当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、創業時より掲げる「企業目的」のもと、良い商品の供給やモノづくりを通じて、文化の進歩向上に貢献してきました。企業目的を達成するために定めたものが「経営基本方針」をはじめとする方針類であり、これらに基づき、永続的かつ総合的な企業価値の創造と向上を目指した経営を実践しております。
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企業目的 |
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われわれは、つねに品質を第一とする。 いかなる困難があろうとも、良い商品を国の内外へ永続かつ大量に供給し、 文化の進歩向上に貢献することを目的とする。 |
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経営基本方針 |
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社内一体となって、品質保証活動の徹底化を図り、適正な利潤を確保する。 世界をリードする商品をつくるために、あらゆる部門の固有技術を高め、もって企業の発展を期する。 健全かつ安定な生活を確保し、豊かな人間性と知性をみがき、もって社会に貢献する。 広く有能なる人材を求め、育成し、企業の恒久的な繁栄の礎とする。 |
また、不変の企業目的を再認識するとともに、新たな社会基盤における当社の使命を明確にするために策定したのが「ステートメント」や「経営ビジョン」です。当社グループはこれからも、「エレクトロニクスの技術で社会が抱える様々な課題を解決し、未来に向けて、人々の豊かな暮らしと社会の発展を支え続ける会社」を目指してまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略
上記の基本方針のもと、当社グループは、2021年度から2025年度までの5年間の中期経営計画“MOVING FORWARD to 2025”を策定し、「“自動車”“海外”での成長実現とさらなる成長に向けた基盤作り」に取り組んでおります。
当初は、半導体市場全体の好況にも支えられ順調に推移し、2年目には最終年度の財務目標を引き上げました。しかしながら、3年目となる2023年度以降は、市場環境が想定以上に悪化し、業績の低迷を招きました。
まずは、いかなる市場環境でも利益を創出できる企業体質への立て直しを最重要課題と捉え、2024年度の第3四半期からいち早く収益性改善策に着手しました。2025年度から2027年度までの3年間を構造改革期間と位置づけ、引き続き、売上成長以外での収益性改善策に取り組んでおります。
現在、上記施策を含めて、より強固な経営基盤を構築するための新たな中期経営計画を策定中です。加えて、“資本コストや株価を意識した経営の実現”に取り組み、企業価値の向上をはかってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ
①ガバナンス
当社グループは、社会の変化を的確に捉え、お客様をはじめとする世界中のステークホルダーの皆様から選ばれる企業を目指し、「企業価値」を更に向上させるべく、創業当時より「企業目的」「経営基本方針」などの目的・方針を具現化し、サステナビリティの取り組みを進めています。
また、国連グローバル・コンパクト(UNGC)(※1)に加盟してUNGCの10原則を支持し、当社の製品・技術・サービスにより社会課題の解決(SDGs)(※2)に貢献しています。更に、社会的責任に関する国際規格「ISO26000」(※3)などの国際ガイドラインに準拠するとともに、「責任ある企業同盟(RBA)による行動規範」(※4)を遵守しています。
そして、この目的・方針及び国際規範を基盤として、ステークホルダーごとに持続可能な社会に向けた対応を明言した「ロームグループ サステナビリティ方針」を定めています。
サステナビリティ課題に関する取り組みを推進するためのマネジメント体制は、取締役会及びサステナビリティ経営委員会、EHSS統括委員会とEHSS統括委員会傘下の8つのマネジメントシステムで構築しています。EHSS統括委員会は経営の執行権限を持つ取締役とそれに準ずる権限を持つ執行役員及び、事業本部責任者、各マネジメントシステムの責任者から構成され、8つの下部マネジメントシステム(リスク管理・事業継続、サプライチェーン、労働、倫理、安全衛生、環境、情報、品質)を司り、それぞれのPDCAが適切に回っているかを確認しています。EHSS統括委員会は、適宜取締役会へ報告、相談を行い、取締役会は、サステナビリティ経営委員会と連携し、サステナビリティに関する方針・方向性・長期目標等について議論し、決定した内容をEHSS統括委員会に落とし込み、実現に向けた活動が行われているかを監督しています。本委員会の事務局であるサステナビリティ推進室は、EHSSマネジメントシステムを司り、各マネジメントシステムが適切に運用されているかどうかを、監査等を実施して確認することで、サステナビリティマネジメントの精度の維持向上をはかる役割を担います。
なお、当社は株主の皆様との一層の価値共有を進めるため、取締役に対する業績連動型譲渡制限付株式報酬制度において、「温室効果ガス排出量」「ダイバーシティ&インクルージョン(グローバル女性管理職比率)」「ロームグループ従業員エンゲージメント」を業績評価指標の一つに採用しています。
当社の企業統治体制図は、「
※1.国連グローバル・コンパクト(UNGC)
企業をはじめとする組織体が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって持続可能な発展を実現することを目指した国際的なイニシアティブ。UNGCを支持する企業は、「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」の4分野にわたる10原則を遵守することが求められます。
※2.SDGs
「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年に国連の193加盟国により採択された、2030年までに達成すべき持続可能な世界を実現するための国際目標。17のゴールと169のターゲットから構成され、地球上の誰一人として取り残されないことを誓っています。
※3.ISO26000
国際標準化機構(ISO)から発行された社会的責任に関するガイダンス規格。様々な組織体から社会的責任を果たすための手引きと位置付けられています。
※4.責任ある企業同盟(RBA)による行動規範
電子機器メーカーや納入先となる自動車、玩具、飛行機、IoTテクノロジー企業により構成される団体が策定した規範。「労働」「安全衛生」「環境」「倫理」とこれらに関連した「マネジメントシステム」から構成されています。
②戦略
当社グループは、将来にわたって環境・社会課題を解決し、ステークホルダーから選ばれ続ける会社となることを目指して「パワーとアナログにフォーカスし、お客様の“省エネ”・“小型化”に寄与することで、社会課題を解決する」という経営ビジョンを2020年から掲げています。2021年4月には「ロームグループ環境ビジョン2050」を定め、温室効果ガス排出量実質ゼロ、ゼロエミッションを宣言しました。また、社会と当社の持続的成長に必要なサステナビリティ重点課題(マテリアリティ)を再特定し、その中から中期視点で達成すべき具体的な指標を、中期経営計画「MOVING FORWARD to 2025」の非財務目標として設定しています。
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サステナビリティ 重点課題 |
リスク |
機会 |
目指す姿 |
具体的な目標 |
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1.持続可能な技術の強化、革新的な製品の開発、供給 |
・省エネ・小型化に寄与する製品の開発停滞による売上の低下 ・省エネ・小型デバイス開発競争の激化 ・新興国を含む競合の台頭によるマーケットシェアの低下 ・顧客の要求品質を満たさないことによる品質の低下 |
・xEV市場の新車販売台数拡大による電子部品需要の高まり ・再生可能エネルギーの導入に伴う太陽光パネル向けなど産業機器市場向け売上の拡大 ・省エネ化のニーズの高まり、電子機器の高機能化に伴う電子部品搭載点数の増加 |
・省電力化を実現する技術開発・供給を通じて、エネルギー問題の解決に貢献する ・デバイスの小型化を通じて、材料、廃棄物の削減に貢献することで地球環境負荷を最小限に抑制する ・交通事故を起こさない車を生み出す技術開発を推進する |
・省エネ製品の開発、市場への供給による貢献 ・小型化製品の開発供給による貢献 ・機能安全を追求した製品の開発供給による貢献 |
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2.気候変動への対応(※) |
・カーボンプライシング導入によるコスト増加 |
・顧客の省エネ・GHG削減に寄与する製品の需要の高まり ・省エネ推進によるコスト減少 |
・低炭素・循環型・自然共生社会の実現に貢献できる製品・サービスを開発・普及させる ・当社グループの事業活動が与える地球環境への負荷を極力低減する |
・温室効果ガス排出量削減 ・エネルギー消費量削減 ・再生可能エネルギーの導入促進 |
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3.資源の有効活用 |
・資源不足(希少金属、水など)に伴う材料価格の高騰や生産活動の制限 |
・廃棄物削減、リサイクル、エネルギー供給源の見直しによるコスト削減 ・環境対策先進企業としてのブランド価値の創出 |
・循環型経営につながる事業基盤を構築する |
・水資源の削減 ・廃棄物量の削減 |
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4.従業員エンゲージメントの強化 |
・従業員エンゲージメント低下による -生産性の低下 -離職率の増加 -顧客満足度の低下 |
・従業員エンゲージメント向上による組織力の向上 ・優秀な人財の獲得・維持 ・従業員の能力・自律性を高めることによる生産性の向上 |
・当社グループで働く従業員が、失敗をおそれず社会・企業の成長のために挑戦できる職場環境を実現する |
・チャレンジを生み出す風土の醸成 ・働きがいの向上 ・従業員エンゲージメントスコアの改善 |
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5.ダイバーシティの推進 |
・旧来型人事制度・企業風土の改革の遅れによる -定着率の低迷 -イノベーションの減退 -エンゲージメントと生産性の低下 -レピュテーションリスクの増大 |
・優秀な人財の獲得・維持 ・ダイバーシティ経営推進による競争力の強化 ・新たなイノベーションの創出 |
・広い視野で主体的に物事を考え、新たな価値を創造できる人財を増やす |
・女性活躍の推進 ・グローバルレベルでの能力開発と人財配置 |
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6.従業員の健康と安全の確保 |
・労働災害、業務上疾病の発生による従業員への悪影響 ・労働環境が改善しないことによる従業員エンゲージメントの低下 |
・労働環境改善による生産性の向上 ・人財の確保・モチベーションUP |
・従業員が安全に、かつ心身ともに健康に働くことができる職場環境を実現する |
・安全な職場の確保 ・健康経営の推進 |
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7.コーポレートガバナンスの強化 |
・法令違反及び企業倫理違反等による不祥事の発生 ・ESG投資の増加等による株主からのマネジメント評価の厳格化 |
・強固なガバナンス体制の確立による意思決定の透明性の向上 ・強固な財務基盤による経営の安定性の確保と変化への適切な対応 |
・企業価値向上に向けた強固な経営基盤を構築する |
・取締役会の多様性の確保 ・中長期的企業価値向上に向けた報酬制度の見直し ・経営の実効性の担保 |
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8.リスクマネジメント |
・大規模災害の増加(地震、洪水、台風、火災など) ・セキュリティ違反による情報漏えいやサイバー攻撃への対応の遅れ ・他社の保有する特許権等の知的財産権侵害などの法的訴訟 |
・リスクの変容に対応したリスク管理体制の構築による、事業継続と事業成長の実現 |
・従業員と家族の安全確保・事業継続のために、将来予想される危機に対して有効に機能するシステムを構築する |
・BCM体制の強化 |
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9.持続可能なサプライチェーンマネジメント |
・生産拠点の稼働停止や稼働率の低下による顧客への安定供給の停止 ・国際情勢の変化による、海外企業との取引停止や希少金属などの材料供給停止 ・サプライチェーン上の人権侵害や使用禁止物質の調達によるコンプライアンス違反 |
・持続可能な原材料調達によるレジリエンスの向上 |
・パートナー企業と共に、未曽有の事態にも対応でき、かつ高品質な商品を社会に提供するサプライチェーンを構築する |
・BCM体制の強化 ・グリーン調達の推進 ・CSR調達活動の推進 |
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10.製品安全・品質の強化 |
・品質管理体制の不備による品質トラブルの発生と顧客の離反 ・法令違反による信用低下 |
・徹底した安全・品質管理による顧客満足度の向上 ・顧客ニーズに即した新しい商品提供による販売機会の拡大 |
・顧客のニーズにこたえる製品品質を確保し、顧客に選ばれる商品・サービスを生み出す |
・フロントローディングによる品質保証の体制構築と定着 ・顧客視点を取り入れた適正品質の実現 |
※詳細は「
③リスク管理
上記のサステナビリティ重点課題(マテリアリティ)と中期目標は、外部評価の結果やISO26000などの国際ガイドライン・規範、社内外のステークホルダーの皆様との対話から頂いたご要望等を総合的に分析・検証した上で定めています。また、特定に当たっては、本業による社会的課題の解決(CSV)といった、機会につながる課題と、事業活動が社会に及ぼすネガティブなインパクトを把握し、ステークホルダーに与える負荷を軽減するといったリスクの観点から次のプロセスで評価・分析・検証を行っています。
Step1:重点課題候補の抽出
当社グループの企業理念や行動指針、ビジネスモデルを踏まえ、国際的なCSRガイドラインであるISO26000やGRIスタンダード、持続可能な開発目標(SDGs)や、DJSI、MSCI、FTSE、Sustainalytics等のグローバルに代表的なESG評価機関による評価結果をベースに、重点課題候補を抽出。
Step2:ステークホルダー視点での評価
当社グループの企業活動に関わりが深いステークホルダーとしてお客様、サプライヤー、機関投資家、地域社会、従業員の5つのグループを選定。各検討課題候補について、ステークホルダーの視点からの重要性をアンケート調査を通じて確認し、結果を分析。
Step3:重点課題の特定と優先順位付け
当社グループが取り組むべき重要な課題の特定と優先順位付けを、社会の持続可能性への影響だけでなく、グループの企業価値向上の両視点から実施。「ステークホルダーからの期待」「ロームが社会に及ぼす影響」の2つの側面から、当初重点課題候補として抽出された35項目(E:11項目、S:17項目、G:7項目)の重要度合いをマッピングして整理し、その結果、特に重要な課題10項目を特定。
Step4:承認
全取締役とそれに準ずる権限を持つ責任者から構成されるCSR委員会(2020年当時)※にて承認。
※2022年4月より取締役会及びサステナビリティ経営委員会とEHSS統括委員会による新ガバナンス体制に変更。
