第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

当社グループは1956年に日本で民間初のNCとサーボ機構の開発に成功して以来、一貫して工場の自動化を追求しています。
 創業期に目指した、小柄でもしっかり根を張った巨人のごとき逞しさがある企業、技術で勝負する企業を希求し続け、「狭い路」を真っ直ぐに歩むことに努めています。
 その企業像を実現するために、当社グループは基本理念として「厳密と透明」を掲げています。そこには、企業の永続性、健全性は厳密から生まれ、組織の腐敗、企業の衰退は不透明から始まる、という考えがあります。
 当社グループは、基本技術であるNCとサーボ、レーザからなるFA事業と、その基本技術を応用したロボット事業およびロボマシン事業、そして製造現場のIoT事業に絞り込んで商品の開発を行い、世界に無くてはならない価値をお客様に提供し続けてまいります。
 また、生産財のサプライヤであるとの原点に立ち、お客様がファナックの商品をお使いになる限り、保守サービスを提供し続けてまいります。
 当社グループはこれらの事業活動を通じて、お客様の工場の自動化と効率化を推進することで国内外の製造業の発展に貢献し、今後も中長期的に拡大が見込まれる工場の自動化分野において、着実な成長を実現してまいります。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

ファナックの商品は景気変動の影響を大きく受け易い生産財であることから、短期的な事象に左右されない、長期的な視点に立った経営を続けています。
 米中貿易摩擦が長期化する中、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響等も加わり、予断を許さない状況が続くものと思われます。その一方で、工場の自動化への要求は中長期的に拡大することが見込まれます。
 当社グループはこうした環境変化に適応するため、引き続き、長期的な視点に立った経営を重視してまいります。
 当社グループは、「one FANUC」を合言葉に、FA・ロボット・ロボマシンが一体となったトータルソリューションの提供、およびグループ一体となった世界のお客様への対応、という当社グループならではの強みを最大限活かしてまいります。特に、CNC工作機械とロボットとの連携、ロボマシンとロボットとの連携を重要テーマの一つと捉え、商品を開発してまいります。
 また、ファナックの商品は製造現場でご使用いただく生産財であるとの原点に立ち、お客様の工場におけるダウンタイムを最小にして稼働率向上を図るため、「壊れない、壊れる前に知らせる、壊れてもすぐ直せる」ことを商品開発において徹底いたします。また、工場の自動化への要求が拡大する一方、熟練労働者の確保が難しくなる状況に対応するため、使い易さを一層重視した商品開発にも取り組んでまいります。
 そして世界中のどこでもファナックのグローバルスタンダードに沿った高度な保守サービスを提供すること、お客様が使用し続ける限り保守を続ける「生涯保守」を行うこと、を基本理念とした「サービス ファースト」を実践してまいります。特に、競合会社が追随することが難しい「生涯保守」については、当社グループの大きな特長として、引き続き注力してまいります。
 さらに、当社グループは、今後も競争力の高い商品を開発し市場投入していくうえで、IoT・AI技術を必要不可欠なものと考えております。これらの技術をFA・ロボット・ロボマシンのすべての分野に積極的に適用していくことで、お客様における生産の効率化を一層推進します。IoT技術についてはオープンプラットフォーム「FIELD system」などの開発も進めています。AI技術については実際の製造現場で役立つ機能の開発を進めています。当社にない技術については、引き続き他社との協業も積極的に推進して、スピーディな開発に努めてまいります。
 当社グループは、長期的視点に立ち、商品競争力の強化、セールス・サービス活動の強化、工場の自動化・ロボット化の推進、業務の合理化など、より強い企業にするための施策を推し進めます。また、生産財のサプライヤとして、いかなる場合にもお客様への供給責任を果たし、サービス活動を維持することができるよう、生産拠点やサービス拠点の複数化に取り組んでおります。さらに、部品調達先の複数化、適切な部品在庫の保有など、サプライチェーンの強化にも取り組んでいます。
 こうした活動の一方で、当社グループは経費と時間の削減および業務の合理化にも取り組み、強い企業体質の維持に努めています。また、中長期的な成長のためには、人材が最重要であるとの観点に立ち、社員がより働きやすい職場の実現、社員のモチベーションの一層の向上も重要課題として取り組んでまいります。
 経営に当たっては、ファナックの商品はSDGsの達成にも大きく貢献することを一層意識してまいります。また、営業利益率、経常利益率、ROEなどに加えて、市場シェアも重要な経営指標と捉え、総合的に判断してまいります。
 喫緊の課題として、当社グループは、お客様、お取引先、社員およびその家族の新型コロナウイルス感染予防・感染拡大防止を最優先としつつ、お客様への商品の供給とサービス活動の継続を図ってまいります。
 今後もあらゆる面で当社グループは、基本理念である「厳密と透明」を徹底し、こうした諸施策をグループ一丸となって推し進めることにより、お客様の当社グループへの安心と信頼を高めるとともに、激しい環境変化に適応することで、永続的な企業となるべく努力してまいります。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在の状況に対する判断に基づくものです。

