成方針
人的資本は、当社の経営理念を実現し、当社を持続させていくために最重要な財産であると認識し、個々の人材が持つ思考と経営戦略との連動を図り、経営目標達成・業績向上のための人的基盤を強化してまいります。このため、全社員を対象としたeラーニングシステムを導入するとともに、スタッフ層に対しては能動的に自らを高めるキャリア構築支援研修を、マネジメント層に対してはスタッフ層が力を発揮するための組織力醸成に向けたトレーニングを継続展開しております。
(2)社内環境整備方針
当社では、年齢、性別、国籍、雇用形態の違いや障がいの有無に関わらず、全従業員が能力を十分に発揮しながら働ける環境づくりに取り組んでおります。
特に、子育て・介護・キャリア開発・社会貢献活動と仕事の両立など、全従業員が多様なライフスタイルに応じた働き方が実現できる制度として、フレックスタイムやテレワークといった柔軟な勤務制度の整備、従業員が家族的責任を果たすための育児・介護・看護等の各種休暇・休職制度の他、利用期限のない積立休暇制度を設け、傷病、介護、不妊治療、育児・看護や社会貢献のために必要な日数を取得できるとしています。
女性の活躍促進に関しては、女性比率の低い当社の実情を鑑み女性の積極的な採用活動を行っております。
また、従業員のエンゲージメントを向上させるため、教育と能力発揮の機会を提供するとともに、安全衛生委員会の活動や労働組合との対話を通して継続的な改善を図ります。また、従業員に対するエンゲージメント調査により、毎年効果測定を行います。
(3)指標および目標
当社では、女性社員比率と女性管理職比率を同等とする長期目標のもと、そもそもの女性比率向上を図るため、新規採用者における女性比率目標を、2025年3月末現在の女性社員比率である17.7%以上となる「20%以上」として推進しております。2026年3月期における女性社員新規採用比率は「22.2%」と目標を達成いたしました。引き続き、長期的視点での女性社員比率向上に取り組んでまいります。また、既存社員に対しましても、管理職登用の候補者の裾野を広げるなどの地道な施策を講じながら、より多くの女性社員の登用を図る環境を整備してまいります。
当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクは、主として次のようなものであります。
① 経済状況の変動による影響
1)当社グループ製品の需要への影響
当社グループは、日本、米大陸、欧州、アジア等の地域において民生用、産業用製品の販売を行っており、その地域の市場の経済状況により当社製品の需要は影響を受けます。概ね当社グループの民生用製品はその性格上生活必需品とは言えず、一般消費者の可処分所得、嗜好の変化により需要動向が変化し、また産業用製品は主に顧客の設備投資の状況等により需要が変化します。従いまして、日本、米大陸、欧州、アジア等における景気悪化等経済状況の変動、消費者嗜好の変化等による需要の縮小は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
2)当社グループの取引先への影響
経済状況の急激な変動は当社グループの仕入先や販売先の経営にも影響を与えることがあり、当社グループでは、取引先の評価、代替取引先の手当て、与信管理、債権保全等の措置を講じてはおりますが、影響を完全に排除することは困難であります。従いまして、これら取引先の経営状況も当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
3)当社グループの銀行取引への影響
事業の運営のため取引銀行からの借入金の確保は不可欠でありますが、経済状況の変化により、金融機関の貸出し姿勢が厳しくなり、当社グループの取引金融機関からの新規借入金、借入金の継続に支障をきたす状況となった場合、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。
② 為替相場の変動による影響
当社グループは海外における生産・販売活動の比重が高いことから外貨建売上・仕入・費用、外貨建の債権債務の割合が大きく、また海外に子会社を保有していることから、下記のように為替相場の変動によって当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
1)営業損益への影響
当社グループの場合、米ドルにつきましては、生産あるいは仕入での割合が高く、また国内販売に対して、円高は営業損益に好影響を与えますが、ユーロとポンドは概ね販売のみであることから、それらの通貨に対する円高は当社グループの営業損益に悪影響を与え、円安は好影響をもたらします。また、当社グループの海外子会社の収益及び費用は、連結会計年度の月次平均レートにて円換算された収益及び費用を積上げており、通常各国通貨に対する円高は売上高、営業損益に悪影響を与え、円安は好影響をもたらします。
2)金融費用純額への影響
当社グループは外貨建の債権債務を保有することから、期末日の為替レートの変動により為替差益または為替差損が発生し、金融費用純額に影響をもたらします。一般的に米ドルに対する円高は当社グループの金融費用純額に好影響、円安は当社グループの金融費用純額に悪影響をもたらし、ユーロ、ポンドに対する円高は当社グループの金融費用純額に悪影響、円安は当社グループの金融費用純額に好影響をもたらします。
