文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、人々の豊かな生活を支える小型モーターのリーディングカンパニーであり続けるために、新たな成長段階に向けた創造活動を続けております。
経営理念:「国際社会への貢献とその継続的拡大」は、当社の遺伝子であり、創業当時から未来永劫受け継がれて行く当社経営の根幹をなす考え方であります。この「経営理念」の実現に至る道筋を「マブチの経営ビジョン」としてまとめ、グループ全体で共有しております。
経営ビジョンは、「経営理念」に基づく貢献をどのように捉え、いかに具現化するかを「経営基軸」で明確にするとともに、企業活動を遂行する際の行動指針を「経営指針」として明示しております。
経営基軸
経営上の意思決定を行ううえでの「規範」となる考え方で、次のとおりであります。
① より良い製品をより安く供給することにより、豊かな社会と人々の快適な生活の実現に寄与する
② 広く諸外国において雇用機会の提供と技術移転を行い、それらの国の経済発展と国際的な経済格差の平準化に貢献する
③ 人を最も重要な経営資源と位置付け、仕事を通じて人を活かし、社会に役立つ人を育てる
④ 地球環境と人々の健康を犠牲にすることのない企業活動を行う
経営指針
経営指針は、「小型モーターの専門メーカーとしてその社会的ニーズを的確に把握し、それに即した製品をより早く、より安く、安定的に供給する」ための当社の企業活動を方向付けるとともに、企業としてどのような行動をとるべきかを示すものであります。
また、海外拠点経営指針は、当社と進出国との共存共栄をベースとした、海外拠点経営の基本的な考え方を明示したものであります。
経営指針
① 汎用性を重視した製品を開発し、その最適生産条件を整備する
② 価値分析に徹した製品の開発改良と部品・材料共通化を徹底する
③ 高度加工技術とムダの極小化によるコストダウンを追求する
④ 新市場を開拓し、適正占有率を確保する
⑤ 適材適所による人材の活用と業務を通じた人材育成を行う
⑥ 環境負荷の極小化と安全の追求を基本とした企業活動を推進する
⑦ 長期安定的視点に立つ経営施策を推進する
海外拠点経営指針
① 長期的な視点に立ち、進出国との共存共栄を図る
② 各拠点の強みを活かした国際分業体制を確立し、国際競争力を維持・拡大する
③ 社会への貢献を重視するマブチの企業文化の浸透と知識・技術の移転を推進する
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2021年度から2023年度の3ヶ年を計画年度とする中期経営計画において、以下の経営数値目標を掲げております。
|
指標 |
2021-2023年度 目標 |
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売上高 |
年平均成長率8%~10% |
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売上高営業利益率 |
15%以上 |
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ROIC(注) |
12%以上 |
(注)ROIC=(営業利益×(1-実効税率))÷(売掛金+棚卸資産+固定資産(投資有価証券を除く)-買掛金)
(3)会社の経営環境及び対処すべき課題
次期の見通しにつきましては、世界経済は各国の大規模な財政出動の効果により回復が見込まれますが、新型コロナウイルス感染症ワクチンの普及の遅れなどの懸念があり、先行きに不透明感があります。先進国においては、米国経済は、追加経済対策の効果による回復が見込まれ、感染拡大前の水準まで回復すると予想されます。欧州経済は、新規感染者数の再増加に伴う経済活動制限などの影響により回復ペースは緩やかなものにとどまる見通しです。我が国経済は、追加経済対策の効果による回復が見込まれます。新興国経済は、中国については回復の持続が見込まれ、その他の新興国の回復度には強弱があるものの、全体としては回復が予想されます。
当社グループの関連市場におきましては、自動車電装機器市場は、半導体等の不足による生産調整の懸念はありますが、世界の自動車生産台数の回復を背景に、堅調に推移するものと見込んでおります。民生・業務機器市場は、北米及び日本市場において回復が見込まれるものの、その他の地域市場では減少が予想され、全体として減速する見通しです。
このような経営環境下、当社グループは、次に述べます課題に取り組んでまいります。
① パワーウインドウ用モーター事業のシェア拡大
