(1)経営方針
1955年にNCの開発をスタートさせて以来、ファナックは一貫して工場の自動化を追求しています。
創業期に目指した、小柄でもしっかり根を張った巨人のごとき逞しさがある企業、技術で勝負する企業を希求し続け、「狭い路」を真っ直ぐに歩むことに努めています。
その企業像を実現するために、当社グループは基本理念として「厳密と透明」を掲げています。そこには、企業の永続性、健全性は厳密から生まれ、組織の腐敗、企業の衰退は不透明から始まる、という考えがあります。
ファナックは、基本技術であるNCとサーボ、レーザからなるFA事業と、その基本技術を応用したロボット事業およびロボマシン事業を展開しています。そして、IoT・AI技術をFA・ロボット・ロボマシンの全ての分野に積極的に適用していくことで、お客様がファナック商品をより効率的にご利用いただけるよう取り組みます。
また、生産財のサプライヤであるとの原点に立ち、お客様がファナックの商品をお使いになる限り、保守サービスを提供し続けます。
当社グループはこれらの事業活動を通じて、お客様の工場の自動化と効率化を推進することで国内外の製造業の発展に貢献し、今後も中長期的に拡大が見込まれる工場の自動化分野において、着実な成長を実現していきます。
(2)経営環境及び対処すべき課題
ファナックの商品は景気変動の影響を大きく受け易い生産財であることから、短期的な事象に左右されない、長期的な視点に立った経営を続けています。
当社グループを取り巻く経営環境につきましては、地政学的リスクの高まりや、新型コロナウイルスの感染拡大の影響等もあり、予断を許さない状況が続くものと思われます。その一方で、工場の自動化への要求は中長期的に拡大することが見込まれます。
当社グループは、「one FANUC」を合言葉に、FA・ロボット・ロボマシンが一体となったトータルソリューションの提供、およびグループ一体となった世界のお客様への対応、という当社グループならではの強みを最大限活かしてまいります。特に、CNC工作機械とロボットとの連携、ロボマシンとロボットとの連携を重要テーマの一つと捉え、商品を開発してまいります。
また、ファナックの商品は製造現場でご使用いただく生産財であるとの原点に立ち、お客様の工場におけるダウンタイムを最小にして稼働率向上を図るため、「壊れない」「壊れる前に知らせる」「壊れてもすぐ直せる」ことを商品開発において徹底いたします。また、工場の自動化への要求が拡大する一方、熟練労働者の確保が難しくなる状況に対応するため、使い易さを一層重視した商品開発にも取り組んでまいります。
そして世界中のどこでもファナックのグローバルスタンダードに沿った高度な保守サービスを提供すること、お客様が使用し続ける限り保守を続ける「生涯保守」を行うこと、を基本理念とした「サービス ファースト」を実践してまいります。特に、競合会社が追随することが難しい「生涯保守」については、当社グループの大きな特長として、引き続き注力してまいります。
さらに、当社グループは、今後も競争力の高い商品を開発し市場投入していくうえで、IoT・AI技術を必要不可欠なものと考えております。これらの技術をFA・ロボット・ロボマシンの全ての分野に積極的に適用していくことで、お客様における生産の効率化を一層推進します。IoT技術についてはオープンプラットフォーム「FIELD system」などの開発も進めています。AI技術については実際の製造現場で役立つ機能の開発を進めています。当社にない技術については、引き続き他社との協業も積極的に推進して、スピーディな開発に努めてまいります。
当社グループは、長期的視点に立ち、商品競争力の強化、セールス・サービス活動の強化、工場の自動化・ロボット化の推進、業務の合理化など、より強い企業にするための施策を推し進めます。また、生産財のサプライヤとして、いかなる場合にもお客様への供給責任を果たし、サービス活動を維持することができるよう、生産拠点やサービス拠点の複数化に取り組んでいます。さらに、部品調達先の複数化、適切な部品在庫の保有など、サプライチェーンの強化にも取り組んでいます。
こうした活動の一方で、当社グループは経費と時間の削減および業務の合理化にも取り組み、強い企業体質の維持に努めています。また、中長期的な成長のためには、人材が最重要であるとの観点に立ち、社員がより働きやすい職場の実現、社員のモチベーションの一層の向上も重要課題として取り組んでまいります。