EHSS統括委員会は、経営の執行権限を持つ取締役とそれに準ずる権限を持つ執行役員及び、事業本部責任者、各マネジメントシステムの責任者から構成され、環境(Environment)、健康・衛生(Health)、安全(Safety)、サステナビリティ(Sustainability)に関連するマネジメントシステムの運用を統括し、取締役会に対して適宜、報告・相談を行うとともに、取締役会から監督・指示を受けています。
EHSS統括委員会の傘下に、リスク管理・事業継続、サプライチェーン、労働、倫理、安全衛生、環境、情報、品質の各マネジメントシステムを推進する体制を構築し、それぞれ担当する分野に関して発生する経営上の諸問題やリスクに対し、その対策・指導・解決に努め、適切に管理しています。特定しているサステナビリティ重点課題(マテリアリティ)についても、該当するマネジメントシステムにて取り組みを進めています。また、その進捗はEHSS統括委員会に定期報告し、EHSS統括委員会にて取り組み実績の評価・監督を行います。この体制を通じて、会社全体でサステナビリティ重点課題(マテリアリティ)の達成に向けた活動を推進してまいります。
更に、当社では業務執行上発生する可能性のある重要なリスクを抽出・分析・統括管理するリスク管理・BCM委員会も組織しています。突然の自然災害等不測の事態の発生に対してもその影響を回避又は極小化し、結果として事業の存続を可能とするため、リスク管理・BCM委員会において、各リスクの主管担当部署の活動状況を検証するとともに、BCPを策定し、あらゆる事前対策や準備に務めるよう、グループ全社に徹底をはかります。
④指標及び目標
当社グループが特定したサステナビリティ重点課題(マテリアリティ)には、本業による社会的課題の解決(CSV)といった、機会につながる課題と、事業活動が社会に及ぼすネガティブなインパクトを把握し、ステークホルダーに与える負荷を軽減するといったリスク対応としての課題があり、それぞれに目標を設定しています。目標及び実績は以下のとおりです。
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1.持続可能な技術の強化、革新的な製品の開発、供給 |
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取り組み背景・課題 |
「脱炭素」は全世界共通の達成しなければならない課題です。その課題達成に向けて、世界中で、電気自動車や再生エネルギーの活用など、環境負荷の大幅軽減に向けた技術革新が進んでいます。一方、自動運転などの技術が社会に広く浸透するに伴い、安全性の確保も大きな課題となってきています。当社の強みは「パワー」「アナログ」技術です。これらの技術を活用し、付加価値のある新たな技術・製品を開発・提供することで、地球環境問題、そして安全な社会の実現に貢献してまいります。 |
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テーマ |
①省エネ製品の開発、市場への供給による貢献 ②小型化製品の開発供給による貢献 ③機能安全を追求した製品の開発供給による貢献 |
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達成目標 (達成年度:2025年度) |
売上を社会貢献の総量として、売上高6,000億円※を達成する ※中期経営計画として2021年に設定した目標 |
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2024年度目標と実績 及び 2025年度の目標 |
2024年度目標:4,800億円 / 実績:4,485億円 ⇒ 2025年度目標:4,400億円 |
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2.気候変動への対応 |
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取り組み背景・課題 |
気候変動に対する危機意識は、パリ協定の制定など、グローバル規模で高まりを見せています。またこのことを、決して他人事ではなく、私たちの事業活動そのものを脅かす課題であると強く認識し、2021年4月に「ロームグループ環境ビジョン2050」を策定しております。 地球環境をより良い状態で次世代へ引き継ぐために、当社グループでは製品を通じての課題解決はもちろん、事業活動全体での省エネルギー化の推進、再生エネルギーの導入をはかり、脱炭素社会実現に貢献してまいります。 |
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テーマ |
①温室効果ガス排出量削減 ②エネルギー消費量削減 ③再生可能エネルギーの導入促進 |
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達成目標 (達成年度:2030年度) |
①2030年に温室効果ガスを2018年度比50.5%以上削減する ②排出量原単位を2030年に、2018年度比45.0%以上削減する ③2050年に導入比率100%を目指し、再生可能エネルギー化を推進する |
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2024年度目標と実績 及び 2025年度の目標 |
①2024年度目標:1.0%以上削減(前年度比) 35.6%以上削減(2018年度比) 2024年度実績:11.2%削減(前年度比) 42.2%削減(2018年度比) 2025年度目標:6.8%増加に抑える(前年度比) 38.3%以上削減(2018年度比) ②2024年度目標:6.9%増加に抑える(前年度比) 40.7%以上削減(2018年度比) 2024年度実績:7.4%削減(前年度比) 48.6%削減(2018年度比) 2025年度目標:8.9%増加に抑える(前年度比) 44.1%以上削減(2018年度比) ③2024年度目標:44.2%以上 2024年度実績:45.5% 2025年度目標:54.0%以上 |
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3.資源の有効活用 |
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取り組み背景・課題 |
地球上の限りある資源を枯渇させず、将来に向けて持続可能な社会を創造していくためには、最小の資源やエネルギーで最大の効果を生み出すことのできる「循環型社会」の実現が求められます。当社グループにおいては、地球環境負荷を軽減する仕組み、生産技術を新たに構築することで、地球環境への負荷を最小限に抑制する、循環型経営を追求してまいります。 |
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テーマ |
①水資源の有効活用 ②廃棄物量の削減 |
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達成目標 (達成年度:2030年度) |
①水の回収・再利用率を2019年度実績より5.5%向上する ②国内海外連結でゼロエミッション(再生資源化率99.0%以上)を目指す |
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2024年度目標と実績 及び 2025年度の目標 |
①2024年度目標:0.5%以上向上(前年度比) 2.9%以上向上(2019年度比) 2024年度実績:2.2%向上(前年度比) 4.6%向上(2019年度比) 2025年度目標:2024年度実績を維持、2019年度実績より4.6%向上 ②国内連結 2024年度目標:ゼロエミッションの継続 2024年度実績:達成 2025年度目標:ゼロエミッションの継続 海外連結 2024年度目標:95.0%以上 2024年度実績:97.2% 2025年度目標:96.7%以上 国内外連結 2024年度目標:98.0%以上 2024年度実績:98.8% 2025年度目標:98.6%以上 |
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4.従業員エンゲージメントの強化 |
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取り組み背景・課題 |
経営ビジョンに掲げた社会課題を解決する会社になるためには、当社グループの従業員一人ひとりが活き活きと働くことができる会社でなくてはなりません。そのためには様々なライフスタイル・ライフステージに身をおく従業員一人ひとりが、働きやすく、成果を上げることができる環境を整えることが重要です。当社グループは従業員とのエンゲージメントの強化を通じて、あらゆる職場で失敗をおそれず果敢に挑戦し続ける企業風土の醸成と、挑戦を促す職場環境の整備に取り組んでまいります。 |
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テーマ |
①チャレンジを生み出す風土の醸成 ②働きがいの向上 ③従業員エンゲージメントスコアの改善 |
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達成目標 (達成年度:2025年度) |
①世界で通用する次世代リーダー、プロフェッショナル人財を育成する制度を確立する ②-1.新常態において、従業員の志向やライフスタイルに適応した選択型サービスを提供する ②-2.配属後のミスマッチをなくすことでパフォーマンスの最大化をはかるため、各部門における求人に関する職務記述を明文化する ②-3.人事基幹システム内で、従業員の能力・期待・経験・資格等をデータ化し、適正な採用・配置に活用する仕組みを構築する ③ワールドワイドでのエンゲージメントサーベイ(※)を導入し、スコアを毎年改善、業界平均以上を目指す ※当社グループでは、WTW(ウイリス・タワーズワトソン)の従業員エンゲージメント調査を通して、エンゲージメントスコアを管理しております。 |
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2024年度目標と実績 及び 2025年度の目標 |
① 2024年度目標:グローバルな視野で考え、更なる“未知”にチャレンジできる「海外トレーニー」やMBA(経営学修士)派遣等の制度を通じた次世代リーダーの育成を実施 2024年度実績:海外トレーニー3名派遣及び赴任中コーチングを実施 MBA/MOTへ3名派遣し、高度な専門性を持つ「博士号」取得者向けの支援制度も導入 2025年度目標:経営と組合の対話を通じて、よりチャレンジを促し、成果に報いる人事評価制度の構築を目指す。 また、当社グループを牽引する幹部社員に対して、会社への貢献をより意識した競争力高い人事報酬制度を導入する ②-1.2024年度目標:「主観的健康観」(≒“自分の健康は自分でつくる”)をキーワードに、単なる健康推進で留まらず、パフォーマンス最大化につながる健康維持・増進活動を展開する 2024年度実績:「ヘルスアップチャレンジ7(※1)」を中心としたプレゼンティーズム(※2)改善のための健康推進活動を年間通じて実施。 ウォーキングキャンペーン過去最大900名超、組合共済BBQ&歩こう会6年ぶりに開催 2025年度目標:従業員組合との対話を通じて、今の環境下でより必要とされる福利厚生施策を検討・実行する ②-2.2024年度目標:本部ごとに人的課題解決を支援する体制を構築し、組織のパフォーマンスの最大化をはかる 2024年度実績:ビジネスパートナーとしての役割を担う組織を人事に新設し、組織ごとの人的課題に対し、タイムリーかつスピーディーに対応できる体制を構築 2025年度目標:目標に沿って作った体制を維持継続 ②-3.2024年度目標:人事基幹システム内で従業員のキャリアプランを回収し、該当情報のデータ化を実施 2024年度実績:マネジメントスキル、語学スキル、業務上必要なスキルをシステム上で可視化 2025年度目標:可視化されたデータに基づき、全社サクセッションプランを幹部層から構築する ③ 2024年度目標:2025年実施の当社3回目、グループ会社2回目のエンゲージメントサーベイを見据え、更なるエンゲージメント向上に向けた施策を検討、実施 2024年度実績:HRビジネスパートナーを中心に、各組織の組織風土改善の支援を実施 2025年度目標:従業員のエンゲージメント向上に寄与する活動を、あらゆる機会を使って検討し、実施する ※1.ヘルスアップチャレンジ7 睡眠・ストレス・運動・食生活・飲酒・禁煙・コミュニケーションの健康に関する7項目について一人ひとりが一つでも多くクリアするために取り組むことで、プレゼンティーズムの改善、Well-beingの実現を目指すプログラム ※2.プレゼンティーズム 心身の不調により、出社しているが生産性が低下している状態 |
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5.ダイバーシティの推進 |
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取り組み背景・課題 |
世界各地に生産・販売拠点を有する当社グループでは、様々な国籍、また多様なバックグラウンドを持つ従業員が集まっています。これらの多様な人財が個性・能力を発揮し、「ONE ROHM」としてチームワークを発揮することで、イノベーションが創出され、社会課題の解決につながる商品の提供が可能となります。また、そのためには、性別や国籍等にとらわれず、主体的に物事を考え、広い視野に立って異なる文化や思想・考えを受け入れ、新たな価値をも創造できるグローバルマインドを持った従業員の人財開発が不可欠です。この考え方から、当社グループはダイバーシティ推進を重要な経営課題と特定しました。誰もが自身の能力を最大限発揮できるよう、施策を講じてまいります。 |
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テーマ |
①女性活躍の推進 ②グローバルレベルでの能力開発と人財配置 |
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達成目標 (達成年度:2025年度) |
①2025年に当社グループ全体の ②-1.当社グループ全体での人財開発体系を確立する ②-2.キャリアプランの充実や適切な人財配置、多様な人財の管理・登用を推進するため、混在する人事システムを統合し、グローバルシステムとしてグループ内に展開する ②-3.評価・報酬・昇進昇格・配置における戦略的データを蓄積する |
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2024年度目標と実績 及び 2025年度の目標 |
① 2024年度目標:13.7% 2024年度実績: ②-1.2024年度目標:成長を志向する従業員にキャリアパスを提供し、仕事を通したライフ・キャリアプラン実現への意欲向上をはかる 2024年度実績:選択式研修を豊富なメニュー構成で準備し、894名が受講。NPSのメソッドを用い効果検証を実施 2025年度目標:これまでの選択式研修に加え、より事業部に密着し対象者とコンテンツを吟味した研修体系を構築する ②-2.2024年度目標:人事基幹システム内で従業員のキャリアプランを回収し、該当情報のデータ化を実施 2024年度実績:複数の国内グループ会社において、人事基幹システムの統合を実現 2025年度目標:国内グループ会社全社の人事基幹システムの統合と、制度の統一化を目指す ②-3.2024年度目標:当社にて“後継者サーベイ”、“次世代選抜プログラム”などを基にして、グローバルリーダーを目指す従業員のためのキャリアパスを可視化する 2024年度実績:緊急度が高いポジション後継者に対する、後継者教育プログラムを実施。10名が参加し、7名が実際に部門長へ就任 2025年度目標:全社横断的なタレントレビュー機会を設けるとともに、主要ポストの後継者状況を可視化し、計画的育成を実践する |