パワーウインドウ用モーターの日系自動車メーカーへの販売状況については、既に3社に当社製品を搭載いただいておりますが、2021年には新たに日系自動車メーカー2社から受注を獲得いたしました。これら4社目、5社目の日系自動車メーカーにおける受注拡大を目指してまいります。あわせて、既に採用いただいている日系自動車メーカー3社においても、当社への切り替え並びに新型車への搭載によるシェアアップを実現すべく販売活動を展開してまいります。また、北米大手自動車メーカー3社のうち2社において当社製品を採用いただいておりますが、2021年1月に残る3社目より認証を取得いたしました。北米大手自動車メーカー3社目におけるビジネスの獲得に向け取り組んでまいります。引き続き、販売拠点のアメリカマブチと生産拠点のメキシコマブチが一体となった拡販活動に取り組み、北米大手自動車メーカー3社すべてにおける搭載車種拡大を目指してまいります。欧州自動車メーカー向けにおいても、これまでの実績を足掛かりに搭載車種の拡大に向けた取り組みを引き続き強化してまいります。パワーウインドウ用モーター市場においては、競争力のある新製品開発への取組みが、今後のビジネス拡大に大きく影響することから、開発・販売活動により一層注力し、更なるシェア拡大を目指してまいります。
② 中・小型電装用モーターの拡販・新用途拡
パワーシート、パーキングブレーキ及びドアクローザー用等の中型電装用モーターについては、当社の標準化戦略に基づき多用途への展開が可能な標準モーターの開発及び受注獲得に取り組んでおり、今後も既存のお客様におけるシェアアップと新たなお客様の開拓に取り組んでまいります。昨今、自動車市場ではEV化への流れが加速しております。当社は、例えば冷却バルブ用モーターのように、EVにおいても使用される用途向けの新製品開発に注力し、市場環境の変化に柔軟に対応してまいります。ブラシ付モーターとブラシレスモーターの双方をラインナップしている当社の強みを生かし、お客様の新たな要望に迅速にお応えし、中型電装用モーターの拡販を図ってまいります。
現在、自動車業界は100年に一度の変革期を迎えており、その影響は自動車電装機器用モーター市場にも波及し、お客様の戦略も大きく変化しております。こうした流れの中で、小型電装用モーターでは従来はお客様が調達していたアクチュエーターのユニット部品について、モーターを組み込んだユニットとしての引合いが増加しております。ユニット製品への対応を本格化し、お客様のニーズにお応えすることで提供価値を高め、市場環境の変化に即した製品開発を強化してまいります。
③ 民生・業務機器用分野における新用途拡販
民生・業務機器用分野においてロボット及び移動体市場は、今後の大きな伸びが見込まれる市場であり、当社製品の採用実績も増加してきております。これらの市場向けの製品ラインナップを拡充し、新たなお客様の開拓を通じて、拡販を本格化させてまいります。また、小型電装用モーターと同様に、モーターを組み込んだユニットとしての引合いが増加しております。これらのニーズに対応することで、新たな付加価値を提供してまいります。全世界で販売が開始されたハイエンド歯ブラシ用の新製品の出荷も本格化しており、高付加価値製品の拡販を通じて民生・業務機器用モーター事業の成長軌道への回帰を目指してまいります。
④ グローバル拠点戦略の推進
メキシコマブチは、米州における強い地産地消ニーズを背景に、ビジネス拡大のけん引役として貢献してまいります。欧州においては、ポーランドマブチが2020年第4四半期に量産を開始し、販売拠点のヨーロッパマブチとの連携を推進しております。これにより欧州市場のお客様のニーズに対して、より的確なソリューションを提供し、ビジネスの拡大を図ってまいります。
⑤ 新たな働き方及び人材戦略の推進
当社では、社員を最も重要な経営資源として位置づけております。これまで進めてきた働き方改革によって、コロナ禍においても問題なく新たな働き方への移行を実現できました。早い段階から取り入れておりましたテレワークについては、前期までに顕在化した各課題への対応を進め、場所や時間に縛られない柔軟な働き方を更に推進してまいります。加えて、社員の能力を最大限に引き出すため人事制度改革への取組みを継続しており、2020年に導入したジョブディスクリプション及びジョブグレードの適用範囲の拡大や、女性活用をはじめとするダイバーシティ施策の強化、社員教育の充実に向けた取組みを強化してまいります。
⑥ サステナビリティへの取り組み
当社の経営理念「国際社会への貢献とその持続的拡大」にあるように、当社は製品や企業活動を通じて社会に貢献することを重視しております。昨今、SDGsをはじめ、社会的課題の解決と持続可能な成長に向けた企業活動が強く求められており、社会の公器として、その責務を果たすことの重要性が高まっていると認識しております。当社は、事業を通じた社会貢献への取り組みを更に加速するため、2020年7月に代表取締役社長CEOを委員長とするサステナビリティ推進委員会を設立しており、議論のテーマに応じて関係部門の責任者を招集し、サステナビリティ課題を全社横断的に検討・議論していく体制を整えております。また、サステナビリティ方針を明確化した上で、当社の強みを活かしたサステナビリティ目標を設定しております。目標達成には多大な努力が必要な課題ではありますが、グループ一丸となって取り組み、目標の達成を図ってまいります。