 

< 1.特に重要なリスク >

 

① 新型ウイルス等の感染症の拡大に関するリスク

新型ウイルス等による感染症が拡大した場合、当社グループの従業員等の健康、安全が脅かされ、損なわれる可能性があります。また、当社グループの従業員や家族に感染者が発生した場合、周辺の地域住民への感染拡大やそれによる地域医療への負担の増加など、地域社会に大きな影響を与える可能性があります。
 当社グループの部品調達先や加工・組立業務委託先に感染者が発生した場合、当社グループの生産に影響を及ぼす可能性があります。また、部品調達先の所在する国や地域でロックダウン(都市封鎖)が行われた場合、部品の生産や物流に大きな制限を受け、当社グループの部品調達に重大な支障が起きる可能性があります。その結果、当社グループの生産の遅れや商品の納期遅延につながる可能性があります。当社グループが供給責任を果たせない場合、当社グループへの顧客の信頼が損なわれ顧客を失う可能性があります。また、感染症の拡大により、顧客の事業活動への影響を通じて市場が停滞・縮小し、当社の受注が減少する可能性があります。
 こうした影響を通じて、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼし、当社の株価下落につながる可能性があります。 
 
 このため当社グループでは、新型ウイルス等の感染症に対しては、感染拡大防止、部品の複数調達先の確保等サプライチェーンリスクマネジメントの強化などの対策に努めてまいります。なお新型コロナウイルス感染症については、対策本部を設置し、感染防止に努めています。
 

② 噴火、大地震等の自然災害に関するリスク
 当社商品はいずれも生産設備として生産現場で使われるものであり、当社商品の大ユーザでもある自社工場と研究所とを密接に連携させることにより大きなメリットが得られること等から、当社では研究所、工場等を本社地区に集中させることで、研究開発と生産技術の強化と効率化を図っています。しかし、一方で、こうした拠点の集中により高まり得る自然災害リスクへの対応が重要です。特に本社地区において、近隣に位置する富士山の噴火が発生することは非常に稀と考えられますが、万一発生した場合の影響は甚大です。また、大地震が発生した場合も被害は甚大になる可能性があります。この他、地震や台風、大雪などの自然災害で影響を受ける可能性があります。
 
 こうした自然災害リスクに対応するため、本社工場(山梨県南都留郡忍野村・山中湖村)以外に、壬生工場(栃木県下都賀郡壬生町)、筑波工場(茨城県筑西市)等の生産拠点の新設、拡大強化による生産拠点の複数化を推進しています。また、サービスにおいても、保守部品の保管倉庫、サービス情報システムのサーバの設置拠点について、日野支社(東京都日野市)の再構築と名古屋サービスセンタ(愛知県小牧市)の開設により複数拠点化を行いました。また、本社、壬生工場、筑波工場への、非常用電源にも使用できる都市ガスを利用したコージェネレーションシステムの導入など、非常用のライフラインの確保やデータセンタの二重化などに取り組んできました。
 今後も、災害リスクに対する積極的な取り組みを進めてまいります。
 

③ サイバーセキュリティに関するリスク
 近年、サイバー攻撃については、手口の高度化、巧妙化により、ますます脅威が高まっています。サイバー攻撃により、当社グループの生産設備等が被害を受け生産に影響が生じる可能性や、当社の技術上、営業上等の秘密情報が流出する可能性があります。また、IoT関連の商品・サービス・ネットワーク(当社が利用する他社クラウド基盤を含む)を通じて顧客等の製造設備等に被害が生じ、当社グループが顧客等から信用を失う可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合、経営成績等に大きな影響が生じる可能性があります。
 本リスクについて、当社グループでは対策に努めているものの、サイバー攻撃の高度化、巧妙化等に鑑み、顕在化の可能性が低いとは言い切れません。
 
