第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境および対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、「先端技術を先端で支える」を経営理念とし、最先端の技術開発を通して社会の発展に貢献していくことを使命(ミッション)としています。社会課題の解決に、今後ますます半導体の役割が増していくと考えられる中、進化する半導体バリューチェーンで顧客価値を追求してまいります。そのミッションの遂行に当たっては、すべての役員および従業員が「The Advantest Way」を理解し、あらゆるステークホルダーの尊重と持続可能な社会の実現を目指すと同時に、当社の持続的な発展と中長期的な企業価値の向上に努めます。

 

(2)経営戦略等

 当社は、経営理念である「先端技術を先端で支える」を体現する会社であり続けるため、当社がどうありたいか、何をなすべきかを定めた中長期経営方針「グランドデザイン(10年)(2018年度~2027年度)」を2018年度に策定し、以後、この方針のもとで企業価値向上に取り組んでいます。

 

 そして2021年度に、「第1期中期経営計画(2018~2020年度)」(略称:MTP1)が成功裡に終了したこと、またグランドデザイン策定から3年が経過したことから、業績進捗と最新の外部環境認識に沿った内容へグランドデザインを更新しました。同時に、グランドデザイン実現に向けた道筋をより確実なものとするべく「第2期中期経営計画(2021~2023年度)」(略称:MTP2)を策定し、一段の飛躍に向けた取り組みを開始しました。

 

 MTP2の初年度となったこの2021年度は、当社が強みを持つスマートフォンやハイ・パフォーマンス・コンピューティング(HPC)関連で半導体テスト需要が良好に推移したこと、車載・産機・民生向けで顧客・製品戦略が奏功し売上が伸長したこと、グランドデザインの一環として強化中のシステムレベルテスト部門が順調に成長したことなどで、幸先の良いスタートを切ることができました。

 一方で、2022年度の経営環境には、多くの対処すべき課題があると認識しています。中長期的に当社の事業機会の拡大が見込まれる中において、先駆的な製品開発など、グランドデザインに沿った成長施策や事業基盤の強化策を積極果敢に展開していきます。現時点ではウクライナ情勢による直接的な影響は小さいものと認識していますが、地政学的リスクのさらなる高まり、中国のゼロコロナ政策下でのロックダウン、物流混乱、インフレ進行など、マクロ経済や事業環境の先行き不確実性が高い中、優先課題である部材調達の早急な安定化をはじめとしたリスク対応力の強化にも努めます。

 

 

1.グランドデザイン(10年)〔2018年度~2027年度〕

 

<ビジョン・ステートメント>

「進化する半導体バリューチェーンで顧客価値を追求」

 

<中長期経営目標>

「売上高4,000億円の達成」

 

<戦略>

 当社は、半導体の量産テスト用システムの開発・販売に加え、半導体量産工程の前後工程にある半導体設計・評価工程や製品・システムレベル試験工程といった近縁市場へ事業領域を広げることで、業容の拡大と企業価値向上を目指します。

 上記の達成に向け、「コア・ビジネスの強化、重点投資」、「オペレーショナル・エクセレンスの追求」、「さらなる飛躍への価値探求」、「新事業領域の開拓」、「ESGのさらなる推進」の5つの戦略課題に取り組みます。

 なお、グランドデザインでは当初、「売上高3,000~4,000億円」を目標としていましたが、デジタル革命の進展や市場シェア伸長などにより業績進捗が良好であったため、2021年度に長期経営目標を「売上高4,000億円の早期達成」へ修正しました。しかし半導体テスタ市場の旺盛な拡大が継続したことなどで、当初企図していた2027年度を待たず、2021年度をもってこれを早期達成しました。

 今後は、このたびの売上高目標達成を弾みとしつつ、半導体需要の拡大などグランドデザインの前提とした環境変化が継続する中で各戦略を推し進め、さらなる企業価値向上を目指します。

 

2.第2期中期経営計画〔MTP2、2021年~2023年度〕の概要

 

<経営指標>

MTP2では、さらなる成長に向けた事業強化の取り組みを推進するとともに、成長投資と株主還元の双方を拡充し、企業価値向上を図ります。この考えに基づき、MTP2において重視する経営指標を売上高、営業利益率、当期利益、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)、基本的1株当たり当期利益(EPS)とし、これらの成長に努めます。なお計画の進捗を中長期視点で評価するため、経営指標には単年の業績変動の影響を軽減できる3カ年平均の指標を用います。

 

MTP2における各数値目標と初年度の進捗は、以下のとおりです。MTP2については、2021年度実績、2022年度見通しがそれぞれ目標値に対し上振れ傾向にあることから、今後財務モデルの見直しを行う予定です。

 

※下記指標の予想に用いた為替レートは、1米ドル=105円。2021年度の為替実績は1米ドル=112円。

 

2021~2023年度(平均)

2021年度実績

売上高

 

3,500~3,800億円

4,169億円

営業利益率

 

23~25%

27.5%

当期利益

 

620~700億円

873億円

親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)

 

20%以上

30.4%

基本的1株当たり当期利益(EPS)

 

320~370円

450円

 

<主な施策>

 - 半導体・部品テストシステム事業部門

・新製品「V93000 EXA Scale」の強みを活かし、拡大するスマートフォン関連のSoC半導体やHPCデバイスの試験装置需要を取り込む

・2022年以降に本格拡大するミリ波関連テストにおけるリーダーポジションの確立

・DRAM半導体向け、不揮発性メモリ半導体向けでの強固なビジネス基盤を堅持

 

 - メカトロニクス関連事業部門

・テスト品質向上につながるテストセル環境を提供し、販売機会を拡大

 

 - サービス他部門

・システムレベルテスト(SLT)需要が高まる中、モバイル、HPC、メモリ/ストレージ向け等で顧客拡大。またSLT消耗品のリカーリングビジネスも拡大

・新規事業領域となるデータ・アナリティクス分野における最適なビジネスモデル探索を推進

 

<コスト・利益構造>

 企業価値の向上を目指すにあたり、成長の源泉であるR&D投資についてはこれまでの高い水準を維持する方針です。並行して、業務効率向上の推進により、販管費効率と収益性の改善を図ります。

 

<資本政策、キャピタル・アロケーション、株主還元>

 MTP2における資本政策としては、成長に向けた事業投資を優先しつつ、資本効率と資本コストに配慮したバランスシート管理の見地から負債(デット)も柔軟に活用します。さらに経営基盤の強化および持続的企業価値創造のために、財務健全性を維持した上で適正な資本構成を図る方針です。財務健全性については株主資本比率50%以上を、資本効率についてはROEを指標とします。

 株主還元についてはMTP2期間における安定的な事業環境を前提として、1株当たり配当金半期50円・通期100円を最低額とする金額基準とします。通期総還元性向は50%以上を目途とし、配当や自己株式の取得を通じて株主還元を強化するとともに資本効率の向上を図ります。

 

 

(3)2022年度の経営環境および重点施策

 今後の当社を取り巻く市場環境を展望しますと、MTP2で想定したように、半導体が扱うデータ処理量や通信量の増加に伴う半導体需要のさらなる拡大、半導体の高機能化、半導体に対する社会的な信頼性要求の高まりなどの要因のもと、半導体テスト需要の拡大が継続しています。またメタバースなどのデジタル革命を体現するアプリケーションへの期待やカーボンニュートラル対応を背景に、エネルギー効率改善を実現する技術の重要度も増しています。これらを総合すれば、短期的にも中長期的にも、半導体およびその関連市場の良好な環境が期待され、半導体試験装置市場においても2022年のさらなる成長を予想しています。

 2022年度の通期連結業績予想については、これら市場見通しや各事業の今後の見通し、為替の状況などを踏まえ、売上高5,100億円、営業利益1,500億円、税引前利益1,500億円、当期利益1,125億円を予想しています。予想の前提とした為替レートは、米ドルが120円、ユーロが135円です。

 新型コロナウイルス感染症の影響については、人的移動制限や物流逼迫などによる事業上の制約が継続していますが、当連結会計年度の業績に対する影響は軽微なものに留まったと認識しています。しかしながら、変異株拡大、半導体などの部材不足の長期化、ウクライナ情勢などの地政学的リスク、インフレの進行、気候変動リスクなど、世界経済や当社の事業環境の不確実性は依然高い状態にあります。目下の優先課題である部材調達の早急な安定化をはじめ、外部環境の変化に機動的に対応してまいります。

 