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の判断上重要と思われる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点からこれを記載しております。当社グループは、これらのリスクを認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の損害の低減に努めてまいります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経済状況の変化
顧客の製品に搭載される当社製品の需要は、当社グループが販売している多様な市場における経済状況の影響を受けます。したがって、日本、北米、欧州、アジアを含む当社グループの主要市場における景気後退及びそれに伴う需要の縮小等は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、市場環境や受注状況を取締役会等の重要会議において定期的にレビューするなど、常に最新の市場動向を予測した上で、設備投資や人員・在庫等の適正化を図り、市場への対応力を高めています。
(2)為替レートの変動
海外子会社の財務諸表上の現地通貨建ての項目は、連結財務諸表を作成するために円換算されております。したがって、換算時の為替レートにより円換算後の計上額が影響を受けることになります。特に米ドルに対する円高は当社グループの連結業績に悪影響を及ぼし、円安は好影響をもたらします。
当社グループが生産を行う地域の通貨価値の上昇は、それらの地域における現地通貨建ての製造と調達のコストを押し上げます。コストの増加は当社グループの利益率と価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼします。
当社グループは、為替リスクを測定したうえでヘッジ効果とヘッジコストを勘案し、許容可能な為替リスク量まで為替リスクを軽減するため、社内規定に従い為替予約を利用してヘッジをしています。
(3)新製品・新技術の開発
新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、様々なリスクが含まれます。
当社グループが市場ニーズの変化を十分に予想できず、魅力ある新製品をタイムリーに開発できない場合、又は当社製品が陳腐化するような技術革新等が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、変化の激しい昨今の事業環境下における当社の競争優位性を更に拡大することを目的として研究開発活動に関する組織体制を構築しております。また迅速な意思決定や市場ニーズの変化へのスピード感のある対応、用途市場別の新機種開発対応力の向上、顧客サポートやCS活動のグローバル化対応などを実現するため、営業部門と一体化し、事業部活動の強化発展を推進しています。
(4)価格競争
当社グループは、電気・電子機器、機械等製造業界に属する多様な分野の企業を顧客としておりますが、これら業界における価格競争は大変厳しいものになっております。このような環境下で、価格はすべての分野において大きな競争要因になっており、中国地場メーカーの台頭等もあって、競争はさらに激化しております。
販売価格の下落が長期にわたって続きコストダウン活動がこれに追いつかない場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、標準化、省人化をはじめとする知恵と技術を結集し、製品設計・開発段階からのコスト管理、生産技術の改善、部品調達のグローバル化による体系的なコストダウン、ならびに付加価値の高い製品の継続的な投入による平均単価の維持向上に取り組んでいます。
(5)国際的経済取引及び海外進出に潜在するリスク
当社グループの事業活動の大部分は欧州、北米、アジア各国等で行われております。
これら海外における事業活動においては、政治・経済環境の変動、インフラストラクチャーの未整備、法律や税務その他の諸制度の変動、社会的混乱等のリスクが内在しております。
例えば、当社グループは、生産活動の多くを中国及びベトナムにおいて行っております。同国における政治又は法環境の変化、経済状況の変化、雇用環境その他の社会環境変化等、予期せぬ事象の発生が生産・販売活動に大きな問題を生じさせ、これが業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業展開する国等の経済・政治・社会的状況に加えて、事業に関連する各国の環境関連規制、製品の安全性・品質関連規制、輸出入関連規制の情報をタイムリーに収集・対応するため、世界5極体制の構築も含めた適時適切な対応を検討・実施しています。