 このため当社グループでは、サイバーセキュリティ委員会を設け、CISO(チーフ インフォメーション セキュリティ オフィサー)を中心にセキュリティ強化等に努めており、リスクの回避等に向けて今後も努力してまいります。
 

④ 競争力低下に関するリスク
 当社グループを取り巻く事業環境において、今後以下の状況が益々強まることが予想されます。

・新興国企業等の技術力、競争力の急速な向上

・商品単体の信頼性や機能等の競争だけでなく、様々なIoTシステムとの連携を含めた総合的な使い易さ、信頼性

 等の競争への変化。また、これらに伴う市場や顧客ニーズの多様化や変化

・様々な新技術の台頭とともに、当社グループの既存技術による競争力が低下する可能性
 
 以上の外部環境の変化に柔軟、迅速に対応できない場合、商品の競争力等による当社グループの優位性が失われる可能性があり、当社グループの事業戦略や経営成績等に大きな影響が生じるリスクがあります。
 本リスクについて、事業環境の急速な変化に鑑み、顕在化の可能性が低いとは言い切れません。
 
 こうした課題に対処するため、当社グループは、自らの従来からの優位性を活かしつつも環境変化に柔軟、迅速に適応できるよう、研究開発を一層強化し、競争力の維持、強化に努めてまいります。
 

⑤ 人材確保に関するリスク
 当社グループが永続的に発展していくためには、優れた人材を確保・育成することが重要となります。外部環境の変化が激しさを増し、ますます競争が厳しくなる中、創造性豊かな優秀な人材の確保・育成がこれまで以上に重要になってきます。こうした人材の確保・育成を十分行えなかったり、優秀な人材が流出した場合、当社グループの競争力が低下し、結果として当社グループの発展等に大きな影響が生じます。
 本リスクについても、顕在化の可能性は低いとは言い切れません。
 
 こうした課題に対処するため、当社グループは、従業員の教育の徹底、仕事を通じた能力とモチベーションの向上、ワークライフバランスの充実など、働くうえで一層魅力的な企業となり、企業文化の継承力と創造性を併せ持った人材を育成して適所に配置することに努めてまいります。
 
 

< 2.重要なリスク >
 

① コンプライアンスに関するリスク
 当社グループにおいて法令違反、社会規範・倫理上の問題や企業秘密漏洩等のコンプライアンス問題が生じた場合、当社グループに対する罰則等による直接的影響はもとより、社会的信用・企業イメージの低下により、事業運営や経営成績等に大きな影響が生じる可能性があります。
 本リスクについても、顕在化の可能性は低いとは言い切れません。
 
 こうした課題に対処するため、当社グループは、コンプライアンス教育を通じた従業員等のコンプライアンスに関する意識の強化、内部通報制度の充実等に努めてまいります。
 

② 各国の政策、法規制に関するリスク
 当社グループでは、海外市場における売上高が全売上高のうち大きな部分を占めています。日本を含む各国政府による安全保障貿易管理等の政策、規制の変更は、その適用や内容によっては当社グループの経営成績等に大きな影響を及ぼします。また、各国の法令の域外適用が拡大している中、当社グループに適用される各国の法令の制定や改正等により、事業戦略・運営や経営成績等に大きな影響が生じる可能性があります。また、これら各国政府による法規制に違反した場合、処罰を受ける可能性があります。
 例えば各国政府が保護主義等により輸入関税率の引き上げを行った場合、あるいはアンチダンピング課税の賦課決定を行った等の場合には、当社グループの商品の販売に重大な影響を受ける可能性があります。
 
 こうした課題に対処するため、当社グループは、各国政府の規制を遵守しつつ、適切に事業活動が行えるよう、従業員への教育と、適切な体制・しくみの整備に努めます。各国政府によりアンチダンピング調査が行われるリスクにつきましては、当社グループが適正な価格で輸出を行っていることを示せるよう準備を整えておくなど、適切な対応に努めてまいります。

 

 ③ ESG に関するリスク
  ESGについては、当社グループは経営上重視しておりますが、当社グループの取り組み状況が顧客等において商品購入時の検討要素とされるなど、様々なステークホルダーとの関係においても、重要な要素となっています。
  当社グループによるESGへの対応がステークホルダーからの期待に対し十分かつ適切でなかった場合、当社の受注等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループに対する株主等による評価が低下するなどにより、当社グループの事業戦略・運営や経営成績等に影響が生じる可能性があります。
  本リスクについては、世の中のESGへの意識の高まり等に鑑み、当社グループとして適切な対応を怠れば、顕在化の可能性があると考えます。

