文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、エレクトロニクス製造業、自動車関連・産業機器製造業を中心にその他のモノづくり企業を含め幅広いお客さまの設計・製造の効率化、生産性の向上を図り、製品の開発、製造を支えることにより、モノづくり産業の発展に貢献することを基本方針としております。これに向け、当社グループは、常に市場ニーズの変化に的確に対応し、最適なソリューションの提供に努めております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループの主要な市場であるエレクトロニクス製造業、自動車関連・産業機器製造業は、新興国における需要の拡大や環境対応などの技術革新の必要性などから、当社グループの果たすべき役割はますます重要となってきております。また、製造業全体において製品のエレクトロニクス化が急速に進んでおり、当社グループが取り組むべき市場も拡大してきております。当社グループでは、こうした状況の中、引き続きソリューションビジネスを推進するとともに、新たな市場や技術領域への積極的な展開などにより、事業の拡大や伸長を図りつつ、株主のみなさまの長期的な利益を確保するという観点から、1株当たり当期純利益の持続的な伸長をひとつの指標として経営を推進しております。
(3) 経営環境、経営戦略及び対処すべき課題
今後の経済環境につきましては、米国経済政策の影響や更なる物価上昇への懸念などから先行き不透明な状況は続いていくものと思われます。その一方で、生成AIをはじめとするテクノロジーの進歩により、世界のモノづくりを取り巻く環境は変化を続けており、当社グループが取り組むべき事業領域は、ますます拡大していくことが見込まれます。
このような中にあって、当社グループは、お客さまが抱える課題に真正面から取り組み、モノづくりのプロセス全体の効率化を実現するソリューションを早期に提供していくことで、世界のモノづくり企業を全面的に支援してまいります。
このために、当社グループの対処すべき課題は、以下のとおりであります。
① 主力製品の拡販
主力の電気設計システム「CR-8000」シリーズについては、次世代の設計環境を見据え、構想段階の設計システムや解析システムなどとの連携を強化するとともに、これまで培ってきた課題解決型の提案活動を強力に推し進め、全世界で拡販してまいります。
ワイヤハーネスの設計システム「E3.series」においては、販売体制をより一層強化し、顧客ニーズにきめ細かく対応するとともに、設計データ管理システム「DS-E3」と併せて、設計・製造プロセス全体の効率化を担う一貫したソリューションとして提案してまいります。
② 中長期的な成長へ向けた取り組みの加速
構想設計のデジタル化により、電気、機械、ソフトウェアなどの複数にまたがる設計分野を連携させることで、複雑化する製品開発のプロセス全体の大幅な効率化を実現し、システムズエンジニアリング市場でのビジネスを拡大させてまいります。まずはMBSEモデリングツール「GENESYS」において、既存のシステムとの連携を強化し、ユーザの運用の実態にあわせた提案を行い、本格的な運用に進むユーザを増やしてまいります。
また、電気設計領域において、半導体分野の研究プロジェクトへの参画を通じて技術力をより一層高め、さらに生成AIなどの最先端の技術も積極的に活用し、主力の電気設計システム「CR-8000」シリーズの製品力のさらなる向上に努めてまいります。
これにより、モノづくり企業のDXを支援する革新的なソリューションの提供に向けてグループの総力を結集して取り組んでまいります。
以上の取り組みにより、当社グループは、お客さまの次世代のモノづくりに貢献する最適なソリューションを提供し、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する考え方
当社グループは、ITによってモノづくり企業のエンジニアリング・プロセスを効率化していくことを事業の目的としております。エンジニアリング・プロセスの効率化は、設計や製造のみならず、調達、サービス業務の効率化を通じて、サプライチェーン全体で地球環境の負荷の低減にも大きく貢献することができます。また、当社のソフトウェアの利用により、省エネルギー、小型・軽量化を目指すモノづくり企業の製品が普及することは広く持続可能な社会の実現にもつながります。
このことから、当社グループは、事業目的自体がサステナビリティに密接に関係したものであると認識しております。「持続可能な社会の実現」という視点を経営戦略および成長戦略立案の中に、より明確に取り入れ、提供できる製品やソリューションの幅をさらに拡げていくことで、持続可能な未来に貢献していく企業を目指します。
(2)サステナビリティに関する取組
当社はサステナビリティに関して、事業目的自体がサステナビリティに密接に関係したものであると認識しており、以下のとおり、「ガバナンス」および「リスク管理」の枠組みを構築し、課題に対し戦略、指標及び目標を定めて取り組んでおります。なお、グループ会社においては各社の事業内容に応じ、主体的に取り組んでおります。
①ガバナンス
当社は、変化の激しい事業環境に迅速かつ機動的に対応し、適法かつ適正で健全性の高い企業活動を行うことのできるガバナンス体制を構築することが、サステナビリティ関連のリスクおよび機会を監視し、管理するために必要と考えております。
このような考えの下、サステナビリティの推進体制につきましては、代表取締役副社長をプロジェクトリーダーとして、総務部門、人事部門、広報部門を中心としたプロジェクトチームにより、各事業部門及び各グループ会社と連携を図りながら、各施策の推進に取り組んでおります。
