文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、その創業の精神である「和協一致、仕事に魂を打ち込み、社会に奉仕したい」をさらに高揚させ、当社グループとしての誇りを堅持し、優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献することを経営の基本理念としています。あわせて、企業が社会の一員であることを深く認識し、公正かつ透明な企業行動に徹するとともに、環境との調和、積極的な社会貢献活動を通じ、良識ある市民として真に豊かな社会の実現に尽力していきます。加えて、当社グループの経営に当たっては、事業活動において各国の法令を超えて適用される共通規範である「マクセルグループ行動規範」を遵守していきます。また、すべてのステークホルダーの視点に立ち、経営の意思決定及び業務執行の迅速化を行うとともに、その監視体制を充実させるための基本方針である「コーポレートガバナンス・ガイドライン」を定めガバナンス体制を強化し、持続的な成長と中期的な企業価値向上を図っていきます。
当社グループでは、今後の成長が期待される自動車、住生活・インフラ、健康・理美容をはじめとするさまざま分野でユニークな技術を活かした特徴ある製品・サービスを強化していくとともに、資本効率性の向上に努め、2020年度でROE6%以上の達成をめざします。
グローバルの経済環境は前期の状況より厳しくなり、全体では減速感がぬぐえない状況が継続すると予想しています。先進国では、米国は引き続き成長基調を維持する見込みですが、欧州や日本では減速が更に進む可能性もあると考えます。中国では、他の新興国とともに先進国に比べて高い経済成長が続く見込みですが、自動車など個人消費の回復が遅れることにより他国経済への影響が懸念されます。一方で、地政学リスクの継続や、米国による保護主義的な通商政策の影響や不透明なBrexitの動向など、不確実性の高まりによる為替変動や原材料費への影響など、世界経済や企業の事業活動への影響が懸念されます。特に、自動車、半導体、民生用電子機器といった市場の低迷は、当社の事業にも大きく影響すると考えます。
このような状況のもと当社グループにおいては、エネルギーセグメントでは、マイクロ電池を中心に、自動車市場やスマートメーター向けを成長の柱として強化する一方で、民生用リチウムイオン電池については、ポートフォリオの見直しを行います。産業用部材料セグメントでは、自動車市場向け光学部品、粘着テープや工業用ゴム製品、車載用リチウムイオン電池向け塗布型セパレーターなどの機能性材料、半導体関連組込みシステムなどを柱に事業拡大を図ります。電器・コンシューマーセグメントでは、プロジェクターやエステ家電については、マクセルブランド立上げや販売体制の構築に伴う投資も行いつつ販売回復を図ります。
また、すべてのセグメントにおいて事業ポートフォリオの変革と継続的な原価低減を進めるとともに、当連結会計年度にて新たに加わった連結子会社も含めた当社グループ内のシナジー効果の実現を図っていきます。
当社グループでは、「スマートライフをサポート 人のまわりにやすらぎと潤い」を経営ビジョンに掲げており、強みである「グローバル展開」、「モノづくり力」、「アナログコア技術」を競争力強化に活かし融合させることにより、グローバル成長をめざすこととしており、以下の戦略を実行していきます。
自動車分野、住生活・インフラ分野、健康・理美容分野を成長3分野と位置づけて、積極的に市場を開拓するとともに売上高・利益の拡大を図ります。自動車分野では、ADAS(Advanced Driving Assistant System、先進運転支援システム)や自動運転など、自動車の電装化のさらなる進化が見込まれます。当社グループでは、車載カメラ用レンズユニット、LEDヘッドランプレンズやタイヤ空気圧監視システム向け耐熱コイン形リチウム電池などを主軸とした製品の確固たるポジションを築くべく重点分野として取り組みます。住生活・インフラ分野では、住環境のスマート化やIoT化に伴うセンシングや安全・安心、快適をキーワードにハイエンドプロジェクター、スマートメーター向け電源用電池、建材・養生用テープ、蓄電システムなど、社会課題の解決に不可欠なキーデバイスの提供による成長をめざします。また、健康・理美容分野では、アンチエイジングや高齢化、健康・美容への意識の高まりを背景として、保湿サポート器などのエステ家電や空気・水関連製品など多様な顧客ニーズに応えるオンリー・ワン製品の開発を中心に成長をめざします。
当社グループは、中長期的な成長の促進と強靭で機動的な経営体質を確立するため、2017年10月1日をもって持株会社体制へ移行しました。持株会社体制への移行により、事業会社への事業執行権限の委譲を行い、経営のスピードアップによる既存事業規模の拡大を加速するとともに、持株会社である当社は、グループ全体の経営管理に加え、マクセルビジネスプラットフォーム(Maxell Business Platform、MBP)戦略の推進により「共創共栄」をめざす企業グループの形成によるビジネス領域の拡充と、シナジー効果の実現による既存事業の成長に取り組みます。また、事業の成長に加え、当社グループ全体の収益性を大幅に向上させるために、ポートフォリオの改革、コストの削減、オペレーションの質向上にスピードをもって取り組みます。
ポートフォリオ改革においては、製品別収益管理の徹底により各製品分野において収益性の向上を図ります。原価低減においてはVE(Value Engineering)の推進、調達・物流コストの低減に加え、特に間接部門において当社グループ全体の人財、経費等の資産・資源を適正に活用することにより業務効率向上に取り組みます。
多様なステークホルダーとのコミュニケーションに対する投資を継続してブランド価値の向上を図ります。また、自主独立経営を一層強化していくうえで、マクセルブランドの再構築を大きな課題と考えております。マクセルユニーク追及による脱コモディティへのブランディング、パブリシティ、SNSの活用強化、CSV(Creating Shared Value、共通価値創造)の推進、株主・投資家等との積極的な対話を基本施策として新たなコーポレートブランドの構築に取り組みます。
資本効率性の向上を経営課題に掲げています。株主の皆様からの投資に対するリターンを高めるべく、資本効率性を向上する経営の実践に取り組みます。成長のための投資を十分に確保する一方、投資案件を厳選することによって、投資額に対する収益率を高めていきます。また、適正な資本構成と企業価値の最大化及びROEの向上を重視した経営を実践するとともに、株主還元の強化を図り、2020年度でROE6%以上の達成をめざします。
また、中期的な経営戦略の実践のために当社グループが対処すべきその他の課題は次のとおりであります。
組織においては人財の活用が企業経営における最重要課題のひとつであると認識しています。経営環境の変化に対応した人員の効率的な配置と効率的な活用を図り、公正で透明性のある人事評価制度を確立させるとともに、ダイバーシティを推進することにより組織・人財のグローバル化を図り、元気で活力のある企業をめざしていきます。