<2022年度重点施策>

 ・部材調達難の長期化に対し、製品安定供給のための施策を最優先

 ・最先端の半導体技術開発に取り組む顧客と協業し、高度な試験技術を開発

 ・一段の業容拡大に向け、中長期視点で人材・設備の増強を図ることで事業基盤を強化

 ・デジタル・トランスフォーメーションを当社の成長機会とするため、データ・アナリティクス分野の取り組みを強化

 ・半導体テスト工程に加えSLT需要も堅調に伸長。テスタ本体にとどまらず、消耗品などリカーリングビジネスも強化

 ・気候変動対応をはじめとし、ESGのさらなる推進を継続

 ・地政学的リスクの高まり、インフレ進行など事業環境における不確実性が高い中、環境の変化に機動的に対応

 

(4)気候変動への取り組みとTCFDへの対応状況

 アドバンテストは、The Advantest Wayのもと、重要な社会課題である環境課題に事業を通して貢献してい

くため、長期的視点に立った気候変動の「緩和策」と「適応策」の取り組みを継続しています。

また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)に賛同し、気候変動による事業リスクと機会の分析と情報開示の取り組みを進めています。

 

<ガバナンス>

 2020年度に経営企画本部長を統括リーダー兼戦略責任者とする「サステナブル経営推進ワーキンググループ」を新設しました。気候関連課題の特定と評価を行い、重点施策と目標を「ESG行動計画」にまとめ、活動を推進しています。「ESG行動計画」の達成状況は年2回、経営会議および取締役会に報告され、議論、評価されます。このワーキンググループは、コーポレート・ガバナンス体制における他の委員会等と適時適切に情報共有を行い、全社のリスク管理を行っています。

 

<戦略>

 気候変動対策としての戦略は、IPCCおよびIEAのシナリオを参照し、事業経営における気候変動の物理的リスクと移行リスクで検討しています。2℃未満シナリオでは、カーボンプライシング導入など気候変動対策が強化され、事業に影響を与えるレベルの物理的な影響は生じないと仮定しています。脱炭素社会ではこれまで以上に半導体の必要性が高まることによるビジネス機会の拡張を予想しています。4℃シナリオでは、気候変動対策が強化されない一方、異常気象の激甚化といった気候変動の物理的な影響が生じると仮定した戦略としています。

 

<気候変動のリスクと機会>

 TCFDの分類に沿って気候変動のリスクと機会を検討しています。それぞれのリスクと機会の「重要度」と「影響度」による評価を行い、「短期(2025年まで)・中期(2030年まで)」と「長期(2050年まで)」の3つの時間軸に分類しています。事業リスクについては、①主に2℃未満シナリオの途上に起こる「脱炭素社会への移行に関連したリスク」と、②世界のCO2排出量削減未達により4℃シナリオに至った場合に発生する「気候変動に伴う物理的影響に関連したリスク」の2つのシナリオに関して検討しています。

 

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<目標と指標>

 当社グループでは、The Advantest Wayの 基盤となるESG経営推進と持続可能な社会の実現に向け、「気候変動の緩和と脱炭素社会の実現」およびRE100(Renewable Energy 100%)を視野に入れた、気候変動対策の中長期目標(CO2排出量削減)を2020年4月に設定しました。国内拠点では2021年4月に群馬工場でRE100を達成しました。GHG排出量削減については、サプライチェーン全体での長期削減目標を策定しました。

 ・再生可能エネルギー導入推進(2030年までに70%以上)

 ・Scope 1+2のCO2排出量削減(2030年までに60%削減)

 ・Scope 3のCO2排出量削減(2030年までに50%削減)

 

2【事業等のリスク】

 

(1)当社のリスクマネジメント体制について

①組織

 内部統制委員会が定めたリスクマネジメント方針のもと、各ユニットがリスクマネジメントを行い、その状況を内部統制委員会が監督・評価してフィードバックを行います。リスク情報は各委員会に集約されます。その他、取締役会、監査等委員会、経営会議に直接報告されるリスク情報もあります。

 有事の際に迅速に対応するため、社長を本部長とする危機管理本部も設置されています。

 

②プロセス

 取締役会、経営会議が策定した経営計画を、各ユニットが自部門の施策に落とし込みます。サステナブル経営推

進ワーキンググループは特にESGの側面から各ユニットの施策立案と活動をサポートします。

 内部統制委員会では、それらの施策達成を阻害する要因をリスクと定義し、各ユニット(各本部・事業部門・主要な海外拠点(6拠点))にリスクの特定・評価およびリスク対応の報告を求めるとともに、全社的な視点から各ユニットのリスク分析およびユニット間の情報共有等をサポートしています。各ユニットは、自部門におけるリスクマネジメントの状況を、年2回内部統制委員会に報告します。内部統制委員会は各ユニットのリスクマネジメント状況を確認し、各ユニットに対してフィードバックを行います。

 また、各委員会に情報が集約され、それぞれの委員会の担当役員を通じて取締役会・経営会議に報告されています。リスクの重要度・緊急性に応じて、取締役会または経営会議に直接報告されるリスク情報もあります。取締役会または経営会議では、適時に意思決定をして関連ユニットに指示を出す等、コーポレートレベルでのリスク対応を行っています。

 緊急の案件が生じた場合には、危機管理本部の指示のもと、より迅速な対応が可能となっています。

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(2)事業等のリスク

 当社グループの事業等に関連するリスクにおいて、財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクとして、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項は、以下のとおりです。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。

 リスクにおいて想定されるシナリオならびに、リスクへの対応については、個々のリスク項目の中に記載しております。また、「発生可能性」については、短期的視点に加え中・長期的に発生する確率、「影響度」については、発生した際に売上高、当期利益に与える影響により、それぞれ評価しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

リスク項目マップ

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(注)図表の中の記号は、リスク種別ならびに通し記号であり、後述する各リスクの分類と一致しております。

(1)外部環境リスク

 (1) - a

 

当社グループの事業と業績は半導体産業の顕著に変動する需要に影響されます。

分類

発生可能性

影響度

(1) 外部環境

a 業界特性

 当社グループの事業は、半導体設計製造会社(IDM)、ファブレス半導体企業、ファウンドリーおよびテストハウスの設備投資に大きく依存しております。これらの企業の設備投資および一般投資は、主に半導体に対する現在および将来の需要、ならびに半導体を利用した製品に対する需要によって決定されます。かかる需要は世界経済の全体的な状況の影響を大きく受けます。

 今日までの経験として、半導体業界の不況時において、一般的に半導体メーカーのテストシステム投資を含む設備投資は、半導体の世界的な出荷額の減少率よりも大きく減少します。半導体業界では、過剰在庫の時期が繰返し発生するなど今まで周期的な動きを示しており、そのことが当社グループの製品を含め、半導体業界のテストシステムに対する需要にしばしば深刻な影響を与えてきました。

 近年の半導体の複雑化に伴い、信頼性確保の必要性が増大し、同時にテスト効率改善の難易度も高くなる傾向にあり、テスタ需要は今後、持続的に増加することを予想しておりますが、国際政治情勢の大きな変化や深刻な感染症の蔓延等による世界経済への影響による半導体需要変動、テスタ需要変動のリスクは有しています。

 世界的な半導体市場は、2019年は、米中貿易摩擦などの地政学的リスクが招いた世界経済成長の失速が、半導体市場にも大きな影響を与え、その結果、前年比12.0%の減少となりました。2020年は、世界経済が新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)のパンデミックの影響で低迷した一方、半導体市場は在宅時間の増加によるパソコンやタブレット端末の需要増加等、複数のプラス要因がこれを打ち消しました。その結果、前年比6.8%の増加となりました。2021年は、世界経済が引き続きCOVID-19の影響を受けつつも徐々に活発化する中、半導体市場は前年の堅調な成長の流れを引き継ぎ幅広い用途で需要が強く、高成長となりました。その結果、前年比26.2%の増加となりました。

 SoC半導体の世界的売上は、2019年は、不確実な経済情勢の中で最終製品需要や設備投資が減衰したものの、スマートフォン用の半導体需要が通年継続したため、前年比3.6%の減少にとどまりました。2020年は、リモートワークの拡大やスマートフォン高性能化を背景に堅調な需要環境が続きましたが、一方で米中摩擦先鋭化が影響し、前年比7.4%の増加にとどまりました。2021年は、HPCなどの最先端プロセス品の堅調な成長に加え、車載・産業機器・民生向け半導体の需要拡大により前年比26.8%の増加となりました。

 メモリ半導体の世界的売上は、2019年は、メモリ半導体の在庫過剰感から前年比32.6%の減少となりました。2020年は、データサーバーやゲーム機器関連が伸び、前年比10.4%の増加となりました。2021年は、メモリ半導体の大容量化の進展、高速化、高性能化が堅調に進展し、前年比30.9%の増加となりました。

 

