文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、人々の豊かな生活を支える小型モーターのリーディングカンパニーであり続けるために、新たな成長段階に向けた創造活動を続けております。
経営理念:「国際社会への貢献とその継続的拡大」は、当社の遺伝子であり、創業当時から未来永劫受け継がれて行く当社経営の根幹をなす考え方であります。この「経営理念」の実現に至る道筋を「マブチの経営ビジョン」としてまとめ、グループ全体で共有しております。
経営ビジョンは、「経営理念」に基づく貢献をどのように捉え、いかに具現化するかを「経営基軸」で明確にするとともに、企業活動を遂行する際の行動指針を「経営指針」として明示しております。
経営基軸
経営上の意思決定を行ううえでの「規範」となる考え方で、次のとおりであります。
① より良い製品をより安く供給することにより、豊かな社会と人々の快適な生活の実現に寄与する
② 広く諸外国において雇用機会の提供と技術移転を行い、それらの国の経済発展と国際的な経済格差の平準化に貢献する
③ 人を最も重要な経営資源と位置付け、仕事を通じて人を活かし、社会に役立つ人を育てる
④ 地球環境と人々の健康を犠牲にすることのない企業活動を行う
経営指針
経営指針は、「小型モーターの専門メーカーとしてその社会的ニーズを的確に把握し、それに即した製品をより早く、より安く、安定的に供給する」ための当社の企業活動を方向付けるとともに、企業としてどのような行動をとるべきかを示すものであります。
また、海外拠点経営指針は、当社と進出国との共存共栄をベースとした、海外拠点経営の基本的な考え方を明示したものであります。
経営指針
① 汎用性を重視した製品を開発し、その最適生産条件を整備する
② 価値分析に徹した製品の開発改良と部品・材料共通化を徹底する
③ 高度加工技術とムダの極小化によるコストダウンを追求する
④ 新市場を開拓し、適正占有率を確保する
⑤ 適材適所による人材の活用と業務を通じた人材育成を行う
⑥ 環境負荷の極小化と安全の追求を基本とした企業活動を推進する
⑦ 長期安定的視点に立つ経営施策を推進する
海外拠点経営指針
① 長期的な視点に立ち、進出国との共存共栄を図る
② 各拠点の強みを活かした国際分業体制を確立し、国際競争力を維持・拡大する
③ 社会への貢献を重視するマブチの企業文化の浸透と知識・技術の移転を推進する
(2)会社の経営環境及び対処すべき課題
次期の見通しにつきましては、世界経済は、引き続き緩やかな拡大が見込まれるものの、経済環境の懸念等から不透明感が増しており、成長率は鈍化するものと見込まれます。先進国においては、米国経済は、通商政策の動向及び政府機関の一部閉鎖による影響に懸念があるものの、内需主導の成長により引き続き堅調に推移するものと見込まれます。欧州経済は、英国のEU離脱交渉及びイタリア財政に対する懸念に加え、ドイツ経済の減速が見込まれ、成長率は鈍化するものと予測されます。我が国経済については、財政刺激策の実施により消費増税の影響が緩和され、引き続き緩やかな成長が見込まれます。新興国経済全体としては緩やかな成長が予測されるものの、中国経済は不透明感が増しており、成長率が更に鈍化するものと見込まれます。
当社グループの関連市場におきましては、自動車電装機器市場は、南米、ロシア及び東南アジア市場の成長が持続するものの、北米、欧州市場の頭打ちに加えて、中国市場の減速が予測されることから、伸び率の鈍化が見込まれます。民生・業務機器市場では、家電機器及び工具の需要が横ばいで推移するものの、事務機器の需要は縮小すると予想しております。
このような経営環境下、当社グループは、次に述べます課題に取り組んでまいります。
① パワーウインドウ用モーター事業の成長加速
パワーウインドウ用モーター事業は、中国市場において、変化の激しい環境に素早く対応すべく、統括会社(管理性公司)である「マブチモーターチャイナ」を設立し、販売体制を強化するとともに、新たな標準品への切り替えを加速することでシェア拡大に取り組んでまいります。
欧州においては、2018年に新たに高級自動車メーカーより受注を獲得いたしました。この実績を足掛かりに搭載車種の拡大に取り組んでまいります。また、米国においては、3社目となる北米自動車メーカーからの受注獲得を目指し、米州における販売体制を強化してまいります。
② 中・小型電装用モーターの拡販・新用途拡大
