第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、その創業の精神である「和協一致、仕事に魂を打ち込み、社会に奉仕したい」をさらに高揚させ、当社グループとしての誇りを堅持し、優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献することを経営の基本理念としています。あわせて、企業が社会の一員であることを深く認識し、公正かつ透明な企業行動に徹するとともに、環境との調和、積極的な社会貢献活動を通じ、良識ある市民として真に豊かな社会の実現に尽力していきます。加えて、当社グループの経営に当たっては、事業活動において各国の法令を超えて適用される共通規範である「マクセルグループ行動規範」を遵守していきます。また、すべてのステークホルダーの視点に立ち、経営の意思決定及び業務執行の迅速化を行うとともに、その監視体制を充実させるための基本方針である「コーポレートガバナンス・ガイドライン」を定めガバナンス体制を強化し、持続的な成長と中期的な企業価値向上を図っていきます。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループでは、今後の成長が期待される自動車、住生活・インフラ、健康・理美容をはじめとするさまざま分野でユニークな技術を活かした特徴ある製品・サービスを強化していくとともに、資本効率性の向上に努め、平成32年度(2020年度)でROE8%以上の達成をめざします。

 

(3) 経営環境

グローバルの経済環境は前期の状況と同様、全体では緩やかながらも成長基調を維持するものと予想しています。米国、欧州は引き続き成長基調を維持する見込みであり、中国は政府主導による投機的な不動産投資の抑制や過剰な生産設備の調整政策により経済成長の減速が予想されるものの、他の新興国とともに高い経済成長を続ける見込みです。また、日本も好調な海外経済にも支えられ、欧米や新興国に比べて緩やかながらも成長基調を維持する見込みです。一方で、地政学的リスクが払拭できないことに加え、米国による保護主義的な通商政策の影響など、不確実性の高まりによる世界経済への影響が懸念されます。

このような状況のもと当社グループにおいては、エネルギーセグメントでは、マイクロ電池は自動車市場及びスマートメーター向けを成長の柱として拡大し、リチウムイオン電池は前期と同様に、当社グループの強みを活かせる収益性の高い市場を中心に事業展開していく計画です。産業用部材料セグメントでは、自動車の電装化のさらなる進化に伴う自動車市場向け光学部品の拡大、粘着テープなど機能性材料事業、半導体関連受託開発・製造事業などを柱に事業拡大を図ります。一方で、電器・コンシューマーセグメントでは、当期において不振であったプロジェクターやエステ家電などの主力製品において市場動向を捉えた製品の積極的な投入や販路の拡大を推進し、成長軌道への回帰を図ります。

 

(4) 当社グループが対処すべき課題及び経営戦略

当社グループでは、「スマートライフをサポート 人のまわりにやすらぎと潤い」を経営ビジョンに掲げており、強みである「グローバル展開」、「モノづくり力」、「アナログコア技術」を競争力強化に活かし融合させることにより、グローバル成長をめざすこととしており、以下の戦略を実行していきます。

 

a 成長3分野を基軸とした成長の実現

自動車分野、住生活・インフラ分野、健康・理美容分野を成長3分野と位置づけて、積極的に市場を開拓するとともに売上高・利益の拡大を図ります。自動車分野では、ADAS(Advanced Driving Assistant System、先進運転支援システム)や自動運転など、自動車の電装化のさらなる進化が見込まれます。当社グループでは、車載カメラ用レンズユニット、LEDヘッドランプレンズやタイヤ空気圧監視システム向け耐熱コイン形リチウム電池などを主軸とした製品の確固たるポジションを築くべく重点分野として取り組みます。住生活・インフラ分野では、住環境のスマート化やIoT化に伴うセンシングや安全・安心、快適をキーワードにハイエンドプロジェクター、スマートメーター向け電源用電池、建材・養生用テープ、蓄電システムなど、社会課題の解決に不可欠なキーデバイスの提供による成長をめざします。また、健康・理美容分野では、アンチエイジングや高齢化、健康・美容への意識の高まりを背景として、保湿サポート器などのエステ家電や空気・水関連製品など多様な顧客ニーズに応えるオンリー・ワン製品の開発を中心に成長をめざします。

 

b 強靭・機動的な経営体質の確立

当社グループは、中長期的な成長の促進と強靭で機動的な経営体質を確立するため、平成29年10月1日をもって持株会社体制へ移行しました。持株会社体制への移行により、事業会社への事業執行権限の委譲を行い、経営のスピードアップによる既存事業規模の拡大を加速するとともに、持株会社である当社は、グループ全体の経営管理に加え、マクセルビジネスプラットフォーム(Maxell Business Platform、MBP)戦略の推進による事業領域の拡大と、新規事業の創出に取り組みます。また、事業の成長に加え、当社グループ全体の収益性を大幅に向上させるために、ポートフォリオの改革、コストの削減、オペレーションの質向上にスピードをもって取り組みます。 

