第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、エレクトロニクス製造業、自動車関連・産業機器製造業を中心にその他のモノづくり企業を含め幅広いお客さまの設計・製造の効率化、生産性の向上を図り、製品の開発、製造を支えることにより、モノづくり産業の発展に貢献することを基本方針としております。これに向け、当社グループは、常に市場ニーズの変化に的確に対応し、最適なソリューションの提供に努めております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループの主要な市場であるエレクトロニクス製造業、自動車関連・産業機器製造業は、新興国における需要の拡大や環境対応などの技術革新の必要性などから、当社グループの果たすべき役割はますます重要となってきております。また、製造業全体において製品のエレクトロニクス化が急速に進んでおり、当社グループが取り組むべき市場も拡大してきております。当社グループでは、こうした状況の中、引き続きソリューションビジネスを推進するとともに、新たな市場や技術領域への積極的な展開などにより、事業の拡大や伸長を図りつつ、株主のみなさまの長期的な利益を確保するという観点から、1株当たり当期純利益の持続的な伸長をひとつの指標として経営を推進しております。

 

(3) 中期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

今後の経済環境につきましては、米国経済政策や中国の景気減速懸念などから、先行きの不透明感が高まっていくものと思われます。その一方で、AIの進歩や仮想空間を活用したモノづくりが提唱されるなど、世界のモノづくりを取り巻く環境が劇的に変化し、設計・製造プロセス改革が急務となる中で、当社グループが取り組むべき事業領域は今後も拡大していくことが見込まれます。

このような中にあって、当社グループは、お客さまが抱える課題に真正面から取り組み、既存の製品群やサービスにとらわれず、新たな技術領域にも積極的に進出することで、モノづくり企業における設計・製造の効率化を支援する革新的なソリューションを提供してまいります。

このために、当社グループの対処すべき課題は、以下のとおりであります。

 

① 主力製品の機能拡充と新製品の開発加速

既存の主力製品においては、お客さまのニーズを的確にとらえ、さらなる操作性の向上やAIをはじめとする先進技術の活用などの機能拡充により、製品をさらに進化させ、それぞれの分野において当社製品が事実上の標準システムとなることを目指して拡販に注力してまいります。

また、当社グループが長年モノづくりの現場で培った技術やノウハウを駆使し、新製品の開発をより一層加速させ、世界のお客さまに向けて付加価値の高いソリューションを販売してまいります。

 

② モノづくり企業の設計・製造プロセス改革への当社グループの取り組み

モノづくりの大規模化・複雑化により、設計・製造プロセス改革が重要な課題となる中で、当社グループは、従来の製品群やサービスにとらわれることなく、お客さまの直面する課題に迅速に対応できる体制を整え、モノづくり企業の設計・製造プロセス改革への支援を推し進めてまいります。

また、MBSEやデジタルツインと呼ばれる仮想空間を使った最新の開発手法についても、当社グループがこの分野をリードできるよう、必要に応じて外部の技術や知見も取り込むことにより、世界のモノづくり企業に向けた提案活動をより一層強化してまいります。

 

以上の取り組みにより、当社グループは、お客さまの次世代のモノづくりに貢献する最適なソリューションを提供し、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。

 

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 特定の市場への依存について

当社グループは、エレクトロニクス製造業、自動車関連・産業機器製造業の分野を中心にモノづくり企業における設計・製造の効率化に関するソリューションの提供を主要な事業としております。そのため、当社グループの業績は、かかる製造業における景気の動向や設備投資の動向の影響を受ける場合があります。新たな有力市場、技術領域への取り組みなど事業の拡大に努めておりますが、製造業における業績の低迷や設備投資の停滞が継続した場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(2) ソリューションの開発について

当社グループは、お客さまのニーズに応えた最適なソリューションを提供するため、最新のトレンドや技術を取り入れた新製品の開発や機能強化などを鋭意行っております。また、品質の向上とその管理の徹底に努めるとともに、欠陥等の不具合を生じないよう、また生じた場合にも迅速に修補等の対応を行うよう万全の体制を敷いて事業に取り組んでおります。しかしながら、計画通りに開発が行われなかった場合は、営業機会の喪失や事業展開の遅延などが生じるおそれがあります。また製品に重大な不具合があった場合は、修補対応や瑕疵担保責任の負担のほか、ソリューションに対する信用の低下などが生じるおそれがあります。これらが生じた場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(3) 知的財産権について