パワーシート及びパーキングブレーキ用等の中型電装用モーターは、自動車の安全性、快適性、経済性の追求を背景として、今後も継続的な市場の拡大が期待できる分野です。競争力の高い用途別標準品により新たなお客様への拡販や新用途開拓に取り組み、売上の拡大を図ってまいります。パワーシート及びドア周辺の新用途においては、受注獲得を目指し新製品の提案・開発を進めてまいります。小型電装用モーターにつきましては、新用途をはじめとする新たな引合いにおいて、当社の強み、市場性、収益性等を判断し、競争力のある新製品を積極的に開発してまいります。
③ 民生・業務機器用分野における新用途開拓
民生・業務機器用分野につきましては、従来の「小型」かつ「ブラシ付」のモーターを主軸とした事業活動に加えて、新用途の開拓に注力し、新たな需要を創造するために、「ブラシレスモーター」の開発と拡販を強化しております。
移動体用ブラシレスモーターにつきましては、既に多くの引合いをいただいております。2019年は、外部リソース等も活用のうえ、対応可能なオプション品の範囲を拡大することで、お客様のご要望にお応えし、多用途展開を推進してまいります。また、高級家電向けに開発したブラシレスモーターにつきましても、積極的な拡販を行ってまいります。さらに、住設用途においては、住宅用電子錠に続く新たなモーター需要が顕在化しております。これらの成長市場につきましても、取り組みを強化してまいります。
④ 省人化及び“次世代ものづくり革新”の推進
3年間で30%超の省人化を目指した第1期(2011年から2013年)及び第2期(2014年から2016年)の省人化計画は、それぞれ計画どおり30%超の省人化を達成し、生産工程の改革が大きく前進いたしました。第3期省人化計画となる2017年から2019年までの3年間についても、2016年比で30%の省人化を実現するという高い目標を引き続き掲げており、3年計画の2年目となる2018年も、初年度と同様に計画どおり前期比10%を超える省人化を達成いたしました。第3期省人化計画の最終年となる2019年度は、既に一部の生産拠点に導入済の画像処理技術を用いた自動検査機の導入に注力し、計画を達成すべく取り組んでまいります。また、これまでの省人化及び革新的マザーラインへの取り組みを通じて蓄積したノウハウをベースに、品質と生産性を高次で両立する“次世代ものづくり革新”に取り組みます。さらに、生産ラインの各工程における自動化設備を標準化することで、設備投資の抑制を図ってまいります。
⑤ グローバル拠点戦略の推進
ものづくりの在り方の変化や、お客様の工場に近接した立地でのモーター生産ニーズの高まり等を受け、2014年8月にメキシコ合衆国に米州地域において当社初となる生産拠点「メキシコマブチ」を設立、また、2017年1月にはポーランド共和国に、欧州地域における当社初の生産拠点「ポーランドマブチ」を設立いたしました。これらの生産拠点の設立をはじめ、グローバル拠点戦略の整備に取り組んできたことが、近年の変化の激しい外部環境への対応力向上に貢献しております。
2019年は、中国において統括会社(管理性公司)である「マブチモーターチャイナ」を設立し、現地の裁量を拡大することで、中国市場における戦略立案及び管理を迅速に実行可能な体制を整備いたします。これにより、戦略実行の確度とスピードの向上に取り組んでまいります。これをモデルケースとして、引き続き当社グループ各地域における経営・管理機能の強化及び生産体制の見直しを進め、グループ全体の収益力向上に取り組むとともに、中国以外の地域への展開も進めてまいります。加えて、ポーランドマブチの生産準備及びメキシコマブチの工場拡張を計画どおりに進め、グローバルレベルでの地産地消の実現に向け、生産地の最適化に向け取り組んでまいります。
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の判断上重要と思われる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点からこれを記載しております。当社グループは、これらのリスクを認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の損害の低減に努めてまいります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経済状況の変化
顧客の製品に搭載される当社製品の需要は、当社グループが販売している多様な市場における経済状況の影響を受けます。したがって、日本、北米、欧州、アジアを含む当社グループの主要市場における景気後退及びそれに伴う需要の縮小等は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)為替レートの変動
