第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当期における世界経済は、年後半より中国などで景気が減速し、全体として成長が鈍化する展開となりました。米国経済は、雇用や所得環境の改善により景気拡大が継続し、欧州経済は、緩やかな回復が持続しました。我が国経済は、企業収益の改善による緩やかな回復が続きました。一方、中国の景気減速や資源価格の下落などで新興国経済の成長は鈍化しました。

 当社グループの関連市場におきましては、自動車電装機器市場は、米国の景気拡大、欧州の回復が新興国需要の伸び悩みを補い、好調に推移しました。民生・業務機器市場は、先進国における安定した需要が持続しました。

 このような景況下、当社グループは、「自動車電装事業の継続的強化・拡大及び民生・業務機器事業への新たな取り組みの実現」、「ものづくり革新の推進」、「新生産拠点の構築」を課題に掲げ、取り組んでまいりました。

 具体的には、①パワーウインドウ用新製品を新規顧客へ販売開始、②中型電装用モーター各用途に用途別標準品を投入し販売強化、③移動体、業務用事務機器、福祉・介護機器分野への本格参入、④生産合理化設備の導入拡大による生産工程の省力化や工数削減、⑤メキシコ合衆国の新生産工場竣工など、売上とシェアの拡大、高品質・高効率化の更なる進展に向けた諸施策を積極的に導入・実現し、当期そして将来の事業成長につながる成果を上げることができました。

 これらの結果、当期連結売上高は1,431億4千3百万円(前期比16.8%増)となりました。その大半を占めるモーター売上高は1,431億3千4百万円(前期比16.8%増)であります。

 セグメント別の売上高は、「日本」セグメントは113億5百万円(前期比1.9%減)、「アジア」セグメントは853億7千万円(前期比14.5%増)、「アメリカ」セグメントは172億4百万円(前期比33.9%増)、「ヨーロッパ」セグメントは292億6千2百万円(前期比23.9%増)であります。

 営業利益につきましては、プロダクトミックスの改善および原材料費の低下に加え、前期比で為替レートが円安で推移したことから229億6千1百万円(前期比36.1%増)となりました。

 セグメント別の利益は、「日本」セグメントは78億8千1百万円の利益(前期比48.4%増)、「アジア」セグメントは135億9百万円の利益(前期比20.4%増)、「アメリカ」セグメントは4億4千6百万円の利益(前期比68.0%増)、「ヨーロッパ」セグメントは15億2千万円の利益(前期比66.9%増)、セグメント間取引消去による調整額は△3億9千6百万円(前年同期は△8億3千4百万円)であります。

 経常利益は、前期比で為替差益が減少したことで営業外収益が減少したものの、営業利益の増加により271億1千3百万円(前期比13.3%増)となりました。

 税金等調整前当期純利益は、連結子会社の未利用土地の売却による固定資産処分益を計上した一方で、一部の連結子会社における固定資産の減損損失計上等もあり特別損益の収支が悪化したものの、経常利益の増加幅がこれを上回り265億9千3百万円(前期比12.7%増)となり、当期純利益は185億4千6百万円(前期比2.5%増)となりました。

 次に、モーターの用途別市場動向と販売状況についてご説明いたします。

① 自動車電装機器市場

売上高は963億6千9百万円(前期比22.4%増)と大幅に増加しました。新製品投入、新規顧客への販売開始及びシェアアップが寄与したことで、中型電装用途ではパワーウインドウ、パワーシート、パーキングブレーキ及びエンジン周辺機器用など、小型電装用途ではミラー、ドアロック、エアコンダンパー及びヘッドライト用など、主要用途の全てが好調を持続し、円安の影響もあり大幅に増加しました。

② 民生・業務機器市場

 売上高は467億6千4百万円(前期比6.9%増)と増加しました。理美容関連、工具、複写機・複合機(MFP)及びレーザープリンター用などが堅調に推移し、円安の影響もあり増加しました。