 半導体市場の顕著な需要の変動は、以下の様々な要因から影響を受けます。

  ・世界経済の全体的な状況

  ・半導体業界の動向

  ・通信インフラ投資の水準およびスマートフォンやウエアラブル機器などの通信機器端末の需要の動向

  ・データセンター、パソコンおよびサーバー業界の需要

  ・テレビ、ゲーム端末、VR(バーチャルリアリティ)/AR(拡張現実感)機器を含むデジタル・コンシューマー機器に対する消費者の需要

  ・自動車、ロボティックスおよび医療機器などの産業機器市場の動向

 

 2019年度の当社グループは、大手半導体メーカー各社において半導体高性能化への取り組みが積極的に進められたことにより、半導体試験装置の需要が喚起され、とりわけ先端プロセスを用いたスマートフォン用の半導体向けで高水準な試験装置需要が通年継続しました。しかしながら、メモリ半導体の在庫過剰感から、メモリ・テスタ市場は大きく縮小しました。その結果、売上高は前年比2.3%減少の275,894百万円となりました。損益面については、売上総利益率は前年を上回ったものの、将来の成長基盤強化として研究開発やサポート人員のリソース強化のため販管費が増加したことにより、親会社の所有者に帰属する当期利益は前年比6.1%減少の53,532百万円となりました。

 2020年度は、コロナ禍の中でも半導体試験装置事業においてリモートワークの普及や巣ごもり消費の拡大を背景にデータセンターやゲーム機器関連の需要が持続したことに加え、スマートフォン関連領域において端末性能の競争を背景に生じた新規試験装置需要の取り込みに努めました。その結果、売上高は前年比13.4%増加の312,789百万円となりました。損益面については、売上総利益率の良い製品群の売上構成比が減少したものの、事業譲渡益やドイツ子会社の年金制度を統一した確定給付型年金制度へ移行したことに伴う利益など一過性の利益約81億円を計上したことにより、親会社の所有者に帰属する当期利益は前年比30.4%増加の69,787百万円となりました。

 2021年度は、半導体市場の活況を受け、半導体試験装置に対する需要も拡大が続きました。とりわけデータセンターやスマートフォン向けのハイエンドSoC半導体に対し先端技術投資が促進されたことで、SoC半導体用試験装置市場が力強く成長しました。このような環境下で、当社は、強みとする幅広い製品ポートフォリオとグローバル販売・サポート網を活かし、拡大する半導体試験装置需要を着実に取り込みました。その結果、売上高は前年比33.3%増加の416,901百万円となりました。損益面については、親会社の所有者に帰属する当期利益が前年比25.1%増加の87,301百万円となりました。当期利益における前年比増加率が緩やかであるのは、前年度において、日本での繰越欠損金使用および、繰延税金資産約100億円の計上に伴う税金費用の減少があったことによります。

 以上のように当社グループの業績は、引き続き半導体業界の顕著な需要変動に大きな影響を受けると考えられます。そのため、半導体業界における大規模な不況が発生した場合、過剰な在庫を抱えたことによる棚卸資産の評価損など当社グループの財務状況と事業成績に、悪影響を及ぼすこととなります。

●対応:

 当社グループは、リスクを軽減するため、半導体量産工程の前後にある、半導体設計・評価工程や製品・システムレベル試験工程といった近縁市場への事業拡大を図るとともに、生産のアウトソース化推進、リカーリングビジネスや新規事業を含むサービス他事業の強化により、需要の変動にも対応できる体制構築に取り組んでいます。

 

 (1) - b

当社グループの事業は、国際的な事業展開に伴う経済的、政治的またはその他のリスクを有します。

分類

発生可能性

影響度

(1) 外部環境

b 外部環境への感度

 当社グループは世界中で部品の調達、製品の生産および販売を行うため、その事業は国際的な事業展開に伴うリスクを有しております。当社グループの当連結会計年度の総売上高に対し、台湾、中国および韓国への売上が大半を占めるアジア地域(日本を除く)は88.4%、米州は4.9%、欧州は2.8%を占めております。海外事業での売上高は、今後も継続して売上高全体の大きな割合を占めると予想されます。また、当社の販売・サポートの子会社は米州、欧州および台湾、シンガポール、韓国、中国等のアジア地域に展開し、サプライヤーや生産工場も韓国やマレーシア、アメリカなどの海外に展開しております。したがって、当社グループの将来の業績は、以下を含む様々な要因から悪影響を受ける可能性があります。

 

・ 米中貿易摩擦等の保護主義政策を受けて輸出入制限や許認可制度の歪みにより当社製品の需要喪失や製品・サービスを供給できないリスクあるいは部品が調達できないことによる供給力低下リスク

・ 部品を調達し、製品を生産および販売する国における政治的、経済的な混乱、紛争、自然災害、疫病またはその他のカントリー・リスク

・ 感染症を含む疫病がグローバル経済発展に伴い世界へ拡散することにより、人の移動、物流を阻害し経済全体が停滞するリスク

・ パンデミックにより特定地域のサプライヤーの生産工場の閉鎖、稼働低下、また移動手段の制限による調達リスク

・ 政治、経済、技術の覇権争いあるいはテロ・戦争等における国家間の関係悪化等による社会的・政治的混乱 が 発生するリスク

・ 税法の改定または当局との見解相違による潜在的なマイナス影響

・ 移転価格税制等の国際税務に関するリスク

・ 事業展開が広範囲におよぶための人事・管理面の困難性

・ 異なる知的財産保護制度

・ 遠隔地であることおよび法規制が異なることによる売上債権回収の困難性

・ サプライヤーや生産工場が、機械加工および組み立てのインフラのレベルが発展途上の国にある場合の調達および生産における品質低下のリスク

・ 地球温暖化に伴う局所的な重大災害発生がサプライヤーや生産工場の操業停止を招き、製品製造や出荷が遅延・停滞するリスク

・ 各国、各地方環境当局の環境規制によるサプライヤーの生産停止リスク

・ サプライチェーンにおいて低品質品および模造品が混入した場合の、コストの増加や納期の遅延および商品修理費用が発生するリスク

・ サプライチェーンにおいて人権侵害に関与するリスク

●対応

当社グループは、リスクを軽減するため、海外拠点のリスクに関する情報収集をタイムリーに行うことに加え、顧客およびサプライヤーとの関係構築をより一層強化するとともに、調達ルートの拡張や生産拠点の柔軟化を図り、経済や政治動向に左右されにくい体制構築に取り組んでいます。またサプライチェーンにおける人権問題に関しては、調達基本方針を定めた上でサプライヤーに対して人権や労働安全に対する取り組みの理解を求める働きかけを行うことでリスクの軽減を行っております。

 

 (1) - c

利用している化学物質に対する規制の強化や環境関連の法規制の厳格化が行われた場合には、その対策に多額の費用が発生する可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(1) 外部環境

c 諸規則改変

当社グループが利用している化学物質の中で、その製造、処理および販売に関し、日本の政府機関や外国の様々な業界組織、またはその他の規制機関の環境関連法と規則が適用されるものがあります。そしてこれらの規制機関は、当社グループが使用する化学物質に対して、適用される既存の規制強化や、新たな規制に乗り出す可能性があります。当社グループは、製品に組み込む部材に含まれる有害物質の排除を進めておりますが、製品の信頼性の確保を優先するため、電子部品の取付けにおいては、一部の製品を除き鉛を含むはんだを使用しております。また、半導体・部品テストシステムやメカトロニクス関連製品の冷却方式では、使用に関わる法的規制を受けていないフッ素系液体を一部使用しております。当社グループは、製品の安全性や信頼性の確保を第一に、製品の環境対策を進め、化学物質の使用における規制を遵守していると考えておりますが、特定の国において規制要件が変更された場合には、かかる変更に対応しなければなりません。新しい要件への対応のために多額の費用がかかる可能性があります。関連する政府または業界規制への対応ができない場合、販売の継続または拡大の妨げとなる可能性があります。地球環境問題については、温室効果ガス排出規制、エネルギー効率規制、欧州サーキュラーエコノミに関する規制、炭素税等の環境関連の法規制が将来さらに厳格化した場合に、その対応のため多額の費用が発生する可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、環境規制にかかる化学物質の動向ならびに法規制についてモニターするとともに、化学物質については代替技術の検討を行っています。

 

 (1) - d

当社グループは激しい競争に直面しており、シェアを維持、拡大できない場合は、ビジネスが損なわれる可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(1) 外部環境

d 競合他社

 当社グループは世界中で激しい競争に直面しております。当社グループの主要な競合企業は、半導体・部品テストシステムの市場においては、Teradyne, Inc.、Cohu, Inc.、YIK Corp.、UniTest Inc. および EXICON Ltd.等があります。メカトロニクス関連の市場においては、テスト・ハンドラでは、Cohu, Inc.、TechWing Inc.、および Hon. Precision, Inc.等、デバイス・インタフェースでは、TSE Co., Ltd.、ESA Electronics Pte Ltd.、TFE Inc.および ISC.Ltd.等と競合しております。一部の競合企業は当社グループよりも多くの資金、その他の資源を有しております。

