第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1)業績

当期における当社グループを取り巻く事業環境につきましては、米州における設備投資需要は堅調に、国内および欧州においては概ね横ばいに、それぞれ推移しました。中国およびその他のアジアにおいては、期の終わりごろから回復傾向が見られるようになりました。
 このようななか当社グループは、「one FANUC」、「壊れない。壊れる前に知らせる。壊れてもすぐ直せる。」および「サービス・ファースト」をスローガンに掲げ、当社商品およびサービスについてお客様にご安心いただけるための取り組みをグループ一丸となって行いました。またAI技術の当社商品への適用を進めると同時に、FIELD system (FANUC Intelligent Edge Link and Drive system)の立ち上げ準備を中心にIoTへの対応を加速させるなど、今後の事業の安定と発展のための取り組みを推し進めました。
 平成28年度における連結業績は、売上高が5,369億42百万円(前期比13.9%減)、経常利益が1,688億29百万円 (前期比26.4%減)、当期純利益が1,276億97百万円(前期比20.0%減)となりました。

(注)[事業の状況]における「当期純利益」は、連結損益計算書における「親会社株主に帰属する当期純利益」を指します。

当期の設備投資としましては、栃木県壬生町にCNC・サーボモータ等の新工場を完成させました。同工場は10月から一部生産を開始しました。また、今後のロボット需要の拡大に対応できるよう、新たに茨城県筑西市にロボット工場用地の取得を進めました。このほか、研究開発における「信頼性向上」と「スピードアップ」等を推進するため、引き続き研究所群の拡張を進めました。
 また当期におきましては、安全柵なしで人とロボットが協働して作業可能な緑のロボット「ファナック ロボット CR-35i A」が、財団法人大河内記念会より「協働ロボットと人の協働作業による高効率組立システム」として平成28年度大河内記念生産賞を受賞しました。

 

なお、当社グループは、CNCシステムとその応用商品を提供する企業グループとして、単一セグメントの事業を営んでおりますが、商品部門別の状況は以下のとおりです。

 

〔FA部門〕

CNCシステムの主要顧客である工作機械業界は、欧州などにおいて依然として厳しい状況が続いたものの、期の初めにおける中国での一時的な需要の増加に加え、期の終わりごろから中国その他のアジアにおいて全般的に回復傾向が見られるようになりました。国内においては堅調に推移しました。これらにより、当社グループのCNCシステムの売上高は前年度に比べ増加しました。
 レーザにつきましては、国内、海外ともに低調に推移しました。
 FA部門の連結売上高は、1,750億16百万円(前期比2.8%増)、全連結売上高に対する構成比は32.6%となりました。

 

〔ロボット部門〕

ロボットにつきましては、米州および欧州においては、期前半に自動車産業等において設備投資の谷間があったものの、高原状態が続きました。中国においては需要の伸びが顕著でした。国内においても自動車産業向けを中心に好調でした。
  ロボット部門の連結売上高は、1,900億43百万円(前期比0.9%増)、全連結売上高に対する構成比は35.4%となりました。

 

 

〔ロボマシン部門〕

ロボドリル(小型切削加工機)につきましては、自動車、二輪車の部品加工向けの販売が堅調に推移し、また、第4四半期からIT関係の一時的需要が動き始めました。しかしながら、IT関係の一時的需要が大きく寄与した前年と比べると売上は減少しました。
  ロボショット(電動射出成形機)につきましては、IT関係の需要を除くと横ばいでしたが、IT関係の需要が本格的に回復するに至らなかった影響で、総じて売上は若干減少しました。
  ロボカット(ワイヤカット放電加工機)につきましては、売上は横ばいで推移しました。平成29年3月に、ロボカットの累計出荷台数は3万台を達成しました。
  ロボマシン部門の連結売上高は、939億39百万円(前期比48.7%減)、全連結売上高に対する構成比は17.5%となりました。

 

〔サービス部門〕

サービスにつきましては、「サービス・ファースト」のスローガンのもと、世界中で高度なサービスの提供や生涯保守を実践しながら、お客様の工場でのダウンタイムを最小限にするための迅速な保守サービス活動を行いました。
 サービス部門の連結売上高は、779億44百万円(前期比4.8%減)、全連結売上高に対する構成比は14.5%となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年度末比569億1百万円減の7,747億61百万円となりました。