②リスク管理
サステナビリティ関連のリスク及び機会の識別、評価及び管理につきましては、サステナビリティプロジェクトの各施策の進捗状況を取締役会へ報告のうえ、取締役会が活動方針や取り組み状況について監督・承認する体制となっております。
③重要課題
当社では、上記(1)のサステナビリティに関する考え方に基づき、当社グループの事業に及ぼす影響やステークホルダーからの期待を踏まえて課題を抽出し、上記枠組みに基づき、次の3項目の重要課題を特定いたしました。なお、当社の事業は環境負荷の高い業種ではないため、気候関連の項目は重要課題として特定しておりません。
1.エンジニアリングITによる持続可能なモノづくりへの貢献
お客さまにおける技術伝承や人材不足、システム老朽化などの課題解決を支援するため、製造業のスマート(知能)化を促進するソリューションへの開発投資を強化します。また、当社のエンジニアリングITの知見を活かし、お客さまのデジタル人材の育成やリスキリングを支援するサービスを拡充します。
2.人的資本の拡充
当社のソフトウェア事業の源泉である人的資本を最大化するため、多様な人材がいきいきと働き、長期にわたりキャリア形成ができる職場環境を目指します。また、社員が持つ能力・可能性を最大限引き出すための人材マネジメントを強化します。
3.機動的かつ健全なガバナンスの確立
変化の激しい事業環境に迅速かつ機動的に対応し、適法かつ適正で健全性の高い企業活動を行うため経営体制を強化します。
④戦略、指標及び目標
当社は上記(1)③の重要課題を実施するため、以下のとおり戦略、指標及び目標を定めております。
ⅰ)「1.エンジニアリングITによる持続可能なモノづくりへの貢献」及び「2.人的資本の拡充」について
当社は、人的資本が源泉となるソフトウェア製品を開発し、販売する企業であることから、人的資本を最大化することが重要であると考えております。社員が持つ能力・可能性を最大限引き出せるよう、多様な人材がいきいきと働き、長期にわたりキャリア形成ができる職場環境を目指し、人材育成と人材確保の施策に重点的に取り組んでおります。
人材育成の点では、当社の将来を担う人材の育成を目標とし、社員の育成段階に応じ、最適な研修を実施することを指標としております。当連結会計年度においては、次世代リーダーを対象とした人格形成研修、新任管理職を対象としたマネジメント研修及びコンプライアンス研修などを実施しているほか、新入社員の自作ロボットコンテストへの参加をバックアップするなどの施策を実施し、当社の将来を担う人材の育成に力を入れてまいりました。
人材確保の点では、多様な価値観が企業の成長につながると考え、男女、国籍を問わず適材適所の人材採用や人材配置を行っており、特に女性採用比率を人材確保の指標とし、2026年の女性採用比率25%を目標としております。当連結会計年度においては、女性採用比率は約20.8%となっております。当社は女性採用比率向上の施策として、女性の基幹職(各職場・業務における中核的な役割を果たす職種)への積極的な登用を促進していきたいと考えており、女性のキャリア形成支援として、女性が安心して長期間働くことができる職場環境や制度を備えております。具体的には、育児休業の取得促進制度、各種休暇制度、小学校3年生修了までを対象とする法定期間を上回る短時間勤務制度などを導入し、仕事と育児の両立を支援しております。なお、当社では、人的資本・多様性に関する「戦略」及び「指標と目標」に関し具体的に取り組んでいるものの、全てのグループ会社での取り組みとはなっていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、上記の「戦略」及び「指標と目標」は、提出会社のものを記載しております。
ⅱ)「3.機動的かつ健全なガバナンスの確立」について
当社グループは、(1)で記載のとおり、事業目的自体がサステナビリティに密接に関係したものであると認識しております。ソフトウェア業界を取り巻く環境の変化は激しく、意思決定の遅れは、サステナビリティ関連のリスクとなるため、ビジネスの遅れに繋がらないよう、適切なタイミングで意思決定を行うことが求められております。また、迅速かつ機動的な意思決定のもと、健全性の高い企業活動を行い、ソフトウェア製品を開発して販売していくことがサステナビリティ関連の機会となります。
サステナビリティ関連のリスクおよび機会を長期的に評価し、管理し、監視するため、機動的かつ健全な意思決定を行うことのできるガバナンス体制を構築することが当社の取組となります。具体的には、4
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 特定の市場への依存について
当社グループは、エレクトロニクス製造業、自動車関連・産業機器製造業の分野を中心にモノづくり企業における設計・製造の効率化に関するソリューションの提供を主要な事業としております。そのため、当社グループの業績は、かかる製造業における景気の動向や設備投資の動向の影響を受ける場合があります。新たな有力市場、技術領域への取り組みなど事業の拡大に努めておりますが、製造業における業績の低迷や設備投資の停滞が継続した場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(2) ソリューションの開発について