海外子会社の財務諸表上の現地通貨建ての項目は、連結財務諸表を作成するために円換算されております。したがって、換算時の為替レートにより円換算後の計上額が影響を受けることになります。特に米ドルに対する円高は当社グループの連結業績に悪影響を及ぼし、円安は好影響をもたらします。
当社グループが生産を行う地域の通貨価値の上昇は、それらの地域における現地通貨建ての製造と調達のコストを押し上げます。コストの増加は当社グループの利益率と価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼします。
(3)新製品・新技術の開発
新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、様々なリスクが含まれます。
当社グループが市場ニーズの変化を十分に予想できず、魅力ある新製品をタイムリーに開発できない場合、又は当社製品が陳腐化するような技術革新等が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(4)価格競争
当社グループは、電気・電子機器、機械等製造業界に属する多様な分野の企業を顧客としておりますが、これら業界における価格競争は大変厳しいものになっております。このような環境下で、価格はすべての分野において大きな競争要因になっており、中国競合メーカーの台頭等もあって、競争はさらに激化しております。
販売価格の下落が長期にわたって続きコストダウン活動がこれに追いつかない場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(5)国際的経済取引及び海外進出に潜在するリスク
当社グループの事業活動の大部分は欧州、北米、アジア各国等で行われております。
これら海外における事業活動においては、政治・経済環境の変動、インフラストラクチャーの未整備、法律や税務その他の諸制度の変動、社会的混乱等のリスクが内在しております。
例えば、当社グループは、生産活動の多くを中国及びベトナムにおいて行っております。同国における政治又は法環境の変化、経済状況の変化、雇用環境その他の社会環境変化等、予期せぬ事象の発生が生産・販売活動に大きな問題を生じさせ、これが業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(6)製品の品質
当社グループのすべての製品について大きな品質問題が発生しないという保証はありません。品質問題が発生した場合、その賠償額は、当社グループ製品を搭載した最終製品の品質に与える影響に左右されます。万一、大規模な製品クレーム又はリコールや製造物責任賠償に繋がるような製品の欠陥が発生した場合は、多額のコストの発生や信用の失墜による売上の低下を招き、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(7)知的財産保護
知的財産の獲得は、当社グループの成長を大きく左右するものと認識しております。しかしながら特定の地域では、固有の事由によって当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があります。その場合、当社グループの知的財産を第三者が無断使用し、類似製品を製造することによって損害を受けることや、その他の技術やノウハウ等が流出し他社で利用されることにより競争優位性を損なう可能性がある一方、当社グループが他社の知的財産を侵害したと主張される可能性もあります。
知的財産権における保護の失敗や侵害、その他の知的財産の流出は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(8)人材獲得と育成
当社グループは、激しい企業競争を勝ち抜くため、関連分野における能力の高い従業員、殊に高度な科学・技術に通じたエンジニアや、ビジネス戦略、組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保、育成が不可欠であり、世代の交代を超えて常に充実・向上させることが必要であると認識しております。一方で、これら人材の積極的採用と継続的な育成には、コストを必要とします。
優秀な人材の獲得や人材育成が長期的視点において計画どおりに進まなかった場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(9)原材料等の調達
当社グループが外部から調達している原材料等の種類によっては、限られた供給元に依存するものがあります。
