(1)業績
当期における世界経済は、全体として底堅く推移しました。米国経済は、雇用環境の改善による堅調な個人消費に支えられ成長が持続しました。欧州経済は、設備投資の拡大を背景に堅調に推移しました。我が国経済は、雇用環境の改善に伴う個人消費の拡大により緩やかな成長が続きました。新興国経済については、中国経済は緩やかな調整局面が続き、全体としては低成長が継続しました。
当社グループの関連市場におきましては、自動車電装機器市場は、全般に堅調な需要が継続しました。民生・業務機器市場は、安定的な需要が続きましたが、一部の用途で市場縮小が継続しました。
このような景況下、当社グループは、「自動車電装機器事業の継続的強化・拡大及び民生・業務機器事業への新たな取り組みの実現」、「ものづくり革新の推進」、「新生産拠点の構築」を課題に掲げ、取り組んでまいりました。
具体的には、①パワーウインドウ用次世代新製品による新たなお客様からの受注獲得、②中・小型電装用モーター各用途での用途別標準品による受注拡大及び新用途の開拓、③高級家電向けモーターのラインナップ充実による販売拡大、④画像処理技術を用いた検査の自動化による工程省力化の加速推進、⑤ポーランド共和国における新生産拠点の工場建屋建設など、売上とシェアの拡大、新市場の開拓及び高品質・高効率化の更なる進展に向けた諸施策を積極的に導入・実現し、当期そして将来の事業成長につながる成果を上げることができました。
これらの結果、当期連結売上高は1,469億2千5百万円(前期比4.4%増)となりました。その大半を占めるモーター売上高は1,469億1千5百万円(前期比4.4%増)であります。
セグメント別の売上高は、「日本」セグメントは124億2千4百万円(前期比4.8%増)、「アジア」セグメントは813億5千8百万円(前期比0.0%減)、「アメリカ」セグメントは183億7千6百万円(前期比5.9%増)、「ヨーロッパ」セグメントは347億6千6百万円(前期比15.4%増)であります。
営業利益につきましては、販売数量の増加、プロダクトミックスの改善、及び前期比で為替レートが円安で推移したことなどの増益要因はあったものの、販売費及び一般管理費の増加やメキシコ工場の量産開始などによるコスト増加といった減益要因により240億6千6百万円(前期比0.7%減)となりました。
セグメント別の利益又は損失は、「日本」セグメントは101億3千7百万円の利益(前期比16.5%増)、「アジア」セグメントは135億9千6百万円の利益(前期比6.5%減)、「アメリカ」セグメントは4億4千9百万円の損失(前期は2億2千8百万円の利益)、「ヨーロッパ」セグメントは12億2百万円の利益(前期比8.1%増)、セグメント間取引消去による調整額は△4億2千1百万円(前期は△3億6千6百万円)であります。
経常利益は258億4千1百万円(前期比1.1%減)となり、在外子会社の清算完了に伴って為替換算調整勘定の取崩益を特別利益に計上したことで税金等調整前当期純利益は274億8千5百万円(前期比3.6%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は203億3百万円(前期比1.4%減)となりました。
次に、モーターの用途別市場動向と販売状況についてご説明いたします。
① 自動車電装機器市場
売上高は1,057億9千3百万円(前期比5.7%増)と増加しました。重点強化事業である中型電装用途では、パワーシート、パーキングブレーキ、シートベルトプリテンショナー及びドアクローザー用の販売が増加しました。一方、パワーウインドウ用は、標準品の販売が増加したものの中国市場での在庫調整により販売が減少しました。小型電装用途では、ドアロック及びミラー用が装備率の上昇などにより増加、エアコンダンパー用は高シェアを維持し増加、ヘッドライト用も搭載車種の拡大及びシェアアップにより増加しました。
② 民生・業務機器市場