(6)製品の品質
当社グループのすべての製品について大きな品質問題が発生しないという保証はありません。品質問題が発生した場合、その賠償額は、当社グループ製品を搭載した最終製品の品質に与える影響に左右されます。万一、大規模な製品クレーム又はリコールや製造物責任賠償に繋がるような製品の欠陥が発生した場合は、多額のコストの発生や信用の失墜による売上の低下を招き、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、すべての生産拠点で安定した品質を生みだすために、事業拠点ごとに国際規格ISO9001を認証取得し、マネジメントシステムの継続的な改善と向上に努めるとともに、本社が定めた品質システムを遵守し、高品質な製品の供給に努めています。また、不具合発生時においても根本原因を究明したのち再発防止・未然防止策の実施・徹底をすすめております。
(7)知的財産保護
知的財産の獲得は、当社グループの成長を大きく左右するものと認識しております。しかしながら特定の地域では、固有の事由によって当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があります。その場合、当社グループの知的財産を第三者が無断使用し、類似製品を製造することによって損害を受けることや、その他の技術やノウハウ等が流出し他社で利用されることにより競争優位性を損なう可能性がある一方、当社グループが他社の知的財産を侵害したと主張される可能性もあります。
知的財産権における保護の失敗や侵害、その他の知的財産の流出は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、製品の拡販・新用途拡大に向け、俯瞰的且つ積極的に知的財産権の獲得・保護を行うことにより、競争優位性の確保を図っております。また、知的財産権の確保だけでなく、権利の流出・侵害といったリスクに対しても、当社グループ従業員に対し、教育などの意識向上施策を広く実施しております。
(8)人材獲得と育成
当社グループは、激しい企業競争を勝ち抜くため、関連分野における能力の高い従業員、殊に高度な科学・技術に通じたエンジニアや、ビジネス戦略、組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保、育成が不可欠であり、世代の交代を超えて常に充実・向上させることが必要であると認識しております。一方で、これら人材の積極的採用と継続的な育成には、コストを必要とします。
優秀な人材の獲得や人材育成が長期的視点において計画どおりに進まなかった場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、計画的な新卒採用に加え、ニーズに基づいた通年採用を実施しております。また、能力開発を支援する教育制度の拡充、多様な社員の能力が十分に発揮できるよう適性を重視した配置、各部門において早期にスペシャリストを育成するための体系やワークライフバランス支援制度の整備により、社員のモチベーションを高め、社員の定着・育成に努めております。
(9)原材料等の調達
当社グループが外部から調達している原材料等の種類によっては、限られた供給元に依存するものがあり、こうした供給元における事故その他の事由による原材料等の供給中断、需要の急増による供給不足等が発生する可能性があります。これらが長期にわたり代替品の入手が困難な場合、当社グループの生産活動に大きな影響を及ぼし、顧客への製品の納入や品質の確保に支障をきたす可能性があります。また、これらの価格が急騰し、製造コストの上昇を招くことも考えられます。
このような事態が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、このようなリスクを回避するため各種の原材料や部品等を複数の事業者から調達し、安定的な供給の維持を図るとともに、CSR調達にも配慮しております。
(10)自然災害や事故
当社グループは国際分業体制を確立し、世界各国で事業活動を行っており、本社及び各拠点において工場や事務所等の施設・設備を保有しておりますが、災害、事故の発生や感染症の流行等による事業活動中断等の不測の事態が生じた場合は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業継続基本計画(BCP)を策定しており、本社及び拠点における災害や事故の発生等のリスクの顕在化防止又は保険の付保を含む損害低減策を講じております。新型ウイルス等の感染症への対応では、当社グループが事業を展開している国・地域において、現地の政府及び自治体等の指導に沿った対応を行っており、当社グループの従業員及びその家族の健康に配慮し、国内外の出張や渡航を原則禁止、在宅勤務や時差出勤の推奨、テレビ会議の活用、社内での三密の防止等に取り組むとともに、事業への影響を最小限に抑えるよう日々努めています。