当社グループは売上、仕入による外貨建て債権債務につきましては、為替予約及び通貨オプションにより短期の為替相場の変動リスクをヘッジしておりますが、急激な為替変動により、為替差損が発生する可能性があります。
3)純資産への影響
当社グループの海外子会社に対しては主として現地通貨にて投資を行っており、期末日の為替レートの変動により在外営業活動体の換算差額が変動し、純資産に影響を与えます。一般的に他の現地通貨に対する円高は純資産の減少となり、円安は純資産の増加をもたらします。
③ 事故・災害等の影響
地震等の自然災害、戦争、テロ等の人為的災害、事故、又は新型インフルエンザ等の疫病の各種災害により、当社グループの設備、情報システム、従業員、取引先等の操業に影響が出る可能性があります。これらの災害に際して事業への影響を完全に排除し、復旧対策等を備えることは困難であります。従いまして、このような災害発生時には企業活動が妨げられ、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
④ 訴訟その他の法的手続について
当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、事業を遂行する上で訴訟その他の法的手続に関するリスクを有しております。各国の法制度、裁判制度の違いもあることから、訴訟及び規制当局による措置により、当社グループが当事者となる可能性のある訴訟、法的手続きを予想することは困難であります。重大な法的責任又は規制当局による措置は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
⑤ 公的規制について
当社グループの事業活動は、当社グループが事業を行う各国の多様な規制の適用を受けます。このような規制には、投資、貿易、公正な競争、知的財産権、租税、関税、為替、環境・リサイクルに関する規制、安全保障等の理由による輸出制限を含みます。これらの公的規制の変更及び変更に伴う法規制遵守のため、追加的費用が発生した場合、また、万一これらの規制に対する違反等が発生し、罰金、課徴金の納付命令その他の措置が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
なかでも、米国の関税政策は既に発動されており、今後さらなる強化や対抗措置が講じられる可能性も懸念されます。米国の関税政策の動向は不透明ですが、継続的に注視し、販売価格への適切な転嫁等を含めた様々な対応策を進めて参ります。
⑥ 製品の品質とその責任について
当社グループの生産工場は、世界的に認められている品質管理基準により製品の製造を行っております。しかし、当社グループの製品は、高度、複雑な技術を利用したものが増えており、また、外部の供給者からの調達もあるため品質管理へのコントロールは複雑化していることから、すべての製品について欠陥が発生しないという保証はありません。従いまして、当社グループの製品に欠陥等の問題が生じた場合には、それに関連するコストの発生、当社グループの製品の品質への信頼に影響を及ぼし、経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
⑦ 製品含有化学物質について
当社グループの製品は、多数の素材及び部品から構成されており、部品等を外部の供給者から調達していることにより、含有化学物質のコントロールは複雑化しております。当社グループでは、規制化学物質が基準値を超えて製品に含有されることのないよう、検査、確認の徹底を図っていますが、完全な対応は困難であります。万一当社グループの製品に化学物質含有等の問題が生じた場合には、当該問題から生じた損害について当社グループが責任を負う可能性があるとともに、当社グループの製品への信頼、販売活動、経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
⑧ 個人情報、その他情報の流出について
当社グループは事業活動のため、顧客についての個人情報、技術、営業、その他事業に関する営業秘密を有しております。当社グループにおいては、これらの情報の適切な保護及び管理に努めていますが、万一情報システムの障害、人為的な原因、その他の事態によりこれらの情報が流出した場合は、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態並びに当社グループに対する信頼に悪影響を与える可能性があります。
⑨ 競争による影響
当社グループは、当社グループが事業を行う様々な製品市場と地域市場において、他社との激しい競争に晒されております。当社グループは、新製品の導入や高品質の製品供給等により、顧客満足を得るべく努めていますが、競合他社と品質・性能・価格などについての競争は更に激化することが予想され、その結果、価格の下落等が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
⑩ キーデバイスや部材調達の遅れ、供給不足による影響
当社グループは、他社からキーデバイスや部材を購入し、また他社に一部の設計を委託しておりますが、当社グループ単独の責によらない予想外の事態が発生し、新製品の市場投入が遅れた場合、また生産用部材の供給不足により需要を満たせない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