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6.従業員の健康と安全の確保 |
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取り組み背景・課題 |
労働現場における災害の発生は、従業員の生命を脅かし、また事業継続性にも影響を及ぼすおそれがあります。このため、当社グループは、すべての従業員、また業務に携わるステークホルダーが安全に働くことができる職場を実現することが、従業員の命や人権を守る上で重要だと捉えています。更に、従業員一人ひとりがやりがいを持ち、自身の能力を最大限に発揮するためには、従業員が心身ともに健康である必要があります。これらの考え方から、当社グループは、安心・安全で衛生的な職場の確保を重要な経営課題だと認識し、快適で安心して働ける職場環境づくりと、心身の健康の保持・増進に積極的に取り組んでまいります。 |
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テーマ |
①安全な職場の確保 ②健康経営の推進 |
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達成目標 (達成年度: |
①当社グループでの ②-1.当社グループ一体となった健康経営推進体制を確立する ②-2.「ヘルスアップチャレンジ7」による健康度向上(4項目以上達成者65.0%以上) ②-3.心身の健康状態の向上によるプレゼンティーズムの改善をはかる |
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2024年度目標と実績 及び 2025年度の目標 |
① 2024年度目標:重篤災害(※)「0件」 ※死亡に至る可能性若しくは身体に欠損や障害が残る可能性があると判断された場合及び、入院が必要と判断される場合 2024年度実績:重篤災害2件(休業災害3件) 2025年度目標:重篤災害「0件」 ②-1.2024年度目標:国内グループ会社「ヘルスアップチャレンジ7」いずれか1項目以上の改善に向けた目標設定と取り組みの実施 2024年度実績:国内グループ会社各社にて「ヘルスアップチャレンジ7」の改善に向けた目標設定及び取り組みを実施 2025年度目標:当社グループ各社にて「ヘルスアップチャレンジ7」のいずれか2項目以上の改善に向けた目標設定と取り組みの実施 ②-2.2024年度目標:「ヘルスアップチャレンジ7」睡眠・運動の改善 睡眠で休養がとれている人:48.4%以上、運動習慣者率:72.0%以上 2024年度実績:睡眠で休養がとれている人:52.7%、運動習慣者率:70.8% 2025年度目標:「ヘルスアップチャレンジ7」睡眠・運動の改善 睡眠で休養がとれている人:55.7%以上、運動習慣者率:70.0%以上 ②-3.2024年度目標:プレゼンティーズムによる労働生産性損失率を前年度より改善(36.2%以下) 2024年度実績:プレゼンティーズムによる労働生産性損失率:20.0% 2025年度目標:プレゼンティーズムによる労働生産性損失率を前年度より改善(20.0%以下) |
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7.コーポレートガバナンスの強化 |
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取り組み背景・課題 |
企業活動全体が社会のルールを守り、多様なステークホルダーの期待にこたえるには、経営の透明性を確保しつつ、競争力の強化を目指したコーポレートガバナンスの充実が必要です。そのためには、取締役会等の役割・責務を明確にし、迅速な意思決定を行うとともに、独立・客観的な立場による社外取締役を活用することで、経営の執行と監督の分離を進め、取締役会による監視・監督機能を強化することが欠かせません。当社グループは、コーポレートガバナンスの強化をはかり、持続的な成長と企業価値・株主価値の向上を目指してまいります。 |
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テーマ |
①取締役会の多様性の確保 ②中長期的企業価値向上に向けた報酬制度の見直し ③経営の実効性の担保 |
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達成目標 (達成年度: |
①-1. ①-2.独立社外取締役の人数を、過半数に引き上げる ②中期経営計画(財務・非財務目標)に連動した報酬制度を導入 ③外部機関による評価を3年に1回実施する |
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2024年度目標と実績 及び 2025年度の目標 |
①-1.2024年度目標:女性又は外国人の取締役会に占める割合を維持・向上(2023年度実績:計23.1%) 2024年度実績:計21.4% 前年度より低下(女性役員比率:14.3%、外国人役員比率: 2025年度目標:女性又は外国人の取締役会に占める割合を維持・向上 ①-2.2024年度目標:中長期的な企業価値の向上に向けた取締役会のあるべき姿を議論 2024年度実績:独立社外取締役の構成割合について取締役会で議論 2025年度目標:独立社外取締役の人数を過半数に引き上げる ② 2024年度目標:取締役報酬協議会において、報酬体系や取締役の当社株式保有に対する在り方等も含めた総合的な協議を継続 2024年度実績:報酬体系の見直し及び取締役の自社の株式保有に関する方針を制定 2025年度目標:取締役報酬協議会において、導入した業績連動報酬の効果について来期に向け検証を行う ③ 2024年度目標:実効性評価における外部機関によるサポートを継続活用するとともに、アンケート方法や質問内容の見直しだけではなく、外部機関活用の在り方等を含めて質の向上をはかる 2024年度実績:実効性評価における外部機関によるサポートを継続活用。社内及び外部環境の要請等を踏まえた設問の見直しを実施 2025年度目標:実効性評価における外部機関によるサポートの継続活用をするとともに、課題への対応等、外部機関活用の在り方を含めて質の向上をはかる |
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8.リスクマネジメント |
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取り組み背景・課題 |
経済のグローバル化や社会の変化とともに、企業を取り巻くリスクが多様化するなか、事業に関する社内外の様々な不確実性を適切に管理することは、経営戦略や事業目的を遂行していく上で欠かせません。大規模な自然災害や事故、感染症等の流行等で被害を受けたとしても、重要業務が中断されないこと、また仮に中断しても可能な限り短い期間で復旧・再稼働することは、企業としての重要な責任です。当社グループは、「リスクマネジメント」を事業基盤の重要な経営課題と位置付け、業務及び業績に支障をきたすおそれのある事象を「リスク」として捉え、その発生を最小限に止めるとともに、事象が発生した場合でも円滑に事業継続・復旧を行うための対策に取り組みます。 |
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テーマ |
BCM体制の強化 |
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達成目標 (達成年度:2025年度) |
継続的なリスクの洗い出しを通じてBCP体制の強化をはかる |
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2024年度目標と実績 及び 2025年度の目標 |
2024年度目標: ・2023年度に実施した活動の継続 ・当社グループのリスクマネジメントに関する規定を最新の状況に更新 ・国内グループ会社にて南海トラフ地震想定の訓練を実施 ・生産装置だけでなく、生産エリア・付帯エリア・その他職場内の主な電気設備・高温設備に対する火災未然防止活動強化のためのグループ共通ツールとして「3つの火災リスクアセスメント」を作成・展開
2024年度実績: ・2023年度に実施した活動を継続 ・当社グループのリスクマネジメントに関する規定を最新に更新 ・国内グループ会社において地震想定の一斉避難訓練を実施、避難時における課題を洗い出し、訓練マニュアルに反映 ・本社において南海トラフ地震臨時情報発令時のBCP訓練を実施。また同様の訓練実施可能な汎用版ツールを国内グループ会社へ展開 ・国内グループ会社にリスクアセスメント内容を展開、オンラインによる説明会を開催、生産エリア・付帯エリア・その他職場の3つのアセスメントツールを作成完了
2025年度目標: ・2024年度に実施した活動の継続 ・当社グループのBCMに関するマスターポリシーの策定 ・自衛消防隊組織の再編を行い、地震を想定した一斉避難訓練を通して、避難誘導・救助・情報収集の機能強化をはかる ・国内グループ会社において南海トラフ地震臨時情報発令時のBCP訓練を実施 ・工場棟全エリア、倉庫エリアを対象に国内グループ会社でリスクアセスメントを実施、上期(4月~9月)と下期(10月~3月)にリスクアセスメントツールを集計、火災リスクを抽出 |
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9.持続可能なサプライチェーンマネジメント |
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取り組み背景・課題 |
社会のニーズにこたえられる高品質な商品を安定的に世の中に送り出すには、強固な調達体制の確立と、重要なパートナーであるサプライヤーとの強いパートナーシップの構築が欠かせません。 また、昨今事業継続リスクの脅威となっている自然災害や感染症に備え、高品質な商品を社会に提供するためには、サプライヤーと共に品質・安全・環境・人権・BCMの点から、当社グループを取り巻くすべてのサプライヤーを総合的にマネジメントできる体制を構築し、サプライチェーン全体での経営品質を向上させることが不可欠です。 サプライヤーと共に、「相互信頼・相互繁栄」の概念のもと、高品質な商品を社会に提供するため、社会からの期待にこたえる調達体制の確立、そして健全なサプライチェーンの構築に取り組みます。 |
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テーマ |
①BCM体制の強化 ②グリーン調達の推進 ③CSR調達活動の推進 |
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達成目標 (達成年度:2025年度) |
①-1.購買先活動総合評価実施済みのサプライヤーからの購入比率90.0%以上 ①-2.Tier1サプライヤーの生産拠点調査100.0% ①-3.重要サプライヤーの有事対応における事前合意率100.0% ②環境管理体制自己評価合格率100.0% ③CSRセルフアセスメント結果B以上のサプライヤー※からの購入比率90.0%以上 ※2025年度目標値については集計対象を材料系サプライヤーのみへと見直し |
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2024年度目標と実績 及び 2025年度の目標 |
①-1. 2024年度目標:90.0% / 実績:94.5% ⇒ 2025年度目標:94.5% ①-2. 2024年度目標:80.0% / 実績:90.0% ⇒ 2025年度目標:100.0% ①-3. 2024年度目標:80.0% / 実績:86.0% ⇒ 2025年度目標:100.0% ② 2024年度目標:92.0%※ / 実績:92.7% ⇒ 2025年度目標:100.0% ③ 2024年度目標:85.0% / 実績:90.7% ⇒ 2025年度目標:90.0% ※グループレベルでの目標に対象範囲を見直した結果、目標を96.0%から92.0%に変更 |
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10.製品安全・品質の強化 |
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取り組み背景・課題 |
「われわれは、つねに品質を第一とする。」という基本理念は、当社のものづくりの基本となっています。「品質」とはお客様の満足度を表わすものであり、当社グループでは、新製品の開発、生産システムの開発、原材料の購入、そしてすべての製造プロセスからお客様対応に至るまで、従業員全員がONE ROHMとして一丸となり、「つねに品質第一」を念頭に行動することで、企業目的を達成するよう日々努めています。この基本の考えを踏まえ、当社グループは製品安全はもちろんのこと、顧客満足度の向上を目指した取り組みを行ってまいります。 |
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テーマ |
①フロントローディングによる品質保証の体制構築と定着 ②顧客視点を取り入れた適正品質の実現 |
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達成目標 (達成年度:2025年度) |
品質満足度スコア10.0%改善(2020年度比) |
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2024年度目標と実績 及び 2025年度の目標 |
2024年度目標:7.5%改善 2024年度実績: ・顧客からの総合スコア:7.3%改善 ・「満足」「やや満足」の回答選択率:13.0%改善 (理由:全項目で高評価率が上昇。特に「不具合の内容」「トップの関わり」「水平展開と再発防止」が大きく上昇した。全社一丸となって品質改善活動に取り組んだ成果が出ている。) ・「不満足」「やや不満足」の回答選択率:0.1%改善 2025年度目標:10.0%改善 |
(2)気候変動
①ガバナンス
2021年4月、地球環境課題に対する企業の社会的責任を果たすため、「ロームグループ環境ビジョン2050」を制定しました。また、2021年5月に発表した中期経営計画「MOVING FORWARD to 2025」においても、サステナビリティ重点課題(マテリアリティ)の一つとして「気候変動への対応」を挙げています。
当社では、気候変動問題への対応は、サステナビリティを管轄する管理担当の取締役が委員長を務めるEHSS統括委員会において審議、決議される体制を構築しています。その傘下には8つのマネジメントシステムを設けており、その一つである環境マネジメントシステムを担当する環境保全対策委員会は、執行役員(事業本部責任者)を委員長とし、積極的に気候変動への対応に取り組んでいます。委員会では、2030年中期環境目標を作成するとともに、その達成に向けた環境マネジメントの進捗状況や再生可能エネルギーの導入などを含む気候変動問題への対策に関する課題について審議しています。また、監査等委員である取締役は、EHSS統括委員会及び毎月開催される環境保全対策委員会に出席し、代表取締役社長を中心とした環境マネジメント全体の執行状況を継続的に監視・検証しています。
また、株主の皆様との一層の価値共有を進めるため、取締役に対する業績連動型譲渡制限付株式報酬制度において、「温室効果ガス排出量」を業績評価指標の一つに採用しています。
②戦略
当社では、「ロームグループ環境ビジョン2050」に基づき、半導体製品の効率改善や環境配慮型の事業体制構築などの気候変動対策を加速させるため、国際エネルギー機関(IEA)や国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)などが公表しているシナリオを参考にしながら、気候変動が自動車・産業・民生その他すべての分野の事業活動に与える影響を分析しました。具体的には、社会全体が脱炭素に向けて変革を遂げ温度上昇の抑制に成功する「1.5℃/2℃シナリオ」と、経済発展を優先し世界の温度上昇とその影響が悪化し続ける「4℃シナリオ」のそれぞれについて、2050年の気候変動が当社を取り巻くステークホルダー(政府・金融機関・投資家・サプライヤー・顧客)とその事業活動に関係するバリューチェーン(コーポレート・研究開発・調達・製造・販売)にどのような影響を及ぼすのかを検討しました。