(11)環境対応について
当社グループは、環境関連諸法令を遵守するとともに有害物資の漏洩防止及び適法適切な廃棄処理を徹底し環境被害の発生防止に努めておりますが、ESGまたはサステナビリティに対する意識の高まりなどにより環境に対する規制が厳しくなり、さらなる環境対応が必要になった場合には当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、本社及び海外生産拠点において、環境管理責任者及び各部門長で構成される環境管理委員会を定期的に開催し、環境情報の共有化及び環境保全活動を効率的に行っています。これに加え、本社及び海外生産拠点の環境管理責任者で構成される環境管理責任者会議を開催し、環境問題に関する情報共有の促進及び環境管理について当社グループ全体で対策を推進しております。また、サステナビリティ中期目標においても、環境負荷の軽減を重要課題として認識し、具体的な目標を設定しております。
(12)世界的な気候変動について
当社グループは、気候変動対策に関して、継続的な省エネルギー施策及び太陽光発電を含めた再生可能エネルギーの導入に取り組み、CO2排出量の抑制に努めておりますが、世界的な気候変動に伴う異常気象(暴風雨、洪水、干ばつ等)による被害や、温室効果ガス排出に対する規制(排出量取引制度等)が強化された場合には、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、2021年3月にTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に賛同の意を表明しており、今後は気候変動に関するリスクと機会を抽出し、TCFDに沿った関連情報の開示に努めてまいります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)経営成績
当期における世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の停滞等の影響により大幅なマイナス成長となりました。米国経済は、下期より個人消費の回復を背景に景気の持ち直しが見られたものの、通期では大幅なマイナスとなりました。欧州経済は、感染再拡大に伴う各国の大規模な都市封鎖等の影響により、消費が急減し大きく下振れしました。我が国経済は、個人消費の回復ペースは鈍く、期間全体では大幅なマイナスとなりました。新興国経済は、中国が先行して回復し成長を維持したものの、全体としては大幅な減速となりました。
当社グループの関連市場におきましては、自動車電装機器市場は、中国市場に回復傾向が見られましたが、その他の地域市場では大幅な減速となりました。民生・業務機器市場は、世界的な市場の減速に加えて、一部の用途における市場縮小が継続しマイナスとなりました。
このような景況下、当社グループは、「パワーウインドウ用モーター事業の成長加速」、「中・小型電装用モーターの拡販・新用途拡大」、「民生・業務機器用分野における新用途開拓」、「省人化及び次世代ものづくり革新の推進」、「グローバル拠点戦略の推進」を課題に掲げ、取り組んでまいりました。
具体的には、「パワーウインドウ用において北米大手自動車メーカー3社目となるお客様からの認証取得に向けた活動が大きく前進」、「小型電装用途において新型コロナウイルス感染者移送車両向け空気清浄機用ブラシレスモーターの引合いに超短納期対応し、拡販の足掛かりを獲得」、「新型コロナウイルス感染防止自律ロボット用ブラシレスモーターを新規受注、拡販が進展」、「メキシコマブチの連結業績への貢献及びポーランドマブチの量産開始によるグローバルレベルでの地産地消の進捗」など、売上とシェアの拡大、新市場の開拓及び高品質・高効率化の更なる進展に向けた諸施策を積極的に導入・実現し、将来の事業成長につながる成果を上げることができました。
(売上高)
当期連結売上高は1,164億3千2百万円(前期比11.7%減)となりました。その大半を占めるモーター売上高は1,164億1千1百万円(前期比11.7%減)であります。
① 自動車電装機器市場
売上高は847億1千8百万円(前期比13.5%減)と減少しました。重点強化事業であるパワ-ウインドウ、パワーシート及びパーキングブレーキ用等の中型電装、並びにドアロック、ミラー及びエアコンダンパー用等の小型電装につきましては、下期からの自動車メーカー各社の生産再開に伴い販売が回復したものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、通期では前期比で低調に推移しました。
② 民生・業務機器市場