ポートフォリオ改革においては、製品別収益管理の徹底により各製品分野において収益性の向上を図ります。原価低減においてはVE(Value Engineering)の推進、調達・物流コストの低減に加え、特に間接部門において当社グループ全体の人財、経費等の資産・資源を適正に活用することにより業務効率向上に取り組みます。

 

c 新たなコーポレートブランドの構築

多様なステークホルダーとのコミュニケーションに対する投資を継続してブランド価値の向上を図ります。また、自主独立経営を一層強化していくうえで、マクセルブランドの再構築を大きな課題と考えております。マクセルユニーク追及による脱コモディティへのブランディング、パブリシティ、SNSの活用強化、CSV(Creating Shared Value、共通価値創造)の推進、株主・投資家等との積極的な対話を基本施策として新たなコーポレートブランドの構築に取り組みます。

 

d 資本効率性の向上

資本効率性の向上を経営課題に掲げています。株主の皆様からの投資に対するリターンを高めるべく、資本効率性を向上する経営の実践に取り組みます。成長のための投資を十分に確保する一方、投資案件を厳選することによって、投資額に対する収益率を高めていきます。また、ROEを重視した経営を実践し、平成32年度(2020年度)でROE8%以上の達成をめざします。また、資本効率性を踏まえた株主還元策を実施していきます。

 

また、中期的な経営戦略の実践のために当社グループが対処すべきその他の課題は次のとおりであります。

 

人財育成の強化

組織においては人財の活用が企業経営における最重要課題のひとつであると認識しています。経営環境の変化に対応した人員の効率的な配置と効率的な活用を図り、公正で透明性のある人事評価制度を確立させるとともに、ダイバーシティを推進することにより組織・人財のグローバル化を図り、元気で活力のある企業をめざしていきます。

 

CSR(企業の社会的責任)を意識した企業経営

CSRを意識して企業価値を向上させることは、企業経営における最重要課題のひとつであると認識しています。環境保全に配慮し持続可能な資源循環型社会の構築をめざした事業活動や製品開発を行う環境経営や、地域社会との共生をめざした社会貢献を積極的に行うとともに、リスク管理体制の強化や内部統制システムの整備によりコンプライアンス経営の徹底を推進します。特に、独占禁止法をはじめとする法令遵守の徹底につきましては、日本ばかりでなく欧米・アジアにおいても強力に推進していきます。当社は、これらの施策を通じて、すべてのステークホルダーから信頼される企業グループをめざしていきます。

 

コーポレートガバナンスの強化

持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目的に平成27年10月に「コーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定し、適正な情報開示と透明性の確保に努め、取締役会の役割・責務を適切に果たすとともに、株主及び投資家との建設的な対話(エンゲージメント)をさらに活性化させていきます。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。ただし、以下に記載された項目以外のリスクが生じた場合においても、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経済動向による影響について

当社グループが事業活動を行っている日本、欧米及び中国をはじめとする新興国等の経済環境の動向は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これらの地域において、景気後退により個人消費や民間設備投資が減少した場合、当社グループが提供する製品及びサービスの需要の減少や価格競争の激化が進展する可能性があります。このような環境下において、当社グループは売上高や収益性を維持できる保証はありません。 

主にエネルギー事業や産業用部材料事業の市場規模は企業の投資動向などに、電器・コンシューマー事業の需要は個人の消費動向などにより影響を受ける可能性があります。特に民生用リチウムイオン電池やコンシューマー製品などは市場トレンドや機種の変更などにより、当社グループの製品の出荷実績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 為替相場の変動による影響について

当社グループは、日本を含む全世界において事業活動を行っており、海外売上高の割合が高く、為替相場の変動リスクにさらされている資産及び負債を保有しています。主に、米ドルをはじめとする現地通貨建ての製品の輸出及び原材料の輸入を行っていることから、為替相場の変動は円建てで報告される当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。外貨建て輸出入取引のバランス調整等、為替相場の変動リスクをヘッジする施策は行っておりますが、急激な為替相場の変動による経営成績への影響を完全に回避できる保証はありません。

 

(3) 競争の激化による影響について

当社グループの事業分野においては、多様な競合相手が存在するほか、一部の製品においては汎用品化や低コストの地域における製造が進んでおり、価格競争が激化しています。激しい競争の下で成功するためには、価格、技術、品質及びブランド力の面において競争力を有する製品及びサービスを適宜市場に投入する必要がありますが、当社グループの提供するすべての製品及びサービスについて実現できる保証はなく、製品及びサービスが競争力を維持できない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 材料費等の変動による影響について

当社グループの製品は、石油化学製品を原材料としているものが多く、また、一部の製品において希少な物質を原材料としているものがあります。安定供給が可能な材料を用いた製品の開発などの対策を行っておりますが、原油価格の大きな変動や国際市況などによる原材料価格の大きな変動があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 災害、国際情勢等による影響について