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シナリオ |
参考情報 |
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移行リスク 機会 |
1.5℃/2℃シナリオ |
Sustainable Development Scenario(SDS)※1 Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)※1 |
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4℃シナリオ |
Stated Policies Scenario(STEPS)※1 |
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物理リスク |
1.5℃/2℃/4℃シナリオ |
代表的濃度経路(RCP)※2 共有社会経済経路(SSP1/5)※2 |
※1.出典:IEA「World Energy Outlook(WEO)2021」
※2.出典:IPCC「第5次評価報告書」
イ.リスクと機会別財務インパクト
上記2つのシナリオ分析に基づき特定した気候関連のリスクと機会の項目、重要度、蓋然性及び当社グループの事業活動に与える財務的な影響を以下のとおり評価しています。
※1.重要度:「高」「中」「低」の程度は、気候関連のリスクと機会の「発生可能性」と「影響の程度」を勘案して評価しています。
※2.発生時期:「短期」は2025年、「中期」は2026年~2030年、「長期」は2031年~2050年での発生を見込んでいます。
※3.影響度:「小」は10億円以内、「中」は10億円超100億円以内、「大」は100億円超の財務的なインパクトを見込んでいます。なお、試算が困難であるリスク・機会の影響度については、項目における定性評価に留め、「-」として表示しています。
ロ.気候変動が営業利益に与える影響のイメージ
1.5℃/2℃、4℃のシナリオ分析に基づき、移行リスク、物理リスク、機会について営業利益に与える影響を試算し、イメージ化しています。
また、特定されたリスク・機会とそれらの影響に鑑み、種々の対応策を講じることにより経営の強靭化をはかっていきます。具体的には、リスク低減のため、サプライヤーを含めバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量の削減に向けた取り組みを継続的に実施するとともに、BCP対策の強化などを推進していきます。また、特定された機会の最大化をはかるため、xEV向け部品などの脱炭素化に寄与する製品や、空調向け製品の研究開発・販売などを強化していきます。
※1.PFC=「Perfluorocarbon(フッ素化合物)」
※2.CDP=「Carbon Disclosure Project」国際環境非営利団体CDPによる環境に関する調査
※3.LCA=「Life Cycle Assessment」
③リスク管理
当社では、EHSS統括委員会の傘下のリスク管理・事業継続マネジメントシステムにおいて、事業継続に関わるすべての重要なリスクを統括管理しています。その中でも、著しいリスクに特定された「気候変動」について、2021年度には、グループ全社を巻き込んだプロジェクトを立ち上げ、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)(※)のフレームワークに沿って複数のシナリオにおけるリスクを抽出・分析しています。この「気候関連」のリスクを物理リスクと移行リスクに分類し、物理リスクに関してはリスク管理・事業継続マネジメントシステム、移行リスクに関しては環境マネジメントシステムが主体となり、事業部を含む全社各部門が横断的に参画するリスク管理・BCM委員会及び環境保全対策委員会がその影響度と発生可能性を勘案して重要リスクを洗い出し、分析・評価の上、対応方針を決定・実施する体制を構築しています。
更に、両委員会は、リスク管理体制の監督や各マネジメントシステムの責任者がEHSS統括委員会へ報告するとともに、リスクが顕在化した場合に備えたBCPの策定とグループ全社への周知徹底をはかっています。
※ TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)
金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応方法を検討する目的で設立された組織。企業等に対して気候変動関連リスク及び機会に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」を把握・開示することを推奨しています。
④指標と目標
当社は、2021年4月に策定した「ロームグループ環境ビジョン2050」に基づき国内外で環境経営を推進しており、2050年までに「温室効果ガス排出量実質ゼロ」及び「ゼロエミッション」を目指しています。また、中期経営計画「MOVING FORWARD to 2025」において、「国内外のすべての事業活動で使用する電力を2050年度に100%再生可能エネルギー電源由来とする」計画を公表しました。
現在、この中期経営計画に基づき、再生可能エネルギーの導入量を段階的に引き上げており、事業活動で使用する電力における再生可能エネルギー導入比率を2030年に65%、2050年に100%達成を目標としています。2024年度においてはローム・アポロ㈱広川工場の再生可能エネルギー導入を完了し、累計45.7%の導入率となりました。
また、2030年環境目標は、「ロームグループ環境ビジョン2050」に掲げる「気候変動」「資源循環」「自然共生」の3つの重点課題ごとに策定しました。「気候変動」については、「事業活動に伴う温室効果ガス排出量(スコープ1、2)を2030年度に2018年度比で50.5%以上削減する」「温室効果ガス排出量原単位(スコープ1、2)を45%以上削減する」「販売した製品の使用による排出量(スコープ3:カテゴリー11)を2030年度に2018年度比で15%以上削減する」という目標を定めています。
これらの目標が、パリ協定の「2℃目標」を達成する上で科学的な根拠がある(1.5℃水準)と認められ、2022年2月に「SBTi(Science Based Targets initiative)」より認定を取得しています。また、2022年4月には、事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指す国際企業イニシアティブ「RE100(100% Renewable Electricity)」(※)に加盟しました。更に、気候変動のみならず、水の回収率の向上や廃棄物排出量原単位に関する目標を掲げて、資源循環の推進などにも取り組んでいます。
※ RE100(100% Renewable Electricity)
The Climate GroupがCDPとのパートナーシップのもとで主催し、We Mean Business連合の一部としても運営している国際企業イニシアティブ。日本では2017年より日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)が、RE100の公式地域パートナーとして日本企業の参加と活動を支援しています。
<再生可能エネルギーの導入実績・計画>
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導入実績(一部導入含む) |
導入計画(全量、一部含む) |
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2017~2024年度 |
2025年度 |
2026~2030年度 |
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・ローム㈱ 京都本社工場(一部)、京都駅前ビル、新横浜駅前ビル
[国内生産拠点] ・ローム・アポロ㈱ 筑後工場、行橋工場、広川工場、長浜工場 ・ローム浜松㈱ ・ローム・ワコー㈱
[海外生産拠点] ・SiCrystal GmbH ・ROHM Integrated Systems (Thailand) Co., Ltd. ・ROHM Electronics Philippines, Inc. ・ROHM Mechatech Philippines, Inc. ・ROHM Electronics (Malaysia) Sdn. Bhd.(一部) |
[国内生産拠点] ・ラピスセミコンダクタ㈱ 宮崎工場、宮崎第二工場 |
再生可能エネルギー導入比率2030年65.0%以上を目指し、順次追加導入予定 |
(3)人的資本経営への取り組み
①戦略
当社グループでは、経営基本方針の中で、「広く有能なる人材を求め、育成し、企業の恒久的な繁栄の礎とする。」と掲げています。創業以来、蓄積されてきた会社の歴史や技術、資産は会社にとって重要な財産であり、それを培ってきたのは紛れもなく人財です。だからこそ、当社グループでは、従業員一人ひとりが個々人の能力を最大限に引き出せるよう成長意欲に投資し、人財育成に注力することに加え、広く有能なる人財が活き活きと活躍できる舞台を整備することを通じて、会社と従業員の循環的な成長を目指しています。これらの実現のため、人的資本経営を推進することが、事業の成長や企業価値向上につながるものとして捉えております。
当社グループでは、人的資本経営を「従業員個々の成長を企業に取り込み、企業の利益を個人の市場価値向上のために再投資することで、個人と企業の永続的成長サイクルを実現する」と定義しています。
企業は従業員に適切な成長の場や機会を提供し、積極的に従業員の成長を支援する。そこに魅力を感じる従業員が当社に集い、業務を通じて成長し、自身の市場価値を高める。その結果として、企業が成長し、中長期的に企業価値を高め、更に従業員に再投資する。このようなサイクルを永続的に回し続けることが、当社の人的資本経営だと捉えています。
また、求める人財像・組織の姿としては、企業目的・方針及び目指す姿に共感し、自律的に成長し続けるプロフェッショナルな人財が、多様な個性を尊重しあいながらONE ROHMとなり、事業の成長に貢献する状態だと考えています。人的資本経営を推進することで、事業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上につなげていきます。
現状半導体ビジネスにおけるグローバル競争が激化するなか、顧客から選ばれる製品を開発するためには、変化する世の中の需要に迅速、かつ柔軟に対応できる人財を育成していくことが必要です。そのため、当社グループでは「従業員エンゲージメントの強化」「ダイバーシティの推進」「従業員の健康と安全の確保」が重要であると考え、サステナビリティ重点課題として特定しています。
「従業員エンゲージメントの強化」に向けては、従業員の自律的なキャリア形成及び能力開発を促進する仕組みと支援する体制を設けています。
仕組みの具体例として、研修においては、階層ごとに全員が受講する研修だけではなく、自身のキャリアに必要な知識・スキルを自身に必要なタイミングで、自ら学ぶことができる「選択式研修」を設け、従業員個人の課題やキャリアに応じた学びの機会を提供しています。また、グローバルな視野で考え、更なる“未知”にチャレンジできる「海外トレーニー制度」やMBA(経営学修士)派遣などの制度を通じた次世代リーダーの育成も実施しています。
更に、高度な専門スキルをもって会社に貢献する従業員を「スペシャリスト職」として認定することで、その道の第一人者としてのキャリアパスを明確にする仕組みを設け、「ジョブポスティング制度」では、注力事業の強化・増員時の求人を、社内にも開示・公募することで、自らの意思も異動に反映できる機会を提供しています。
これらの仕組みによって、従業員一人ひとりが主体的・継続的に自らのキャリア形成に向き合い、会社もそれを支援することでキャリア開発が活性化するとともに、人財の内部流動性が高まることで、急速な環境変化への機動的対応を可能にし、注力事業に必要な人財を確保することにもつながっています。
「ダイバーシティの推進」は、多様なバックグラウンドを持つ人財が集い、チームワークを発揮することが企業のイノベーションにつながるとの考えからきています。組織の多様性を高め、異なる背景や価値観を受容することで、多様な知見に基づくアイデアを創出することができます。特に、意思決定の場面においては、多様な考えを取り入れることこそが、優位性のある決定に必要なことだと考えております。そのため、「当社グループ全体の女性管理職比率」、「女性又は外国人役員比率」等の指標を当社は重視しております。
なお、一連の取り組みについては、「従業員が心身ともに健康であり、安心して働ける安全な環境が確保されていること」が大前提です。職場でのハラスメント等の未然防止に加え、従業員への健康投資を積極的に行うことで、組織の活性化につなげていきます。
今後も、会社と従業員の循環的な成長を目指し、豊かな人間性と知性を備えた多様な人財を育成し、個々の能力が最大限に発揮される環境を整備して企業価値向上に努めてまいります。
②指標と目標
「
(1)リスクマネジメント体制
事業活動を進めていく上で、様々なリスクが財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性が考えられます。当社グループではこうしたリスクを回避、あるいはその影響を最小限に食い止めるため、「リスク管理・事業継続方針」に基づき、全社リスクマネジメントの強化に取り組んでおります。取締役会及び全社のマネジメントシステムを統括する「EHSS統括委員会」のもと、「リスク管理・BCM委員会」(年4回開催)を組織しており、当社グループにおいて発生する可能性のある重要リスクを抽出した上で、発生頻度と事業に与える影響度の側面からリスクマップにて評価し、対策を管理・推進しております。また、各マネジメントシステムと連携し、半期に1回、全社リスクマネジメントの活動状況やリスク評価・管理指標について、EHSS統括委員会へ報告しております。
(リスク管理・事業継続方針)
「企業目的」「経営基本方針」などの目的・方針を実践し、当社グループにおけるリスク管理と事業継続マネジメントを推進するため、以下のとおり定める。
リスク管理
●グループ一体となったグローバルなリスク管理を推進する。
●重要リスクを特定・評価するとともに、損失を最小限に抑えるための対策を行う。
●重要リスクの評価や対応状況を定期的に見直し、経営陣と共有する。
●事案発生時には速やかに情報収集・報告を行い、適宜、事業継続・復旧計画に移行する。
事業継続
●従業員及び関係者の安全確保・安否確認を最優先事項とし、火災や環境汚染などの二次災害の発生防止に努める。
●サプライチェーンを維持するため、迅速な生産復旧・事業復旧をはかる。
●会社として求められる社会的責務の遂行をはかる。
●事業継続マネジメントの推進及び復旧活動は、経営陣の指揮のもと全社一丸となって取り組む。
●事業継続計画を事業環境の変化に応じて定期的に見直し、事業継続マネジメントシステムの継続的な改善に努める。
(リスクマネジメント体制図)
(リスクマネジメント活動概要)
(2)事業等のリスク
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。各リスクについて、影響度と発生頻度を「大」「中」「小」の3段階で評価しております。影響度については、社内で定めた指標に基づき、財務、事業中断、評判・イメージ、安全・人命のいずれかの観点から評価しております。ただし、以下はすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された項目以外のリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
経営戦略リスク
