第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

ファナックは1956年に日本で民間初のNCとサーボ機構の開発に成功して以来、一貫して工場の自動化を追求してまいりました。
 ファナックの基本技術であるNCとサーボから成るFA事業と、その基本技術を応用したロボット事業およびロボマシン事業の三本柱に、IoTを担うオープンプラットフォーム「FIELD system」を加えた事業を基本として、お客様における製造の自動化と効率化を推進することで、国内外の製造業の発展に貢献してまいります。

また、当社グループでは、様々な判断を行う上で、客観的な指標に相当するものとして、売上高、営業利益、経常利益、純利益等の推移を注視しています。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

IT関係の一時的需要が引き続き見込めない状況が続くことに加え、国家間等の貿易摩擦の影響を含む各国の関税政策や為替動向などの様々な不透明な要因から、総じて予断を許さない状況が続くものと思われます。
 このような状況においても、当社グループは、会社の将来を見据え、短期的な事象に左右されない、長期的な視点に立った経営を続けてまいります。

 
 こうした考えを基本としながら当社グループは、「one FANUC」を合言葉に、FA・ロボット・ロボマシンが一体となったトータルソリューションの提供、およびグループ一体となった世界のお客様への対応、という当社グループならではの強みを最大限活かしてまいります。
 また、ファナック商品は製造現場でご使用いただく設備であるとの原点に立ち、お客様の工場におけるダウンタイムを最小にし稼働率向上を図るため、「壊れない」「壊れる前に知らせる」「壊れてもすぐ直せる」を商品開発において徹底いたします。同時に、資本財のサプライヤとしてお客様への供給責任を果たすべく、お客様にご安心いただける生産体制を確保してまいります。
 そして世界中のどこでもファナックのグローバルスタンダードに沿った高度なサービスを提供すること、お客様が使用し続ける限り保守を続ける「生涯保守」を行うこと、を基本理念とした「サービス ファースト」を実践してまいります。
 さらに、当社グループは、IoT・AI技術を、当社が今後も競争力の高い商品を開発し市場投入していくうえで必要不可欠な技術と考えております。当社はこれらの技術をFA・ロボット・ロボマシンの全ての分野に積極的に適用していくことで、お客様における生産の効率化を一層推進します。

 
 現在、当社を取り巻く事業環境は厳しい状況ではありますが、当社グループは、長期的視点に立ち、商品競争力の強化、セールス・サービス活動の強化、工場の自動化・ロボット化の推進、業務の合理化など、より強い企業体質にするための施策を推し進めます。また、いかなる場合にもお客様への供給責任を果たし、サービス活動を維持することができるよう、生産拠点やサービス拠点の複数化に取り組んでおります。

 
 今後もあらゆる面で当社グループは、創業以来の基本理念である「厳密」と「透明」を徹底し、こうした諸施策をグループ一丸となって推し進めることにより、お客様の当社グループへの安心と信頼を高めるとともに、激しい環境変化に適応することで、永続的な企業となるべく努力してまいります。

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、当社グループは、これらのリスクを認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に努める所存です。

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断できたものであります。

 

1 経済状況

当社商品の需要は、当社グループが商品を販売している国の経済状況と主な販売先である製造業の設備投資の影響を受けます。景気変動による設備投資需要の変動は激しく、特に製造業にかかわる景気の後退は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社の競合会社が存在する国(例えばEU)の通貨が下落した場合、国際市場での競合会社の価格競争力が強まるため、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

2 為替レートの変動

当社は、製造の大部分を日本で行っている一方、販売の多くの部分を海外において現地通貨建てで行っているため、一般に、他の通貨に対する円高は、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社の連結財務諸表は円で表示されているため、当社の外貨建ての資産・負債を円に換算する際、及び当社の海外子会社の財務諸表を円に換算する際、資産・負債の評価額が為替レートにより影響を受けます。

 

3 新商品開発力

当社は、研究開発に経営の重点を置き、高信頼性、高性能で価格競争力のある新商品の開発を継続していけると考えておりますが、当社グループが属する業界は技術的な進歩が極めて急速であります。従って、以下の場合には、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

