第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

①当連結会計年度の概況

当連結会計年度の経済環境は、国内外において、ゆるやかな回復基調が続いたものの、英国のEU離脱問題や米国の政権交代などから、先行き不透明な状況で推移いたしました。

当社グループの主要なお客さまであるエレクトロニクス製造業、自動車関連・産業機器製造業におきましては、設備投資に改善の動きが見られたものの、景気動向の不確実性の高まりから、総じて投資に慎重な姿勢が続きました。

このような中にあって、当社グループは、世界のモノづくり企業に向けて最適なソリューションを提供していく「真のグローバルカンパニー」を目指し、製品の開発・販売およびサービスの提供を積極的に行ってまいりました。当連結会計年度の主な取り組みは、次のとおりであります。

 

(ⅰ) 電気設計システムの分野

主力の電気設計システム「CR-8000 Design Force」およびワイヤハーネスの設計システム「E3.series」につきまして、導入までに長期間を要する欧米の自動車・航空機・半導体関連の大手企業に向けて販売を強化し、着実に成果に結びつけてまいりました。また、自動車関連製造業の市場に向けて、製品の競争力を左右することとなる企画・構想段階の設計を支援するシステム「Architecture Planner」の販売を開始いたしました。

開発面では、「CR-8000 Design Force」と最先端の解析ツールとの密接な連携を図りました。これにより、コンピュータ上で設計データを容易に検証できることとなり、より効率的な設計環境を実現いたしました。

 

(ⅱ) 設計データマネジメントの分野

設計データ管理システム「DS-2」につきましては、主力の電気設計システムのみならず、ワイヤハーネスの設計システムや他社製の電気設計システムで作成されたデータにも対応できるよう開発を進めてまいりました。これは、モノづくり企業において、製品開発に多くの技術者が関わっていることから、設計データの効率的な活用が必要不可欠となってきており、こうしたニーズに応え、様々な設計システムにこの「DS-2」の導入を推進するためであります。これにより、米国シリコンバレーにおいて、他社製の設計システムを使用しているグローバル企業に「DS-2」が採用されるなど、今後の拡販につながる大きな成果を出すことができました。

また、製品情報の管理システム「PreSight visual BOM」につきましては、製造コストや調達スケジュール等の情報を設計段階で活用できるように、生産管理システムとの連携を強化いたしました。

 

(ⅲ) その他の分野

インターネットのクラウド上に置かれるデータが急速に増加していることから、ネットワークセキュリティ関連の売上が順調に拡大し、また、モノづくり企業の技術者不足を背景に、技術者派遣や解析・検証などのサービスも堅調に推移いたしました。

 

②当連結会計年度の業績

(連結業績)

売上高

221億9千9百万円

(前期比   1.1%増)

経常利益

 15億7千1百万円

(前期比 109.2%増)

親会社株主に帰属する

当期純利益

 12億6百万円

(前期比 345.1%増)

 

以上の取り組みにより、当連結会計年度の売上高は、円高に伴い海外の売上が円換算で縮小したものの、前期を上回る結果となりました。これは、欧米においてワイヤハーネスの設計システム「E3.series」や設計データ管理システム「DS-2」の販売が堅調に推移し、また、国内においてネットワークセキュリティ関連の売上が増加したことによるものです。

また、利益面につきましては、為替差損1億4千5百万円が発生したものの、売上高の増加に加え、グループ会社において収益の改善が進んだことから、大幅な増益となりました。

 

基板設計ソリューションの主な製品

CR-8000 Design Force

CR-8000 DFM Center

CR-5000 Board Designer

 

回路設計・ICソリューションの主な製品

CR-8000 Design Gateway

CR-8000 System Planner

Architecture Planner

E3.series

Cabling Designer

Harness Designer

CR-5000 System Designer

 

 

 

 

 

ITソリューションの主な製品

プリサイト ビジュアル  ボム

PreSight visual BOM

DS-2

エクスプレッソ

DS-2 Expresso

 

 

(セグメントの業績)

報告セグメントの業績につきましては、次のとおりであります。

・日本

回路設計・ICソリューションの売上は減少したものの、ネットワークセキュリティ関連を中心にITソリューションの売上が順調に推移したことや、販売ライセンス数等の増加によりクライアントサービスが伸長したことなどから売上高は163億9百万円(前期比 2.0%増)となりました。営業利益につきましては、営業費用の減少などから、10億6千4百万円(前期比 43.4%増)となりました。