⑪ 知的所有権について
当社グループは様々な知的所有権を使用しており、それらは当社グループ所有のものであるかあるいは当社グループ若しくは当社グループへの部品等の供給元が正当に使用許諾を受けたものであると認識しておりますが、当社グループの認識外で第三者の知的所有権を侵害する可能性があります。知的所有権を巡っての係争が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
⑫ 固定資産の減損の評価について
当社グループが保有する有形固定資産、無形資産については、当該資産が充分なキャッシュ・フローを生まない場合は、減損が発生する可能性があります。
⑬ 財務制限条項
安定的な資金調達を図るため、金融機関との間でシンジケートローン及びコミットメントライン契約を締結しておりますが、本契約には一定の財務制限条項が付されており、当社がこれらに抵触した場合、期限の利益を喪失し、一括返済を求められる等、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑭ 感染症について
新型コロナウイルス感染症については、日本国内においては5類感染症へ移行され経済活動への影響が徐々に低下しております。しかしながら、今後も新型コロナウイルス感染症に代表される未知の感染症が拡大し、各国政府等の要請により、世界経済・当社の事業活動及び取引先の事業活動が停滞する場合、当社は原材料及び商品調達面、また販売面の両面で当社業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
※ 上記のうち将来に関する事項は、2026年6月25日現在において当社グループが判断したものであります。
※ 上記は当社グループの事業に関する全てのリスクを網羅したものではありません。当社グループは事業展開上、さまざまなリスクがあることを認識し、それらをできる限り回避するように努めております。しかし、経済情勢、市況、金融市場等に様々な変動が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(1)業績等の概要
① 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるものの、金融資本市場の変動の影響や米国の通商政策をめぐる動向に加え中東情勢の影響に注意する必要があります。
このような状況の中で当社グループは、音響機器事業のうちプレミアムオーディオ機器事業では、ESOTERICブランドにおいて、Grandiosoシリーズのラインナップ強化により、高音質、高付加価値な製品展開を推し進め、ブランド価値を高めることで、海外市場を伸ばし堅実な成長路線を引き続き目指してまいりました。TEACブランドにおいて、引き続き中高級機のReferenceシリーズの更なる強化により、収益とブランドイメージの向上に努めてまいりました。輸入ブランドにおいては、ブランドの持つ個性を訴求することで、ブランドの定着を強化してまいりました。音楽制作・業務用オーディオ機器事業(TASCAMブランド)では、業務用デジタルミキサーを軸としながら、周辺機器のラインナップ拡充も行っており、従来の録音再生機器とともに、更に柔軟で質の高いトータルシステムソリューションの提供を強みとしたBtoB事業の拡大に努めてまいりました。また、BtoC事業においては、製品ポートフォリオの見直しを進め、付加価値を明確に中高価格帯へ転換し、採算性の向上と市場シェアの拡大を目指してまいりました。情報機器事業においては、当社のコアコンピテンスである「高度な記録と再生技術」をベースに計測、半導体、医療、移動体の各分野において独自技術や先端技術を組込んだ製品開発を行い、ニッチトップポジションの獲得を進めてまいりました。また、海外市場における販売拡大を最重要課題として位置づけ、人的資本の積極的な投入、マーケティング活動の強化、さらにはグローバルなニーズを踏まえた製品戦略の展開を通じて、着実な成長を目指してまいりました。
当連結会計年度におきましては、音楽制作・業務用オーディオ機器(TASCAMブランド)および医用画像記録再生機器とソリューションビジネスが好調に推移し売上収益は前期比で増加しました。営業利益につきましては、収益の増加に加え、個別開示項目として計上した「連結孫会社の解散および清算に伴う利益」も加わり増益となりました。また、為替リスク対策を含む金融費用の圧縮を進めた結果、親会社の所有者に帰属する当期利益も計上し前期比で増益となりました。
この結果、当社グループの連結会計年度の売上収益は15,943百万円(前期比1.8%増)、営業利益は676百万円(前期比98.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益578百万円(前期比612.6%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
1) 音響機器事業
音響機器事業の売上収益は11,069百万円(前期比0.2%増)となり、セグメント営業利益は1,484百万円(前期比21.7%増)となりました。