 当社グループはその事業において、テストコストの削減につながる半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連製品を望む顧客からの圧力が強まるあるいは顧客によるテストシステムの内製化など、多くの課題に直面しております。デバイス・インタフェースについては、リカーリングビジネスである特性(顧客のランニングコストに相当)故、常に強いコスト削減要求を受けており、競合企業がビジネス確保の為、コア技術部品のベンダーを買収したり、高性能を実現する上で不可欠なPCBの設計/製造技術が競合企業に流出した場合、製品性能の優位性と価格決定主導権を喪失し、ビジネスの維持/確保が困難になります。

 当社グループが競争に打ち勝ち、シェアを維持、拡大していくためには、継続的にそのビジネス・プロセスを改良して製品コストを削減する、あるいは全体的なテストコストを低減させる必要があります。また、競合他社が今後も価格と性能の向上した新製品を投入し、そのカスタマー・サービス/サポートの提供を増強し続けたり、新規参入企業による低価格テスタの投入などが予想されます。競争が大幅に激化した場合、当社グループの利益が減少する可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、顧客ニーズを把握した上で、競合についての情報収集・分析を行い、独自技術、付加価値の高いソリューションを提供することで、製品競争力が維持できるよう努めています。

 

 (1) - e

当社グループは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に関して以下のリスクを想定しています。

分類

発生可能性

影響度

(1) 外部環境

e 災害・壊滅的損失(感染症)

① 当社グループ、顧客、サプライヤーの従業員が感染することによる業務中断や効率低下

② 世界各地の移動制限や都市封鎖が長期化することで生じる次の問題

 i)   当社グループや委託先において製造人員の安定確保ができないことによる製品供給能力低下

 ii)  移動制限による顧客サポート能力低下

 iii) 世界的規模のサプライチェーン寸断(部材調達難、物流遮断等)による製品供給能力低下

③ 世界経済の悪化による最終需要減とエレクトロニクス業界全体への波及、半導体市場および半導体製造装置市場の減速

④ 顧客のサプライチェーン変動などを通じ、半導体産業の構造が中期的に大きく変化する可能性

⑤ ポストコロナ時の人々の生活様式および社会の変化がもたらす事業環境の変容

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、社長直轄の危機管理本部が主導して、(1)在宅勤務、出張禁止など従業員の安全と健康を最優先にした対応の徹底、(2)顧客へのオンラインサポート、(3)生産、販売、在庫、物流状況の世界レベルでの把握、(4)感染者が発生した場合のBCP対策、(5)グループ会社間の支援物資融通、(6)資金管理等、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応を行っています。

 

 (1) - f

主要な研究開発施設、生産施設、情報技術関連施設、製造委託先またはサプライヤーの施設が巨大な損害を被った場合、業績に重大な打撃を受けることになります。

分類

発生可能性

影響度

(1) 外部環境

f 災害・壊滅的損失(災害)

 当社グループの半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連事業の主要な研究開発施設、生産施設ならびにサービスの拠点は、群馬県、埼玉県および宮城県にあります。また、主要な基幹システムサーバーとネットワークのハブは、ISMS(情報セキュリティマネージメントシステム)の承認を受けたシステムセンタに設置され、さらに、日本の一部の事業所にもローカルにサーバーが設置されております。

 日本は地震が起こる可能性の高い地域であり、これらの施設、特に半導体・部品テストシステムの工場が地震、洪水等による巨大な損害を受けた場合、事業に支障を来し、製造、出荷および収益に遅れが生じ、施設の修理または建て直しのために巨額の費用が発生する可能性があります。当社グループは、地震以外の原因によるほとんどの潜在的な損失をカバーする保険に加入しておりますが、これらの保険は起こり得る損失すべてを十分にカバーしない可能性があります。また、製造委託先、サプライヤーの施設、または情報サービス網の施設が同様の重大な損害を受けた場合も、当社グループの事業に支障を来す可能性があります。

 当社グループは、大規模災害等の危機発生時に備え、各部門で対応手順書を定めておりますが、さらに、基幹事業を停止させないこと、停止した場合でも重要な設備を含め可能な限り短期間で再開させることを目的として、事業継続計画(Business Continuity Plan)を策定し実施しております。しかしこのBCP計画が有効に機能しない場合には、大規模災害等の危機発生時に基幹業務が停止し、再開に長期間を要する可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、BCP計画を策定するとともに、生産拠点や外部サプライヤーの分散化、クラウドの活用によるデータの分散保存等により、事業運営に支障が出ないように努めています。

 

(2)意思決定リスク

 (2) - a

企業買収や資本業務提携により生じるのれんおよび無形資産等は、多額の減損損失を計上し、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(2) 意思決定

a 事業価値評価/投資判断

(M&A/資本業務提携)

 有形固定資産、のれんおよび無形資産については、減損の兆候が存在する場合に、減損テストを行っております。のれんについては、減損の兆候が存在する場合のほか、年次で減損テストを行っております。

 減損損失は、資産、資金生成単位(CGU)またはCGUグループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に認識しております。特に企業買収により生じるのれんおよび無形資産においては、期待されるシナジー効果が出せずに多額の減損損失を計上した場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは資本業務提携の推進等を目的として投資有価証券等を保有しております。株価の著しい下落、もしくは当該株式の発行会社の財政状態の著しい悪化により減損処理を行った場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

●対応

当社グループは、リスクを軽減するため、M&A等の事業取得に際しては、資本コストを意識した回収可能性を十分に考慮したうえで投資判断を行っています。また、M&A後に、戦略・販売網・管理体制・従業員意識・情報システム等を有機的に機能させるため、Post Merger Integration(PMI)計画を遂行し、シナジー効果の早期実現を目指しています。

 

 (2) - b

当社グループが顧客の技術面の要求を満たす新製品を競争力のある価格でタイムリーに投入できない場合、既存の製品が陳腐化し、財政状態および経営成績に影響を及ぼします。

分類

発生可能性

影響度

(2) 意思決定

b 製品ライフサイクル

 当社グループは、急速な技術変化、新しい製品やサービスの頻繁な導入、変化する予測不可能なライフサイクル、進化する業界標準を特徴とするいくつかの産業界に向けて製品を販売しております。当社製品の将来の需要の大部分は、現在設置されている半導体テストシステムでは適切に対応されていない新しいテストニーズを生み出す半導体の技術革新によるものであると予測しております。これらの技術革新に対応する顧客のニーズ、および市場環境に対応したより高い費用効果と効率に対する顧客のニーズには、次のものが含まれます。

· より高度なメモリ半導体、ロジック、アナログまたはセンサー回路を搭載したSoC半導体に対応したソリューション

· 大小のモーター駆動を制御するパワー・デバイスのテスト・ソリューション

· TSV(Through-Silicon Via)技術など先端パッケージ技術を用い、ロジックやメモリなどヘテロジニアス(異種)チップ同士を高度に集積した、複雑なSoCに対応するソリューション

· 電気的特性とタイミング特性を測定、評価することで最先端の半導体プロセスをモニターするパラメトリック試験ソリューション

· より高速に、正確に、安定的にデバイスを搬送するメカトロニクス関連製品

· 半導体チップに組み込まれる自己診断回路を用いた試験技術に対応したソリューション

· 試験チップ周辺回路に搭載される診断回路を用いた試験技術に対応したソリューション

· 最終製品の性能を保証するシステムレベルテストのソリューション

· 試験環境を動的かつ繊細にコントロールするテスト温度ソリューション

· 故障時の迅速な対応と修理に要する時間の最短化

· 顧客のテストコストを削減できるようなトータル・ソリューション

· 最先端フォトマスクのパターン寸法計測、および欠陥観察に対応したソリューション

 

 また、当社グループは、半導体・部品テストシステムをはじめとする当社製品の需要が、パソコンや高速無線および有線通信のデータ・サービスならびにデジタル・コンシューマー機器、先進運転支援システム(ADAS)、さらにスマートフォン、ウエアラブルおよびデータセンターなどの通信端末に対する需要レベルに、強く影響されると考えています。これらの製品とサービスに使用されている技術の発展により、新しいテストシステムが必要になると思われます。当社グループが新技術を用いて効果的にテストおよび測定できる半導体テストシステムをタイムリーに投入しなければ、既存の製品とサービスは時間の経過につれ技術的に陳腐化します。