・欧州

輸送用機器向けの配線設計システムを中心に回路設計・ICソリューション及びクライアントサービスの売上が順調に推移しましたが、為替の影響により売上高は47億6千8百万円(前期比 6.4%減)となりました。営業利益につきましては、現地通貨ベースの売上高の増加などから、7千3百万円(前期は営業損失1億8千5百万円)となりました。

・米国

為替の影響はあったものの輸送用機器向けの配線設計システムを中心に回路設計・ICソリューション及びクライアントサービスの売上が順調に推移し、売上高は14億9千3百万円(前期比 19.4%増)となりました。営業利益につきましては、売上高の増加などから4千8百万円(前期は営業損失1億9千1百万円)となりました。

・アジア

韓国経済の不調により同国での受注額が減少したことや、為替の影響などから売上高は13億2千6百万円(前期比 15.6%減)となり、営業利益につきましては、売上高の減少などから3億6千3百万円(前期比 11.8%減)となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動で25億8千6百万円の収入、投資活動で5億9千5百万円、財務活動で4億8千2百万円の支出となったことから、前連結会計年度末に比べ13億7千4百万円増加し、当連結会計年度末は140億4千6百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、25億8千6百万円(前期比 22億8千7百万円増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益14億3千2百万円(前期比 7億1千5百万円増)の計上、減価償却費6億5千3百万円(前期比 6千1百万円減)、退職給付に係る資産又は負債の増加額3億7百万円(前期は15億9千1百万円の減少)などの増加要因と、仕入債務の減少額1億9千9百万円(前期は1億2千6百万円の増加)などの減少要因との差引合計によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、5億9千5百万円(前期比 1億8千3百万円減)となりました。これは主に固定資産の取得による支出6億4百万円(前期比 6千9百万円減)などによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、4億8千2百万円(前期比 2億3千4百万円減)となりました。これは主に配当金の支払額4億6千5百万円(前期比 2億3千2百万円減)によるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当社グループの売上高は、受注に基づくソフトウェア及びそれに付随するコンサルティングが主体であり、生産高と極めて近似しております。従って、セグメント別生産実績については、有用性が乏しいとの判断から記載を省略しております。

 

(2) 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

日   本

15,913,864

102.5

5,652,153

106.8

欧   州

4,049,532

91.8

1,403,369

98.8

米   国

1,739,386

132.6

1,104,837

140.9

ア ジ ア

1,479,397

105.9

605,164

172.4

合   計

23,182,181

102.4

8,765,524

111.7

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.金額は販売価格によっており、消費税等を含んでおりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

日   本

15,556,406

104.0

欧   州

3,965,263

91.4

米   国

1,426,008

120.5

ア ジ ア

1,251,490

85.2

合   計

22,199,168

101.1

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記金額には、消費税等を含んでおりません。

 

(参考)製品区分別実績は次のとおりであります。

(1) 受注状況

当連結会計年度における受注状況を製品区分ごとに示すと、次のとおりであります。

製品区分

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

基板設計ソリューション

3,728,014

95.2

674,046

103.1

回路設計・ICソリューション

4,518,406

95.8

824,325

101.4

ITソリューション

4,636,629

101.7

575,149

90.0

クライアントサービス

10,291,326

108.9

6,692,002

116.5

その他

7,804

107.9

合計

23,182,181

102.4

8,765,524

111.7

(注)金額は販売価格によっており、消費税等を含んでおりません。

 

(2) 販売実績

当連結会計年度における販売実績を製品区分ごとに示すと、次のとおりであります。

製品区分

金額(千円)

前期比(%)

基板設計ソリューション

3,699,747

93.9

回路設計・ICソリューション

4,497,482

98.9

ITソリューション

4,701,900

105.1

クライアントサービス

9,292,233

103.4

その他

7,804

98.6

合計

22,199,168

101.1

(注)上記金額には、消費税等を含んでおりません。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、エレクトロニクス、自動車関連・産業機器製造業を中心にその他のモノづくり企業を含め幅広いお客さまの設計・製造の効率化、生産性の向上を図り、製品の開発、製造を支えることにより、モノづくり産業の発展に貢献することを基本方針としております。これに向け、当社グループは、常に市場ニーズの変化に的確に対応し、最適なソリューションの提供に努めております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループの主要な市場であるエレクトロニクス、自動車関連・産業機器製造業は、新興国における需要の拡大や環境対応などの技術革新の必要性などから、当社グループの果たすべき役割はますます重要となってきております。また、製造業全体において製品のエレクトロニクス化が急速に進んでおり、当社グループが取り組むべき市場も拡大してきております。当社グループでは、こうした状況の中、引き続きソリューションビジネスを推進するとともに、新たな市場や技術領域への積極的な展開などにより、事業の拡大や伸長を図りつつ、株主のみなさまの長期的な利益を確保するという観点から、1株当たり当期純利益の持続的な伸長をひとつの指標として経営を推進しております。