売上高は316億9千2百万円(前期比6.3%減)と減少しました。理美容関連機器用は、歯ブラシ用の中高級セグメントが堅調に推移したものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響及び一部用途における採算性重視の方針による受注絞り込みにより減少しました。
(営業利益)
営業利益は、前連結会計年度の175億4千4百万円から、売価・プロダクトミックスの改善といった増益要因があった一方、販売数量の減少及びコストアップといった減益要因もあり、当連結会計年度は129億円となりました。
(営業外収支)
営業外収支は、前連結会計年度の33億9百万円の収益(純額)から、当連結会計年度は2億2千4百万円の損失(純額)となりました。前連結会計年度は為替差益が9億9千万円発生していましたが当連結会計年度は為替差損が13億7千1百万円となったこと、ならびに土壌修復関係費4億2千9百万円の発生などによるものであります。
(特別損益)
特別損益は、前連結会計年度の6億7千4百万円の損失(純額)から、当連結会計年度は12億2千5百万円の収益(純額)となりました。投資有価証券売却益23億8千2百万円が発生した一方、生産子会社閉鎖損失が4億4千9百万円、感染症関連損失が2億5千1百万円発生したことなどによるものであります。
(法人税等及び法人税等調整額)
法人税等及び法人税等調整額の税金等調整前当期純利益に対する比率(税効果会計適用後の法人税率等の負担率)は、前連結会計年度の29.5%に対し、当連結会計年度は35.3%となりました。主に、在外子会社における外貨建て資産および負債から生じる未実現の為替差損が税金計算に反映されないことなどにより、比率が上昇しました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は89億8千7百万円(前期比36.9%減)と前期比で52億4千7百万円の減少となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の214.00円に対し135.64円となりました。
(セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容)
セグメント別の売上高は、「日本」セグメントは115億2千5百万円(前期比18.2%減)、「アジア」セグメントは589億4千1百万円(前期比8.5%減)、「アメリカ」セグメントは199億5千4百万円(前期比13.3%減)、「ヨーロッパ」セグメントは260億1千1百万円(前期比14.1%減)であります。
セグメント別の利益又は損失は、「日本」セグメントは42億5百万円の利益(前期比34.0%減)、「アジア」セグメントは72億4千4百万円の利益(前期比28.0%減)、「アメリカ」セグメントは10億6千9百万円の利益(前期は2億6千6百万円の損失)、「ヨーロッパ」セグメントは2億4千8百万円の損失(前期は8億2千8百万円の利益)、セグメント間取引消去による調整額は6億3千万円(前期比13.8%増)であります。
なお、当連結会計年度の円の平均為替レートは、1US$に対し106.82円であり、前連結会計年度に比べ2.23円の円高となりました。
(生産、受注及び販売の実績)
a.生産実績
小型モーターの生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。 (千個未満の端数切捨て)
|
|
前連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
比較増減 (△は減) |
||
|
|
数 量 |
構成比率 |
数 量 |
構成比率 |
数 量 |
|
アジア |
千個 1,363,054 |
% 99.4 |
千個 1,184,596 |
% 99.2 |
千個 △178,457 |
|
アメリカ |
8,385 |
0.6 |
9,374 |
0.8 |
988 |
|
ヨーロッパ |
― |
― |
120 |
0.0 |
120 |
|
合 計 |
1,371,439 |
100.0 |
1,194,091 |
100.0 |
△177,348 |
(注)当社グループの生産・販売品目は小型モーター単品であり、価格差も僅少であることから、数量表示のみで記載しております。
b.受注状況
当社グループは、主として需要予測に基づく見込生産方式をとっておりますので記載を省略しております。
c.販売実績
小型モーターの販売実績を用途市場別に示すと、次のとおりであります。 (百万円未満の端数切捨て)
|
|
前連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
比較増減 (△は減) |
||
|
|
金 額 |
構成比率 |
金 額 |
構成比率 |
金 額 |
|
自動車電装機器 |
百万円 97,959 |
% 74.3 |
百万円 84,718 |
% 72.8 |
百万円 △13,241 |
