当連結会計年度におけるわが国経済は、政府及び日銀による景気対策等により企業業績や雇用情勢は回復基調で推移しておりましたが、今年に入り円高・株安に転じたことから先行き不透明な状況となりました。
また、海外におきましても、中国や新興国の景気減速は顕著になり、原油をはじめとした資源安にみられる世界経済の不透明感は強まり、先行きは益々予断を許さない状況となってまいりました。
このような状況下当社グループは、主にスマートフォン市場向け、自動車市場向け及び産業用機器市場向けのグローバル事業拡大を進めると共に高度化する市場ニーズへの更なる迅速な対応を目指し、高付加価値新製品の開発・販売・生産体制の強化を推進して参りましたが、韓国及び台湾スマートフォン市場向けビジネスの減少及び産業用機器市場向けビジネスの低迷により、当連結会計年度の売上高は1,202億8千4百万円(前年同期比4.3%の減)、営業利益は287億9千4百万円(同11.6%の減)、経常利益は305億1千6百万円(同12.7%の減)、親会社株主に帰属する当期純利益は211億4百万円(同8.0%の減)となりました。
当社の主力製品群であります多極コネクタは、丸形コネクタ、角形コネクタ、リボンケーブル用コネクタ、プリント基板用コネクタ、FPC(フレキシブル基板)用コネクタ、ナイロンコネクタ等多品種にわたります。
主としてスマートフォン、タブレットPC、通信機器、カーエレクトロニクス等の分野から計測・制御機器、FA機器及び医療機器などの産業用機器等の分野まで幅広く使用されているコネクタであり、今後の更なる高度情報通信ネットワーク化社会及び環境を考慮した省エネ化社会の進展とともに需要の拡大が見込まれております。
当連結会計年度は、自動車市場向けビジネスは引き続き伸長しましたが、韓国及び台湾スマートフォン市場向けビジネスの減少や産業用機器市場向けビジネスの低迷により、売上高は985億5千5百万円(前年同期比2.8%の減)、営業利益は258億2千2百万円(同8.3%の減)となりました。
同軸コネクタは、マイクロ波のような高周波信号を接続する特殊な高性能コネクタであり、主にマイクロ波通信機、衛星通信装置、電子計測器、またはスマートフォン・携帯電話及び伝送・交換装置等に使用されるコネクタであります。なお、光コネクタ、同軸スイッチもこの中に含んでおります。
当連結会計年度は、売上高は138億2千9百万円(前年同期比14.7%の減)、営業利益は25億2千9百万円(同39.2%の減)となりました。
以上のコネクタ製品以外の製品として干渉波EMS等の電子医療・健康機器、マイクロスイッチ類及びコネクタ用治工具類を一括しております。
当連結会計年度は、売上高は79億円(前年同期比2.7%の減)、営業利益は4億4千2百万円(同71.5%の増)となりました。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(資金)は、税金等調整前当期純利益305億2千7百万円や減価償却費等による資金増が、法人税等の支払額で減殺され、営業活動の資金は、360億3千7百万円の余剰となりましたが、定期預金の預入による支出等の投資活動と自己株式の取得による支出等の財務活動による資金減により、前連結会計年度末に比べ、186億8千1百万円増加し、当連結会計年度末の資金は、753億9千2百万円(前連結会計年度比32.9%の増)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
多極コネクタ | 100,135 | △1.3 |
同軸コネクタ | 14,406 | △15.4 |
そ の 他 | 4,711 | △12.9 |
合 計 | 119,253 | △3.7 |
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高 | 前年同期比(%) | 受注残高 | 前年同期比(%) |
多極コネクタ | 98,441 | △3.3 | 10,404 | △1.5 |
同軸コネクタ | 13,204 | △17.9 | 1,314 | △30.1 |
そ の 他 | 8,631 | 9.1 | 410 | 56.0 |
合 計 | 120,277 | △4.4 | 12,128 | △4.5 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
多極コネクタ | 98,555 | △2.8 |
同軸コネクタ | 13,829 | △14.7 |
そ の 他 | 7,900 | △2.7 |
合 計 | 120,284 | △4.3 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
市場の多様化、製品の短サイクル化による投資回収リスクの高まりや、価格引下げ圧力の強まりなど、ますます厳しさを増す経営環境の中で、当社グループは市場ニーズに対応した高付加価値新製品の開発力強化、生産効率化の促進、品質の更なる向上などコスト競争力を高めるとともに、グローバル化の更なる推進、国内外における販路の開拓等に努め、利益ある成長を目指して経営基盤の強化を図ってまいります。
