当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
業績の全般的概況
当中間連結会計期間における世界情勢は、欧米における高い金利水準の継続や、中国における不動産市場の停滞の継続、中東情勢の不安定化を背景とした景気の減速懸念が依然として継続しております。
エレクトロニクス業界におきましては、自動車市場では足元で電気自動車(EV)の成長鈍化が見られるものの、電装化、電動化の向上、自動運転技術などが高付加価値電子部品の需要をけん引しています。産業機器市場では前年からの在庫調整が長期化しており、回復の兆候が見られない状況です。民生機器市場では白物家電を除いて依然調整局面が続いております。一方、通信機器市場ではスマートフォン、コンピュータ&ストレージ市場ではパソコンや周辺機器向けを中心に持ち直しの動きが継続しております。
このような経営環境のなか、中長期的に成長が期待される自動車市場や産業機器市場などに向けて当社グループが強みを持つパワー・アナログの新製品・新技術の開発を進め、お客様の省エネ・小型化に広く貢献できるトータルソリューションでの提案を推進しました。
生産面においても継続して全社最適化を進めておりますが、足元においては在庫水準の高まりを受けて汎用品を中心に生産調整を行っております。一方で、SiCをはじめとするパワーデバイスにおいては将来の受注に対応するための生産能力増強や生産性向上を進めるなど、お客様への安定供給体制の向上に努めました。
これらの結果、当中間連結会計期間の売上高は、自動車市場においてはSiCパワーデバイス、コンピュータ&ストレージ市場においてはLSIを中心に増加したものの、産業機器市場の大幅な減収を埋め合わせるには至らず、前年同期比3.0%減の2,320億2千2百万円となりました。営業利益は売上高の減少、生産調整に伴う稼働率の抑制及びSiCパワーデバイスの生産能力増強や8インチ化対応のための固定費の増加により9億7千4百万円の営業損失(前年同期は営業利益298億3千3百万円)となりました。
経常利益につきましては、営業利益の減少に加えて、為替差益が為替差損に転じたことで1億2千9百万円の経常損失(前年同期は経常利益500億9千8百万円)となりましたが、投資有価証券売却益の計上があったことで親会社株主に帰属する中間純利益は20億6千8百万円(前年同期比94.5%減)となりました。
また当社グループで重視している経営指標について、当中間連結会計期間のEBITDA(※)は前年同期比35.8%減の393億4千4百万円となりました。
※ EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization)
税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて求めたもの。グローバル企業などの収益力を比較する際によく利用される指標。当社グループでは簡易的に営業利益に減価償却費を加えて算出しております。
業績のセグメント別概況
<LSI>
市場別では、自動車市場向けにつきましては、電動車(xEV)向けの製品は調整局面となりましたが、ADAS向けやボディ向けの高付加価値商品が伸長しました。一方で、民生機器市場向けでは、省エネ性能エアコン向けモータドライバが引き続き好調に推移しました。また、コンピュータ&ストレージ市場向けではサーバー市場を中心にSSD及びPC関連向けのモータドライバICや電源IC、その他FANモータドライバICなどの売上が回復傾向にあります。産業機器市場及び通信機器市場向けにつきましては前期に引き続き厳しい状況となりました。
これらの結果、当中間連結会計期間の売上高は1,042億3千万円(前年同期比2.9%減)、セグメント利益は55億3千1百万円(前年同期比54.8%減)となりました。
<半導体素子>
事業セグメント別では、パワーデバイスにつきましては、自動車市場向けの売上は、xEV向け市場の成長が想定を下回ったものの、SiCデバイスを中心に堅調に推移しましたが、産業機器市場向けの売上はエネルギー市場の鈍化や設備投資抑制の影響を受けて減少しました。汎用デバイスにつきましては、産業機器市場のFA向けの売上が大きく落ち込みました。また、発光ダイオードにつきましては、産業機器市場向けを中心に売上が低迷しましたが、半導体レーザーにつきましては、コンピュータ&ストレージ市場向けや産業機器市場向けで売上を伸ばしました。
これらの結果、当中間連結会計期間の売上高は972億6千3百万円(前年同期比4.7%減)、セグメント損失は104億1千7百万円(前年同期は130億8百万円のセグメント利益)となりました。
<モジュール>
事業セグメント別では、プリントヘッドにつきましては、事務機向けの売上が減少しましたが、決済端末向けの売上の増加がこれを補填しました。オプティカル・モジュールにつきましては、スマートフォン向けでセンサモジュールの売上が増加しました。
