第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、人々の豊かな生活を支える小型モーターのリーディングカンパニーであり続けるために、新たな成長段階に向けた創造活動を続けております。

 経営理念:「国際社会への貢献とその継続的拡大」は、当社の遺伝子であり、創業当時から未来永劫受け継がれて行く当社経営の根幹をなす考え方であります。この「経営理念」の実現に至る道筋を「マブチの経営ビジョン」としてまとめ、グループ全体で共有しております。

 経営ビジョンは、「経営理念」に基づく貢献をどのように捉え、いかに具現化するかを「経営基軸」で明確にするとともに、企業活動を遂行する際の行動指針を「経営指針」として明示しております。

 

経営基軸

経営上の意思決定を行ううえでの「規範」となる考え方で、次のとおりであります。

① より良い製品をより安く供給することにより、豊かな社会と人々の快適な生活の実現に寄与する

② 広く諸外国において雇用機会の提供と技術移転を行い、それらの国の経済発展と国際的な経済格差の平準化に貢献する

③ 人を最も重要な経営資源と位置付け、仕事を通じて人を活かし、社会に役立つ人を育てる

④ 地球環境と人々の健康を犠牲にすることのない企業活動を行う

 

経営指針

 経営指針は、「小型モーターの専門メーカーとしてその社会的ニーズを的確に把握し、それに即した製品をより早く、より安く、安定的に供給する」ための当社の企業活動を方向付けるとともに、企業としてどのような行動をとるべきかを示すものであります。

 また、海外拠点経営指針は、当社と進出国との共存共栄をベースとした、海外拠点経営の基本的な考え方を明示したものであります。

 

経営指針

 ① 汎用性を重視した製品を開発し、その最適生産条件を整備する

 ② 価値分析に徹した製品の開発改良と部品・材料共通化を徹底する

 ③ 高度加工技術とムダの極小化によるコストダウンを追求する

 ④ 新市場を開拓し、適正占有率を確保する

 ⑤ 適材適所による人材の活用と業務を通じた人材育成を行う

 ⑥ 環境負荷の極小化と安全の追求を基本とした企業活動を推進する

 ⑦ 長期安定的視点に立つ経営施策を推進する

 

海外拠点経営指針

 ① 長期的な視点に立ち、進出国との共存共栄を図る

 ② 各拠点の強みを活かした国際分業体制を確立し、国際競争力を維持・拡大する

 ③ 社会への貢献を重視するマブチの企業文化の浸透と知識・技術の移転を推進する

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、2021年度から2023年度の3ヶ年を計画年度とする中期経営計画において、以下の経営数値目標を掲げております。

 

指標

2021-2023年度 目標

2022年度 実績(前期比)

売上高(年平均成長率)

8%~10%

16.4%

売上高営業利益率

15%以上

6.9%

ROIC(注)

12%以上

4.1%

 

(注)ROIC=(営業利益×(1-実効税率))÷(売掛金+棚卸資産+固定資産(投資有価証券を除く)-買掛金)

 

 

 

(3)会社の経営環境及び対処すべき課題

 次期の見通しにつきましては、世界経済は、新型コロナウイルスの感染再拡大、資源価格の高騰、半導体等の供給不足、ウクライナ情勢の長期化、及び各国におけるインフレの加速とその抑制のための利上げの影響による経済活動の停滞が見込まれ、景気の減速が懸念されます。米国経済は、物価上昇とその抑制のための積極的な利上げの影響により、成長の鈍化が見込まれます。欧州経済は、ウクライナ情勢等に起因するインフレが企業収益及び個人消費を下押し、成長の鈍化が見込まれます。我が国経済は、外需の低迷に伴う企業業績の悪化に加えて、資源価格の高騰等による家計負担の増加が個人消費の制約となり、回復ペースは緩やかなものに留まる見込みです。新興国経済は、中国経済がゼロコロナ政策の緩和に伴い経済活動の停滞からの回復が見込まれるものの、世界的なインフレ影響等により新興国全体としての成長ペースは鈍化する見通しです。

 当社グループの関連市場におきましては、自動車電装機器市場は、各国におけるインフレの加速とその抑制のための利上げの影響による需要の減退、半導体の供給不足等による生産調整、及びサプライチェーン混乱の影響等により回復の力強さを欠くものと見込まれます。ライフ・インダストリー機器市場は、健康・医療機器用の安定的な需要の持続等を背景に全体として堅調な需要を見込むものの、個人消費の減速により家電・工具・住設用及び事務機器用の需要は横ばいとなることが見込まれます。

 このような経営環境下、当社グループは、次に述べます課題に取り組んでまいります。

 

① 事業ポートフォリオの進化を目指す「3つのM領域」での取り組み

 当社はこれまで、小型直流モーター専業メーカーとして、お客様が求める真の価値を実現する高品質なモーターを「標準化戦略」によってリーズナブルな価格でご提供し、自動車電装分野からライフ・インダストリー分野まで、人々の暮らしの利便性、快適性及び安全性の向上に幅広く貢献してまいりました。変化が大きい事業環境下においても引き続き安定した経営による社会への貢献を実現するため、現在は、自動車電装機器用モーターの販売比率が7割以上となっている事業ポートフォリオの組み替えを目指しています。特に「モビリティ」「マシーナリー」「メディカル」を「3つのM領域」と定義し、特に注力する事業分野としてその取り組みを加速させてまいります。

