第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、人々の豊かな生活を支える小型モーターのリーディングカンパニーであり続けるために、新たな成長段階に向けた創造活動を続けております。

 経営理念:「国際社会への貢献とその継続的拡大」は、当社の遺伝子であり、創業当時から未来永劫受け継がれて行く当社経営の根幹をなす考え方であります。この「経営理念」の実現に至る道筋を「マブチの経営ビジョン」としてまとめ、グループ全体で共有しております。

 経営ビジョンは、「経営理念」に基づく貢献をどのように捉え、いかに具現化するかを「経営基軸」で明確にするとともに、企業活動を遂行する際の行動指針を「経営指針」として明示しております。

 

経営基軸

経営上の意思決定を行ううえでの「規範」となる考え方で、次のとおりであります。

① より良い製品をより安く供給することにより、豊かな社会と人々の快適な生活の実現に寄与する

② 広く諸外国において雇用機会の提供と技術移転を行い、それらの国の経済発展と国際的な経済格差の平準化に貢献する

③ 人を最も重要な経営資源と位置付け、仕事を通じて人を活かし、社会に役立つ人を育てる

④ 地球環境と人々の健康を犠牲にすることのない企業活動を行う

 

経営指針

 経営指針は、「小型モーターの専門メーカーとしてその社会的ニーズを的確に把握し、それに即した製品をより早く、より安く、安定的に供給する」ための当社の企業活動を方向付けるとともに、企業としてどのような行動をとるべきかを示すものであります。

 また、海外拠点経営指針は、当社と進出国との共存共栄をベースとした、海外拠点経営の基本的な考え方を明示したものであります。

 

経営指針

 ① 汎用性を重視した製品を開発し、その最適生産条件を整備する

 ② 価値分析に徹した製品の開発改良と部品・材料共通化を徹底する

 ③ 高度加工技術とムダの極小化によるコストダウンを追求する

 ④ 新市場を開拓し、適正占有率を確保する

 ⑤ 適材適所による人材の活用と業務を通じた人材育成を行う

 ⑥ 環境負荷の極小化と安全の追求を基本とした企業活動を推進する

 ⑦ 長期安定的視点に立つ経営施策を推進する

 

海外拠点経営指針

 ① 長期的な視点に立ち、進出国との共存共栄を図る

 ② 各拠点の強みを活かした国際分業体制を確立し、国際競争力を維持・拡大する

 ③ 社会への貢献を重視するマブチの企業文化の浸透と知識・技術の移転を推進する

 

(2)会社の経営環境及び対処すべき課題

 次期の見通しにつきましては、世界経済は、地政学的な緊張や経済環境の懸念に加えて、新型コロナウイルスによる公衆衛生上の懸念を背景に不透明感が増しており、成長率は鈍化するものと見込まれます。先進国においては、米国経済は、内需主導の成長により引き続き堅調に推移すると見込まれるものの、通商政策の動向に懸念があり成長ペースの鈍化が見込まれます。欧州経済は、英国のEU離脱後の交渉に対する懸念及びドイツ経済の減速が予測されることから、低成長が見込まれます。我が国経済については、消費増税に伴う景気対策に支えられ、引き続き緩やかな成長が見込まれます。新興国経済全体としては緩やかな成長が予測されるものの、中国経済は不透明感が増しており、成長率が更に鈍化するものと見込まれます

 当社グループの関連市場におきましては、引き続き自動車電装機器市場は、北米及び欧州市場が微減となることに加えて、中国市場の減速が予測されることから、前年比で減少が見込まれます。民生・業務機器市場についても同様に、中国市場の減速が予測されることから、伸び率の鈍化が見込まれます

 このような経営環境下、当社グループは、次に述べます課題に取り組んでまいります。

 

 