 なお、当期より、従来の「家電機器・工具・玩具市場」、「精密・事務機器市場」及び「音響・映像機器市場」を集約し、「民生・業務機器市場」に呼称を変更しております。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前期末から37億3千6百万円増加し1,129億5千6百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは201億1千5百万円の収入となり、前期に対し19億9千6百万円増加しました。税金等調整前当期純利益が29億9千8百万円増加したことなどで営業キャッシュ・フローが増加しました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは11億7千8百万円の支出となり、前期に対し107億9千8百万円の支出減少となりました。有価証券・投資有価証券の取得による支出が45億5千6百万円減少、売却による収入が17億9千2百万円増加しました。また、新会社の設立や新規の設備投資により固定資産の取得による支出が57億5千3百万円増加しました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは133億1千2百万円の支出となり、前期に対し72億9千7百万円の支出増加となりました。配当金の支払額が22億3千9百万円増加したことや自己株式の取得による支出が50億3千6百万円増加したことなどによるものです。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 小型モーターの生産実績を拠点別に示すと、次のとおりであります。

(千個未満の端数切捨て)

 

前連結会計年度

(自 平成26年1月1日

  至 平成26年12月31日)

当連結会計年度

(自 平成27年1月1日

  至 平成27年12月31日)

比較増減

(△は減)

 

数  量

構成比率

数  量

構成比率

数  量

 

 東莞マブチ

千個

67,377

4.5

千個

68,204

4.6

千個

826

 鷹潭マブチ

64,983

4.4

55,652

3.8

△9,330

 道ジャオマブチ

292,778

19.7

287,944

19.4

△4,833

 江西マブチ

49,381

3.3

51,118

3.5

1,736

 大連マブチ

123,175

8.3

78,616

5.3

△44,558

 瓦房店マブチ

173,355

11.7

206,012

14.0

32,657

 江蘇マブチ

24,485

1.6

28,926

2.0

4,440

 ベトナムマブチ

475,579

32.0

485,351

32.9

9,771

 ダナンマブチ

203,942

13.8

202,101

13.7

△1,841

 台湾マブチ

10,695

0.7

11,282

0.8

586

合  計

1,485,756

100.0

1,475,212

100.0

△10,544

(注)当社グループの生産・販売品目は小型モーター単品であり、価格差も僅少であることから、数量表示のみで記載しております。

 

(2)受注状況

 当社グループは、主として需要予測に基づく見込生産方式をとっておりますので記載を省略しております。

 

(3)販売実績

 小型モーターの販売実績を用途市場別に示すと、次のとおりであります。

(百万円未満の端数切捨て)

 

前連結会計年度

 (自 平成26年1月1日

   至 平成26年12月31日)

当連結会計年度

 (自 平成27年1月1日

   至 平成27年12月31日)

比較増減

(△は減)

 

金  額

構成比率

金  額

構成比率

金  額

 

 自動車電装機器

百万円

78,748

64.3

百万円

96,369

67.3

百万円

17,620

 民生・業務機器

43,753

35.7

46,764

32.7

3,010

合  計

122,502

100.0

143,134

100.0

20,631

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.当連結会計年度より、従来の「家電機器・工具・玩具市場」、「精密・事務機器市場」及び「音響・映像機器市場」を集約し、「民生・業務機器市場」に呼称を変更しております。

3【対処すべき課題】

 次期の見通しにつきましては、米国経済は、引き続き堅調に推移するものと見込まれ、欧州経済については、主要国を中心に緩やかな回復が続くものと予測されます。我が国経済についても、緩やかな景気回復が続くものと見込まれます。新興国経済については、中国経済の成長鈍化の影響を受け、不透明感が増し低成長が続くものと予測されます。

 当社グループの関連市場におきましては、自動車電装機器市場は、欧米が堅調であるものの、中国及びその他新興国は低成長に留まり、世界の自動車生産台数の伸び率が鈍化、民生・業務機器市場では、家電機器や工具において先進国需要が安定的に推移するものの、精密・事務機器において個人向けが低迷すると予想しております。

 このような経営環境下、当社グループは、次に述べます課題に取り組んでまいります。

 