|
民生・業務機器 |
33,840 |
25.7 |
31,692 |
27.2 |
△2,148 |
|
合 計 |
131,799 |
100.0 |
116,411 |
100.0 |
△15,389 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合につきましては、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める顧客がないため、記載を省略しております。
(2)財政状態
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に対して56億8千5百万円減少し、2,625億5千9百万円となりました。変動の大きかった主なものは、有形固定資産の減少34億9千万円、投資有価証券の減少17億2千6百万円、たな卸資産の減少13億6千万円、受取手形及び売掛金の増加28億1千6百万円などであります。
負債合計は、前連結会計年度末に対して3億8千4百万円増加し、234億5千6百万円となりました。変動の大きかった主なものは、その他流動負債の増加6億3千1百万円、支払手形及び買掛金の増加4億8千3百万円、繰延税金負債の減少5億1千2百万円などであります。
純資産合計は、前連結会計年度末に対して60億6千9百万円減少し、2,391億3百万円となりました。為替換算調整勘定が31億5千万円減少、その他有価証券評価差額金が14億7千万円減少、純資産の控除項目である自己株式が15億4千万円増加しました。
自己資本比率は、前連結会計年度末の91.4%から、当連結会計年度末は91.0%となっております。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前期末から6億7千2百万円減少し、1,101億9千万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは187億4千1百万円の収入となり、前期に対し70億8千8百万円の減少となりました。税金等調整前当期純利益が62億7千8百万円減少したことに加え、売上債権の増減により前期は15億8千6百万円の収入でしたが当期は27億1千4百万円の支出となったこと、並びに為替差損の増加31億9千4百万円、投資有価証券売却益の発生23億8千2百万円などによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは53億4百万円の支出となり、前期に対し99億4千1百万円の支出減少となりました。固定資産の取得による支出が76億5千5百万円減少、投資有価証券の売却による収入が27億5千7百万円発生したことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは109億5千2百万円の支出となり、前期に対し11億7千9百万円の支出減少となりました。自己株式の取得による支出が21億5千6百万円減少したことなどによるものです。
(4)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料及び部品の購入費、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要につきましては、当社グループ製品製造のための生産設備購入や工場建設費用等があります。
なお、当社グループの運転資金及び設備投資資金は自己資金から賄っており、外部調達はありません。
(5)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表を作成するにあたり重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債及び収益、費用の報告金額に影響を与える仮定、見積り及び判断を必要としております。特に大きな影響を及ぼすものとして、貸倒引当金や退職給付に係る会計処理については、過去の実績や当該事象の状況に照らして合理的と考えられる見積り及び判断を行い、また、固定資産の減損及び繰延税金資産の計上については、将来の回収可能性などを考慮しております。
しかしながら、これらの仮定、見積り及び判断については不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、会計上の見積もりにあたっての新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(6)経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載しております。
(7)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、当社及び万宝至馬達(東莞)有限公司(「アジア」セグメント)で行っており、その内容は次のとおりであります。