① パワーウインドウ用モーター事業の成長加速

パワーウインドウ用モーター事業は、中国市場において、変化の激しい環境に素早く対応すべく、統括会社(管理性公司)である「マブチモーターチャイナ」を設立し、環境変化に対する早期のキャッチアップ、マーケティング機能の拡充及び販売体制の強化に取り組んでまいりました。具体的には、これまで中国市場において高いシェアを実現してきたパワーウインドウ用モーターを、新たな標準モーターへと切り替えを加速することでお客様のより高いレベルのご要望にお応えいたしました。新たに大型案件も獲得しており、更なるシェア拡大に向けて取り組んでまいります。欧州においても中国同様、競争環境が大きく変化しておりますが、欧州販売拠点のR&D機能の強化により、特に技術的な対応をより迅速に行うことが可能となりました。この取り組みによって、競合から当社への切り替えの引合いをいただくなどの成果が得られております。また、2018年に受注した欧州高級自動車メーカーからの受注も、順調に対応車種を拡大しております。米国においては、3社目となる北米自動車メーカーからの受注獲得を目指し、米州拠点と一体になって販売体制の強化、新製品の開発を継続して進めてまいります

 

② 中・小型電装用モーターの拡販・新用途拡大

パワーシート及びパーキングブレーキ用をはじめとする中型電装用モーターは、自動車の安全性・快適性・経済性の追求を背景として、今後も継続的な市場の拡大が期待できる分野であり、様々な新用途が生まれています。引き続きこれらの新用途に対応する新製品開発を進めてまいります。競争力の高い用途別標準モーターにて新たなお客様への拡販に取り組み、売上の拡大を図ってまいります。小型電装用モーターにつきましては、当社が圧倒的な強みを持つ既存用途での優位性を維持・向上しつつ、新用途向けをはじめとする新たな引合いにおいて、当社の強み・市場性・収益性等を判断し、競争力のある新製品を積極的に開発、拡販してまいります

③ 民生・業務機器用分野における新用途開拓

民生・業務機器用分野につきましては、従来の「小型」かつ「ブラシ付」のモーターを主軸とした事業活動に加えて、新用途を開拓し新たな需要を創造するために、「ブラシレスモーター」の開発と拡販にも力を入れております。移動体用ブラシレスモーターにつきましては、新たな採用及び既に採用いただいているお客様向けの出荷が順調に進んでおります。移動体用ブラシレスモーターは、お客様から引き続き多数の引合いをいただいておりますが、用途を移動体に限定せず多用途への展開も図り、より多くの受注獲得に向けて拡販活動を強化してまいります。また、理美容関連機器用途においては、お客様のハイエンド市場向け新製品の投入に合わせて開発したモーターの販売を引き続き強化してまいります。民生・業務機器用分野は、開発から販売開始までの期間が短く、お客様の製品開発に同期したモーターの開発が求められます。当社がこれまでに培ってきた技術を更に向上させることでお客様のご要望にお応えしてまいります

 

④ 省人化及び次世代ものづくり革新の推進

3年間で30%超の省人化を目指した第1期(2011年から2013年)及び第2期(2014年から2016年)の省人化計画は、それぞれ計画通り30%超の省人化を達成し、生産工程の改革が大きく前進いたしました。これに続く第3期省人化計画となる2017年から2019年までの3年間についても、2016年比で30%の省人化を実現するという高い目標を引き続き掲げて取り組み、省人化目標を達成いたしました。この活動は、省人化だけでなく設備開発機能の大きな強化につながりました。省人化とともに革新的マザーライン開発等の活動を通じて蓄積した、自動化・高効率化のノウハウをベースに、今後も品質と生産性を高いレベルで両立する「次世代ものづくり革新」に更に磨きをかけてまいります。具体的には、「ものづくりコストの最小化」と「ものづくり技術の国際分業体制確立」という、2本の柱をメインとした活動を推進し、人材の育成や仕組みづくりとともに、これらを着実に実行してまいります

 

⑤ グローバル拠点戦略の推進

ものづくりを取り巻く環境の変化や、お客様の工場に近接した立地でのモーター生産ニーズの高まり等を受け、2014年8月にメキシコ合衆国に米州地域において当社初となる生産拠点「メキシコマブチ」を設立、また、2017年1月にはポーランド共和国に、欧州地域における当社初の生産拠点「ポーランドマブチ」を設立いたしました。これらの生産拠点の設立をはじめ、グローバル拠点戦略の整備に取り組んできたことが、近年の変化の激しい外部環境への対応力向上に貢献しております。中国では、統括会社の設立により現地に即応した対応を強化しております。また、米州においてはメキシコマブチの生産ラインの増設、生産性の向上等を推進しております。特に各国の通商政策の影響については、アメリカマブチ・メキシコマブチとの連携により、安定的な供給を実現いたしました。欧州では、ポーランドマブチの量産開始と生産性の向上に取り組み、地産地消に基づきお客様のニーズにより高いレベルでお応えしてまいります