 

(各キャッシュ・フローの状況)

営業活動の結果得られた資金は、前年同期比189億20百万円減の1,217億13百万円であり、これは主に税金等調整前当期純利益が減少したことによるものです。

投資活動の結果使用した資金は、前年同期比241億15百万円減の885億62百万円であり、これは主に有形固定資産の取得による支出が減少したことによるものです。

財務活動の結果使用した資金は、前年同期比793億5百万円減の902億67百万円であり、これは主に配当金の支払額が減少したことによるものです。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

 

(1)生産実績

  (当連結会計年度)

生産高(百万円)

前期比(%)

470,287

△11.6

 

 

(注1) 生産高は、販売価格によっております。

(注2) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注実績

  (当連結会計年度)

受注高(百万円)

前期比(%)

560,693

△3.9

 

 

(注)  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(3)販売実績

  (当連結会計年度)

販売高(百万円)

前期比(%)

536,942

△13.9

 

 

(注)  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(注)  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

    当該割合が10%未満のため記載を省略しております。

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

ファナックは1956 年に日本で民間初のNCとサーボ機構の開発に成功して以来、一貫して工場の自動化を追求してまいりました。
 ファナックの基本技術であるNCとサーボから成るFA事業と、その基本技術を応用したロボット事業およびロボマシン事業の三本柱によって、お客様における製造の自動化と効率化を推進することで、国内外の製造業の発展に貢献してまいります。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

今後しばらくの間、米国市場は堅調に推移し、中国その他のアジアにおいては回復の動きが続くものと思われます。当社グループとしては、こうした需要にしっかりと対応していくとともに、欧州については全力で拡販に努めてまいります。
 一方で、為替動向や地政学的リスク等の懸念から、総じて予断を許さない状況が続くものと思われます。
 このような状況においても、当社グループは、会社の将来を見据え、短期的な事象に左右されない、長期的な視点に立った経営を続けてまいります。
 

こうした基本思想のもと当社グループは、「one FANUC」を合言葉に、FA・ロボット・ロボマシンが一体となったトータルソリューションの提供、およびグループが一体となった世界のお客様への対応、という当社グループならではの強みを最大限活かしてまいります。
 また、ファナック商品は製造現場でご使用いただく設備であるとの原点に立ち、お客様の工場におけるダウンタイムを最小にし稼働率向上を図るため、「壊れない。壊れる前に知らせる。壊れてもすぐ直せる。」を商品開発において徹底いたします。同時に、資本財のサプライヤとしてお客様への供給責任を果たすべく、お客様にご安心いただける生産体制を確保してまいります。
 そして世界中のどこでもファナックのグローバルスタンダードに沿った高度なサービスを提供すること、お客様が使用し続ける限り保守を続ける「生涯保守」を行うこと、を基本理念とした「サービス・ファースト」を実践してまいります。
 また、当社は、AI・IoT技術を、当社が今後も競争力の高い商品を開発し市場投入していくうえで必要不可欠な技術と考えております。当社はこれらの技術をFA・ロボット・ロボマシンの全ての分野に積極的に適用していくことで、お客様における生産の効率化を一層推進します。
 

当社は、創業以来の基本理念である「厳密」と「透明」を今後もあらゆる面で徹底し、こうした諸施策をグループ一丸となって推し進めることにより、お客様の当社グループへの安心と信頼を高め、永続的な企業となるべく努力してまいります。
 

4 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、当社グループは、これらのリスクを認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に努める所存です。

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断できたものであります。

 

1 経済状況

当社商品の需要は、当社グループが商品を販売している国の経済状況の影響を受けます。当社商品の需要は主として自動車を中心とする機械工業、IT産業であり、それら産業の設備投資の影響を受けます。景気変動による設備投資需要の変動は激しく、特にそれら産業の景気後退は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社の競合会社が存在する国(例えばEU)の通貨が下落した場合、国際市場での競合会社の価格競争力が強まるため、当社の業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

2 為替レートの変動

当社は、製造の大部分を日本で行っている一方、販売の多くの部分を海外において現地通貨建てで行っているため、一般に、他の通貨に対する円高は、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社の連結財務諸表は円で表示されているため、当社の外貨建ての資産・負債を円に換算する際、及び当社の海外子会社の財務諸表を円に換算する際、資産・負債の評価額が為替レートにより影響を受けます。