当社グループの生産・販売活動は日本を含む全世界で展開しております。地震及び洪水等の自然災害、火災、戦争、テロ及び暴動等が起こった場合、当社グループの販売活動の停滞や生産設備等への損害などにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、文化や慣習の違いから生じる労務問題や疾病といった社会的なリスク、商習慣の違いから生じる取引先との未知のリスクが潜んでいる可能性があります。このようなリスクが顕在化した場合は、生産活動の縮小や停止、販売活動の停滞等を余儀なくされ、業績に影響を及ぼす可能性があります。特に当社グループは、経済発展が著しい中国に製造拠点を数多く有し、同国へ進出している得意先及び現地企業への供給体制を確立しております。同国にて政治的要因(法規制の動向等)、経済的要因(高成長の持続性、電力等インフラ整備の状況等)及び社会環境における予測し得ない事態が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(6) 有価証券の相場変動による影響について

当社グループは時価のある有価証券を保有しているため、金融商品取引市場におけるこれらの価額が変動した場合は、有価証券の評価損益や売却損益の発生などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 法規制による影響について

当社グループは、製造過程で生じる廃棄物や大気・水への排出物、製品に含まれる有害化学物質などについて、国内外の環境関連法令の適用を受けております。当社グループは環境経営を積極的に推進しておりますが、過去の事業活動の結果生じた事象についても、現在の環境規制に対応するための費用が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このほか、マッサージチェアなど電器・コンシューマー事業の一部製品は、医療機器として薬事法等の規制を受けており、国内外におけるこれらに準じる規制の予測できない改正等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また同様に、当社グループの取り扱う電池や部材料などの各製品分野において、今後、法規制が新設または強化された場合、当該製品の製造や出荷、販売等のコストに影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 技術革新等による影響について

当社グループの事業分野においては、新しい技術が急速に発展しています。技術革新を継続的に、迅速かつ優れた費用効率で製品及びサービスに適用することは、競争力を維持するために不可欠です。このような製品及びサービスを生み出すためには、研究開発に対する多大な努力が必要となりますが、当社グループの研究開発が常に成功する保証はありません。当社グループの先端技術の開発または製品・サービスへの適用が予定どおり進展しなかった場合は当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 製品品質、製造物責任による影響について

当社グループは国内外の生産拠点において、ISO(International Organization for Standardization 国際標準化機構)の品質マネジメントシステム規格(ISO9001)や顧客から高度な品質管理体制が求められる自動車業界向けの品質マネジメントシステム規格(ISO/TS16949)に従って多様な製品の品質管理を行っております。

しかしながら、予想し得ない品質上の欠陥(規制物質含有を含む)や法令・規制等の不遵守、それに起因するリコールが発生しないとは限らず、当社製品のリコールや製造物責任の追及がなされた場合は、回収コストや賠償費用の発生、販売量の減少などの恐れがあります。さらに当社ブランドを冠した商品の品質上の欠陥によってブランドの信用が失墜し、企業としての存続を危うくする事態を招く可能性もあります。したがって重大な品質問題が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)事業買収、合併、会社分割等による事業の承継の影響について

当社グループは今後、エネルギー事業、産業用部材料事業、電器・コンシューマー事業の各事業分野において、事業拡大のために同業他社の事業譲受や買収または当社傘下への販路取り込み等を行う可能性があります。また、経営基盤の強化などのために他社との合併を行う可能性があるほか、個別事業の強化拡大のために当該事業を承継する新会社を会社分割により設立する可能性があります。当該買収、合併、会社分割等が当社グループの事業展開や業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、市場環境や経済環境によっては、当該買収、合併、会社分割等が当初想定した結果を創出できる保証はなく、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)再編による業界動向の変動の影響について

電池や機能性部材料等の当社グループの取り扱う製品及びサービス分野において、競合企業間の再編により業界動向が大きく変化した場合は、価格や開発ロードマップ、材料調達等の条件などが変動することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また当社グループが業界内で高いシェアを獲得している製品及びサービス分野において、競合企業間の再編によって当社シェアが下落した場合は、当該市場における当社グループのイニシアティブが低下する可能性があります。

 

 

(12)日立グループとの関係による影響について

平成29年11月17日に開催の当社取締役会にて決議した株式会社日立製作所保有株式の売出しに伴い、平成29年12月5日をもって株式会社日立製作所は当社の主要株主である筆頭株主ではなくなりました。しかしながら引き続き株式会社日立製作所をはじめとした日立グループとは技術協力、製品の供給等において今後も一定の関係を継続することを基本方針としております。また、当社グループの多くの事業は独自のマクセルブランドを冠してはいるものの、一部製品を日立ブランドで製造しております。したがって日立グループの経営戦略等の影響を受ける可能性があります。

 

(13)知的財産権による影響について

当社グループは競合他社等に対抗していくためには特許権その他の知的財産権の確保が非常に重要であると認識しており、国内外において出願中のものを含めて多数の特許を保有しております。当社グループは二次電池や一次電池、光学部品、成形、機能性材料、プロジェクター、小型電気機器、ヘルスケア、磁気テープ、光ディスク、RFIDシステム、ICカード等の分野において、有力な特許を保有しておりますが、さらにこれら事業の将来性を見越した技術及び周辺技術についても特許の出願を進めております。しかしながら、当社グループが出願中である特許について適時に登録を受けられる保証はなく、現在登録を受けている特許が将来においても当社グループにおける事業の知的財産権を保護するのに必要十分である保証はありません。