 

(3) 中期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

今後の経済環境につきましては、新興国の成長減速や米国の金融政策の動向など、先行きの不透明感がますます高まっていくものと思われます。

一方で、「IoT(Internet of Things)」が様々な製品のネットワーク化を進め、また、人工知能が長足の進歩を遂げており、当社グループがソフトウェア技術を活用して取り組むべき事業領域は、今後とも拡大していくことが見込まれます。

このような中にあって、当社グループは、既存の製品群にとらわれることなく、お客さまが抱える課題に真正面から取り組み、付加価値の高いソリューションを提供していくことにより、モノづくり企業における設計・製造の効率化を支援してまいります。

このために、当社グループの対処すべき課題は、以下のとおりであります。

 

電気設計システムの機能拡充と拡販

エレクトロニクス製造業の市場に向けて、電気設計システム「CR-8000」シリーズの機能をさらに拡充し、引き続き世界の市場に向けて積極的に販売してまいります。自動車関連・産業機器製造業の市場では、製品の電子制御、電装化がより一層進んでいくと見込まれることから、電装品をつなぐワイヤハーネスの設計システムの機能を高めるとともに、製品の企画・構想段階を支援する設計システムの販売にも注力してまいります。

 

設計データマネジメント分野における開発の加速

モノづくりにおける製品の電装化、複雑化に伴い、多数の技術者が設計に関わっていることから、設計データを管理し、活用することは、今日のモノづくりの重要な課題となっております。これに対し、設計データを管理するインフラシステム「DS-2」を多様な設計システムに対応させ、この製品が設計データのマネジメント分野における事実上の標準システムとなることを目指し、開発を加速させてまいります。

 

以上の取り組みにより、当社グループは、お客さまのモノづくりに貢献する革新的なソリューションを提供し、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。

 

4【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 特定の市場への依存について

当社グループは、エレクトロニクス製造業、自動車関連製造業及び産業機器製造業の分野を中心にモノづくり企業における設計・製造の効率化に関するソリューションの提供を主要な事業としております。そのため、当社グループの業績は、かかる製造業における景気の動向や設備投資の動向の影響を受ける場合があります。新たな有力市場、技術領域への取り組みなど事業の拡大に努めておりますが、製造業における業績の低迷や設備投資の停滞が継続した場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。

 

(2) ソリューションの開発について

当社グループは、お客さまのニーズに応えた最適なソリューションを提供するため、最新のトレンドや技術を取り入れた新製品の開発や機能強化などを鋭意行っております。また、品質の向上とその管理の徹底に努めるとともに、欠陥等の不具合を生じないよう、また生じた場合にも迅速に修補等の対応を行うよう万全の体制を敷いて事業に取り組んでおります。しかしながら、計画通りに開発が行われなかった場合は、営業機会の喪失や事業展開の遅延などが生じるおそれがあります。また製品に重大な不具合があった場合は、修補対応や瑕疵担保責任の負担のほか、ソリューションに対する信用の低下などが生じるおそれがあります。これらが生じた場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。

 

(3) 知的財産権について

当社グループは、コンピューターテクノロジーとITを用いたソリューションビジネスの展開、継続において、著作権、特許権、商標権その他の知的財産権の確保が極めて重要なものと考えております。しかしながら、その取得に官公庁の審査を要するものについては、必ずしも取得できるとは限りません。また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう十分配慮して製品を開発しておりますが、当社グループの製品が他社の知的財産権を侵害しているかどうかをすべて調査、把握することは事実上困難であります。当社グループの製品、技術、商標等が第三者の知的財産権を侵害し、ロイヤリティーの支払や使用差止、損害賠償を請求された場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(4) 有力パートナー企業との提携関係について

当社グループは、確固たる事業基盤の構築や新規事業への進出を図るため、製品開発・販売面などにおいて、多数の有力パートナー企業と長期的な提携関係を築いております。しかしながら、これらパートナー企業が破産、倒産した場合や買収された場合、又は戦略上の目標を変更した場合、提携関係は解消されるおそれがあります。複数の、又は重要な提携関係が解消された場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(5) 子会社の設立、資本提携、企業買収等について