当社グループは、お客さまのニーズに応えた最適なソリューションを提供するため、最新のトレンドや技術を取り入れた新製品の開発や機能強化などを鋭意行っております。また、品質の向上とその管理の徹底に努めるとともに、欠陥等の不具合を生じないよう、また生じた場合にも迅速に修補等の対応を行うよう万全の体制を敷いて事業に取り組んでおります。しかしながら、計画通りに開発が行われなかった場合は、営業機会の喪失や事業展開の遅延などが生じるおそれがあります。また製品に重大な不具合があった場合は、修補対応や瑕疵担保責任の負担のほか、ソリューションに対する信用の低下などが生じるおそれがあります。これらが生じた場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(3) 知的財産権について
当社グループは、コンピューターテクノロジーとITを用いたソリューションビジネスの展開、継続において、著作権、特許権、商標権その他の知的財産権の確保が極めて重要なものと考えております。しかしながら、その取得に官公庁の審査を要するものについては、必ずしも取得できるとは限りません。また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう十分配慮して製品を開発しておりますが、当社グループの製品が他社の知的財産権を侵害しているかどうかを全て調査、把握することは事実上困難であります。当社グループの製品、技術、商標等が第三者の知的財産権を侵害し、ロイヤリティーの支払や使用差止、損害賠償を請求された場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(4) 有力パートナー企業との提携関係について
当社グループは、確固たる事業基盤の構築や新規事業への進出を図るため、製品開発・販売面などにおいて、多数の有力パートナー企業と長期的な提携関係を築いております。しかしながら、これらパートナー企業が破産、倒産した場合や買収された場合、又は戦略上の目標を変更した場合、提携関係は解消されるおそれがあります。複数の、又は重要な提携関係が解消された場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(5) 子会社の設立、資本提携、企業買収等について
当社グループは、事業の拡大や補強等のため、事業展開に応じて、子会社、関連会社の設立や、協力会社との資本提携、有力企業の買収等を行っております。しかしながら、これらを行った場合、当初の計画通りに業績が伸長しないおそれや、コスト負担が増大するおそれがあります。これら会社の経営成績、財政状態が悪化した場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(6) 海外展開について
当社グループは、欧米やアジア各国に事業を展開しております。しかしながら、海外市場においては、①政治、経済環境の急激な変動、②為替レートの変動、③法律、規制の予期しない変更、④人材確保の困難、⑤テロ、戦争、伝染病その他による社会的混乱などのリスクを内包しております。これらが顕在化した場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(7) 機密情報及び個人情報の管理について
当社グループは、システムの開発業務や各種コンサルティング、検証・支援業務などにおいて、お客さまの設計データや新製品情報などの重要機密情報を知る機会があります。また、お客さまや株主、社員等に関する個人情報を多数保有しています。社内情報システムの整備、機密保持契約の締結、社内規程・ガイドラインの制定、社員の教育など情報管理の徹底に努めておりますが、万一機密情報又は個人情報が当社グループより漏洩し、損害賠償の請求や信用の失墜などが生じた場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(8) 退職給付債務及び費用について
当社グループは、当社及び一部の連結子会社において確定給付型の退職一時金制度を、また一部の海外連結子会社において確定給付型の退職年金制度を設けております。しかしながら、退職給付債務及び費用の算出条件の変動や年金資産の運用状況の悪化、また退職給付に関する法制度や会計基準の変更などにより、退職給付債務及び費用が増加するおそれがあります。これにより、退職給付債務及び費用の負担が多大なものとなった場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(9) 自然災害及び感染症の流行等について
当社グループは、日本及び世界各国に事業活動の拠点を有しております。災害の防止やその対策には十分な注意を払っておりますが、大地震や火災、感染症の流行等により、重要な開発・営業拠点に壊滅的な損害が生じるおそれや社員が就業できなくなるおそれがあります。これにより、事業活動が中断、遅延し、その復旧等に多大な費用が生じた場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①当連結会計年度の概況
当連結会計年度の経済環境は、米国経済政策の動向や中国経済の下振れ懸念などから先行き不透明な状況は続いているものの、企業収益の改善により景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。
このような中、製造業におけるDXへの取り組みは加速しており、当社グループの主要なお客さまであるエレクトロニクス製造業、自動車関連・産業機器製造業におきましても、DXに向けたIT投資は活発な状況が続いております。
このような中にあって、当社グループは、世界のモノづくり企業の設計・製造にかかわる様々な課題の解決に向けて最適なソリューションを提供していくエンジニアリングITカンパニーを目指し、主力製品の拡販および機能拡充に注力し、中長期的な成長を見据えた取り組みも行ってまいりました。当連結会計年度の主な取り組みは、次のとおりであります。
(ⅰ) 主力製品の拡販および機能拡充
