第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当期における世界経済は、先行きの不透明感があるものの全体として底堅く推移しました。米国経済は、雇用や所得を取り巻く環境が改善し堅調な個人消費が継続しました。欧州経済は、内需に牽引され緩やかな回復が続きました。我が国経済は、雇用環境が改善する一方、個人消費は力強さを欠き景気は横ばいで推移しました。新興国経済については、中国の景気減速に歯止めが掛かったものの、全体として低成長が続きました。

当社グループの関連市場におきましては、自動車電装機器市場は、全般に堅調な需要が継続し、中国においては小型車減税による需要増が見られました。民生・業務機器市場は、安定的な需要が続きましたが、一部の用途で市場縮小が継続しました。

このような景況下、当社グループは、「自動車電装事業の継続的強化・拡大及び民生・業務機器事業への新たな取り組みの実現」、「ものづくり革新の推進」、「新生産拠点の構築」を課題に掲げ、取り組んでまいりました。

具体的には、①パワーウインドウ用新製品の販売強化による新たなお客様からの受注獲得、②中型電装用モーター各用途での用途別標準品による受注拡大、③移動体、業務用事務機器に続き医療機器、家電用の新用途での採用決定、④生産合理化設備の導入による生産工程の省力化や工数削減の一次部品生産工程への拡大、⑤ポーランド共和国での新生産拠点設立決定など、売上とシェアの拡大、新市場の開拓及び高品質・高効率化の更なる進展に向けた諸施策を積極的に導入・実現し、当期そして将来の事業成長につながる成果を上げることができました。

これらの結果、当期連結売上高は1,406億9千9百万円(前期比1.7%減)となりました。その大半を占めるモーター売上高は1,406億7千4百万円(前期比1.7%減)であります。

セグメント別の売上高は、「日本」セグメントは118億5千1百万円(前期比4.8%増)、「アジア」セグメントは813億7千万円(前期比4.7%減)、「アメリカ」セグメントは173億6千万円(前期比0.9%増)、「ヨーロッパ」セグメントは301億1千7百万円(前期比2.9%増)であります。

営業利益につきましては、今後の成長を見据えた人材やITへの投資拡充による販売費及び一般管理費の増加と、前期比で為替レートが円高に推移したことによる減益要因があったものの、プロダクトミックスの改善や原材料費の低下などの増益要因がこれを上回り242億2千5百万円(前期比5.5%増)となりました。

セグメント別の利益は、「日本」セグメントは87億3百万円の利益(前期比10.4%増)、「アジア」セグメントは145億4千6百万円の利益(前期比7.7%増)、「アメリカ」セグメントは2億2千8百万円の利益(前期比48.8%減)、「ヨーロッパ」セグメントは11億1千2百万円の利益(前期比26.8%減)、セグメント間取引消去による調整額は△3億6千6百万円(前期は△3億9千6百万円)であります。

経常利益は前期に対して円高となったことで為替差益が減少し261億3千5百万円(前期比3.6%減)となりました。

税金等調整前当期純利益は265億3千9百万円(前期比0.2%減)、海外子会社の留保利益に対し引当てしている繰延税金負債の一部を取り崩したことで実効税率が低下し、親会社株主に帰属する当期純利益は205億9千8百万円(前期比11.1%増)となりました。

次に、モーターの用途別市場動向と販売状況についてご説明いたします。

① 自動車電装機器市場

売上高は1,001億3千2百万円(前期比3.9%増)と増加しました。重点強化事業である中型電装用途では新規顧客への順調な販売拡大が続くパワーウインドウ用が増加するとともに、パーキングブレーキ及びシートベルトプリテンショナー用等の販売も拡大しました。小型電装用途ではミラー、ドアロック、エアコンダンパー及びヘッドライト用など主要用途の全てに安定した需要、装備率の上昇及びシェアアップがあり堅調に推移しました。これらの結果、円高の影響を受けながらも増加しました。