CSRを意識して企業価値を向上させることは、企業経営における最重要課題のひとつであると認識しています。環境保全に配慮し持続可能な資源循環型社会の構築をめざした事業活動や製品開発を行う環境経営や、地域社会との共生をめざした社会貢献を積極的に行うとともに、リスク管理体制の強化や内部統制システムの整備によりコンプライアンス経営の徹底を推進します。特に、独占禁止法をはじめとする法令遵守の徹底につきましては、日本ばかりでなく欧米・アジアにおいても強力に推進していきます。当社は、これらの施策を通じて、すべてのステークホルダーから信頼される企業グループをめざしていきます。
コーポレートガバナンスの強化
持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目的に2015年10月に「コーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定し、適正な情報開示と透明性の確保に努め、取締役会の役割・責務を適切に果たすとともに、株主及び投資家との建設的な対話(エンゲージメント)をさらに活性化させていきます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。ただし、以下に記載された項目以外のリスクが生じた場合においても、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループが事業活動を行っている日本、欧米、中国や新興国等の経済環境の動向は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これらの地域において、景気後退により個人消費や民間設備投資が減少した場合、当社グループが提供する製品及びサービスの需要の減少や価格競争の激化が進展する可能性があります。このような環境下において、当社グループは売上高や収益性を維持できる保証はありません。
主にエネルギー事業や産業用部材料事業の市場規模は企業の投資動向などに、電器・コンシューマー事業の需要は個人の消費動向などにより影響を受ける可能性があります。特に民生用リチウムイオン電池やコンシューマー製品などは市場トレンドや機種の変更などにより、当社グループの製品の出荷実績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、日本を含む全世界において事業活動を行っており、海外売上高の割合が高く、為替相場の変動リスクにさらされている資産及び負債を保有しています。主に、米ドルをはじめとする現地通貨建ての製品の輸出及び原材料の輸入を行っていることから、為替相場の変動は円建てで報告される当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。外貨建て輸出入取引のバランス調整等、為替相場の変動リスクをヘッジする施策は行っておりますが、急激な為替相場の変動による経営成績への影響を完全に回避できる保証はありません。
当社グループの事業分野においては、多様な競合相手が存在するほか、一部の製品においては汎用品化や低コストの地域における製造が進んでおり、価格競争が激化しています。激しい競争の下で成功するためには、価格、技術、品質及びブランド力の面において競争力を有する製品及びサービスを適宜市場に投入する必要がありますが、当社グループの提供するすべての製品及びサービスについて実現できる保証はなく、製品及びサービスが競争力を維持できない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの製品は、石油化学製品を原材料としているものが多く、また、一部の製品において希少な物質を原材料としているものがあります。安定供給が可能な材料を用いた製品の開発などの対策を行っておりますが、原油価格の大きな変動や国際市況などによる原材料価格の大きな変動があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの生産・販売活動は日本を含む全世界で展開しております。地震及び洪水等の自然災害、火災、戦争、テロ及び暴動等が起こった場合、当社グループの販売活動の停滞や生産設備等への損害などにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、文化や慣習の違いから生じる労務問題や疾病といった社会的なリスク、商習慣の違いから生じる取引先との未知のリスクが潜んでいる可能性があります。このようなリスクが顕在化した場合は、生産活動の縮小や停止、販売活動の停滞等を余儀なくされ、業績に影響を及ぼす可能性があります。特に当社グループは、経済発展が著しい中国に製造拠点を数多く有し、同国へ進出している得意先及び現地企業への供給体制を確立しております。同国にて政治的要因(法規制の動向等)、経済的要因(高成長の持続性、電力等インフラ整備の状況等)及び社会環境における予測し得ない事態が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは時価のある有価証券を保有しているため、金融商品取引市場におけるこれらの価額が変動した場合は、有価証券の評価損益や売却損益の発生などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、製造過程で生じる廃棄物や大気・水への排出物、製品に含まれる有害化学物質などについて、国内外の環境関連法令の適用を受けております。当社グループは環境経営を積極的に推進しておりますが、過去の事業活動の結果生じた事象についても、現在の環境規制に対応するための費用が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このほか、マッサージチェアなど電器・コンシューマー事業の一部製品は、医療機器として薬事法等の規制を受けており、国内外におけるこれらに準じる規制の予測できない改正等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また同様に、当社グループの取り扱う電池や部材料などの各製品分野において、今後、法規制が新設または強化された場合、当該製品の製造や出荷、販売等のコストに影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業分野においては、新しい技術が急速に発展しています。技術革新を継続的に、迅速かつ優れた費用効率で製品及びサービスに適用することは、競争力を維持するために不可欠です。このような製品及びサービスを生み出すためには、研究開発に対する多大な努力が必要となりますが、当社グループの研究開発が常に成功する保証はありません。当社グループの先端技術の開発または製品・サービスへの適用が予定どおり進展しなかった場合は当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは国内外の生産拠点において、ISO(International Organization for Standardization 国際標準化機構)の品質マネジメントシステム規格(ISO9001)や顧客から高度な品質管理体制が求められる自動車業界向けの品質マネジメントシステム規格(ISO/TS16949)などに従って多様な製品の品質管理を行っております。