当社グループは、コンピューターテクノロジーとITを用いたソリューションビジネスの展開、継続において、著作権、特許権、商標権その他の知的財産権の確保が極めて重要なものと考えております。しかしながら、その取得に官公庁の審査を要するものについては、必ずしも取得できるとは限りません。また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう十分配慮して製品を開発しておりますが、当社グループの製品が他社の知的財産権を侵害しているかどうかをすべて調査、把握することは事実上困難であります。当社グループの製品、技術、商標等が第三者の知的財産権を侵害し、ロイヤリティーの支払や使用差止、損害賠償を請求された場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(4) 有力パートナー企業との提携関係について

当社グループは、確固たる事業基盤の構築や新規事業への進出を図るため、製品開発・販売面などにおいて、多数の有力パートナー企業と長期的な提携関係を築いております。しかしながら、これらパートナー企業が破産、倒産した場合や買収された場合、又は戦略上の目標を変更した場合、提携関係は解消されるおそれがあります。複数の、又は重要な提携関係が解消された場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(5) 子会社の設立、資本提携、企業買収等について

当社グループは、事業の拡大や補強等のため、事業展開に応じて、子会社、関連会社の設立や、協力会社との資本提携、有力企業の買収等を行っております。しかしながら、これらを行った場合、当初の計画通りに業績が伸長しないおそれや、コスト負担が増大するおそれがあります。これら会社の経営成績、財政状態が悪化した場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(6) 海外展開について

当社グループは、欧米やアジア各国に事業を展開しております。しかしながら、海外市場においては、①政治、経済環境の急激な変動、②為替レートの変動、③法律、規制の予期しない変更、④人材確保の困難、⑤テロ、戦争、伝染病その他による社会的混乱などのリスクを内包しております。これらが顕在化した場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(7) 機密情報及び個人情報の管理について

当社グループは、システムの開発業務や各種コンサルティング、検証・支援業務などにおいて、お客さまの設計データや新製品情報などの重要機密情報を知る機会があります。また、お客さまや株主、社員等に関する個人情報を多数保有しています。社内情報システムの整備、機密保持契約の締結、社内規程・ガイドラインの制定、社員の教育など情報管理の徹底に努めておりますが、万一機密情報又は個人情報が当社グループより漏洩し、損害賠償の請求や信用の失墜などが生じた場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(8) 退職給付債務及び費用について

当社グループは、当社及び一部の連結子会社において確定給付型の退職一時金制度を、また一部の海外連結子会社において確定給付型の退職年金制度を設けております。しかしながら、退職給付債務及び費用の算出条件の変動や年金資産の運用状況の悪化、また退職給付に関する法制度や会計基準の変更などにより、退職給付債務及び費用が増加するおそれがあります。これにより、退職給付債務及び費用の負担が多大なものとなった場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

(注)英国の連結子会社における退職年金制度については、2007年4月以降、確定給付型の制度を凍結し、確定拠出型の制度に変更しております。これにより、英国の連結子会社における確定給付型の退職年金制度についての上記リスクは、凍結以前の勤務に対する退職給付債務及び費用に関するものとなります。

 

(9) 自然災害等について

当社グループは、日本及び世界各国に事業活動の拠点を有しております。災害の防止には十分な注意を払っておりますが、大地震や火災等により、重要な開発・営業拠点に壊滅的な損害が生じるおそれがあります。これにより、事業活動が中断、遅延し、その復旧等に多大な費用が生じた場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

①当連結会計年度の概況

当連結会計年度の経済環境は、米国の経済政策への懸念などにより期末にかけて景気の減速感が強まったものの、欧米やわが国を中心に全体としてはゆるやかな回復基調で推移いたしました。

当社グループの主要なお客さまであるエレクトロニクス製造業、自動車関連・産業機器製造業におきましては、業績の回復を背景に、設備投資に積極的な動きが目立つようになってまいりました。