また当社グループは、第三者の知的財産権を尊重し、業界において必要な特許監視等を実施しておりますが、当社グループが使用する技術要素等について、当社グループが認識しない第三者の特許がすでに成立している場合、当該第三者より知的財産権を侵害しているとの事由により、当該第三者より使用差し止め及び損害賠償等の訴えを起こされる可能性があります。当該特許の使用差し止めや使用に係る対価等の多額の支払い等が発生した場合、当社グループの事業展開や経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、仮にこれらの紛争において勝訴した場合にも、これらの訴えに対して当社を防御し、解決を図るために多大な費用や経営資源を費やすことにより、当社グループの事業展開及び経営成績等に影響を及ぼさないとする保証はありません。

なお、一部の製品においては第三者の特許技術等に係るライセンスを受けております。現時点において、当社グループが導入する特許技術に係るライセンス継続に支障が生じる可能性は低いものと認識しておりますが、これらの継続使用が困難となった場合には当社グループの事業展開等に何らかの制約が生じる可能性があります。

 

(14)情報セキュリティによる影響について

当社グループでは、ファイアウォールの整備やコンピュータウィルス対策ソフトウェアの導入、データ及びシステムのバックアップ、教育啓発の実施など、ハード・ソフト両面において情報セキュリティ上のリスク対策を実施しておりますが、自然災害や人為的な原因により情報の消失・外部流出、システム障害等が起きた場合、システムの一時停止や復旧対策等による費用が発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは事業遂行に関連して、当社グループまたは顧客等についての個人情報、技術・営業に関する営業秘密を保有しております。当社グループでは、これらの情報の適切な保護及び管理に努めておりますが、システム障害、人為的な原因、その他の原因でこれらの情報が流出した場合、当社グループに対する信頼ならびに当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 

 

(15)人財獲得と人財育成による影響について

当社グループが事業活動を行っている分野において継続的に事業を発展させるためには、多様な専門技術に精通した人財、経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人財の確保、育成を継続的に推進していくことが重要と考えております。

このため、当社グループでは計画的な新卒採用や経験者の通年採用を積極的に実施して人財を育成するとともに、目標管理制度に基づいた公平な評価・処遇制度の充実、自立型人財やグローバル人財を育成するための各種教育制度の拡充など社員のモティベーションを高める諸施策を実施しております。

しかしながら、グローバルで優秀な人財を獲得するための競争は厳しく、日本国内においては、少子高齢化や労働人口の減少等が懸念されるほか、中国等の海外拠点においても、雇用環境の変化が急速に進んでおり、常に適切な人財を確保できる保証はありません。人財獲得や育成が計画どおりに進まなかった場合は、長期的視点から、当社グループの事業展開、業績及び成長見通しに影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(16)訴訟その他の法的手続の影響について

当社グループは、事業を遂行する上で取引先や第三者から訴訟等が提起されるリスク及び規制当局より法的手続がとられるリスクを有しております。これらにより、当社グループに対して巨額かつ予想困難な損害賠償の請求がなされた場合や事業遂行上の制限が加えられた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)税金負担による影響について

当社は、過年度に生じた税務上の繰越欠損金により課税所得が軽減されております。今後、業績の推移や税制改正等により、繰越欠損金の繰越期間の満了で欠損金が消滅し税金負担が増える可能性があります。また、移転価格税制をはじめとする各国の規制・税制等の変更のような、予測できない事態の発生により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、当連結子会社及び持分法適用会社)の経営成績等の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

当連結会計年度のグローバル経済は、先進国、新興国ともに成長基調を維持しました。米国では安定した雇用環境に支えられ個人消費が堅調で、企業の景況感も法人減税の実施もあり良好に推移しました。欧州では政治・金融面の不安定要素を抱えつつも、成長基調が続きました。また新興国では、中国経済の減速傾向が見られるものの、全体では成長基調が続きました。日本でも良好な海外経済を背景として輸出も増加傾向に向かう等、企業業績、個人消費ともに堅調で、緩やかながらも長期にわたる経済成長が続きました。しかしながら北朝鮮や中東情勢といった地政学的リスクの存在に加え、米国による保護主義的な通商政策の台頭もあり、為替変動や原材料の調達への影響、消費マインドの低下など、今後の経済環境への影響が懸念される状況となりました。

このような状況のもと当連結会計年度の売上高は、エステ家電及びその他コンシューマー向け製品全般の販売が低調に推移したことに加え、磁気テープの販売を縮小させた影響がありましたが、リチウムイオン電池が大幅な増収となったことに加え、自動車市場向けの光学部品やマイクロ電池、粘着テープの販売が堅調に推移しました。また平成29年5月より新たに加わった半導体関連受託開発・製造事業による増収もあり、前年同期比9.7%(13,082百万円)増(以下の比較はこれに同じ)の148,198百万円となりました。利益面では、プロジェクターの減益とエステ家電の販売不振などによる減益がありましたが、リチウムイオン電池の売上拡大による増益と新規事業の効果により、営業利益は16.9%(1,281百万円)増8,848百万円、経常利益は16.0%(1,180百万円)増8,567百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は24.5%(1,403百万円)増7,127百万円となりました。