 当社グループが顧客の技術的要件を満たす製品を競争力のある価格であるいはタイムリーに供給できない場合、その製品が競合他社の製品または代替する技術ソリューションに置き換えられる可能性があります。さらに、当社グループが製品の価格競争力やタイムリーな供給に必要な人材を十分に確保できなかった場合や、顧客が要求する性能基準を満たし許容可能な価格で製品を提供できなかった場合、その顧客による評価を著しく損なうことになります。かかる評価の低下により、将来その顧客に対する製品やサービスの営業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、主要な顧客との技術交流イベントを開催し、最先端ソリューションに関する情報交換の機会を設けることで、次の技術革新、新しい製品、および目まぐるしいスピードで創出される新市場を特定することに努めています。そして、次世代や将来を見据えた要素技術の基礎的な研究や、製品開発の初期段階から量産に向けた生産技術の開発を行っています。また、当社グループは、PDF Solutions社との業務提携により、半導体製造工程のデータ解析を活用し、顧客ニーズをタイムリーに捉え潜在的な需要も考慮する新製品の研究を行っております。

 

 (2) - c

当社グループの主な製品の市場は極めて集中しており、販売機会が限られているため、製品の売上を拡大できない可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(2) 意思決定

c ビジネス・ポートフォリオ

 半導体・部品テストシステム事業の中でも、特にメモリ半導体用テストシステムの市場は極めて集中したものであり、少数の大きな半導体メーカーとファウンドリーおよびテストハウスが業界全体の売上に大きな割合を占めております。このような業界状況は、近年の半導体業界において、大手の半導体メーカー、ファウンドリーおよびテストハウスによる企業の買収や事業の統廃合などの再編が進むことにより、一層加速していると考えられます。当社グループの売上の増加は、大口顧客から受注を獲得し増加させることができるかどうかに大きく依存します。また、半導体メーカーの統廃合により過剰な設備が中古市場に流れた場合や、あるいは製品が個別仕様への対応に遅れをとった場合にも、製品の販売機会を失うリスクがあります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、様々なアプリケーションに対応した製品を展開することで、顧客とのパートナーシップを強化し、販売機会を逃さないよう努める一方で、新規事業の立ち上げ、M&A等により、事業領域の拡大を目指しております。

 

 (2) - d

当社グループは、設備投資を回収できない可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(2) 意思決定

d 事業価値評価/投資判断

(設備投資)

 当社グループは、設備投資を継続的に行っています。設備投資に対して、顧客の設備投資の抑制により想定した販売規模を達成できない、あるいは競合他社との激しい競争による製品単価の下落などにより、設備投資を回収することができない、または回収できるとしても想定より長い期間を要する可能性があります。そのような場合、当該資産が減損の対象になり、当社グループの収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、資本コストをベースとした回収可能性を十分に吟味したうえで投資判断を行っています。また、投資後は事業成長率をベースにモニターし、資産の有効活用を図ります。

 

 (2) - e

当社グループは新製品の開発コストを回収できない可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(2) 意思決定

e 戦略に基づく実績測定

 既存製品の改良と新世代製品の開発は、ほとんどの場合多額な費用を必要とします。さらに、半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連製品の購入決定は高額な投資を伴うため、一般的に販売活動に要する期間が長く、販売に至るまで多大な支出と営業活動を必要とします。当社グループが製品を改良し新世代の製品を投入したとしても、顧客ニーズの変化、競合他社による新技術・新機能搭載製品の投入、顧客による異なる試験機能を必要とする新製品投入、または顧客の製品が当社グループの期待する速度、レベルで成長しないことにより短期間で時代遅れとなれば、開発と営業の費用を上回る売上高を達成できない可能性があります。場合によっては、業界動向を先取りし、顧客側の製品実用化よりも先に製品の開発を行わなければならないため、革新的技術によるビジネス上の実現可能性を判断する前に、多額の投資を行わなければなりません。したがって、顧客がそれらの製品を迅速に投入できない場合や、またはそれらの製品が市場に受け入れられない場合、当社グループは販売量の増加による製品開発投資のコストの回収に失敗する可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、技術交流会等を通じて顧客ニーズを満たす製品ロードマップの策定や、製品のプラットフォーム化による開発効率の向上、ROICによる投資効果の事前評価等により回収率の向上を図っています。

 

 (2) - f

当社グループの製品は価格低下圧力を受けております。

分類

発生可能性

影響度

(2) 意思決定

f 価格設定

当社グループが事業において受けている部材コストアップ、製品価格低下圧力は、営業利益率に悪影響を及ぼします。昨今、多くの当社取引先部品メーカーが材料費の高騰を理由に部品価格の値上げを実施しています。一方で、当社顧客の半導体メーカーは材料費高騰を生産性の向上、テストコスト低減等で吸収しようと努力しており、当社製品価格低下への圧力は依然強い状況です。

また、近年、複数社ベンダー方式を導入する顧客の増加により、一層の価格低下圧力を受けています。今後、価格低下圧力がさらに強まれば、当社グループの将来の財務状況と事業成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

●対応

当社グループは、リスクを軽減するため、独自技術、付加価値の高いソリューションを提供することで、顧客納得感のある製品価格が維持できるよう努めるとともに、生産コスト低減による利益率の向上にも継続的に取り組んでいます。

 

(3) 財務 価格リスク

 (3) - a

為替変動が収益性に影響を及ぼす可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(3) 財務 価格

a 外国為替

 当社グループの売上高の大半は日本国外の顧客への販売によるものです。当連結会計年度の売上高の96.1%は、海外顧客への製品売上によるものです。当連結会計年度の売上高のうち約73%は、米ドルを主とする円以外の外貨によるものです。当社グループが販売にあたり使用する外貨(主に米ドル)が円高に転じた場合、必ずしも製品価格に転嫁することはできないため、当社グループの売上に悪影響を及ぼす可能性があります。

なおユーロについては、現状ユーロ建ての売上よりも費用の発生額の方が大きいため、円安水準で推移した場合、収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。

さらに、円と外貨(主に米ドル)の間の大きな為替変動により、海外において円建てで販売される製品価格を引き下げなければならない場合や、また米ドルやその他の外貨建てで販売される製品売上の円相当額が減少した場合には、収益性に影響を及ぼす可能性があります。これらの変動により、製品価格が相対的に高くなり、潜在的な顧客による抑制または先送りが生じる可能性があります。過去において、当社グループが販売にあたり使用する外貨と円との間の為替レートに、大きな変動が生じたことがあります。

また、子会社の報告通貨の外国為替レートが円に対して変動した場合、当社グループの連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。外国為替レートの変動は、外貨建の金額を連結財務諸表の報告通貨である円に換算する金額に影響し、為替変動の向きによっては当社グループの財政状態、経営成績および純資産の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、保有通貨のバランスを調整することに加え、為替予約取引等の金融商品を利用すること、外貨建て金融資産負債が相殺されるようなバランスシート管理を行うことで、為替変動による影響を少なくするよう努めています。

 

(4) 財務 流動性リスク

 (4) - a

当社グループの売上高は、上位顧客の数社が大きな割合を占めるため、これらの1社または数社を顧客として失うことや上位顧客の設備投資の変動が、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの上位顧客の財務状態が悪化した場合、売上債権の回収リスクが発生します。

分類

発生可能性

影響度

(4) 財務 流動性

a 市場の集中

 当社グループの成功は、重要顧客との関係を継続的に発展させ管理することにかかっております。現在ではこれらの少数の顧客が売上高の大きな割合を占めております。顧客上位5社による売上高は、前連結会計年度および当連結会計年度の売上高全体の約34%を占めております。これら主要顧客の1社または数社を失うことや主要顧客の設備投資の変動あるいは主要顧客の主要な製品の成否が、当社グループの事業に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、多額の債権を有する顧客の財政状態が悪化し、期限どおりの支払が得られない場合、当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

●対応

当社グループは、リスクを軽減するため、営業効率に配慮しつつ、新領域の参入を含め、新興市場や新規顧客の開拓により、幅広い顧客層を獲得することを目指しています。

 

 (4) - b

当社グループは、必要な時に資金調達ができないリスクを有しています。

分類

発生可能性

影響度

(4) 財務 流動性

b キャッシュ・フロー

 当社グループは、必要な運転資金について、営業活動により稼得した現預金を充当するほか、企業買収や急激な経済状況の悪化などで資金調達が必要になった場合には社債の発行や金融機関からの借入れ等を行うことがあります。金融市場が不安定になったり、信用力悪化で当社の信用格付が引き下げられた場合には、当社グループにとって好ましい条件で適時に資金調達をできる保証はなく、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、急激な需要変動に耐えられるよう堅固な財務体質を築くとともに、資金調達が必要な場合には即時の資金借入やコミットメントライン設定ができるよう、複数の金融機関と友好関係を維持しております。