経営に当たっては、ファナックの商品はSDGsの達成にも大きく貢献することを一層意識してまいります。また、営業利益率、経常利益率、ROEなどに加えて、市場シェアも重要な経営指標と捉え、総合的に判断してまいります。
喫緊の課題として、当社グループは、お客様、お取引先、社員およびその家族の新型コロナウイルス感染予防・感染拡大防止を最優先としつつ、お客様への商品の供給とサービス活動の継続を図ってまいります。
今後もあらゆる面で当社グループは、基本理念である「厳密と透明」を徹底し、こうした諸施策をグループ一丸となって推し進めることにより、お客様の当社グループへの安心と信頼を高めるとともに、激しい環境変化に適応することで、永続的な企業となるべく努力してまいります。
(3)気候変動への取り組みとTCFDに基づく情報開示
COP21(第21回国連気候変動枠組条約締約国会議)で採択されたパリ協定を機に、世界的に脱炭素社会へ向けた動きが広がっています。グローバルに事業を展開している当社グループにとっても、気候変動は重要な経営課題であると認識し、取り組みを推進しています。
こうした中、ファナックは2021年12月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言(以下、TCFD提言)への賛同を表明しました。
今後もTCFD提言のフレームワークを活用して、継続的に情報開示の質と量を充実させるとともに、気候変動への取り組みを一層推進し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
[ガバナンス]
ファナックは気候変動を重要な経営課題の一つと認識しています。
代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」において、気候変動に関する重要な方針や施策について審議・決定を行い、取締役会に報告します。
取締役会は報告内容に基づいて、気候変動に関連するリスクと機会の特定と対策が適切に推進されるよう監督を行います。
[戦略]
ファナックは気候変動に関連するリスクと機会を特定し、それらが当社グループの事業に及ぼす影響を確認するために、FA事業、ロボット事業及びロボマシン事業について、1.5℃シナリオ、2℃シナリオ、4℃シナリオを用いて、中期(2030年)と長期(2050年)を対象にシナリオ分析を実施しました。シナリオ分析にあたり、1.5℃においてはIEA NZE、IPCC RCP1.9など、2℃においてはIEA SDS、IPCC RCP2.6など、4℃においてはIEA STEPS、IPCC RCP8.5などを参照しました。各シナリオに対して、気候変動に関連するリスクと機会を洗い出し、事業への影響度を定量的かつ定性的に検証・評価しました。
このうち、事業へ大きな影響を与えるリスクとして「炭素税の導入によるコスト増」、「原材料価格の上昇によるコスト増」及び「消費者の行動変容やEV/FCV化による一部ファナック商品の需要減」を特定し、機会として「省エネ・ロボット化によるファナック商品の需要増」、「EV/FCV化によるファナック商品の需要増」を特定しました。

1.5℃及び2℃シナリオでは、脱炭素化への移行に伴う大きな社会変化が起こる世界が想定されます。炭素税の導入や原材料価格の上昇によりコストが増加する可能性がありますが、省エネ・ロボット化やEV/FCV化が拡大することにより、FA事業、ロボット事業及びロボマシン事業を拡大できると考えます。4℃シナリオでは低炭素化は推進されず、平均気温上昇等の気候変動により自然災害の激甚化が想定されます。これにより生産拠点等が被害を受け、生産にマイナスの影響が生じるとともに復旧コストが増加する可能性がありますので、事業継続計画(BCP)対応を推進し、物理面でのリスクに対応してまいります。
今回、FA事業、ロボット事業及びロボマシン事業についてシナリオ分析を行った結果、分析で使用したいずれのシナリオにおいても、これらの事業は高いレジリエンスを有していると評価しました。今後、特定したリスクへの対応と機会の実現に向けて、取り組みを一層推進してまいります。
[リスク管理]
ファナックは、事業の継続性、企業価値の向上、企業活動の持続的発展を阻害するおそれのあるリスクに対処するため、リスクマネジメント委員会及びリスクマネジメント規程を設け、取締役会の監督のもと、適切なリスクマネジメントを行っています。気候変動に関するリスクについても、この中に位置づけてリスク管理します。
