第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針
  当社は、コンデンサ及び回路保護素子を製造・販売する電子部品メーカーとして、「企業の存在を許容するのは、お客様である」ことを原点に、世界中のお客様の信頼を得ることができる価値ある技術商品の開発・製造・販売を事業活動の軸とする「技術立社」であり続けることを経営の基本理念としています。
  この基本理念に基づき世界のエレクトロニクス業界の小型・高性能・高信頼性の市場ニーズに適応した質の高い物作りに取り組み、社会の信頼と期待に応えることを経営の基本方針として事業活動を行ってまいります。

 

(2)目標とする経営指標
  当社は、2024年3月期においては売上高及び営業利益の増加を重要課題として取り組み、目標とする経営指標を設定しておりません。
 なお、今後当社が取り組むべき経営課題については、「(3)中長期的な会社の経営戦略及び(4)経営環境及び対処すべき課題」をご覧ください。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

       2021年1月14日に公表しました中期経営計画(2021年3月期から2024年3月期まで)は、当初の目標であった2022年3月期以降の営業利益2億円以上、営業キャッシュ・フローのプラス転換化をいずれも達成することにより、借入金の返済及び東京証券取引所における上場維持の安定化のための持続可能な収益構造を確立することができました。

       当社は、2024年1月16日開催の取締役会において、2025年3月期から2027年3月期までの中期経営計画(以下 「新中期経営計画」といいます。)を決議し、同日に東京証券取引所において「中期経営計画(2025年3月期から2027年3月期まで)の策定に関するお知らせ」を公表しました。

       当社は、10年後に売上高100億円達成を目指すこととし、新中期経営計画は、その基盤固めと位置づけます。

       新中期経営計画は、更なる成長の追求のために収益基盤の強化及び経営基盤の安定化を図ることを課題とし、その基本方針は下記のとおりです。

 

  ① 回路保護素子事業は、CASE対応自動車の需要拡大に対応して、車載用製品の販売網を拡大し、売上高及び利益の

   増加を図る。

② タンタルコンデンサ事業は、導電性高分子タンタルコンデンサの新製品の開発等により、車載用及び海外市場の

   民生用向けの売上高及び利益を確保する。

③ 新中期経営計画期間中に株主への復配を目指す。

④ ESGに対する取り組みを維持し促進する。

  ・ 環境目標、環境目的の実現に向けて、環境管理態勢を強化し、その質を向上させることで環境負荷を低減する。

  ・ 人的資源の有効活用及び健康経営の継続で、働き方改革を推進する。

・ コンプライアンス、人権・労働、サステナビリティへの取組み、当社のサプライヤーへのサステナビリティの

 展開の管理体制を維持し充実させ、外部への積極的な情報発信を行う。

 新中期経営計画の最終年度である2027年3月期の数値目標は、下記のとおりです。

   営業利益         800百万円

  売上高営業利益率 13%

  売上高           6,000百万円

  自己資本利益率   12%

 

 