② 民生・業務機器市場

売上高は405億4千1百万円(前期比13.3%減)と減少しました。業務用事務機器及び工具用などに安定した需要がありましたが、インクジェットプリンター及びカーCDプレーヤー用において市場が縮小し、また、円高の影響もあり減少しました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前期末から93億4千5百万円増加し1,223億2百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは279億5千8百万円の収入となり、前期に対し78億4千2百万円増加しました。たな卸資産の減少や仕入債務の増加、法人税支払額の減少などにより営業キャッシュ・フローが増加しました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは34億4千万円の支出となり、前期に対し22億6千2百万円の支出増加となりました。有価証券・投資有価証券の取得による支出が35億4百万円減少、売却による収入が3億4千4百万円増加しました。また、ポーランドマブチ設立資金として20億1千9百万円を支出しました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは118億6千万円の支出となり、前期に対し14億5千1百万円の支出減少となりました。配当金の支払額が11億6千8百万円減少したことなどによるものです。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 小型モーターの生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。   (千個未満の端数切捨て)

 

前連結会計年度

(自 平成27年1月1日

  至 平成27年12月31日)

当連結会計年度

(自 平成28年1月1日

  至 平成28年12月31日)

比較増減

(△は減)

 

数  量

構成比率

数  量

構成比率

数  量

 

 アジア

千個

1,475,212

100.0

千個

1,467,805

100.0

千個

△7,406

 アメリカ

13

0.0

13

合  計

1,475,212

100.0

1,467,819

100.0

△7,392

(注)当社グループの生産・販売品目は小型モーター単品であり、価格差も僅少であることから、数量表示のみで記載しております。

 

(2)受注状況

 当社グループは、主として需要予測に基づく見込生産方式をとっておりますので記載を省略しております。

 

(3)販売実績

 小型モーターの販売実績を用途市場別に示すと、次のとおりであります。   (百万円未満の端数切捨て)

 

前連結会計年度

 (自 平成27年1月1日

   至 平成27年12月31日)

当連結会計年度

 (自 平成28年1月1日

   至 平成28年12月31日)

比較増減

(△は減)

 

金  額

構成比率

金  額

構成比率

金  額

 

 自動車電装機器

百万円

96,369

67.3

百万円

100,132

71.2

百万円

3,762

 民生・業務機器

46,764

32.7

40,541

28.8

6,222

合  計

143,134

100.0

140,674

100.0

△2,459

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

   2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次の通りであります。

相手先

前連結会計年度

 (自 平成27年1月1日

   至 平成27年12月31日)

当連結会計年度

 (自 平成28年1月1日

   至 平成28年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

A社

14,154

10.1

(注)1.A社との間で守秘義務を負っているため、社名の公表は控えさせて頂きます。

2.前連結会計年度の主な相手先別の販売実績につきましては、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める顧客が無いため、記載を省略しております。

 

 

3【対処すべき課題】

 次期の見通しにつきましては、米国経済、欧州経済ともに引き続き堅調に推移するものと見込まれますが、米国新政権の政策、英国のEU離脱及び欧州各国における選挙など不透明な要因も多くあります。我が国経済については、緩やかな景気回復が続くものと見込まれます。新興国経済については、中国の景気減速は底打ちしたものの、全体としては低成長が続くものと予測されます。

 当社グループの関連市場におきましては、自動車電装機器市場は、欧米の堅調が継続し、中国及びその他新興国の成長鈍化をカバーし緩やかな成長となると予想しております。民生・業務機器市場では、家電機器、工具及び法人向け事務機器の需要が横ばいで推移するものの、個人向け事務機器需要は縮小すると予想しております。

 このような経営環境下、当社グループは、次に述べます課題に取り組んでまいります。

 

(1)パワーウインドウ用モーター事業の成長加速

 パワーウインドウ用モーター事業は、新製品である欧米向け高トルク標準品が成長を牽引し、売上成長を急激に加速しております。一方、事業の立上げ初期に市場投入した製品の改良版が今なお販売を拡大しており当事業発展の基盤となっております。