売上高は411億2千2百万円(前期比1.4%増)と増加しました。理美容関連及び工具用の販売が堅調に推移し増加した一方で、インクジェットプリンター及びカーCDプレーヤー用における市場縮小が継続しました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前期末から33億4千5百万円減少し1,189億5千6百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは225億8千5百万円の収入となり、前期に対し53億7千2百万円減少しました。たな卸資産の増加などにより営業キャッシュ・フローが減少しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは140億2千7百万円の支出となり、前期に対し105億8千6百万円の支出増加となりました。新たに設立したポーランドマブチや新規の設備投資により固定資産の取得による支出が34億6千3百万円増加しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは138億4千4百万円の支出となり、前期に対し19億8千4百万円の支出増加となりました。配当金の支払額が18億2千5百万円増加したことなどによるものです。
(1)生産実績
小型モーターの生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。 (千個未満の端数切捨て)
|
|
前連結会計年度 (自 平成28年1月1日 至 平成28年12月31日) |
当連結会計年度 (自 平成29年1月1日 至 平成29年12月31日) |
比較増減 (△は減) |
||
|
|
数 量 |
構成比率 |
数 量 |
構成比率 |
数 量 |
|
アジア |
千個 1,467,805 |
% 100.0 |
千個 1,558,811 |
% 99.9 |
千個 91,006 |
|
アメリカ |
13 |
0.0 |
1,350 |
0.1 |
1,336 |
|
合 計 |
1,467,819 |
100.0 |
1,560,162 |
100.0 |
92,343 |
(注)当社グループの生産・販売品目は小型モーター単品であり、価格差も僅少であることから、数量表示のみで記載しております。
(2)受注状況
当社グループは、主として需要予測に基づく見込生産方式をとっておりますので記載を省略しております。
(3)販売実績
小型モーターの販売実績を用途市場別に示すと、次のとおりであります。 (百万円未満の端数切捨て)
|
|
前連結会計年度 (自 平成28年1月1日 至 平成28年12月31日) |
当連結会計年度 (自 平成29年1月1日 至 平成29年12月31日) |
比較増減 (△は減) |
||
|
|
金 額 |
構成比率 |
金 額 |
構成比率 |
金 額 |
|
自動車電装機器 |
百万円 100,132 |
% 71.2 |
百万円 105,793 |
% 72.0 |
百万円 5,661 |
|
民生・業務機器 |
40,541 |
28.8 |
41,122 |
28.0 |
580 |
|
合 計 |
140,674 |
100.0 |
146,915 |
100.0 |
6,241 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成28年1月1日 至 平成28年12月31日) |
当連結会計年度 (自 平成29年1月1日 至 平成29年12月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
A社 |
14,154 |
10.1 |
14,729 |
10.0 |
(注)A社との間で守秘義務を負っているため、社名の公表は控えさせて頂きます。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、人々の豊かな生活を支える小型モーターのリーディングカンパニーであり続けるために、新たな成長段階に向けた創造活動を続けております。
経営理念:「国際社会への貢献とその継続的拡大」は、当社の遺伝子であり、創業当時から未来永劫受け継がれて行く当社経営の根幹をなす考え方であります。この「経営理念」の実現に至る道筋を「マブチの経営ビジョン」としてまとめ、グループ全体で共有しております。
経営ビジョンは、「経営理念」に基づく貢献をどのように捉え、いかに具現化するかを「経営基軸」で明確にするとともに、企業活動を遂行する際の行動指針を「経営指針」として明示しております。
経営基軸
経営上の意思決定を行ううえでの「規範」となる考え方で、次のとおりであります。
① より良い製品をより安く供給することにより、豊かな社会と人々の快適な生活の実現に寄与する
② 広く諸外国において雇用機会の提供と技術移転を行い、それらの国の経済発展と国際的な経済格差の平準化に貢献する
③ 人を最も重要な経営資源と位置付け、仕事を通じて人を活かし、社会に役立つ人を育てる
④ 地球環境と人々の健康を犠牲にすることのない企業活動を行う
経営指針