 

こうした課題に対処するため、当社グループは、ESGへの取り組みを経営上の重要課題と認識し、積極的に強化していきます。

 

 

 < 3.その他のリスク >


  その他、例えば以下のようなリスクにより、当社グループの事業戦略・運営や経営成績等に影響が生じる可能性があります。
  これらについても、顕在化の可能性と顕在化した場合の影響や、積極的な事業戦略とのバランス等を考慮のうえ、低減、回避等の然るべき対応に努めてまいります。
(例)

 ・何らかの理由で部品等の調達を行えない等により生産活動に影響を及ぼすことで納期遅れが生じ顧客等に影響を

  与え信用を失うリスク

 ・労働災害等により企業イメージが低下するリスク

 ・知的財産権の侵害リスク(当社グループの知的財産権が他社に侵害される場合、および当社グループが他社から

  知的財産権侵害の訴えを起こされる場合)

 ・製造物責任に関するリスク

 ・為替レートの変動リスク

 ・テロを含む紛争・地政学・政治上のリスク

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の業績の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

a. 財政状態

(資産)

資産合計は、前連結会計年度末比1,128億41百万円減の1兆5,124億99百万円となりました。これは、現金及び預金が2,012億94百万円減少したことが主な要因です。

(負債)

負債合計は、前連結会計年度末比305億60百万円減の1,496億34百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が95億93百万円、未払法人税等が57億37百万円減少したことが主な要因です。

(純資産)

純資産合計は、前連結会計年度末比822億81百万円減の1兆3,628億65百万円となりました。これは、自己株式が367億82百万円増加、利益剰余金が293億17百万円減少したことが主な要因です。

 

 b. 経営成績

当期における当社グループを取り巻く事業環境は、米中貿易摩擦の影響により、中国市場を中心に設備投資に慎重な動きとなるなど、総じて厳しい状況となりました。さらに、当期の期末には新型コロナウイルス感染症の影響が重なり、極めて不透明で厳しい事業環境となっております。
 このようななか、当社グループは、中長期的な視点に立った経営を継続すべく、「one FANUC」、「壊れない」「壊れる前に知らせる」「壊れてもすぐ直せる」および「サービス ファースト」をキーワードに、信頼性・保守性に優れた商品開発の推進、高品質・短納期を実現する生産体制の構築、お客様の生産活動を支えるサービス体制の強化などの重要テーマに、グループ一丸となって取り組みました。
 同時に、現在の厳しい市場環境に対処すべく、全社で経費と時間の削減および業務の合理化に取り組み、優先度に応じて設備の導入計画を見直すなど、地道に企業体質の強化を図りました。
 2019年度における連結業績は、売上高が5,082億52百万円(前期比20.0%減)、経常利益が1,028億16百万円(前期比44.0%減)、当期純利益が733億71百万円(前期比52.4%減)となりました。
   (注)[事業の状況]における「当期純利益」は、連結損益計算書における「親会社株主に帰属する当期純利

         益」を指します。

 

なお、当期におきまして、アームにケーブルを内装し、デザインと機能を両立させた「ファナック ロボット R-2000iD/210FH」が「2019年日刊工業新聞社十大新製品賞 本賞」および「2019年日経優秀製品・サービス賞 優秀賞 日経産業新聞賞」を受賞しました。また、経済産業省 特許庁が表彰する「知財功労賞」において、知的財産権制度活用優良企業(オープンイノベーション推進企業)として「経済産業大臣賞」を受賞しました。加えて、当社のロボショット(電動射出成形機)による超精密小型プラスチック成形部品市場への貢献が高く評価され、財団法人大河内記念会より、「超精密小型プラスチック部品用全電動式射出成形機の開発」として「2019年度大河内記念生産特賞」を受賞しました。

 

なお、当社グループは、CNCシステムとその応用商品を提供する企業グループとして、単一セグメントの事業を営んでおりますが、商品部門別の状況は以下のとおりです。

 