① 新たに開発した商品を含め、当社商品又は技術が独自の知的財産権として保護されない場合
② 当社が新技術ならびに業界・市場の変化を正確に予測できず、魅力ある新商品を開発できない、あるいはタイムリーに開発できない場合
③ 他社が画期的な新商品やサービスを開発することによって、性能、機能、価格、信頼性において当社との間に大きな差がついた場合

 

4 価格競争

当社は、ファナックの基本技術であるNCとサーボから成るFA事業と、その基本技術を応用したロボット事業およびロボマシン事業の三本柱に、IoTを担うオープンプラットフォーム「FIELD system」を加えた事業を基本として、高い信頼性と競争力をもつ商品を開発してまいりました。これによってお客様に貢献することで、当社商品は市場において高い評価をいただいております。

しかし、当社の属する業界においては、世界的に激しい開発競争が行われております。競合企業による低価格の新製品投入などによって、市場における競争が激しくなると、当社の商品の価格競争力を低下させ、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

5 納期

お客様が希望する納期に応えられないことにより注文を失う場合には、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

6 アライアンス、技術供与、資本参加等に関するリスク

当社グループは、競争力強化のため、合弁などの形で、多くの会社と共同で活動を行っており、引き続きこのような活動を前向きに活用する予定です。しかし、経営、財務、その他の要因により、このような協力関係を成立または継続できない場合や、これらの協力関係から十分な成果を得られない場合には、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社の商品、サービスには、他社の許諾を受けて使用している特許や技術、ソフトウェア、商標等を前提としているものがあります。これらの特許等について、今後、万一当社が許容できる条件で、他社からの供与や使用許諾が受けられなくなる場合には、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、資本参加や企業買収については、出資等による多額の費用が発生する可能性や、期待した成果が十分に得られない、または予期しない損失を被る恐れがあります。

 

 

7 知的財産

知的財産の流出については、可能な限りの防衛策を講じておりますが、研究員の転職等により当社の商品等の情報が流出し、模倣商品や競合する商品、機能が出現する可能性があります。その場合、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社は、当社商品について、他社と差別化できる技術とノウハウを蓄積しておりますが、将来、当社商品又は技術が他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性があります。その場合、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

8 人材

当社は、優秀な技術者など、必要とする人材を採用、育成し、雇用の維持を図ることができるよう、処遇をより良くすべく対策をとっております。しかし万一、適切な人材の採用ができなくなった場合やその育成に失敗した場合、あるいは専門分野を担当している人員を退職や休職等により欠くことになった場合、専門業務の遂行ができなくなったり、開発力が低下する可能性があります。その場合、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

9 輸出管理

当社は、日本国及び関係会社が所在する各国の輸出管理法令を遵守し輸出管理を確実に履行するために、輸出管理社内規定を定め、輸出管理体制を整備しております。しかし、万一、輸出管理法令への違反があった場合は、罰則の適用を受けるなどの重大な影響(取引先等の他社が輸出関連法令に基づいて何らかの制約等を受けることにより当社グループが間接的に受けることとなる影響を含みます。)があります。また、当社の直接の法令違反等ではなかったとしても、何らかの原因によって不正輸出等に結果的に関与をした場合は、企業としての社会的責任が問われる可能性があります。また、輸出管理法令の制定、改正あるいは運用等が当社グループの営業活動に制約を与える場合があります。これらに起因した事象が、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

10 グローバル マーケットに潜在するその他のリスク

当社は、世界各国で事業活動を行っております。各国において下記のようなリスクが内在します。

① 予期しない法律または規制の変更
② 不利な政治または経済要因
③ テロ、戦争、疫病、天災、その他の要因による社会混乱

これらの事象は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

11 情報セキュリティに関するリスク

当社は、情報セキュリティについて注意を払っていますが、インフラ障害、サイバー攻撃、コンピュータウィルスへの感染等によって、各種業務活動の停止、データの喪失および流出(個人情報を含む)、商品・サービス(顧客に提供済のものを含む)の機能の停止等が生じた場合、対策費用の発生、当社商品の信用の失墜やブランドイメージの毀損などにより、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

12 災害、事故等に関するリスク

当社商品は資本財であり、研究所、工場を日本国内に集中させ、そこで開発、製造された製品を全世界に供給することにより、効率化を図っております。

地震、富士山噴火、火災、大雪、台風等の災害や、長時間にわたる停電その他の事故が発生した場合に、当社の開発、製造に対する影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。また、当社工場から各市場への納入途上において何らかのトラブルが発生した場合、物流コストの増加や納入遅延による売上の機会損失などが生じ得ます。それらの事象が発生した場合、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

