文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社、以下同じ。)が判断したものであります。
なお、前連結会計年度末において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前年同四半期連結累計期間との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。
また、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるグローバル経済は、徐々に減速懸念が高まる状況となりました。米国では、堅調な経済成長が続いていますが、欧州では、Brexitに係る混乱等、政治・経済面の不安定要素が拡大し、減速懸念が高まりました。また、中国や新興国では先進国に比べ高い成長が維持されているものの、中国の自動車販売台数が前年比で減少に転じるなど、減速傾向が見られます。日本では、緩やかな経済成長が続くものの海外経済の減速傾向により予断を許さない状況となっています。また、米国と中国の間の通商問題は、今後のグローバル経済や企業の事業戦略への影響が懸念される状況となっています。
このような状況のもと当第3四半期連結累計期間の売上高は、10月より新たに連結子会社となった株式会社泉精器製作所の電設工具・家電事業などによる増収がありましたが、民生用リチウムイオン電池が減収となったことから、前年同期比3.3%(3,732百万円)減(以下の比較はこれに同じ)の108,161百万円となりました。利益面では、主に民生用リチウムイオン電池の減益が影響し、営業利益は50.3%(3,892百万円)減の3,844百万円となりました。また経常利益は、持分法による投資利益や為替差益の計上などがあったものの36.5%(2,812百万円)減の4,891百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は、大阪北部地震や台風の影響による京都事業所建屋修繕費用などを計上したことにより53.9%(3,505百万円)減の2,999百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間の対米ドルの平均円レートは111円となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりです。
(エネルギー)
スマートメーター向け筒形リチウム電池や電極、充電器・組電池に関連した特機事業などの増収がありましたが、民生用リチウムイオン電池が減収となったことから、エネルギー全体の売上高は13.4%(4,644百万円)減の29,906百万円となりました。営業利益は、民生用リチウムイオン電池の減収が影響し、56.3%(2,784百万円)減の2,159百万円となりました。
(産業用部材料)
粘着テープやLEDヘッドランプレンズ、半導体関連組込みシステムなどの増収があり、産業用部材料全体の売上高は0.9%(343百万円)増の37,555百万円となりました。営業利益は、車載カメラ用レンズユニットにおける新規案件の供給開始に向けた投資や有機ELパネル用マスクなど新規開発品の開発費計上により、4.4%(102百万円)減の2,212百万円となりました。
(電器・コンシューマー)
株式会社泉精器製作所の電設工具・家電事業の当社グループへの参画により、コンシューマー製品などの減収をカバーし、電器・コンシューマー全体の売上高は1.4%(569百万円)増の40,700百万円となりました。また営業損益は、プロジェクターにおいて収益の底打ちが見られるものの、エステ家電の収益回復の遅れにより1,006百万円減の527百万円の損失となりました。
総資産は、前連結会計年度末比1.4%増(以下の比較はこれに同じ)の170,576百万円となりました。このうち流動資産は、主に受取手形及び売掛金、たな卸資産が増加したものの、株式会社泉精器製作所の株式取得による現金及び預金の減少により11.1%減の87,060百万円になり、総資産に占める割合は前連結会計年度の58.2%から51.0%となりました。一方、固定資産はのれんの増加により18.7%増の83,516百万円で、総資産に占める割合は前連結会計年度の41.8%から49.0%となりました。
負債は、6.3%増の48,300百万円となりました。このうち流動負債は、主に震災等関連費用引当金を計上したものの、支払手形及び買掛金の減少により0.7%減の36,105百万円となりました。これによって流動比率は2.4倍に、また流動資産との差額である手持ち資金は50,955百万円となりました。一方、固定負債は、主に長期借入金の増加により34.2%増の12,195百万円となりました。
純資産は、0.4%減の122,276百万円となりました。主に親会社株主に帰属する四半期純利益2,999百万円の計上及び配当金の支払い2,325百万円によるものです。また、自己資本比率は71.9%から70.6%となりました。