このような中にあって、当社グループは、世界のモノづくり企業に向けて最適なソリューションを提供していく「真のグローバルカンパニー」を目指し、主力製品のさらなる拡販や新製品の開発加速、新たな技術領域への進出などに注力してまいりました。当連結会計年度の主な取り組みは、次のとおりであります。

 

(ⅰ) 主力製品の拡販

エレクトロニクス製造業の分野においては、主力の電気設計システム「CR-8000 Design Force」の拡販を強力に推進し、併せて、設計データ管理システム「DS-CR」の販売にも注力いたしました。また、自動車関連・産業機器製造業の分野では、製品の電装化がより一層進む中で、ワイヤハーネスの設計システム「E3.series」の拡販を推し進め、さらに、このシステムに対応した新たな設計データ管理システム「DS-E3」の販売を本格的に開始いたしました。

これらの主力製品について、設計から製造、データ管理まで一貫したシステムを提供できる強みを活かし、世界の市場に向けて売上を拡大させてまいりました。

 

(ⅱ) 新製品の開発

エレクトロニクス製造業向けに、比較的小規模な設計環境に適した新たな電気設計システム 「eCADSTAR」の開発を加速させ、中小規模の設計を行う市場に対して製品の拡充を図ってまいりました。また、自動車関連・産業機器製造業向けに、日本とドイツの製品を統合・進化させ、多様化する設計環境にも対応可能な新しいワイヤハーネスの設計システムの開発に引き続き注力してまいりました。

 

(ⅲ) 中長期的な成長を見据えた取り組み

世界のモノづくりが高度化・複雑化し、設計プロセスを根本から見直す動きが広がる中で、MBSE(モデルベース・システムズエンジニアリング)と呼ばれる開発手法が注目されています。この手法は、電気や機械、ソフトウェアなどの分野にとらわれず、上流工程で共通言語を使ったモデルをもとに設計や検証を進めることにより、大規模かつ複雑な開発を効率よく行うことができ、モノづくり企業の設計・製造プロセス改革の実現に大きく貢献するものです。

この新しい手法に対して当社は、いち早く調査や研究に取り組み、最先端の技術を持つ米国企業の子会社化に向けた株式取得を進め、さらに様々な企業との協力体制を築くなど、新たな技術領域への取り組みをより一層加速させてまいりました。

 

②当連結会計年度の業績

(連結業績)

売上高

267億8千7百万円

(前期比 13.6%増)

経常利益

 31億9千1百万円

(前期比 50.9%増)

親会社株主に帰属する

当期純利益

 21億1千3百万円

(前期比 39.8%増)

 

以上の取り組みにより、当連結会計年度の売上高は、前期を大きく上回り、3期連続で過去最高となりました。これは、主力の電気設計システム「CR-8000 Design Force」および設計データ管理システム「DS-CR」の売上が大きく伸びたことや、ワイヤハーネスの設計システム「E3.series」が堅調に推移したことによるものです。

また、利益面につきましても、売上高の増加により大幅な増益となり、営業利益、経常利益ともに過去最高となりました。

 

基板設計ソリューションの主な製品

CR-8000 Design Force

CR-8000 DFM Center

CADSTAR

eCADSTAR

CR-5000 Board Designer

 

 

 

回路設計ソリューションの主な製品

CR-8000 Design Gateway

CR-8000 System Planner

Architecture Planner

E3.series

Cabling Designer

Harness Designer

CR-5000 System Designer

 

 

 

 

 

ITソリューションの主な製品

プリサイト ビジュアル  ボム

PreSight visual BOM

DS-CR

エクスプレッソ

DS-2 Expresso

DS-E3

 

 

(セグメントの業績)

報告セグメントの業績につきましては、次のとおりであります。

・日本

回路設計ソリューション及びITソリューションの売上が伸長したことなどから、売上高は200億9千6百万円(前期比 16.8%増)となりました。営業利益につきましては、売上高の増加などから23億3千6百万円(前期比 54.0%増)となり、前年同期に比べて大幅に伸長いたしました。