しかしながら、予想し得ない品質上の欠陥(規制物質含有を含む)や法令・規制等の不遵守、それに起因するリコールが発生しないとは限らず、当社製品のリコールや製造物責任の追及がなされた場合は、回収コストや賠償費用の発生、販売量の減少などの恐れがあります。さらに当社ブランドを冠した商品の品質上の欠陥によってブランドの信用が失墜し、企業としての存続を危うくする事態を招く可能性もあります。したがって重大な品質問題が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは今後、エネルギー事業、産業用部材料事業、電器・コンシューマー事業の各事業分野において、事業拡大のために同業他社の事業譲受や買収または当社傘下への販路取り込み等を行う可能性があります。また、経営基盤の強化などのために他社との合併を行う可能性があるほか、個別事業の強化拡大のために当該事業を承継する新会社を会社分割により設立する可能性があります。当該買収、合併、会社分割等が当社グループの事業展開や業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、市場環境や経済環境によっては、当該買収、合併、会社分割等が当初想定した結果を創出できる保証はなく、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
電池や機能性部材料等の当社グループの取り扱う製品及びサービス分野において、競合企業間の再編により業界動向が大きく変化した場合は、価格や開発ロードマップ、材料調達等の条件などが変動することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また当社グループが業界内で高いシェアを獲得している製品及びサービス分野において、競合企業間の再編によって当社シェアが下落した場合は、当該市場における当社グループのイニシアティブが低下する可能性があります。
2017年11月17日に開催の当社取締役会にて決議した株式会社日立製作所保有株式の売出しに伴い、2017年12月5日をもって株式会社日立製作所は当社の主要株主である筆頭株主ではなくなりました。しかしながら引き続き株式会社日立製作所をはじめとした日立グループとは技術協力、製品の供給等において今後も一定の関係を継続することを基本方針としており、2019年3月には、車載用リチウムイオン電池事業を行う日立ビークルエナジー株式会社(2019年3月29日付でビークルエナジージャパン株式会社に商号変更)に対して、当社、株式会社INCJ及び日立オートモティブシステムズ株式会社の3社による共同出資体制を構築しております。また、当社グループの事業において、従来より一部製品を日立ブランドで製造しており、将来的にはマクセルブランドへの切替や販売経路の変更を推進しておりますが、日立グループの経営戦略等の影響を受ける可能性があります。
当社グループは競合他社等に対抗していくためには特許権その他の知的財産権の確保が非常に重要であると認識しており、国内外において出願中のものを含めて多数の特許を保有しております。当社グループは二次電池や一次電池、光学部品、成形、機能性材料、プロジェクター、小型電気機器、ヘルスケア、磁気テープ、光ディスク、RFIDシステム、ICカード等の分野において、有力な特許を保有しておりますが、さらにこれら事業の将来性を見越した技術及び周辺技術についても特許の出願を進めております。しかしながら、当社グループが出願中である特許について適時に登録を受けられる保証はなく、現在登録を受けている特許が将来においても当社グループにおける事業の知的財産権を保護するのに必要十分である保証はありません。
また当社グループは、第三者の知的財産権を尊重し、業界において必要な特許監視等を実施しておりますが、当社グループが使用する技術要素等について、当社グループが認識しない第三者の特許がすでに成立している場合、当該第三者より知的財産権を侵害しているとの事由により、当該第三者より使用差し止め及び損害賠償等の訴えを起こされる可能性があります。当該特許の使用差し止めや使用に係る対価等の多額の支払い等が発生した場合、当社グループの事業展開や経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、仮にこれらの紛争において勝訴した場合にも、これらの訴えに対して当社を防御し、解決を図るために多大な費用や経営資源を費やすことにより、当社グループの事業展開及び経営成績等に影響を及ぼさないとする保証はありません。
なお、一部の製品においては第三者の特許技術等に係るライセンスを受けております。現時点において、当社グループが導入する特許技術に係るライセンス継続に支障が生じる可能性は低いものと認識しておりますが、これらの継続使用が困難となった場合には当社グループの事業展開等に何らかの制約が生じる可能性があります。
当社グループでは、ファイアウォールの整備やコンピュータウィルス対策ソフトウェアの導入、データ及びシステムのバックアップ、教育啓発の実施など、ハード・ソフト両面において情報セキュリティ上のリスク対策を実施しておりますが、自然災害や人為的な原因により情報の消失・外部流出、システム障害等が起きた場合、システムの一時停止や復旧対策等による費用が発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは事業遂行に関連して、当社グループまたは顧客等についての個人情報、技術・営業に関する営業秘密を保有しております。当社グループでは、これらの情報の適切な保護及び管理に努めておりますが、システム障害、人為的な原因、その他の原因でこれらの情報が流出した場合、当社グループに対する信頼ならびに当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが事業活動を行っている分野において継続的に事業を発展させるためには、多様な専門技術に精通した人財、経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人財の確保、育成を継続的に推進していくことが重要と考えております。
このため、当社グループでは計画的な新卒採用や経験者の通年採用を積極的に実施して人財を育成するとともに、目標管理制度に基づいた公平な評価・処遇制度の充実、自立型人財やグローバル人財を育成するための各種教育制度の拡充など社員のモティベーションを高める諸施策を実施しております。