[指標・目標]
ファナックは2050年までに当社グループの事業活動に伴うGHG排出量(Scope1, 2)をゼロにするという長期目標を設定しています。この長期目標の実現に向けて、2030年までに同排出量を42%削減する(2020年比)という中期目標を定めています。Scope3については販売した製品の使用による排出量を2030年までに12.3%削減(2020年比)することを目指します。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在の状況に対する判断に基づくものです。
< 1.特に重要なリスク >
① 戦争に関するリスク
戦争が発生した場合、当社グループの社員の生命、安全が重大な危険にさらされる可能性があります。また、当社グループでは、海外市場における売上高が連結売上高のうち大きな割合を占めています。アジア、欧州、米州など当社商品の市場規模が大きな地域で戦争が発生した場合、地域によっては商品の販売市場、サプライチェーン、物流等に甚大な影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクが顕在化した場合の影響を少しでも抑えるため、「one FANUC」として当社グループ会社間における連携をより緊密にしていきます。
② 自然災害に関するリスク
当社商品はいずれも生産設備として生産現場で使われるものであり、当社商品の大口ユーザでもある自社工場と研究開発との密接な連携による相乗効果によって研究開発と生産技術双方を強化・効率化できる大きな利点があること等から、当社では研究開発部門、工場等を本社地区に集中させてきました。一方で、こうした拠点の集中により、仮に大地震が発生した場合は、被害が甚大になる可能性があります。また、本社地区の近隣に位置する富士山が噴火することは非常に稀と考えられますが、万一噴火した場合の影響は甚大です。これらの他、台風や大雪などの自然災害で大きな影響を受ける可能性があります。
こうした自然災害に関するリスクの顕在化に対応するため、本社工場(山梨県南都留郡忍野村・山中湖村)以外に、壬生工場(栃木県下都賀郡壬生町)、筑波工場(茨城県筑西市)等の新設、拡充による生産拠点の複数化を推進してきました。また、サービス拠点についても、日野支社(東京都日野市)の再構築と名古屋サービスセンタ(愛知県小牧市)の開設により、保守部品の保管倉庫、サービス情報システムのサーバの設置拠点の複数化を行ってきました。
また、データセンタの二重化を行ったほか、本社地区、壬生工場、筑波工場において非常用電源としても使用できるコージェネレーションシステムの導入などを行いました。
当社グループは、今後も、自然災害に関するリスクへの積極的な取り組みを継続的に推進、強化していきます。
③ サイバーセキュリティに関するリスク
近年、サイバー攻撃は、手口の高度化、巧妙化等により、その脅威がますます高まっています。サイバー攻撃により、当社グループの生産設備等が被害を受け生産に影響が生じる可能性や、当社の技術上、営業上等の秘密情報が流出する可能性があります。また、IoT関連の商品、サービス、ネットワーク(当社が利用する他社クラウド基盤を含む)を通じて顧客等の製造設備等に被害が生じ、顧客等からの信用を失う可能性があります。これらのサイバーセキュリティに関するリスクは、様々な要因により顕在化し、当社グループの事業戦略や経営成績等に甚大な影響が生じる可能性があります。
このため当社グループは、CISO(チーフ・インフォメーション・セキュリティ・オフィサー)を任命するとともに、情報セキュリティ委員会等を通じて、当社ITシステムに関するセキュリティ対応の枠組み(コンピュータ・セキュリティ・インシデント・レスポンス・チーム(CSIRT))とそれに基づく監視チーム(セキュリティ・オペレーション・センター(SOC))の活動を徹底しています。また、商品の事故対応体制(プロダクト・ セキュリティ・インシデント・レスポンス・チーム(PSIRT))の整備と関連認証の取得を順次進めています。これらによりサイバーセキュリティに関するリスクへの対応体制の強化を進めています。
④ 競争力低下に関するリスク
当社グループを取り巻く事業環境において、今後以下に挙げるような変化が予想されます。
・ 新興国企業等の技術力、競争力の急速な向上