 

(5) ガバナンスリスク

 (5) - a

CEО等経営層の後継者計画が策定されない、または策定されても機能しない場合、経営の安定性と持続可能性が確保できない可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(5) ガバナンス

a サクセッションプラン

 当社グループでは、CEO等経営層の後継者計画については、指名報酬委員会が策定を進めております。しかしながら、後継者計画が策定されない、または策定されても機能しない場合は、経営の安定性と持続可能性を確保できない可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、指名報酬委員会で、(1)求められる人材要件の整理、(2)候補者の選定、(3)時間をかけた候補者の育成、(4)候補者の人物評価、(5)候補者の決定等について審議、実行しております。さらに、取締役会は指名報酬委員会からの報告を受け、主体的にその内容について議論しております。

 

(6) 評判リスク

 (6) - a

当社グループは、ブランド力の毀損または信用喪失などにより、財務状況および事業成績へ悪影響を受ける可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(6) 評判

a イメージ/ブランド力

 当社グループは、法令や社会的倫理に違反する行為、あるいは製造物責任を含む安全性・信頼性・製品性能などの低下によりブランド力の毀損または信用を喪失する恐れがあり、結果として取引の停止や制裁など社会的措置を受ける可能性があります。

 なお、ISO9001など世界的に認められている品質管理基準にしたがって製品の生産を行っておりますが、これらの製品について欠陥がないという保証はありません。一方、製造物責任賠償については、保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできる保証はありません。したがって部品の品質不良や製品の製造不良による出荷停止や納期遅延、製品の欠陥による大規模な事故の発生や、製品の障害発生および不適切な障害対応による顧客対応費用の増大や、損害賠償請求などを受ける可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、コンプライアンス部を設置し、会社信用保全のために法令等の遵守意識を高める活動を全社的に継続して行っています。また、安全性・信頼性が高い製品の提供ができるように設計段階でのデザインレビューや製品の生産過程において様々な品質確認を行っている事に加え、品質保証部門によるクロスチェックにより、品質の安定化に努めています。

 

(7) 情報処理 / IT リスク

 (7) - a

当社グループがビジネス上の基幹システムや基幹プロセスのデジタル・トランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)をスピーディーに進めていくことができなかった場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(7) 情報処理/IT

a インフラ

 データとデジタル技術で企業の競争力を高める取り組みであるデジタル・トランスフォーメーションは、IoTや人工知能を駆使したデータ活用による製造現場の革新、生産設備と物流のデータ共有による新価値創出、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がもたらした経営環境の変化への対応など幅広い分野で期待が高まっています。

 しかし、当社グループがデジタル・トランスフォーメーションを進めるにあたり、既存のITシステムの老朽化や複雑化やブラックボックス化により、データが十分に活用されない、あるいは既存システムの維持や保守に資金や人材が割かれ、新たなデジタル技術を活用するIT投資にリソースを振り向けることができない等によって、データ活用が進まなかった場合、競争力を失う、古いシステムの維持管理費が高額化する、またはシステムの保守運用担当者の退職や高齢化によるシステムトラブルやデータ滅失などが発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、保有しているITシステムを洗い出し、用途・継続性と市場の新しい技術への代替を推進しております。また、Digital Workplace(デジタル技術が創造する職場)のコンセプトをグローバルに展開し、組織がイノベーションを起こす機会に繋げることに努めています。

 

 (7) - b

当社グループの情報技術ネットワークやシステムが被害を受けたり妨害されたり停止した場合、業務の継続を妨げ、社会的信用を失いかつ多額の費用負担が発生する可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(7) 情報処理/IT

b セキュリティ

 当社グループは、機密データや個人情報を含む電子情報の処理、送信、蓄積のために、また製造、研究開発、サプライチェーンの管理、販売、会計などを含む様々なビジネス活動およびそのサポートのために、第三者によって管理されているものも含め、様々な情報技術ネットワークやシステムに頼っています。当社グループは情報セキュリティ委員会が、情報セキュリティ対策の方針制定を行っております。また、情報技術ネットワークやシステムについては、前述の方針に基づき、IT部門が構築・運用しております。しかし、ハッカーやコンピューターウイルスによる攻撃、情報セキュリティシステムの誤用、不注意な使用、事故や災害などがあった場合には、当社が実施する防御を超え、業務の継続を妨げ、情報の漏洩やその情報が改竄される恐れがあるだけでなく、法的請求、訴訟、損害責任、罰金を払う義務などが発生し、社会的信用、業績および財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、サイバー攻撃に対する常時監視による検知強化や定期的な情報セキュリティ教育を通じた従業員のリテラシー向上に努めています。

 

(8) 業務運営リスク

 (8) - a

部品が調達できないことにより製品をタイムリーに提供できない、あるいは市場の急拡大に伴う需要に対応しきれない場合には、将来の市場シェアおよび業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(8) 業務運営

a 外部からの調達

 当社グループは、その製品の製造に関し、組立作業の一部をサプライヤーに委託しております。また、当社グループの半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連製品における多くの部品は、サプライヤーが当社グループの仕様に沿って製造したものであります。サプライヤーへの依存により、生産工程に対する管理は届きにくく、生産能力の不足、出荷遅れ、基準未満の品質、労働力の不足、高コストなど、重要なリスクに直面する可能性があります。さらに、当社グループは、一部の部品または部分品に関して1社または少数のサプライヤーに依存しており、ほとんどの部品および部分品に関して長期間の供給契約を結ばずに個別の発注で購入しております。サプライヤーが部品または部分品を必要な数量または満足できる価格で提供できなくなった場合、サプライヤーの事業の撤退等により既に採用または今後採用するカスタム部品および汎用部品の生産もしくは販売が中止となった場合、あるいは大規模な災害や電力不足が発生した場合、条件に合った代替品を見つけて仕入れなければならず、それができなければ、テストシステムの供給能力が損なわれる可能性があります。これまでサプライヤーは、製造ラインおよび人員削減による生産能力の適正化を実施してきました。そのため、今後半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連事業の市場が急激に拡大した場合には、回復局面を活かすために人員増を含む生産能力を大幅に増強することや、需要が増加する部品を、サプライヤーから適時適切に確保することが必要となってきます。サプライヤーを選び、適切な代替部品または部分品を選定するのは時間のかかる作業であるため、顧客の要求に合った製品をタイムリーに提供できなくなる可能性があります。また、経済環境の悪化によりサプライヤーの財政状態が悪化した場合や製品需要の大幅な増加に対応しきれない場合、既存の大口顧客を失う、または今まで取引関係の少なかった、あるいは全くなかった潜在的な大口顧客と強い関係を築く機会を失う結果となる可能性があります。このような機会損失は、当社グループの将来の市場シェアおよび業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、社内ワーキンググループ活動を行い、最新技術を考慮した製品設計に関するルールにしたがって、部品ライフサイクルを考慮しながら、複数調達先を候補とする標準部品リストを作成・更新し、特定のサプライヤーに過度に依存しない体制の構築に努めています。さらに、部品および部分品のサプライヤー選定時には、様々なリスクを考慮したベストパートナー探しを行い、継続的な評価・見直しを行っています。また、部品入手性を向上させる取り組みとして、主要サプライヤーとの供給保証契約の締結交渉や、前工程加工を済ませたウエハーの状態で備蓄する「ダイバンク」等で、中間品を確保する対応を行っております。

 

 (8) - b

労働力市場は競争が激しいため、当社グループが多様な専門技術スタッフや運営上の重要なスタッフを採用し維持できない場合等により、事業運営や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(8) 業務運営

b 人的資本

 当社グループは、変化の激しいエレクトロニクス業界において事業を発展させるため、開発、製造、マーケティング、営業、保守サービスなどの分野において専門技術に精通した多様な人材や、経営戦略や組織運営上のマネジメント能力に優れた人材の採用および育成を継続的に行い、維持していくことが重要であると考えております。

 そのため、新卒採用のみならず、経験豊かな人材をグローバルベースで幅広く採用、確保するとともに、人事諸制度の見直しや社員教育を継続的に行い、社員の定着と育成に努めております。

 しかしながら、必要な人材を継続的に採用し維持するための競争は激しく、計画どおりに進まなかった場合、働く環境の改善が遅れることにより、当社グループの制度が時流に則さないものとなり従業員にとって魅力が薄れ人材が流出した場合、または社員教育が不十分であった場合、当社グループの事業運営や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、中長期的な採用計画の策定、グローバルローテーション、働く環境の改善やエンゲージメント向上の取り組み、社員教育への投資等により人材の安定化を図っています。

 