経営指針は、「小型モーターの専門メーカーとしてその社会的ニーズを的確に把握し、それに即した製品をより早く、より安く、安定的に供給する」ための当社の企業活動を方向付けるとともに、企業としてどのような行動をとるべきかを示すものであります。
また、海外拠点経営指針は、当社と進出国との共存共栄をベースとした、海外拠点経営の基本的な考え方を明示したものであります。
経営指針
① 汎用性を重視した製品を開発し、その最適生産条件を整備する
② 価値分析に徹した製品の開発改良と部品・材料共通化を徹底する
③ 高度加工技術とムダの極小化によるコストダウンを追求する
④ 新市場を開拓し、適正占有率を確保する
⑤ 適材適所による人材の活用と業務を通じた人材育成を行う
⑥ 環境負荷の極小化と安全の追求を基本とした企業活動を推進する
⑦ 長期安定的視点に立つ経営施策を推進する
海外拠点経営指針
① 長期的な視点に立ち、進出国との共存共栄を図る
② 各拠点の強みを活かした国際分業体制を確立し、国際競争力を維持・拡大する
③ 社会への貢献を重視するマブチの企業文化の浸透と知識・技術の移転を推進する
(2)会社の経営環境及び対処すべき課題
次期の見通しにつきましては、米国経済は、引き続き好調が続くものと見込まれます。欧州経済は、英国経済の先行きに不透明感はあるものの、全体としては成長が持続するものと見込まれます。我が国経済については、継続して緩やかな成長が見込まれます。新興国経済については、中国は伸び率が鈍化するものの成長を持続、インド及びブラジル等に回復傾向が見られ、全体として緩やかな成長が継続するものと予測されます。
当社グループの関連市場におきましては、自動車電装機器市場は、引き続き緩やかな成長を維持し、民生・業務機器市場では、家電機器、工具及び法人向け事務機器の需要が横ばいで推移するものの、個人向け事務機器需要は縮小すると予想しております。
このような経営環境下、当社グループは、次に述べます課題に取り組んでまいります。
① M&A(企業の合併・買収)による競争力の強化
当社は、阪和興業株式会社と、同社の中国子会社である阪和鋼板加工(江西)有限公司を当社子会社の萬寶至實業有限公司(香港マブチ)に譲渡することに合意し、2018年1月15日、香港マブチと阪和興業株式会社間で持分譲渡契約を締結いたしました。当社は、阪和鋼板加工(江西)有限公司の持分を、香港マブチを通じて100%取得し子会社化いたします。阪和鋼板加工(江西)有限公司は、当社の生産拠点である江西マブチにモーターの主要材料の鋼板コイル材を供給する加工会社であり、基幹部材の安定調達、品質向上及びコスト競争力向上に資するものです。内製部材の競争力の更なる向上につながるシナジーを早期に創出すべく取り組んでまいります。
② パワーウインドウ用モーター事業の成長加速
パワーウインドウ用モーター事業は、日系自動車メーカー向けにおいて、2017年に更なる小型・軽量化を実現する次世代新製品にて受注が確定し、2018年第3四半期より量産を開始する予定です。今後は、円滑な供給を確実に行う体制を整備するとともに、この採用実績を足掛かりとして他の自動車メーカーへの拡販や搭載車種の拡大に向けた活動を推進してまいります。
欧米、中国市場の旺盛な需要を背景に、積極的な拡販活動を展開しているパワーウインドウ用モーター標準品については、引き続き、新規案件を獲得しており、また、将来のビジネスにつながる引合いも順調に進捗しております。今後も市場地位を盤石なものとするべく、拡販活動を強化してまいります。
③ 中・小型電装用モーターの拡販・新用途拡大
パワーシート、パーキングブレーキ及びエンジン周辺機器用等の中型電装用モーターにつきましては、自動車の安全性、快適性、経済性の追求を背景として、今後も継続的な市場の拡大が期待できる分野です。競争力の高い用途別標準品により新たなお客様への拡販や新用途開拓に取り組み、売上の拡大を図ってまいります。パーキングブレーキ用モーターは、日系、欧州系大手自動車メーカー向けの搭載車種の拡大と装備率の上昇により更なる拡販を目指してまいります。パワーシート及びドア周辺の新用途においては、受注獲得を目指し新製品の提案・開発を進めてまいります。
また、小型電装用モーターでは、グリルシャッター及びシフト・バイ・ワイヤー用等の新用途における拡販活動の積極化に加えて、お客様の製品の高機能化に貢献できる新たなブラシ付モーターやブラシレスモーターの開発にも注力してまいります。
④ 民生・業務機器用分野における新用途開拓