当社の研究開発活動に関する組織体制としては、2019年3月末に、開発本部を発展的に解消し、第一、第二、第三の各製品開発部を民生事業部・電装第一事業部・電装第二事業部内に分散配置しました。これは、変化の激しい昨今の事業環境下における当社の競争優位性を更に拡大することを目的としております。迅速な意思決定や市場変化へのスピード感のある対応、用途市場別の新機種開発対応力の向上、顧客サポートやCS活動のグローバル化対応などを実現するため、営業部門と一体化し、事業部活動の強化発展を推進しています。
製造本部は、2020年10月に第一生産技術部、第二生産技術部、第三生産技術部の三部体制に移行し、第一生産技術部は技術開発業務、第二生産技術部は工程設計業務、量産(新機種/既存機種)・工場横断業務、第三生産技術部は生産技術管理・情報業務を実施しております。
また技術統括直下の組織として技術研究所と技術管理部が配置されています。技術研究所では主に要素技術開発や戦略用途を中心とした新製品開発等の高付加価値業務を担っており、技術管理部は量産製品図面管理や知的財産権の管理等を実施しております。
一連の技術連携強化をベースにして、部門を超えた協働の促進による業務の効率化、高付加価値化の実現を目的として、事業部の再編と機能部門の事業部への組み込みを柱とした組織変更を実施しております。
一方、万宝至馬達(東莞)有限公司に設置しているR&Dセンターにおいては、各種試験依頼の処理をはじめ、部材評価、図面作図業務、改良設計業務を中心に担当しております。更に、中国地場マーケットへの迅速な製品投入を目的とした既存製品の改良業務及び当社が委託した新製品の開発業務支援も実施しております。
また、当社モーターの新規分野への参入及び適用用途への対応力強化並びに地産地消の考え方から、競争力のあるものづくりの実現を目指して、次の事項の検討と施策展開を急務と捉え実行しております。
(1)移動体向けブラシレスモーター及びギヤユニット等の開発と駆動回路の技術強化
(2)従来の省人化に加え、更なる省人化ラインの検討とモノづくり競争力の強化
(3)開発リードタイムの短縮及び開発工数の短縮、削減
次に、各用途の対応状況でありますが、主力分野である自動車電装用途、及び次期注力すべきそれぞれの用途について、事業部体制の下、技術部門及び営業部門が一体となり対応を行っております。
移動体用途(AGV、ロボット等)
2020年は駆動ユニット、駆動回路やギヤ等のオプション拡充によって、お客様による採用のご検討が大幅に増加しております。次期はブラシレスモーターのラインナップ及びオプションの拡充を進め、AGVやパーソナルモビリティ、サービス・協調ロボットでの更なる拡販を進めてまいります。
パワーウィンドウ用途
2020年は中国自動車メーカー向けに小型・軽量化を実現する中国拡販用として2モデルの量産を開始いたしました。今後は更に1モデルの量産開始によりラインナップを拡充し、中国国内における更なる拡販活動を充実させてまいります。また、欧州自動車メーカー向けに新機種の量産準備を開始しております。これを足掛かりに、欧州域内でも拡販・技術対応を強化してまいります。
パワーシート用途
差別化した小型高トルク製品の投入により、大手のお客様からの採用が拡大し、売上、市場シェアが伸びております。更なるシェア拡大に向けて地域市場による顧客要望の違いを考慮した製品強化及び拡販活動を継続しております。また、リクライナー用の新規ギヤードモーターの開発継続に加え、シートの各ファンクションに相応したモーターの開発に着手しております。
エンジン周辺機器用途
エンジンを精密に制御することによって省エネルギー化に貢献可能な用途ですが、他用途とは異なる水準の高温及び振動への対応が求められます。既に量産中のRS-4F5、RS-4G5に加え、オプション仕様を追加することによる製品強化及び拡販活動を継続すると共に、エンジン関連用途の各ファンクションに相応したモーターの開発に着手しております。
その他小型電装用途
低燃費や利便性を訴求した新規用途の引合いに対応したモーター開発を実施しており、当期はシフトバイワイヤ用モーターとステアリングコラムアジャスター用モーターの量産準備を整えました。
当連結会計年度における研究開発費は
当社製品の拡販・新用途拡大に向け、俯瞰的且つ積極的に知的財産権の獲得・保護を行うことにより、競争優位性の確保を図っております。また、知的財産権の確保だけでなく、権利の流出・侵害といったリスクに対しても、当社グループ従業員に対し、教育などの意識向上施策を広く実施しております。
なお、当連結会計年度における代表的な新製品は次のとおりであります。
自動車電装用モーター:SF-266XA
近年の自動車電装機器分野に求められる、静音化や小型・軽量化などの特徴を備えつつ当社従来製品の体積・重量を維持しながらトルクを2倍にしたのものです。