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(1) 事業戦略・市場変動に関するリスク |
発生頻度:中 |
影響度:大 |
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内容 |
当社グループは注力市場として「自動車関連分野」、「産業民生機器関連分野」、「海外市場」を、また注力商品として「パワー」、「アナログ」を掲げるなど、より成長が見込める市場、あるいは当社グループの強みを発揮できる市場や技術に、重点をおいております。こうした重点分野においては、今後グローバルな競争がより激化する可能性があり、コストダウンの限界を超えた価格競争や熾烈な開発競争に巻き込まれる可能性があります。 また、社会ニーズの様々な変化や各国の政策・規制等により市場成長の鈍化や市場の縮小が起こる可能性があります。例えば、電気自動車の市場成長の鈍化は、それらに採用が進むパワーデバイスを製造する当社グループにおいてリスクとなり得ます。 こうした市場の動向や競争環境の変化により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローが悪影響を受けるリスクがあります。 |
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主な対策 |
このようなリスクに対し、顧客ニーズを先取りする提案型の企画・開発体制にするために、マーケティング本部を新設しました。これにより、システムレベルで顧客ニーズを先取りし、当社グループが強みを持つ技術領域を中心とした新製品・新技術の開発を進め競争力を高めております。具体的には以下の通りとなります。 1.マーケティング本部を①マーケティング機能、②Field Application Engineer (FAE)・Application Engineer (AE)機能、③デジタル(Web)マーケティング機能、④マーケティングコミュニケーション(マーコム)機能から組織しました。 2.また、①マーケティング機能をシステムとプロダクトに分離し、システムマーケティングはシステム、アプリケーションレベルで戦略策定・提案活動を行い、プロダクトマーケティングは顧客ニーズを捉え商品仕様に落とし込んだ商品企画を行う体制へ移行します。 3.開発された商品は顧客開発動向を熟知した②FAE・AEが最適なソリューションとして顧客に提案し、きめ細かな技術サポートを担当します。 4.これらの活動は③デジタルマーケティングと連動し、より広範な顧客接点を形成し、技術課題解決サイト「Engineer Social Hub」等を通じて顧客技術課題のより迅速な解決を強化します。 5.④マーコムは新商品、システム提案を様々なメディアで世界中の顧客に発信します。 このように複数のマーケティング機能が相乗的に機能することでカスタマーサクセスの向上を飛躍的に進めます。特に昨今、環境変化が激しい自動車市場による売上への影響を受けるリスクに対して、これまで注力市場としていた自動車、産業機器関連市場に民生市場を加え、特定の市場に偏るリスクの低減を進めます。各市場においては重点アプリケーションを選択し資源を集中して活動してまいります。 |
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(2) M&Aリスク |
発生頻度:中 |
影響度:大 |
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内容 |
当社グループでは企業価値の向上を目的として、将来的な事業展望を見据えた既存事業の拡大や、既存技術を元にした新規分野への進出、及び新規技術の獲得や有望な人財の確保を視野に入れたM&Aをワールドワイドに検討・実施していく必要性があると考えております。一方、買収前のデューデリジェンスで検証すべきガバナンス・マネジメントの仕組みや体制、業務体制、シナジー仮説などの検証が不十分であると、買収見積額が実際の価値を上回ってしまい、結果的に損失を被る事態にもなりかねません。 買収後においてもPost Merger Integration(PMI)が適切に行われず、想定外の事態の発生や市場動向の著変等が原因で、買収事業が所期の目標通りに推移せず、場合によっては損失を生む可能性があります。 |
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主な対策 |
M&Aに当たっては、当社の事業戦略に沿った買収候補企業の探索を事前に行います。 実行段階においては、社内に専門のプロジェクトチームを組成するとともに外部アドバイザーを起用して第三者視点を織り込んで十分に調査・検討を行った上、多段階の審議を通じて決定プロセスの適正性を確保しております。 また、買収後のPMIを有効なものとするためにも、買収の実行段階からPMIの視点を入れ計画を策定、実行するとともに、買収事業の目標達成状況をモニタリングし、事業環境の変化等には戦略の見直しを行うなど適時に対応することとしております。 |
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外部環境リスク
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(3) 為替リスク |
発生頻度:中 |
影響度:大 |
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内容 |
当社グループは開発・製造・販売の拠点を世界各地に展開しており、多通貨での収益・費用及び資産・負債が発生しております。各拠点の会社通貨の財務諸表への換算、連結財務諸表への円換算は為替レートにより変動し、業績及び財政状態に影響を与えます。 また、当社グループは日本、アジア及びヨーロッパにて生産活動を行うとともに、世界市場において販売活動を行っております。このため、生産拠点と販売拠点の取引通貨が異なり、常に為替レート変動の影響を受けております。概していえば、円高の場合は業績にマイナスに、円安の場合にはプラスに作用します。 |
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主な対策 |
為替変動リスクを軽減するため、外貨建ての営業債権に対して、一定程度の為替予約を行っております。 |
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(4) 税務リスク |
発生頻度:中 |
影響度:中 |
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内容 |
当社グループは開発・製造・販売の拠点を世界各地に展開しており、各国税務当局から追徴課税を課されるリスク、移転価格税制による二重課税リスク、それらの発生に伴い、企業の信用が毀損するリスクがあります。 |
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主な対策 |
ロームグループ税務方針を制定し、本社並びにグループ各社・関連部門が連携し、各国・地域の税関係法令を遵守し適正な納税に取り組んでいます。税務リスクを認識した場合は必要に応じて外部専門家への助言を求めるとともに、各国・地域の税務当局との信頼構築と良好な関係の維持に努めています。移転価格税制に対しては各社の機能・リスク及び資産に応じた利益配分によって独立企業間価格を算定し、適正な国際間取引を行うことに努めております。 |
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(5) 金融市場変動リスク |
発生頻度:中 |
影響度:中 |
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内容 |
当社グループでは、金融市場の様々な変動リスクにより、金融資産の減少や資金調達コストの増加が生じる可能性があります。 |
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主な対策 |
主要な金融資産である預金は高格付金融機関への預け入れを原則とし、債券等も含めて安全性の高い金融商品を保有しております。資金調達に際しては目的・期間などを考慮し、調達コストの低減に努め、銀行借入や社債発行などを行ってまいりました。今後も資本効率、キャッシュ創出力を向上させ、手元資金を活用するとともに、金融市場・金利動向に応じた調達手法を活用してまいります。 |
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(6) 自然災害に関するリスク |
発生頻度:小 |
影響度:大 |
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内容 |
当社グループは日本のみならず世界各地で開発・製造・販売活動を行っており、地震や洪水等の自然災害の発生による稼働率の低下など、当該地域の生産や営業拠点が損害を受ける可能性があります。また、これらのリスクが複数の地域で同時に発生する可能性があり、当社グループのみならず、顧客やサプライヤーなども含めたサプライチェーン全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。 |
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主な対策 |
当社グループでは、リスク分散のために生産ラインを世界の複数拠点に配置するなどの対策をとっております。また、リスク管理・事業継続方針のもと、各拠点で活動しており、中でも生産機能を持つ国内外の主要拠点では、外部専門機関と協力し、自然災害、感染症、安全、操業・経済・政治リスクの観点からリスクアセスメントを行い、工場ごとにトップリスクを特定・分析・評価しております。その上で、対策委員会等を組織し、事業継続計画の立案や、それに基づく訓練など、有事に備えた様々な取り組みを行っております。 顧客に対する供給維持対策としましては、稼働縮小や一時停止に対応するため、一部の機種を当社グループ他拠点及びOSAT(※)への移管を進め、更にフレキシブル生産ラインや省人化ラインの開発など、起こり得るリスクの低減に向けて長期視点で対策に取り組んでおります。 ※ OSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test) 半導体製造における後工程である組み立てとテストを請け負う製造業者のこと。 |
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(7) 気候変動に関するリスク |
発生頻度:中 |
影響度:大 |
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内容 |
世界的な気候変動により、過去に例のない異常気象による被害、炭素税の導入やステークホルダーからの要請への対応に伴う想定を超える費用の発生、また、リスクの顕在化に伴うブランド価値の低下等、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 |
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主な対策 |
環境課題について、2021年4月に「ロームグループ環境ビジョン2050」を策定し、「気候変動対策」、「資源循環型社会の実現」、「自然サイクルと事業活動の調和」を目標として設定し、取り組みを進めております。当社グループでは、気候変動対策に関して、継続的な省エネ施策に取り組むことによる温室効果ガス排出量の抑制に努め、更に太陽光発電を含めた再生可能エネルギーの導入に取り組むなど、グループ全体において気候変動対策を推進しております。 2021年9月に脱炭素社会実現に向けた「2030年中期環境目標」を改定しました。同時に、気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、TCFD)の提言に賛同し、TCFD提言に沿った情報開示を行っております。 また、2022年4月には事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指す国際企業イニシアティブ「RE100」に加盟しました。 ※気候変動に関するリスクや対応の詳細は、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動」をご参照ください。 |
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(8) 地政学リスク |
発生頻度:大 |
影響度:大 |
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内容 |
ロシア・ウクライナ問題の長期化、台湾海峡や南シナ海、中東における軍事的緊張の高まり、米国・中国の二国間関係、米国関税政策など、各国・地域の国際関係及び通商環境は不確実性を増しております。グローバルで事業を行う当社グループにとって地政学リスクは事業撤退や操業停止など直接的な生産・営業活動への影響だけでなく、材料調達や顧客との取引などサプライチェーン全体に影響をもたらす可能性があります。 また、あらゆる産業の製品に使用される半導体をめぐっては各国・地域が経済安全保障上の重要物資として保護主義的な政策を進めるとともに通商規制を拡大しており、それらに適切に対応できなければ、事業競争力の喪失のみならず行政罰や法的制裁により当社グループの事業活動や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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主な対策 |
当社グループでは、有事における従業員の安全確保や事業継続を主な目的として、2024年8月にリスク管理・BCM委員会の傘下に「経済安全保障専門部会」を立ち上げました。また、専門部署である経済安全保障室を中心に全社の各種マネジメントシステム、関連部署や各地域の事業拠点と連携して、経営に影響を及ぼす可能性のある地政学リスクについて事業への影響を最小限に抑えるため、定常的な情報収集やモニタリング、リスク対策を実施しております。 また、半導体関連製品の輸出規制に関しては、全社の関連部署からなる輸出管理専門部会が弁護士と連携しながら適正な安全保障輸出管理を実施しております。 |
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経営基盤リスク
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(9) コンプライアンスリスク |
発生頻度:小 |
影響度:大 |
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内容 |
当社グループでは、日本のみならず世界各地で開発・製造・販売活動を行っており、世界各地において適用される競争法、腐敗行為防止法制等の法規制を遵守する必要があります。 これらの法規制に違反した場合、課徴金の支払い、事業活動の中断、ブランドイメージの毀損等により、当社グループの事業や業績に重大な悪影響を及ぼすおそれがあります。 また、当社グループは研究開発活動や事業運営において、公的研究費や公的資金を活用しており、万が一、目的外使用等が判明した場合には、返還義務や行政処分、社会的信用の毀損が発生し、企業価値に影響を及ぼすおそれがあります。 |
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主な対策 |