民生・業務機器用分野につきましては、従来の「小型」かつ「ブラシ付」のモーターを主軸とした事業活動に加えて、新用途の開拓に注力し、新たな需要を創造するために、「ブラシレスモーター」の開発と拡販を強化しております。移動体用ブラシレスモーターにつきましては、自動搬送車や医療用ストレッチャー等の移動体向けに用途別標準品を展開し、新規受注の獲得に向け取り組んでまいります。
また、家電機器市場では、コードレス掃除機やドライヤー等において、従来品よりパワーを高めた新製品がラインナップされるなど、製品の高級化が進んでおります。当社は専業メーカーとしての高い技術力を活かし、これらの高級家電に求められるモーター性能を満たす新たな高性能モーターの開発を通じ、お客様のニーズに応えてまいります。さらに、特に中国で急速に市場が拡大している住宅用電子錠向けに小径の標準モーターを展開し、拡販活動をより一層強化してまいります。
⑤ 省人化の推進及び“次世代ものづくり”の確立
3年間で30%超の省人化を目指した第1期(2011年から2013年)及び第2期(2014年から2016年)の省人化計画は、それぞれ計画どおり30%超の省人化を達成し、生産工程の改革が大きく前進いたしました。第3期省人化計画となる2017年から2019年までの3年間についても、2016年比で30%の省人化を実現するという高い目標を引き続き掲げており、3年計画の初年度に当たる2017年度は、計画どおり前期比10%を超える省人化を達成いたしました。今後におきましても、既に一部の生産拠点に導入済の画像処理技術を用いた自動検査機の水平展開などにより、省人化計画を達成すべく取り組んでまいります。
また、ものづくり技術の革新における国際分業体制を一層進展させるべく、グローバル展開に注力してまいります。グループ内の専門家を集めたグローバル立上げチームを組織し、新たな生産拠点や生産ラインの迅速な立上げの実現に向け取り組んでまいります。さらに、各生産拠点のベストプラクティス(最適実施例)を、全生産拠点へ水平展開する活動を強化してまいります。これらの活動により、ものづくりのグループ総合力の向上を図ってまいります。
⑥ グローバル拠点戦略の推進
ものづくりの在り方の変化や、特に中型電装用途におけるお客様の工場に近接した立地でのモーター生産ニーズの高まり等を受け、2014年8月にメキシコ合衆国に米州地域において当社初の生産拠点「メキシコマブチ」を設立しております。近年、欧州市場においてもお客様より当地での生産について強いご要望をいただいており、これに応えるべく、2017年1月にポーランド共和国に、欧州地域における当社初の生産拠点「ポーランドマブチ」を設立いたしました。当生産拠点の立上げは順調に進捗しており、2017年第3四半期に工場建屋の建設に着工し、計画どおり2018年内の竣工に向け取り組んでまいります。あわせて、欧州市場における技術課題へのスピーディーな対応を実現するため、2017年第3四半期にドイツのヨーロッパマブチ内に従来の技術サービス機能に加え設計・開発機能を有する組織を設立し、活動を開始いたしました。今後は、販売・技術・生産の各機能が一体となり、欧州のお客様のニーズに現地で迅速に対応し、顧客満足度の向上と販売拡大に向け取り組んでまいります。
また、近年、自動車電装関連企業が集積しつつあるアセアン地域における販売体制を強化すべく、2018年1月にタイ王国に販売拠点「タイマブチ」を設立いたしました。これによってアセアン内の販売子会社は、シンガポールと今回のタイの2拠点に増強されます。ベトナムにあるダナンマブチ内の営業部門と共に、アセアンのお客様へのアプローチをより幅広く、強力に推進してまいります。さらに、アセアン地域においては、ベトナムマブチの近隣に主に生産設備の開発及び製作を担う分工場を建設いたします。生産設備の製作キャパシティを拡大することにより、グループ全体の省人化を加速させるべく、2018年秋頃に工場建屋の建設着工を予定しております。
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の判断上重要と思われる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点からこれを記載しております。当社グループは、これらのリスクを認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の損害の低減に努めてまいります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経済状況の変化