当連結会計年度の対米ドルの平均円レートは111円となりました。

セグメント別の経営成績は、次のとおりです。

 

(エネルギー)

民生用リチウムイオン電池の増収が大きく寄与したことに加え、自動車市場向けコイン形リチウム電池、スマートメーター向け筒形リチウム電池も増収となるなど、エネルギー全体の売上高は28.5%(9,978百万円)増44,970百万円となりました。営業利益は、リチウムイオン電池の販売をスマートフォン向けから他用途向けに転換したことによる収益改善が奏功し、173.7%(3,528百万円)増5,559百万円となりました。

(産業用部材料)

新規事業である半導体関連受託開発・製造事業による純増、自動車市場向け光学部品と粘着テープによる増収により、磁気テープの販売を縮小させたことによる減収をカバーし、産業用部材料全体の売上高は16.7%(7,148百万円)増49,940百万円となりました。営業利益は、新規事業による増益がありましたが、粘着テープにおいて原材料価格の上昇により減益となったことなどにより2.6%(76百万円)減2,889百万円となりました。

(電器・コンシューマー)

エステ家電及びその他コンシューマー向け製品全般で減収となり、電器・コンシューマー全体の売上高は7.1%(4,044百万円)減53,288百万円となりました。営業利益は、エステ家電の減収に伴う減益と、プロジェクターの市場価格下落による減益により、84.4%(2,171百万円)減400百万円となりました。

 

地域ごとの売上高は、次のとおりであります。

 

(日本)

エステ家電及びその他コンシューマー製品全般、磁気テープが減収となったものの、リチウムイオン電池の増収、半導体関連受託開発・製造事業が純増となったことから、売上高は29.5%増の79,901百万円となりました。

 

(米国)

スマートメーター向け筒形リチウム電池、自動車市場向け光学部品が増収となったものの、プロジェクターやコンシューマー製品全般で減収となり、売上高は8.5%減の12,844百万円となりました。

 

(欧州)

自動車市場向けコイン型リチウム電池やプロジェクターが増収となったものの、磁気テープ及びコンシューマー向け製品全般で減収となり、売上高は1.4%減の12,498百万円となりました。

 

(アジア他)

自動車向け光学部品やコイン形リチウム電池、プロジェクターが増収となったものの、スマートフォン向けの民生用リチウム電池が減収となり、売上高は8.1%減の42,955百万円となりました。

 

 

② 生産、受注及び販売の状況
a 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

エネルギー

47,887

+34.9

産業用部材料

51,123

+20.3

電器・コンシューマー

54,098

△4.2

合計

153,108

+13.9

 

(注) 1.金額は、販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.生産実績には、完成品仕入にかかわる生産実績も含めており、仕入実績は次のとおりであります。

 

セグメントの名称

仕入高(百万円)

前年同期比(%)

エネルギー

592

+75.1

産業用部材料

3,730

△9.8

電器・コンシューマー

15,497

△3.6

合計

19,819

△3.6

 

(注) 1.金額は、仕入価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b 受注実績

需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

エネルギー

44,970

+28.5

産業用部材料

49,940

+16.7

電器・コンシューマー

53,288

△7.1

合計

148,198

+9.7

 

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

   2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

任天堂㈱

 ―

 ―

 18,342

12.4 

 

 (注) 前連結会計年度において、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先はありません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、以下の重要な会計方針が、当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

a 貸倒引当金

当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。

b たな卸資産

当社グループは、たな卸資産の市場状況に基づく時価の見積額が原価を下回った場合に評価損を計上しております。

c 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を評価するにあたっては、将来の課税所得を合理的に見積って検討しております。

当社及び国内連結子会社は、翌連結会計年度から連結納税制度を適用することとなったため、当連結会計年度末から連結納税制度の適用を前提とした会計処理を行っており、繰延税金資産の回収可能性の判断については、連結納税グループ全体の課税所得の見積りにより判断しております。

d 退職給付に係る負債

退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率などが含まれます。当社の年金制度においては、割引率は優良社債の市場利回りを退職給付の平均支給年数で調整して算出しております。

長期期待運用収益率は、年金資産の現在及び予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在及び将来期待される長期の収益率を考慮しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に退職給付費用の一部として計上されます。

e 減損損失

当社グループは、主に管理会計上の区分を考慮して資産グループを決定し、将来キャッシュ・フローの回収額を見積った結果、十分な将来キャッシュ・フローが見込めない事業用資産、将来の使用が見込まれていない遊休資産等について回収可能価額まで減額し、特別損失に計上しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 財政状態の分析
(a) 資産