13 調達部品におけるリスク

当社は、商品の重要部品を当社グループ内で製造するよう努めている一方で、当社グループ内で製造していない重要部品はグループ外の他社に依存しています。天災地変等の災害や事故(火災などを含む)、供給元の事情、市場の状況などによってそれら部品の調達に不足が生じた場合、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

部品や原材料については、国内外の供給元の中からできるだけ低価格で調達を進める努力をしていますが、原材料の国際的な市場における価格高騰や人件費の高騰、運賃の上昇などにより、購入先から値上げされた場合、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、国内外の供給元の中からできるだけ品質が優れた部品や原材料の調達を進める努力をしていますが、これらの部品や原材料に万一不良があった場合は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

14 製品の欠陥等

当社グループは、ISOなど、世界的に認められている品質管理基準に従って各種商品の設計・製造をしておりますが、これらの商品について欠陥が皆無という保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。人身事故、火災事故など重大な事故や、広範囲に影響を及ぼす大規模な事故が発生した場合には、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社商品に障害が発生したり、その障害によりお客様の安全を損ねたりした場合には十分な対策を講じるように務めていますが、その対応が不適切だったことにより、お客様の信用を失ったり、損害賠償請求を受けたり、障害対策費用が多額になったりする場合には、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

15 労働災害、事故

当社では労働災害を防止すべく社員の健康・安全には十分注意を払っておりますが、発生リスクは常に存在しています。こうした労働災害が発生した場合、社員の死傷といった人的損害に加え、作業の一時中断・遅延等に伴う当社商品の納期遅延に伴うお客様への補償等により、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

16 環境汚染に関するリスク

当社グループでは、環境負荷の低減に努めておりますが、事業活動を通じて一切の環境汚染が発生しないという保証はありません。以下による環境汚染が生じた場合、浄化処理費用等の対策費用が発生し、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

① 当社グループの工場敷地において、今後、新たな汚染が判明した場合
② 自然災害、火事等により当社の建物、設備が倒壊し、汚染物質が流出した場合
③ 産業廃棄物の処理業者の違法行為により、不法投棄等の不適切な処理が行われた場合
④ アスベストのように時間の経過、技術の進歩にしたがって問題として顕在化する環境汚染物質が今後発見された場合

また、環境汚染に関する規制の強化や変更は、対応コストを増加させ、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

17 退職給付債務

当社グループの退職給付費用及び債務は、数理計算上の割引率や、年金資産の長期期待運用収益率などの前提条件に基づいて算出しております。しかしながら、運用環境の悪化などにより、実際の結果がこれらの前提条件と異なった場合、あるいは前提条件の変更が必要になった場合には、退職給付費用や債務が増加し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の業績の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

a. 財政状態

(資産)

資産合計は、前連結会計年度末比1,028億87百万円減の1兆6,253億40百万円となりました。これは、受取手形及び売掛金が692億56百万円減少したことが主な要因です。

(負債)

負債合計は、前連結会計年度末比804億3百万円減の1,801億94百万円となりました。これは、未払法人税等が314億59百万円、退職給付に係る負債が254億65百万円減少したことが主な要因です。

(純資産)

純資産合計は、前連結会計年度末比224億84百万円減の1兆4,451億46百万円となりました。これは、利益剰余金が185億38百万円減少したことが主な要因です。

 

 b. 経営成績

当期における当社グループを取り巻く事業環境につきましては、期の初めは需要が概ね堅調に推移したものの、米中貿易摩擦の影響と前年度活発だった中国のIT関係の一時的な需要がなくなったことなどから、期の後半を中心に極めて厳しい状況となりました。
 このようななか当社グループは、「one FANUC」、「壊れない」「壊れる前に知らせる」「壊れてもすぐ直せる」および「サービス ファースト」をスローガンに掲げ、当社商品およびサービスを通じて、信頼性が高く効率的・先進的な生産体制をお客様が安心して構築・維持できるようにするための取り組みをグループ一丸となって推進しました。またIoTへの対応として、様々な企業が参加できるオープンプラットフォームであるFIELD system(FANUC Intelligent Edge Link and Drive system)の機能拡張およびアプリケーション(パートナー企業製を含む)の充実を図り、FIELD systemの普及に努めるとともに、AI技術の当社商品への適用を進めました。