〔FA部門〕

CNCシステムの主要顧客であります工作機械業界におきまして、米中貿易摩擦の影響等を受け、中国市場での機械需要が落ち込んだほか、中国市場に大きく依存している台湾でも機械需要が落ち込みました。日本国内および欧州につきましても、設備投資抑制の動きを受け、需要が落ち込みました。また、韓国や前期堅調であったインドでも、内需の弱さ等により低調に推移しました。世界的に、機械需要への影響が大きい自動車関連への投資が冷え込んでいる状況です。これらの結果、当社グループのCNCシステムの売上高は前年度に比べ減少しました。

レーザにつきましては、拡販に努めましたが、海外メーカとの競争がさらに厳しさを増しております。

FA部門の連結売上高は、1,432億47百万円(前期比32.1%減)、全連結売上高に対する構成比は28.3%となりました。

 

〔ロボット部門〕

ロボット部門につきましては、米州では堅調に推移しました。国内では自動車産業向けが若干増加し、一般産業向けが若干減少しました。中国および欧州では、自動車産業向けおよび一般産業向けともに売上が低調でした。これらの結果、ロボット部門全体の売上高は前年度に比べ減少しました。
  ロボット部門の連結売上高は、2,024億91百万円(前期比6.9%減)、全連結売上高に対する構成比は39.8%となりました。

 

〔ロボマシン部門〕

ロボマシン部門につきましては、ロボドリル(小型切削加工機)では、IT関係の一時的需要がほぼなくなりましたが、自動車部品市場への拡販に注力しました。しかしながら、自動車関連も当期後半から減速したため、売上が減少しました。ロボショット(電動射出成形機)では、自動車部品、IT関係、医療市場向けを中心に粘り強く拡販に努めましたが、売上は若干減少しました。ロボカット(ワイヤカット放電加工機)でも、中国市場を中心に売上が減少しました。
  ロボマシン部門の連結売上高は、749億12百万円(前期比34.9%減)、全連結売上高に対する構成比は14.7%となりました。

 

〔サービス部門〕

サービス部門につきましては、「サービス ファースト」をキーワードに、サービス体制の強化、IT技術の積極的な導入による効率アップ、サービス技術の向上、サービスツールの充実などを進めました。世界中に260以上のサービス拠点を置き、108ヶ国をカバーする体制を構築し、お客様の工場でのダウンタイムを最小限にすべく、迅速なサービス活動を行っております。
  サービス部門の連結売上高は、876億2百万円(前期比4.7%減)、全連結売上高に対する構成比は17.2%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年度末比927億6百万円減の5,150 億8百万円となりました。

 

(各キャッシュ・フローの状況)

営業活動の結果得られた資金は、前年同期比328億66百万円減の1,448億72百万円であり、これは主に税金等調整前当期純利益が減少したことによるものです。

投資活動の結果使用した資金は、前年同期比390億24百万円減の843億19百万円であり、これは主に有形固定資産の取得による支出が減少したことによるものです。

財務活動の結果使用した資金は、前年同期比321億42百万円減の1,407億26百万円であり、これは主に配当金の支払額が減少したことによるものです。

 

 ③ 生産、受注及び販売の実績

 a. 生産実績

  (当連結会計年度)

生産高(百万円)

前期比(%)

417,624

△23.4

 

(注) 1 生産高は、販売価格によっております。

     2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

 b. 受注実績

  (当連結会計年度)

受注高(百万円)

前期比(%)

 505,471

△15.0

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 c. 販売実績

  (当連結会計年度)

販売高(百万円)

前期比(%)

508,252

△20.0

 

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

     2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

     当該割合が10%未満のため記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

連結財務諸表の作成にあたっては、期末日における資産、負債および偶発債務ならびに会計期間における収益、費用に影響を与える見積りを必要としておりますが、実際の結果と異なる場合があります。

中でも連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられるものは、以下のとおりであります。

(退職給付債務)

当社グループの従業員退職給付費用および債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用および計上される債務に影響を及ぼします。長期金利の低下や運用利回りの悪化は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(固定資産の減損)

当社グループは、減損の兆候が見られる固定資産については将来キャッシュ・フローの見積りに基づいて、遊休資産については個別に比較可能な市場価額等に基づいて減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて減損処理を実施しております。
  将来キャッシュ・フローや回収可能価額の見積りの前提となる将来の収益性の低下や時価の下落等により、減損損失が発生する可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5.経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (追加情報)」に記載の通りです。 

 

② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 (経営成績)