総資産は、前連結会計年度末比6.9%増(以下の比較はこれに同じ)の170,523百万円となりました。このうち流動資産は、主に現金及び預金が減少した一方、売上高増加に伴う受取手形及び売掛金並びにたな卸資産の増加により、3.2%増100,300百万円になり、総資産に占める割合は前連結会計年度の61.0%から58.8%となりました。一方、固定資産は、投資有価証券の増加及びマクセルシステムテック株式会社の株式取得によるのれんが発生したことにより12.8%増70,223百万円で、総資産に占める割合は前連結会計年度の39.0%から41.2%となりました。

セグメントごとの資産は、次のとおりであります。

(エネルギー)

エネルギーの資産は、11.1%増の35,226百万円となりました。このうち流動資産は、主に売上高増加に伴うたな卸資産の増加により、6.5%増の18,898百万円になり、総資産に占める割合は前連結会計年度の56.0%から53.6%となりました。一方、固定資産は、リチウムイオン電池及びマイクロ電池の増産対応による設備投資を実施したことにより17.0%増の16,328百万円になり、総資産に占める割合は前連結会計年度の44.0%から46.4%となりました。

(産業用部材料)

産業用部材料の資産は、22.7%増の48,760百万円となりました。このうち流動資産は、主にマクセルシステムテック株式会社の株式取得による増加により23.4%増の22,390百万円になり、総資産に占める割合は前連結会計年度の45.7%から45.9%となりました。一方、固定資産は、主にマクセルシステムテック株式会社の株式取得による増加により22.2%増の26,370百万円になり、総資産に占める割合は前連結会計年度の54.3%から54.1%となりました。

(電池・コンシューマー)

電器・コンシューマーの資産は、0.5%増の33,346百万円となりました。このうち流動資産は、主に売上高減少に伴う受取手形及び売掛金の減少により0.5%減の20,334百万円になり、総資産に占める割合は前連結会計年度の61.6%から61.0%となりました。一方、固定資産は、既存設備の更新及び合理化投資により2.1%増の13,012百万円になり、総資産に占める割合は前連結会計年度の38.4%から39.0%となりました。

(その他)

当社グループの事業拡大のための成長投資を進めた結果、総資産は3.0%減の53,191百万円となりました。

(b) 負債

負債は、15.5%増47,729百万円となりました。このうち流動負債は、主に売上高増加に伴う支払手形及び買掛金の増加により20.8%増36,351百万円となりました。これによって流動比率は2.8倍に、また流動資産との差額である手持ち資金は63,949百万円となりました。一方、固定負債は、1.4%増11,378百万円となりました。

(c) 純資産

純資産は、3.9%増の122,794百万円となりました。主に配当金の支払いが1,902百万円あったものの、親会社株主に帰属する当期純利益を7,127百万円計上したことによるものです。また、自己資本比率は73.0%から71.0%となりました。

 

 

b 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より4,174百万円減少の7,797百万円の収入となりました。これは、税金等調整前当期純利益が前連結会計年度より1,338百万円増加となったこと、および、売上債権の増減額が前連結会計年度は3,617百万円の減少であったのに対し、当連結会計年度は3,519百万円増加したこと、たな卸資産の増減額が前連結会計年度は501百万円の減少に対し、当連結会計年度は3,599百万円増加したことによる資金の減少と、仕入債務の増減額が前連結会計年度は719百万円の減少であったのに対し、当連結会計年度は5,349百万円増加したことによる資金の増加によるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度より6,578百万円減少の8,920百万円の支出となりました。これは、有形固定資産の売却による収入が前連結会計年度より5,222百万円減少したこと、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が4,940百万円となったことにより資金が減少したこと、定期預金の払戻による収入が3,008百万円増加したことによる資金の増加によるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度より96百万円減少の2,127百万円の支出となりました。これは、主にリース債務の返済による支出が前連結会計年度に対し101百万円増加したことによります。

これらのキャッシュ・フローに現金及び現金同等物に係る換算差額と、現金及び現金同等物の期首残高を合わせた当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末よりも3,362百万円減少し45,539百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリーキャッシュ・フローは、前連結会計年度の9,629百万円から、当連結会計年度は△1,123百万円へと減少しました。

当社グループは、資金の流動性を考慮して、資金運用については短期的な預金等とし、一時的な余資は安全性の高い金融資産で運用する方針であります。

当社グループの運転資金需要は、製品製造のための材料及び部品の購入のほか、加工費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。

当社グループの設備投資等の需要は成長が期待できる製品分野及び研究開発分野のほか、省力化、合理化及び製品の信頼性向上のための投資によるものです。

当社グループは、事業拡大のための成長投資を進めております。

これらの資金需要に対しては基本的に自己資金にて賄っております。

 

c 経営成績の分析
(a) 売上高

売上高は、民生用リチウムイオン電池の大幅な増収及び新規事業である半導体関連受託開発・製造事業による増収、また円安による為替の影響などにより前連結会計年度に対し、9.7%増148,198百万円となりました。なお、為替レートは、前連結会計年度1ドル=108円、当連結会計年度1ドル=111円であります。