顧客の製品に搭載される当社製品の需要は、当社グループが販売している多様な市場における経済状況の影響を受けます。したがって、日本、北米、欧州、アジアを含む当社グループの主要市場における景気後退及びそれに伴う需要の縮小等は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)為替レートの変動
海外子会社の財務諸表上の現地通貨建ての項目は、連結財務諸表を作成するために円換算されております。したがって、換算時の為替レートにより円換算後の計上額が影響を受けることになります。特に米ドルに対する円高は当社グループの連結業績に悪影響を及ぼし、円安は好影響をもたらします。
当社グループが生産を行う地域の通貨価値の上昇は、それらの地域における現地通貨建ての製造と調達のコストを押し上げます。コストの増加は当社グループの利益率と価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼします。
(3)新製品・新技術の開発
新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、様々なリスクが含まれます。
当社グループが市場ニーズの変化を十分に予想できず、魅力ある新製品をタイムリーに開発できない場合、又は当社製品が陳腐化するような技術革新等が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(4)価格競争
当社グループは、電気・電子機器、機械等製造業界に属する多様な分野の企業を顧客としておりますが、これら業界における価格競争は大変厳しいものになっております。このような環境下で、価格はすべての分野において大きな競争要因になっており、中国競合メーカーの台頭等もあって、競争はさらに激化しております。
販売価格の下落が長期にわたって続きコストダウン活動がこれに追いつかない場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(5)国際的経済取引及び海外進出に潜在するリスク
当社グループの事業活動の大部分は欧州、北米、アジア各国等で行われております。
これら海外における事業活動においては、政治・経済環境の変動、インフラストラクチャーの未整備、法律や税務その他の諸制度の変動、社会的混乱等のリスクが内在しております。
例えば、当社グループは、生産活動の多くを中国及びベトナムにおいて行っております。同国における政治又は法環境の変化、経済状況の変化、雇用環境その他の社会環境変化等、予期せぬ事象の発生が生産・販売活動に大きな問題を生じさせ、これが業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(6)製品の品質
当社グループのすべての製品について大きな品質問題が発生しないという保証はありません。品質問題が発生した場合、その賠償額は、当社グループ製品を搭載した最終製品の品質に与える影響に左右されます。万一、大規模な製品クレーム又はリコールや製造物責任賠償に繋がるような製品の欠陥が発生した場合は、多額のコストの発生や信用の失墜による売上の低下を招き、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(7)知的財産保護
知的財産の獲得は、当社グループの成長を大きく左右するものと認識しております。しかしながら特定の地域では、固有の事由によって当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があります。その場合、当社グループの知的財産を第三者が無断使用し、類似製品を製造することによって損害を受けることや、その他の技術やノウハウ等が流出し他社で利用されることにより競争優位性を損なう可能性がある一方、当社グループが他社の知的財産を侵害したと主張される可能性もあります。
知的財産権における保護の失敗や侵害、その他の知的財産の流出は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(8)人材獲得と育成
当社グループは、激しい企業競争を勝ち抜くため、関連分野における能力の高い従業員、殊に高度な科学・技術に通じたエンジニアや、ビジネス戦略、組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保、育成が不可欠であり、世代の交代を超えて常に充実・向上させることが必要であると認識しております。一方で、これら人材の積極的採用と継続的な育成には、コストを必要とします。