(4)経営環境及び対処すべき課題

   次期2025年3月期は上記の新中期経営計画の初年度となります。2025年3月期の目標達成に向けて下記の課題に着実に取り組んでまいります。

1. 2025年3月期の売上高48億円、営業利益5.1億円の達成

・ 製品セグメント別販売先別に数値目標を定める。

・ 海外売上高は、10億円/年以上とする。

・ 材料、エネルギーのコスト削減、付帯作業や外観作業の自動化を行う。

・ 導電性高分子タンタルコンデンサ、回路保護素子の原価低減を行う。

・ 販売費及び一般管理費は、売上高の20%以内とする。

2. 回路保護素子の拡販推進

・ 車載市場、非車載市場、海外市場のそれぞれの市場で拡販活動を行う。

3. 全製品セグメントを四半期ごとに黒字化する。

・ チップタンタルコンデンサの値上げを行い、賃上げ原資を確保する。

・ 不採算のため生産中止を決定した品種のEOL対応の過程を確実に実行する。

4. 新製品開発の推進と量産の実行

・ 回路保護素子の車載用新製品及び導電性高分子タンタルコンデンサの新製品の開発を推進し、売上高の増加を 図る。

5. 品質目標は、個別に定めた目標を達成する。

6. ESGに対する取り組みを維持し促進する。

・ 環境管理目標の達成、働き方改革の推進、コンプライアンス管理、安全衛生管理、人権管理、サステナビリテ ィへの取り組みの質的向上

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1) サステナビリティ全般に関する考え方及び取組

 当社では、持続可能性の観点から企業価値を向上させるため、サステナビリティ推進体制を強化しており、代表取

締役社長がサステナビリティ課題に関する経営判断の最終責任を有する、下記の体制を構築しています。

・代表取締役社長が、年度単位で取締役及び執行役員の中から各分野の責任者として、コンプライアンス管理担当 役員、リスク管理担当役員及び環境管理責任者をそれぞれ任命します。

・各責任者は、各管理体制を構築する責任と権限を有し、各責任者の指示に基づき執行役員である各部門長は自己の分掌範囲において各管理体制を整備する責任があります。

・各責任者は、中期経営計画及び年度経営計画立案時に計画を立案し戦略、指標及び目標を明確にします。

・各責任者は、役員により構成される月1回の取締役会及び経営会議において会社に影響を及ぼす重要事項の審議及び部門ごとの目標と実績の進捗管理を実施します。

・コンプライアンス管理担当役員及びリスク管理担当役員は、必要に応じてコンプライアンス・リスク管理推進会議を開催します。

 

  (2) 環境問題に関する考え方及び取組

①ガバナンス

当社としましては、環境問題への課題が特に重要と認識し、環境管理責任者は、別途月1回の環境会議を開催し環境目的・環境目標の達成を推進します。当社の環境マネジメントシステムの推進体制は下図のとおりです。

 


 

②戦略

当社の当事業年度における環境戦略目標は、環境管理態勢の強化及び質的向上を図り、以下の環境目的・環境目標を実現することとしました。

環境管理態勢の強化及び質的向上を図り、以下の環境目的・環境目標を実現する。

■環境目的1:排出物量を2023年度末までに2010年度比23%削減する。

■環境目標1:排出物量は2023年度末までに2010年度比23%削減する。

 

■環境目的2:廃棄物削減によるゼロエミッションを維持する。

■環境目標2:リサイクル率は、98%以上を維持する。

 

■環境目的3:原油換算エネルギー(電気+ガス+灯油)の総消費量を、2023年度に2010年度比29%削減する。

■環境目標3:原油換算エネルギー全社計を2023年度に2010年度比で29%削減する。

 

■環境目的4:有害化学物質の管理態勢の強化

■環境目標4:有害化学物質の規制、市場からの要求に完全対応する。

 

■環境目的5:法規制、自主設定基準の遵守体制の強化

■環境目標5:環境不適合発生件数は、"0"件を目標とする。

 

■環境目的6:エネルギー原単位を5年平均で1%以上改善する。

■環境目標6:エネルギー原単位を2017年度実績(見込)に対し、年1%以上の改善を目標とする。

 

なお、2025年3月期から2027年3月期までの中期経営計画における上記の目標は次のとおりです。

環境管理態勢の強化及び質的向上を図り、以下の環境目的・環境目標を実現する。

■環境目的1:排出物量を2026年度末までに2010年度比29%削減する。

■環境目標1:排出物量は2024年度末までに2010年度比25%削減する。

 

■環境目的2:廃棄物削減によるゼロエミッションを維持する。

■環境目標2:リサイクル率は、98%以上を維持する。

 

■環境目的3:原油換算エネルギー(電気+ガス+灯油)の総消費量を、2026年度に2010年度比32%削減する。

■環境目標3:原油換算エネルギー全社計を2024年度に2010年度比で30%削減する。

 

■環境目的4:有害化学物質の管理態勢の強化

■環境目標4:有害化学物質の規制、市場からの要求に完全対応する。

 

■環境目的5:法規制、自主設定基準の遵守態勢の強化

■環境目標5:環境不適合発生件数は、"0"件を目標とする。

 