当社グループでは、EHSS統括委員会の傘下にあるコンプライアンス委員会が主体となって倫理マネジメントシステムを構築・運用することにより、当社グループにおけるコンプライアンス違反のリスクを管理するとともに、その防止をはかるために、主要なものとして以下の施策を実施しております。 ①社内規定の整備・運用 当社グループでは、法令を遵守するために、各種社内規定を整備するとともに、法令の領域ごとに主管する部門を定め定期的に法令の制定及び改正の情報を収集・調査を行うことで、これら社内規定の適時適切な見直し等を行っております。 なお、当社グループにおいては、日々の事業活動のなかで遵守すべき倫理上の基本的なルールを明らかにした「ロームグループ行動指針」を当社グループ全体に展開し、法令のみならず、倫理に違反した行為の未然防止にも努めております。 ②教育・啓発活動の実施 当社グループでは、当社グループ全体のコンプライアンス意識の啓発のための施策として、全従業員向けコンプライアンス教育、役員向けリーガルセミナー及び階層別コンプライアンス教育を年に1回実施するほか、必要に応じ各種個別法令別の教育を実施しております。 ③内部通報制度の整備・運用 当社グループでは、コンプライアンス体制の実効性を確保するため、内部通報制度として、国内グループ会社においては外部の法律事務所を窓口としたコンプライアンス・ホットラインを設置し、全従業員からコンプライアンス違反に関する通報・相談を受け付けております。また、海外グループ会社においても、各社のコンプライアンス・ホットライン窓口と合わせて、各社の役員の不正行為又はそのおそれがある場合に、その内容を当社に通報できるグローバルコンプライアンス・ホットラインを設置しております。加えて、当社グループのサプライヤー様との公正な取引を促進するため、「お取引先様(サプライヤー様)向けコンプライアンス・ホットライン」を設置しております。 また、公的研究費・資金の受給については、コンプライアンス委員会の下に「公正研究・開発専門部会」、「公的資金管理専門部会」を設置し適正な管理・監査体制を構築するとともに、社内外からの相談・通報窓口の設置や社内での教育・啓発などを実施しております。 |
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(10) 知的財産に関するリスク |
発生頻度:中 |
影響度:中 |
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内容 |
当社グループでは、他社製品と差別化できる製品を製造するために様々な新技術やノウハウを開発し、世界中で製品の製造・販売を行っております。これらの製品の製造・販売について、万が一他社の知的財産権の侵害による紛争が生じた場合、知的財産権の侵害による製品の差止や損害賠償の支払い、若しくは和解金の支払いなど、当社事業に影響を及ぼす可能性があります。 |
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主な対策 |
当社グループにて使用している新技術やノウハウが他社の知的財産権に抵触することを防止するために、当社グループでは、従業員に対する知的財産の教育を少なくとも年1回実施し、従業員が他社知的財産の尊重に関する正しい認識を持つように努めております。また、製品・技術の開発時において参照される社内規定に、知的財産に関する項目を組み込むことにより、新しい商品・技術の開発時において必ず知的財産に関する確認が行われる仕組みとしております。 |
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(11) 環境規制リスク |
発生頻度:中 |
影響度:中 |
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内容 |
当社グループが事業を行うあらゆる領域において、排気、排水、有害物質の使用及び取扱い、製品含有化学物質の管理、廃棄物処理、土壌・地下水汚染等の調査並びに環境、健康、安全等を確保するためのあらゆる法律・規制を遵守しております。しかしながら、事前に予期し得なかった事態の発生などにより何らかの法的責任を負う場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
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主な対策 |
当社グループでは、環境マネジメントシステムの国際規格ISO14001に準拠した環境マネジメントシステムをグループ全体で構築し、運用することで環境負荷削減をはじめとする環境保全に向けた継続的な環境改善を進めております。取り組みに当たっては、当社に設置した「環境保全対策委員会」が中心となり、法令や規制等に基づく生産や各拠点における活動・サービスに起因する環境影響を管理し、拠点ごとの内部監査で明らかになった改善点などをグループ各社に水平展開を行っております。 |
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(12) 人財確保に関するリスク |
発生頻度:中 |
影響度:大 |
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内容 |
当社グループは、設計技術、製造技術、品質保証技術、ソリューション提案能力を積み重ね、事業を拡大してきました。近年、その事業活動を支える人財の確保はますます重要性を増しています。国内では、雇用環境の変化や少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少が進行しており、将来的には専門性の高い人財の獲得が一層困難になることが懸念されます。 また、採用活動を取り巻く環境の変化に加え、働く人々の価値観やキャリア志向の多様化により、従来型の雇用慣行や育成モデルでは対応しきれない場面も増えています。社内においても、世代間の意識やスキルギャップへの対応、知見の継承、次世代人財の計画的な育成といった観点で課題が顕在化しつつあります。 今後は、持続的に人財を確保・活用していくため、組織の柔軟性や対応力を高めるとともに、人的資本への投資を中長期的な視点で継続的に行っていく必要があります。これらの課題に対して、戦略的な人財マネジメントが不可欠となっております。 |
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主な対策 |
当社グループでは、変化する雇用環境や多様化するキャリア志向に対応し、従業員一人ひとりが自身の個性や強みを活かして長期的に活躍できるよう、キャリア支援体制の整備に注力しています。高度な専門スキルを有する従業員をその道の第一人者として認定する「スペシャリスト職制度」や、自発的な異動を促す「ジョブポスティング制度」を通じて、多様なキャリアパスの実現を支援しております。 また、将来を担う若年層の定着に向けた支援体制の強化や、豊富な知見と経験を持つシニア層の活躍推進も、人的リソースを持続的に活用していく上で重要な施策です。さらに、技術革新や事業環境の変化に柔軟に対応するため、従業員一人ひとりのリスキリングや学び直しを支援する制度の整備も進めております。 加えて、世代を超えた知見の継承やスキルギャップの解消にも取り組み、組織としての対応力と柔軟性を高めていきます。また、従業員が心身ともに健康に働き続けられるよう、健康経営の観点から各種施策を推進しております。 これらの取り組みを通じて、従業員が自己成長と組織貢献を実感し、その成果が適切に認められることで、エンゲージメントの向上と人財の定着につなげてまいります。 |
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(13) 情報セキュリティに関するリスク |
発生頻度:中 |
影響度:大 |
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内容 |
当社グループでは、事業活動において、当社グループが保有するもののみならず、ステークホルダーの機密情報及び個人情報を保有しこれらを利用しております。また、近年当社グループでは、業務効率や生産性の向上、イノベーションの促進等を実現するため、生成AIをはじめとするDXツールを積極的に導入・活用しています。 一方で、企業を標的にしたサイバー攻撃や、退職者による機密情報の持ち出し・不正利用、国外への技術流出といった情報セキュリティリスクは日々高まっています。また、近年ではプライバシー保護及び経済安全保障の観点から、各国における個人情報保護法令やデータ保護規制の制改定や運用強化、セキュリティ・クリアランス(適格性評価)制度の整備も進んでおり、企業にはますます高度な情報管理能力が求められております。 情報は企業経営の源泉であり、ステークホルダーからの信頼獲得及び当社グループの持続的成長を実現するためには、従業員一人ひとりの情報リテラシーの向上のみならず、技術的・物理的なセキュリティ対策を多重的かつ網羅的に実行することが急務となっております。 これらの対策が不十分であった場合、情報の漏えい・不正利用、システムダウンによる事業停止、法令違反といった重大事故が発生する可能性があります。また、これらの事故により、当社グループのブランドイメージの毀損、社会からの信用失墜、民事上・刑事上の責任及び行政罰による多額の費用負担及び事業活動の差止めなど、当社グループの事業、業績、財政状況に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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主な対策 |
当社グループでは、事業活動の中で取扱う当社グループ及びステークホルダーの機密情報や個人情報について、全社的に情報マネジメントシステム(情報管理のPDCAサイクル)を構築し、統括組織である情報管理委員会によって定期的に当該システムの運用状況をモニタリングし、情報セキュリティリスクの把握及び改善活動を行っております。また、当社グループでは、情報管理委員会の定める目標・方針に従い、組織的・人的・技術的・物理的の4つの側面から、網羅的に情報セキュリティを確保しております。 まず、「組織的施策」として、情報管理にかかる全社方針及び社内規定(情報管理方針、サイバーセキュリティ管理規定、機密情報管理規定、プライバシーポリシー、個人情報保護規定等)を制定しております。これらのルールに従い、グループ各社において情報管理責任者や具体的な情報管理方法を決定・運用し、定期的に内部監査で活動評価を行うことにより、グループ全体で情報管理水準の標準化及び向上をはかっております。また、本社及び国内外の事業上重要な拠点を中心に、情報管理の国際標準であるISO27001やドイツ自動車工業会による情報セキュリティ評価「TISAX (Trusted Information Security Assessment Exchange)」の認証取得・認証範囲の拡大に継続的に取り組んでおります。 次に、「人的施策」として、年次教育や階層・役割別研修、フィッシングメール訓練等の活動を定期的に実施することで、役員・従業員の情報リテラシーの維持・向上に努めております。 また、「技術的施策」として、外部専門機関による24時間365日体制で情報端末の監視及びアクセスログの収集や、脆弱性診断・是正対応、マルウェア対策、仮想事例を用いたインシデント対応訓練等を実施し、サイバー攻撃や内部不正による情報漏えいの予兆を早期に発見・対処する体制を整備しております。 そして、「物理的施策」として、IDカードや監視カメラ、セキュリティゲート等による当社構内、及び入場制限エリアへの入退出管理、施設内のゾーニング、機密情報・個人情報を含む各種媒体に関するアクセスコントロールを多重的に実施することにより、社外の第三者はもちろんのこと、社内の業務上知る必要のない者(Need-not-to-know)による機密情報、及び個人情報の持ち出し・混入、不正利用を防止しております。 |
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(14) 人権リスク |
発生頻度:小 |
影響度:大 |
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内容 |
世界的な人権配慮の高まりにより、当社グループだけでなく調達先から顧客までのサプライチェーン全体で人権配慮が求められております。特に開発途上国における強制労働や児童労働、低賃金、職場や地域における安全衛生配慮などが不十分な場合、社会的な信頼の損失につながる可能性があります。 また各国や国際団体等で人権関連のガイドラインや法規制の制定や執行が進む中、サプライチェーンを含めた当社グループの人権に関するリスクを特定し対応しなければグローバルで事業を行えなくなる可能性があります。 |
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主な対策 |
当社グループはグローバルに事業を展開する企業として、人権が尊重された持続可能な社会の構築が重要との認識のもと、国連グローバル・コンパクトなどの国際原則・規範を支持・準拠し、尊重しております。また、ロームグループ人権方針を定め人権尊重への取り組みやデューデリジェンスに取り組むことを宣言しております。具体的には従業員やサプライヤーを対象としたホットラインの整備、英国現代奴隷法に関する声明の発行等が挙げられます。ホットラインの周知や人権に関する基礎的な理解の促進に向けては、全従業員を対象としたe-learningによる啓発活動を実施しております。 また当社グループだけでなくサプライチェーン全体でその取り組みを進めており、RBA行動規範などの国際規範に基づき当社グループやサプライヤーの労働状況や取り組みに問題がないことを監査や調査票を通じて確認し、必要に応じて改善を要請しております。また、販売代理店を通じた販売等においても、その供給先が各種法令のみならず、人権に関する準則等に違反しないことを誓約いただくなど供給先においても人権侵害が生じないように取り組んでおります。 <当社グループが支持する国際原則・規範等> 国連グローバル・コンパクトの10原則 世界人権宣言 国際労働機関(ILO)「労働における基本原則及び権利」 国連ビジネスと人権に関する指導原則 OECD多国籍企業行動指針 ISO26000 RBA行動規範 責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン |
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事業遂行リスク
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(15) 研究開発活動リスク |
発生頻度:小 |
影響度:大 |
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内容 |
エレクトロニクス分野における研究開発は激しいグローバル競争の中にあり、新製品等の開発の遅れは競争力の低下に直結し、新市場を失うリスクにつながります。 研究開発の遅れを招く要因として、人財の散逸や好適人財の獲得不足による停滞、人財の画一性による視野狭窄、技術の陳腐化による劣敗、規制逸脱やコンプライアンス違反がもたらす活動停止といった具体的なリスクが想定されます。いずれのリスクも、将来の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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主な対策 |
当社では、5年程度先を見据えたリソースの重点配分に留まらず、長期的ビジョンに基づく新規分野へのリソース配分を担保し、シームレスな持続的成長につながる研究開発活動の実現を目指しております。多様な人財を獲得しつつエンゲージメントを高め、社内外の有機的な連携や不断のテーマ見直しを行うことで、時代とニーズを先取りするアクティブな研究開発を展開します。加えて、適法かつ公正な研究開発体制を維持することで、インシデントリスクを未然に回避する研究開発を継続します。 また、10年後あるいはそれ以上先の将来に関しては、国内外の多くの大学との共同研究など、外部との連携を強化しております。更に、オープンイノベーションの取り組みとしてCVC(Corporate Venture Capital)を実施しております。 |