当社が認識している当社グループの事業等のリスクのうち主要なものは、以下の通りであります。当社は、このようなリスク(強みの裏返しでもあること)を認識した上で、必要なリスク管理体制を整え、リスク発生の回避及びリスク発生時の影響の極小化に最大限努めております。
なお、以下に記載する将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月22日)現在入手し得る情報に基づき、当社が判断したものであります。
(1) 経済動向変化
当社グループは、グローバルに事業展開しておりますので、世界及び日本経済の景気動向に影響を受けます。
(2) スマートフォン市場への依存
当社グループの主たる事業領域である電子部品事業は、変化の激しいエレクトロニクス業界の需要動向に左右されますが、特にスマートフォン市場への依存は依然高く、その市場動向によって当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(3) 大口顧客グループからの受注動向
当社グループの売上は、特定の大口顧客グループの受注量に影響を受ける可能性があります。
(4) 当社製品の需要変動
当社製品のうち、需要変動の大きいエレクトロニクス製品に使用されるコネクタについては、実態と乖離する部品需要が発生することもあり、対応次第で在庫リスクとなる可能性があります。
一方、需要が、当社予測を急激かつ大幅に上回り、生産体制が追いつかない場合には、納期遅延による損害賠償金の発生や販売機会を逃す可能性があります。
(5) 競合と価格競争
コネクタ業界は、国内外の大手から中小にいたる様々な規模の多数の同業者が存在し、極めて競合的であり、当社もその価格引下げ競争に巻き込まれる可能性があります。
(6) 新製品開発
企業の成長は、マーケティングと技術革新によりますが、顧客製品のライフサイクルは短期から長期まで様々であり、これらの市場変化や技術革新への対応遅れで、差別化する新製品の開発が遅れた場合、企業経営に影響が出る可能性があります。
(7) 製品の不具合
予期していない製品の不具合が発生し、品質・信頼性に係る重大な問題が起こった場合、顧客との関係で多額の損害賠償金や売上の減少等の影響が出る可能性があります。
(8) 海外展開に伴うリスク
生産及び販売の拠点を置いている海外の国々では、戦争・テロなどの政治的リスク、為替変動・貿易摩擦などの経済的リスク、文化・慣習の相違から発生する労務問題や疾病などの社会的リスク及び自然災害リスクが、当社の予想を超える範囲で発生する可能性があります。
(9) 為替変動
当社グループは、海外売上高比率が約7割と高く、外貨建販売のウェイトも増えて来ており、為替変動による損益影響を軽減する為、為替予約や海外売上と海外生産の比率の均衡化等に取組んでおりますが、急激な円高が進んだ場合には業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(10) グループ外の組立外注及び部品・材料供給先にかかるリスク
当社グループは、生産のかなりの部分を複数の外部協力会社に委託しておりますが、委託生産が困難になった場合、生産量の減少やコストアップの要因になる可能性があります。
また、部品・材料メーカーからの供給が滞った場合、生産に支障をきたす可能性があります。
(11) 新規事業
当社グループは、現在及び将来においても、新規事業を積極的に推進しますが、新規事業は不確定要素が多く、事業計画を予定通り遂行できない場合、その投資負担が、業績に影響する可能性があります。
(12) 少数精鋭/管理運営リスク
当社グループの組織運営は、少数精鋭で行われているため、従業員の突然の退職は、管理運営上のリスクを伴う可能性があります。
(13) 労使関係
当社グループには、労働組合がなく、従業員加入の親睦団体「八要会」により、正常かつ円満な労使関係を維持継続しております。この良好な労使関係が崩れた場合、経営上影響が出る可能性があります。
(14) 大規模災害
当社グループの国内生産拠点は東北地方にあり、東日本大震災のような大規模災害が発生した場合、生産設備の破壊、物流機能の麻痺等が生じ、生産能力に影響が出る可能性があります。
記載すべき重要な契約等はありません。
エレクトロニクス業界における技術の進歩に伴い、コネクタ技術面においても「小型・高密度化」「高性能」「高品質」「経済性」の要求が高まり、さらに、「高速デジタル信号処理」「超高周波信号の伝送技術」、エネルギー関連対応や環境規制への対応が求められております。
当社グループはこれらの要求に応えるべく、次のような製品開発を行っております。
多極コネクタには、主として機器の外部に実装する丸形コネクタ及び角形コネクタと機器の内部に実装するプリント配線板用コネクタがあります。