・ 商品単体の信頼性や機能等の競争だけでなく、様々なIoTシステムとの連携を含めた総合的な使い易さ、信頼性等の競争への変化、およびこれらに伴う市場や顧客ニーズの多様化や変化
・ 様々な新技術の台頭による当社グループの競争力の低下
これらの外部環境の変化に柔軟、迅速に対応できない場合、商品の競争力等における当社グループの優位性が失われる結果、競争力低下に関するリスクが顕在化し、当社グループの事業戦略や経営成績等に甚大な影響が生じる可能性があります。
このため当社グループは、これまで培ってきた優位性を活かしつつ事業環境変化に柔軟、迅速に適応できるよう将来を見据えた研究開発をさらに強化するとともに、生産における自動化、ロボット化等を一層推進することにより、競争力の強化に努めていきます。
< 2.重要なリスク >
① 人材確保・育成に関するリスク
外部環境の急激な変化によりますます競争が激しくなる中、当社グループが持続可能な発展を続けていくためには、創造性豊かな優れた人材を確保・育成することが重要となります。こうした人材の確保・育成が遅れたり、優秀な人材が流出したりする場合、当社グループの競争力が低下する等人材確保・育成に関するリスクが顕在化し、当社グループの発展等に大きな影響が生じる可能性があります。
こうした課題に対処するため、当社グループは、社員の教育の徹底、仕事を通じた能力とモチベーションの向上、ワークライフバランスの充実など、優れた人材が集まる一層魅力的な企業として、企業文化の継承力と創造性を併せ持った人材を育成して適所に配置することに努めていきます。
② 部品等の調達に関するリスク
当社グループにおいて、何らかの理由で部品等の調達に不足や遅れが生じた場合、生産に遅延が発生する可能性があります。その結果、顧客等の生産活動にも影響が生じ、信用を失う可能性があります。このように、部品等の調達に関するリスクが顕在化した場合、当社グループの事業戦略や経営成績等に大きな影響が生じる可能性があります。
このため当社グループは、部品の複数調達先の確保や調達先との関係強化等、サプライチェーンリスクマネジメントの強化などの対策に引き続き努めていきます。
③ 新型ウイルス等の感染症に関するリスク
新型ウイルス等の感染症が発生した場合、当社グループの社員等の健康、安全が脅かされる可能性があります。また、当社グループの社員や家族に感染者が発生した場合、周辺の地域住民への感染拡大やそれによる地域医療への負担の増加など、地域社会に大きな影響を与える可能性があります。
当社グループの部品調達先や加工・組立業務委託先に感染者が発生した場合、当社グループの生産に影響が生じる可能性があります。また、部品調達先の所在する国や地域でロックダウン(都市封鎖)が行われた場合、部品の生産や物流に制限を受け、当社グループの部品調達に大きな支障が生じる可能性があります。
新型ウイルス等の感染症に関するリスクが顕在化した場合、これらの影響を通じて、当社グループの事業戦略や経営成績等に大きな影響を及ぼす可能性があります。
このため当社グループは、新型ウイルス等の感染症に対しては、感染拡大防止、部品の複数調達先の確保等サプライチェーンリスクマネジメントの強化などの対策に引き続き努めていきます。なお、新型コロナウイルス感染症の動向は依然として不透明であり、対策本部を設置し感染防止に努めています。
④ コンプライアンスに関するリスク
当社グループにおいて法令違反、社会規範・倫理上の問題や企業秘密漏洩等のコンプライアンス問題が生じた場合、当社グループに対する罰則等による直接的影響はもとより、社会的信用・企業イメージの低下等によりコンプライアンスに関するリスクが顕在化した場合、事業戦略や経営成績等に影響が生じる可能性があります。
このため当社グループは、コンプライアンス教育を通じた役員・社員のコンプライアンス意識の強化、内部通報制度の充実等に一層努めていきます。
⑤ 各国の政策、法規制に関するリスク
当社グループでは、海外市場における売上高が連結売上高のうち大きな部分を占めています。日本を含む各国政府による安全保障貿易管理等の様々な政策、規制等の変更および域外適用の拡大は、内容によっては当社グループの事業活動に大きな影響を及ぼします。これら各国政府による法規制等に違反した場合、処罰を受ける可能性があります。
また、各国政府が保護主義等により輸入関税率の引き上げを行った場合、あるいはアンチダンピング課税の賦課決定を行った等の場合には、当社グループの商品の販売が大きな影響を受ける可能性があります。