(1)パワーウインドウ用モーター事業の成長加速

 パワーウインドウ用につきましては、2015年度に国内3社目となる自動車メーカー向けに中トルク新製品の納入を開始しており、この量産実績を足掛かりとして、搭載車種の拡大を目指してまいります。また、当社が強みを持つ小型・軽量化技術を活かした、次世代新製品の開発を加速し、製品ラインナップの拡充を図ってまいります。

 高トルク新製品につきましては、2015年度に北米大手自動車メーカー向けの量産を立ち上げておりますが、今夏にはメキシコマブチにおいてパワーウインドウ用モーターの量産を開始し、供給体制を強化いたします。こうした供給体制の強化へ向けた取り組みや量産実績、製品競争力をアピールすることで、新たな北米自動車メーカーへの搭載を確実なものとすべく、販売活動を加速してまいります。

(2)中型電装用モーターの拡販・新用途拡大

 パワーシート、パーキングブレーキ、及びエンジン周辺機器用などの中型電装用モーターにつきましては、自動車の安全性、快適性、経済性の追求を背景として、今後も継続的な市場の拡大が期待できる分野であり、競争力の高い用途別標準品による新たなお客様への拡販や新用途開拓に取り組んでまいります。

 パワーシート用につきましては、2015年度に販売金額が100億円を突破し、2016年度も引き続きグローバルな拡販に取り組み、国内外において新たな受注を獲得し、更なる成長を目指してまいります。また、パーキングブレーキ用モーターは、当社が世界トップのシェアを維持している用途であり、電動化の普及に伴う需要増に対応すべく、生産能力の拡大を図るとともに、従来の日欧のお客様に加えて、韓国大手のお客様からの受注獲得を目指し、引き続きトップシェアを堅持してまいります。エンジン周辺機器のうち、吸排気用モーターにつきましては、2015年度に日系の大手のお客様向けに量産を開始いたしました。これを機に、吸排気用モーターのみならず、エンジン周辺の新たな用途の開拓にも取り組んでまいります。

(3)民生・業務機器用分野における新用途開拓

 民生・業務機器用分野につきましては、従来の「小型」かつ「ブラシ付」のモーターを主軸とした事業活動に加えて、新用途の開拓に注力し、新たな需要を創造するために、「ブラシレスモーター」の開発と拡販を強化しております。

 移動体用ブラシレスモーターにつきましては、従来よりアシスト自転車用に販売を継続しておりますが、新たな日欧のお客様からの受注を獲得すべく、販売活動を展開してまいります。また、2015年度に歩行アシスト向けの量産・出荷を開始いたしましたが、引き続き、移動体の用途別標準品をベースに新用途を開拓し、更なる多用途展開を実現します。

 MFP用ブラシレスモーターにつきましては、2015年度に国内3社目となる大手のお客様より受注を獲得いたしました。お客様の省電力化の取り組みの本格化を背景とし、国内4社目のお客様からの受注獲得に向けた販売活動を継続してまいります。

 新用途につきましては、お客様の使い勝手を向上すべく、新たに小型ギアユニットモーターを開発いたしました。新たな付加価値を持つ製品により、医療機器用途への本格的な参入の第一歩といたします。

(4)省人化の推進及び次世代“ものづくり”の確立

 当社は、生産拠点進出国、地域の経済発展に伴う労働コストの高騰という大きな環境変化を受けて、生産ラインの機械化、設備化による省人化に取り組んでおります。2014年から2016年までの3年間で、2013年比で直接人員の30%超の省人化を目指す第2期省人化計画は、2年目にあたる2015年度も、計画どおり前年度比10%超の省人化を達成いたしました。3年計画の最終年度にあたる2016年度も、従来の生産ラインから大幅な省人化を達成したモデルラインの水平展開などにより、省人化計画を達成すべく取り組んでまいります。

 また、2016年度は、これらの省人化に向けた取り組みに加えて、次世代の“ものづくり”を確立するための活動を拡大し、継続的に生産性を向上し、将来にわたって高い競争力のある生産工程を実現してまいります。その取り組みの一つが本社内に設置した「ものづくり道場」を活用した、生産に関する技術、品質、人材の高度化であり、この道場内に設置したパワーウインドウ用モーターの試作用マザーラインにて高度化された設備と人材により現在メキシコマブチで量産ラインの準備を進めております。