 

3 新商品開発力

当社は、研究開発に経営の重点を置き、高信頼性、高性能で価格競争力のある新商品の開発を継続していけると考えておりますが、当社グループが属する業界は技術的な進歩が極めて急速であります。従って、以下の場合には、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

① 新たに開発した商品を含め、当社商品又は技術が独自の知的財産権として保護されない場合
② 当社が新技術ならびに業界・市場の変化を正確に予測できず、魅力ある新商品を開発できない、あるいはタイムリーに開発できない場合
③ 他社が画期的な新商品やサービスを開発することによって、性能、機能、価格、信頼性において当社との間に大きな差がついた場合

 

4 価格競争

当社は、CNC・サーボモータ及びこの基幹技術を応用したロボット、ロボマシンという特定の分野に経営資源を集中し、高い信頼性と競争力をもつ商品を開発してまいりました。これによってお客様に貢献することで、当社商品は市場において高い評価をいただいております。

しかし、当社の属する業界においては、世界的に激しい開発競争が行われております。競合企業による低価格の新製品投入などによって、市場における競争が激しくなると、当社の商品の価格競争力を低下させ、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

5 納期

お客様が希望する納期に応えられないことにより注文を失う場合には、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

6 アライアンス、技術供与、資本参加等に関するリスク

当社グループは、競争力強化のため、合弁などの形で、多くの会社と共同で活動を行っており、引き続きこのような活動を前向きに活用する予定です。しかし、経営、財務、その他の要因により、このような協力関係を成立または継続できない場合や、これらの協力関係から十分な成果を得られない場合には、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社の商品、サービスには、他社の許諾を受けて使用している特許や技術、ソフトウェア、商標等を前提としているものがあります。これらの特許等について、今後、万一当社が許容できる条件で、他社からの供与や使用許諾が受けられなくなる場合には、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、資本参加や企業買収については、出資等による多額の費用が発生する可能性や、期待した成果が十分に得られない、または予期しない損失を被る恐れがあります。

 

7 知的財産

知的財産の流出については、可能な限りの防衛策を講じておりますが、研究員の転職等により当社の商品等の情報が流出し、模倣商品や競合する商品、機能が出現する可能性があります。その場合、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社は、当社商品について、他社と差別化できる技術とノウハウを蓄積しておりますが、将来、当社商品又は技術が他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性があります。その場合、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

8 人材

当社は、優秀な技術者など、必要とする人材を採用、育成し、雇用の維持を図ることができるよう、処遇をより良くすべく対策をとっております。しかし万一、適切な人材の採用ができなくなった場合やその育成に失敗した場合、あるいは専門分野を担当している人員を退職や休職等により欠くことになった場合、専門業務の遂行ができなくなったり、開発力が低下する可能性があります。その場合、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

9 輸出管理

当社は、日本国及び関係会社が所在する各国の輸出管理法令を遵守し輸出管理を確実に履行するために、輸出管理社内規定を定め、輸出管理体制を整備しております。しかし、万一、輸出管理法令への違反があった場合は、罰則の適用を受けるなどの重大な影響(取引先等の他社が輸出関連法令に基づいて何らかの制約等を受けることにより当社グループが間接的に受けることとなる影響を含みます。)があります。また、当社の直接の法令違反等ではなかったとしても、何らかの原因によって不正輸出等に結果的に関与をした場合は、企業としての社会的責任が問われる可能性があります。また、輸出管理法令の制定、改正あるいは運用等が当社グループの営業活動に制約を与える場合があります。これらに起因した事象が、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

10 グローバル マーケットに潜在するその他のリスク

当社は、世界各国で事業活動を行っております。各国において下記のようなリスクが内在します。

① 予期しない法律または規制の変更
② 不利な政治または経済要因
③ テロ、戦争、疫病、天災、その他の要因による社会混乱

これらの事象は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

11 情報セキュリティに関するリスク

当社は、情報セキュリティについて注意を払っていますが、インフラ障害、サイバー攻撃、コンピュータウィルスへの感染等によって、各種業務活動の停止、データの喪失、商品・サービス(顧客に提供済のものを含む)の機能の停止等が生じた場合、対策費用の発生、当社商品の信用の失墜やブランドイメージの毀損などにより、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