(2) 経営方針及び経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針及び経営戦略等に関し、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」についての重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は7,178百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 従業員数
当第3四半期連結累計期間において、株式会社泉精器製作所の株式を取得し子会社化したことにより、当社グループの電器・コンシューマーにおいて1,092名増加しております。
なお、従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員数であります。
(クレハエラストマー株式会社の株式取得について)
当社は、平成30年10月30日開催の取締役会において、クレハエラストマー株式会社(以下「クレハエラストマー」という。)の株式を同社の筆頭株主である東洋紡株式会社から取得し子会社化することについて決議し、同日、東洋紡株式会社との間で株式譲渡契約を締結いたしました。
(1) 株式の取得の目的
産業用部材料事業の拡大を図るべく、クレハエラストマーの株式を取得、子会社化することで、ゴム系部材・押出成型技術を獲得し、防水機能用途ゴム系部材の拡販、高気密住宅用途ゴム系部材の市場への参入を図り、配合、シート化技術の応用により、電磁波抑制シート等の機能性部材料分野への進出を図ります。
また、当社の粘着加工技術との融合や原材料調達のスケールメリット、互いの商流へのクロスセールス等シナジーを活かすことで、技術、コスト、販路面で相互に強化し、事業拡大を図っていきます。
当社は、平成30年4月に公表した中期経営計画「MG20 (Maxell Growth 20)」において、「共創共栄」をめざす成長スキームである「MBP (マクセルビジネスプラットフォーム)」の推進により、「自動車」「住生活・インフラ」「健康・理美容」の成長3分野市場における事業領域の拡大と新規事業の創出を成長戦略の柱として掲げています。また、当社グループでは、配合、分散、混合、混練といったコア技術を背景に、粘着テープや機能性部材料など、産業用部材料セグメントの主力製品の成長3分野市場における事業成長をめざしています。
一方で、クレハエラストマーは、当社が保有していないゴム系部材や厚手シートの押出成型技術等高い技術力と長年の事業経験を有しており、エレクトロニクス、自動車、建築・土木などの市場向けにおいては、産業用ゴム製品分野における主力企業であり、当社が今後の成長戦略の柱と考える建築・建材、自動車や医療関連の市場向けの製品を拡充していく上で、競争力の強化に寄与するものと考えています。
(2) 異動した子会社の概要(平成30年3月31日)
名称 クレハエラストマー株式会社
事業内容 各種工業用ゴム製品の製造加工・販売
規模 (平成30年3月期)
資本金 100百万円
純資産 2,734百万円
総資産 5,638百万円
売上高 6,894百万円
営業利益 144百万円
純利益 136百万円
(3) 日程
取締役会決議日: 平成30年10月30日
株式譲渡契約締結日: 平成30年10月30日
株式譲受実行日: 平成31年1月8日
(4) 取得株式数、取得価額及び取得前後の所有株式の状況
(日立ビークルエナジー株式会社への共同出資体制構築について)
株式会社INCJ(以下「INCJ」という。)、当社、日立オートモティブシステムズ株式会社(以下「日立オートモティブシステムズ」という。)の3社(INCJ、当社、日立オートモティブシステムズの3社を総称して「当社ら」という。)は日立ビークルエナジー株式会社(以下「日立ビークルエナジー」という。)への共同出資体制を構築するため、基本合意書を締結しました。
基本合意書のほか、INCJ及び当社は、株式会社日立製作所(以下「日立製作所」という。)が保有する日立ビークルエナジーの全普通株式を共同取得(以下「本株式取得」という。)します。加えて、当面の事業展開に必要となる成長基盤資金を調達(以下「本調達」という。)するために、日立ビークルエナジーが新たに発行する普通株式をINCJ、種類株式を当社が引受します。また共同出資体制を構築するために、日立オートモティブシステムズは、同社のBMS(Battery Management System、電池制御システム)事業の一部等を日立ビークルエナジーへ吸収分割し、その対価として日立ビークルエナジー普通株式を引受けることに合意しています。(以下「本吸収分割」といい、本株式取得、本調達、本吸収分割を総称して「本取引」という。)当社らは今後、日立ビークルエナジーの一層の発展を目指し、企業価値向上のために協力して事業運営を行ってまいります。
(1) 本取引に係る共同出資者と対象会社について
INCJは、平成30年9月、既存の官民ファンドである株式会社産業革新機構(以下「産業革新機構」という。)から新設分割する形で発足しました。産業革新機構は、産業界や大学等と広く連携した国内外への投資活動を通じ、既存の業種の枠を超えた次世代産業を創出することを目的としていました。INCJはその産業革新機構の事業を引き継ぎ、多様な投資実績によって蓄積された経営ノウハウ、情報ネットワーク等のリソースを活用したオープンイノベーションを通じて、次世代産業の育成による国富増大の実現をめざしています。