■環境目的6:エネルギー原単位を5年平均で1%以上改善する。

■環境目標6:エネルギー原単位を2017年度実績(見込)に対し、年1%以上の改善を目標とする。

 

③リスク管理

「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」 (1) サステナビリティ全般に関する考え方及び取組」に記載のとおりです。

 

④指標及び目標

当社の当事業年度における環境目的・環境目標は下記のとおりであり、すべて達成することができました。

(環境戦略目標)

環境管理態勢の強化及び質的向上を図り、以下の環境目的・環境目標を実現する。

■環境目的1:排出物量を2023年度末までに2010年度比23%削減する。

■環境目標1:排出物量は2023年度末までに2010年度比23%削減する。

 

■環境目的2:廃棄物削減によるゼロエミッションを維持する。

■環境目標2:リサイクル率は、98%以上を維持する。

 

■環境目的3:原油換算エネルギー(電気+ガス+灯油)の総消費量を、2023年度に2010年度比29%削減する。

■環境目標3:原油換算エネルギー全社計を2023年度に2010年度比で29%削減する。

 

■環境目的4:有害化学物質の管理態勢の強化

■環境目標4:有害化学物質の規制、市場からの要求に完全対応する。

 

■環境目的5:法規制、自主設定基準の遵守体制の強化

■環境目標5:環境不適合発生件数は、"0"件を目標とする。

 

■環境目的6:エネルギー原単位を5年平均で1%以上改善する。

■環境目標6:エネルギー原単位を2017年度実績(見込)に対し、年1%以上の改善を目標とする。

 

なお、2025年3月期から2027年3月期までの中期経営計画における上記の目標は次のとおりです。

環境管理態勢の強化及び質的向上を図り、以下の環境目的・環境目標を実現する。

■環境目的1:排出物量を2026年度末までに2010年度比29%削減する。

■環境目標1:排出物量は2024年度末までに2010年度比25%削減する。

 

■環境目的2:廃棄物削減によるゼロエミッションを維持する。

■環境目標2:リサイクル率は、98%以上を維持する。

 

■環境目的3:原油換算エネルギー(電気+ガス+灯油)の総消費量を、2026年度に2010年度比32%削減する。

■環境目標3:原油換算エネルギー全社計を2024年度に2010年度比で30%削減する。

 

■環境目的4:有害化学物質の管理態勢の強化

■環境目標4:有害化学物質の規制、市場からの要求に完全対応する。

 

■環境目的5:法規制、自主設定基準の遵守態勢の強化

■環境目標5:環境不適合発生件数は、"0"件を目標とする。

 

■環境目的6:エネルギー原単位を5年平均で1%以上改善する。

■環境目標6:エネルギー原単位を2017年度実績(見込)に対し、年1%以上の改善を目標とする。

 

(3)人的資本・多様性に関する考え方及び取組

当社は、下記の人権基本方針及び人権行動方針を策定し毎年の社内教育を通じて周知徹底を図っています。

 

[人権基本方針]

 1:事業活動のあらゆる面で人権に配慮し健全な人間関係を構築する。

 2:人権活動を組織活動の枠組みに入れ、長期的な維持・発展に努める。

 3:人権目標は、人権尊重の精神に対し的確である。

 4:コンプライアンスは、徹底実現とする。

[人権行動指針]

   人種、肌の色、民族、国籍、言語、思想、信条、宗教、性別、年齢、門地、身体的、社会的出身、財産等の理由で不当な差別や行為は行わない。

   事業活動に係わる全ての人々の人権を尊重し、自主性と創造性の発揮できる豊かな個性を尊重する。

   強制労働・児童労働を認めず、人権侵害に加担しない。

   事業活動を行うにあたり、その国や地域の法令、社会的規範、文化、慣習を遵守する。

   本人の能力と適正により評価する公正な採用選考を基本とする。

   個人情報への不正アクセス、個人情報の紛失、破壊、改ざん、漏えい等が行われないよう、個人情報を厳重に管理する。

   従業員一人ひとりが人権問題に対する理解を深め、正しく行動するための意識啓発の取り組みを推進する。

・   男女雇用機会均等法の趣旨を踏まえ、男女共同参画に対する企業の社会的責任を果たすため、性別にとらわれない雇用管理を推進する。

・   セクシュアル・ハラスメント及びその他のハラスメントに関する理解と認識を深めるための人権啓発を行い、あらゆるハラスメントの防止を推進する。

 