 さらに、2016年度は「ものづくり道場」の取り組み範囲を、従来の組立工程から部品工程にまで拡大することにより、部品から完成品までの一連の工程が、次世代の設備・工法・工程へと進化するための基盤が整います。本社にて技術基盤を整備し、グローバルに展開することで、“ものづくり力”を一層強固なものといたします。

 

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の判断上重要と思われる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点からこれを記載しております。当社グループは、これらのリスクを認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の損害の低減に努めてまいります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)経済状況の変化

 顧客の製品に搭載される当社製品の需要は、当社グループが販売している多様な市場における経済状況の影響を受けます。したがって、日本、北米、欧州、アジアを含む当社グループの主要市場における景気後退及びそれに伴う需要の縮小等は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)為替レートの変動

 海外子会社の財務諸表上の現地通貨建ての項目は、連結財務諸表を作成するために円換算されております。したがって、換算時の為替レートにより円換算後の計上額が影響を受けることになります。特に米ドルに対する円高は当社グループの連結業績に悪影響を及ぼし、円安は好影響をもたらします。
 当社グループが生産を行う地域の通貨価値の上昇は、それらの地域における現地通貨建ての製造と調達のコストを押し上げます。コストの増加は当社グループの利益率と価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼします。

 

(3)新製品・新技術の開発

 新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、様々なリスクが含まれます。
 当社グループが市場ニーズの変化を十分に予想できず、魅力ある新製品をタイムリーに開発できない場合、又は当社製品が陳腐化するような技術革新等が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)価格競争

 当社グループは、電気・電子機器、機械等製造業界に属する多様な分野の企業を顧客としておりますが、これら業界における価格競争は大変厳しいものになっております。このような環境下で、価格はすべての分野において大きな競争要因になっており、中国競合メーカーの台頭等もあって、競争はさらに激化しております。
 販売価格の下落が長期にわたって続きコストダウン活動がこれに追いつかない場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)国際的経済取引及び海外進出に潜在するリスク

 当社グループの事業活動の大部分は欧州、北米、アジア各国等で行われております。
 これら海外における事業活動においては、政治・経済環境の変動、インフラストラクチャーの未整備、法律や税務その他の諸制度の変動、社会的混乱等のリスクが内在しております。
 例えば、当社グループは、生産活動の多くを中国及びベトナムにおいて行っております。同国における政治又は法環境の変化、経済状況の変化、雇用環境その他の社会環境変化等、予期せぬ事象の発生が生産・販売活動に大きな問題を生じさせ、これが業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)製品の品質

 当社グループのすべての製品について大きな品質問題が発生しないという保証はありません。品質問題が発生した場合、その賠償額は、当社グループ製品を搭載した最終製品の品質に与える影響に左右されます。万一、大規模な製品クレーム又はリコールや製造物責任賠償に繋がるような製品の欠陥が発生した場合は、多額のコストの発生や信用の失墜による売上の低下を招き、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)知的財産保護

 知的財産の獲得は、当社グループの成長を大きく左右するものと認識しております。しかしながら、特定の地域では、固有の事由によって当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があります。その場合、当社グループの知的財産を第三者が無断使用し、類似製品を製造することによって損害を受けることや、その他の技術やノウハウ等が流出し他社で利用されることにより競争優位性を損なう可能性がある一方、当社グループが他社の知的財産を侵害したと主張される可能性もあります。
 知的財産権における保護の失敗や侵害、その他の知的財産の流出は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)人材獲得と育成

 当社グループは、激しい企業競争を勝ち抜くため、関連分野における能力の高い従業員、殊に高度な科学・技術に通じたエンジニアや、ビジネス戦略、組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保、育成が不可欠であり、世代の交代を超えて常に充実・向上させることが必要であると認識しております。一方で、これら人材の積極的採用と継続的な育成には、コストを必要とします。

 優秀な人材の獲得や人材育成が長期的視点において計画どおりに進まなかった場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)原材料等の調達