 

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の判断上重要と思われる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点からこれを記載しております。当社グループは、これらのリスクを認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の損害の低減に努めてまいります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)経済状況の変化

 顧客の製品に搭載される当社製品の需要は、当社グループが販売している多様な市場における経済状況の影響を受けます。したがって、日本、北米、欧州、アジアを含む当社グループの主要市場における景気後退及びそれに伴う需要の縮小等は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)為替レートの変動

 海外子会社の財務諸表上の現地通貨建ての項目は、連結財務諸表を作成するために円換算されております。したがって、換算時の為替レートにより円換算後の計上額が影響を受けることになります。特に米ドルに対する円高は当社グループの連結業績に悪影響を及ぼし、円安は好影響をもたらします。
 当社グループが生産を行う地域の通貨価値の上昇は、それらの地域における現地通貨建ての製造と調達のコストを押し上げます。コストの増加は当社グループの利益率と価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼします。

 

(3)新製品・新技術の開発

 新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、様々なリスクが含まれます。
 当社グループが市場ニーズの変化を十分に予想できず、魅力ある新製品をタイムリーに開発できない場合、又は当社製品が陳腐化するような技術革新等が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)価格競争

 当社グループは、電気・電子機器、機械等製造業界に属する多様な分野の企業を顧客としておりますが、これら業界における価格競争は大変厳しいものになっております。このような環境下で、価格はすべての分野において大きな競争要因になっており、中国競合メーカーの台頭等もあって、競争はさらに激化しております。
 販売価格の下落が長期にわたって続きコストダウン活動がこれに追いつかない場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)国際的経済取引及び海外進出に潜在するリスク

 当社グループの事業活動の大部分は欧州、北米、アジア各国等で行われております。
 これら海外における事業活動においては、政治・経済環境の変動、インフラストラクチャーの未整備、法律や税務その他の諸制度の変動、社会的混乱等のリスクが内在しております。
 例えば、当社グループは、生産活動の多くを中国及びベトナムにおいて行っております。同国における政治又は法環境の変化、経済状況の変化、雇用環境その他の社会環境変化等、予期せぬ事象の発生が生産・販売活動に大きな問題を生じさせ、これが業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)製品の品質

 当社グループのすべての製品について大きな品質問題が発生しないという保証はありません。品質問題が発生した場合、その賠償額は、当社グループ製品を搭載した最終製品の品質に与える影響に左右されます。万一、大規模な製品クレーム又はリコールや製造物責任賠償に繋がるような製品の欠陥が発生した場合は、多額のコストの発生や信用の失墜による売上の低下を招き、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)知的財産保護

 知的財産の獲得は、当社グループの成長を大きく左右するものと認識しております。しかしながら特定の地域では、固有の事由によって当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があります。その場合、当社グループの知的財産を第三者が無断使用し、類似製品を製造することによって損害を受けることや、その他の技術やノウハウ等が流出し他社で利用されることにより競争優位性を損なう可能性がある一方、当社グループが他社の知的財産を侵害したと主張される可能性もあります。
 知的財産権における保護の失敗や侵害、その他の知的財産の流出は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)人材獲得と育成

 当社グループは、激しい企業競争を勝ち抜くため、関連分野における能力の高い従業員、殊に高度な科学・技術に通じたエンジニアや、ビジネス戦略、組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保、育成が不可欠であり、世代の交代を超えて常に充実・向上させることが必要であると認識しております。一方で、これら人材の積極的採用と継続的な育成には、コストを必要とします。

 優秀な人材の獲得や人材育成が長期的視点において計画どおりに進まなかった場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)原材料等の調達

 当社グループが外部から調達している原材料等の種類によっては、限られた供給元に依存するものがあります。
 こうした供給元における事故その他の事由による原材料等の供給中断、需要の急増による供給不足等が発生する可能性があります。これらが長期にわたり代替品の入手が困難な場合、当社グループの生産活動に大きな影響を及ぼし、顧客への製品の納入や品質の確保に支障をきたす可能性があります。また、これらの価格が急騰し、製造コストの上昇を招くことも考えられます。
 このような事態が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)自然災害や事故