当社グループは、事業の拡大や補強等のため、事業展開に応じて、子会社、関連会社の設立や、協力会社との資本提携、有力企業の買収等を行っております。しかしながら、これらを行った場合、当初の計画通りに業績が伸長しないおそれや、コスト負担が増大するおそれがあります。これら会社の経営成績、財政状態が悪化した場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(6) 海外展開について

当社グループは、欧米やアジア各国に事業を展開しております。しかしながら、海外市場においては、①政治、経済環境の急激な変動、②為替レートの変動、③法律、規制の予期しない変更、④人材確保の困難、⑤テロ、戦争、伝染病その他による社会的混乱などのリスクを内包しております。これらが顕在化した場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(7) 機密情報及び個人情報の管理について

当社グループは、システムの開発業務や各種コンサルティング、検証・支援業務などにおいて、お客さまの設計データや新製品情報などの重要機密情報を知る機会があります。また、お客さまや株主、社員等に関する個人情報を多数保有しています。社内情報システムの整備、機密保持契約の締結、社内規程・ガイドラインの制定、社員の教育など情報管理の徹底に努めておりますが、万一機密情報又は個人情報が当社グループより漏洩し、損害賠償の請求や信用の失墜などが生じた場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(8) 退職給付債務及び費用について

当社グループは、当社及び一部の連結子会社において確定給付型の退職一時金制度を、また一部の海外連結子会社において確定給付型の退職年金制度を設けております。しかしながら、退職給付債務及び費用の算出条件の変動や年金資産の運用状況の悪化、また退職給付に関する法制度や会計基準の変更などにより、退職給付債務及び費用が増加するおそれがあります。これにより、退職給付債務及び費用の負担が多大なものとなった場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

(注)英国の連結子会社における退職年金制度については、平成19年4月以降、確定給付型の制度を凍結し、確定拠出型の制度に変更しております。これにより、英国の連結子会社における確定給付型の退職年金制度についての上記リスクは、凍結以前の勤務に対する退職給付債務及び費用に関するものとなります。

 

(9) 自然災害等について

当社グループは、日本及び世界各国に事業活動の拠点を有しております。災害の防止には十分な注意を払っておりますが、大地震や火災等により、重要な開発・営業拠点に壊滅的な損害が生じるおそれがあります。これにより、事業活動が中断、遅延し、その復旧等に多大な費用が生じた場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、日本及び欧州において当社及び国内外子会社で行っております。エレクトロニクス製造業、自動車関連・産業機器製造業の分野を中心にモノづくり企業における設計・製造の効率化に関するソリューションを研究開発対象としており、保有する技術を相互補完することにより研究開発の成果増大に効果をあげております。当連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動の状況及び研究開発費は、以下のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は34億3千3百万円となっております。

 

(1) 日本

日本における主要な研究開発活動は以下のとおりであり、研究開発費は22億7千3百万円であります。

電子回路・基板設計分野では、システムレベルマルチボード設計環境「CR-8000 Design Force」においては、マルチボードのEMC検証の強化としてシステムネットを経由したリターン経路のチェック機能はじめ、各種解析環境やメカニカルCADとの連携強化として他社メカニカルCADデータを直接読み込む機能や3D PDFの出力機能を開発しました。他にもシステムレベルの差動配線機能、3D検証機能、チップパッケージ協調設計機能の強化など多くの開発を行いました。システムレベル回路設計環境「CR-8000 Design Gateway」では、複数シートにまたぐネット名称の一括変更機能など操作性の向上と併せ、汎用回路図データフォーマットEDIF300を活用した回路変換や生成、ISO 26262 VerifierのFV-InterFace対応をはじめとする検証機能の強化や改善を行いました。システムレベル構想設計環境「CR-8000 System Planner」では、ブロック図(Logical Visionary)の機能拡張として、論理的な接続関係に着目した論理ブロック図及び、基板間接続等の物理実装に着目した基板展開図を新たに開発しました。レイアウト図(Physical Visionary)では、機能ブロックの編集操作の改善などの開発を行いました。FPGA協調設計支援ツール「CR-8000 GPM」では、最新のCAD環境への対応と併せ、データ保護の強化としてライブラリパートやインスタンスパートの属性毎に編集可否の設定を可能にしました。また、デバイスライブラリを更新し、累計で101種のデバイスファミリ、2,200点以上のデバイス情報を収録しました。回路・基板統合設計環境「CR-5000 System Designer」及び「CR-5000 Board Designer」では、回路図差分機能のバッチプログラム対応や、差動ペアのEネット総配線長をリアルタイムに確認する機能を開発しました。