 モビリティ:自動車電装分野では、EV化の進展に伴い、限られたバッテリーで航続距離を延ばすための電力消費量の削減が求められており、小型・軽量・高効率という当社モーターの付加価値を更に高め、開発・生産・販売を推進します。またバッテリーの熱管理を行うためのバッテリー冷却用のバルブ用途の需要が高まっており、ブラシ付モーターとブラシレスモーターの双方をラインナップしている当社の強みを生かし、ユニット対応を含めてお客様の要望に応じたソリューションを提供してまいります。ライフ・インダストリー分野では、移動体用ブラシレスモーターにおいて、AGV(自動搬送車)、小型モビリティ及び階段昇降機等の様々な用途にて受注を獲得しており、引き続き新たなお客様・用途を開拓し、拡販に取り組んでまいります。

 マシーナリー:今後市場の拡大が見込まれるロボット市場では、人手不足の解消に貢献するような協調ロボット用途での拡販を目指し、中空構造のブラシレスモーターなどラインナップを拡充しており、今後も新規採用に向けた拡販を進めてまいります。また産業設備に関しては、工業製品や食品等の生産過程におけるCO2排出量の削減が急務となっており、エア式や油圧式から、よりエネルギー変換効率の高い電動式へ切り替える動きが広まっており、ビジネス拡大に向けたソリューション提案を進めてまいります。

 メディカル:健康・医療機器用途においては、高付加価値の歯ブラシ用モーターをはじめ、人々の健康に寄与する製品に注力しています。2021年7月にM&Aにより統合した人工呼吸器及び歯科治療機器用モーターなどを手掛けるマブチモーターエレクトロマグの製品ラインナップ及び顧客基盤を足掛かりに医療機器用途の取り組みを強化しております。また、2022年12月には、主に健康・医療機器用の小型ポンプに強みを有する応研精工株式会社(現・マブチモーターオーケン株式会社)の子会社化を決定いたしました。同社とのシナジー創出を早期に実現し、医療機器用をはじめとする「3つのM領域」における、ユニット対応力とソリューション提案力を強化し、事業拡大に取り組んでまいります。

 

② 自動車電装機器及びライフ・インダストリー機器用モーターの拡販

 パワーウインドウ用モーターにつきましては、搭載車種の拡大に向けた取り組みを一層強化し、中長期的には最新技術を投入した新世代製品を開発し、販売活動に一層注力することで、更なるシェア拡大を目指してまいります。北米自動車メーカー3社のうち2社において既に当社製品を採用いただいており、認証を取得済みの3社目でのビジネス獲得に向けた取り組みを推進します。また、日系自動車メーカーについては、既に4社に当社製品を採用いただいており、5社目の日系自動車メーカーにおける受注拡大を目指すとともに、既に採用いただいている自動車メーカーにおいても、新型車への搭載によるシェアアップを実現すべく販売活動を展開してまいります。欧州では欧州自動車メーカーにおける搭載車種の拡大に向けた取り組みを一層強化してまいります。

 パワーシート用においては、日系大手及び欧州大手のお客様より新たに受注を獲得しました。リクライナー、ハイト及びチルトアジャスターなどの様々な機構に使用可能な新製品を投入することで、既存のお客様におけるシェアアップと新たなお客様の開拓に取り組んでまいります。パーキングブレーキ及びドアクローザー用等のモーターについては、標準化戦略に基づき多用途への展開が可能な標準モーターの開発及び販売活動に取り組んでまいります。

 ミラー用をはじめとする当社が高シェアを有する既存製品分野においては、新たな差別化技術を搭載した製品の投入により更なる拡大に取り組んでまいります。

 ライフ・インダストリー機器用においては、家電製品や健康・医療等の個人の生活に関する用途と、業務や産業に関する用途に向け、高付加価値の製品を提供してまいります。マブチモーターエレクトロマグは、医療機器用のブラシレス及びコアレスモーターに関する高い技術力を有しておりますが、同社の高回転ブラシレスモーターが工具用で受注を獲得するなど、他用途への展開が進んでおります。今後も、開発・生産・販売のあらゆる面でのシナジー創出に取り組み、ライフ・インダストリー機器用途全体の成長へつなげてまいります。

③ マブチグローバル経営によるグローバルリスクマネジメント

 当社は、各海外拠点の自主・自立性を向上させ地産地消を推進する「世界5極事業体制」に、拠点間の人材の繋がり及び多様な価値観を活用する「ダイバーシティ」を加えた、「マブチグローバル経営」の推進に取り組んでおります。本社・各拠点間の人材交流を促すための基盤となる人事制度の整備及び各種情報共有や拠点をまたぐ会議体の設定等を通じてグループレベルで相互理解と協力を促進し、グループ各拠点の横の繋がりを強化することに加えて、各拠点内における縦の繋がりを強化するための方針展開施策、教育及び階層を超えたコミュニケーション施策等により会社方針や価値観の理解・共有を図っております。各拠点において強固な開発・生産・販売体制を構築することにより、変化の大きい市場環境においても高品質な製品をリーズナブルな価格で安定的に供給できるよう、グローバルレベルでのリスクマネジメントを推進してまいります。