 北米大手自動車メーカー向けにおいては、本年後半に2社目のお客様向けに高トルク標準品の量産を開始し、残る1社のお客様に対しても、受注獲得に向け本格的なアプローチを展開してまいります。同時に欧州大手自動車メーカーや世界一の自動車市場である中国においても、小型軽量高性能で高品質という製品の特長を武器に、高トルク標準品の販売活動を更に強化して受注に繋げてまいります。

 日系自動車メーカー向けについては、ドア内における設計の自由度向上のために小型軽量化ニーズが益々高まっております。小型軽量で価格競争力のある、次世代の標準品となる新製品の開発を加速し、受注獲得を目指してまいります。

(2)中型電装用モーターの拡販・新用途拡大

 パワーシート、パーキングブレーキ及びエンジン周辺機器用などの中型電装用モーターにつきましては、自動車の安全性、快適性、経済性の追求を背景として、今後も継続的な市場の拡大が期待できる分野であり、競争力の高い用途別標準品による新たなお客様への拡販や新用途開拓に取り組み売上成長を拡大してまいります。

 パワーシート用モーターでは、小型軽量として既に強みがあるスライダー用の改良版で、国内外の大手のお客様から受注獲得を目指し拡販活動を実施してまいります。当社が世界トップのシェアを堅持しているパーキングブレーキ用モーターは、更なる強化・拡大を図るために、標準品である既存モーターに改良を加え、世界最大手のお客様及び新規のお客様向けに投入し、当社シェアの拡大を図ってまいります。また、新規用途が拡大中のドア周りにつきましては、前期、日系大手自動車メーカー向けにバックドアクローザー用ギアドモーターの受注が決定しており、更なる多用途展開による受注獲得を進めてまいります。

(3)民生・業務機器用分野における新用途開拓

 民生・業務機器用分野につきましては、従来の「小型」かつ「ブラシ付」のモーターを主軸とした事業活動に加えて、新用途の開拓に注力し、新たな需要を創造するために、「ブラシレスモーター」の開発と拡販を強化しております。移動体用ブラシレスモーターにつきましては、アシスト自転車用に販売を継続しておりますが、アシスト自転車の国内大手2社目となるお客様への本格的な販売が始まります。また、当社ではモーターの生産設備を自社開発しておりますが、これら生産設備の動力部分に移動体用の標準品を採用、自社工場で実際のモーター生産に使用すると同時に、産業機器メーカーに動力用モーターとして採用を働きかけてまいります。引き続き、移動体の用途別標準品をベースに新用途を開拓し、多用途展開を実現してまいります。複写機・複合機(MFP)用ブラシレスモーターにつきましては、制御性やオプション対応力を強化した新製品を投入し販売拡大を目指してまいります。家電機器市場では、近年、コードレス掃除機やドライヤーなどにおいて、従来品よりパワーを高めた新製品がラインナップされるなど、製品の高級化が進んでおります。これら高級家電に求められるモーター性能は多岐にわたるため、当社は専業メーカーとしての高い技術力を活かした高性能な新製品を開発・投入し、お客様のニーズに応えてまいります。

(4)省人化の推進及び“次世代ものづくり”の確立

 当社は、生産拠点進出国における労働コストの高騰という大きな環境変化を受けて、生産ラインの機械化、設備化による省人化に取り組んでおります。2014年から2016年までの3年間で30%超の省人化を目指した第2期省人化計画は、計画通り30%超の省人化を達成し、生産工程の改革が大きく前進いたしました。第3期省人化計画となる2017年から2019年までの3年間についても引き続き高い目標を掲げ、2016年比で30%の省人化の実現に向け活動を加速してまいります。

 また、ものづくり力を一層強固なものとするため、“次世代ものづくり”の確立を目指し、本社に新たな革新的マザーラインを設置いたします。このマザーラインは新たな設備・工法・工程による究極の省人化と高速化を実現するもので、今後のものづくりの進化を先導する新技術として2017年中の稼動を目指して開発を進めてまいります。