①戦略

 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は下記のとおりです。

 

[人材育成方針]

当社の経営理念、方針に基づき、会社の発展に必要な能力開発を行うことを目的とします。

 

[社内環境整備方針]

性別、雇用区分に関係なく全従業員を対象に下記の施策を実施しています。

   健康増進を目的とした禁煙手当の支給

   能力向上を目的とした資格取得者への慰労金支給による資格取得の奨励

   業績向上を目的とした管理職賞与の役割給の業績連動化

   採用業務の達成率向上及び従業員の生活防衛のための賃金上昇と会社の利益計画の両立

また、管理職研修に年度単位で相当の費用をかけて対象者に実施しています。

 

②指標及び目標

次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画及び女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を以下のとおり策定しています。

(次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画)

従業員が仕事と家庭を両立することができ、従業員全員が働きやすい環境をつくることによって、全ての従業員がその能力を十分に発揮できるようにするため、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を次のとおり策定する。

1. 計画期間

令和2年4月1日から令和7年3月31日までの5年間

2. 内容

子育てを行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立等を支援するための雇用環境の整備

[目標1]

社内電子掲示板内の出産・育児・介護休業及び子の看護休暇の記載について現在の運用を継続し、制度の周知及び最新の情報提供を行う。

[目標2]

計画期間内に育児休業の取得状況を次の水準とする。

男性:取得者1人以上にする。

女性:取得率90%以上にする。

働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備

[目標3]

計画期間内に、年次有給休暇取得促進のための措置を実施する。

 

(女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画)

女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づき、次の通り一般事業主行動計画を策定する。

1. 計画期間

2022年4月1日から2027年3月31日までの5年間

2. 目標及び取組内容

目  標:

①生産部門の所定外労働時間は、生産効率を重視した最低限の時間数とする。

②生産部門以外の所定外労働時間は0を目標とする。

 

取組内容:

人的資源の有効な活用により働き方改革を推進するために上記の施策を実施する。いずれも、年度経営計画立案時に組織全体・部署ごとの数値目標を設定し月1回の経営会議で徹底的なフォローアップを行う。

 

(直近実績値)

項目

数値

基準日又は期間

男女の平均勤続年数

男性28.9年、女性26.7年

2024年3月31日現在

有給休暇取得率

63.1

2023年6月~2024年5月

取締役及び監査役に占める女性の割合

男性6名、女性2名(役員のうち女性の比率 25

有価証券報告書提出日現在

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものです。

 

(1) 市場環境の変化について

当社は、日本、アジア、欧州、米州等の様々な国・地域に製品を供給しています。したがって、これらの国・地域の経済状況の変化や、対象市場での当社製品に対する需要の変化により当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 原材料の安定調達について

当社製品のタンタルコンデンサの主要原材料であるタンタル粉末は「希少金属」であり、その生産は世界的な寡占企業に掌握されています。そのため、その市場価格は当該寡占企業の意向を強く反映したものとなり、下方硬直性を有しています。このことは、他の種類のコンデンサとの価格競争上不利であり、当社損益に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、その他の原材料についても仕入先の事情による原材料の供給停止や仕入価格の上昇が発生した場合、当社の損益に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 在庫リスクについて

当社は、ユーザーの仕様に合わせた製品の受注生産を行っていますが、ユーザーの生産計画等の変更により、見込生産した製品が不動在庫化する可能性があります。また、当社が属する電子部品業界では、激しい価格競争が行われており、製造原価より正味売却価額が低下する可能性もあります。
  これら収益性の低下した棚卸資産については、「棚卸資産の評価に関する会計基準」が適用されるため、収益性低下に見合う簿価切り下げ額は売上原価に算入することとなり、生産管理、販売政策の如何によっては、営業損益に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) カーエレクトロニクス分野への依存及び主要な販売先について