 当社グループは国際分業体制を確立し、世界各国で事業活動を行っており、各拠点において工場や事務所等の施設・設備を保有しております。当社グループは、これら拠点における災害や事故発生等のリスクの顕在化防止又は保険の付保を含む損害低減策を講じておりますが、本社及び各拠点における災害、事故等による事業活動中断の影響を完全に防止し、又は計画どおりに低減できる保証はありません。このような不測の事態が生じた場合は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)環境対応について

 当社グループは、環境関連諸法令を遵守するとともに有害物資の漏洩防止及び適法適切な廃棄処理を徹底し環境被害の発生防止に努めておりますが、将来CSRに対する意識の高まりなどにより環境に対する規制が厳しくなり、さらなる環境対応が必要になった場合には当社グループの事業、業績および財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

当期における世界経済は、貿易や経済環境への懸念等を背景に、景気の減速傾向が一段と強まりました。米国経済は、雇用環境の継続的な改善を背景に個人消費が拡大し、底堅い成長を持続しました。欧州経済は、輸出に下げ止まりの兆しが見えた一方で、ドイツ製造業の停滞等により成長ペースは鈍いものとなりました。我が国経済は、雇用環境の改善に伴う個人消費の拡大及び設備投資の増加により緩やかに拡大しました。新興国経済は、中国経済の成長ペースに減速が見られ、全体としても成長が鈍化しました。

当社グループの関連市場におきましては、自動車電装機器市場は、北米が堅調に推移したものの欧州及び中国市場を中心に減少が見られました。民生・業務機器市場は、一部の用途で市場縮小が継続しました

このような景況下、当社グループは、「パワーウインドウ用モーター事業の成長加速」、「中・小型電装用モーターの拡販・新用途拡大」、「民生・業務機器用分野における新用途開拓」、「省人化及び“次世代ものづくり革新”の推進」、「グローバル拠点戦略の推進」を課題に掲げ、取り組んでまいりました。具体的には、「北米大手自動車メーカー3社目となるお客様からの認証取得に向けた活動が大きく前進」、「小型電装用途における高いシェアとブラシレスモーターの経験を活かし、お客様の製品開発の初期段階から参画することで高い受注率を実現」、「移動体用等の成長市場と既存市場の双方で大型受注を獲得」、「第3期省人化計画(2017〜2019年)の計画どおりの達成」、「グローバルレベルでの地産地消を推進、貿易や経済環境の変化に対応」など、売上とシェアの拡大、新市場の開拓及び高品質・高効率化の更なる進展に向けた諸施策を積極的に導入・実現し、将来の事業成長につながる成果を上げることができました

しかしながら、世界経済の減速傾向等を背景に、当期連結売上高は1,318億7百万円(前期比7.9%減)となりました。その大半を占めるモーター売上高は1,317億9千9百万円(前期比7.9%減)であります

営業利益につきましては、売価・プロダクトミックスの改善や銅・鋼材など市況品の価格変化といった増益要因の一方、円高、販売数量の減少並びにコストアップといった減益要因もあり、175億4千4百万円(前期比17.4%減)となりました

経常利益は、為替差益が減少したことなどにより208億5千4百万円(前期比15.9%減)、税金等調整前当期純利益は、前期に計上していた当社100%子会社であります萬寶至實業有限公司(香港マブチ)における不動産の売却に伴う固定資産売却益という一時的要因がなくなったことなどにより201億7千9百万円(前期比31.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は142億3千4百万円(前期比37.9%減)となりました。

なお、当連結会計年度の円の平均為替レートは、1US$に対し109.05円であり、前連結会計年度に比べ1.38円の円高となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前期末から26億9千7百万円減少し、1,108億6千3百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは258億3千万円の収入となり、前期に対し48億5千万円の収入増加となりました。税金等調整前当期純利益が91億4千3百万円減少したものの、固定資産処分益が53億7千7百万円減少したこと、たな卸資産の増減により前連結会計年度は47億1千万円の支出でしたが、当連結会計年度は10億3千3百万円の収入となったこと、法人税等の支払額が21億7千8百万円減少したことなどによるものです