(5)グローバル拠点戦略の推進

 当社はかつて、アジア地域でモーターを集中生産することで、全世界に高性能で高品質、且つ安価な標準品を安定的に供給してまいりました。近年、特に中型電装用途において、お客様から「地産地消」のニーズが高まっており、欧州市場においてもお客様より当地での生産について強いご要望をいただいておりました。これに応えるべく、2017年1月にポーランド共和国に生産子会社を設立いたしました。現在、建設開始に向け準備を進めており、第3四半期には着工を予定しております。2019年の操業開始を目指して工場建設を進めてまいります。

4【事業等のリスク】

 当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の判断上重要と思われる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点からこれを記載しております。当社グループは、これらのリスクを認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の損害の低減に努めてまいります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)経済状況の変化

 顧客の製品に搭載される当社製品の需要は、当社グループが販売している多様な市場における経済状況の影響を受けます。したがって、日本、北米、欧州、アジアを含む当社グループの主要市場における景気後退及びそれに伴う需要の縮小等は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)為替レートの変動

 海外子会社の財務諸表上の現地通貨建ての項目は、連結財務諸表を作成するために円換算されております。したがって、換算時の為替レートにより円換算後の計上額が影響を受けることになります。特に米ドルに対する円高は当社グループの連結業績に悪影響を及ぼし、円安は好影響をもたらします。
 当社グループが生産を行う地域の通貨価値の上昇は、それらの地域における現地通貨建ての製造と調達のコストを押し上げます。コストの増加は当社グループの利益率と価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼします。

 

(3)新製品・新技術の開発

 新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、様々なリスクが含まれます。
 当社グループが市場ニーズの変化を十分に予想できず、魅力ある新製品をタイムリーに開発できない場合、又は当社製品が陳腐化するような技術革新等が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)価格競争

 当社グループは、電気・電子機器、機械等製造業界に属する多様な分野の企業を顧客としておりますが、これら業界における価格競争は大変厳しいものになっております。このような環境下で、価格はすべての分野において大きな競争要因になっており、中国競合メーカーの台頭等もあって、競争はさらに激化しております。
 販売価格の下落が長期にわたって続きコストダウン活動がこれに追いつかない場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)国際的経済取引及び海外進出に潜在するリスク

 当社グループの事業活動の大部分は欧州、北米、アジア各国等で行われております。
 これら海外における事業活動においては、政治・経済環境の変動、インフラストラクチャーの未整備、法律や税務その他の諸制度の変動、社会的混乱等のリスクが内在しております。
 例えば、当社グループは、生産活動の多くを中国及びベトナムにおいて行っております。同国における政治又は法環境の変化、経済状況の変化、雇用環境その他の社会環境変化等、予期せぬ事象の発生が生産・販売活動に大きな問題を生じさせ、これが業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)製品の品質

 当社グループのすべての製品について大きな品質問題が発生しないという保証はありません。品質問題が発生した場合、その賠償額は、当社グループ製品を搭載した最終製品の品質に与える影響に左右されます。万一、大規模な製品クレーム又はリコールや製造物責任賠償に繋がるような製品の欠陥が発生した場合は、多額のコストの発生や信用の失墜による売上の低下を招き、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)知的財産保護

 知的財産の獲得は、当社グループの成長を大きく左右するものと認識しております。しかしながら、特定の地域では、固有の事由によって当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があります。その場合、当社グループの知的財産を第三者が無断使用し、類似製品を製造することによって損害を受けることや、その他の技術やノウハウ等が流出し他社で利用されることにより競争優位性を損なう可能性がある一方、当社グループが他社の知的財産を侵害したと主張される可能性もあります。
 知的財産権における保護の失敗や侵害、その他の知的財産の流出は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)人材獲得と育成