 

 サステナビリティへの取り組み

 当社では、SDGs(持続可能な開発目標)を、人を大切にしながら経済的にも成長できる目標と捉えております。お客様とのパートナーシップを通じた、安全運転及び交通事故防止機能を搭載した自動車の普及への取り組みをはじめ、当社の強みを生かしたサステナビリティ目標を設定し、事業活動を通じた地球環境や社会課題の解決に向けて、積極的な取り組みを継続しています。気候変動への取り組みとしまして、2030年までにCO2排出量を2018年比で30%削減する目標を設定し、また、2050年までにカーボンニュートラルに向けた活動を進めていくこととしております。目標の実現に向け、再生可能エネルギーの更なる活用や環境へ配慮した製品創出の取り組み等の具体的な施策を加速いたします。社会面での取り組みとしては、お取引先様を含むサプライチェーン全体でのCSR活動、人権への取り組み、また社員の働きがいの向上を目指した活動を推進してまいります。今後も、国際社会が直面している課題の解決にモーター事業を通じて貢献することにより、経営理念「国際社会への貢献とその継続的拡大」の実現を目指し、グループの総力を挙げて取り組んでまいります。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の判断上重要と思われる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点からこれを記載しております。当社グループは、これらのリスクを認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の損害の低減に努めてまいります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)経済状況の変化

 顧客の製品に搭載される当社製品の需要は、当社グループが販売している多様な市場における経済状況の影響を受けます。したがって、日本、北米、欧州、アジアを含む当社グループの主要市場における景気後退及びそれに伴う需要の縮小等は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、市場環境や受注状況を取締役会等の重要会議において定期的にレビューするなど、常に最新の市場動向を予測した上で、設備投資や人員・在庫等の適正化を図り、市場への対応力を高めています。

 

(2)為替レートの変動

 海外子会社の財務諸表上の現地通貨建ての項目は、連結財務諸表を作成するために円換算されております。したがって、換算時の為替レートにより円換算後の計上額が影響を受けることになります。特に米ドルに対する円高は当社グループの連結業績に悪影響を及ぼし、円安は好影響をもたらします。

 当社グループが生産を行う地域の通貨価値の上昇は、それらの地域における現地通貨建ての製造と調達のコストを押し上げます。コストの増加は当社グループの利益率と価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼします。

 当社グループは、為替リスクを測定した上でヘッジ効果とヘッジコストを勘案し、許容可能な為替リスク量まで為替リスクを軽減するため、社内規程に従い為替予約を利用してヘッジをしています。

 

(3)新製品・新技術の開発

 新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、様々なリスクが含まれます。

 当社グループが市場ニーズの変化を十分に予想できず、魅力ある新製品をタイムリーに開発できない場合、又は当社製品が陳腐化するような技術革新等が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、変化の激しい昨今の事業環境下における当社の競争優位性を更に拡大することを目的として研究開発活動に関する組織体制を構築しております。また迅速な意思決定や市場ニーズの変化へのスピード感のある対応、用途市場別の新機種開発対応力の向上、顧客サポートやCS活動のグローバル化対応等を実現するため、営業部門と一体化し、事業部活動の強化発展を推進しています。

 

(4)価格競争

 当社グループは、電気・電子機器、機械等製造業界に属する多様な分野の企業を顧客としておりますが、これら業界における価格競争は大変厳しいものになっております。このような環境下で、価格はすべての分野において大きな競争要因になっており、中国競合メーカーの台頭等もあって、競争はさらに激化しております。 直近では、世界的な材料価格及び物流費の高騰が継続しており、不適切な価格設定や、各種コストダウン活動が市況変化に追いつかない場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、標準化、省人化をはじめとする知恵と技術を結集し、製品設計・開発段階からのコスト管理、生産技術の改善、部品調達のグローバル化による体系的なコストダウン、適正な価格設定及び付加価値の高い製品の継続的な投入、平均単価及び収益力の維持向上に取り組んでいます。

 

(5)国際的経済取引及び海外進出に潜在するリスク

 当社グループの事業活動の大部分は欧州、北米、アジア各国等で行われております。これら海外における事業活動においては、政治・経済環境の変動、インフラストラクチャーの未整備、法律や税務その他の諸制度の変動、社会的混乱等のリスクが内在しております。

 例えば当社グループは、生産活動の多くを中国及びベトナムにおいて行っております。同国における政治又は法環境の変化、経済状況の変化、雇用環境その他の社会環境変化等、予期せぬ事象の発生が生産・販売活動に大きな問題を生じさせ、これが業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、直近ではロシアによるウクライナ侵攻を発端とした地政学上のリスクが高まり、原材料の高騰、エネルギーの供給不安、国際的なサプライチェーンの混乱が生じておりますが、情勢の変化については、引き続き状況を注視してまいります。