投資活動によるキャッシュ・フローは152億4千6百万円の支出となり、前期に対し25億1千万円の支出増加となりました。固定資産の売却による収入が59億5千1百万円減少したことなどによるものです

財務活動によるキャッシュ・フローは121億3千2百万円の支出となり、前期に対し10億6千2百万円支出が増加しました。主に、配当金の支払い額が16億6千万円増加したことなどによるものです

③ 生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績

小型モーターの生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。    (千個未満の端数切捨て)

 

前連結会計年度

(自 2018年1月1日

  至 2018年12月31日)

当連結会計年度

(自 2019年1月1日

  至 2019年12月31日)

比較増減

(△は減)

 

数  量

構成比率

数  量

構成比率

数  量

 

 アジア

千個

1,559,538

99.8

千個

1,363,054

99.4

千個

△196,484

 アメリカ

3,411

0.2

8,385

0.6

4,973

合  計

1,562,950

100.0

1,371,439

100.0

△191,511

(注)当社グループの生産・販売品目は小型モーター単品であり、価格差も僅少であることから、数量表示のみで記載しております。

 

 b.受注状況

当社グループは、主として需要予測に基づく見込生産方式をとっておりますので記載を省略しております。

 

 c.販売実績

小型モーターの販売実績を用途市場別に示すと、次のとおりであります。    (百万円未満の端数切捨て)

 

前連結会計年度

 (自 2018年1月1日

   至 2018年12月31日)

当連結会計年度

 (自 2019年1月1日

   至 2019年12月31日)

比較増減

(△は減)

 

金  額

構成比率

金  額

構成比率

金  額

 

 自動車電装機器

百万円

104,196

72.8

百万円

97,959

74.3

百万円

△6,237

 民生・業務機器

38,860

27.2

33,840

25.7

△5,020

合  計

143,057

100.0

131,799

100.0

△11,258

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

   2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

 (自 2018年1月1日

   至 2018年12月31日)

当連結会計年度

 (自 2019年1月1日

   至 2019年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

A社

14,392

10.1

(注)1.A社との間で守秘義務を負っているため、社名の公表は控えさせて頂きます。

2.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績につきましては、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める顧客
が無いため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

 連結財務諸表を作成するにあたり重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債及び収益、費用の報告金額に影響を与える仮定、見積り及び判断を必要としております。特に大きな影響を及ぼすものとして、貸倒引当金や退職給付に係る会計処理については、過去の実績や当該事象の状況に照らして合理的と考えられる見積り及び判断を行い、また、固定資産の減損及び繰延税金資産の計上については、将来の回収可能性などを考慮しております。

 しかしながら、これらの仮定、見積り及び判断については不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に対して11億9千4百万円増加し、2,682億4千4百万円となりました。変動の大きかった主なものは、新生産拠点設立をはじめとした設備投資に伴う有形固定資産の増加64億7千8百万円、投資有価証券の増加17億7千2百万円、現金及び預金の減少26億9千7百万円、受取手形及び売掛金の減少19億9千6百万円、たな卸資産の減少18億2千8百万円などであります

負債合計は、前連結会計年度末に対して4億7千6百万円増加し、230億7千1百万円となりました。変動の大きかった主なものは、繰延税金負債の増加13億2千2百万円、その他流動負債の減少11億2百万円などであります

 純資産合計は、前連結会計年度末に対して7億1千8百万円増加し、2,451億7千2百万円となりました。利益剰余金が43億8千万円増加、その他有価証券評価差額金が14億3千6百万円増加、為替換算調整勘定が27億3百万円減少、純資産の控除項目である自己株式が26億1千4百万円増加しました。

 自己資本比率は、前連結会計年度末の91.5%から、当連結会計年度末は91.4%となっております。

 

2)経営成績

(売上高)

 当期の連結売上高は1,318億7百万円(前期比7.9%減)となり、その大半を占めるモーター売上高は1,317億9千9百万円(前期比7.9%減)となりました。

① 自動車電装機器市場

 売上高は、979億5千9百万円(前期比6.0%減)と減少しました。重点強化事業である中型電装用途では、パワーウインドウ用は、北米大手自動車メーカー向けに高トルク標準品は増加したものの、中国市場における自動車生産台数低迷の影響により減少しました。パワーシート用は、プロダクトミックスの変化、搭載車種の生産終了及び市場低迷により減少しました。パーキングブレーキ用は、搭載車種の拡大及び装備率の上昇により増加しました。ドアロック、ミラー及びエアコンダンパー用等の小型電装用途は、シェアを維持したものの、世界的な市場の減速により低調に推移しました