(b) 売上原価、販売費及び一般管理費

売上原価は、売上高の増加が影響し、8.6%増113,870百万円となりました。売上高に対する原価率は、前連結会計年度の77.6%から76.8%となりました。その結果、売上総利益は13.5%増34,328百万円となり、売上高総利益率は、前連結会計年度の22.4%から23.2%となりました。また、販売費及び一般管理費は、主にのれん償却額及び顧客関連資産の減価償却費の計上により、12.4%増の25,480百万円となりました。

売上原価と販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は、主に半導体関連事業の研究開発が増加したことにより7.5%増10,592百万円となりました。なお、売上高に対する研究開発費の比率は前連結会計年度の7.3%から7.1%となりました。

(c) 営業利益

営業利益は、製品構成の改善及び固定費削減などの原価低減に努めた結果、16.9%増8,848百万円となりました。

(d) 営業外収益(費用)

営業外収益(費用)は、持分法による投資損失が投資利益に転じたものの為替差損が増加したことから、前連結会計年度の180百万円の費用(純額)から、281百万円の費用(純額)となりました。受取利息から支払利息を減じた純額は、前連結会計年度の148百万円の収益(純額)に対し、181百万円の収益(純額)へと増加しました。

(e) 経常利益

経常利益は、為替の影響があったものの製品構成の改善及び固定費削減などの原価低減に努めた結果、16.0%増8,567百万円となりました。

(f) 特別利益(損失)

特別利益(損失)は、減損損失の計上や、大阪事業所の土地売却などの固定資産売却益の計上が影響した前連結会計年度の684百万円の損失(純額)から、当連結会計年度は当社グループの社名変更による404百万円の損失があったものの、特許関連収入950百万円の利益があったことから、526百万円の損失(純額)となりました。

(g) 税金等調整前当期純利益

税金等調整前当期純利益は、20.0%増8,041百万円となりました。

(h) 法人税等

法人税等は、課税所得が増加し、0.1%増868百万円となりました。非支配株主に帰属する当期純利益は58.9%減46百万円となりました。

(i) 親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は、24.5%増7,127百万円となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の108.32円に対し134.88円となりました。

 

d 経営戦略の現状と見通し

当社グループは、経営ビジョンである「スマートライフをサポート 人のまわりにやすらぎと潤い」の下、当社グループの強みである「グローバル展開」、「モノづくり力」、「アナログコア技術」を融合させることにより、成長3分野と位置付ける自動車、住生活・インフラ、健康・理美容の各分野のグローバルな成長に向けた諸施策を進めるとともに、事業ポートフォリオの改革による収益改善と新市場開拓に向けた諸施策を実行してまいりました。さらに、今後の情勢変化に機敏に対応できる経営体質を構築するため、平成29年10月1日を効力発生日として、持株会社体制へ移行しております。また、平成30年度(2018年度)から平成32年度(2020年度)までの3年間の新中期経営計画を策定し、当連結会計年度までの前中期経営計画期間で達成が不十分であった事業規模の拡大を加速するとともに、収益力と資本効率性の向上に努め、平成32年度(2020年度)で売上高2,000億円、ROE8%以上の達成をめざします。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

当社は、平成29年4月27日開催の取締役会において、平成29年10月1日を効力発生日として、会社分割(以下「本吸収分割」といいます。)の方法により分割準備会社として設立した当社の100%子会社であるマクセル株式会社との間で吸収分割契約を締結することを決議し、同日、マクセル株式会社との間で吸収分割契約を締結いたしました。 

 本吸収分割の概要は次のとおりであります。

 

 (1) 本吸収分割の目的

当社グループは、「スマートライフをサポート 人のまわりにやすらぎと潤い」を経営ビジョンに掲げ、エネルギー、産業用部材料、電器・コンシューマーの各事業セグメントにおいて、独自のアナログコア技術を活用した多彩な事業をワールドワイドに展開しております。また、競争力のある事業を拡大し、大きく変化する経営環境にも対応することで企業価値向上をめざします。 

上記経営方針に沿った施策を実施していくためには、より迅速かつダイナミックな意思決定・事業運営を実現する経営インフラが不可欠と考えます。

持株会社体制へ移行することにより、持株会社はグループ経営に特化する一方、事業会社には事業執行上の権限を委譲することが可能となり、グループ経営力の強化と事業運営の自立性向上による事業執行のスピードアップが期待できると考えております。また、成長施策として有力な選択肢であるマクセルビジネスプラットフォーム(Maxell Business Platform、MBP)戦略を円滑に推進する上でも、持株会社体制の持つ機動性が大いに寄与すると考えております。

 

 (2) 本吸収分割の方法

当社を分割会社とする会社分割により、当社のグループ経営統括部門及び不動産管理部門が営む事業を除く全ての事業を当社の100%子会社であるマクセル株式会社に承継させます。

 

 (3) 本吸収分割の期日

   平成29年10月1日

 

 (4) 本吸収分割に係る割当ての内容

本吸収分割に際し、マクセル株式会社は普通株式49,900株を発行し、その全てを当社に対して割当て交付いたします。

 