 当社グループは、激しい企業競争を勝ち抜くため、関連分野における能力の高い従業員、殊に高度な科学・技術に通じたエンジニアや、ビジネス戦略、組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保、育成が不可欠であり、世代の交代を超えて常に充実・向上させることが必要であると認識しております。一方で、これら人材の積極的採用と継続的な育成には、コストを必要とします。

 優秀な人材の獲得や人材育成が長期的視点において計画どおりに進まなかった場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)原材料等の調達

 当社グループが外部から調達している原材料等の種類によっては、限られた供給元に依存するものがあります。
 こうした供給元における事故その他の事由による原材料等の供給中断、需要の急増による供給不足等が発生する可能性があります。これらが長期にわたり代替品の入手が困難な場合、当社グループの生産活動に大きな影響を及ぼし、顧客への製品の納入や品質の確保に支障をきたす可能性があります。また、これらの価格が急騰し、製造コストの上昇を招くことも考えられます。
 このような事態が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)自然災害や事故

 当社グループは、国際分業体制を確立し、世界各国で事業活動を行っており、各拠点において工場や事務所等の施設・設備を保有しております。当社グループは、これら拠点における災害や事故発生等のリスクの顕在化防止又は保険の付保を含む損害低減策を講じておりますが、本社及び各拠点における災害、事故等による事業活動中断の影響を完全に防止し、又は計画どおりに低減できる保証はありません。このような不測の事態が生じた場合は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、当社及び万宝至馬達(東莞)有限公司(「アジア」セグメント)で行っており、その内容は次のとおりであります。

 当社組織としては、技術本部の下に第一製品開発部、第二製品開発部及び生産技術部を設置、その他、新技術研究、知的財産、試験評価、技術調査及び技術管理等の各グループを技術本部の直轄として設置しており、主として後述する技術ロードマップに基づく要素技術開発、戦略用途を中心とした新製品開発等の高付加価値業務を担っております。一方、万宝至馬達(東莞)有限公司に設置しているR&Dセンター(以下、「R&Dセンター」)においては、立上げ当初から改良設計業務を中心として担当し、中国地場マーケットへの迅速な製品投入対応を目的とした新製品開発業務及び当社が委託した新製品開発業務についても実施しております。

 当社は、タイムリーな新製品開発とその市場投入を実現するため、市場調査やベンチマーキングによる情報を基に技術ロードマップを作成し、計画的な要素技術開発を実施しておりますが、2015年に設置した新技術研究グループにおいて、プロダクトアウト型新製品の開発を含め、これらに特化した活動を実施しております。

 また、当社モーターの新規参入分野及び適用用途への対応力強化並びに工場進出国における人件費の急激な上昇に対応するため、特に次の事項の検討と施策展開を急務と捉え実行しております。

(1)ブラシレスモーター及びその駆動回路の技術強化

(2)従来の省人化に加えて、更なる省人化ラインの検討

(3)開発リードタイムの短縮及び開発工数の短縮、削減

 

 次に、用途毎の対応状況でありますが、主力分野である自動車電装事業、及び次期事業の柱として今後注力すべきそれぞれの用途について、技術部門及び営業部門が一体となり対応を行っております。

パワーウインドウ用途:

 国内外の大手のお客様への販売拡大により、売上高300億円を超える事業の柱となる重要な用途となりました。2016年度には北米大手自動車メーカー向けの中トルクモデルであるGD-558LE/REの量産を開始し、更なる拡販活動、技術対応を実施しております。

パワーシート用途:

 差別化した小型高トルク製品の投入により、大手のお客様からの採用が拡大し、売上、市場シェアが急速に伸びております。更なるシェアアップに向けて製品の強化及び拡販活動を実施しております。

エンジン周辺機器用途:

 エンジンを精密に制御することによって省エネルギー化に貢献可能な将来性の高い用途ですが、他用途とは異なる水準の高温及び振動への対応がモーターに求められます。2014年に量産化した高耐久性機種であるRS-4F5にて拡販活動を実施しております。