当社の売上高は、カーエレクトロニクス向けが約48%を占めており、その中でもデンソーグループに対する売上高は、当社の売上高の約42%を占めています。従って、同社の経営戦略の如何によって当社の経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 新製品及び新技術の企業化について

近年急速に、電子機器が小型化・薄型化し、また取扱い周波数の高周波化及び機器の安全化重視が進んでいます。当社としましては、このような技術的要求に適合する高品質・低コストの製品を他社に先がけて開発・販売することが、安定した収益を確保するための最重要課題と認識しています。しかしながら、人的要因、資金的要因等から製品開発計画が意図したように進展しない可能性もあり、また当初目標とした製品を開発できたとしても、技術革新が早く、当該製品の陳腐化が進行する可能性が否定できません。そのような場合、将来の成長と収益性が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 環境規制への対応について

昨今環境問題は、企業の社会的責任の一つとして重要視されています。国内外の法令等で規制の強化が始まっており、それに対応して当社は環境に関する国際規格の取得や、ハロゲンフリーなどの製品対応を進めていますが、当社製品がこれら規制に対応できなければ、当社の販売活動が制限されることになり、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(7) 自然災害等による影響について

当社は、台風・地震などの自然災害や突発的事象に対して事業継続計画(BCP)を策定し、予防活動・対応態勢の構築を行っていますが、生産設備における悪影響を完全に排除できるものではありません。生産設備の停止などお客様に製品を供給できない事態となった場合、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 感染症等について

感染症等の拡大により、供給元、納入先、当社の工場等のサプライチェーンに影響が生じた場合や、当社の従業員に影響が生じた場合にも、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 製品の欠陥について

当社は、品質第一をモットーに世界的に認められている品質管理基準に従って製品を製造していますが、将来にわたって製品に欠陥が生じないという保証はありません。製品の欠陥により多額な損失が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 公的規制について

当社は、国内及び海外において、商取引、独占禁止法、知的財産権、製造物責任、環境、労務等の法規制及び公的規制の適用を受けて事業を行っています。これらの公的規制に違反した場合、監督官庁による処分、訴訟の提起等のリスクや企業ブランド価値の毀損、社会的信用の失墜等のリスクがあります。

当社は、代表取締役社長がコンプライアンス管理担当役員を指名し、役員及び従業員が共有する「倫理基準」及び「独占禁止法・競争法遵守方針」を制定して、当社における行動指針の遵守及び法令違反等の問題発生を予防するとともに、法令遵守の実効性を担保するため、内部監査部門におけるモニタリングの実施並びにコンプライアンス上の問題を報告する通報窓口を社内及び社外に設置しています。

しかし、世界的に事業を展開する中で、結果的に当社が公的規制に抵触することになる場合には、当社の事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) その他

上記に掲げたリスク要因は、当社の事業活動等にかかる全てのリスクを網羅するものではありません。これら以外にもリスクが発生する恐れがあり、それにより当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

 (1) 財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度における国内経済は、インバウンド需要の増加等により堅調な推移となりましたが、一方で、物価高の長期化等により個人消費を中心に内需が低調であり、景気の回復に足踏みがみられ先行き不透明な状況が続いています。

 このような環境のもとで、当社にとって、「成長への転換」をテーマとした2022年3月期から2024年3月期までの中期経営計画の最終年度となりました。

 当社の売上高につきましては、タンタルコンデンサは、カーエレクトロニクス向けの需要が回復傾向にあるものの産業用電子機器向けの主にリード付きタンタルコンデンサの需要が減少し、回路保護素子は、リチウムイオン電池向けの高電流ヒューズの需要が減少したもののカーエレクトロニクス向けの需要が増加しました。

 その結果、当事業年度の当社の業績は、売上高は4,209百万円(前年同期比9.5%減少)となり、損益につきましては、売上高の減少及び第4四半期会計期間に不採算のため生産中止を決定した製品に関する棚卸資産を廃棄した影響等により営業利益254百万円(前年同期比53.4%減少)、経常利益220百万円(前年同期比58.2%減少)となりました。なお、当期純利益は退職給付制度改定益の計上及び繰延税金資産の回収可能性の見直しによる法人税等調整額の増加により28百万円(前年同期比90.6%減少)となりました。