 (5) 本吸収分割に係る割当ての内容の算定根拠

吸収分割承継会社であるマクセル株式会社は当社の100%子会社であり、本吸収分割に際してマクセル株式会社が新たに発行する株式の全部を当社に割当て交付するため、当社とマクセル株式会社との協議の上、割当株式数を決定いたしました。

 

 (6) 分割する事業部門の経営成績(平成29年3月期実績)

 

分割する事業部門の経営実績(a)

分割会社の実績(b)

比率(a/b)

売上高

99,961百万円

100,540百万円

99.4%

 

 

(7) 分割する資産、負債の項目及び帳簿価額(平成29年9月30日現在)

資産

負債

項目

帳簿価額

項目

帳簿価額

流動資産

39,601百万円

流動負債

25,935百万円

固定資産

41,166百万円

固定負債

3,614百万円

合計

80,767百万円

合計

29,549百万円

 

 

 

(8) 本吸収分割後の状況(平成29年10月1日現在)

 

分割会社

分割準備(承継)会社

①名称

マクセルホールディングス株式会社
(平成29年10月1日付で「日立マクセル株式会社」より商号変更)

マクセル株式会社

②所在地

京都府乙訓郡大山崎町大山崎小泉1番地

京都府乙訓郡大山崎町大山崎小泉1番地

③代表者の役職・氏名

取締役社長  勝田 善春

取締役社長  勝田 善春

④事業内容

グループ戦略立案及び事業会社の統括管理等

エネルギー、産業用部材料及び電器・コンシューマー製品の製造・販売

⑤資本金

12,203百万円

5,000百万円

⑥決算期

3月31日

3月31日

 

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループでは、当社の技術戦略部、マクセル株式会社の技術統括本部及び各事業本部、その他の子会社の研究開発部門が連携して研究開発活動を行っております。また、当社グループ外の企業との共同開発や産官学連携の活用により、一層の技術革新を推進しております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は10,592百万円であり、セグメント別の研究開発活動及び研究開発費は次のとおりであります。

 

(エネルギー)

当社の技術戦略部とマクセル株式会社の技術統括本部、エナジー事業本部の設計開発部門などが協力し、リチウム一次電池やボタン電池などの一次電池、リチウムイオン電池や蓄電システムなどの二次電池の研究開発を推進しております。当連結会計年度においては、今後成長が期待されるIoT機器向けリチウムイオン電池の高い安全性と大幅な高容量化、作動温度範囲の拡張を図るため、固体電解質と当社の高容量化技術「ULSION」を組み合わせた高性能化技術を開発しました。また農業用ドローン専用のリチウムイオン電池パック及び専用充電器をドローンメーカーと共同開発しました。さらにはNEDO主導の革新型電池プロジェクトに継続して参画し、大学や公的研究機関と連携した研究を進めています。当セグメントに係る研究開発費は2,280百万円であります。

 

(産業用部材料)

当社の技術戦略部とマクセル株式会社の技術統括本部、光エレクトロニクス事業本部、スリオンテック事業本部、ライフソリューション事業本部、マクセル情映テック株式会社及びマクセルシステムテック株式会社の設計開発部門などが協力し、光学部品、機能性材料、電鋳・精密部品、粘着テープ、RFIDシステムなどの研究開発を推進しております。当連結会計年度においては、車載カメラ用レンズユニットでは、125℃の高温環境下でも性能が劣化しない高解像・高耐熱のフロントセンシングレンズや、特殊非球面の採用により自動運転に対応し、業界初となる遠近両用センシングを可能とする超高解像度レンズユニットの開発を進めました。同じく自動車分野ではミリ波レーダーセンシングに対応した、電磁波抑制シートの開発を行いました。また、エコフレンドリーな製品開発を推進しており、粘着テープでは、住宅の省エネに関わる高気密住宅向け建材用防水テープの新製品を開発しました。樹脂成型技術の分野では、新規の物理発泡成形技術「RIC-FOAM」を開発し、自動車部品や電子機器の樹脂軽量部品の開発を協業他社と連携して進めています。当セグメントに係る研究開発費は2,549百万円であります。

 

(電器・コンシューマー)

当社の技術戦略部とマクセル株式会社の技術統括本部、光エレクトロニクス事業本部、ライフソリューション事業本部、エナジー事業本部の設計開発部門などが協力し、プロジェクター、小型電気機器などの研究開発・商品開発を推進しております。当連結会計年度においては、曲面スクリーン上に立体像を表示する「Glasses-free 3D-Display」技術を開発しました。またLED照明と映像表示デバイスを融合したイメージングライトを開発し、インストアサイネージなど、さまざまな空間を映像と光で演出する技術展開を推進しています。一方、小型電気機器では、身体に貼るだけで低周波の電気刺激による筋肉の収縮運動を行い、トレーニング効果のあるEMS運動機器シリーズ「もてケア」を商品化しました。また、新機能のシミセンサーを搭載し、手軽に肌ケアができる保湿サポート器を開発しました。当セグメントに係る研究開発費は5,763百万円であります。