営業面につきましては、エレクトロニクス製造業において、主力の電気設計システム「CR-8000」シリーズの拡販に注力し、「CR-5000」シリーズおよび他社システムからのリプレースを積極的に推進してまいりました。また、自動車関連・産業機器製造業向けのワイヤハーネスの設計システム「E3.series」においては、既存市場への拡販に注力するとともに、送電などを行う電力インフラ市場に対して、制御ケーブルの膨大な管理業務を効率化するシステムとして、新たに販売を推し進めてまいりました。さらに、これらの設計システムのデータを管理するDSシリーズについても、設計効率を大幅に向上させるソリューションとして併せて提案し、大規模な設計環境への導入につなげてまいりました。
開発面につきましては、「CR-8000」シリーズにおいて、AIを活用した自動配置配線機能の強化や解析機能の拡充を進め、製品力を更に高めてまいりました。また、データ管理システムDSシリーズにおいては、設計部門のみならず他の部門においても、設計データを活用できるWeb版の改良に積極的に取り組み、モノづくりのプロセス全体の最適化のニーズに応えてまいりました。
(ⅱ) 中長期的な成長を見据えた取り組み
システムズエンジニアリングにつきましては、MBSEモデリングツール「GENESYS」の提案活動を強化し、導入効果の検証を積極的に支援することで、本格的な導入へ向けた成果を着実に積み上げてまいりました。また、「GENESYS」と「CR-8000」シリーズとの連携機能を強化したほか、「GENESYS」で作成したモデルの共有や円滑な情報交換をWeb上で実現できる機能を開発するなど、ユーザの利便性を高めてまいりました。これは、構想段階の設計情報をデジタル化して詳細設計にもつなげる、次世代の設計環境の提供を目指した取り組みであります。
また、半導体分野におきまして、半導体の微細化がより一層進み、製造プロセスにおける課題の難度と重要度が高まっている中で、「CR-8000」シリーズの高度なデータ管理機能や高いパフォーマンスを活かすべく、半導体関連の研究プロジェクトに参画いたしました。これにより、半導体分野の最先端の知見を取り入れるとともに、導入実績を積み重ね、この分野において当社の地位を確固たるものにしてまいります。
②当連結会計年度の業績
(連結業績)
|
売上高 |
: |
407億3千6百万円 |
(前期比 5.9%増) |
|
経常利益 |
: |
59億3千6百万円 |
(前期比 9.1%増) |
|
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
: |
52億2千6百万円 |
(前期比 35.1%増) |
以上の取り組みにより、当連結会計年度の売上高は4期連続で過去最高を更新いたしました。特に、日本において、主力の電気設計システム「CR-8000 Design Force」および設計データ管理システムDSシリーズの販売が好調に推移し、欧州において、ワイヤハーネスの設計システム「E3.series」の売上が大きく伸長しました。
利益面につきましては、MBSE分野を中心に開発を加速させていることから開発費が増加したものの、売上高の伸長により営業利益、経常利益は4期連続で過去最高を更新いたしました。また、政策保有株式の売却に伴う特別利益の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益につきましても、過去最高となりました。
|
基板設計ソリューションの主な製品 |
CR-8000 Design Force CR-8000 Board Designer CR-8000 DFM Center CADSTAR eCADSTAR |
|
|
回路設計ソリューションの主な製品 |
CR-8000 Design Gateway CR-8000 System Planner E3.series E3.infinite Cabling Designer Harness Designer |
|
|
ITソリューションの主な製品 |
DS-CR エクスプレッソ DS-2 Expresso DS-E3 DS-E3.infinite GENESYS プリサイト ビジュアル ボム PreSight visual BOM |
|
(セグメントの業績)
報告セグメントの業績につきましては、次のとおりであります。
・日本
設計データ管理システムDSシリーズを中心にITソリューションの売上が順調に推移したことや、販売ライセンス数等の増加によりクライアントサービスが伸長したことなどから、売上高は299億7百万円(前年同期比 6.8%増)となりました。営業利益は売上高の増加などから47億8百万円(前年同期比 17.5%増)となりました。
・欧州
回路設計ソリューションはワイヤハーネスの設計システム「E3.series」を中心に、ITソリューションはデータ管理システム「DS-E3」を中心に売上が増加したことなどから、売上高は89億1千3百万円(前年同期比 4.4%増)となりました。営業利益は売上高の増加などにより8億3千2百万円(前年同期比 10.7%増)となりました。
・米国
ITソリューション及びクライアントサービスの売上が減少したことなどから、売上高は30億7千6百万円(前年同期比 1.7%減)となりました。営業損益は研究開発費の増加などから営業損失7億8千5百万円(前年同期 営業損失3億5千4百万円)となりました。
・アジア