移動体用途:

 当市場に向けては、IS-92B及びIS-94Bのブラシレスモーターを中心に、2016年度も積極的に開発活動を続けています。新たなアシスト自転車用のお客様からのご採用、また電動台車等幅広い用途より多数の引き合いを戴いております。

 また、その他の市場用既存モーター機種におきましても、従来どおり、当社のノウハウを結集した特性改善やリモデルにより付加価値を向上させるとともに、前述のR&Dセンターの活用等により、市場、顧客ニーズに対する迅速な開発体制を実現しております。

 当連結会計年度における研究開発費は50億2千4百万円、当社所有の産業財産権の総数は748件(国内157件、海外591件)、新規出願件数は国内外合計で62件となっております。研究開発活動に従事する人員は436名(当社257名、万宝至馬達(東莞)有限公司モーターR&Dセンター179名)であります。

 なお、当連結会計年度における代表的な新製品は、次のとおりであります。

 

プリンター用モーター RS-655VA

 主にレーザープリンター用途に向け、従来機種であるRS-645VAに対し負荷時の発熱を低減させることにより、お客様の製品への対応力をさらに高めたブラシモーターとなります。

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)当連結会計年度の経営成績の分析

① 概要

 当期における世界経済は、先行きの不透明感があるものの全体として底堅く推移しました。米国経済は、雇用や所得を取り巻く環境が改善し堅調な個人消費が継続しました。欧州経済は、内需に牽引され緩やかな回復が続きました。我が国経済は、雇用環境が改善する一方、個人消費は力強さを欠き景気は横ばいで推移しました。新興国経済については、中国の景気減速に歯止めが掛かったものの、全体として低成長が続きました。

当社グループの関連市場におきましては、自動車電装機器市場は、全般に堅調な需要が継続し、中国においては小型車減税による需要増が見られました。民生・業務機器市場は、安定的な需要が続きましたが、一部の用途で市場縮小が継続しました。

このような景況下、当社グループの業績につきましては、プロダクトミックスの改善及び原材料費の低下に加え販売数量も増加し、円高により売上高は微減となりましたが、営業利益は増益となりました。

なお、当連結会計年度の円の平均為替レートは、1US$に対し108.84円であり、前連結会計年度に比べ12.21円の円高となりました。

 

② 売上高

 当期連結売上高は1,406億円(前期比1.7%減)となりました。その大半を占めるモーター売上高は1,406億円(前期比1.7%減)となりました。自動車電装機器市場では、重点強化事業である中型電装用途で新規顧客への順調な拡大が続くパワーウインドウ用が増加するとともに、パーキングブレーキ及びシートベルトプリテンショナー用等の販売も拡大、小型電装用途も主要用途での安定した需要、装備率の上昇及びシェアアップなどで円高の影響を受けながらも増加しました。民生・業務機器市場では、業務用事務機器及び工具用などに安定した需要がありましたが、インクジェットプリンター及びカーCDプレーヤー用において市場が縮小、円高の影響もあり減少しました。モーター販売数量は15億8百万個と前期比3.4%増となり、また用途市場構成の改善もありましたが、円高により販売単価が低下、前期比で売上高は微減となりました。

 

③ 営業利益

 営業利益は242億円(前期比5.5%増)と前期比で12億円の増加となっており、これを主な要因別に見ますと次のとおりであります。

 まず、売価及びプロダクトミックスの改善により41億円の増益となりました。また主要材料である銅・鋼材などの市況品価格の下落により12億円、販売数量の増加により17億円の増益となりました。一方、販売費及び一般管理費を中心とするコストアップにより32億円、為替レートの円高により25億円の減益となりました。

 

④ 営業外収支(営業外収益・費用)

 営業外収支は、前連結会計年度の41億円の収益(純額)から、当連結会計年度は19億円の収益(純額)となりました。

 

⑤ 特別損益(特別利益・損失)