しかしながら、グローバルで優秀な人財を獲得するための競争は厳しく、日本国内においては、少子高齢化や労働人口の減少等が懸念されるほか、中国等の海外拠点においても、雇用環境の変化が急速に進んでおり、常に適切な人財を確保できる保証はありません。人財獲得や育成が計画どおりに進まなかった場合は、長期的視点から、当社グループの事業展開、業績及び成長見通しに影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業を遂行する上で取引先や第三者から訴訟等が提起されるリスク及び規制当局より法的手続がとられるリスクを有しております。これらにより、当社グループに対して巨額かつ予想困難な損害賠償の請求がなされた場合や事業遂行上の制限が加えられた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、過年度に生じた税務上の繰越欠損金により課税所得が軽減されております。今後、業績の推移や税制改正等により、繰越欠損金の繰越期間の満了で欠損金が消滅し税金負担が増える可能性があります。また、移転価格税制をはじめとする各国の規制・税制等の変更のような、予測できない事態の発生により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度と比較・分析を行っております
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、当連結子会社及び持分法適用会社)の経営成績等の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるグローバル経済は、減速感が高まる状況となりました。米国では、堅調な経済成長が続いたものの、欧州では、Brexitや金融面の問題など、政治・経済面の不安定要素が拡大しました。中国や新興国では、先進国に比べ高い成長率を維持しましたが、中国では主に個人消費の鈍化により減速傾向が明らかとなりました。日本でも、海外経済の減速傾向の影響により輸出が減少するなど、経済は横ばいの状況となりました。また、米国と中国の間の通商問題も継続しており、今後のグローバル経済や企業の事業戦略への影響が懸念される状況となりました。
このような状況のもと当連結会計年度の売上高は、民生用リチウムイオン電池の減収が影響しましたが、新たに連結子会社となった株式会社泉精器製作所、宇部マクセル京都株式会社及びクレハエラストマー株式会社、特機事業の譲受などによる増収があり、前年同期比1.6%(2,386百万円)増(以下の比較はこれに同じ)の150,584百万円となりました。利益面では、主に民生用リチウムイオン電池の減益が影響し、営業利益は38.7%(3,424百万円)減の5,424百万円、経常利益は、持分法による投資利益や為替差益の計上などがあったものの、23.1%(1,976百万円)減の6,591百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は25.5%(1,816百万円)減の5,311百万円となりました。
当連結会計年度の対米ドルの平均円レートは111円となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりです。
(エネルギー)
スマートメーター向け筒形リチウム電池や産業用リチウムイオン電池向け電極、2018年6月より加わった充電器・組電池に関連した特機事業などの増収がありましたが、民生用リチウムイオン電池が減収となったことから、エネルギー全体の売上高は14.9%(6,705百万円)減の38,265百万円となりました。営業利益は、民生用リチウムイオン電池の減収が影響し、58.6%(3,260百万円)減の2,299百万円となりました。
(産業用部材料)
粘着テープの販売が堅調に推移するとともに、2019年1月より宇部マクセル京都株式会社の塗布型セパレーター及びクレハエラストマー株式会社の工業用ゴム製品が新たに加わり、産業用部材料全体の売上高は4.9%(2,458百万円)増の52,398百万円となりました。営業利益は、車載カメラ用レンズユニットにおける新規案件の供給開始に向けた投資や有機ELパネル用マスクなど新規開発品の開発費計上に加え、半導体製造装置市場の減速の影響により、8.2%(237百万円)減の2,652百万円となりました。
(電器・コンシューマー)
2018年10月より株式会社泉精器製作所の電設工具・家電事業が加わったことにより、コンシューマー製品などの減収をカバーし、電器・コンシューマー全体の売上高は12.4%(6,633百万円)増の59,921百万円となりました。営業利益は、エステ家電の収益回復の遅れがあったものの、プロジェクターの収益の底打ちにより、18.3%(73百万円)増の473百万円となりました。
地域ごとの売上高は、次のとおりであります。
(日本)
民生用リチウム電池が減収となりましたが、株式会社泉精器製作所の家電・電設工具、宇部マクセル京都株式会社の塗布型セパレーター、クレハエラストマー株式会社の工業用ゴム製品、充電器・組電池を含む特機事業が新たに加わったことなどにより、売上高は0.5%増の80,261百万円となりました。
(米国)
スマートメーター向け筒形リチウム電池や自動車市場向け光学部品、新たに加わった株式会社泉精器製作所の家電・電設工具などによる増収があり、売上高は19.2%増の15,314百万円となりました。
(欧州)
自動車市場向け光学部品や新たに加わった株式会社泉精器製作所の家電・電設工具などによる増収があり、売上高は2.9%増の12,855百万円となりました。
(アジア他)
プロジェクターや新たに加わった株式会社泉精器製作所の家電・電設工具などが増収となりましたが、民生用リチウム電池や光学部品が減収となり、売上高は1.9%減の42,154百万円となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.生産実績には、完成品仕入にかかわる生産実績も含めており、仕入実績は次のとおりであります。
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(注) 当連結会計年度における任天堂㈱に対する販売実績については、総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、以下の重要な会計方針が、当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
当社グループは、たな卸資産の市場状況に基づく時価の見積額が原価を下回った場合に評価損を計上しております。
当社グループは、繰延税金資産について、回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を評価するにあたっては、将来の課税所得を合理的に見積って検討しております。
当社及び一部の国内連結子会社は、連結納税制度を適用しており、繰延税金資産の回収可能性の判断については、連結納税グループ全体の課税所得の見積りにより判断しております。
退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率などが含まれます。当社の年金制度においては、割引率は優良社債の市場利回りを退職給付の平均支給年数で調整して算出しております。
長期期待運用収益率は、年金資産の現在及び予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在及び将来期待される長期の収益率を考慮しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に退職給付費用の一部として計上されます。