 なお、当社は、2024年1月16日開催の取締役会において、2025年3月期から2027年3月期までの中期経営計画(以下「新中期経営計画」といいます。)を決議し、同日に「中期経営計画(2025年3月期から2027年3月期まで)の策定に関するお知らせ」を公表しました。

 セグメント別の業績は次のとおりです。

①タンタルコンデンサ事業

タンタルコンデンサ事業につきましては、カーエレクトロニクス向けの需要が回復傾向にあるものの産業用電子機器向けの主にリード付きタンタルコンデンサの需要が減少しました。この結果、タンタルコンデンサ事業の売上高は、2,910百万円(前年同期比12.7%減少)、セグメント利益は、249百万円(前年同期比47.9%減少)となりました。なお、総売上高に占める比率は69.1%(前年同期比2.6ポイント低下)となりました。

②回路保護素子事業

回路保護素子事業につきましては、リチウムイオン電池向けの高電流ヒューズの需要が減少したもののカーエレクトロニクス向けの需要が増加しました。この結果、回路保護素子事業の売上高は、1,170百万円(前年同期比5.6%増加)、セグメント利益は、442百万円(前年同期比3.7%増加)となりました。なお、総売上高に占める比率は27.8%(前年同期比4.0ポイント上昇)となりました。

③その他

その他の売上高は、128百万円(前年同期比38.2%減少)、セグメント損失は17百万円(前年同期比44百万円悪化)となりました。なお、総売上高に占める比率は3.1%(前年同期比1.4ポイント低下)となりました。

 

 (2) キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ、268百万円減少し、1,068百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の減少等により、375百万円の収入(前事業年度末比131百万円増加)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資による有形固定資産の取得による支出の増加等により、405百万円の支出(前事業年度末比137百万円減少)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度の長期借入金による収入がなくなったこと等により、239百万円の支出(前事業年度末比481百万円減少)となりました。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

タンタルコンデンサ事業

3,008,243

△6.7

回路保護素子事業

1,175,426

12.9

その他

136,756

△27.8

合計

4,320,426

△3.0

 

(注) 金額は、販売価格によっています。

 

(2) 受注実績

当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

タンタルコンデンサ事業

2,786,630

△11.2

743,467

△14.3

回路保護素子事業

1,136,210

10.4

97,477

△26.0

その他

94,174

△51.7

46,350

△42.6

合計

4,017,014

△8.0

887,294

△17.9

 

 

(3) 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

タンタルコンデンサ事業

2,910,849

△12.7

回路保護素子事業

1,170,545

5.6

その他

128,563

△38.2

合計

4,209,958

△9.5

 

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

当事業年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

㈱デンソー(グループ会社含む)

1,434,472

30.9

1,786,569

42.4

釜屋電機㈱

846,689

18.2

655,228

15.6

 

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものです。

 

(1) 財政状態に関する分析

当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ317百万円(4.6%)減少し、6,606百万円となりました。流動資産は、前事業年度末に比べて335百万円(7.0%)減少し4,438百万円、固定資産は、前事業年度末に比べて18百万円(0.8%)増加し2,168百万円となりました。

流動資産減少の主な要因は、売上債権の減少等によるものです。

固定資産増加の主な要因は、有形固定資産の増加等によるものです。

当事業年度末の負債の合計は、前事業年度末に比べて345百万円(7.5%)減少し、4,297百万円となりました。

流動負債は前事業年度末に比べて74百万円(2.7%)減少し2,705百万円、固定負債は前事業年度末に比べて271百万円(14.6%)減少し1,591百万円となりました。

流動負債減少の主な要因は、未払金の減少等によるものです。

固定負債減少の主な要因は、長期借入金の減少等によるものです。

 当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べて28百万円(1.3%)増加し、2,309百万円となりました。これは、繰越利益剰余金の増加等によるものです。

 