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(16) 製品の欠陥リスク |
発生頻度:中 |
影響度:中 |
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内容 |
当社グループでは、企業目的で「われわれは、つねに品質を第一とする」を基本理念に掲げており、厳しい品質管理のもとに生産を行っておりますが、すべての製品について欠陥がなく、将来において販売先からの製品の欠陥に起因する損害賠償請求等が発生しないという保証はありません。万一、損害賠償請求があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
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主な対策 |
当社グループでは、開発本部及び各事業本部の品質部門が設計品質からつくり込み品質を保証しております。 なお、品質本部は、開発本部及び各事業本部の枠を超えた全社の品質保証システムの構築や情報展開及び品質管理業務の監視を行っております。 また、社外で頻発している品質コンプライアンス違反に対するリスク低減を目的に、品質保証部が主導となり、本社及び各生産拠点にて専門部会を立ち上げ、遵守活動を進めております。 開発本部及び各事業本部における新製品開発では、顧客要求を満足する安全で、信頼のおける製品をタイムリーに提供するため、開発検討、設計審査、初期流動、量産の各段階で評価を行います。改善情報は源流にフィードバックするとともに、次期設計にも展開します。 ものづくり革新部における自社開発の組立加工装置では「設備で品質をつくり込む。不良を作れない設備」を目標に、装置自身の自己診断など、不良を作らないようにすることを目指しております。 万一、製品に起因する不具合が発生した場合、当社製品は現品から生産情報(製造時期若しくはロッ卜情報)がトレースできます。ロッ卜情報からは、全工程の4M情報(Man、Machine、Material、Method)が確認でき、それぞれの生産条件、出来映えについて迅速に調査でき、波及性を限定できる体制となっております。 加えて、当社グループでは以下の国際的な品質マネジメントシステム等に基づき、欠陥が発生しない管理体制の構築を進めております。 ・ISO9001:品質マネジメントシステム ・IATF16949:自動車産業品質マネジメントシステム規格 ・ISO26262:車載電子制御の機能安全に関する国際規格 |
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(17) 生産・調達活動に関するリスク |
発生頻度:中 |
影響度:中 |
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内容 |
当社グループでは、垂直統合型のビジネスモデルを採用しておりますが、電子部品の製造にはレアメタルを含む様々な素材を必要とします。そのため、特定の供給元からの調達に制約が発生した場合、生産活動やコスト構造に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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主な対策 |
事業部門においては、材料などの複数購買を進めるとともに、サプライヤーのBCP状況等に基づき適切な在庫管理を推進しております。 調達部門においては、有事の際にいち早くサプライヤーの被災・安否状況や供給状況の確認がとれるよう、調達部材の製造会社・製造場所の情報を調査し、データベース化するとともに、その調査範囲を二次サプライヤーまで拡大し、サプライチェーンのBCP状況の全体把握に取り組んでおります。 また、重要材料を扱うサプライヤーとは有事発生の際の対応方法を、当社とサプライヤーとの間で事前に合意する取り組みを進めております。 |
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文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績の状況
業績の全般的概況
当連結会計年度における世界情勢は、中国における不動産市場の停滞や中東情勢の不安定化を背景としたリスクが継続したことに加え、通商政策など米国の政策動向による影響等が景気を下押しするリスクとなり、全体として弱含みの展開となりました。
エレクトロニクス業界におきましては、自動車市場では電装化、電動化の向上、自動運転技術の進展に伴って自動車1台当たりの電子部品搭載点数が増加する方向に変化はないものの、足元の生産台数の伸び悩みを受け調整局面を迎えました。産業機器市場では前年からの在庫調整が長期化しており、回復の兆候は見られませんでした。民生機器市場では白物家電を中心に堅調に推移しました。通信機器市場ではスマートフォン向けを中心に、またコンピュータ&ストレージ市場ではパソコンや周辺機器向けを中心に持ち直しの動きが見られました。
このような経営環境の中、当社グループでは、昨年11月に公表した構造改革を順次進めており、当連結会計年度においては、材料事業(Siウエハ事業)の撤退に加え、希望退職による人員削減を実施いたしました。また、SiCをはじめとするパワーデバイスにおいては、昨今のEV市場の停滞を受けて必要最小限に設備投資を抑制いたしました。
生産面においては年間を通して生産調整を行うことで製品・仕掛品在庫の圧縮を強く推し進め、原材料在庫についても適正化に取り組みました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は、産業機器市場の大幅な減収のほか、自動車市場においても売上が減少したことにより、前期比4.1%減の4,484億6千6百万円となりました。営業利益は売上高の減少、生産調整に伴う稼働率の抑制及びSiCパワーデバイスの生産能力増強や8インチ化対応のための固定費の増加により400億6千1百万円の営業損失(前連結会計年度は433億2千7百万円の営業利益)となりました。
経常利益は、受取利息や受取配当金の計上がありましたが、296億9千8百万円の経常損失(前連結会計年度は692億円の経常利益)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、多額の固定資産の減損損失や構造改革に伴う特別退職金の計上等により500億6千5百万円の親会社株主に帰属する当期純損失(前連結会計年度は539億6千5百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
業績のセグメント別概況
<LSI>
市場別では、民生機器市場向けでは、省エネ性能エアコン向けモータドライバが引き続き好調に推移しました。また、コンピュータ&ストレージ市場向けではサーバー市場を中心にSSD及びPC関連向けのモータドライバICや電源IC、その他FANモータドライバICなどの売上が回復傾向となりました。自動車市場向けにつきましても、ADAS向けなどの高付加価値商品が伸長しましたが、電動車(xEV)向けの製品は調整局面となり、全体としては減収となりました。産業機器市場及び通信機器市場向けにつきましては前連結会計年度に引き続き厳しい状況となりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は2,038億3千3百万円(前期比1.6%減)、セグメント損失は7億6千7百万円(前連結会計年度は212億6千9百万円のセグメント利益)となりました。
<半導体素子>
事業セグメント別では、パワーデバイスにつきましては、自動車市場向けの売上はSiCデバイスでの増加は見られるものの足元ではEVを中心に需要は低迷しており、成長は想定を下回りました。産業機器市場向けの売上はエネルギー市場の鈍化や設備投資抑制の影響を受けて減少しました。汎用デバイスにつきましては、自動車市場向けの売上が全般的に低調だったことに加え、産業機器市場のFA向けの売上が大きく落ち込みました。また、発光ダイオードにつきましては、産業機器市場向けを中心に売上が低迷しましたが、半導体レーザーにつきましては、コンピュータ&ストレージ市場向けや産業機器市場向けで売上を伸ばしました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は1,870億5千2百万円(前期比7.4%減)、セグメント損失は458億9千9百万円(前連結会計年度は129億6千4百万円のセグメント利益)となりました。
<モジュール>
事業セグメント別では、プリントヘッドにつきましては、事務機向けの売上が減少しましたが、決済端末向けの売上の増加がこれを補填しました。オプティカル・モジュールにつきましては、スマートフォン向けでセンサモジュールの売上が増加したものの、それ以外の売上が全般的に減少しました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は325億5千7百万円(前期比1.1%減)、セグメント利益は26億9千1百万円(前期比34.2%増)となりました。
<その他>
事業セグメント別では、抵抗器につきましては、産業機器市場向け・民生機器市場向けの高電力抵抗・シャント抵抗等の高信頼品が順調に推移しましたが、汎用品の抵抗器については自動車市場向けを中心に減少しました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は250億2千3百万円(前期比2.6%減)、セグメント利益は25億2千4百万円(前期比17.1%増)となりました。
上記「業績のセグメント別概況」の記載は、外部顧客に対するものであります。
(2)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
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LSI(百万円) |
199,313 |
△6.0 |
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半導体素子(百万円) |
180,756 |
△7.7 |
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モジュール(百万円) |
31,499 |
△3.7 |
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報告セグメント計(百万円) |
411,569 |
△6.6 |
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その他(百万円) |
23,908 |
△1.6 |
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合計(百万円) |
435,478 |
△6.3 |
(注)上記の金額は期中平均販売価格によっております。
②受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
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LSI |
199,584 |
12.0 |
71,474 |
△5.6 |
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半導体素子 |
172,763 |
△6.4 |
76,952 |
△15.7 |
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モジュール |
31,288 |
6.7 |
12,588 |
△9.2 |
|
報告セグメント計 |
403,636 |
2.9 |
161,015 |
△11.0 |
|
その他 |
25,577 |
6.5 |
7,211 |
8.3 |
|
合計 |
429,213 |
3.1 |
168,227 |
△10.3 |
③販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
LSI(百万円) |
203,833 |
△1.6 |
|
半導体素子(百万円) |
187,052 |
△7.4 |
|
モジュール(百万円) |
32,557 |
△1.1 |
|
報告セグメント計(百万円) |
423,443 |
△4.2 |
|
その他(百万円) |
25,023 |
△2.6 |
|
合計(百万円) |
448,466 |
△4.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
(3)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表作成に当たって、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づいて、見積り及び判断を行っております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載していますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
① 棚卸資産
当社グループでは、棚卸資産が適正な価値で評価されるように評価損を計上しております。簿価と市場価格の状況を検討し、市場価格が簿価を下回る場合は評価損を計上しております。また、一定の保有期間を超える棚卸資産を滞留若しくは陳腐化しているとみなし評価損を計上しております。経営者は、当該計上額が適切なものであると判断しておりますが、実際の需要動向又は市況が想定した見積りより悪化した場合、追加で評価損を計上することにより損益に影響を及ぼす可能性があります。
② 有形固定資産及び無形固定資産
当社グループでは、有形固定資産及び無形固定資産の簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、減損の有無を判定しております。この判定は、事業用資産については継続して収支の管理を行っている管理会計上の事業区分に基づきグルーピングした各事業単位の将来キャッシュ・フローの見積りに基づいて、遊休資産については個別に回収可能価額に基づいて行っております。経営者は、将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積りは合理的であると考えておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フローや回収可能価額が減少し、減損損失が発生することにより損益に影響を及ぼす可能性があります。
③ 退職給付費用及び債務
当社グループでは、従業員の退職給付費用及び債務は、割引率、退職率、死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等を含む前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件は年に一度見直しております。割引率は一定の格付を有し、安全性の高い長期社債の期末における市場利回りを基礎として決定しております。長期期待運用収益率は年金資産の種類ごとに期待される収益率の加重平均に基づいて決定しております。経営者は、これらの前提条件は適切であると考えておりますが、実際の結果との差異や前提条件の変更が将来の退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があります。
④ 繰延税金資産
当社グループでは、回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、通算グループ又は納税主体ごとに十分な課税所得を計上するか否かによって判断されるため、その評価には、実績情報と共に将来に関する情報が考慮されております。経営者は、当該計上額が適切なものであると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化に伴う通算グループ又は各納税主体の経営悪化により、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加で設定することにより損益に影響を及ぼす可能性があります。