プレミアムオーディオ機器(ESOTERICブランド、TEACブランド)は、ESOTERICブランドにおいて、新製品の上市があったネットワークプレーヤーカテゴリーの販売は前年を大幅に上回りましたが、SACDプレーヤーカテゴリーは、全世界のストリーミングオーディオ人気の影響もあり、前年実績を下回りました。TEACブランドにおいては、Referenceシリーズの販売が好調に推移したことに合わせ、中国でのレコード需要の高まりを受けてターンテーブルカテゴリーの販売も好調に推移しました。輸入ブランドにおいては、Tannoyブランドの製品供給が回復せず、前年実績に届きませんでした。プレミアムオーディオ機器全体としては、前期比で減収となりました。
音楽制作・業務用オーディオ機器(TASCAMブランド)は、BtoB事業において、設備機器の安定した需要に加え、提案営業の取り組み強化により、主力の録音再生機および周辺機器の販売が堅調に推移し、事業全体の売上を牽引しました。BtoC事業では、付加価値の高い中高価格帯製品への安定した需要が継続したものの、米国通商政策対応に伴う生産計画の変更や、出荷制限の実施により供給が制約され、十分に需要を満たす事ができませんでした。BtoB事業の好調がBtoC事業の低調さを補い、音楽制作・業務用オーディオ機器全体では前期比で増収となりました。
2) 情報機器事業
情報機器事業の売上収益は4,013百万円(前期比0.6%増)となり、セグメント営業損失は3百万円(前期営業利益209百万円)となりました。
計測機器は、データレコーダーにおいて、前期末に上市した新製品に関する来期案件の開拓が進展した一方、当期はリースレンタル業界向けの導入が伸び悩み、またセンサー・アンプでは、メモリ需給逼迫を背景に半導体製造装置メーカー各社の増産計画が進み、当社製品への引き合いも増加しましたが、当連結会計年度における業績への寄与は限定的に留まり、カテゴリー全体では前期比で減収となりました。医用画像記録再生機器は、国内の消化器内視鏡向けレコーダーの販売が引き続き堅調に推移し、フラッグシップモデルの手術画像記録用4Kレコーダーも、海外における拡販が大きく進展したことから、前期比で増収となりました。機内エンターテインメント機器は、機内サーバーの国内エアライン向け導入が完了しましたが、海外向け大口案件が先送りとなったことから、前期比で減収となりました。ソリューションビジネスは、医用向けサーバーやPCなどの出荷、ネットワーク・インフラの保守サービスが引き続き好調に推移し、前期比で増収となりました。
② 生産、受注及び販売の実績
1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
音響機器事業 |
2,635 |
0.6 |
|
情報機器事業 |
1,255 |
△15.7 |
|
その他 |
650 |
59.1 |
|
合計 |
4,539 |
0.5 |
(注) 金額は製造原価によっております。
2) 受注実績
当社グループの製品は、原則として需要見込生産であり、該当事項はありません。
3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
音響機器事業 |
11,069 |
0.2 |
|
情報機器事業 |
4,013 |
0.6 |
|
その他 |
861 |
35.6 |
|
合計 |
15,943 |
1.8 |
③ 財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析
1) 財政状態の分析
資産合計
当連結会計年度末における資産合計は10,593百万円と前連結会計年度末と比較して221百万円減少しました。主な増減は、現金及び現金同等物の増加622百万円、営業債権及びその他の債権の減少361百万円、棚卸資産の減少386百万円、有形固定資産の減少179百万円であります。
負債合計
当連結会計年度末における負債合計は、6,523百万円と前連結会計年度末と比較して734百万円減少しました。主な増減は、営業債務及びその他の債務の減少112百万円、社債及び借入金の減少385百万円、リース負債の減少251百万円であります。
資本合計
当連結会計年度末における資本合計は、4,070百万円と前連結会計年度末と比較して513百万円増加しました。主な増減は、親会社の所有者に帰属する当期利益578百万円の計上であります。
2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度と比較して622百万円増加し、2,173百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
(a) 営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、1,610百万円のプラス(前期1,178百万円のプラス)となりました。主な内訳は、プラス要因として、減価償却費及び償却費513百万円、金融収益及び金融費用155百万円、営業債権及びその他の債権の減少400百万円、棚卸資産の減少562百万円、マイナス要因として、営業債務及びその他の債務の減少134百万円、長期未払金の減少155百万円であります。
(b) 投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動の結果得られた資金は、150百万円のマイナス(前期115百万円のマイナス)となりました。主な内訳は、プラス要因として、有形固定資産及び無形資産の売却による収入2百万円、マイナス要因としては、有形固定資産の取得による支出151百万円であります。