インドで電気設計システム「CR-8000」シリーズを中心に基板設計ソリューション及びクライアントサービスの売上が増加したことなどにより、売上高は20億7千8百万円(前年同期比 5.5%増)となり、営業利益は5億3千3百万円(前年同期比 9.6%増)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比較して7千1百万円減少し、当連結会計年度末は272億2千4百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、48億6千1百万円(前期比 1千8百万円減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益74億2千9百万円(前期比 19億1千1百万円増)の計上、減価償却費8億3千万円(前期比 1千9百万円減)などの増加要因と、法人税等の支払額15億2千2百万円(前期比 2千3百万円減)、投資有価証券売却益14億9千6百万円、持分法による投資利益4億9千2百万円(前期比 1億6千
7百万円増)などの減少要因との差引合計によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は、10億7千6百万円(前期は16億3千6百万円の支出)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入14億9千6百万円、定期預金の減少額1億4千3百万円(前期は9億
8千9百万円の増加)などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、59億5千7百万円(前期比 7億4千2百万円増)となりました。これは主に自己株式の取得による支出25億1百万円(前期比15億8百万円減)、配当金の支払額17億7千9百万円(前期比 6億3千9百万円増)、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出16億1千万円などによるものであります。
(3) 生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当社グループの売上高は、受注に基づくソフトウェア及びそれに付随するコンサルティングが主体であり、生産高と極めて近似しております。従って、セグメント別生産実績については、有用性が乏しいとの判断から記載を省略しております。
②受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前期比(%) |
受注残高(千円) |
前期比(%) |
|
日 本 |
29,775,722 |
110.5 |
13,617,925 |
112.2 |
|
欧 州 |
7,781,791 |
96.5 |
4,278,163 |
105.6 |
|
米 国 |
2,848,894 |
97.0 |
2,262,074 |
95.1 |
|
ア ジ ア |
1,877,713 |
92.4 |
754,959 |
86.3 |
|
合 計 |
42,284,121 |
105.8 |
20,913,122 |
107.6 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前期比(%) |
|
日 本 |
28,298,569 |
106.8 |
|
欧 州 |
7,531,400 |
106.2 |
|
米 国 |
2,950,943 |
97.6 |
|
ア ジ ア |
1,955,380 |
105.8 |
|
合 計 |
40,736,294 |
105.9 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(参考)製品区分別実績は次のとおりであります。
①受注実績
当連結会計年度における受注実績を製品区分ごとに示すと、次のとおりであります。
|
製品区分 |
受注高(千円) |
前期比(%) |
受注残高(千円) |
前期比(%) |
|
基板設計ソリューション |
4,689,966 |
88.3 |
1,364,055 |
81.9 |
|
回路設計ソリューション |
8,947,604 |
98.4 |
2,418,686 |
108.5 |
|
ITソリューション |
9,984,375 |
108.8 |
1,650,118 |
96.0 |
|
クライアントサービス |
18,641,385 |
113.8 |
15,480,157 |
112.0 |
|
その他 |
20,788 |
210.7 |
104 |
19.5 |
|
合計 |
42,284,121 |
105.8 |
20,913,122 |
107.6 |
②販売実績
当連結会計年度における販売実績を製品区分ごとに示すと、次のとおりであります。
|
製品区分 |
金額(千円) |
前期比(%) |
|
基板設計ソリューション |
4,969,908 |
105.8 |
|
回路設計ソリューション |
8,741,591 |
103.4 |
|
ITソリューション |
10,055,324 |
107.5 |
|
クライアントサービス |
16,948,249 |
106.3 |
|
その他 |
21,220 |
184.0 |
|
合計 |
40,736,294 |
105.9 |
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析等
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析等の内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末より6億5百万円減少して632億7千4百万円(前期比 0.9%減)となりました。流動資産は4億円減少して484億9千5百万円(前期比 0.8%減)、固定資産は2億4百