プリント基板製造分野では、基板製造設計用システム「CR-8000 DFM Center」において、メタルマスクの部品合成機能や開口一覧機能など実装工程の条件に応じた最適なメタルマスクの形状設計のための機能開発を行いました。

ワイヤハーネス分野では、2.5Dトポロジ検討環境「Topology Designer」において、様々な設計・製造ノウハウを基にしたルールベースの自動配策機能などを開発し、ワイヤハーネス設計の更なる開発効率と製品品質の向上を実現しました。また、輸送機器向けE/Eアーキテクチャ設計環境「Architecture Planner」では、自動車などの膨大かつ複雑な製品バリエーションに対応し、複数の電子機器配置・ワイヤハーネス配策候補を比較しながら最適な物理アーキテクチャ決定を支援する機能などを開発しました。

エンジニアリングPLM分野では、電子機器設計向けPLM「DS-2」において、CR-8000、CR-5000の最新製品に対応した他、DS-2で管理している設計データをBoard Viewer Advanceでオープンする機能を開発しました。BtoB製造業に向けた管理機能をパッケージ化した製品「DS-2 Expresso」では、設計成果物(CAD)データの登録状況からプロジェクト進捗を確認することができる新たなモジュール「Status」を開発しました。その他外部システムとの連携用バッチプログラムの拡張、Drawingsの機能拡張など様々な機能を開発しました。

また、DS-2をプラットホームとして、回路基板設計の領域ばかりではなく、ワイヤハーネス設計データや、他社CADの各種解析ツールのデータを管理するための仕組みやアプリケーションの開発を行い、一部のユーザへ先行リリースを開始しました。

エンタープライズPLM分野では、軽量化3次元データと構成部品表を統合的に管理する「visual BOM」において、部品標準化を強力に推進する類似形状検索機能を3次元CADから直接実行する機能を開発しました。また、同分野のビッグデータ・ナレッジマネージメント製品「Knowledge Explorer」では、社内外に散在するノウハウ情報を効果的に利用者に提供するナレッジ活用システム「Knowledge Concierge」を新規に開発し、リリースしました。

ミドルウェア分野では、自動車用通信ネットワークEthernetAVB(Audio Video Bridging)のエンドポイント(Talker/Listener)を容易に実装するためのミドルウェアライブラリ「Ze-PRO AVB(Endpoint)」を開発し、製品化を行いました。米国シリコンバレーの「Zuken SOZO(創造)Center」においては、米国を拠点とするグローバルユーザのニーズを受けた製品開発を推進するべく日本と欧州の開発拠点と協力し、「CR-8000 Design Force」の半導体/パッケージ/基板のコデザイン機能やマルチボード3D設計機能を開発するのと併せて、3Dプリンタベンチャーの Nano Dimension社との提携やアライアンスベンダーとの連携強化を図るなど更なるEDA製品の開発体制の強化を図りました。

 

(2) 欧州

欧州における主要な研究開発活動は以下のとおりであり、研究開発費は11億5千9百万円であります。

電子回路・基板設計分野では、「CR-8000 Design Force」の配線機能強化としてトランク化されていない差動ペア配線にレングセンパターンを発生できるようにしました。SI/PI/EMI解析モジュールにおいては、仮想バイパスコンデンサを使ったWhat-if解析への対応、DC解析結果表示の操作改善、SPICE連携の強化、TDR解析条件の拡張などの開発を行いました。また、プロトタイピング市場向けに中小規模の設計に最適化された設計システム「CADSTAR」の次世代設計環境を日本と英国とで分担開発を進めております。

 

(3) 米国

該当事項はありません。

 

(4) アジア

該当事項はありません。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における当社グループの将来に関する見通し及び計画に基づいた将来予測であります。

 

(1) 財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末より14億6千2百万円増加して405億3千万円(前期比 3.7%増)となりました。流動資産は19億2百万円増加して290億円(前期比 7.0%増)、固定資産は4億4千万円減少して115億2千9百万円(前期比 3.7%減)となりました。流動資産の増加の主な要因は、現金及び預金が88億8千1百万円増加し、有価証券が74億7千6百万円減少したことなどの差引合計であります。固定資産の減少の主な要因は、退職給付に係る資産が5億5千万円減少したことなどであります。