2019年度における連結業績は、売上高が5,082億52百万円(前期比20.0%減)、経常利益が1,028億16百万円(前期比44.0%減)、当期純利益が733億71百万円(前期比52.4%減)となりました。

 当期における当社グループを取り巻く事業環境は、米中貿易摩擦の影響により、中国市場を中心に設備投資に慎重な動きとなるなど、総じて厳しい状況となりました。さらに、当期の期末には新型コロナウイルス感染症の影響が重なり、極めて不透明で厳しい事業環境となっております。
 このようななか、当社グループは、中長期的な視点に立った経営を継続すべく、「one FANUC」、「壊れない」「壊れる前に知らせる」「壊れてもすぐ直せる」および「サービス ファースト」をキーワードに、信頼性・保守性に優れた商品開発の推進、高品質・短納期を実現する生産体制の構築、お客様の生産活動を支えるサービス体制の強化などの重要テーマに、グループ一丸となって取り組みました。
 同時に、現在の厳しい市場環境に対処すべく、全社で経費と時間の削減および業務の合理化に取り組み、優先度に応じて設備の導入計画を見直すなど、地道に企業体質の強化を図りました。

 

(財政状態)

(資産)
 資産合計は、前連結会計年度末比1,128億41百万円減の1兆5,124億99百万円となりました。これは、現金及び預金が2,012億94百万円減少したことが主な要因です。
(負債)
 負債合計は、前連結会計年度末比305億60百万円減の1,496億34百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が95億93百万円、未払法人税等が57億37百万円減少したことが主な要因です。
(純資産)
 純資産合計は、前連結会計年度末比822億81百万円減の1兆3,628億65百万円となりました。これは、自己株式が367億82百万円増加、利益剰余金が293億17百万円減少したことが主な要因です。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 (キャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、前年同期比328億66百万円減の1,448億72百万円であり、これは主に税金等調整前当期純利益が減少したことによるものです。
 投資活動の結果使用した資金は、前年同期比390億24百万円減の843億19百万円であり、これは主に有形固定資産の取得による支出が減少したことによるものです。
 財務活動の結果使用した資金は、前年同期比321億42百万円減の1,407億26百万円であり、これは主に配当金の支払額が減少したことによるものです。

以上のキャッシュ・フローの増減に現金及び現金同等物に係る換算差額△125億33百万円を加算し、連結キャッシュ・フローは、△927億6百万円となりました。
 

 (資本の財源)

当期の所要資金は全て自己資金により充当し、外部からの調達は行っておりません。

 

4 【経営上の重要な契約等】

相手会社名

国名

契約品目

契約内容

契約期間

シーメンス社

ドイツ

CNCシステム、CNC自動プログラミング装置、ロボット

特許実施権の相互供与

自 1983年4月19日
至 2020年12月31日

株式会社
Preferred Networks

日本

当社商品全般

当社商品等の知能化その他の付加価値向上等のための協業

自 2015年7月1日
至 2021年2月28日

 

 

 

5 【研究開発活動】

当期におきましては、厳しい事業環境ではありましたが、将来の成長のために必要となる研究開発投資は継続して行いました。
 ハードウェア研究所、ソフトウェア研究所、サーボ研究所、レーザ研究所、ロボット機構開発研究所、ロボットソフト開発研究所、ロボドリル研究所、ロボショット研究所、ロボカット研究所、ロボナノ研究部では、お客様における製造の自動化と効率化に寄与すべく、高信頼性を基本に性能の向上等を推し進めた、より競争力の高い様々な新商品、新機能を開発し、市場に投入しました。
 基礎研究所では、当社商品に適用される次世代要素技術などの研究開発を行っております。
 また、FIELD推進本部では、FIELD systemやデジタルユーティリティクラウドなどの開発を進めました。
 (注)FIELD推進本部は、2020年4月1日付で、新設されたIoT統括本部に機能集約しました。
  IoTへの対応としまして、製造現場にある各社の機械、センサなどが繋がり、様々な企業がアプリケーションソフトウェアの開発に参加できるオープンプラットフォームであるFIELD systemにおいて、機能を拡張し、操作性と信頼性を向上させたベースソフトウェアの第3版をリリースしました。FIELD systemは、製造現場の各種機器を接続し、生産性の向上を図るIoT商品で、製造現場のエッジ部分(加工現場、組立現場)で情報をリアルタイムに処理できる点が大きな特長です。
 また、富士通株式会社およびエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社とともに「デジタルユーティリティクラウド」の実現に向けた協業を開始しました。これは、工作機械業界全体で重複している社内業務の効率化および顧客サービスの高度化を目指し、デジタル革新を加速させる取り組みで、実現に向けて当社を含めた3社は、業界各社のビジネスをデジタル化する上で共通利用できるクラウドサービスの開発を行います。
 AIにつきましては、FA・ロボット・ロボマシン・FIELD systemの全商品群において、株式会社Preferred Networksとも協力し、より実用的なAI機能の開発を推進しております。例えば、近年開発したAIサーボモニタ(FA)、AI軌跡制御(ロボット)、AI熱変位補正(ロボドリル、ロボカット)は、既に各商品群の市場に投入され、実際の製造現場で製造設備の稼働率の向上、使いやすさ向上、加工精度の向上に寄与しております。また、当社の基礎研究所(2020年4月1日付で、「次世代技術研究所」に名称変更しました。)では、次の数年間に市場投入を予定している次のAI機能を開発中であり、将来への布石となる基礎的なAI機能の研究にも着手しております。AI技術の活用により、FA・ロボット・ロボマシン・FIELD systemの全商品群の知能化を更に推し進め、競合他社との差別化を図ります。