 当社グループは、事業展開する国等の経済・政治・社会的状況に加えて、事業に関連する各国の環境関連規制、製品の安全性・品質関連規制、輸出入関連規制の情報をタイムリーに収集・対応するため、世界5極体制の構築も含めた適時適切な対応を検討・実施しています。

 

(6)製品の品質

 当社グループのすべての製品について大きな品質問題が発生しないという保証はありません。品質問題が発生した場合、その賠償額は、当社グループ製品を搭載した最終製品の品質に与える影響に左右されます。万一、大規模な製品クレーム又はリコールや製造物責任賠償に繋がるような製品の欠陥が発生した場合は、多額のコストの発生や信用の失墜による売上の低下を招き、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、すべての生産拠点で安定した品質を生みだすために、事業拠点ごとに国際規格ISO9001やIATF16949を認証取得し、マネジメントシステムの継続的な改善と向上に努めるとともに、本社が定めた品質システムを遵守し、高品質な製品の供給に努めています。また、不具合発生時においても根本原因を究明したのち再発防止・未然防止策の実施・徹底をすすめております。

 

(7)知的財産保護

 知的財産の獲得は、当社グループの成長を大きく左右するものと認識しております。しかしながら特定の地域では、固有の事由によって当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があります。その場合、当社グループの知的財産を第三者が無断使用し、類似製品を製造することによって損害を受けることや、その他の技術やノウハウ等が流出し他社で利用されることにより競争優位性を損なう可能性がある一方、当社グループが他社の知的財産を侵害したと主張される可能性もあります。

 知的財産権における保護の失敗や侵害、その他の知的財産の流出は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、製品の拡販・新用途拡大に向け、俯瞰的且つ積極的に知的財産権の獲得・保護を行うことにより、競争優位性の確保を図っております。また、知的財産権の確保だけでなく、権利の流出・侵害といったリスクに対しても、当社グループ従業員に対し、教育等の意識向上施策を広く実施しております。

 

(8)人材獲得と育成

 当社グループは、激しい企業競争を勝ち抜くため、関連分野における能力の高い従業員、殊に高度な科学・技術に通じたエンジニアや、ビジネス戦略、組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保、育成が不可欠であり、世代の交代を超えて常に充実・向上させることが必要であると認識しております。一方で、これら人材の積極的採用と継続的な育成には、コストを必要とします。

 優秀な人材の獲得や人材育成が長期的視点において計画どおりに進まなかった場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、計画的な新卒採用に加え、ニーズに基づいた通年採用を実施しております。また、能力開発を支援する教育制度の拡充、多様な社員の能力が十分に発揮できるよう適性を重視した配置、各部門において早期にスペシャリストを育成するための体系やワークライフバランス支援制度の整備により、社員のモチベーションを高め、社員の定着・育成に努めております。

 

(9)原材料等の調達

 当社グループが外部から調達している原材料等の種類によっては、限られた供給元に依存するものがあり、こうした供給元における事故その他の事由による原材料等の供給中断、需要の急増による供給不足等が発生する可能性があります。これらが長期にわたり代替品の入手が困難な場合、当社グループの生産活動に大きな影響を及ぼし、顧客への製品の納入や品質の確保に支障をきたす可能性があります。また、市況品価格の高騰などにより製造コストの上昇を招くことも考えられます。

 このような事態が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、このようなリスクを回避するため各種の原材料や部品等を複数の事業者から調達し、安定的な供給の維持を図るとともに、CSR調達にも配慮しております。また、一部の素材につきましては適切な先物予約等による価格の安定化を図り、製造コストへの影響を抑制する対策を推進しております。

 

(10)自然災害や事故、感染症の流行

 当社グループは国際分業体制を確立し、世界各国で事業活動を行っており、本社及び各拠点において工場や事務所等の施設・設備を保有しておりますが、災害、事故の発生や感染症の流行等による事業活動中断等の不測の事態が生じた場合は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、事業継続基本計画(BCP)を策定しており、本社及び拠点における災害や事故の発生等のリスクの顕在化防止又は保険の付保を含む損害低減策を講じております。新型ウイルス等の感染症への対応では、当社グループが事業を展開している国・地域において、現地の政府及び自治体等の指導に沿った対応を行っており、当社グループの従業員及びその家族の健康に配慮し、在宅勤務や時差出勤の推奨、テレビ会議の活用、社内での三密の防止等に取り組むとともに、事業への影響を最小限に抑えるよう日々努めています。

 

(11)環境対応について

 当社グループは、環境関連諸法令を遵守するとともに有害物資の漏洩防止及び適法適切な廃棄処理を徹底し環境被害の発生防止に努めておりますが、ESG又はサステナビリティに対する意識の高まりなどにより環境に対する規制が厳しくなり、さらなる環境対応が必要になった場合には当社グループの事業、業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、本社及び海外生産拠点において、環境管理責任者及び各部門長で構成される環境管理委員会を定期的に開催し、環境情報の共有化及び環境保全活動を効率的に行っています。これに加え、本社及び海外生産拠点の環境管理責任者で構成される環境管理責任者会議を開催し、環境問題に関する情報共有の促進及び環境管理について当社グループ全体で対策を推進しております。また、サステナビリティ中期目標においても、環境負荷の軽減を重要課題として認識し、具体的な目標を設定しております。