(c) 財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動の結果得られた資金は、883百万円のマイナス(前期706百万円のマイナス)となりました。主な内訳は、プラス要因として、短期借入金の純増減額28百万円、マイナス要因としては、長期借入金の返済による支出381百万円、リース負債の返済による支出405百万円であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。経営者は、これらの見積り、判断及び仮定を過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の金額と異なる場合があります。
なお、重要な会計方針及び見積りにつきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)判断及び見積りの使用 及び 3.重要性がある会計方針」に記載しております。
② 経営成績の分析
各事業における経営成績については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ① 業績」及び「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 連結財務諸表注記 5.セグメント情報」をご参照下さい。売上収益、営業利益、当期利益の主要な増減については次のとおりであります。
1)売上収益
当連結会計年度の売上収益は、15,943百万円と前連結会計年度よりも275百万円増加しております。その他の事業の売上収益の増加が大きく影響しました。
2)営業利益
営業利益は、676百万円と前連結会計年度よりも336百万円増加しております。
(a) 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、6,447百万円と前連結会計年度と比較して34百万円増加しております。
(b) その他の損益
当連結会計年度のその他の損益は、17百万円の利益と前連結会計年度と比較して61百万円増加しております。
3)当期利益
当期利益は、578百万円と前連結会計年度よりも497百万円増加しております。
(a) 金融収益
金融収益は、92百万円と前連結会計年度よりも85百万円増加しております。
(b) 金融費用
金融費用は、155百万円と前連結会計年度よりも132百万円減少しております。
(c) 法人所得税費用
法人所得税費用は、34百万円と前連結会計年度よりも56百万円増加しております。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
運転資金及び設備資金につきましては、自己資金または借入金により調達することとしております。借入金につきましては、2026年3月24日においてシンジケートローンによるコミットメントライン(上限3,350百万円、2026年9月30日期日 ※延長後の満期日2028年9月30日)を締結しております。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ③ 財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりであります。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、目標とする重要な経営指標をROE、営業利益率および営業キャッシュフローとし、資本効率、利益率を改善しキャッシュ創出を目指します。
当社グループは、「ニッチトップ戦略」を継続し、特定領域における競争優位性を確立した上で、関連製品およびシステム・ソリューションの展開を通じて堅実な事業拡大を推進することで、資本効率、利益率を改善しキャッシュ創出を目指します。
当連結会計年度において、新たに締結した重要な契約等は次のとおりです。
借入金契約
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相手先 |
国名又は地域 |
契約内容 |
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株式会社りそな銀行 |
日本 |
2026年3月24日において、株式会社りそな銀行をアレンジャーとする以下のシンジケーション型コミットメントライン契約を締結しております。 なお、本契約での借入残高は2026年3月31日現在において、2,111百万円であります。
① 締結日:2026年3月24日 ② アレンジャー兼エージェント:株式会社りそな銀行 ③ 参加金融機関:株式会社りそな銀行、株式会社関西みらい銀行、 株式会社千葉銀行、株式会社商工組合中央金庫、 株式会社伊予銀行、株式会社八十二銀行、 株式会社東和銀行 ④ 組成金額:3,350百万円 ⑤ 満期日:2026年9月30日 (借入人はコミットメント期限を2回に限り、各1年間の延長を請求することができる。)※延長後満期日2028年9月30日 ⑥ 担保の内容:無担保 ⑦ 財務上の特約: ・決算期末日における連結財政状態計算書における自己資本比率を10%以上維持 ・決算期における連結損益計算書における営業損益(ただし、個別開示項目前営業損益が示される場合は、個別開示項目前営業損益)の黒字維持 |