 2018年度における連結業績は、売上高が6,355億68百万円(前期比12.5%減)、経常利益が1,834億59百万円(前期比26.5%減)、当期純利益が1,541億63百万円(前期比15.3%減)となりました。なお、特別利益として厚生年金基金代行返上益250億81百万円を計上しております。
  (注) [事業の状況]における「当期純利益」は、連結損益計算書における「親会社株主に帰属する当期純利益」

   を指します。

当期におきまして、製造現場のダウンタイムをゼロにする実用的なIoT商品「ZDT(ゼロダウンタイム)」が、「第8回ロボット大賞 経済産業大臣賞/総務大臣賞」を受賞いたしました。また、安定した超精密加工を実現する超精密加工機「ファナック ロボナノ α-NMiA」が「2018年日刊工業新聞十大新製品賞 本賞」および「2018年日経優秀製品・サービス賞 最優秀賞 日経産業新聞賞」を受賞いたしました。

 

なお、当社グループは、CNCシステムとその応用商品を提供する企業グループとして、単一セグメントの事業を営んでおりますが、商品部門別の状況は以下のとおりです。

 

〔FA部門〕

CNCシステムの主要顧客である工作機械業界の需要は、国内、欧州で高い水準が続き、インドでも堅調に推移しました。しかしながら、米中貿易摩擦の影響により中国、台湾において期の途中から需要が急激に落ち込んだほか、韓国でも内需の減速を受け低調に推移しました。これらの結果、当社グループのCNCシステムの売上高は前年度に比べ減少しました。

レーザにつきましては、国内、海外で引き続きファイバレーザ発振器の拡販に努めました。
 FA部門の連結売上高は、2,110億88百万円(前期比5.0%減)、全連結売上高に対する構成比は33.2%となりました。

 

〔ロボット部門〕

ロボット部門につきましては、国内および欧州で堅調に推移したものの、米州の自動車産業において設備投資の谷間が続いたほか、中国で特に一般産業向けが弱い動きとなりました。これらの結果、ロボット部門全体の売上高は前年度に比べ減少しました。
  ロボット部門の連結売上高は、2,175億26百万円(前期比4.5%減)、全連結売上高に対する構成比は34.2%となりました。

 

〔ロボマシン部門〕

ロボドリル(小型切削加工機)は、前年度活発だった中国のIT関係の一時的需要がなくなったため、大きく減少しました。しかし、自動車部品などIT関係以外の市場では総じて堅調で、特に国内、欧州、インドで販売が伸びました。ロボショット(電動射出成形機)については、前年に引き続き堅調に売上が推移しましたが、ロボカット(ワイヤカット放電加工機)はやや減少しました。
  ロボマシン部門の連結売上高は、1,150億56百万円(前期比39.5%減)、全連結売上高に対する構成比は18.1%となりました。

 

〔サービス部門〕

サービスにつきましては、「サービス ファースト」のスローガンのもと、サービス体制の強化、サービス技術の向上、サービスツールの充実、IT技術の積極的な導入による効率アップなどを進めました。世界中に263ヶ所のサービス拠点を置き、108ヶ国をカバーする体制を構築し、お客様の工場でのダウンタイムを最小限にするための迅速な保守サービス活動を行っております。(注:サービス拠点と対象国数は2019年3月末現在)
 サービス部門の連結売上高は、918億98百万円(前期比6.4%増)、全連結売上高に対する構成比は14.5%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年度末比1,181億89百万円減の6,077億14百万円となりました。

 

(各キャッシュ・フローの状況)

営業活動の結果得られた資金は、前年同期比17億48百万円増の1,777億38百万円であり、これは主に売上債権が減少したことによるものです。

投資活動の結果使用した資金は、前年同期比69億14百万円減の1,233億43百万円であり、これは有形固定資産の取得による支出は増加したものの、主に定期預金の払戻による収入が定期預金の預入による支出を上回ったためです。

財務活動の結果使用した資金は、前年同期比797億71百万円増の1,728億68百万円であり、これは主に配当金の支払額が増加したことによるものです。

 

 ③ 生産、受注及び販売の実績

 a. 生産実績

  (当連結会計年度)