当社グループは、主に管理会計上の区分を考慮して資産グループを決定し、将来キャッシュ・フローの回収額を見積った結果、十分な将来キャッシュ・フローが見込めない事業用資産、将来の使用が見込まれていない遊休資産等について回収可能価額まで減額し、特別損失に計上しております。
総資産は、前連結会計年度末比18.5%増(以下の比較はこれに同じ)の199,385百万円となりました。このうち流動資産は、主に子会社取得に伴う受取手形及び売掛金並びに棚卸資産が増加した一方、株式会社泉精器製作所等の株式取得及び関連会社の増資により現金及び預金が減少したことにより、2.8%減の95,116百万円になり、総資産に占める割合は前連結会計年度の58.2%から47.7%となりました。一方、固定資産は、投資有価証券の増加及び子会社の株式取得によるのれんの発生及びその他の無形資産の増加により48.2%増の104,269百万円で、総資産に占める割合は前連結会計年度の41.8%から52.3%となりました。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
(エネルギー)
エネルギーの資産は、8.8%増の38,339百万円となりました。このうち流動資産は、主にたな卸資産、売掛金及び受取手形の増加により、13.1%増の21,383百万円になり、総資産に占める割合は前連結会計年度の53.6%から55.8%となりました。一方、固定資産は、リチウムイオン電池及びマイクロ電池の増産対応による設備投資を実施したことにより3.8%増の16,956百万円になり、総資産に占める割合は前連結会計年度の46.4%から44.2%となりました。
(産業用部材料)
産業用部材料の資産は、18.6%増の57,464百万円となりました。このうち流動資産は、主に宇部マクセル京都株式会社の設立及びクレハエラストマー株式会社の株式取得による増加により20.1%増の26,500百万円になり、総資産に占める割合は前連結会計年度の45.6%から46.1%となりました。一方、固定資産は、主に宇部マクセル京都株式会社の設立及びクレハエラストマーの株式取得による増加により17.4%増の30,964百万円になり、総資産に占める割合は前連結会計年度の54.4%から53.9%となりました。
(電池・コンシューマー)
電器・コンシューマーの資産は、110.1%増の70,045百万円となりました。このうち流動資産は、主に株式会社泉精器製作所の株式取得により153.5%増の51,550百万円になり、総資産に占める割合は前連結会計年度の61.0%から73.6%となりました。一方、固定資産は、株式会社泉精器製作所の株式取得により42.1%増の18,495百万円になり、総資産に占める割合は前連結会計年度の39.0%から26.4%となりました。
(その他)
当社グループの事業拡大のための成長投資を進めた結果、総資産は34.5%減の33,537百万円となりました。
負債は、62.6%増の73,880百万円となりました。このうち流動負債は、主に金融機関からの外部借入れにより47.9%増の53,750百万円となりました。これによって流動比率は1.8倍に、また流動資産との差額である手持ち資金は41,366百万円となりました。一方、固定負債は、主に金融機関からの外部借入れにより121.6%増の20,130百万円となりました。
純資産は、2.2%増の125,505百万円となりました。主に配当金の支払いが2,325百万円あったものの、親会社株主に帰属する当期純利益を5,311百万円計上したことによるものです。また、自己資本比率は71.9%から61.7%となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より7,224百万円減少の573百万円の収入となりました。これは、仕入債務の増減額が前連結会計年度は5,349百万円の増加であったのに対し、当連結会計年度は3,229百万円の減少となったことと、売上債権の増減額が前連結会計年度より817百万円減少の4,336百万円の減少となったことによる資金の減少と、たな卸資産の増減額が前連結会計年度は3,599百万円の減少であったのに対し、当連結会計年度は1,344百万円の減少になったことによる資金の増加によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度より37,406百万円増加の46,326百万円の支出となりました。これは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が16,683百万円、投資有価証券の取得による支出が10,252百万円、有形固定資産の取得による支出が9,074百万円、関係会社株式の取得による支出が4,200百万円となったことによる資金の減少によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度より24,735百万円増加の22,608百万円の収入となりました。これは、主に短期借入金の増減が12,088百万円の増加、長期借入れによる収入が7,974百万円、非支配株主からの払込みによる収入が5,029百万円となったことによる資金の増加によるものです。
これらのキャッシュ・フローに現金及び現金同等物に係る換算差額と、現金及び現金同等物の期首残高を合わせた当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末よりも22,854百万円減少し22,685百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリーキャッシュ・フローは、前連結会計年度の△1,123百万円から、当連結会計年度は△45,753百万円へと減少しました。
当社グループは、資金の流動性を考慮して、資金運用については短期的な預金等とし、一時的な余資は安全性の高い金融資産で運用する方針であります。
当社グループの運転資金需要は、製品製造のための材料及び部品の購入のほか、加工費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。
当社グループの設備投資等の需要は成長が期待できる製品分野及び研究開発分野のほか、省力化、合理化及び製品の信頼性向上のための投資によるものです。
当社グループは、事業拡大のための成長投資を進めており、これらの資金需要に対しては主に銀行借入にて賄っております。
売上高は、新たに連結子会社となった株式会社泉精器製作所、宇部マクセル京都株式会社及びクレハエラストマー株式会社、特機事業の譲受などによる増収により前連結会計年度に対し、1.6%増の150,584百万円となりました。なお、為替レートは、前連結会計年度1ドル=111円、当連結会計年度1ドル=111円であります。