 特別損益は、前連結会計年度の5億円の損失(純額)から、当連結会計年度は4億円の利益(純額)となりました。

 

⑥ 法人税等及び法人税等調整額

 法人税等及び法人税等調整額の税金等調整前当期純利益に対する比率(税効果会計適用後の法人税率等の負担率)は、前連結会計年度30.3%に対し、当連結会計年度は22.4%となりました。前期に海外子会社剰余金にかかる繰延税金負債をより保守的に見積もる処理を行いましたが、当期は通常通りとなりました。

 

⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は205億円(前期比11.1%増)と前期比で20億円の増加となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の266.98円に対し300.70円となりました。

(2)財政状態

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に対して21億円増加し、2,583億円となりました。変動の大きかった主なものは、現金及び預金の増加161億円、受取手形及び売掛金の増加28億円、有価証券の減少105億円、たな卸資産の減少43億円、投資有価証券の減少54億円などであります。

 負債合計は、前連結会計年度末に対して25億円増加し254億円となりました。変動の大きかった主なものは、支払手形及び買掛金の増加9億円、その他の流動負債の増加16億円、繰延税金負債(固定)の減少10億円などであります。

 純資産合計は、前連結会計年度末に対して3億円減少し、2,329億円となりました。利益剰余金が92億円増加、為替換算調整勘定が85億円減少しました。

 自己資本比率は、前連結会計年度末の91.0%から当連結会計年度末は90.1%となっております。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フロー

 営業活動によるキャッシュ・フローは279億円の収入となり、前期に対し78億円増加しました。たな卸資産の減少や仕入債務の増加、法人税支払額の減少などにより営業キャッシュ・フローが増加しました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは34億円の支出となり、前期に対し22億円の支出増加となりました。有価証券・投資有価証券の取得による支出が35億円減少、売却による収入が3億円増加しました。また、ポーランドマブチ設立資金として20億円を支出しました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは118億円の支出となり、前期に対し14億円の支出減少となりました。配当金の支払額が11億円減少したことなどによるものです。

 これらの結果、現金及び現金同等物の残高は、前期末から93億円増加し1,223億円となりました。

 

② 資金需要

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料及び部品の購入費、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要につきましては、当社グループ製品製造のための生産設備購入や工場建設費用等があります。

 

③ 財政政策

 当社グループは現在、運転資金及び設備投資資金につきましては、自己資金から賄っており外部調達はありません。ただし、従業員持株ESOP信託の信託口による借入金の残高が平成28年12月31日現在で1億円となっております。

 自己株式の取得につきましては、当社は平成14年度から平成20年度までに1,201万株(872億円)を公開買付及び市場買付により取得しており、平成27年度に82万株(49億円)、平成28年度に100万株(47億円)を市場買付により取得しております。また、当期末から有価証券報告書提出日までに80万株(49億円)を市場買付により取得しております。

 これらのうち1,502万株について当期までに消却を実行し、さらに80万株を平成29年4月14日に消却する予定としております。また、当社は平成27年1月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施いたしました。なお、残る自己株式は当面、金庫株として保有する予定であります。今後の自己株式の取得に関しましては、株価や経営環境の状況に応じ、資本政策及び株主への利益還元の一方法として、適時、機動的に実施を検討してまいります。

 利益配当について当社は、健全な事業活動を行う上で必要な内部留保を確保し、財務の健全性を維持しつつ、株主に対して業績に応じた利益還元を積極的に行うことを基本方針としております。

 この方針の下、株主配当金については、急激な経営環境の悪化による著しい業績低迷時を除き、原則的な算定基準として、長期安定的な配当である普通配当1株当たり年30円を継続的に実施し、これに事業成果としての連結純利益の30%を1株当たりに換算した特別配当金を併せて実施することとしております。

 当社グループは、今後とも、事業の成長と営業活動によるキャッシュ・フロー収入の増加を図り、健全な財務構造を維持しつつ、適切な株主還元を実施してまいります。