・欧州

基板設計ソリューション及びクライアントサービスの売上が順調に推移したことなどから、売上高は

56億3百万円(前期比 4.4%増)となりました。営業利益につきましては、売上高の増加などにより、

2億3千2百万円(前期比 107.1%増)となりました。

・米国

回路設計ソリューションの売上が増加したことなどから、売上高は17億7千2百万円(前期比 6.4%増)となり、営業利益につきましては、8千4百万円(前期比 35.3%増)となりました。

・アジア

基板設計ソリューション及びITソリューションの売上が順調に推移したことから、売上高は15億2百万円(前期比 12.8%増)となりました。営業利益につきましては、3億8千7百万円(前期比 12.0%増)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動で34億

2千5百万円の収入、投資活動で11億7千6百万円、財務活動で5億8千8百万円の支出となったことから、前連結会計年度末に比べ15億2千8百万円増加し、当連結会計年度末は181億3千7百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、34億2千5百万円(前期比 1億2千1百万円減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益31億円(前期比 10億6百万円増)の計上、減価償却費6億6千8百万円(前期比 1千3百万円減)、退職給付に係る負債の増加額4億4千1百万円(前期比 1億8千6百万円減)などの増加要因と、法人税等の支払額9億2千9百万円(前期比 4億6千9百万円増)などの減少要因との差引合計によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、11億7千6百万円(前期比 5億8千3百万円増)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出5億4千9百万円(前期比 5億4千9百万円増)、固定資産の取得による支出4億9千4百万円(前期比 5千8百万円減)などによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、5億8千8百万円(前期比 2千9百万円増)となりました。これは主に配当金の支払額5億5千8百万円(前期比 9千2百万円増)によるものであります。

 

(3) 生産、受注及び販売の実績

①生産実績

当社グループの売上高は、受注に基づくソフトウェア及びそれに付随するコンサルティングが主体であり、生産高と極めて近似しております。従って、セグメント別生産実績については、有用性が乏しいとの判断から記載を省略しております。

 

②受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

日   本

19,558,177

116.9

6,790,874

109.5

欧   州

4,721,708

103.1

1,654,721

98.3

米   国

1,994,316

122.8

1,367,109

129.7

ア ジ ア

1,173,237

92.5

366,344

60.0

合   計

27,447,439

113.4

10,179,049

106.6

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.金額は販売価格によっており、消費税等を含んでおりません。

 

③販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

日   本

18,969,942

116.5

欧   州

4,674,988

105.7

米   国

1,728,838

107.0

ア ジ ア

1,413,498

111.8

合   計

26,787,267

113.6

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記金額には、消費税等を含んでおりません。

 

(参考)製品区分別実績は次のとおりであります。

①受注実績

当連結会計年度における受注実績を製品区分ごとに示すと、次のとおりであります。

製品区分

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

基板設計ソリューション

4,244,941

112.6

695,935

103.6

回路設計ソリューション

6,462,662

130.6

1,193,974

139.5

ITソリューション

6,122,386

120.6

1,053,754

124.1

クライアントサービス

10,608,428

102.0

7,234,342

100.9

その他

9,020

229.1

1,043

629.6

合計

27,447,439

113.4

10,179,049

106.6

(注)金額は販売価格によっており、消費税等を含んでおりません。

②販売実績

当連結会計年度における販売実績を製品区分ごとに示すと、次のとおりであります。

製品区分

金額(千円)

前期比(%)

基板設計ソリューション

4,221,589

111.9

回路設計ソリューション

6,121,850

123.7

ITソリューション

5,918,626

123.3

クライアントサービス

10,517,058

104.6

その他

8,142

215.9

合計

26,787,267

113.6

(注)上記金額には、消費税等を含んでおりません。

 

2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析等

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析等の内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末より35億4千3百万円増加して471億9千万円(前期比 8.1%増)となりました。流動資産は24億2千1百万円増加して338億6千3百万円(前期比 7.7%増)、固定資産は11億2千2百万円増加して133億2千7百万円(前期比 9.2%増)となりました。流動資産の増加の主な要因は、現金及び預金が16億5千4百万円増加したことなどであります。固定資産の増加の主な要因は、投資有価証券が18億2千9百万円増加したことなどであります。