売上原価は、売上高の増加が影響し、4.9%増の119,417百万円となりました。売上高に対する原価率は、前連結会計年度の76.8%から79.3%となりました。その結果、売上総利益は9.2%減の31,167百万円となり、売上高総利益率は、前連結会計年度の23.2%から20.7%となりました。また、販売費及び一般管理費は、主にのれん償却額、識別可能資産の減価償却費の計上により、1.0%増の25,743百万円となりました。
売上原価と販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は、主にプロジェクター関連(電器・コンシューマー関連)の研究開発費が減少したことにより8.1%減の9,729百万円となりました。なお、売上高に対する研究開発費の比率は前連結会計年度の7.1%から6.5%となりました。
営業利益は、売上原価率が増加した結果、38.7%減の5,424百万円となりました。
営業外収益(費用)は、持分法による投資利益の増加及び前連結会計年度の為替差損が当連結会計年度に為替差益に転じたことから、前連結会計年度の281百万円の費用(純額)から、1,167百万円の収益(純額)となりました。受取利息から支払利息を減じた純額は、前連結会計年度の181百万円の収益(純額)に対し、210百万円の収益(純額)へと増加しました。
経常利益は、持分法による投資利益の増加及び為替の影響があったものの営業利益の減少により、23.1%減の6,591百万円となりました。
特別利益(損失)は、ブランド整理損及び震災等関連費用などの特別損失を計上したものの、クレハエラストマー株式会社の株式取得による負ののれん発生益の計上により、前連結会計年度526百万円の損失(純額)に対し、1,074百万円の利益(純額)となりました。
税金等調整前当期純利益は、4.7%減の7,665百万円となりました。
法人税等は、法人税等調整額が増加し、150.0%増の2,170百万円となりました。非支配株主に帰属する当期純利益は300.0%増の184百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、25.5%減の5,311百万円となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の134.88円に対し100.51円となりました。
当社グループは、経営ビジョンである「スマートライフをサポート 人のまわりにやすらぎと潤い」の下、当社グループの強みである「グローバル展開」、「モノづくり力」、「アナログコア技術」を融合させることにより、成長3分野と位置付ける自動車、住生活・インフラ、健康・理美容の各分野のグローバルな成長に向けた諸施策を進めるとともに、事業ポートフォリオの改革による収益改善と新市場開拓に向けた諸施策を実行してまいりました。さらに、今後の情勢変化に機敏に対応できる経営体質を構築するため、2017年10月1日を効力発生日として、持株会社体制へ移行しております。また、2018年度から2020年度までの3年間の中期経営計画MG20(Maxell Growth 20)を2018年4月に策定しておりましたが、当連結会計年度における業績や事業環境の変化を踏まえ、MG20の最終年度である2020年度における目標を、売上高1,730億円、ROE6%以上に修正を行い、2019年4月26日に公表しております。併せて、適正な資本構成と企業価値の最大化、ROEの向上について検討を行い、MG20の期間中は、総還元性向100%以上を目安として株主還元を強化することとしております。
(株式会社泉精器製作所の株式取得について)
当社は、2018年8月6日付の取締役会において、株式会社日本政策投資銀行(以下「DBJ」という。)と共同で、株式会社泉精器製作所(以下「泉精器」という。)のすべての株式を取得し、子会社化することを決議いたしました。
これにあたり当社は、泉精器の株主である東京海上キャピタル株式会社が運営するTMCAP2011投資事業有限責任組合及び株式会社マーキュリアインベストメントが運営するマーキュリア日本産業成長支援投資事業有限責任組合(以下「売主」という)との間で泉精器株式の取得に関し合意に至り、中間持株会社(以下に定義される。)を通じて、売主との間で株式譲渡契約を締結するとともに、DBJとの間で当事者間契約を締結しました。2018年10月1日に本件取引は完了し、泉精器は当社の連結子会社となりました。
(1) 株式取得の目的
当社は、2018年4月に公表した中期経営計画「MG20 (Maxell Growth 20)」において、共創共栄をめざす企業グループとの成長スキームである「MBP (マクセルビジネスプラットフォーム)」の推進により、「自動車」「住生活・インフラ」「健康・理美容」の成長3分野市場における事業領域の拡大と新規事業の創出を図って行くことを成長戦略の柱として掲げています。
一方で、泉精器は、電気工事に使用される国内トップシェアの電設工具、理美容機器や調理家電といった家電製品の製造・販売において長年の事業経験を有しています。
このような状況のもと、当社が泉精器の株式を取得し、当社の連結子会社とした目的は以下の通りです。
① 電設工具事業
BluetoothやGPSの搭載により、作業のトレーサビリティ機能を有した製品が登場するなどIoT化により変貌していく電設工具事業に参入するとともに、リチウムイオン電池や電池電源、充電器といった当社が保有する事業との連携を推進し、住生活・インフラ市場における事業領域の拡大と、新たな高シェア・高収益事業の創出を図ります。
② 家電事業
泉精器は、理美容機器を中心とした家電事業において海外製造拠点を保有し、国内外で自社ブランドだけでなくOEM事業も展開しています。ニッチトップ商品のスピーディーな設計・開発や海外製造拠点の集約化なども含めた低コストの生産体制を構築し、健康・理美容市場における事業規模の拡大と収益力の向上を図ります。
(2) 株式取得の方法
本件取引は、当社及びDBJが共同して泉精器株式を取得するものです。中間持株会社として当社が設立したマクセル特別目的株式会社(以下「中間持株会社」という。)に対して当社及びDBJが共同出資を行い、中間持株会社を通じて泉精器株式の発行済株式数の100%を取得いたしました。
なお、当社は本件取引の買収資金を自己資金により調達いたしております。
(3) 被取得企業の名称、事業内容、規模
(注)泉精器は、2019年4月1日付で中間持株会社を存続会社とする吸収合併を行い、その商号をマクセルイズミ株式会社に変更いたしました。
(4) 株式取得等の時期
譲渡契約締結日:2018年8月6日
譲渡実行日:2018年10月1日
(5) 中間持株会社が取得する株式の数、取得価額及び取得後の持分比率
*当社は中間持株会社の株式40%を保有することにより泉精器株式の40%を間接保有
当社及びDBJの間の当事者間契約により、当社が実質的に支配権を有していることから泉精器を当社の連結子会社といたしました。
(クレハエラストマー株式会社の株式取得について)
当社は、2018年10月30日開催の取締役会において、クレハエラストマー株式会社(以下「クレハエラストマー」という。)の株式を同社の筆頭株主である東洋紡株式会社から取得し子会社化することについて決議し、同日、東洋紡株式会社との間で株式譲渡契約を締結いたしました。
(1) 株式取得の目的