生産高(百万円)

前期比(%)

544,897

△15.5

 

(注) 1 生産高は、販売価格によっております。

     2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

 b. 受注実績

  (当連結会計年度)

受注高(百万円)

前期比(%)

594,877

△21.3

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 c. 販売実績

  (当連結会計年度)

販売高(百万円)

前期比(%)

635,568

△12.5

 

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

     2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

     当該割合が10%未満のため記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

連結財務諸表の作成にあたっては、期末日における資産、負債および偶発債務ならびに会計期間における収益、費用に影響を与える見積りを必要としておりますが、実際の結果と異なる場合があります。

中でも連結財務諸表に与える影響が最も大きいと考えられるものは、以下の退職給付債務であります。

(退職給付債務)

当社グループの従業員退職給付費用および債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用および計上される債務に影響を及ぼします。長期金利の低下や運用利回りの悪化は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績等の状況

2018年度における連結業績は、売上高が6,355億68百万円(前期比12.5%減)、経常利益が1,834億59百万円 (前期比26.5%減)、当期純利益が1,541億63百万円(前期比15.3%減)となりました。

当期における当社グループを取り巻く事業環境につきましては、期の初めは需要が概ね堅調に推移したものの、米中貿易摩擦の影響と前年度活発だった中国のIT関係の一時的な需要がなくなったことなどから、期の後半を中心に極めて厳しい状況となりました。
 このようななか当社グループは、「one FANUC」、「壊れない」「壊れる前に知らせる」「壊れてもすぐ直せる」および「サービス ファースト」をスローガンに掲げ、当社商品およびサービスを通じて、信頼性が高く効率的・先進的な生産体制をお客様が安心して構築・維持できるようにするための取り組みをグループ一丸となって推進しました。またIoTへの対応として、様々な企業が参加できるオープンプラットフォームであるFIELD system(FANUC Intelligent Edge Link and Drive system)の機能拡張およびアプリケーション(パートナー企業製を含む)の充実を図り、FIELD systemの普及に努めるとともに、AI技術の当社商品への適用を進めました。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性についての分析

(財政状態)

(資産)

資産合計は、前連結会計年度末比1,028億87百万円減の1兆6,253億40百万円となりました。これは、受取手形及び売掛金が692億56百万円減少したことが主な要因です。

(負債)

負債合計は、前連結会計年度末比804億3百万円減の1,801億94百万円となりました。これは、未払法人税等が314億59百万円、退職給付に係る負債が254億65百万円減少したことが主な要因です。

(純資産)

純資産合計は、前連結会計年度末比224億84百万円減の1兆4,451億46百万円となりました。これは、利益剰余金が185億38百万円減少したことが主な要因です。

 

 (キャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、1,777億38百万円と、前連結会計年度に比べ17億48百万円増加しました。これは主に売上債権が減少したことによるものです。

投資活動の結果使用した資金は、1,233億43百万円であり、前連結会計年度に比べ69億14百万円減少しました。これは有形固定資産取得による支出は増加したものの、主に定期預金の払戻による収入が定期預金の預入による支出を上回ったためです。

財務活動の結果使用した資金は、1,728億68百万円であり、前連結会計年度に比べ797億71百万円増加しました。これは、主に配当金の支払額が増加したことによるものです。

以上のキャッシュフローの増減に現金及び現金同等物に係る換算差額△5億80百万円を加算し、連結キャッシュ・フローは、△1,190億53百万円となりました。
 

 (資本の財源)

当期の所要資金は全て自己資金により充当し、外部からの調達は行っておりません。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

 

相手会社名

国名

契約品目

契約内容

契約期間

シーメンス社

ドイツ

CNCシステム、CNC自動プログラミング装置、ロボット

特許実施権の相互供与

自 1983年4月19日
至 2019年12月31日

株式会社
Preferred Networks

  日本

  当社商品全般

当社商品等の知能化その他の付加価値向上等のための協業

自 2015年7月1日
至 2020年2月29日

 

 

 