このように、各国の政策、法規制に関するリスクが顕在化する可能性があるため当社グループは、各国政府の法規制の遵守のための役員・社員への教育や適切なチェック体制・仕組みの整備等に努めていきます。
⑥ ESGに関するリスク
当社グループは、持続可能な成長のための経営上の課題としてESGを重視しております。また、当社グループのESGへの取り組み状況が顧客等において商品購入時の検討要素とされるなど、ESGは様々なステークホルダーとの関係においても重要な課題となっています。
当社グループによるESGへの対応が不十分な場合、社会的評価が低下する等、ESGに関するリスクが顕在化し、当社グループの事業戦略や経営成績等に影響が生じる可能性があります。
こうした課題に対処するため、当社グループは、ESGへの取り組みを経営上の重要課題と認識し、積極的に強化していきます。
⑦ 労働災害に関するリスク
当社グループの事業活動において、業務上または通勤途上の社員の負傷、疾病、障害、死亡が発生する可能性があります。また、労働災害に関するリスクが顕在化した場合、当社グループの社会的評価が低下する可能性があります。
当社グループは、労働安全衛生に関する教育の徹底や、工場に導入したチームリーダー制の活動など、労働安全衛生管理の強化に努めていきます。
< 3.その他のリスク >
以上の他、例えば以下のようなリスクにより、当社グループの事業戦略や経営成績等に影響が生じる可能性があります。
これらのリスクについても、顕在化の可能性と顕在化した場合の影響や積極的な事業戦略とのバランス等を考慮のうえ、予防、低減、回避等の然るべき対応に努めていきます。
(例)
・知的財産権の侵害リスク(当社グループの知的財産権が他社に侵害される場合、および当社グループが他社から知的財産権侵害の訴えを起こされる場合)
・製造物責任に関するリスク
・為替レートの変動リスク
① 財政状態及び経営成績の状況
a. 財政状態
資産合計は、前連結会計年度末比1,587億73百万円増の1兆7,839億64百万円となりました。これは、商品及び製品が329億75百万円、投資有価証券が264億97百万円増加したことが主な要因です。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度末比444億48百万円増の2,340億85百万円となりました。これは、流動負債のその他が197億6百万円、未払法人税等が154億41百万円増加したことが主な要因です。
純資産合計は、前連結会計年度末比1,143億25百万円増の1兆5,498億79百万円となりました。これは、利益剰余金が685億41百万円増加、為替換算調整勘定が409億36百万円増加したことが主な要因です。
当期(2021年4月1日から2022年3月31日まで)における当社グループを取り巻く状況につきましては、製造業全般において、新型コロナウイルス感染症の影響等で減少していた設備投資が回復し、活発に行われるようになりました。しかし、世界的なサプライチェーンにおける半導体等の部品の不足による生産活動への影響が長期化する等、先行き不透明な状況が続きました。
このような中、当社グループにおきましては、新型コロナウイルスの感染拡大防止を最優先としつつ、お客様への商品の供給とサービス活動の継続に努めました。特に半導体をはじめとする部品不足については、代替品の採用、設計変更などあらゆる対策を行い、影響を最小限にとどめるべく、会社の総力を挙げて対処しました。
また、こうした厳しい状況の中でも、新商品、新機能の開発や工場の生産能力増強など、将来の発展に向けた取り組みを進めました。
加えて、世界的に脱炭素社会へ向けた動きが広がる中、グローバルに事業を展開している当社グループにとっても気候変動は重要な経営課題であると認識し、2050年までに当社グループの事業活動に伴う温室効果ガス排出量をゼロにするという長期目標と、2030年までに同排出量を42%削減する(2020年比)という中期目標を定めました。これらの目標達成に向け、自社における太陽光パネルの設置や工場などでの省エネルギーの取り組みを推進します。また、当社商品の一層の省エネルギー化に向けた取り組みも推進します。
2021年度における連結業績は、売上高が7,330億8百万円(前期比33.0%増)、経常利益が2,133億95百万円(前期比65.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,552億73百万円(前期比65.2%増)となりました。