当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末より14億5百万円増加して119億9千4百万円(前期比 13.3%増)となりました。流動負債は6億7千3百万円増加して82億3千6百万円(前期比 8.9%増)、固定負債は7億3千2百万円増加して37億5千8百万円(前期比 24.2%増)となりました。流動負債の増加の主な要因は、前受金が7億4千1百万円増加し、買掛金が1億2千9百万円減少したことなどの差引合計であります。固定負債の増加の主な要因は、退職給付に係る負債が7億3千4百万円増加したことなどであります。

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末より5千6百万円増加して285億3千5百万円(前期比 0.2%増)となりました。株主資本は7億4千万円増加して283億8千8百万円となりましたが、この増加の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を12億6百万円計上したことと、配当金4億6千5百万円の支払いなどによって、利益剰余金が7億4千1百万円増加したことであります。その他の包括利益累計額は、その他有価証券評価差額金が3億1千7百万円増加しましたが、退職給付に係る調整累計額が8億9千2百万円減少したことなどから、6億5千5百万円の減少となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の71.7%から2.4ポイント減少し、69.3%となりました。

(2) 経営成績の分析

当連結会計年度の業績につきましては、円高に伴い海外の売上が円換算で縮小したものの、欧米においてワイヤハーネスの設計システムや設計データ管理システムの販売が堅調に推移し、国内においてはネットワークセキュリティ関連の売上が増加したことから、売上高は221億9千9百万円(前期比 1.1%増)となり、前連結会計年度を上回る結果となりました。利益面につきましては、売上原価の増加などにより売上総利益は前連結会計年度と同水準の157億6千5百万円(前期比 0.8%減)となりました。販売費及び一般管理費は、円高の影響およびグループ会社の組織体制を見直したことなどにより経費が減少したため141億6千8百万円(前期比 6.3%減)となり、営業利益は15億9千6百万円(前期比 105.7%増)と、前連結会計年度を大幅に上回りました。

営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は、2千4百万円の費用の計上となりました。これは主に、営業外収益として受取賃貸料が4千2百万円、受取配当金が2千4百万円計上され、営業外費用として為替差損が

1億4千5百万円計上されたことなどによります。

以上の結果、経常利益は15億7千1百万円(前期比 109.2%増)となりました。

特別利益から特別損失を差し引いた純額は、1億3千8百万円の損失の計上となりました。これは主に、特別損失として訴訟関連損失が8千9百万円、事業整理損が5千7百万円計上されたことなどによります。

以上の結果、税金等調整前当期純利益は14億3千2百万円となり、法人税等と非支配株主に帰属する当期純損失を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は12億6百万円(前期比 345.1%増)となって、大幅な増益となりました。また、1株当たり当期純利益は51円87銭(前期は11円65銭)となりました。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度末における当社グループの資金(連結キャッシュ・フロー計算書の「現金及び現金同等物」)残高は、前連結会計年度末より13億7千4百万円増加して140億4千6百万円となり、当社グループの流動性は、十分な水準にあると考えられます。

将来の事業活動に必要な運転資金及び設備投資資金につきましては、営業活動により得られた資金及び内部資金より調達しております。また、資金の運用につきましては、信用リスク、金利等を考慮し、安全性を第一と考え、元本割れの可能性が極めて低いと思われる金融商品で行っております。

なお、キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」を参照願います。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループは、設計・製造の効率化という課題の解決に向けたソリューションビジネスを展開しております。エレクトロニクス、自動車関連及び産業機器製造業を主要な市場とするほか、ソリューションを拡充し、設計・製造プロセス全体の最適化を提供していくこと等により、新たな市場、技術領域への取り組みを積極的に展開し、事業基盤のさらなる拡大を図っております。そのため、各種ソリューションの開発・強化の進捗やその品質・信用性の向上、エレクトロニクス、自動車関連及び産業機器を中心に製造業における設備投資の動向、さらには有力企業や関連会社との良好な協業・連携の維持といった要因が経営成績に重要な影響を与えるものと思われます。詳細につきましては、「4.事業等のリスク」を参照願います。

(5) 今後の見通し

今後の経済環境につきましては、新興国の成長減速や米国の金融政策の動向など、先行きの不透明感がますます高まっていくものと思われます。

このような中にあって、当社グループは、お客さまの抱える困難な課題に真正面から取り組み、お客さまのモノづくりに貢献する革新的なソリューションを提供し、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。詳細につきましては、「3.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を参照願います。