 当社グループが外部から調達している原材料等の種類によっては、限られた供給元に依存するものがあります。
 こうした供給元における事故その他の事由による原材料等の供給中断、需要の急増による供給不足等が発生する可能性があります。これらが長期にわたり代替品の入手が困難な場合、当社グループの生産活動に大きな影響を及ぼし、顧客への製品の納入や品質の確保に支障をきたす可能性があります。また、これらの価格が急騰し、製造コストの上昇を招くことも考えられます。
 このような事態が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)自然災害や事故

 当社グループは、国際分業体制を確立し、世界各国で事業活動を行っており、各拠点において工場や事務所等の施設・設備を保有しております。当社グループは、これら拠点における災害や事故発生等のリスクの顕在化防止又は保険の付保を含む損害低減策を講じておりますが、本社及び各拠点における災害、事故等による事業活動中断の影響を完全に防止し、又は計画どおりに低減できる保証はありません。このような不測の事態が生じた場合は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

委託加工契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約の内容

契約期間

万宝至馬達大連有限公司(連結子会社)

大連金虎電子産品開発有限公司

中国

万宝至馬達瓦房店有限公司(連結子会社)を合作により設立し、当該会社に生産資材を供給し指定した製品に加工させる契約

自 平成23年1月

至 平成27年12月※

※ 次期契約締結に向けて交渉中であり、締結までの間、上記契約が覚書にて期間延長されております。

 

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、当社及び万宝至馬達(東莞)有限公司(「アジア」セグメント)で行っており、その内容は次のとおりであります。

 当社組織としては、技術本部の下に第一製品開発部、第二製品開発部及び生産技術部を設置、その他、新技術研究、知的財産、試験評価、技術調査及び技術管理等の各グループを本部の直轄として設置しており、主として後述する技術ロードマップに基づく要素技術開発、戦略用途を中心とした新製品開発などの高付加価値業務を担っております。一方、万宝至馬達(東莞)有限公司に設置しているR&Dセンター(以下、「R&Dセンター」)においては、立上げ当初から改良設計業務を中心として担当し、中国地場マーケットへの迅速な製品投入対応を目的とした新製品開発業務及び当社が委託した新製品開発業務についても実施しております。

 当社は、タイムリーな新製品開発とその市場投入を実現するため、市場調査やベンチマーキングによる情報を基に技術ロードマップを作成し、計画的な要素技術開発を実施しております。2013年期末に設置し、前期より活動開始したCFT(クロスファンクショナルチーム)により部門横断的な取り組みを強化した結果、今後獲得・強化すべき技術と取り組むべき製品分野が明確となりました。2年目にあたる2015年は、前述した新技術研究グループを新設し、これらに特化した活動を実施しております。

 また、当社モーターの新規参入分野と適用用途への対応力強化及び工場進出国における人件費の急激な上昇に対応するため、特に次の事項の検討と施策展開を急務と捉え実行しております。

(1)ブラシレスモーターの技術強化

(2)省人化の適用範囲拡大

(3)開発リードタイムの短縮

 

 次に、用途毎の対応状況でありますが、主力分野である自動車電装事業、及び次期事業の柱として今後注力すべきそれぞれの用途について、技術部門及び営業部門が一体となり対応を行っております。

パワーウインドウ用途:

 国内外の大手のお客様への販売拡大により、売上高250億円を超える事業の柱となる重要な用途となりました。2015年度前半には北米大手自動車メーカー向けの中トルクモデルであるGD-558LE/REの量産を開始し、更なる拡販活動、技術対応を実施しております。

パワーシート用途:

 差別化した小型高トルクの製品の投入により、大手のお客様からの採用が拡大し、売上、市場シェアが急速に伸びております。更なるシェアアップに向けて製品の強化及び拡販活動を実施しております。

エンジン周辺機器用途:

 エンジンを精密に制御する事によって省エネルギー化に貢献可能な将来性の高い用途ですが、他用途とは異なる水準の高温及び振動への対応がモーターに求められます。2014年に量産化した高耐久性機種であるRS-4F5にて拡販活動を実施しております。

移動体用途:

 当用途を成長市場、かつ、福祉機器においては社会への貢献度が大きい分野と捉え、2015年度も積極的に開発活動を続けています。IS-94BのショートタイプであるIS-92Bを市場投入し、歩行アシスト向けに採用されております。

 また、その他の市場用既存モーター機種におきましても、従来どおり、当社のノウハウを結集した特性改善やリモデルにより付加価値を向上させるとともに、前述のR&Dセンターの活用などにより、市場、顧客ニーズに対する迅速な開発体制を実現しております。

 当連結会計年度における研究開発費は51億6千4百万円、当社所有の産業財産権の総数は682件(国内120件、海外562件)、新規出願件数は国内外合計で54件となっております。研究開発活動に従事する人員は437名(当社245名、万宝至馬達(東莞)有限公司モーターR&Dセンター192名)であります。

 なお、当連結会計年度における代表的な新製品は、次のとおりであります。

(1)パワーウインドウ用中トルクモーター GD-558LE/RE/LF/RF

 主に、北米の市場向けに開発した小型軽量中トルクモーターです。高コストな希土類マグネットを使用せず低コストを実現したモデルとなっています。

(2)ブラシレスモーター IS-92B

 移動体、介護、園芸等の用途につき、従来機種であるIS-94Bに対して全長を短縮し、コンパクトにすることによりお客様の製品への対応性を広げたラインナップ拡充用のブラシレスモーターとなります。

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。

(1)当連結会計年度の経営成績の分析

① 概要

 当期における世界経済は、年後半より中国などで景気が減速し、全体として成長が鈍化する展開となりました。米国経済は、雇用や所得環境の改善により景気拡大が継続し、欧州経済は、緩やかな回復が持続しました。我が国経済は、企業収益の改善による緩やかな回復が続きました。一方、中国の景気減速や資源価格の下落などで新興国経済の成長は鈍化しました。

当社グループの関連市場におきましては、自動車電装機器市場は、米国の景気拡大、欧州の回復が新興国需要の伸び悩みを補い、好調に推移しました。民生・業務機器市場は、先進国における安定した需要が持続しました。

このような景況下、当社グループの業績につきましては、プロダクトミックスの改善及び原材料費の低下に加え、前期比で為替レートが円安で推移したことから増収増益となりました。

 なお、当連結会計年度の円の平均為替レートは、1US$に対し121.05円であり、前連結会計年度に比べ15.20円の円安となりました。

 

② 売上高

 当期連結売上高は1,431億円(前期比16.8%増)となりました。その大半を占めるモーター売上高は1,431億円(前期比16.8%増)となりました。自動車電装機器市場では新製品投入、新規顧客への販売開始及びシェアアップが寄与し大幅に増加、民生・業務機器市場も主要用途の好調と円安の影響もあり増加しました。モーター販売数量は14億5千8百万個と前期比0.5%減となりましたが、用途市場構成の改善傾向に円安効果もあり販売単価が上昇し、前期比増収となりました。

 

③ 営業利益

 営業利益は229億円(前期比36.1%増)と前期比で60億円の増加となっており、これを主な要因別に見ますと次のとおりであります。

 まず、売価及びプロダクトミックスの改善により26億円の増益となりました。また主要材料である銅・鋼材などの市況品価格の下落により8億円の増益となりました。さらに為替レートの円安により33億円の増益効果がありました。販売数量の減少により1億円、販売費及び一般管理費を中心とするコストアップにより5億円の減益となりました。

 

④ 営業外収支(営業外収益・費用)

 営業外収支は、前連結会計年度の70億円の収益(純額)から、当連結会計年度は41億円の収益(純額)となりました。前期に比べ為替差益が27億円減少しました。

 

⑤ 特別損益(特別利益・損失)

 特別損益は、前連結会計年度の3億円の損失(純額)から、当連結会計年度は5億円の損失(純額)となりました。当期、一部の連結子会社で固定資産減損損失9億円を計上しました。

 