優秀な人材の獲得や人材育成が長期的視点において計画どおりに進まなかった場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(9)原材料等の調達
当社グループが外部から調達している原材料等の種類によっては、限られた供給元に依存するものがあります。
こうした供給元における事故その他の事由による原材料等の供給中断、需要の急増による供給不足等が発生する可能性があります。これらが長期にわたり代替品の入手が困難な場合、当社グループの生産活動に大きな影響を及ぼし、顧客への製品の納入や品質の確保に支障をきたす可能性があります。また、これらの価格が急騰し、製造コストの上昇を招くことも考えられます。
このような事態が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(10)自然災害や事故
当社グループは国際分業体制を確立し、世界各国で事業活動を行っており、各拠点において工場や事務所等の施設・設備を保有しております。当社グループは、これら拠点における災害や事故発生等のリスクの顕在化防止又は保険の付保を含む損害低減策を講じておりますが、本社及び各拠点における災害、事故等による事業活動中断の影響を完全に防止し、又は計画どおりに低減できる保証はありません。このような不測の事態が生じた場合は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、当社及び万宝至馬達(東莞)有限公司(「アジア」セグメント)で行っており、その内容は次のとおりであります。
当社の研究開発活動に関する組織としては、開発本部、製造本部、技術管理部、技術研究所を設置しております。開発本部は第一製品開発部、第二製品開発部、第三製品開発部に分かれておりますが、2017年度より、用途を軸とした事業部制にも属したマトリックス組織体系となっております。製造本部は、生産技術部と生産管理部に分かれており、生産技術部では、工法、生産技術の研究が実施されております。また、新設された技術研究所においては、主に技術ロードマップに基づく要素技術開発、戦略用途を中心とした新製品開発等の高付加価値業務を担っております。一方、万宝至馬達(東莞)有限公司に設置しているR&Dセンターにおいては、立上げ当初から改良設計業務を中心として担当し、中国地場マーケットへの迅速な製品投入対応を目的とした新製品の開発業務及び当社が委託した新製品の開発業務についても実施しております。
当社は、タイムリーな新製品開発と市場投入を実現するため、市場調査やベンチマーキングによる情報を基に技術ロードマップを作成し、計画的な要素技術開発を実施しておりますが、2015年に設置した新技術研究グループを2017年度から技術研究所に発展させて、プロダクトアウト型新製品の開発を含め、これらに特化した活動を強化しております。
また、当社モーターの新規参入分野及び適用用途への対応力強化並びに地産地消の考え方から、世界中どこでも勝てるものづくりの実現を目指して、次の事項の検討と施策展開を急務と捉え実行しております。
(1)ブラシレスモーター及びその駆動回路の技術強化
(2)従来の省人化に加えて、更なる省人化ラインの検討
(3)開発リードタイムの短縮及び開発工数の短縮、削減
次に、各用途の対応状況でありますが、主力分野である自動車電装事業、及び次期事業の柱として今後注力すべきそれぞれの用途について、事業部体制の下、技術部門及び営業部門が一体となり対応を行っております。
パワーウインドウ用途:
2017年には北米大手自動車メーカー2社目向け開発モデルであるGD-558LJ/RJ/LK/RKの量産を開始し、更なる拡販活動、技術対応を実施しております。また、更なる小型・軽量化を実現する次世代標準開発モデルで日系自動車メーカーの受注を獲得しました。
パワーシート用途:
差別化した小型高トルク製品の投入により、大手のお客様からの採用が拡大し、売上、市場シェアが急速に伸びております。更なるシェアアップに向けて製品の強化及び拡販活動を実施しております。ランバーサポート用モーターの派生モデルや、リクライナー用の新規ギアードモーターの開発に着手しております。
エンジン周辺機器用途:
エンジンを精密に制御することによって省エネルギー化に貢献可能な将来性の高い用途ですが、他用途とは異なる水準の高温及び振動への対応が求められます。2014年に量産開始し拡販活動を継続しているRS-4F5に続き、2017年11月中旬より同高耐久機種シリーズで高トルク版であるRS-4G5の量産を開始しました。
パワーリフトゲート(PLG)用途:
需要が増えているSUVを中心に搭載率が伸びているPLG市場に対し、小型ユニット設計に対応する新規モデルとして開発に着手しております。
移動体用途:
当市場に向けては、アシスト自転車やコミューター用途に向けた拡販活動を続けております。当モーターは、電動台車や電動芝刈り機等幅広い用途より引き合いをいただいております。
また、その他の市場用既存モーター機種におきましても、従来どおり、当社のノウハウを結集した特性改善やリモデルにより付加価値を向上させるとともに、前述のR&Dセンターの活用等により、市場、顧客ニーズに対する迅速な開発体制を実現しております。
当連結会計年度における研究開発費は52億3千3百万円、当社所有の産業財産権の総数は783件(国内168件、海外615件)、新規出願件数は国内外合計で80件となっております。
なお、当連結会計年度における代表的な新製品は、次のとおりであります。
エンジン周辺機器用 RS-4G5WA
吸排気バルブ、冷却水バルブ、ターボチャージャーアクチュエータ、EGRバルブ等の高耐久を求められる用途に向け、従来機種RS-4F5WAの高トルク版をご用意し、お客様の多様なご要望への対応力を高めたブラシ付モーターとなります。
当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)当連結会計年度の経営成績の分析
① 概要
当期における世界経済は、全体として底堅く推移しました。米国経済は、雇用環境の改善による堅調な個人消費に支えられ成長が持続しました。欧州経済は、設備投資の拡大を背景に堅調に推移しました。我が国経済は、雇用環境の改善に伴う個人消費の拡大により緩やかな成長が続きました。新興国経済については、中国経済は緩やかな調整局面が続き、全体としては低成長が継続しました。
当社グループの関連市場におきましては、自動車電装機器市場は、全般に堅調な需要が継続しました。民生・業務機器市場は、安定的な需要が続きましたが、一部の用途で市場縮小が継続しました。
このような景況下、当社グループの業績につきましては、販売数量の増加やプロダクトミックスの改善などで売上高は増加しましたが、販売費および一般管理費やメキシコ新工場のコスト増加などにより、営業利益は微減となりました。
なお、当連結会計年度の円の平均為替レートは、1US$に対し112.19円であり、前連結会計年度に比べ3.35円の円安となりました。
② 売上高
当期連結売上高は1,469億円(前期比4.4%増)となりました。その大半を占めるモーター売上高は1,469億円(前期比4.4%増)となりました。自動車電装機器市場では、重点強化事業である中型電装用途でパワーシート、パーキングブレーキ、シートベルトプリテンショナー及びドアクローザー用の販売が増加した一方、パワーウインドウ用は、標準品の販売が増加したものの中国市場での在庫調整により販売が減少しました。また小型電装用途では、ドアロック及びミラー用が装備率の上昇などにより増加、エアコンダンパー用は高シェアを維持し増加、ヘッドライト用は搭載車種の拡大及びシェアアップにより増加しました。民生・業務機器市場では、理美容関連及び工具用の販売が堅調に推移し増加した一方で、インクジェットプリンター及びカーCDプレーヤー用における市場縮小が継続しました。
③ 営業利益
営業利益は240億円(前期比0.7%減)と前期比で1億円の減少となっており、これを主な要因別に見ますと次のとおりであります。
まず、販売数量の増加により5億円、プロダクトミックスの改善により3億円、為替レートの円安により15億円の増益となりました。一方、主要材料である銅・鋼材などの市況品価格の上昇により6億円、販売費及び一般管理費の増加やメキシコ工場の量産開始に伴うコスト増加などで19億円の減益となりました。
④ 営業外収支(営業外収益・費用)
営業外収支は、前連結会計年度の19億円の収益(純額)から、当連結会計年度は17億円の収益(純額)となりました。
⑤ 特別損益(特別利益・損失)
特別損益は、前連結会計年度の4億円の利益(純額)から、当連結会計年度は16億円の利益(純額)となりました。
⑥ 法人税等及び法人税等調整額
法人税等及び法人税等調整額の税金等調整前当期純利益に対する比率(税効果会計適用後の法人税率等の負担率)は、前連結会計年度22.4%に対し、当連結会計年度は26.1%となりました。前期に海外子会社所在国での源泉税引き下げに伴い剰余金に対する繰延税金負債を取り崩す処理を行ったため一時的に比率が低下しましたが、当期は通常通りとなりました。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は203億円(前期比1.4%減)と前期比で2億円の減少となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の300.70円に対し299.74円となりました。