丸形コネクタでは、計測機器・通信機器用として小型多芯コネクタの開発、また、サーボモータ・ロボット・工作機械のFA機器用として速着脱タイプの小型防水コネクタ、さらには国内外の基地局用防水コネクタ等産業用製品群の他、監視カメラ・医療機器、その他各種電源用コネクタなど幅広く開発を行っております。
角形コネクタでは各種産業機器や医療機器用として高速信号対応の多芯コネクタの開発、小型モバイル市場にはオリジナル小型コネクタの充実を図り市場に投入しております。また、蓄電池向けとして大電流コネクタの開発や各種情報端末用インターフェイスコネクタを国内外の市場向けに各種開発を行っております。
プリント配線板用コネクタでは、高密度・多芯・狭ピッチ用コネクタの開発、またスマートフォン、タブレット等のモバイル機器用の内部実装用コネクタとしてさらに薄型・狭ピッチ基板対基板コネクタ・FPC用コネクタの開発、サーバー・LAN機器に使用するオリジナル高速タイプコネクタの開発、さらにはLED照明用コネクタの開発など、今後成長を期待される機器用コネクタの開発と併せて、環境対策として各種環境規制に適合した製品の充実を図っております。
その他自動車用コネクタとして、高速伝送用コネクタ、ECU向け多極コネクタ、EV・HEV(電気自動車・ハイブリッド)向けのコネクタなどの開発を行っております。また、アンテナ用コネクタやヘッドライト用コネクタ、カーナビ用コネクタなどのシリーズ拡充も行っております。
同軸コネクタでは、モバイル・ワイヤレス機器に対応した世界最小アンテナ用超小型コネクタの開発を始め、無線LANのアクセスポイント・携帯電話基地局・マイクロ波通信機器等の無線通信インフラ及び放送機器・計測器・RFID等に使用される各種コネクタの開発を行っております。
高周波デバイスでは、スマートフォン用や無線LAN向け世界最小クラス小型同軸スイッチのシリーズ拡充や携帯電話基地局及びマイクロ波通信、放送機器、計測器用終端器や減衰器・避雷器コネクタ等の開発を行っております。
光コネクタでは、医療機器、ロボット等での使用に適した、光-電気変換用アクティブコネクタの開発や、通信インフラ、屋外画像伝送装置等への使用に適した光防水コネクタのシリーズ拡充開発を引き続き推進し、幅広いニーズに応えております。
以上のコネクタ製品以外の製品として干渉波EMS等の電子医療・健康機器、マイクロスイッチ類及びコネクタ用治工具類等の開発を行っております。
上記の区分ごとに研究開発投資額を関連付けるのは困難な状況でありますが、当グループにおける研究開発費は、70億1千7百万円であります。この他に研究開発活動の成果として、工具器具などの固定資産で計上したものが、49億6千9百万円あるため、合わせますと、研究開発投資額は119億8千7百万円となります。
当連結会計年度の総資産は、投資有価証券の減少等により、前連結会計年度に比べ30億7千2百万円減少して3,165億9千5百万円となりました。負債は未払法人税等の減少等により、6億円減少して307億6千5百万円となりました。また、純資産は為替換算調整勘定の減少等により24億7千2百万円減少して2,858億3千万円となりました。この結果、自己資本比率は90.2%となりました。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(資金)は、税金等調整前当期純利益305億2千7百万円や減価償却費等による資金増が、法人税等の支払額で減殺され、営業活動の資金は、360億3千7百万円の余剰となりましたが、定期預金の預入による支出等の投資活動と自己株式の取得による支出等の財務活動による資金減により、前連結会計年度末に比べ、186億8千1百万円増加し、当連結会計年度末の資金は、753億9千2百万円(前連結会計年度比32.9%の増)となりました。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、360億3千7百万円(前年同期318億7百万円)となりました。これは、税金等調整前当期純利益305億2千7百万円(前年同期346億7千万円)や減価償却費115億6千万円(前年同期113億6千1百万円)などによります。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、26億2千3百万円(前年同期△162億3千2百万円)となりました。これは、定期預金の預入による支出1,688億5百万円(前年同期1,395億7千6百万円)や定期預金の払戻による収入1,642億3千万円(前年同期1,298億3千万円)などによります。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、△179億1千7百万円(前年同期△124億3千3百万円)となりました。これは、自己株式の取得による支出98億6千2百万円(前年同期28億9千3百万円)や配当金の支払額81億7千5百万円(前年同期76億7千3百万円)などによります。
「1 業績等の概要、(1)業績」に記載しております。