⑥ 法人税等及び法人税等調整額

 法人税等及び法人税等調整額の税金等調整前当期純利益に対する比率(税効果会計適用後の法人税率等の負担率)は、前連結会計年度23.3%に対し、当連結会計年度は30.3%となりました。海外子会社剰余金の回収の際にかかる源泉税額相当として計上している繰延税金負債を、より保守的に見積もったことで連結実効税率が押し上げられました。

 

⑦ 当期純利益

 以上の結果、当期純利益は185億円(前期比2.5%増)と前期比で4億円の増加となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の258.02円に対し266.98円となりました。なお、当社は、平成27年1月1日付で株式1株につき2株の株式分割を行っており、前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり当期純利益を算定しております。

(2)財政状態

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に対して1億円減少し、2,561億円となりました。変動の大きかった主なものは、受取手形及び売掛金の増加21億円、たな卸資産の増加19億円、設備投資に伴う有形固定資産の増加47億円、配当及び自己株式の買付けによる現金及び預金の減少45億円、有価証券の減少13億円、投資有価証券の減少28億円などであります。

負債合計は、前連結会計年度末に対して1億円減少し229億円となりました。変動の大きかった主なものは、繰延税金負債(固定)の増加13億円、支払手形及び買掛金の減少6億円、未払法人税等の減少9億円などであります。

純資産合計は、前連結会計年度末に対して僅かに減少し、2,332億円となりました。自己株式の消却により、純資産のマイナス項目である自己株式が139億円減少(これを含め利益剰余金は87億円減少)、為替換算調整勘定が55億円減少しました。

 自己資本比率は、前連結会計年度末と同水準の91.0%となっております。

 

 

(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは201億円の収入となり、前期に対し19億円増加しました。税金等調整前当期純利益が29億円増加したことなどで営業キャッシュ・フローが増加しました。

投資活動によるキャッシュ・フローは11億円の支出となり、前期に対し107億円の支出減少となりました。有価証券・投資有価証券の取得による支出が45億円減少、売却による収入が17億円増加しました。また、新会社の設立や新規の設備投資により固定資産の取得による支出が57億円増加しました。

財務活動によるキャッシュ・フローは133億円の支出となり、前期に対し72億円の支出増加となりました。配当金の支払額が22億円増加したことや自己株式の取得による支出が50億円増加したことなどによるものです。

これらの結果、現金及び現金同等物の残高は、前期末から37億円増加し1,129億円となりました。

 

② 資金需要

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料及び部品の購入費、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要につきましては、当社グループ製品製造のための生産設備購入や工場建設費用等があります。

 

③ 財政政策

 当社グループは現在、運転資金及び設備投資資金につきましては、自己資金から賄っており外部調達はありません。ただし、従業員持株ESOP信託の信託口による借入金の残高が平成27年12月31日現在で2億円となっております。

 自己株式の取得につきましては、当社は平成14年度から平成20年度までに1,201万株(872億円)を公開買付及び市場買付により取得しており、平成27年度に82万株(49億円)を市場買付により取得しております。また、当期末から有価証券報告書提出日までに100万株(47億円)を市場買付により取得しております。

 これらのうち1,402万株について当期までに消却を実行し、さらに100万株を平成28年4月に消却する予定としております。また、当社は平成27年1月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施いたしました。なお、残る自己株式は当面、金庫株として保有する予定であります。今後の自己株式の取得に関しましては、株価や経営環境の状況に応じ、資本政策及び株主への利益還元の一方法として、適時、機動的に実施を検討してまいります。

 利益配当について当社は、健全な事業活動を行う上で必要な内部留保を確保し、財務の健全性を維持しつつ、株主に対して業績に応じた利益還元を積極的に行うことを基本方針としております。

 この方針の下、株主配当金については、急激な経営環境の悪化による著しい業績低迷時を除き、原則的な算定基準として、長期安定的な配当である普通配当1株当たり年30円を継続的に実施し、これに事業成果としての連結純利益の30%を1株当たりに換算した特別配当金を併せて実施することとしております。

 当社グループは、今後とも、事業の成長と営業活動によるキャッシュ・フロー収入の増加を図り、健全な財務構造を維持しつつ、適切な株主還元を実施してまいります。