5 【研究開発活動】

当期におきましては、「信頼性向上」と「スピードアップ」等を推進するため、引き続き積極的に研究員の採用を進めるとともに、研究所群の拡張を行いました。こうしたなか、ハードウェア研究所、ソフトウェア研究所、サーボ研究所、レーザ研究所、ロボット機構開発研究所、ロボットソフト開発研究所、ロボドリル研究所、ロボショット研究所、ロボカット研究所、ロボナノ研究部におきましては、お客様における製造の自動化と効率化に寄与すべく、高信頼性を基本に性能の向上等を推し進めた、より競争力の高い様々な新商品、新機能を開発し、市場に投入しました。
 基礎研究所では、当社商品に適用される次世代要素技術などの研究開発を行っております。
 また、アメリカ西海岸に新たに先端技術研究所を設立しました。カリフォルニア大学バークレー校、スタンフォード大学などと交流しながら、CNC、ロボットの知能化に取り組みます。
 
 当社は、IoTへの対応としまして、従来のFA、ロボマシンのLINKi機能において機能追加を行うとともに、様々な企業が参加できるオープンプラットフォームであるFIELD systemにおいてベースソフトウェアの第2版をリリースしました。FIELD systemは、製造現場の各種機器を接続し、生産性の向上を図るIoT商品で、製造現場のエッジ部分(加工現場、組立現場)で情報をリアルタイムに処理できる点が大きな特長です。
 また、AIにつきましては、FA、ロボット、ロボマシンの全商品群において、株式会社Preferred Networksと協力し、AI技術の適用を推し進めています。今後も、AI技術をより活用することにより、各商品の知能化をさらに進め、他社との差別化、高付加価値化を図ります。
 さらに、FIELD systemとAI技術の組み合わせにより、各商品の知能化機能の性能が高まり、かつその結果がIoTで共有可能となるなど、大きな相乗効果を期待できます。

 

当連結会計年度の研究開発費は、56,162百万円となっております。

 

当連結会計年度における新商品の主な成果は以下のとおりです。

 

CNCシステムにつきましては、ファナックのグローバルスタンダードCNCである「ファナック Series 0i-F」の後継機種として、最新の制御技術を搭載するとともに使い易さを向上させた「ファナック Series 0i-F Plus」を開発しました。

サーボにつきましては、切り屑処理を効率化する「サーボ学習オシレーション」のほか、機械学習を用いたサーボ調整により、高度な振動抑制効果を得られる「AIサーボチューニング」などを開発しました。また、様々な用途向けに拡販すべく、ラインナップの強化に努めました。
  レーザにつきましては、ファイバレーザ発振器「ファナック ファイバレーザ シリーズ」で中厚板の高速切断および厚板切断の市場要求に応えるため、最大出力12kWのファイバレーザの開発を行いました。幅広いレーザアプリケーションの要望に対応することができ、今後の拡販が期待されます。

 

ロボットにつきましては、安全柵を必要とせず人との協働作業が可能な緑のロボット「協働ロボット」に小型の14kg可搬モデルを追加し、ラインナップを拡充しました。また、実軌跡を加速度センサで推定し、目標軌跡とのずれを学習により改善する「AI軌跡制御機能」を新たに開発したことで、高軌跡精度が必要となるレーザ切断やウォータジェット加工等の用途向けに拡販が期待されます。さらに、従来型センサと比べ、より広い範囲を高速に計測できる「3Dビジョンセンサ 3DV/600」を開発しました。これらをはじめとした新商品、新機能等により、ファナックロボットの適用用途の一層の拡大が期待されます。

 

ロボドリル(小型切削加工機)、ロボショット(電動射出成形機)およびロボカット(ワイヤカット放電加工機)につきましては、「ファナック ロボドリル α-DiB シリーズ」、「ファナック ロボショット α-SiA シリーズ」および「ファナック ロボカット α-CiB シリーズ」において、周辺装置メーカが自社商品に関する画面を容易に作成できるカスタム画面を開発しました。これにより拡張性が向上し、ロボマシン商品の拡販に寄与します。また、ロボットとの連携に関する基本要素をパッケージ化し、ロボットシステムの導入をサポートする「QSSR」(Quick and Simple Startup of Robotization)のレベルアップを行い、製造現場の自動化がより一層容易になりました。
 ロボナノ(超精密加工機)につきましては、ファナックの最新のFA技術を適用した旋盤系超精密加工機「ファナック ロボナノα-NTiA」を開発しました。光学レンズ金型の安定した量産加工を実現し、今後の拡販が期待されます。