当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末より10億4千1百万円増加して141億4千万円(前期比 7.9%増)となりました。流動負債は8億3千4百万円増加して101億1千6百万円(前期比 9.0%増)、固定負債は2億7百万円増加して40億2千3百万円(前期比 5.4%増)となりました。流動負債の増加の主な要因は、前受金が1億9千9百万円、買掛金が1億円増加したことなどであります。固定負債の増加の主な要因は、退職給付に係る負債が3億円増加したことなどであります。

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末より25億2百万円増加して330億5千万円(前期比 8.2%増)となりました。株主資本は15億5千4百万円増加して309億9千万円となりましたが、この増加の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を21億1千3百万円計上したことと、配当金5億5千8百万円支払いの差し引き合計で、利益剰余金が15億5千5百万円増加したことであります。その他の包括利益累計額は、その他有価証券評価差額金が8億9千7百万円増加したことなどから、9億3千3百万円の増加となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の69.0%から0.1ポイント増加し、69.1%となりました。

 

(2) 経営成績の分析

当連結会計年度の業績につきましては、主力の電気設計システム「CR-8000 Design Force」および設計データ管理システム「DS-CR」を中心に売上が大きく伸びたことや、ワイヤハーネスの設計システムの売上が堅調に推移したことなどから、売上高は267億8千7百万円(前期比 13.6%増)となり、前連結会計年度を大きく上回る結果となりました。利益面につきましては、ネットワークセキュリティ製品等の外部仕入品の売上増加により売上高総利益率は若干低下したものの、売上高の大幅な増加により売上総利益は192億2千6百万円(前期比 12.0%増)となりました。販売費及び一般管理費は161億7千5百万円(前期比 6.8%増)となり、営業利益は30億5千万円(前期比 50.6%増)と、前連結会計年度を大幅に上回りました。

営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は、1億4千1百万円の収益の計上となりました。これは主に、営業外収益として受取賃貸料が3千8百万円、受取配当金が3千4百万円計上されたことなどによります。

以上の結果、経常利益は31億9千1百万円(前期比 50.9%増)となりました。

特別利益から特別損失を差し引いた純額は、9千1百万円の損失の計上となりました。これは主に、特別利益として子会社清算益が2千3百万円計上されたものの、特別損失として退職給付費用が1億1千2百万円計上されたことなどによります。

以上の結果、税金等調整前当期純利益は31億円となり、法人税等と非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は21億1千3百万円(前期比 39.8%増)となりました。また、1株当たり当期純利益は90円88銭(前期は65円01銭)となりました。

なお、セグメントごとの分析につきましては、「1.経営成績等の状況の概要 (1) 財政状態及び経営成績の状況 (セグメントの業績)」を参照願います。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度末における当社グループの資金(連結キャッシュ・フロー計算書の「現金及び現金同等物」)残高は、前連結会計年度末より15億2千8百万円増加して181億3千7百万円となり、当社グループの流動性は、十分な水準にあると考えられます。

将来の事業活動に必要な運転資金及び設備投資資金につきましては、営業活動により得られた資金及び内部資金より調達しております。また、資金の運用につきましては、信用リスク、金利等を考慮し、安全性を第一と考え、元本割れの可能性が極めて低いと思われる金融商品で行っております。

なお、キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「1.経営成績等の状況の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」を参照願います。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループは、設計・製造の効率化という課題の解決に向けたソリューションビジネスを展開しております。エレクトロニクス製造業、自動車関連・産業機器製造業を主要な市場とするほか、ソリューションを拡充し、設計・製造プロセス全体の最適化を提供していくこと等により、新たな市場、技術領域への取り組みを積極的に展開し、事業基盤のさらなる拡大を図っております。そのため、各種ソリューションの開発・強化の進捗やその品質・信用性の向上、エレクトロニクス、自動車関連・産業機器を中心に製造業における設備投資の動向、さらには有力企業や関連会社との良好な協業・連携の維持といった要因が経営成績に重要な影響を与えるものと思われます。詳細につきましては、「2.事業等のリスク」を参照願います。