産業用部材料事業の拡大を図るべく、クレハエラストマーの株式を取得、子会社化することで、ゴム系部材・押出成型技術を獲得し、防水機能用途ゴム系部材の拡販、高気密住宅用途ゴム系部材の市場への参入を図り、配合、シート化技術の応用により、電磁波抑制シート等の機能性部材料分野への進出を図ります。
また、当社の粘着加工技術との融合や原材料調達のスケールメリット、互いの商流へのクロスセールス等シナジーを活かすことで、技術、コスト、販路面で相互に強化し、事業拡大を図っていきます。
当社は、2018年4月に公表した中期経営計画「MG20 (Maxell Growth 20)」において、「共創共栄」をめざす成長スキームである「MBP (マクセルビジネスプラットフォーム)」の推進により、「自動車」「住生活・インフラ」「健康・理美容」の成長3分野市場における事業領域の拡大と新規事業の創出を成長戦略の柱として掲げています。また、当社グループでは、配合、分散、混合、混練といったコア技術を背景に、粘着テープや機能性部材料など、産業用部材料セグメントの主力製品の成長3分野市場における事業成長をめざしています。
一方で、クレハエラストマーは、当社が保有していないゴム系部材や厚手シートの押出成型技術等高い技術力と長年の事業経験を有しており、エレクトロニクス、自動車、建築・土木などの市場向けにおいては、産業用ゴム製品分野における主力企業であり、当社が今後の成長戦略の柱と考える建築・建材、自動車や医療関連の市場向けの製品を拡充していく上で、競争力の強化に寄与するものと考えています。
(2) 異動した子会社の概要(2018年3月31日)
名称 クレハエラストマー株式会社
事業内容 各種工業用ゴム製品の製造加工・販売
規模 (2018年3月期)
資本金 100百万円
純資産 2,734百万円
総資産 5,638百万円
売上高 6,894百万円
営業利益 144百万円
純利益 136百万円
(3) 日程
取締役会決議日: 2018年10月30日
株式譲渡契約締結日: 2018年10月30日
株式譲受実行日: 2019年1月8日
(4) 取得株式数、取得価額及び取得前後の所有株式の状況
(注)クレハエラストマーは、2019年3月16日を効力発生日とする株式併合(30,000株を1株に併合)を実施いたしました。
(日立ビークルエナジー株式会社への共同出資体制構築について)
株式会社INCJ(以下「INCJ」という。)、当社、日立オートモティブシステムズ株式会社(以下「日立オートモティブシステムズ」という。)の3社(INCJ、当社、日立オートモティブシステムズの3社を総称して「当社ら」という。)は日立ビークルエナジー株式会社(以下「日立ビークルエナジー」という。)への共同出資体制を構築するため、基本合意書を締結しました。
基本合意書のほか、INCJ及び当社は、株式会社日立製作所(以下「日立製作所」という。)が保有する日立ビークルエナジーの全普通株式を共同取得(以下「本株式取得」という。)します。加えて、当面の事業展開に必要となる成長基盤資金を調達(以下「本調達」という。)するために、日立ビークルエナジーが新たに発行する普通株式をINCJ、種類株式を当社が引受します。また共同出資体制を構築するために、日立オートモティブシステムズは、同社のBMS(Battery Management System、電池制御システム)事業の一部等を日立ビークルエナジーへ吸収分割し、その対価として日立ビークルエナジー普通株式を引受けることに合意しています。(以下「本吸収分割」といい、本株式取得、本調達、本吸収分割を総称して「本取引」という。)当社らは今後、日立ビークルエナジーの一層の発展を目指し、企業価値向上のために協力して事業運営を行ってまいります。
(1) 本取引に係る共同出資者と対象会社について
INCJは、2018年9月、既存の官民ファンドである株式会社産業革新機構(以下「産業革新機構」という。)から新設分割する形で発足しました。産業革新機構は、産業界や大学等と広く連携した国内外への投資活動を通じ、既存の業種の枠を超えた次世代産業を創出することを目的としていました。INCJはその産業革新機構の事業を引き継ぎ、多様な投資実績によって蓄積された経営ノウハウ、情報ネットワーク等のリソースを活用したオープンイノベーションを通じて、次世代産業の育成による国富増大の実現をめざしています。
当社グループは「自動車」「住生活・インフラ」「健康・理美容」の成長3分野の拡大を事業成長戦略の柱に据え、ポートフォリオ改革と収益性改善に取り組んでいます。その中で主要事業の一つである民生用リチウムイオン電池(以下「LiB」という。)事業において培ってきた高性能・高安全の電池製造を可能とする生産技術や電極技術を活かす新たな事業分野として、車載用LiB市場への参入を検討してきました。昨今の世界的な環境規制の高まりを背景に、電動車の普及拡大が見込まれる中、当社に対しても、そのキーデバイスである車載用LiBの開発・製造依頼が急増していたことから、同市場は今後成長が期待できる分野であると考えています。また当社は次世代電池の開発を積極的に推進しており、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主導する国家プロジェクトへの参加や、複数の大学との共同研究を通じ、全固体LiBの基盤技術や、その先を見据えた革新型蓄電池技術の確立を図っています。
日立オートモティブシステムズは、日立グループの自動車機器メーカーとして2009年に日立製作所から分社化し設立されました。日立グループの自動車機器事業の歴史は長く、1930年の自動車用電装品の国産化以降、長きに渡り技術開発を積み重ね、独立系のTier1サプライヤー(自動車メーカーに対して製品を直接納入する一次サプライヤー)として自動車メーカーと強固な信頼関係を築いてきました。現在は特に電子制御ユニットやハイブリッドシステムなどのエレクトロニクス化製品に注力しており、環境規制強化と安全性向上に向けた、自動運転など電子化技術ニーズが拡大する中、自動車メーカーにとって、未来の自動車づくりを最先端の技術で支えるパートナーとなることをめざしています。
本取引を通じて共同出資の対象となる日立ビークルエナジーは、2004年に設立されて以来、ハイブリッド車向け車載用LiBの製造を主要事業として、日立オートモティブシステムズとの協働を通じ、ゼネラル・モーターズ社、日産自動車株式会社、スズキ株式会社及びいすゞ自動車株式会社といった国内外の大手自動車メーカーとの取引関係を構築してきました。ハイブリッド車向けの車載用LiB事業において、量産車への納入実績を有する電池メーカーは世界的にみても限られています。また、車載用電池には高性能・高安全性が必要とされ、日立ビークルエナジーには安全性の観点で重要なキーデバイスとなるBMS(Battery Management System)事業の一部等が本吸収分割を通じて移管されます。同社は既に日産自動車株式会社、ルノー社及びフォード・モーター社などの大手自動車メーカーから、今後のハイブリッド車の需要増加に対応する車載用LiBサプライヤーとして選定されています。
(2) 本取引の背景・目的