当期におきましては、高い加工性能と稼働率に加え、使い易さを追求したワイヤ放電加工機「ファナック ロボカット α-CiCシリーズ」が「2021年日刊工業新聞十大新製品賞 本賞」を受賞しました。また、「安全性」「使いやすさ」「高信頼性」の全てを兼ね備えた協働ロボット「ファナック ロボット CRX-10iA」が一般社団法人科学技術と経済の会が主催する「第10回技術経営・イノベーション大賞」において、「科学技術と経済の会会長賞」を受賞しました。加えて、業界最大の21.5インチの表示装置で、動作条件設定、成形プロセス表示、周辺機器情報などの画面を二つ同時に表示可能な「ファナック ロボショット α-SiBシリーズ搭載表示装置PANEL iH Pro」が「第51回機械工業デザイン賞IDEA 日本産業機械工業会賞」を受賞しました。
なお、当社グループは、CNCシステムとその応用商品を提供する企業グループとして、単一セグメントの事業を営んでおりますが、商品部門別の状況は以下のとおりです。
FA部門につきましては、CNCシステムの主要顧客である工作機械業界の需要は、堅調であった中国に加え、欧米、アジア、日本と世界規模で増加し、工作機械向けの当社のCNCシステムの売上も併せて増加しました。また、2022年2月に当社CNCの累計生産台数は500万台に達しました。
レーザにつきましては、中国市場および欧州市場で回復基調にありますが、海外メーカとの厳しい競争が継続しています。
FA部門の連結売上高は、2,261億65百万円(前期比51.5%増)、全連結売上高に対する構成比は30.9%となりました。
ロボット部門につきましては、中国でIT関連、EV、重機、建機向けを中心に好調に推移し、米国で一般産業向けおよびEV関連の需要を取り込んだ自動車産業向けが堅調で、欧州で一般産業向けが好調に推移しました。国内でも需要が緩やかな回復傾向にあり、前年同期に比べ売上が増加しました。
ロボット部門の連結売上高は、2,684億78百万円(前期比27.8%増)、全連結売上高に対する構成比は36.6%となりました。
ロボマシン部門につきましては、ロボドリル(小型切削加工機)では、中国でパソコン、タブレット市場向けの需要を受け、売上が増加しました。ロボショット(電動射出成形機)では、IT関連、医療市場向けの需要が好調に推移し、売上が増加しました。ロボカット(ワイヤ放電加工機)では、IT関連、自動車部品市場向けの需要が好調に推移し、売上が増加しました。
ロボマシン部門の連結売上高は、1,446億33百万円(前期比26.3%増)、全連結売上高に対する構成比は19.7%となりました。
サービス部門につきましては、「サービス ファースト」をキーワードに、サービス体制の強化、IT技術の積極的な導入による効率アップなどを進めました。世界中に270ヶ所以上のサービス拠点を置いて100ヶ国以上をカバーする体制を構築し、お客様の工場でのダウンタイムを最小限にすべく、迅速なサービス活動を行っております。
サービス部門の連結売上高は、937億32百万円(前期比20.9%増)、全連結売上高に対する構成比は12.8%となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年度末比32億64百万円減の5,746億55百万円となりました。
営業活動の結果得られた資金は、前年同期比75億85百万円増の1,255億81百万円であり、これは主に税金等調整前当期純利益が増加したことによるものです。
投資活動の結果使用した資金は、前年同期比371億59百万円増の539億29百万円であり、これは主に定期預金の払戻による収入が減少したことによるものです。
財務活動の結果使用した資金は、前年同期比360億22百万円増の891億54百万円であり、これは主に配当金の支払額が増加したことによるものです。
(当連結会計年度)
(注) 1 生産高は、販売価格によっております。
(当連結会計年度)
c. 販売実績
(当連結会計年度)
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
前連結会計年度は当該割合が10%未満のため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成にあたっては、期末日における資産、負債および偶発債務ならびに会計期間における収益、費用に影響を与える見積りを必要としておりますが、実際の結果と異なる場合があります。