 

(5) 今後の見通し

今後の経済環境につきましては、米国経済政策や中国の景気減速懸念などから、先行きの不透明感が高まっていくものと思われます。

このような中にあって当社グループは、お客さまの次世代のモノづくりに貢献する最適なソリューションを提供し、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。詳細につきましては、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を参照願います。

 

4【経営上の重要な契約等】

当社は、これからの成長領域として、新たに製品構想段階でのシステム設計を支援するソリューションやサービスの拡充に取り組んでいくため、2019年3月22日付にて、MBSE分野で最先端技術を保有するVitech Corporation(本社:米国バージニア州)の全ての株式を既存株主より取得する株式譲渡契約を締結いたしました。なお、本株式の取得は対米外国投資委員会(CFIUS)の手続きを経て完了となります。

 

5【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、日本及び欧州の各セグメントにおいて行っております。エレクトロニクス製造業、自動車関連・産業機器製造業の分野を中心にモノづくり企業における設計・製造の効率化に関するソリューションを研究開発対象としており、保有する技術を相互補完することにより研究開発の成果増大に効果をあげております。当連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動の状況及び研究開発費は、以下のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は3,717百万円となっております。

 

(1) 日本

日本における主要な研究開発活動は以下のとおりであり、研究開発費は2,331百万円であります。

電子機器設計支援における新規分野として、MBSE(モデルベース・システムズエンジニアリング)領域ならびにMBD(モデルベースデベロップメント)領域への参入に向けた研究開発に取り組みました。具体的には、MBSE分野で長年の実績を持つ米国Vitech社のテクノロジーとノウハウの融合により、MBSEプロセスを「CR-8000」や「DS-CR」、「DS-E3」と連携するための研究開発を開始し、またHILS(ハードウエアインザループシミュレーション)環境を活用して詳細設計内容をモデル化して実機試作前の動作検証を可能とする研究開発など、新たなソリューションやサービスの拡充に取り組みました。またさらに、第3世代のAI(人工知能)エンジンを活用した基板配置配線の効率化と自動化、ナレッジデータベースとAIを組合せた設計支援、AIを活用した回路基板設計品質のチェック機能実現などを「CR-8000」や「DS-CR」上で提供するための様々なプロジェクトを進行させました。

回路・基板分野の研究開発活動としては、システムレベルマルチボード設計環境「CR-8000 Design Force」において、テンプレート配置の機能拡張や簡易配線引き込みの差動配線対応、シールドビア発生機能、配置配線機能を強化し、実設計における設計効率向上のための機能を開発しました。また、エレメカ連携の設計品質を向上させる3Dものさし機能や2つの設計データを形状比較する機能も開発しました。さらに、ANSYS社やKeysight社等のインダストリースタンダードのCAE製品との連携を強化しシステムレベルでの解析環境の拡充も進めています。

システムレベル回路設計環境「CR-8000 Design Gateway」では、コンストレイントブラウザの「CR-8000 Design Force」との統合やデザインルールチェック強化およびそれを応用したマルチボード接続検証環境として基板間接続検証機能を開発しました。モジュラーデザインの対応としては、回路ブロック作成・流用・編集機能の強化を実施しました。

システムレベル構想設計環境「CR-8000 System Planner」では、MBSEと連携を実現するモジュラーデザインのフロントエンドツールとして、ブロック設計機能やレイアウト設計機能を強化し、より簡易なモジュラーデザインと精度の高いフロアプランの両立に向けた開発を行いました。

基板製造設計支援システム「CR-8000 DFM Center」では、ICT設計機能の強化としてICT検査装置用データ出力機能を開発しました。また、業界標準フォーマットのODB++とDXFの最新バージョンへの対応やIDFフォーマット出力機能を開発するとともに、海外ユーザニーズへの対応を実施し、各種設計情報を有効活用した実装準備作業を効率化する機能を強化しました。

回路・基板統合設計環境「CR-5000 System Designer」および「CR-5000 Board Designer」では、シートエディタ機能の強化として回路図ブロック入力時の内部表示機能を追加し、ゲート一括入力時の自動リファレンス生成機能を拡張しました。配線設計における効率向上としては領域DRCの改善を行いました。