こうした供給元における事故その他の事由による原材料等の供給中断、需要の急増による供給不足等が発生する可能性があります。これらが長期にわたり代替品の入手が困難な場合、当社グループの生産活動に大きな影響を及ぼし、顧客への製品の納入や品質の確保に支障をきたす可能性があります。また、これらの価格が急騰し、製造コストの上昇を招くことも考えられます。
このような事態が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(10)自然災害や事故
当社グループは国際分業体制を確立し、世界各国で事業活動を行っており、各拠点において工場や事務所等の施設・設備を保有しております。当社グループは、これら拠点における災害や事故発生等のリスクの顕在化防止又は保険の付保を含む損害低減策を講じておりますが、本社及び各拠点における災害、事故等による事業活動中断の影響を完全に防止し、又は計画どおりに低減できる保証はありません。このような不測の事態が生じた場合は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当期における世界経済は、経済環境への懸念等を背景に、成長が鈍化する展開となりました。米国経済は、雇用環境の継続的な改善を背景に個人消費が拡大し、底堅い成長を持続しました。欧州経済は、堅調な内需が景気を牽引した一方で、輸出が伸び悩んだことにより成長ペースが鈍化しました。我が国経済は、雇用環境の改善に伴う個人消費の拡大及び設備投資の増加により緩やかに拡大しました。新興国経済は、全体としては成長が継続したものの、中国経済の成長ペースに減速が見られました。
当社グループの関連市場におきましては、自動車電装機器市場は、下期後半に欧州及び中国市場において減速が見られました。民生・業務機器市場は、理美容関連機器及び工具用で安定的な需要が持続した一方で、一部の用途で市場縮小が継続しました。
このような景況下、当社グループは、「M&A(企業の合併・買収)による競争力の強化」、「パワーウインドウ用モーター事業の成長加速」、「中・小型電装用モーターの拡販・新用途拡大」、「民生・業務機器用分野における新用途開拓」、「省人化の推進及び“次世代ものづくり”の確立」、「グローバル拠点戦略の推進」を課題に掲げ、取り組んでまいりました。
これらの結果、当期の連結売上高は1,431億1千6百万円(前期比2.6%減)となりました。利益面につきましては、営業利益は212億4千3百万円(前期比11.7%減)、経常利益は248億4百万円(前期比4.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は229億2千5百万円(前期比12.9%増)となりました。
なお、当連結会計年度の円の平均為替レートは、1US$に対し110.43円であり、前連結会計年度に比べ1.76円の円高となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前期末から53億9千6百万円減少し、1,135億6千万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは209億7千9百万円の収入となり、前期に対し16億5百万円の収入減少となりました。税金等調整前当期純利益が18億3千7百万円増加したものの、固定資産処分益が43億4千5百万円増加したことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは127億3千5百万円の支出となり、前期に対し12億9千1百万円の支出減少となりました。固定資産の取得による支出が17億8百万円増加したものの、固定資産の売却による収入が52億3千万円増加したことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは110億6千9百万円の支出となり、前期に対し27億7千5百万円支出が減少しました。主に、自己株式の取得による支出が20億円減少したことによるものです。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
小型モーターの生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。 (千個未満の端数切捨て)
|
|
前連結会計年度 (自 平成29年1月1日 至 平成29年12月31日) |
当連結会計年度 (自 平成30年1月1日 至 平成30年12月31日) |
比較増減 (△は減) |
||
|
|
数 量 |
構成比率 |
数 量 |
構成比率 |
数 量 |
|
アジア |
千個 1,558,811 |
% 99.9 |