 

(12)世界的な気候変動について

 当社グループは、気候変動対策に関して、継続的な省エネルギー施策及び太陽光発電を含めた再生可能エネルギーの導入に取り組み、CO2排出量の抑制に努めておりますが、世界的な気候変動に伴う異常気象(暴風雨、洪水、干ばつ等)による被害や、温室効果ガス排出に対する規制(排出量取引制度等)が強化された場合には、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、「2030年までにCO2排出量を2018年比30%削減」との中期目標を設定しておりましたが、さらに、2050年カーボンニュートラルに向けた活動を推進することといたしました。国際社会にとって喫緊の課題である気候変動問題に対応するため、当社は、太陽光発電システムの設置、排熱を回収して再利用するシステムの採用、インターナル・カーボン・プライシングの導入、及び生産設備の省電力化等のCO2排出量削減に取り組んでおります。また、気候変動をリスクとしてだけではなく機会としても捉え、事業活動を通じて気候変動に関する社会課題を解決していくことを目指します。

 気候変動に関する情報開示については、2021年3月に賛同を表明したTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に基づき、継続的に気候変動の影響の評価及びその情報の開示に取り組んでまいります。

 

(13)情報セキュリティによるリスク

 当社グループは、事業活動において顧客、他企業の機密情報及び取引先関係者、従業員の個人情報を入手することがあり、同情報が外部への流失及び目的外の流用等が起こらないよう運用しておりますが、人的及び技術的な過失や違法又は不正なアクセス等により漏洩した場合は 、多額のコストの発生や信用の失墜による売上の低下を招き、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、私どもが保有する情報資産の管理及び情報セキュリティ管理を適切に行い、情報の漏洩、改ざん、滅失、盗難等を防止することが企業の社会的責務の一つであると認識し、役員を含めた全ての従業者が情報セキュリティの必要性及び責任について理解を深めるとともに、情報セキュリティポリシーを定め、情報セキュリティの確保に万全を期しております。具体的には、当社グループはリスクマネジメント委員会の活動を通じて、情報セキュリティに関する継続的な取り組み、評価、改善が可能な体制・仕組みを構築しております。また、情報資産を適切に分類、整理し、その重要性に応じた情報セキュリティ対策を取るとともに、情報の取り扱いについて細心の注意を払い、厳重に管理し、当社グループの役員、社員、その他の従業者が情報セキュリティの重要性を理解し行動できるよう、必要な教育・訓練を継続的に実施しております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1)経営成績

当期における世界経済は、新型コロナウイルスの感染再拡大、資源価格の高騰や物流費の高止まり、並びに従来からの半導体の供給不足等にウクライナ情勢によるサプライチェーンの混乱が拍車をかけたことに加えて、物価上昇による消費低迷の影響により、経済活動が停滞しました。米国経済は、資源価格の高騰等の影響によるインフレの進行に加えて、利上げペースの加速により個人消費が減速し停滞しました。欧州経済は、エネルギー価格の高騰等によるインフレやウクライナ情勢及びサプライチェーンの混乱、各国の利上げによる個人消費の低迷等の影響により減速しました。我が国経済は、感染予防対策の緩和による経済活動の正常化により緩やかに回復しましたが、各国の利上げの影響により大幅な円安が進行しました。新興国経済は、中国経済が新型コロナウイルスの感染再拡大による都市封鎖に伴う経済活動の停滞等の影響により成長ペースが鈍化し、全体として緩やかな回復に留まりました。

当社グループの関連市場におきましては、自動車電装機器市場は、半導体の供給不足等による自動車の生産調整、中国における都市封鎖によるサプライチェーン混乱、及び各国のインフレに伴う個人消費の低迷等の影響により減速が見られました。ライフ・インダストリー機器市場は、一部の用途において巣ごもり需要の一服により需要が減少しましたが、全体として堅調に推移しました。

このような景況下、当社グループは、「パワーウインドウ用モーター事業のシェア拡大」、「中・小型電装用モーターの拡販・新用途拡大」、「ライフ・インダストリー機器用分野における新用途拡販」などを課題に掲げ、取り組んでまいりました。具体的には、「パワーウインドウ用において日系大手自動車メーカー4社目向けの販売、及びEV向けで軽量・静音性に優れる当社製品の販売が拡大」、「パワーシート用において日系大手及び欧州大手のお客様より受注獲得」、「EV向けバルブ用モーターにおいて日系大手のお客様より受注獲得」、「移動体及び協調ロボット用ブラシレスモーターのラインナップ拡充による受注獲得、並びにマブチモーターエレクトロマグ製モーターによる医療用途向けの販売拡大及び工具用途での受注獲得」等、売上とシェアの拡大、新市場の開拓及び高品質・高効率化の更なる進展に向けた諸施策を積極的に導入・実現し、将来の事業成長につながる成果を上げることができました。

 

(売上高)

 当期の連結売上高は1,567億6百万円(前期比16.4%増)となりました。その大半を占めるモーター売上高は1,566億9千6百万円(前期比16.5%増)であります。