中でも連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられるものは、以下のとおりであります。
当社グループの従業員退職給付費用および債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用および計上される債務に影響を及ぼします。長期金利の低下や運用利回りの悪化は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、減損の兆候が見られる固定資産については将来キャッシュ・フローの見積りに基づいて、遊休資産については個別に比較可能な市場価額等に基づいて減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて減損処理を実施しております。
将来キャッシュ・フローや回収可能価額の見積りの前提となる将来の収益性の低下や時価の下落等により、減損損失が発生する可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(経営成績)
2021年度における連結業績は、売上高が7,330億8百万円(前期比33.0%増)、経常利益が2,133億95百万円(前期比65.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,552億73百万円(前期比65.2%増)となりました。
当期(2021年4月1日から2022年3月31日まで)における当社グループを取り巻く状況につきましては、製造業全般において新型コロナウイルス感染症の影響等で減少していた設備投資が回復し活発に行われるようになりました。しかし、世界的なサプライチェーンにおける半導体等の部品の不足による生産活動への影響が長期化する等、先行き不透明な状況が続きました。このような中、当社グループにおきましては、新型コロナウイルスの感染拡大防止を最優先としつつ、お客様への商品の供給とサービス活動の継続に努めてきました。特に半導体をはじめとする部品不足については、代替品の採用、設計変更などあらゆる対策を行い、影響を最小限にとどめるべく、会社の総力を挙げて対処しました。
(財政状態)
資産合計は、前連結会計年度末比1,587億73百万円増の1兆7,839億64百万円となりました。これは、商品及び製品が329億75百万円、投資有価証券が264億97百万円増加したことが主な要因です。
負債合計は、前連結会計年度末比444億48百万円増の2,340億85百万円となりました。これは、流動負債のその他が197億6百万円、未払法人税等が154億41百万円増加したことが主な要因です。
純資産合計は、前連結会計年度末比1,143億25百万円増の1兆5,498億79百万円となりました。これは、利益剰余金が685億41百万円増加、為替換算調整勘定が409億36百万円増加したことが主な要因です。
営業活動の結果得られた資金は、前年同期比75億85百万円増の1,255億81百万円であり、これは主に税金等調整前当期純利益が増加したことによるものです。
投資活動の結果使用した資金は、前年同期比371億59百万円増の539億29百万円であり、これは主に定期預金の払戻による収入が減少したことによるものです。
財務活動の結果使用した資金は、前年同期比360億22百万円増の891億54百万円であり、これは主に配当金の支払額が増加したことによるものです。
以上のキャッシュ・フローの増減に現金及び現金同等物に係る換算差額142億38百万円を加算し、連結キャッシュ・フローは、32億64百万円の減少となりました。
当期の所要資金は全て自己資金により充当し、外部からの調達は行っておりません。
ハードウェア研究開発本部、ソフトウェア研究開発本部、サーボ研究開発本部、レーザ研究開発本部、ロボット機構研究開発本部、ロボットソフト研究開発本部、ロボドリル研究開発本部、ロボショット研究開発本部、ロボカット研究開発本部では、お客様における製造の自動化と効率化に寄与すべく、高信頼性を基本に、性能の向上や使いやすさを追求した競争力の高い様々な新商品、新機能を開発し、市場に投入しました。
次世代技術研究所では、当社商品に適用される次世代要素技術などの研究開発を行っております。