(2) 経営成績に関する分析

① 売上高

当事業年度において、売上高につきましては、前事業年度比439百万円(9.5%)減少し、4,209百万円となりました。

タンタルコンデンサ事業につきましては、カーエレクトロニクス向けの需要が回復傾向にあるものの産業用電子機器向けの主にリード付きタンタルコンデンサの需要が減少しました。この結果、タンタルコンデンサ事業の売上高は、2,910百万円(前年同期比12.7%減少)、セグメント利益は、249百万円(前年同期比47.9%減少)となりました。回路保護素子事業につきましては、リチウムイオン電池向けの高電流ヒューズの需要が減少したもののカーエレクトロニクス向けの需要が増加しました。この結果、回路保護素子事業の売上高は、1,170百万円(前年同期比5.6%増加)、セグメント利益は、442百万円(前年同期比3.7%増加)となりました。

 

② 売上原価、販売費及び一般管理費、及び営業損益

売上原価につきましては、前事業年度比169百万円(5.3%)減少し、売上原価率は71.4%となり、前事業年度比3.1ポイント悪化しました。販売費及び一般管理費につきましては、前事業年度比21百万円(2.3%)増加し、948百万円となりました。

上記の結果、営業利益につきましては、前事業年度比291百万円(53.4%)減少して、254百万円となりました。

 

③ 経常損益

営業外収益・費用の純額は為替差損の計上等により33百万円の費用となり、経常利益は前事業年度比307百万円(58.2%)減少して、220百万円となりました。

 

④ 税引前当期純損益

特別利益・損失の純額は退職給付制度改定益の計上等により84百万円の損失となり、税引前当期純利益は前事業年度比93百万円(40.7%)減少して、136百万円となりました。

 

⑤ 当期純損益

当期純損益は、繰延税金資産の回収可能性の見直しによる法人税等調整額の増加により、当期純利益は前事業年度比277百万円(90.6%)減少して、28百万円となりました。なお、1株当たり当期純利益は、前事業年度の95円60銭から8円98銭となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当事業年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の減少等により、375百万円の収入(前事業年度末比131百万円増加)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資による有形固定資産の取得による支出の増加等により、405百万円の支出(前事業年度末比137百万円減少)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度の長期借入金による収入がなくなったこと等により、239百万円の支出(前事業年度末比481百万円減少)となりました。

これらの結果、当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ、268百万円減少し、1,068百万円となりました。

当社の資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりです。

当社は、将来の事業活動に必要な資金を確保し、適切な流動性を維持することを財務の基本方針としています。

当該資金の原資は、自己資金及び金融機関からの借入等により行っています。

 

(4) 重要な会計の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。

この財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項(重要な会計方針)」に記載されているとおりです。特に、固定資産の減損損失の計上及び退職給付に係る負債の計上等に関しては経営者が行う重要な判断と見積りにより大きな影響を受けるものと考えています。

また、継続企業の前提に関する評価に関しましても経営者が行う重要な判断と見積りにより大きな影響を受けるものと考えています。

当社は、過去の実績及び現在の状況に照らして、合理的と考える見積り及び判断を行っていますが、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

近年、電子機器の小型軽量化・薄型化及び高周波化がますます進み、電子部品の更なる小型化、大容量化、高性能化のニーズが高まってきています。

また、機能安全への取組みが求められていることから、回路保護に対するニーズが高まってきています。

当社は、これら市場のニーズに敏速に対応するために先行した技術開発を行い、新製品の開発、現有製品の改良活動に取り組んでいます。また製品の鉛フリー、国際的な化学物質規制への対応など有害化学物質の管理態勢を強化し、有害化学物質の規制、市場からの要求に対応し、環境問題に対しても積極的な取り組みを行っています。

当事業年度に支出した研究開発費の総額は137百万円で、セグメント別の主な研究開発活動は以下のとおりです。

 

タンタルコンデンサ事業

・導電性高分子タンタルコンデンサ超低ESR品の開発に支出した研究開発費の金額は100百万円です。

 

回路保護素子事業

リチウム電池向けの安全部品である表面実装型中電流領域用ヒューズの製品開発に支出した研究開発費の金額は37百万円です。

 

その他

該当事項はありません。