① 自動車電装機器市場

 売上高は1,170億5千6百万円(前期比19.1%増)と増加しました。中型電装用途では、パワーウインドウ及びパワーシート用は、半導体の供給不足等に伴う自動車の生産調整の影響を受けたものの円安の影響等も加わり増加しました。パーキングブレーキ用は搭載車種の拡大により増加し、中型電装全体として堅調に推移しました。小型電装用途では、ドアロック、ミラー及びエアコンダンパー用は自動車の生産調整の影響はあったものの円安の影響等により増加し、小型電装全体として増加しました。

② ライフ・インダストリー機器市場

 売上高は396億3千9百万円(前期比9.2%増)と増加しました。理美容及び家電・工具・住設用は巣ごもり需要の一服により減少した一方で、健康・医療用は歯ブラシ用中高級セグメントの堅調な推移に加えて、人工呼吸器用をはじめとするマブチモーターエレクトロマグ製品の貢献により大幅に増加し、円安の影響等も加わり全体として増加しました。

 

(営業利益)

 為替レートが前期と比べ円安で推移したことや売価・プロダクトミックスの改善等の増益要因はあったものの、販売数量の減少、市況品の上昇等の減益要因がこれを上回り、108億2千4百万円(前期比21.6%減)となりました。

 

(営業外収支)

 営業外収支は、前連結会計年度の57億7千万円の収益(純額)から、当連結会計年度は106億4千8百万円の収益(純額)となりました。為替差益が43億7千5百万円増加したことなどによるものであります。

 

(特別損益)

 特別損益は、前連結会計年度の5億3千1百万円の収益(純額)から、当連結会計年度は7億8百万円の損失(純額)となりました。特別利益は、投資有価証券売却益が9億7千4百万円減少、また在外子会社清算に伴う為替換算調整勘定取崩益が2億8千2百万円減少しました。また、特別損失は、感染症関連損失が4億3千3百万円減少した一方、固定資産処分損が3億2千1百万円増加しました。

 

(法人税等及び法人税等調整額)

 法人税等及び法人税等調整額の税金等調整前当期純利益に対する比率(税効果会計適用後の法人税率等の負担率)は、前連結会計年度の29.1%に対し、法人税等調整額の増加により当連結会計年度は31.2%となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は142億9千5百万円(前期比0.3%増)と前期比で4千3百万円の増加となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の216.75円に対し220.79円となりました。

 

(セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容)

 セグメント別の売上高は、「日本」セグメントは139億6千2百万円(前期比8.6%増)、「アジア」セグメントは768億1千7百万円(前期比11.7%増)、「アメリカ」セグメントは291億9千4百万円(前期比20.0%増)、「ヨーロッパ」セグメントは367億3千1百万円(前期比28.2%増)であります。

 セグメント別の利益又は損失は、「日本」セグメントは1億2千8百万円の利益(前期比97.7%減)、「アジア」セグメントは99億8千6百万円の利益(前期比4.1%増)、「アメリカ」セグメントは2億1千万円の損失(前期は6億1千7百万円の利益)、「ヨーロッパ」セグメントは1億7千7百万円の損失(前期は8億7千2百万円の損失)、セグメント間取引消去による調整額は10億9千7百万円(前期は10億8千1百万円)であります。

 

なお、当連結会計年度の円の平均為替レートは、1US$に対し131.43円であり、前連結会計年度に比べ21.63円の円安となりました。

 

(生産、受注及び販売の実績)

 a.生産実績

小型モーターの生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。  (千個未満の端数切捨て)

 

前連結会計年度

(自 2021年1月1日

    至 2021年12月31日)

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

    至 2022年12月31日)

比較増減

(△は減)

 

数  量

構成比率

数  量

構成比率

数  量

 

 アジア

千個

1,422,455

98.7

千個

1,270,103

97.3

千個

152,351

 アメリカ

15,233

1.0

24,309

1.9

9,075

 ヨーロッパ

3,825

0.3

11,042

0.8

7,216

合  計

1,441,514

100.0

1,305,455

100.0

136,059

(注)当社グループの生産・販売品目は小型モーター単品であり、価格差も僅少であることから、数量表示のみで記載しております。

 

 b.受注状況

当社グループは、主として需要予測に基づく見込生産方式をとっておりますので記載を省略しております。

 

 c.販売実績

小型モーターの販売実績を用途市場別に示すと、次のとおりであります。  (百万円未満の端数切捨て)

 

前連結会計年度

 (自 2021年1月1日

     至 2021年12月31日)

当連結会計年度

 (自 2022年1月1日

     至 2022年12月31日)

比較増減

(△は減)

 

金  額

構成比率

金  額

構成比率

金  額

 

 自動車電装機器

百万円

98,246

73.0

百万円

117,056

74.7

百万円

18,810

 ライフ・インダストリー機器

36,297

27.0

39,639

25.3

3,342

合  計

134,544

100.0

156,696

100.0

22,152

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合につきましては、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める顧客がないため、記載を省略しております。

 