万円減少して147億7千8百万円(前期比 1.4%減)となりました。流動資産の減少の主な要因は、現金及び預金が2億2千9百万円、前払費用が8千9百万円減少したことなどであります。固定資産の減少の主な要因は、投資有価証券が4億7千7百万円減少したことなどであります。
当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末より4億6千3百万円増加して233億2千5百万円(前期比 2.0%増)となりました。流動負債は5億9千2百万円増加して193億7千9百万円(前期比 3.2%増)、固定負債は1億2千8百万円減少して39億4千6百万円(前期比 3.2%減)となりました。流動負債の増加の主な要因は、未払法人税等が7億2千6百万円増加したことなどであります。固定負債の減少の主な要因は、退職給付に係る負債が1億2千2百万円減少したことなどであります。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末より10億6千8百万円減少して399億4千8百万円(前期比 2.6%減)となりました。この減少の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を52億2千6百万円計上した一方で、当期中に自己株式を25億1百万円取得したことや、配当金17億7千9百万円の支払いをしたことの差引であります。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の63.3%から0.2ポイント減少し、63.1%となりました。
(2) 経営成績の分析
当連結会計年度の業績につきましては、主力の電気設計システム「CR-8000」シリーズやワイヤハーネスの設計システム「E3.series」の売上が伸長したことや、国内子会社のネットワークセキュリティ関連製品の売上が好調に推移したことにより、売上高は407億3千6百万円(前期比 5.9%増)となり、過去最高を更新いたしました。利益面につきましては、原価率の高い外部仕入品の売上割合が増加したことなどにより売上原価が増加したものの、売上高の増加により売上総利益は279億2千3百万円(前期比 6.8%増)となりました。販売費及び一般管理費は225億3千1百万円(前期比 5.6%増)となり、営業利益は53億9千2百万円(前期比 12.4%増)と、前連結会計年度を上回りました。
営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は、5億4千3百万円の収益の計上となりました。これは主に、営業外収益として持分法による投資利益が4億9千2百万円、受取利息が1億4千万円計上されたことなどによるものであります。
以上の結果、経常利益は59億3千6百万円(前期比 9.1%増)となりました。
特別利益から特別損失を差し引いた純額は、14億9千3百万円の利益となりました。これは主に、特別利益として投資有価証券売却益が14億9千6百万円計上されたことなどによるものであります。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は74億2千9百万円となり、法人税等と非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は52億2千6百万円(前期比 35.1%増)となりました。
また、1株当たり当期純利益は236円99銭(前期は171円37銭)となりました。
なお、セグメントごとの分析につきましては、「1.経営成績等の状況の概要(1)財政状態及び経営成績の状況 (セグメントの業績)」を参照願います。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度末における当社グループの資金(連結キャッシュ・フロー計算書の「現金及び現金同等物」)残高は、前連結会計年度末より7千1百万円減少して272億2千4百万円となりましたが、当社グループの流動性は、十分な水準にあると考えられます。また、財務状態につきましては、流動比率は250.2%、自己資本比率は63.1%であり、健全な財務状態であると認識しております。
将来の事業活動に必要な運転資金及び設備投資資金並びに株主還元等につきましては、営業活動により得られた資金及び内部資金より調達しております。また、資金の運用につきましては、信用リスク、金利等を考慮し、安全性を第一と考え、元本割れの可能性が極めて低いと思われる金融商品で行っております。
なお、キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「1.経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フロー」を参照願います。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者が採用した会計方針及びその適用方法並びに経営者によって行われた見積りや評価が含まれております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
なお、現時点において連結財務諸表作成における重要な見積りの判断等に与える重要な影響は認識しておりません。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、設計・製造の効率化という課題の解決に向けたソリューションビジネスを展開しております。エレクトロニクス製造業、自動車関連・産業機器製造業を主要な市場とするほか、ソリューションを拡充し、設計・製造プロセス全体の最適化を提供していくこと等により、新たな市場、技術領域への取り組みを積極的に展開し、事業基盤のさらなる拡大を図っております。そのため、各種ソリューションの開発・強化の進捗やその品質・信用性の向上、エレクトロニクス、自動車関連・産業機器を中心に製造業における設備投資の動向、さらには有力企業や関連会社との良好な協業・連携の維持といった要因が経営成績に重要な影響を与えるものと思われます。詳細につきましては、「3.事業等のリスク」を参照願います。