(4)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の売上高は、産業機器市場の大幅な減収のほか、自動車市場においても売上が減少したことにより、前期比4.1%減の4,484億6千6百万円となりました。営業利益は売上高の減少、生産調整に伴う稼働率の抑制及びSiCパワーデバイスの生産能力増強や8インチ化対応のための固定費の増加により400億6千1百万円の営業損失(前連結会計年度は433億2千7百万円の営業利益)となりました。
経常利益は、受取利息や受取配当金の計上がありましたが、296億9千8百万円の経常損失(前連結会計年度は692億円の経常利益)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、多額の固定資産の減損損失や構造改革に伴う特別退職金の計上等により500億6千5百万円の親会社株主に帰属する当期純損失(前連結会計年度は539億6千5百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
また当社グループで重視している経営指標について、当連結会計年度のEBITDA(※)は前期比62.4%減の433億5千7百万円となり、当連結会計年度のROEは前連結会計年度の5.7%から△5.4%に低下しました。
当連結会計年度末の財政状態といたしましては、総資産は、前連結会計年度末に比べ405億9百万円減少し、1兆4,407億6千5百万円となりました。主な要因といたしましては、有価証券が453億6千1百万円、有形固定資産が129億7千5百万円、それぞれ増加した一方、現金及び預金が413億3千4百万円、投資有価証券が221億3千6百万円、棚卸資産が202億1千3百万円、受取手形及び売掛金が116億4千9百万円、それぞれ減少したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ379億3千8百万円増加し、5,511億1千万円となりました。主な要因といたしましては、短期借入金が2,000億円、1年内償還予定の社債が401億3千6百万円、それぞれ減少した一方、社債が2,000億円、長期借入金が1,000億円、それぞれ増加したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ784億4千7百万円減少し、8,896億5千5百万円となりました。主な要因といたしましては、退職給付に係る調整累計額が12億4千8百万円増加した一方、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等により株主資本が692億7千5百万円、その他有価証券評価差額金が112億4千9百万円、それぞれ減少したことによるものであります。
これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の65.3%から61.7%に低下しました。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度(828億5千8百万円のプラス)に比べ10億9千8百万円収入が増加し、839億5千6百万円のプラスとなりました。主な収入の増加要因としては、棚卸資産が増加から減少に転じたこと、減損損失の増加、法人税等の支払額の減少、減価償却費の増加によるものであります。一方、主な収入の減少要因としては、税金等調整前当期純利益が税金等調整前当期純損失に転じたことによるものであります。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度(4,319億5千2百万円のマイナス)に比べ3,162億7千3百万円支出が減少し、1,156億7千8百万円のマイナスとなりました。主な支出の減少要因としては、有価証券及び投資有価証券の取得による支出の減少によるものであります。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度(2,650億6千3百万円のプラス)に比べ2,260億1千1百万円支出が増加し、390億5千2百万円のプラスとなりました。主な支出の増加要因としては、短期借入金の増加が減少に転じたこと、主な支出の減少要因としては、社債の発行による収入の増加、長期借入れによる収入の増加によるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、上記の要因に換算差額による減少が4億6千8百万円加わり、前連結会計年度末に比べ68億6千2百万円増加し、当連結会計年度末には2,349億6千6百万円となりました。
※ EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization)
税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて求めたもの。グローバル企業などの収益力を比較する際によく利用される指標。当社グループでは簡易的に営業利益に減価償却費を加えて算出しております。
(参考)当社グループが重視している主な経営指標の推移
|
回次 |
第63期 |
第64期 |
第65期 |
第66期 |
第67期 |
|
|
決算年月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
2024年3月 |
2025年3月 |
|
|
営業利益率 |
(%) |
10.7 |
15.8 |
18.2 |
9.3 |
△8.9 |
|
EBITDA |
(百万円) |
78,656 |
113,507 |
148,456 |
115,396 |
43,357 |
|
自己資本利益率(ROE) |
(%) |
5.0 |
8.3 |
9.2 |
5.7 |
△5.4 |
|
総資産利益率(ROA) |
(%) |
4.2 |
6.8 |
7.5 |
4.1 |
△3.4 |
|
総資産回転率 |
(回) |
0.41 |
0.46 |
0.47 |
0.36 |
0.31 |
|
固定資産回転率 |
(回) |
1.03 |
1.16 |
1.16 |
0.69 |
0.51 |
|
株価収益率(PER) |
(倍) |
28.7 |
14.1 |
13.4 |
17.5 |
- |
|
株価純資産倍率(PBR) |
(倍) |
1.38 |
1.12 |
1.18 |
0.97 |
0.62 |
|
棚卸資産回転月数 |
(月) |
3.75 |
3.73 |
4.46 |
5.58 |
6.17 |
※1.各指標は、いずれも連結財務諸表に基づいて算定しております。
・営業利益率:営業利益/売上高
・EBITDA:営業利益+減価償却費
・自己資本利益率(ROE):親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本
・総資産利益率(ROA):親会社株主に帰属する当期純利益/総資産
・総資産回転率:売上高/総資産
・固定資産回転率:売上高/固定資産
・株価収益率(PER):期末株価終値/1株当たり当期純利益
・株価純資産倍率(PBR):期末株価終値/1株当たり純資産
・棚卸資産回転月数:棚卸資産/(第4四半期売上高/3)
※2.第67期の株価収益率(PER)につきましては、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、安定的な営業キャッシュ・フローの創出により事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持並びに健全な財政状態を常に目指しております。
資金の流動性確保のため、当社及び一部の連結子会社においてはCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、資金効率の向上をはかっております。
主な短期的な資金需要は、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金や配当支払等であります。
当連結会計年度の設備投資額は、前期比28.8%減の1,330億1千7百万円、研究開発費は前期比28.9%増の572億4千5百万円となりました。これらの設備投資や研究開発費、運転資金につきましては主に営業活動によって得られた自己資金を充当しております。
株主還元の方針については、「第4 提出会社の状況 3.配当政策」に記載しております。
当社グループのキャッシュ・フローに大きく影響を与える事象の過去5期の推移は次のとおりであります。
|
回次 |
第63期 |
第64期 |
第65期 |
第66期 |
第67期 |
|
|
決算年月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
2024年3月 |
2025年3月 |
|
|
減価償却費 |
(百万円) |
40,167 |
42,027 |
56,140 |
72,069 |
83,418 |
|
研究開発費 |
(百万円) |
31,537 |
36,126 |
42,560 |
44,423 |
57,245 |
|
設備投資額 |
(百万円) |
44,114 |
79,985 |
126,116 |
186,755 |
133,017 |
|
年間配当金総額 |
(百万円) |
14,720 |
18,156 |
19,629 |
19,298 |
19,299 |
|
配当性向 |
(%) |
39.9 |
27.2 |
24.4 |
36.0 |
- |
※第67期の配当性向につきましては、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。
該当事項はありません。
当社グループは、「エレクトロニクスの技術で、社会が抱える様々な課題を解決し、未来に向けて、人々の豊かな暮らしと社会の発展を支え続ける」ことを使命に、あらゆる開発業務を通じて社会に役立つ製品作りを進めております。さらに次世代を見据えた新技術開発においても、材料、設計技術、製造技術、品質向上にいたるまで調和のとれた研究開発活動を継続的に進展させております。また、SDGs、ESGの観点から、エネルギー、環境、人口、安全食料などの社会課題に真摯に向き合い、将来世代、将来の社会に向けた社会課題の解決と文化の進歩向上に貢献することを目指します。
なかでも、環境保全に対する世界的な意識の高まりを背景に、小型化と同時に高効率化による省エネ製品のニーズが高まっています。電力消費量や温室効果ガス排出量の削減による環境保全への貢献に加え、生活の質や利便性の維持向上といった相反するニーズにも対応可能なSiCをはじめとするパワーデバイスや、それを駆動する絶縁ゲートドライバICなどの普及拡大をはかっていきます。
当連結会計年度におけるセグメント別の主な成果は下記のとおりであります。
(1)「LSI」における製品開発
・LogiCoA™電源ソリューションを提供開始
LogiCoA™マイコンを中心としたデジタル制御部分と、シリコンMOSFET等のパワーデバイスからなるアナログ回路を組み合わせた、産業機器、民生機器向けの業界初「アナデジ融合制御」電源です。フルデジタル制御電源において高速CPUやDSP等のデジタルコントローラが担う機能を低ビットのマイコンで処理できるため、アナログ制御電源では実現の難しい高機能を低消費電力かつ低コストで実現できます。
・SOPパッケージ汎用AC-DCコントローラIC4種をラインアップ
PWM制御方式FET外付けタイプの汎用コントローラICです。一般品の閾値電圧誤差±10%程度に比べ、±5%と高精度な低電圧誤動作防止機能を搭載し、産業機器のAC-DC電源の信頼性向上に貢献します。
・AI機能搭載マイコンを開発
ネットワーク不要で学習と推論を単体で実現する、業界初のマイコンです。ローム独自のオンデバイスAIソリューション「Solist-AI™」を実現するために、シンプルな3層ニューラルネットワークのアルゴリズムを採用しています。モーターなどの産業機器をはじめ、あらゆる機器でセンシングデータを活用した故障予兆検知や劣化予測を可能にします。
(2)「半導体素子」における製品開発
・SiCモールドタイプ新型モジュール「TRCDRIVE pack™」を開発
xEV(電動車)のトラクションインバータ向けに開発したSiCモールドタイプモジュールです。
一般品と比べて1.5倍となる業界トップクラスの電力密度やローム独自の端子配置といった特長を備えており、トラクションインバータに要求される小型化、高効率化、工数削減といった主要な課題の解決に貢献
します。
・表面実装タイプのSiCショットキーバリアダイオードを開発
ローム独自設計のパッケージで絶縁耐性を大幅に向上し、一般品比で約1.3倍の沿面距離を確保した表面実装タイプのSiCショットキーバリアダイオードです。樹脂ポッティングによる絶縁処理が不要になるため、車載オンボードチャージャーや産業ロボット用ACサーボ等の生産性向上に貢献します。
・650Ⅴ耐圧GaN HEMTのTOLLパッケージ品「GNP2070TD-Z」の量産開始
大電力に対応するTOLLパッケージに第2世代のGaN on Siチップを搭載したGaN HEMTです。オン抵抗と出力容量の相関を示す性能指標において業界トップクラスの数値を実現しており、産業機器向け等、高耐圧かつ高速スイッチングが求められる電源システムの更なる小型化と省エネ化に貢献します。
・第4世代 1200Ⅴ IGBTを開発
外周構造も含めたデバイス構造を見直すことで業界トップクラスの低損失特性・高短絡耐量を実現した1200Ⅴ IGBTです。一般品比で約24%、従来品比で約35%の損失低減を実現しており、車載電動コンプレッサや産業機器インバータ等の高効率化に貢献します。
・業界トップクラスの低オン抵抗・高耐量MOSFETを開発
パッケージ内部に大型チップが搭載可能な、新開発のDFN5060-8Sパッケージにより、業界トップクラスの低オン抵抗と高SOA耐量を実現したパワーMOSFETです。企業向け高性能サーバーやAIサーバーの電源回路における高効率化と信頼性向上に大きく貢献します。
・赤外線光源の技術「VCSELED™」を開発
垂直共振器型面発光レーザー(VCSEL)素子をレーザー光向け樹脂製光拡散材で封止することで、VCSELとLEDの特長を融合した新しい赤外線光源の技術です。温度依存性の低さと広角発光かつ均一な光源により、自動車の運転支援技術に貢献します。
(3)「モジュール」における製品開発
・サーマルプリントヘッド「KA2008-B07N70A」を開発
業界トップクラスの縦幅11.67mmで、リチウムイオン電池2セル駆動(VH=7.2Ⅴ)に対応した8インチサーマルプリントヘッドです。A4サイズ対応のモバイルプリンターにおいて、高品質な印字と低消費電力を両立し、省エネ化に貢献します。
(4)「その他」における製品開発
・新汎用チップ抵抗器「MCRxシリーズ」を開発
内部構造の最適化や新材料の採用により、定格電力と温度特性を向上させ、従来品に比べワンサイズ小型での使用を可能にした汎用チップ抵抗器です。製品の信頼性も高めており、自動車市場でのxEV(電動車)の普及に伴う需要増加に対応するほか、基地局やサーバーなどの通信インフラ、FA機器などの市場拡大にも貢献します。産業機器など寿命の長いアプリケーションでの継続的な使用にも寄与します。
※本項で記載している「業界初」「業界トップクラス」等の表現は、発表時点の当社調べによるものです。
※LogiCoA™、Solist-AI™、TRCDRIVE pack™、VCSELED™は当社の商標又は登録商標です。
当連結会計年度のセグメント別の研究開発費は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
|
LSI |
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半導体素子 |
|
|
モジュール |
|
|
報告セグメント計 |
|
|
その他 |
|
|
合計 |
|