(2)財政状態

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に対して220億8千1百万円増加し、3,077億8千6百万円となりました。変動の大きかった主なものは、棚卸資産の増加104億7千4百万円、有形固定資産の増加66億2千5百万円、受取手形及び売掛金の増加49億3千5百万円、現金及び預金の減少23億8千8百万円等であります。

負債合計は、前連結会計年度末に対して18億1千6百万円増加し、276億1千1百万円となりました。変動の大きかった主なものは、その他の流動負債の増加14億8千9百万円、繰延税金負債の増加11億4千7百万円、未払法人税等の減少16億7千4百万円等であります。

純資産合計は、前連結会計年度末に対して202億6千5百万円増加し、2,801億7千5百万円となりました。為替換算調整勘定が160億3千1百万円増加、利益剰余金が28億4千7百万円増加しました。

 自己資本比率は、前連結会計年度末の90.9%から、当連結会計年度末は91.0%となっております。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前期末から22億8千3百万円減少し、1,012億5千5百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは102億6百万円の収入となり、前期に対し14億6千3百万円の増加となりました。売上債権の増加により55億5千9百万円減少したものの、棚卸資産の増加幅の減少による88億5千9百万円増加等の要因によるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは104億6千8百万円の支出となり、前期に対し25億1百万円の支出減少となりました。前期に子会社株式取得として40億8千万円の支出がありましたが、当期はこのような発生がなかったことなどによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは100億8千8百万円の支出となり、前期に対し11億9千6百万円の支出減少となりました。従業員持株会信託設定に伴う借入金による収入が11億2千4百万円発生したことなどによるものです。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料及び部品の購入費、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要につきましては、当社グループ製品製造のための生産設備購入や工場建設費用等があります。

 なお、当社グループの運転資金及び設備投資資金は自己資金から賄っており、外部調達はありません。

 

(5)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

 連結財務諸表を作成するにあたり重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 また連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債及び収益、費用の報告金額に影響を与える仮定、見積り及び判断を必要としており、連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りの仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 しかしながら、これらの仮定、見積り及び判断については不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 なお、会計上の見積りにあたっての新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

(6)経営成績に重要な影響を与える要因

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載しております。

 

(7)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 当社は、2022年12月22日開催の取締役会において、小型ポンプメーカーである応研精工株式会社(現・マブチモーターオーケン株式会社)の株式を取得し、子会社化することについて決議し、同日付で株式譲渡契約書を締結、2023年3月14日に全株式を取得し、子会社化いたしました。

 なお、詳細は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

5【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、当社、万宝至馬達(東莞)有限公司(「アジア」セグメント)及びマブチエレクトロマグエスエー(「ヨーロッパ」セグメント)で行っており、その内容は次のとおりであります。

 当社の研究開発活動に関する組織体制としては、第一・第二・第三の各製品開発部をライフ・インダストリー事業部・オートモーティブ第一事業部・オートモーティブ第二事業部内に分散配置し活動を行っております。変化の激しい昨今の事業環境下において、顧客や市場の課題に対しソリューション提案することで当社の競争優位性を更に拡大することを目的としております。また、迅速な意思決定や市場変化へのスピード感のある対応、用途市場別の新機種開発対応力の向上、顧客サポートやCS活動のグローバル化対応などを実現するため、営業部門と一体化し、事業部活動の強化発展を推進しています。

 製造本部は、第一生産技術部、第二生産技術部、第三生産技術部の三部体制とし、第一生産技術部は技術開発業務、第二生産技術部は工程設計業務、量産(新機種/既存機種)・工場横断業務、第三生産技術部は生産技術管理・情報業務を実施しております。

 また技術統括直下の組織として技術研究所と技術管理部が配置されています。技術研究所では主に要素技術開発や戦略用途を中心とした新製品開発等の高付加価値業務を担っており、技術管理部は量産製品図面管理や知的財産権の管理等を実施しております。

 万宝至馬達(東莞)有限公司に設置しているR&Dセンターにおいては、各種試験依頼の処理をはじめ、部材評価、図面作図業務、改良設計業務を中心に担当しております。更に、中国地場マーケットへの迅速な製品投入を目的とした既存製品の改良業務及び当社が委託した新製品の開発業務支援も実施しております。

 マブチエレクトロマグエスエーは、人工呼吸器・歯科治療用ハンドピース等の用途に特化したブラシレスモーターメーカーであり、静音・低振動・高速回転などの医療機器用途に適した高特性ブラシレスモーターの開発・製造技術を有し、それらを活かした拡販開発活動を行っております。

 また、当社モーターの新規分野への参入及び適用用途への対応力強化並びに地産地消の考え方から、競争力のあるものづくりの実現を目指して、次の事項の検討と施策展開を急務と捉え実行しております。

(1)移動体向けブラシレスモーター及びギヤーユニット等の開発と駆動回路の技術強化

(2)マブチエレクトロマグと製品技術融合による、健康・医療用途での製品競争力強化

(3)従来の省人化に加え、更なる省人化ラインの検討とモノづくり競争力の強化

(4)開発リードタイムの短縮及び開発工数の短縮、削減

 

 次に、各用途の対応状況でありますが、主力分野である自動車電装用途、またライフ・インダストリー機器用途など、注力すべきそれぞれの用途について、事業部体制の下、技術部門及び営業部門が一体となり対応を行っております。