② 民生・業務機器市場

 売上高は、338億4千万円(前期比12.9%減)と減少しました。理美容関連機器用は、歯ブラシ用の中高級セグメントが堅調に推移したものの、一部用途で採算性重視の方針による受注絞り込みの影響により減少、インクジェットプリンター及びカーCDプレーヤー用においては市場縮小が継続しました

 

(営業利益)

 営業利益は、売価・プロダクトミックスの改善や銅・鋼材などの市況品の価格変化といった増益要因の一方、円高、販売数量の減少並びにコストアップといった減益要因により、36億9千8百万円の減益となりました。

 

(営業外収支)

 営業外収支は、前連結会計年度の35億6千1百万円の収益(純額)から、当連結会計年度は33億9百万円の収益(純額)となりました。主に、為替差益が4億8千3百万円減少したことなどによるものであります

 

(特別損益)

 特別損益は、前連結会計年度の45億1千8百万円の利益(純額)から、当連結会計年度は6億7千4百万円の損失(純額)となりました。主に、前期に計上していた当社100%子会社であります萬寶至實業有限公司(香港マブチ)における不動産の売却に伴う固定資産売却益という一時的要因がなくなったことなどによるものであります

 

(法人税等及び法人税等調整額)

 法人税等及び法人税等調整額の税金等調整前当期純利益に対する比率(税効果会計適用後の法人税率等の負担率)は、前連結会計年度の21.8%に対し、当連結会計年度は29.5%となりました。前期は、萬寶至實業有限公司(香港マブチ)において発生した固定資産売却益について、その利益の大部分が現地税制上非課税となったことから比率が低下していましたが、当期はこのような特殊要因が無く、比率が上昇しました

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は142億3千4百万円(前期比37.9%減)と前期比で86億9千万円の減少となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の341.19円に対し214.00円となりました

 

3)キャッシュ・フローの状況

 「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載しております。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料及び部品の購入費、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要につきましては、当社グループ製品製造のための生産設備購入や工場建設費用等があります。

 なお、当社グループの運転資金及び設備投資資金は自己資金から賄っており、外部調達はありません。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、2019年度から2021年度の3ヶ年を計画年度とする中期経営計画において、以下の経営数値目標を掲げております。

指標

2021年度 目標

売上高

1,600億円程度

売上高営業利益率

15.0%程度

自己資本利益率(ROE)

8.0%程度

 なお、経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 セグメント別の売上高は、「日本」セグメントは140億9千1百万円(前期比8.1%増)、「アジア」セグメントは644億2千7百万円(前期比14.8%減)、「アメリカ」セグメントは230億1千3百万円(前期比12.2%増)、「ヨーロッパ」セグメントは302億7千4百万円(前期比11.0%減)であります。

 セグメント別の利益又は損失は、「日本」セグメントは63億7千万円の利益(前期比9.8%減)、「アジア」セグメントは100億5千8百万円の利益(前期比25.7%減)、「アメリカ」セグメントは2億6千6百万円の損失(前期は10億8千5百万円の損失)、「ヨーロッパ」セグメントは8億2千8百万円の利益(前期比37.5%減)、セグメント間取引消去による調整額は5億5千3百万円(前期比34.8%増)であります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、当社及び万宝至馬達(東莞)有限公司(「アジア」セグメント)で行っており、その内容は次のとおりであります。

 当社の研究開発活動に関する組織体制としては、2019年3月末に、開発本部を発展的に解消し、第一、第二、第三の各製品開発部を民生事業部・電装第一事業部・電装第二事業部内に分散配置しました。これは、変化の激しい昨今の事業環境下における当社の競争優位性を更に拡大することを目的としております。迅速な意思決定や市場変化へのスピード感のある対応、用途市場別の新機種開発対応力の向上、顧客サポートやCS活動のグローバル化対応などを実現するため、営業部門と一体化し、事業部活動の強化発展を推進しています。