当社グループは「自動車」「住生活・インフラ」「健康・理美容」の成長3分野の拡大を事業成長戦略の柱に据え、ポートフォリオ改革と収益性改善に取り組んでいます。その中で主要事業の一つである民生用リチウムイオン電池(以下「LiB」という。)事業において培ってきた高性能・高安全の電池製造を可能とする生産技術や電極技術を活かす新たな事業分野として、車載用LiB市場への参入を検討してきました。昨今の世界的な環境規制の高まりを背景に、電動車の普及拡大が見込まれる中、当社に対しても、そのキーデバイスである車載用LiBの開発・製造依頼が急増していたことから、同市場は今後成長が期待できる分野であると考えています。また当社は次世代電池の開発を積極的に推進しており、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主導する国家プロジェクトへの参加や、複数の大学との共同研究を通じ、全固体LiBの基盤技術や、その先を見据えた革新型蓄電池技術の確立を図っています。
日立オートモティブシステムズは、日立グループの自動車機器メーカーとして平成21年に日立製作所から分社化し設立されました。日立グループの自動車機器事業の歴史は長く、昭和5年の自動車用電装品の国産化以降、長きに渡り技術開発を積み重ね、独立系のTier1サプライヤー(自動車メーカーに対して製品を直接納入する一次サプライヤー)として自動車メーカーと強固な信頼関係を築いてきました。現在は特に電子制御ユニットやハイブリッドシステムなどのエレクトロニクス化製品に注力しており、環境規制強化と安全性向上に向けた、自動運転など電子化技術ニーズが拡大する中、自動車メーカーにとって、未来の自動車づくりを最先端の技術で支えるパートナーとなることをめざしています。
本取引を通じて共同出資の対象となる日立ビークルエナジーは、平成16年に設立されて以来、ハイブリッド車向け車載用LiBの製造を主要事業として、日立オートモティブシステムズとの協働を通じ、ゼネラル・モーターズ社、日産自動車株式会社、スズキ株式会社及びいすゞ自動車株式会社といった国内外の大手自動車メーカーとの取引関係を構築してきました。ハイブリッド車向けの車載用LiB事業において、量産車への納入実績を有する電池メーカーは世界的にみても限られています。また、車載用電池には高性能・高安全性が必要とされ、日立ビークルエナジーには安全性の観点で重要なキーデバイスとなるBMS(Battery Management System)事業の一部等が本吸収分割を通じて移管されます。同社は既に日産自動車株式会社、ルノー社及びフォード・モーター社などの大手自動車メーカーから、今後のハイブリッド車の需要増加に対応する車載用LiBサプライヤーとして選定されています。
(2) 本取引の背景・目的
車載用LiB市場においては、技術力の高さから日本メーカーの優位性が確立されていましたが、近年は海外メーカーの台頭により世界的に競争が激化しています。電池産業における日本メーカーの優位性確保、競争力を維持・強化するためには、日本の技術を結集させた次世代電池の共同開発体制を構築する必要があるとの認識のもと、当社らは、ジャパン・バッテリー・システム構想(以下「JBS構想」という。)を起案し、協議してきました。JBS構想では、企業の垣根を越えた共同開発体制を構築し、次世代技術の確立、実用化を通じた日本の電池産業全体の底上げや競争力の向上に貢献することをめざしています。今般、JBS構想を軸に、当社らが新たな株主となり、日立ビークルエナジーを共同経営することで合意に至りました。
電気自動車の本格的な普及には、時間を要すると考えられるため、当社らはハイブリッド車の需要が中期的には伸長するものと考えています。なおハイブリッド車向け車載用LiBはパワートレインとの高度な摺合せ技術を必要とし参入障壁が高いことやハイブリッド車向け車載用LiBの量産化実績を有している企業は限定的であることから、ハイブリッド車向け車載用LiB製造を担う日立ビークルエナジーにおいては、業容拡大の機会が見込まれます。なお日立ビークルエナジーは日産自動車株式会社、ルノー社及びフォード・モーター社などの大手自動車メーカーから新規受注を獲得しています。高性能かつ高安全な電池生産技術を有する当社が主として事業運営を担い、豊富な投資実績を踏まえた知見や情報ネットワークを有するINCJが事業の監督を行うことで、日立ビークルエナジーがハイブリッド車向け車載用LiB事業において、大手自動車メーカーとの確固たる信頼関係を構築してまいります。さらには次世代電池技術開発及び実用化をリードし、日本の電池産業をけん引する車載用LiBメーカーとなるように取り組んでまいります。
(3) 日立ビークルエナジーの概要
(注)当該会社は非公開会社であり、経営成績及び財政状態については非公開とすることを求められているため、記載しておりません。
(4) 日程
契約締結日: 平成30年12月25日
本取引完了日: 平成31年3月29日(予定)
(5) 異動前後の所有株式の状況
(注)日立オートモティブシステムズは本株式取得及び本調達前に同社のBMS(Battery Management System)事業の一部等を日立ビークルエナジーへ吸収分割し、その対価として日立ビークルエナジー普通株式を引受けることに合意しています。