これらの結果、当中間連結会計期間の売上高は177億3千4百万円(前年同期比4.8%増)、セグメント利益は21億4千8百万円(前年同期比11.0%増)となりました。
<その他>
事業セグメント別では、抵抗器につきましては、自動車市場向けの高電力抵抗・シャント抵抗等の高信頼品が順調に推移しました。
これらの結果、当中間連結会計期間の売上高は127億9千3百万円(前年同期比1.5%減)、セグメント利益は15億2千8百万円(前年同期比22.7%増)となりました。
上記「業績のセグメント別概況」の記載は、外部顧客に対するものであります。
(2)財政状態の分析
当中間連結会計期間末の財政状態といたしましては、総資産は、前連結会計年度末に比べ470億7千2百万円増加し、1兆5,283億4千6百万円となりました。主な要因といたしましては、投資有価証券が144億8千万円、未収還付法人税等が74億6百万円、それぞれ減少した一方、有価証券が635億6千1百万円、有形固定資産が109億1千2百万円、それぞれ増加したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ663億7千9百万円増加し、5,795億5千1百万円となりました。主な要因といたしましては、短期借入金が2,000億円、未払金が342億2千万円、それぞれ減少した一方、社債が2,000億円、長期借入金が1,000億円、それぞれ増加したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ193億8百万円減少し、9,487億9千4百万円となりました。主な要因といたしましては、剰余金の配当等により株主資本が74億9千1百万円、為替換算調整勘定が63億4百万円、その他有価証券評価差額金が57億4百万円、それぞれ減少したことによるものであります。
これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の65.3%から62.0%に低下しました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、前中間連結会計期間(429億1百万円のプラス)に比べ111億9千6百万円収入が増加し、540億9千8百万円のプラスとなりました。これは主に、プラス要因として法人税等の支払額が還付額に転じたこと、棚卸資産が増加から減少に転じたこと、為替差益が為替差損に転じたこと、減価償却費の増加、マイナス要因として税金等調整前中間純利益の減少によるものであります。
当中間連結会計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、前中間連結会計期間(3,509億3百万円のマイナス)に比べ2,844億5千5百万円支出が減少し、664億4千8百万円のマイナスとなりました。これは主に、プラス要因として有価証券及び投資有価証券の取得による支出の減少、マイナス要因として、定期預金が減少から増加に転じたこと、有形固定資産の取得による支出の増加によるものであります。
当中間連結会計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、前中間連結会計期間(2,753億9千5百万円のプラス)に比べ1,859億8千万円収入が減少し、894億1千5百万円のプラスとなりました。これは主に、プラス要因として社債の発行による収入の増加、長期借入れによる収入の増加、マイナス要因として短期借入金が増加から減少に転じたことによるものであります。
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物は、上記の要因に換算差額による減少が65億1千5百万円加わり、前連結会計年度末に比べ705億4千9百万円増加し、当中間連結会計期間末には2,986億5千3百万円となりました。
(4)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当中間連結会計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
当中間連結会計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、297億6千万円であります。なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(8)主要な設備
前連結会計年度末に計画中であった設備の新設、改修等に係る当連結会計年度の投資予定額は1,650億円でありましたが、当中間連結会計期間末において見直しを行い、半導体素子部門用設備を中心に減額し、1,500億円に変更しております。なお、その所要資金につきましては、自己資金を充当する予定であります。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。