(6) 今後の見通し
今後の経済環境につきましては、米国経済政策の影響や更なる物価上昇への懸念などから先行き不透明な状況は続いていくものと思われます。
このような中にあって、当社グループは、お客さまの次世代のモノづくりに貢献する最適なソリューションを提供し、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。詳細につきましては、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を参照願います。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、日本、欧州及び米国の各セグメントにおいて行っております。エレクトロニクス製造業、自動車関連・産業機器製造業の分野を中心にモノづくり企業における設計・製造の効率化に関するソリューションを研究開発対象としており、保有する技術を相互補完することにより研究開発の成果増大に効果をあげております。当連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動の状況及び研究開発費は、以下のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は
(1) 日本
日本における主要な研究開発活動は以下のとおりであり、研究開発費は
総合的な視点では、電気電子機器設計製造のフロントエンドにMBSE(モデルベース・システムズエンジニアリング)を導入し、要件定義や構想設計を、詳細設計・製造設計のデータ管理やPLMシステムと連携することで、トレーサビリティを高め、設計製造のリードタイム短縮、効率的な設計資産活用、ベテランエンジニアの技術伝承などを実現する電気電子機器設計製造フローとライフサイクル全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいます。また、AI(人工知能)を活用した設計自動化と効率化、先端半導体設計領域における2.5D/3DICの前工程・後工程のトータル設計フロー実現、ワイヤーハーネス設計の自動化やプラント・電力配電分野への展開など、各分野で新たなテーマへの開発に取り組んでいます。以下に各領域での取り組みを説明します。
MBSE/MBD(モデルベース開発)領域では、MBSEツール「GENESYS」と「CR-8000」の連携を実現する「GENESYS-CR DG-Connector」において、スパイダー図によってブロック図との連携を表示する機能開発や「GENESYS」の階層管理に対応する開発を行いました。「GENESYS Utility Power Pack」では、チェック機能で検出したエンティティを容易にビューイングできる機能を開発しました。また、「DS-CR」によって「GENESYS」のシステムモデルを管理することで、トレーサビリティ環境を提供するソリューションの開発に取り組みました。
回路・基板を中心とした電子機器設計支援EDA分野では、システムレベルマルチボード設計環境「CR-8000 Design Force」において、高速信号の等遅延設計に対応する複数の新規機能の開発や、エレメカ設計における外来ノイズ対応といった新しいEMCチェック機能の開発を行いました。さらに先端半導体部品分野では、「CR-8000 Design Force」の2.5D/3DICの先端パッケージング機能とSynopsys社の半導体設計機能を連携させることで、チップレット、ダイスタック、インターポーザー、パッケージを含むトータル設計フローを実現しました。また、部品ライブラリ設計領域では、「CR-8000 Components Editor」において、WEBで提供される部品メーカーの情報を取り込み、短時間でライブラリ構築を実現する機能を開発しました。
システムレベル回路設計環境「CR-8000 Design Gateway」では、電気回路検証作業を支援する電源ICやプルアップ/プルダウン抵抗に関する新たなチェック機能や、回路図面の作成を効率化する定型回路の自動生成機能を開発しました。
システムレベル構想設計環境「CR-8000 System Planner」では、「CR-8000 Design Gateway」及び「DS-CR」と連携時のトレーサビリティに対応する機能開発を行いました。また、図面によるレビュー環境を充実させる高度なPDF出力機能を開発しました。
基板製造設計支援システム「CR-8000 DFM Center」では、お客様の製造プロセスのDXを推進する実装関連機能の開発、半導体設計部門や協業企業との連携を可能にするGDSIIファイル入出力機能の開発を行いました。また、半導体など基板の高機能化に伴う高密度・高多層データに対する表示パフォーマンスの大幅な高速化を行いました。
ワイヤーハーネス設計分野では、輸送機器市場向けの次世代システム「E3.infinite」において、3D経路から取り込んだトポロジー情報とシステム回路図情報からハーネス図の自動生成を行うため、「Topology Advance」上で、アース結合自動化、中間コネクタ自動嵌合、分岐自動集約配置などの機能などを開発しました。また、ハーネスサプライヤー向けの詳細設計を支援する「Formboard Advance For Manufacturer」において、寸法の自動配置機能やワイヤーハーネス検査機との連携機能を開発しました。