当社グループの研究開発活動は、主として提出会社に集中しており、提出会社及び現地販売法人において技術動向・市場動向の情報を集め、提出会社にて開発を担当し、国内外の生産拠点にて生産を行っております。
当連結会計年度における提出会社の研究開発活動は、2事業部に所属し、各事業部に直結した開発部門が市場のニーズに合致した商品をいち早く商品化すべく、研究開発を推進しております。
当連結会計年度の開発人員は92名で、研究開発費として
当連結会計年度の各事業部における主な研究開発の概況と成果は次のとおりであります。
<音響機器事業>
プレミアムオーディオカテゴリー(TEACブランド)では、Reference500シリーズ、CDトランスポートPD-507T、ネットワークトランスポートNT-507Tを開発し、市場導入いたしました。PD-507Tでは、放送局向けCDプレーヤーにも採用されているCDメカニズムをブラッシュアップし、クロック同期に対応させるなど高音質化設計を行いました。NT-507Tでは、SFPネットワーク端子、Wi-Fi 6ワイヤレス接続に対応した第4世代ネットワークエンジンの設計を行いました。
ハイエンドオーディオカテゴリー(ESOTERICブランド)では、Grandiosoシリーズ、ネットワークプレーヤーGrandioso N1、05シリーズ、ネットワークDACプリアンプN-05XE、パワーアンプS-05XEを開発し、市場導入いたしました。Grandioso N1では、マスターサウンドディスクリートDACの第2世代となるG2を設計し、高音質化を図りました。N-05XEでは、SFPネットワーク端子、新世代ディスクリートDAC、高出力ヘッドホンアンプなどを設計しました。S-05XEでは、新開発トロイダル電源トランスによる高音質純A級アンプの設計を行いました。
TASCAMブランドBtoB事業では、SD/USBプレーヤーMP-800U、BluetoothレシーバーRX-BT10を開発し、市場導入いたしました。MP-800Uでは、USB DACおよびFMチューナーの搭載に加え、BluetoothアダプターAK-BT2への対応により、Bluetoothレシーバー機能および専用アプリによるリモートコントロール機能の拡張を図る設計を行いました。RX-BT10では、Bluetooth 5.1 Class 1に対応し、既存設備音響システムへのワイヤレスオーディオ受信機能の追加を可能とするコンパクトなBluetoothレシーバーの設計を行いました。
また、ミキサー市場向けにデジタルミキサーSonicview 16dpおよびSonicview 24dpを開発し、市場導入いたしました。生放送スタジオ、中継、ライブサウンド等、音声送出の継続性が求められる業務用途に対応するため、DC INPUTを追加し電源の冗長化を可能とする機能の設計を行いました。
TASCAMブランドBtoC事業では、ポータブルオーディオレコーダー市場向けに4chフィールドレコーダー/ミキサー/タイムコードジェネレーターFR-AV4を開発し、市場導入いたしました。FR-AV4では、超低ノイズのUltra HDDAマイクプリアンプ、デュアルADコンバーターおよび32ビットフロート録音により高品位な録音性能を実現するとともに、カメラとのクロックおよびタイムコード同期を可能とするHDMI Sync機能の設計を行いました。また、4chポータブルレコーダーDR-40XPでは、32ビットフロート録音およびHDDAマイクプリアンプの搭載に加え、USB Type-C対応オーディオインターフェース機能や最大512GBのmicro SDXCカード対応など機能拡張を図る設計開発を行い、翌期に市場導入いたしました。
また、ミラーレスカメラ市場向けに株式会社ニコンとの協業によりXLRマイクアダプターCA-XLR2d-N、デジタルアクセサリーシューマウントアダプターCA-AK1-Nを開発し、市場導入いたしました。XLRマイク入力の拡張に加え、HDDAマイクプリアンプを通じてアクセサリーシュー経由で劣化のないデジタル音声をカメラへ直接伝送可能とし、高品質な動画音声収録システムの設計を行いました。
当連結会計年度における研究開発費の金額は
<情報機器事業>
医用画像記録再生機器(以下、医用録再機)では、従来製品MV-1の後継機種として、MV-5の開発を開始し、国内市場向けに2026年6月からの販売開始を予定しております。同製品では、セキュリティ強化(データ保護機能・ユーザー制限機能・USBデバイス記録禁止機能)および映像信号の低遅延外部出力設計を導入し、医用録再機としての信頼性向上を図る設計としております。
また、医用録再機のフラッグシップ製品であるUR-NEXT4Kにおいては、市場要望に対応したアップグレード(印刷機能拡充・言語追加・外部タッチ操作による2D/3D選択機能追加、OSD表示選択による映像表示範囲拡大機能追加、メニュー表示改善によるユーザビリティ向上、RS-232通信拡充など)を順次実施し、拡販に取り組んでおります。
計測機器では、ロードセルシグナルコンディショナーTD-SC1において産業用通信プロトコルModbusへの対応設計を行い、外部機器との接続性の拡張を図りました。
当連結会計年度における研究開発費の金額は