12 災害、事故等に関するリスク

当社商品は資本財であり、研究所、工場を日本国内に集中させ、そこで開発、製造された製品を全世界に供給することにより、効率化を図っております。

地震、富士山噴火等の自然災害や、長時間にわたる停電などが発生した場合に、当社の開発、製造能力に対する影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。また、当社工場から各市場への納入途上において何らかのトラブルが発生した場合、物流コストの増加や納入遅延による売上の機会損失などが生じ得ます。それらの事象が発生した場合、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

13 調達部品におけるリスク

当社は、商品の重要部品を当社グループ内で製造するよう努めている一方で、当社グループ内で製造していない重要部品はグループ外の他社に依存しています。天災地変や、供給元の事情、市場の状況によってそれら部品の調達に不足が生じた場合、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

部品や原材料については、国内外の供給元の中からできるだけ低価格で調達を進める努力をしていますが、原材料の国際的な市場における価格高騰が進み、購入先から値上げされた場合、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、国内外の供給元の中からできるだけ品質が優れた部品や原材料の調達を進める努力をしていますが、これらの部品や原材料に万一不良があった場合は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

14 製品の欠陥等

当社グループは、ISOなど、世界的に認められている品質管理基準に従って各種商品の設計・製造をしておりますが、これらの商品について欠陥が皆無という保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。人身事故、火災事故など重大な事故や、広範囲に影響を及ぼす大規模な事故が発生した場合には、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社商品に障害が発生したり、その障害によりお客様の安全を損ねたりした場合には十分な対策を講じるように務めていますが、その対応が不適切だったことにより、お客様の信用を失ったり、損害賠償請求を受けたり、障害対策費用が多額になったりする場合には、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

15 労働災害、事故

当社では労働災害を防止すべく社員の健康・安全には十分注意を払っておりますが、発生リスクは常に存在しています。こうした労働災害が発生した場合、社員の死傷といった人的損害に加え、作業の一時中断・遅延等に伴う当社商品の納期遅延に伴うお客様への補償等により、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

16 環境汚染に関するリスク

当社グループでは、環境負荷の低減に努めておりますが、事業活動を通じて一切の環境汚染が発生しないという保証はありません。以下による環境汚染が生じた場合、浄化処理費用等の対策費用が発生し、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

① 当社グループの工場敷地において、今後、新たな汚染が判明した場合
② 自然災害、火事等により当社の建物、設備が倒壊し、汚染物質が流出した場合
③ 産業廃棄物の処理業者の違法行為により、不法投棄等の不適切な処理が行われた場合
④ アスベストのように時間の経過、技術の進歩にしたがって問題として顕在化する環境汚染物質が今後発見された場合

また、環境汚染に関する規制の強化や変更は、対応コストを増加させ、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

17 退職給付債務

当社グループの退職給付費用及び債務は、数理計算上の割引率や、年金資産の長期期待運用収益率などの前提条件に基づいて算出しております。しかしながら、運用環境の悪化などにより、実際の結果がこれらの前提条件と異なった場合、あるいは前提条件の変更が必要になった場合には、退職給付費用や債務が増加し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 

相手会社名

国名

契約品目

契約内容

契約期間

シーメンス社

ドイツ

CNCシステム、CNC自動プログラミング装置、ロボット

特許実施権の相互供与

自 昭和58年4月19日
至 平成29年12月31日

株式会社
Preferred Networks

  日本

  当社商品全般

当社商品等の知能化その他の付加価値向上等のための協業

自 平成27年7月1日
至 平成32年2月29日

 

 

6 【研究開発活動】

当期におきましては、研究開発環境をより向上させるために、研究所群の拡張を行いました。また信頼性評価棟を建設し、商品の信頼性向上のための取り組みを一層強化しました。こうした環境の中、ハードウェア研究所、ソフトウェア研究所、サーボ研究所、レーザ研究所、ロボット機構開発研究所、ロボットソフト開発研究所、ロボドリル研究所、ロボショット研究所、ロボカット研究所、ロボナノ研究部におきましては、お客様における製造の自動化と効率化に寄与すべく、高信頼性を基本に性能の向上等を推し進めた、より競争力の高い様々な新商品、新機能を開発し、市場に投入しました。
 基礎研究所では、当社商品に適用される次世代要素技術などの研究開発を行っております。
 