 (8) - c

当社グループは、知的財産に関するリスクとして、第三者にその知的財産を侵害したと主張される可能性、および当社グループの知的財産を適切に保護できない可能性があります。

分類

発生可能性

影響度

(8) 業務運営

c ビジネスの中断

 当社グループは、意図せず第三者の知的財産権を侵害し、その結果、侵害の責任を問われる可能性があります。この場合、高額な賠償、裁判費用、またはライセンス料を支払わなければならない可能性や、製品を販売できなくなる可能性があります。

●対応

 当社グループは、リスクを軽減するため、第三者の知的財産を侵害することのないよう、製品開発時や製品出荷前において知的財産調査等の実施に努めています。

 また、当社グループは、各国で特許権、実用新案権、意匠権、商標権および著作権等を取得することにより、当社グループの知的財産を保護しております。しかし、当社グループの知的財産を侵害していると思われる第三者の製品を入手し侵害を立証することは一般的に困難でもあります。当社グループは、その知的財産権を第三者による侵害から保護することを重要と考え、今後も第三者の製品を監視し、適切な知的財産権の保護に努めてまいります。また、当社グループの顧客に対してもコンプライアンス遵守する旨、発信していきます。

 

3【経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績の状況の分析

  ①業績

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前年同期比

(百万円)

前年同期比

(%)

売上高

312,789

416,901

104,112

33.3

 売上原価

 販売費および一般管理費

 その他の損益

△144,498

△105,870

8,305

△180,994

△121,132

△41

△36,496

△15,262

△8,346

25.3

14.4

営業利益

70,726

114,734

44,008

62.2

 営業利益率

22.6%

27.5%

4.9%

 金融損益

△1,108

1,609

2,717

税引前利益

69,618

116,343

46,725

67.1

 法人所得税費用

169

△29,042

△29,211

当期利益

69,787

87,301

17,514

25.1

当期利益の帰属:

 親会社の所有者

 

69,787

 

87,301

 

17,514

 

25.1

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスの収束の見通しが不透明なものの、ワクチン接種が進んだことで社会活動の正常化が進み、総じては前年度での歴史的な景気後退から回復を遂げました。一方で、半導体などの部材不足の長期化、インフレの進行、さらに2022年に入ってからのウクライナ危機などを受け、世界経済の先行きに対する懸念が一層強まりました。

 半導体市場においては、巣ごもり需要の継続や社会のデジタル化進展により、データセンター、AI、パソコン関連の半導体需要が堅調に推移しました。また5Gスマートフォンの性能進化や販売台数の伸びに呼応し、スマートフォン向け半導体の高機能化や需要拡大が進みました。加えて、コロナ禍からの経済回復とあいまって自動車、産業機器、民生機器向けの半導体不足が顕著となったことで、多様な半導体に対して生産能力増強投資が積極的に進められました。

 半導体市場の活況を受け、半導体試験装置に対する需要も拡大が続きました。とりわけデータセンターやスマートフォン向けのハイエンドSoC半導体に対し先端技術投資が促進されたことで、SoC半導体用試験装置市場が力強く成長しました。

 このような環境下で、当社は、強みとする幅広い製品ポートフォリオとグローバル販売・サポート網を活かし、拡大する半導体試験装置需要を着実に取り込みました。一方で半導体などの不足が広範なサプライチェーンに影響を及ぼす中、当社の部材調達環境も過去に例のない厳しい状況が継続しました。

 当連結会計年度の平均為替レートは、米ドルが112円(前期106円)、ユーロが130円(前期123円)となりました。

(売上高)

 社会のデジタル化進展から、データセンター投資の拡大、5Gスマートフォンの高機能化、微細化をはじめとする半導体の高性能化を背景に、積極的なテスタ投資がSоC半導体メーカーを中心に年度を通し継続して行われました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は、前年度に比べ104,112百万円(33.3%)増加の416,901百万円となりました。

 

(売上原価)

 当連結会計年度の売上原価は、前年度に比べ売上高の増加により、36,496百万円(25.3%)増加の180,994百万円となりました。売上原価率は、高機能半導体に向けた付加価値の高いテスタ比率が増加したため、前年度に比べ2.8ポイント減少の43.4%となりました。

 

(販売費および一般管理費)

 当連結会計年度の販売費および一般管理費は、前年度に比べ売上高の増加に伴いサポート人員のリソース強化を行ったものの、費用の伸びを抑えられたことにより、前年度に比べ15,262百万円(14.4%)増加の121,132百万円に留まりました。

(その他の損益)

 当連結会計年度のその他の損益は、前年度に比べ8,346百万円減少の41百万円の損失となりました。これは主に、前年度において事業譲渡益やドイツ子会社の年金制度を統一した確定給付型年金制度へ移行したことに伴う利益など一過性の利益約81億円を計上したことによります。

 

(営業利益)

 以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前年度に比べ44,008百万円(62.2%)増加の114,734百万円となり、売上高に対する営業利益の比率は、前年度比4.9ポイント増加の27.5%となりました。

 

(金融損益)

 当連結会計年度の金融収益と金融費用を合わせた金融損益は、前年度に比べ2,717百万円増加の1,609百万円の利益となりました。これは主に、円安ドル高、ユーロ安ドル高により為替差益が発生したことによります。

 

(税引前利益)

 以上の結果、当連結会計年度の税引前利益は、前年度に比べ46,725百万円(67.1%)増加の116,343百万円となりました。

 

(法人所得税費用)

 当社グループの法人所得税費用の実際負担税率は、当連結会計年度は25.0%、前年度は△0.2%でありました。当社グループの当連結会計年度および前年度の法人所得税に関しては、連結財務諸表の注記16に記載しております。

 

(親会社の所有者に帰属する当期利益)

 以上の結果、当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年度に比べ17,514百万円(25.1%)増加の87,301百万円となり、売上高に対する親会社の所有者に帰属する当期利益の比率は、前年度比1.4ポイント減少の20.9%となりました。

 

 ②生産、受注および販売の実績

 a.生産実績

 当社グループは、原則として受注に基づいた生産を行っており、生産実績は販売実績と傾向が類似しているため、記載を省略しております。

 b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前年同期比(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比(%)

半導体・部品テストシステム事業部門

537,501

136.6

309,329

409.7

メカトロニクス関連事業部門

58,588

39.2

31,083

110.0

サービス他部門

104,293

66.9

54,248

62.7

内部取引消去

△66

合計

700,316

111.8

394,660

262.7

 (注)セグメント間の内部売上高(振替高)を含めて表示しております。

 

 c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

半導体・部品テストシステム事業部門

288,859

39.4

メカトロニクス関連事業部門

42,305

5.7

サービス他部門

85,803

28.5

内部取引消去

△66

合計

416,901

33.3

 (注)1.セグメント間の内部売上高(振替高)を含めて表示しております。

    2.販売先が総販売額の10%以上におよぶ販売先は前年度、当年度ともにありません。

 

 ③セグメントの業績

(半導体・部品テストシステム事業部門)

 当部門は、当連結会計年度において売上高の69.3%を占めております。

 当部門では、SoC半導体用試験装置は、アプリケーション・プロセッサやHPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)デバイスなどハイエンドSoC半導体において一段の微細化や性能向上が計画されていること、半導体不足に対する供給能力拡大投資が推進されていることを背景に、受注高が大きく伸長しました。メモリ半導体用試験装置も、メモリ半導体の高性能化が継続する中で堅調に受注高を伸ばしました。一方、売上高については、半導体不足などにより供給リードタイムの長期化を余儀なくされましたが、SoC半導体用試験装置の販売がハイエンドSoC半導体向けを中心に増加しました。

 以上の結果、当部門の当連結会計年度の売上高は、前年度に比べて81,656百万円(39.4%)増加の288,859百万円、セグメント利益は前年度に比べて44,038百万円(71.5%)増加の105,655百万円となりました。

 

(メカトロニクス関連事業部門)

 当部門は、当連結会計年度において売上高の10.1%を占めております。

 当部門では、半導体試験装置に対する顧客の旺盛な投資意欲やEUV露光技術の採用拡大を背景に、デバイス・インタフェース製品、テスト・ハンドラ、ナノテクノロジー製品の受注がそれぞれ伸長しました。販売面においては、製品ミックスが改善し、当セグメントの収益性向上に寄与しました。

 以上の結果、当部門の当連結会計年度の売上高は、前年度に比べて2,300百万円(5.7%)増加の42,305百万円、セグメント利益は前年度に比べて1,146百万円(23.1%)増加の6,101百万円となりました。

 

(サービス他部門)

 当部門は当連結会計年度において売上高の20.6%を占めております。

 当部門では、堅調なデータセンター投資やスマートフォン高性能化を背景に、システムレベルテスト製品の需要が大幅に伸長しました。また当社製品の設置台数が拡大する中、保守サービスの需要も高水準に推移しました。