当連結会計年度の研究開発費は、51,315百万円となっております。

 

当連結会計年度における新商品の主な成果は以下のとおりです。

 

CNCにつきましては、「ファナック 30iシリーズ」の最新機種として、ファナックの最新制御技術を標準搭載し、高速・高精度・高品位加工に磨きをかけた「ファナック Series 30i/31i/32i-B Plus」を開発しました。また、工作機械へのファナックロボットの導入を容易にする「CNC-QSSR」を開発しました。サーボにつきましては、機械学習を用いたサーボ調整により、高度な振動抑制効果を得られる「AIサーボチューニング」の改良を進めました。また、「DDモータDiS-Bシリーズ」に、新たに15機種を追加し、ラインナップの強化に努めました。
  レーザにつきましては、金属・非金属の切断、溶接、積層造形加工などにお使いいただけるファイバレーザ発振器「ファナック ファイバレーザ シリーズ」にて、内部ユニットの改良により、更なる高効率化を実現しました。少ないエネルギーで高出力のレーザ発振を可能としたことで、省電力化に寄与します。

 

ロボットにつきましては、安全柵を必要とせず、人との協働作業が可能な協働ロボットのラインナップに「ファナック ロボット CRX-10iA」を追加しました。長年培った高い信頼性および安全性に加え、直観的な操作が可能なため、これまでロボットをお使いいただいたことのないお客様でも容易にロボットを導入いただけるようになります。また、アームにケーブルを内装し、デザインと機能を両立させた「ファナック ロボット R-2000iD/210FH」を開発しました。配管配線の周辺設備との接触を懸念する必要がなくなり、オフライン教示が容易になります。さらに、教示した位置を正確に通過する曲線を描くことができる「自由曲線動作機能」を開発しました。これらをはじめとする新商品、新機能等により、ファナックロボットの適用用途の一層の拡大が期待されます。

 

ロボドリル(小型切削加工機)、ロボショット(電動射出成形機)およびロボカット(ワイヤカット放電加工機)につきましては、「ファナック ロボドリル α-DiBシリーズ」では、当社の最新のCNC機能およびサーボ機能を最大限に活用して加工サイクルタイムを短縮し、特に自動車部品加工市場での販路を拡大しました。「ファナック ロボショット α-SiAシリーズ」では、近年市場要求が急速に高まりつつある医療部品の成形に適したオプション機能を開発し、パッケージ化して、市場への浸透を加速しました。「ファナック ロボカット α-CiBシリーズ」では、放電制御回路と放電制御ソフトのレベルアップにより加工精度と使いやすさを更に向上させ、従来未達成であった高精度金型市場への拡販を可能としました。ロボナノ(超精密加工機)では、最新のCNC技術およびサーボ技術を適用した旋盤系超精密加工機「ファナック ロボナノ α-NTiA」の開発を完了し、市場に投入しました。2018年に発売したマシニング系超精密加工機「ファナックロボナノ α-NMiA」に続く旋盤系の市場投入によりロボナノのラインナップが出揃い、超精密加工市場のニーズに幅広く対応する事が可能となりました。