千個 1,559,538 |
% 99.8 |
千個 726 |
|
アメリカ |
1,350 |
0.1 |
3,411 |
0.2 |
2,061 |
|
合 計 |
1,560,162 |
100.0 |
1,562,950 |
100.0 |
2,788 |
(注)当社グループの生産・販売品目は小型モーター単品であり、価格差も僅少であることから、数量表示のみで記載しております。
b.受注状況
当社グループは、主として需要予測に基づく見込生産方式をとっておりますので記載を省略しております。
c.販売実績
小型モーターの販売実績を用途市場別に示すと、次のとおりであります。 (百万円未満の端数切捨て)
|
|
前連結会計年度 (自 平成29年1月1日 至 平成29年12月31日) |
当連結会計年度 (自 平成30年1月1日 至 平成30年12月31日) |
比較増減 (△は減) |
||
|
|
金 額 |
構成比率 |
金 額 |
構成比率 |
金 額 |
|
自動車電装機器 |
百万円 105,793 |
% 72.0 |
百万円 104,196 |
% 72.8 |
百万円 △1,597 |
|
民生・業務機器 |
41,122 |
28.0 |
38,860 |
27.2 |
△2,262 |
|
合 計 |
146,915 |
100.0 |
143,057 |
100.0 |
△3,858 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成29年1月1日 至 平成29年12月31日) |
当連結会計年度 (自 平成30年1月1日 至 平成30年12月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
A社 |
14,729 |
10.0 |
14,392 |
10.1 |
(注)A社との間で守秘義務を負っているため、社名の公表は控えさせて頂きます。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表を作成するにあたり重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債及び収益、費用の報告金額に影響を与える仮定、見積り及び判断を必要としております。特に大きな影響を及ぼすものとして、貸倒引当金や退職給付に係る会計処理については、過去の実績や当該事象の状況に照らして合理的と考えられる見積り及び判断を行い、また、固定資産の減損及び繰延税金資産の計上については、将来の回収可能性などを考慮しております。
しかしながら、これらの仮定、見積り及び判断については不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に対して10億7千2百万円減少し、2,682億4千6百万円となりました。変動の大きかった主なものは、新生産拠点設立をはじめとした設備投資に伴う有形固定資産の増加57億1千5百万円、現金及び預金の減少48億9千6百万円、受取手形及び売掛金の減少31億7千万円、たな卸資産の増加27億1百万円、投資有価証券の減少22億2百万円などであります。
負債合計は、前連結会計年度末に対して33億4千7百万円減少し、237億9千1百万円となりました。変動の大きかった主なものは、支払手形及び買掛金の減少14億7千9百万円、未払法人税等の減少10億4千1百万円、繰延税金負債(固定)の減少8億3千3百万円などであります。
純資産合計は、前連結会計年度末に対して22億7千4百万円増加し、2,444億5千4百万円となりました。利益剰余金が118億8千1百万円増加、為替換算調整勘定が75億1千7百万円、その他有価証券評価差額金が25億2千6百万円減少しました。
自己資本比率は、前連結会計年度末の89.9%から、当連結会計年度末は91.1%となっております。
2)経営成績
(売上高)
当期の連結売上高は1,431億1千6百万円(前期比2.6%減)となり、その大半を占めるモーター売上高は1,430億5千7百万円(前期比2.6%減)となりました。
① 自動車電装機器市場
売上高は、1,041億9千6百万円(前期比1.5%減)と減少しました。重点強化事業であるパワーウインドウ用は、北米大手自動車メーカー向けにて新製品の高トルク標準品が増加したものの、自動車メーカーでの新車種の量産立ち上げの遅れ、中国市場における需要低迷及び新旧モデル切り替え等の影響により減少しました。一方、パーキングブレーキ等の中型電装用途は、全体として堅調に推移しました。小型電装用途では、ドアロック用は微減となりましたが、ミラー、エアコンダンパー及びヘッドライト用等は堅調に推移しました。