IoTへの対応として、製造現場の情報を集約し、生産性の向上を目指すエッジプラットフォームであるFIELD systemにおいて、工場設備との接続を簡略化することによる操作性の改善、ネットワーク認証への対応によるセキュリティの向上、アプリケーション開発の利便性の向上などを行いました。
AIにつきましては、FA・ロボット・ロボマシンの全商品群において、より実用的なAI機能の開発を推進しています。FAでは、主軸や送り軸の異常監視を行うAIサーボモニタを市場に投入しました。また、AIサーボチューニングの自動調整項目を拡充しました。ロボットでは、少ない教師データで学習可能なAI良否判定機能の市場導入が進み、また従来難しかった密着した段ボール箱を検出するビジョン機能にも取り組んでいます。ロボマシンでは、AI熱変位補正(ロボドリル、ロボカット)とAIバックフローモニタ(ロボショット)が、それぞれの商品に搭載されました。また、当社の次世代技術研究所では、新たなAI機能の開発とともに、AI機能の品質をいかにして保証するかといった課題にも取り組んでいます。AI技術の活用により、全商品群の知能化をさらに推し進め、競合他社との差別化を図ります。
当連結会計年度の研究開発費は、
当連結会計年度における新商品の主な成果は以下のとおりです。
CNCにつきましては、ファナックCNCのデジタルツインを実現するため、「CNCガイド2」と「加工面推定機能」を開発しました。「CNCガイド2」は、CNC用に作成した加工プログラムを読み込んで、工具の動きをPC上で忠実に再現することができます。また「加工面推定機能」は、「CNCガイド2」の工具位置情報を読み取り、実加工せずに加工結果を推定できます。さらに、デジタルツインを支える産業用PCとして、現場の劣悪な環境でも正確に動作する静電容量式タッチパネルを備えた「FANUC iPC」を開発しました。サーボにつきましては、主軸速度を周期的に変動させて、加工中のびびり振動を抑制する機能を開発しました。このほか、AIによるサーボ調整機能の拡充や、様々な市場向けの拡販のためのラインナップの強化などを行いました。
レーザにつきましては、適用が広がりつつあるリモート溶接およびリモート切断市場に対応するため、リモートレーザロボット用オプションとしてレーザスキャナを開発しました。ロボットとレーザスキャナを一体で提供できるため、今後の拡販が期待されます。
ロボットにつきましては、1000kg可搬の大型ハンドリングロボット「ファナック ロボット M-1000iA」を開発しました。上下方向および前後方向に広い動作範囲、強力な手首性能を有する「ファナック ロボットM-1000iA」は、EV市場向けのバッテリユニットや建材といった重量物の搬送や穴開け加工など、幅広い産業分野への導入が期待されます。また、軽量・コンパクトで、広い動作範囲と高い防塵防滴性能を兼ね備えた「ファナック ロボット LR-10iA/10」を開発しました。従来の同可搬質量のロボットに対して機構質量が3分の1以下と大幅に軽量化されており、省エネを実現しつつ、工作機械への部品供給や近年需要が高まる物流業界でのピッキングなど様々な用途への適用が見込まれます。スカラロボットシリーズでは、天井に設置するタイプの「ファナック ロボット SR-3iA/U」を開発しました。アームリーチ以内の範囲にアーム先端が到達できないエリアがないことを特長としています。天井に設置して本体の真下を作業領域とするため、設置に必要な床面積を気にすることなく省スペースなロボットシステムを構築できます。これらをはじめとする新商品等により、ファナックロボットの適用用途の一層の拡大が期待されます。
ロボドリル(小型切削加工機)、ロボショット(電動射出成形機)およびロボカット(ワイヤ放電加工機)につきましては、ロボドリルでは、最新機種「ファナック ロボドリル α-DiB Plusシリーズ」において、操作画面の改良や付加軸テーブルによる旋削加工への対応機能の追加等のレベルアップを行いました。また、ロボドリルの稼働監視ソフトウェア「ファナック ロボドリル-LINKi」にプログラム単位で信号状態の分析が可能な機能を追加し、使いやすさを改良しました。ロボショットでは、最新機種「ファナック ロボショット α-SiBシリーズ」にα-S50iB高精度型締仕様を追加し、高精度化が進むレンズ成形市場への対応を図りました。ロボカットでは、最新機種「ファナック ロボカット α-CiCシリーズ」に細線仕様とZ軸ストローク400mm仕様を追加し、加工ワークの対象範囲を拡大しました。