 当社は、FA、ロボット、ロボマシンの全商品群において、株式会社Preferred Networksの協力を得て、AI技術の適用検討を順次進めています。今後も、AI技術をより具体的に活用することにより、各商品の知能化をさらに進め、他社との差別化、高付加価値化を図ります。
 IoTへの対応としましては、従来のFA、ロボマシンのLINKi機能、ロボットのZDT(ゼロダウンタイム機能)に加えて、FIELD system(FANUC Intelligent Edge Link and Drive system)の今年10月の運用開始を前に、その準備を進めました。FIELD systemは、製造現場の各種機器を接続し、生産性の向上を図るIoT商品で、製造現場のエッジ部分(加工現場、組立現場)で情報をリアルタイムに処理できる点が大きな特長です。また、様々な企業が参加できるオープンプラットフォームである点も、大きな特長の一つです。
 このFIELD systemとAI技術の組み合わせにより、さらに大きな相乗効果が期待されます。即ち、FIELD systemにPreferred Networks社のAI技術(深層学習技術)を適用することで、各商品の知能化機能の性能がさらに高まり、かつその結果がIoTで共有可能となります。
 

当連結会計年度の研究開発費は、423億31百万円となっております。

 

当連結会計年度における新商品の主な成果は以下のとおりです。

 

CNCシステムにつきましては、高速で高品位な加工を実現するナノCNCである「ファナック 30iシリーズ」およびファナックのグローバルスタンダードCNCである「ファナック 0iシリーズ」において、高品位加工を高い次元で実現する制御技術「ファインサーフェステクノロジー」を開発しました。また、機械の状態を監視しながらモータ制御を行う「スマートマシンコントロール」は、従来のモータ制御とは一線を画する機能群であり、当期においてこれらの機能群のさらなる充実を図りました。このほか一般産業機械用CNCであるパワーモーション シリーズにおいて基本性能の大幅な向上・サイクルタイムの短縮など、様々なレベルアップ、機能追加を行いました。
  サーボにつきましては、同期ビルトインスピンドルモータBiS-Bシリーズにおいて、ラインナップの追加および出力強化などの性能アップを行いました。このほか、スピンドルモータにおいて、加工時間の短縮、動作の安定性向上等に関する機能を追加しました。また顧客が機械仕様に合わせて適切なモータを選定できるツールの開発などを行いました。
  レーザにつきましては、ファイバレーザ発振器「ファナック ファイバレーザ シリーズ」において出力500Wおよび1000Wのモデルを追加したことで、500Wから6000Wまでのラインナップが完成しました。1000W以下のモデルは、レーザ複合加工機への応用、および金属を使った三次元積層造形(3Dプリンタ)等の分野への拡販が大いに期待されます。

 

ロボットにつきましては、安全柵を必要とせず、人との協働作業が可能な緑のロボット「協働ロボット」において、一般産業への拡販を期待できる可搬重量の小さいタイプを3機種追加しシリーズの拡充を図りました。また長年にわたるファナックの経験と技術が凝縮された万能知能ロボット「ファナック ロボット R-2000iC シリーズ」において、新たに220kg可搬の天吊りタイプ、210kg可搬の洗浄仕様を開発し、ラインナップを拡充しました。また、中型ハンドリング知能ロボット「ファナック ロボット M-20iB/25 シリーズ」において、防塵・防滴・防錆性能を向上させたモデルを開発しました。食品、医薬品など様々な分野への拡販が期待されます。これらをはじめとした新商品、新機能等により、ファナックロボットの適用用途の一層の拡大が期待されます。

 