② 民生・業務機器市場
売上高は、388億6千万円(前期比5.5%減)と減少しました。理美容関連機器及び工具用が堅調に推移した一方で、インクジェットプリンター及びカーCDプレーヤー用における市場縮小が継続しました。
(営業利益)
営業利益は212億4千3百万円(前期比11.7%減)と前期比で28億2千2百万円の減少となっており、これを主な要因別に見ますと、販売数量の減少により2億円、売価・プロダクトミックス変化により12億円、銅・鋼材などの市況品の上昇により7億円、為替レートの円高により1億円、それぞれ減益要因となりました。さらに、メキシコ工場の生産拡大に伴う製造コストの増加などにより、6億円の減益となりました。
(営業外収支)
営業外収支は、前連結会計年度の17億7千5百万円の収益(純額)から、当連結会計年度は35億6千1百万円の収益(純額)となりました。主に、為替差益が11億9千4百万円増加したことなどによるものであります。
(特別損益)
特別損益は、前連結会計年度の16億4千4百万円の利益(純額)から、当連結会計年度は45億1千8百万円の利益(純額)となりました。主に、当社100%子会社であります萬寶至實業有限公司(香港マブチ)において、不動産の売却に伴う固定資産売却益が発生したことなどによるものであります。
(法人税等及び法人税等調整額)
法人税等及び法人税等調整額の税金等調整前当期純利益に対する比率(税効果会計適用後の法人税率等の負担率)は、前連結会計年度の26.1%に対し、当連結会計年度は21.8%となりました。萬寶至實業有限公司(香港マブチ)において発生した固定資産売却益について、その利益の大部分が現地税制上非課税となったことから、比率が低下しました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は229億2千5百万円(前期比12.9%増)と前期比で26億2千2百万円の増加となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の299.74円に対し341.19円となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載しております。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料及び部品の購入費、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要につきましては、当社グループ製品製造のための生産設備購入や工場建設費用等があります。
なお、当社グループの運転資金及び設備投資資金は自己資金から賄っており、外部調達はありません。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2019年度から2021年度の3ヶ年を計画年度とする中期経営計画において、以下の経営数値目標を掲げております。
|
指標 |
2021年度 目標 |
|
売上高 |
1,600億円程度 |
|
売上高営業利益率 |
15.0%程度 |
|
自己資本利益率(ROE) |
8.0%程度 |
なお、経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメント別の売上高は、「日本」セグメントは130億3千2百万円(前期比4.9%増)、「アジア」セグメントは755億8千1百万円(前期比7.1%減)、「アメリカ」セグメントは205億5百万円(前期比11.6%増)、「ヨーロッパ」セグメントは339億9千6百万円(前期比2.2%減)であります。
セグメント別の利益又は損失は、「日本」セグメントは70億6千2百万円の利益(前期比30.3%減)、「アジア」セグメントは135億2千9百万円の利益(前期比0.5%減)、「アメリカ」セグメントは10億8千5百万円の損失(前期は4億4千9百万円の損失)、「ヨーロッパ」セグメントは13億2千5百万円の利益(前期比10.3%増)、セグメント間取引消去による調整額は4億1千万円(前期は△4億2千1百万円)であります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、当社及び万宝至馬達(東莞)有限公司(「アジア」セグメント)で行っており、その内容は次のとおりであります。