車載用LiB市場においては、技術力の高さから日本メーカーの優位性が確立されていましたが、近年は海外メーカーの台頭により世界的に競争が激化しています。電池産業における日本メーカーの優位性確保、競争力を維持・強化するためには、日本の技術を結集させた次世代電池の共同開発体制を構築する必要があるとの認識のもと、当社らは、ジャパン・バッテリー・システム構想(以下「JBS構想」という。)を起案し、協議してきました。JBS構想では、企業の垣根を越えた共同開発体制を構築し、次世代技術の確立、実用化を通じた日本の電池産業全体の底上げや競争力の向上に貢献することをめざしています。今般、JBS構想を軸に、当社らが新たな株主となり、日立ビークルエナジーを共同経営することで合意に至りました。
電気自動車の本格的な普及には、時間を要すると考えられるため、当社らはハイブリッド車の需要が中期的には伸長するものと考えています。なおハイブリッド車向け車載用LiBはパワートレインとの高度な摺合せ技術を必要とし参入障壁が高いことやハイブリッド車向け車載用LiBの量産化実績を有している企業は限定的であることから、ハイブリッド車向け車載用LiB製造を担う日立ビークルエナジーにおいては、業容拡大の機会が見込まれます。なお日立ビークルエナジーは日産自動車株式会社、ルノー社及びフォード・モーター社などの大手自動車メーカーから新規受注を獲得しています。高性能かつ高安全な電池生産技術を有する当社が主として事業運営を担い、豊富な投資実績を踏まえた知見や情報ネットワークを有するINCJが事業の監督を行うことで、日立ビークルエナジーがハイブリッド車向け車載用LiB事業において、大手自動車メーカーとの確固たる信頼関係を構築してまいります。さらには次世代電池技術開発及び実用化をリードし、日本の電池産業をけん引する車載用LiBメーカーとなるように取り組んでまいります。
(3) 日立ビークルエナジーの概要
(注1)日立ビークルエナジーは非公開会社であり、経営成績及び財政状態については非公開とすることを求められているため、記載しておりません。
(注2)日立ビークルエナジーは2019年3月29日付で、その商号をビークルエナジージャパン株式会社に変更いたしました。
(4) 日程
契約締結日: 2018年12月25日
本取引完了日: 2019年3月29日
(5) 異動前後の所有株式の状況
(注1)日立オートモティブシステムズは本株式取得及び本調達前に同社のBMS(Battery Management System)事業の一部等を日立ビークルエナジーへ吸収分割し、その対価として日立ビークルエナジー普通株式を引受けております。
(注2)関係当事者間で協議した結果、円滑かつ機動的に取引を実行するため、SPC(VEJホールディングス株式会社(以下「VEJホールディングス」といいます。))を通じた共同出資体制に変更いたしております。VEJホールディングスの株式の議決権所有割合等については、以下のとおりです。
当社 普通株式 291,913株(議決権の数:291,913個、議決権所有割合:14%)
種類株式1,293,360株
INCJ 普通株式1,585,273株(議決権の数:1,585,273個、議決権所有割合:76.2%)
日立オートモティブシステムズ 普通株式 204,042株(議決権の数:204,042個、議決権所有割合:9.8%)
当社グループでは、当社の技術戦略部、マクセル㈱の開発本部及び各事業本部、その他の子会社の研究開発部門などが連携して研究開発活動を行っております。また、当社グループ外の企業との共同開発や産官学連携の活用により、一層の技術革新を推進しております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
(エネルギー)
当社の技術戦略部とマクセル㈱の開発本部、エナジー事業本部の設計開発部門などが協力し、リチウム一次電池やボタン電池などの一次電池、リチウムイオン電池や蓄電システムなどの二次電池及び電池応用製品の研究開発を推進しております。当連結会計年度においては、無線通信が可能なコイン形二次電池、医療用途向けで安全性や環境負荷に配慮したディスポーザブル電池、高出力・高容量が求められるロボット用電池、及び過酷な使用環境に対応したインテリジェント電池パックなど、社会課題の解決に応える電池製品を開発しました。また、次世代電池として期待されている全固体電池においては、材料メーカや設備メーカとの連携を強化し、製品開発を加速しています。さらに、2025年以降の社会を見据えた革新型電池への取り組みとして、NEDO主導の「RISING2プロジェクト」に参画し、主要メンバーとして活動しています。当セグメントに係る研究開発費は
(産業用部材料)
当社の技術戦略部とマクセル㈱の開発本部、光エレクトロニクス事業本部、スリオンテック事業本部、ライフソリューション事業本部及びマクセル情映テック㈱、マクセルシステムテック㈱、クレハエラストマー㈱、宇部マクセル京都㈱の設計開発部門などが協力し、光学部品、機能性材料、電鋳・精密部品、粘着テープ、RFIDシステムなどの研究開発を推進しております。当連結会計年度においては、ADB(※)ヘッドランプ用レンズユニットの製品化など、光学技術の深化による次世代自動車用キーデバイス製品の拡充を進めています。また、自動車の衝突防止用のミリ波レーダーセンシングに対応する電磁波吸収部材の開発を進めました。一方、産業用途においては、高速かつ高精細なカメラに対応したエッジAIを実現する組込み型画像認識システムや旅券用ICシートなど、自動化が進む社会に対応したデバイスを開発しました。また、3Dプリンター用インクや有機ELパネル用マスクなどプロセス部品を開発するとともに、社会資産(公共インフラ)の老朽化問題やプラスチック問題などSDGsに沿った課題への取り組みを進めています。当セグメントに係る研究開発費は
※ ADB:Adaptive Driving Beam。配光可変ヘッドランプ。
(電器・コンシューマー)
当社の技術戦略部とマクセル㈱の開発本部、光エレクトロニクス事業本部、ライフソリューション事業本部、エナジー事業本部及び㈱泉精器製作所の設計開発部門などが協力し、プロジェクター、小型電気機器などの研究開発・商品開発を推進しております。当連結会計年度においては、レーザー光源と3LCD方式を組み合わせた新開発の光学エンジンを搭載し、高効率に高輝度映像の投写が可能なプロジェクターを開発しました。また、高輝度1万ルーメンモデルや超短投写モデルへの新開発光学エンジン搭載によるラインナップ拡充とともに、長時間投写やメンテナンス負荷の低減など、市場ニーズに応える信頼性の高いプロジェクターの開発を進めています。また、独自の自由曲面光学技術と導光体技術や冷却技術を用いた高効率バックライトにより小型かつ低消費電力の車載向けAR(※)ヘッドアップディスプレイを開発しました。一方、小型電気機器では、高効率な光ドライヤー、シミナビ機能を搭載した多機能温冷美顔器、水素の保湿力に着目した水素シャワーなど新コンセプト製品を開発し、新ブランド「llexam」理美容製品の市場拡大を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は
※ AR:Augmented Reality。拡張現実。