ロボドリル(小型切削加工機)につきましては、「ファナック ロボドリル α-DiA シリーズ」の後継機種として、CNC画面を一新し加工サイクルタイムを短縮するとともに、ラインナップに高性能仕様を追加した「ファナック ロボドリル α-DiB シリーズ」を開発しました。早速市場からは良好な反応をいただいております。
 ロボショット(電動射出成形機)につきましては、電動射出成形機「ファナック ロボショット α-SiA シリーズ」において、横型第二射出装置「ファナック ロボショット SI-300HA」を開発しました。これにより比較的大きなサイズの成形品への対応が可能になり、また縦型第二射出装置「ファナック ロボショット SI-20A」との組み合わせで「三材成形」も可能となり、適用範囲の一層の拡大が期待されます。
 ロボカット(ワイヤカット放電加工機)につきましては、ワイヤカット放電加工機「ファナック ロボカット α-CiA シリーズ」の後継機種として、「ファナック ロボカット α-CiB シリーズ」を開発しました。基本性能を向上させるとともにラインナップに大型仕様を追加して、大型金型の加工を可能としたことで、適用範囲を拡大しました。早速、市場からは良好な反応をいただきました。
 ロボナノ(超精密加工機)につきましては、ファナックの最新のFA技術を適用したマシニング系超精密加工機「ファナック ロボナノ α‐NMiA」を開発しました。従来機より加工面精度、面品位が大幅に向上し、またワークの加工領域の拡大により、適用範囲の拡大が大いに期待されます。
 このほかロボマシンの各商品について、ロボマシンとロボットをパッケージ化した簡単スタートアップパッケージ「QSSP」(Quick & Simple Startup Package)を開発しました。これにより、システム設計工数やシステムアップ工数が大幅に低減され、製造現場の自動化が一層容易になります。
 

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

連結財務諸表の作成にあたっては、期末日における資産、負債および偶発債務ならびに会計期間における収益、費用に影響を与える見積もりを必要としておりますが、実際の結果と異なる場合があります。

中でも連結財務諸表に与える影響が最も大きいと考えられるものは、以下の退職給付債務であります。

(退職給付債務)

当社グループの従業員退職給付費用および債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用および計上される債務に影響を及ぼします。長期金利の低下や運用利回りの悪化は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

2 経営成績の分析

平成28年度における連結業績は、売上高が5,369億42百万円(前期比13.9%減)、経常利益が1,688億29百万円 (前期比26.4%減)、当期純利益が1,276億97百万円(前期比20.0%減)となりました。

当期における当社グループを取り巻く事業環境につきましては、米州における設備投資需要は堅調に、国内および欧州においては概ね横ばいに、それぞれ推移しました。中国およびその他のアジアにおいては、期の終わりごろから回復傾向が見られるようになりました。
 このようななか当社グループは、「one FANUC」、「壊れない。壊れる前に知らせる。壊れてもすぐ直せる。」および「サービス・ファースト」をスローガンに掲げ、当社商品およびサービスについてお客様にご安心いただけるための取り組みをグループ一丸となって行いました。またAI技術の当社商品への適用を進めると同時に、FIELD system (FANUC Intelligent Edge Link and Drive system)の立ち上げ準備を中心にIoTへの対応を加速させるなど、今後の事業の安定と発展のための取り組みを推し進めました。
 

3 財政状態の分析

(資産)

資産合計は、前連結会計年度末比518億74百万円増の1兆5,647億69百万円となりました。これは、有形固定資産が543億31百万円増加したことが主な要因です。

(負債)

負債合計は、前連結会計年度末比173億27百万円増の1,953億12百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が111億96百万円、未払法人税等が57億94百万円増加したことが主な要因です。

(純資産)

純資産合計は、前連結会計年度比345億47百万円増の1兆3,694億57百万円となりました。これは、利益剰余金が376億96百万円増加したことが主な要因です。

 

4 キャッシュ・フローの分析

営業活動の結果得られた資金は、1,217億13百万円と、前連結会計年度に比べ189億20百万円減少しました。これは主に税金等調整前当期純利益が減少したことによるものです。

投資活動の結果使用した資金は、885億62百万円であり、前連結会計年度に比べ241億15百万円減少しました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が減少したことによるものです。

財務活動の結果使用した資金は、902億67百万円であり、前連結会計年度に比べ793億5百万円減少しました。これは、主に配当金の支払いが減少したことによるものです。

以上のキャッシュフローの増減に現金及び現金同等物に係る換算差額2億15百万円を加算し、連結キャッシュ・フローは、△569億1百万円となりました。
 

5 資本の財源について

当期の所要資金は全て自己資金により充当し、外部からの調達は行っておりません。