当社の研究開発活動に関する組織としては、開発本部、製造本部及び技術研究所を設置しており、2017年度より、用途を軸とした事業部制にも属したマトリックス組織体系となっております。開発本部は第一製品開発部、第二製品開発部、第三製品開発部、第四製品開発部及び技術管理部に分かれておりますが、2018年9月より技術研究所も開発本部配下の組織として開発体制の強化を図り、研究開発から製品開発における一連の技術連携をより強固にした活動の展開を促進しております。製造本部は、第一生産技術部、第二生産技術部及び生産管理部に分かれており、第一生産技術部では、量産設備の設計から製作の支援、金型の設計を実施、第二生産技術部は工程設計や工法、生産技術の研究が実施されております。技術研究所においては、主に要素技術開発や戦略用途を中心とした新製品開発等の高付加価値業務を担っております。一方、万宝至馬達(東莞)有限公司に設置しているR&Dセンターにおいては、立上げ当初から改良設計業務を中心として担当し、中国地場マーケットへの迅速な製品投入を目的とした既存製品の改良業務及び当社が委託した新製品の開発業務についても実施しております。
当社は、タイムリーな新製品開発と市場投入を実現するため、市場調査やベンチマーキングによる情報を基に技術ロードマップを作成し、計画的な要素技術開発を実施しており、またプロダクトアウト型新製品の開発を含め、これらに特化した活動を強化しております。
また、当社モーターの新規参入分野及び適用用途への対応力強化並びに地産地消の考え方から、世界中どこでも勝てるものづくりの実現を目指して、次の事項の検討と施策展開を急務と捉え実行しております。
(1)ブラシレスモーター及びギヤユニット等の開発と駆動回路の技術強化
(2)従来の省人化に加えて、更なる省人化ラインの検討
(3)開発リードタイムの短縮及び開発工数の短縮、削減
次に、各用途の対応状況でありますが、主力分野である自動車電装事業、及び次期事業の柱として今後注力すべきそれぞれの用途について、事業部体制の下、技術部門及び営業部門が一体となり対応を行っております。
移動体用途:
2018年は、より汎用性を高めた新製品IS-92BZC/94BZCの量産を開始し、医療ベッドのアシスト用途や電動芝刈り機向けなどに販売を拡大させました。次期は開発が完了した駆動回路、ギヤユニット等のオプションについても、モビリティ製品や電動台車向けに販売を開始予定です。またアシスト自転車、AGV、サービスロボット等の幅広い用途に向けて引き続きラインナップを拡充してまいります。
パワーウィンドウ用途:
2018年には日系自動車メーカー向けに更なる小型・軽量化を実現する次世代標準開発モデルの量産を開始し、更なる拡販活動、技術対応を実施しております。また、新規開発モデルにおいて、欧州自動車メーカーの新規受注を獲得しました。
パワーシート用途:
差別化した小型高トルク製品の投入により、大手のお客様からの採用が拡大し、売上、市場シェアが急速に伸びております。更なるシェアアップに向けて製品の強化及び拡販活動を実施しております。当期はランバーサポート用モーター派生仕様の量産準備を整えました。また、リクライナー用の新規ギヤードモーターの開発継続に加え、シートの各ファンクションに相応したモーターの開発に着手しております。
エンジン周辺機器用途:
エンジンを精密に制御することによって省エネルギー化に貢献可能な用途ですが、他用途とは異なる水準の高温及び振動への対応が求められます。当期は、既に量産中のRS-4F5、RS-4G5に加え、オプション仕様を追加して拡販活動を継続しております。
その他小型電装用途:
低燃費や利便性を訴求した新規用途の引合いに対応したモーター開発を実施しており、量産化の準備を進めております。
当連結会計年度における研究開発費は49億3千9百万円、当社所有の産業財産権の総数は876件(国内191件、海外685件)、新規出願件数は国内外合計で81件となっております。当社のグローバル活動に貢献すべく、知的財産権での多面的な自社製品保護を行い、製品競争力の向上を図っております。また、技術者の知財意識の向上と積極的な発明提案を促すべく、知財教育の見直しを行っております。
なお、当連結会計年度における代表的な新製品は次のとおりであります。
(1)ブラシレスモーター IS-92BZC/IS-94BZC
主に移動体、AGV用途向けとして、従来機種に対して防水機能(IPX4保証)を持たせるなど汎用性を高め、幅広い環境での使用を可能としたブラシレスモーターとなります。
(2)ブラシレスモーター ID-659ZA
主にハンディクリーナー用途向けとして、小型軽量・高出力を実現する、高速回転の新規ブラシレスモーターとなります。また、インナローター構造により、(同用途の他社製ブラシレスモーターに比べ、)高い起動性を確保したブラシレスモーターとなります。