ワイヤハーネス分野では、「Cabling Designer」および「E3.series」の製品統合を進め、プロダクトラインエンジニアリングや自動設計等の先進機能技術基盤を開発しました。ワイヤハーネス製造設計環境「Harness Designer Manufacturer Edition」においては、製造指示情報の自動生成・差分反映機能や製造要件チェック機能等、製造設計精度と製造効率を高める機能の強化を行いました。また、3Dケーブル配線設計環境「XVL Studio WR」の自動配線ロジックの高速化、電気回路データのシームレス連携拡張、3D-CADデータ出力など、設計プロセス全体の効率化に貢献する機能を開発しました。

電気制御設計分野では、新たにプラントエンジニアリング業界に向けて「E3.series」をベースに「E3 for Electrical Construction」を開発しました。当該製品は、スマートファクトリー化が進む国内の工場やプラントの設計に必要な制御回路からケーブル施工までの図面を、効率よく設計できる新たなソリューションです。また、電気CAD「ACAD-DENKI」のオプションとして、シーケンス回路図面の論理シミュレーションを行える「ハード回路シミュレーター」を新たに開発しました。これまで盤を製造した後の動作検証で判明していた回路設計ミスを事前に検出・修正できるようになり、盤の設計・製造工程の短縮化を実現しました。

エンジニアリングPLM分野では、電子機器設計向けPLM「DS-2」における「DS-CR」ではシステムレベル設計/解析/検証プラットホームとして「CR-8000」との連携強化やモジュラーデザイン対応の深耕を行いました。併せてAI技術を活用したナレッジ検索の開発についても取り組みを始めております。「DS-E3」ではワイヤハーネス連携として「E3.series」の各種データ管理機能の強化を行っております。「DS-OP」ではPLM/CAEベンダー各社とのアライアンスを強化するため、各種PLM/CAE製品の混在した環境に適応させる対応も行っております。

エンタープライズPLM分野では、既存製品である「visual BOM」において、データベースとアプリケーションサーバーをオープンソースに対応しました。これにより、仮想化環境やクラウド環境上においても、システムを容易に運用することが可能となりました。またナレッジマネージメント分野では、既存製品である「Knowledge Explorer」において、重要語を割り出すためのAI(機械学習)を開発し、エンジンとして実装しました。同時にOfficeアドイン製品およびWebブラウザ版クライアントをリニューアル開発しております。

ミドルウェア分野では、コネクテッドカーの基盤となるネットワーク技術としても注目されるEthernet AVB規格をIoT機器に実装するためのミドルウェア製品「Ze-PROR AVB」を強化しました。また、製造業における高速製造ラインへの対応を強化するため「HS Finder」を開発し、製品化しました。

米国シリコンバレーの「Zuken SOZO(創造)Center」においては、米国を拠点とするグローバルユーザの要望を受けた製品開発を推進すべく、日本と欧州の開発拠点と協力して「CR-8000 Design Force」の半導体/パッケージ/基板のコデザイン機能の開発や他社CADで作成した設計データの製造製検証として「DFM Center/ADM」の機能拡張を行いました。

 

(2) 欧州

欧州における主要な研究開発活動は以下のとおりであり、研究開発費は1,385百万円であります。

電子回路・基板設計分野では、「CR-8000 Design Force」の配置配線機能の強化として配線整形やビア移動の配線押しのけ、自動配置のオフセット、リファイン配置、ネット重み付けなど、設計時間の大半を占める配置配線作業を効率化する大幅な機能強化を行いました。SI/PI/EMI解析モジュールにおいては、TDR解析結果のインピーダンス表示対応、シミュレーションライブラリアクセスのパフォーマンス向上、PI解析時の受動部品モデルの考慮などの機能開発を行いました。また、プロトタイピング市場向けに中小規模の設計に最適化された設計システム「CADSTAR」の次世代設計環境「eCADSTAR」については、日本と英国とで分担開発を進め、欧州向けにパイロットリリースを行いました。

 

(3) 米国

該当事項はありません。

 

(4) アジア

該当事項はありません。