 以上の結果、当部門の当連結会計年度の売上高は、前年度に比べて19,050百万円(28.5%)増加の85,803百万円、セグメント利益は前年度に比べて7,394百万円(71.0%)増加の17,813百万円となりました。

 

④地域別売上高

 当連結会計年度の海外売上比率は96.1%(前連結会計年度95.5%)となりました。

 

(日本)

 当連結会計年度の日本における売上高は、前年度に比べ2,360百万円(16.8%)増加の16,381百万円となりました。

(日本以外のアジア)

 当連結会計年度の日本以外のアジアにおける売上高は、前年度に比べ108,088百万円(41.5%)増加の368,690百万円となりました。これは主に、台湾と中国において、SоC半導体用試験装置が好調だったことによります。

 

(米州)

 当連結会計年度の米州における売上高は、前年度に比べ9,914百万円(32.9%)減少の、20,250百万円となりました。

 

(欧州)

 当連結会計年度の欧州における売上高は、SоC半導体用試験装置が好調だったため、前年度に比べ3,578百万円(44.7%)増加の、11,580百万円となりました。

 

(2)財政状態およびキャッシュ・フローの状況の分析

  ①流動性および資金源

 当社グループの資金・財務政策は、当社の経理部門が所管しております。当社は資金需要に関して、営業活動により稼得した現預金ならびに手許の現金および現金同等物から充当するほか、必要に応じて債券の発行および株式等の発行ならびに金融機関からの借入により資金を調達することが可能であります。

 また、中期的に半導体業界および半導体・部品テストシステム業界の状況が低迷する場合、当社は将来の設備投資またはその他の運転資金需要のために債券の発行または希薄化効果を伴う株式等の発行等を行う可能性があります。

 

  ②キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末の現金および現金同等物は前年度末より32,582百万円減少の116,582百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度は、78,889百万円の収入となり、前連結会計年度と比べ11,059百万円の収入の増加となりました。これは税引前利益116,343百万円、棚卸資産の増加(△28,004百万円)、営業債権およびその他の債権の増加(△19,368百万円)、法人所得税の支払額(△14,486百万円)の他、減価償却費などの非資金項目等の損益を調整した結果によります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度は、46,907百万円の支出となり、前連結会計年度と比べ30,076百万円の支出の増加となりました。これは主に、子会社の取得(△28,976百万円)、有形固定資産の取得(△17,158百万円)によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度は、68,736百万円の支出となり、前連結会計年度と比べ38,321百万円の支出の増加となりました。これは主に、配当金の支払(△25,456百万円)と自己株式の取得による支出(△70,148百万円)によるものであります。

③資産、負債および資本

 当連結会計年度末の資産は、前年度末に比べ72,055百万円増加の494,696百万円となりました。この主な要因は、現金および現金同等物が32,582百万円減少したものの、のれんおよび無形資産が30,764百万円、棚卸資産が30,673百万円、営業債権およびその他の債権が25,127百万円、有形固定資産が9,779百万円、それぞれ増加したことなどによります。

 負債は、前年度末に比べ57,803百万円増加の200,075百万円となりました。この主な要因は、借入金が30,598百万円、未払法人所得税が18,195百万円、それぞれ増加したことなどによります。

 資本または親会社の所有者に帰属する持分は、前年度末に比べ14,252百万円増加の294,621百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は前年度末に比べ6.7ポイント減少の59.6%となりました。この主な要因は、自己株式が66,546百万円、借入金が30,598百万円、それぞれ増加したことなどによります。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載しております。

 

(4)重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

 当社の連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。

 この連結財務諸表を作成するために、会計方針の適用ならびに資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす会計上の判断、見積りおよび仮定を用いております。見積りおよび仮定は、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づく経営者の最善の判断に基づいております。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大については、見積りおよび仮定に重要な影響はないと判断しております。しかしながら実際の結果は、その性質上、見積りおよび仮定と異なることがあります。

 重要な会計方針および見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」(以下、「連結財務諸表の注記」という。)の注3、注4および「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項」の(重要な会計方針)、(重要な会計上の見積り)に記載しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、「先端技術を先端で支える」ために、エレクトロニクス、情報通信、半導体製造を支える計測技術の分野で、今後の事業の中心となる製品の研究開発を進めております。当社グループの研究開発は、新製品の開発と既存製品の改良に注力しております。特に半導体・部品テストシステム事業においては、市場競争力を保ち、顧客の様々なニーズに対応した多くの種類の製品を供給するために多額の研究開発投資を継続的に行う必要があります。また、当社グループは新しい基盤技術の基礎研究も行っております。当社グループの研究開発費は、前連結会計年度は427億円、当連結会計年度は484億円でありました。なお、研究開発部門の従業員は当社グループ人員の3割程度であります。

 当社グループの当連結会計年度における研究開発活動の成果および内容は以下を含みます。

(基盤技術)

· 光計測、光テストシステムに用いる光半導体デバイス、光源および光集積回路の開発

· 超高感度磁気計測に対応するセンサー技術、アルゴリズム技術および応用技術の開発

· 半導体・部品テストシステムに用いる、ピン・エレクトロニクス、パターン・タイミング発生および、DCテストリソース等の要素技術

· 半導体・部品テストシステムやミリ波計測に用いる、広帯域信号解析手法およびアルゴリズムの開発

· 半導体・部品テストシステムに用いる低歪デバイス、高電圧大電流デバイス、高速高周波デバイスなどの化合物半導体の開発

· 多値伝送を含む次世代のプロトコルや光信号インタフェースのテストが可能な技術の開発

· 超高速信号のタイミングや波形品質を多数ピン同時に調整可能なキャリブレーション手法の開発

· 設計工程からテスト工程まで、半導体のサプライチェーン全体にわたるデータ連携および解析手法の開発

 

(半導体・部品テストシステム事業部門)

· 超高速メモリ半導体を実動作速度で試験する半導体・部品テストシステムの開発

· DRAM半導体およびフラッシュメモリ半導体の試験の機能性を向上し、省スペース化した半導体・部品テストシステムの開発

· メモリデバイスの信頼性と機能性を多数個同時に測定可能な高速メモリ・バーイン・システムの開発

· 多ピン化、複雑化が進むSoC半導体を多数個同時測定でき、省スペース化した半導体・部品テストシステムの開発

· 高画素化が進むイメージセンサデバイス、複合化が進むディスプレイドライバデバイス等、応用が特化されたデバイス専用の半導体・部品テストシステムの開発

· ミリ波帯通信規格等の超高周波数および高密度伝送ネットワークに対応した半導体・部品テストシステムの開発

· 多ピン高速対応伝送技術および高速伝送信号コンタクト技術の開発

· 半導体設計環境と半導体・部品テストシステムとのインタフェース用応用ソフトウエアの開発および半導体不良解析用ソフトウエアの開発

· 物理的刺激を各種センサーに印加するシステムの開発

 

(メカトロニクス関連事業部門)

· 多数個同時測定、高スループット試験を可能とするメモリ半導体用テスト・ハンドラの開発

· 多様化するデバイス品種やパッケージに対応したSoC半導体用テスト・ハンドラの開発

· 高速、高発熱および高信頼性デバイスにおける高低温のリアルタイム温度コントロール技術の開発

· 小型高密度化するデバイスを高精度に搬送・位置決めする為の画像位置決め技術の開発

· 高速デバイスを計測する為のデバイス・インタフェース部(基板/回路技術)の開発

· 半導体の小型/狭ピッチ化に対応した搬送技術とデバイス・インタフェース部の開発

· 最先端フォトマスクのパターン寸法計測、および欠陥観察・解析を目的とした、電子ビーム計測装置の開発

 

(サービス他部門)

· 最終製品の総合的な性能保証を目的とした、半導体やそれを組み込んだモジュールのシステムレベルテスト技術および手法の開発

· 多ピン、高速、高発熱および高信頼性デバイスのテスト用ソケットおよびサーマルコントロールユニットの開発

· 微粒子測定法、バイオセンサを用いた、微生物、生体由来物質などの検出のための技術およびシステムの開発

· 光、磁気を応用した、生体の検査、診断のための技術およびシステムの開発

· 高速通信向け材料等の特性を計測できるテラヘルツ分光技術およびシステムの開発

 

 当社グループの研究開発施設は、日本、欧州、米国および中国にあります。

 当社グループは世界中の研究者の力を活用するために、研究所間の共同開発活動の促進に取り組んでおります。日本における半導体・部品テストシステム研究開発チームは、欧州および米国の研究開発チームと、ハードウエア開発ならびにソフトウエア開発で緊密な共同作業を行っております。