 製造本部は、第一生産技術部、第二生産技術部、MPS推進室に分かれており、第一生産技術部では、量産設備の設計から製作の支援、金型の設計を実施し、第二生産技術部は工程設計や工法、生産技術の研究が実施されております。

また技術統括直下の組織として技術研究所と技術管理部が配置されています。技術研究所では主に要素技術開発や戦略用途を中心とした新製品開発等の高付加価値業務を担っており、技術管理部は量産製品図面管理や知的財産権の管理等を実施しております。

 一連の技術連携強化をベースにして、部門を超えた協働の促進による業務の効率化、高付加価値化の実現を目的として、事業部の再編と機能部門の事業部への組み込みを柱とした組織変更を実施しております。

 一方、万宝至馬達(東莞)有限公司に設置しているR&Dセンターにおいては、各種試験依頼の処理をはじめ、部材評価、図面作図業務、改良設計業務を中心に担当しております。更に、中国地場マーケットへの迅速な製品投入を目的とした既存製品の改良業務及び当社が委託した新製品の開発業務支援も実施しております。

 また、当社モーターの新規分野への参入及び適用用途への対応力強化並びに地産地消の考え方から、競争力のあるものづくりの実現を目指して、次の事項の検討と施策展開を急務と捉え実行しております。

(1)移動体向けブラシレスモーター及びギヤユニット等の開発と駆動回路の技術強化

(2)従来の省人化に加え、更なる省人化ラインの検討とモノづくり競争力の強化

(3)開発リードタイムの短縮及び開発工数の短縮、削減

 次に、各用途の対応状況でありますが、主力分野である自動車電装用途、及び次期注力すべきそれぞれの用途について、事業部体制の下、技術部門及び営業部門が一体となり対応を行っております。

 

移動体用途(AGV、ロボット等)

 2019年はブラシレスモーターの駆動回路、ギヤ及び駆動ユニットのオプション販売を開始し、AGVやパーソナルモビリティ等への販売、拡販活動を拡大させております。次期はサービスロボット用途向けの製品開発を加速させ、人の作業を手助けする幅広い用途に向けて引き続きラインナップを拡充してまいります。

パワーウィンドウ用途:

 2019年には中国自動車メーカー向けに小型・軽量化を実現する中国拡販モデルの量産準備が完了し、更なる拡販活動、技術対応を実施しております。また、開発中の中国拡販用ラインナップモデルにおいて、中国自動車メーカーの受注を獲得しました

パワーシート用途:

 差別化した小型高トルク製品の投入により、大手のお客様からの採用が拡大し、売上、市場シェアが伸びております。更なるシェアアップに向けて製品の強化及び拡販活動を実施しております。当期はランバーサポート用モーター派生仕様の量産準備を整えました。また、リクライナー用の新規ギヤードモーターの開発継続に加え、シートの各ファンクションに相応したモーターの開発に着手しております

エンジン周辺機器用途:

 エンジンを精密に制御することによって省エネルギー化に貢献可能な用途ですが、他用途とは異なる水準の高温及び振動への対応が求められます。既に量産中のRS-4F5、RS-4G5に加え、オプション仕様を追加して拡販活動を継続しております

その他小型電装用途:

 低燃費や利便性を訴求した新規用途の引合いに対応したモーター開発を実施しており、量産化の準備を進めております

 

 当連結会計年度における研究開発費は4,958百万円、当社所有の産業財産権の総数は812件(国内171件、海外641件)、新規出願件数は国内外合計で31件(国内外、特許・実案・意匠、商標)となっております。

 当社製品の拡販・新用途拡大に向け、俯瞰的且つ積極的に知的財産権の獲得・保護を行うことにより、競争優位性の確保を図っております。また、知的財産権の確保だけでなく、権利の流出・侵害といったリスクに対しても、当社グループ従業員に対し、教育などの意識向上施策を広く実施しております。

 

 なお、当連結会計年度における代表的な新製品は次のとおりであります。

 ブラシレスモーター駆動回路:DS-34EC1、ギヤユニット付モーター:MS-94BZ#

 主に移動体、AGVなどの自律走行ロボットやパーソナルモビリティ用の駆動回路とギヤードモーターシリーズです。車輪、ブラケット及び電磁ブレーキを備えた駆動ユニットのラインナップも取り揃えました。