 

モビリティ(Mobility)における取り組み

パワーウインドウ用途

 サスティナビリティ要求に応えた小型・軽量化モデルの量産開始をしております。2022年は北米自動車メーカー向けに2モデル、日系自動車メーカー向けに1モデルの量産を開始いたしました。今後はこの新機種を主力モデルとし、拡販活動を充実させてまいります。

 

パワーシート用途

 サスティナビリティ要求に応えた小型高トルク製品の投入により日系最大手を初め欧米顧客の採用が拡大し売上・市場が伸長しています。更なるシェア拡大に向けてシートの各ファンクションに相応したモーターを、地域市場による顧客要望の違いを考慮して開発を継続しています。生産拠点を複数国に持つ強みを生かし、地産地消によるCO2排出量削減を意識した生産・販売活動をしております。

 

バルブ用途

 冷却水・冷媒・熱・排ガスの通るバルブを精密に駆動し、省エネルギー・高効率・バッテリー長寿命化に貢献する製品であり他用途と異なる高温と振動環境への対応が求められます。特に自動車のEV化に伴いバッテリー冷却・ヒートポンプ用途として飛躍的に成長している用途です。既に量産中のRS-4F5、RS-4G5及び、当該モーターのオプション仕様の強化を図ることに加えアクチュエーターの小型・軽量化に貢献すべく、外径24mmの小型バルブ用モーターの量産準備を開始しております。これ以外にバッテリー冷却とヒートポンプ用途に特化したユニット及びラインナップ拡充を目的として開発に着手しています。

 

その他小型電装用途

 低燃費や利便性を訴求した新規用途の引合いに対応したモーター開発を継続しております。また、既存用途においてはお客様の使い勝手を考慮した高機能化及び電気・機械ノイズ性能を向上させた、次世代の標準モーターやアクチュエーター開発しております。

 

移動体用途

 2022年はブラシレスモーターの新規ラインナップ及びオプションの拡充によって、お客様による採用ご検討や新規成約が大幅に増加しております。特にAGVやパーソナルモビリティ用途では、3モデルの量産を開始し、洗浄ロボットなど国内の主要なメーカー様向けに販売が始まり、順調に売上を伸ばすことができました。更に、オンライン販売や展示会への出展を通じ、広くお客様への認知、提案を行う新たな取り組みも開始し、今後のより一層の販売・拡販の強化に繋げてまいります。

 

マシーナリー(Machinery)における取り組み

協調ロボット用途

 ブラシレスモーターの新規ラインナップの拡充によって、お客様による採用ご検討や新規成約が大幅に増加しております。サービス・協調ロボットでは、4モデルの量産を開始し、国内の主要なメーカー様向けに販売が始まり、順調に売上を伸ばすことができました。移動体用途同様にオンライン販売や展示会への出展を通じ、広くお客様への認知、提案を行う新たな取り組みも開始しております。

 

メディカル(Medical)における取り組み

医療用途

 マブチエレクトロマグが高いシェアを誇る人工呼吸気用モーターの技術を他の機器用途へと展開する活動を推進しています。従来の医療用途のスロットレスブラシレスモーターの磁気回路設計を一部改良し、医療ではない新規用途展開を行っております。

 また、マブチモーターの量産ノウハウを活かし、高品質と低コストを両立した競争力の高い製品の投入を図るべく活動をしております。

 

 当連結会計年度における研究開発費は5,574百万円、当社所有の産業財産権の総数は741件(国内143件、海外598件)、新規出願件数は国内外合計で34件(国内外、特許・実案・意匠、商標)となっております。

 当社製品の拡販・新用途拡大に向け、俯瞰的且つ積極的に知的財産権の獲得・保護を行うことにより、競争優位性の確保を図っております。また、知的財産権の確保のみならず、権利の流出・侵害といったリスクに対しても、当社グループ従業員に対し、教育などの意識向上施策を広く実施しております。

 

なお、当連結会計年度における代表的な新製品は次のとおりであります。

 

 協調ロボット用フレームレスモーター:IA/IBシリーズ

 多関節アーム型などの協調ロボット用フレームレスモーターとして開発しました。ロボットの各関節に最適な動力をご選定いただけるよう、サイズや出力の異なるラインナップを4モデル同時に販売開始しました。協調ロボットの普及に寄与することで、人手不足という社会課題の解決に貢献します。

 

 移動体用モーター:IR-94BZA、MR-94BZA/MR-94BZB 専用コントローラー:DR-40FC1/DR-40FC3

 AGVやAMRなどの低速制御性の向上に対応した、高分解能のレゾルバセンサーを搭載したモーターを開発しました。市場における最高クラスの低速制御性能を持つ高分解能ブラシレスモーターを提供することで、移動体用途の自動制御化の実現に貢献します。

 

 移動体用モーター:IS-74BZA

 AGVやAMRなどに適したモータラインナップ拡充しました。 取り付け部□60mm、長さ44.5mmとコンパクト設計で、取付スペースのスリム化に貢献します。 今後、減速機などのオプションを用意し、移動体における多様なニーズにお応えします。