(2)財政状態
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に対して109億円増加し、2,693億円となりました。変動の大きかった主なものは、新生産拠点設立をはじめとした設備投資に伴う有形固定資産の増加79億円、たな卸資産の増加63億円、有価証券の増加24億円、現金及び預金の減少45億円、受取手形及び売掛金の減少12億円などであります。
負債合計は、前連結会計年度末に対して16億円増加し271億円となりました。変動の大きかった主なものは繰延税金負債(固定)の増加8億円、支払手形及び買掛金の増加5億円などであります。
純資産合計は、前連結会計年度末に対して92億円増加し、2,421億円となりました。利益剰余金が75億円増加、その他有価証券評価差額金が18億円増加しました。
自己資本比率は、前連結会計年度末の90.1%から当連結会計年度末は89.9%となっております。
(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは225億円の収入となり、前期に対し53億円減少しました。たな卸資産の増加などにより営業キャッシュ・フローが減少しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは140億円の支出となり、前期に対し105億円の支出増加となりました。新たに設立したポーランドマブチや新規の設備投資により固定資産の取得による支出が34億円増加しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは138億円の支出となり、前期に対し19億円の支出増加となりました。配当金の支払額が18億円増加したことなどによるものです。
これらの結果、現金及び現金同等物の残高は、前期末から33億円減少し1,189億円となりました。
② 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料及び部品の購入費、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要につきましては、当社グループ製品製造のための生産設備購入や工場建設費用等があります。
③ 財政政策
当社グループは現在、運転資金及び設備投資資金につきましては、自己資金から賄っており外部調達はありません。ただし、従業員持株ESOP信託の信託口による借入金の残高が平成29年12月31日現在で0.5億円となっております。
自己株式の取得につきましては、当社は平成14年度から平成20年度までに1,201万株(872億円)を公開買付及び市場買付により取得しており、平成27年度に82万株(49億円)、平成28年度に100万株(47億円)、平成29年度に80万株(49億円)を市場買付により取得しております。また、当期末から有価証券報告書提出日までに56万株(29億円)を市場買付により取得しております。
これらのうち1,582万株について当期までに消却を実行し、さらに56万株を平成30年4月16日に消却する予定としております。また、当社は平成27年1月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施いたしました。なお、残る自己株式は当面、金庫株として保有する予定であります。今後の自己株式の取得に関しましては、株価や経営環境の状況に応じ、資本政策及び株主への利益還元の一方法として、適時、機動的に実施を検討してまいります。
利益配当について当社は、健全な事業活動を行う上で必要な内部留保を確保し、財務の健全性を維持しつつ、株主に対して業績に応じた利益還元を積極的に行うことを基本方針としております。
この方針の下、株主配当金については、急激な経営環境の悪化による著しい業績低迷時を除き、原則的な算定基準として、長期安定的な配当である普通配当1株当たり年30円を継続的に実施し、これに事業成果としての連結純利益の30%を1株当たりに換算した特別配当金を併せて実施することとしております。
当社グループは、今後とも、事業の成長と営業活動によるキャッシュ・フロー収入の増加を図り、健全な財務構造を維持しつつ、適切な株主還元を実施してまいります。