マシナリー向けアドオンパッケージ「E3 Service Utilities」では、信号名ラベル、バルーン番号の自動設定機能や上流設計の仕様設計工程と連携を実現する新製品「E3.SU.link」を開発しました。
プラント/工場の電気工事設計向けパッケージ「E3.EC options」では、キャビネットの位置情報に基づいてケーブル引出方向を自動設定する機能、配線系統図自動生成機能などを開発し、大規模建物の宅内配線配電設計の効率化を図りました。
エンジニアリングPLMプラットフォーム「DSシリーズ」では、回路基板設計領域の「DS-CR」において、セキュリティ管理要求の高度化に対応して、新たな認証方式やミドルウェア環境に対応しました。デジタルデータ共有/共創環境「DS-Web」では、部品表の集計機能や設計データの比較機能を開発しました。ワイヤーハーネス設計領域では、マシナリー/プラント市場向けソリューション「E3.series」のデータ管理ツール「DS-E3.series」と「E3.infinite」のデータ管理ツール「DS-E3.infinite」の両製品において、高度なQCDやBCP対策、トレーサビリティを支援するため、電装部品管理モジュールの開発、カテゴリによるモジュール管理機能の開発を行いました。電気電子機器設計領域のデータ管理と、エンタープライズPLM領域のデータ管理を統合する協調環境「PLM Interface」においては、新たな複数のPLMソリューションベンダーとの連携を開発しました。
電気制御設計の分野では、受配電メーカへの新しいソリューションとして、設計・製造領域の前工程である営業部門をターゲットにした「BAN DRAFTER」を開発しました。この製品はCADオペレーションを不要とし、営業部門の担当者が必要なパラメータを入力すれば、見積書に添付するための単線結線図と外観図を自動作成するものです。現状では、顧客の設計部門が見積書用の図面を作成するための工数を割いていますが、その工数を削減するとともに、営業部門の商談成約率向上を実現できるシステムです。
エンタープライズPLM分野では、「visual BOM」において、3D設計情報の差分取込のパフォーマンスを大幅に高速化することにより、設計変更を適時にvisual BOMに連携できるようになりました。また、組立製造業向け原価見積ツール「COSTLink Qeep」においては、チャット機能を開発し、3D形状を活用した情報伝達を可能にすることで、各部門間で発生する見積に関するコミュニケーションを高度化、簡易化しました。
ナレッジマネージメント分野では、「Qualityforce」において、AIにより推定したクレーム情報を利用者が手入力で修正する機能を開発しました。利用者の訂正により、Qualityforceが正しいデータで再学習することで、推定の精度の向上が可能になりました。AI実装フルオート型ナレッジ活用ソリューション「Knowledge Explorer」においては、RDBの「検索インデックス差分更新」を開発しました。検索対象が大規模レコードである場合に検索インデックスの更新が高速化され、より最新のRDBの状態での検索を可能にしました。
ストリーミング製品分野では、ストリーミングミドルウェア製品のWeb対応に向けた基礎研究、セキュリティ対策が強化されるWebブラウザなどで、ストリーミング製品搭載を容易に実現できる環境構築を目的とした基礎研究および、ストリーミング・ネットワークビジネスにおける生成AIの活用方法や開発業務プロセスへの応用を目的とした生成AI活用に関する基礎研究を行いました。
MBD分野において、流体モデルの応用として精密機器の洗浄等に利用される、薬液の加熱・混合システムのモデル化研究を行い、その成果として流体応用システムのモデル構築手法をテキスト化することで、技術継承のための環境構築を行いました。
(2) 欧州
欧州における主要な研究開発活動は以下のとおりであり、研究開発費は
電子回路・基板設計分野では、「CR-8000 Design Force」上で稼働するAI技術を活用した自律型インテリジェント自動配置配線システム「Autonomous Intelligent Place and Route」の操作性改善と機能強化に加えて、パスコンの自動配置配線機能やバス配線自動経路探索機能といった人間による設計業務をアシストする新たな対話型自動設計機能の開発を行いました。また、SI/PI/EMI解析モジュール「Analysis Module Advance Multicore」では、お客様の解析準備作業を支援するため、S-Parameterモデルの相反性・受動性・因果性の検査機能、IBISモデルの複合電流やAMI特性の確認機能を開発しました。
ワイヤーハーネス分野では、「E3.series」において、制御盤開発/製造に頻用される注文生産プロセスを支援するコンフィグレータ機能「E3.ProjectConfigurator」を開発しました。インターネット上の部品情報検索/設計環境への反映を行う「E3.ComponentCloud」では、対象部品を20万点以上に拡充しました。また、設計情報をWeb/Cloud上で共有/参照可能とするWeb/Cloudビューイング機能の開発や、各種ワイヤ切断装置・パネル製造支援装置等との連携機能の開発を行いました。
(3) 米国
米国における主要な研究開発活動は以下のとおりであり、研究開発費は
MBSE分野では、「GENESYS」において、システム設計モデルの故障モード解析機能の開発、防衛・商業で使用される一般的なフレームワーク「UAF(Unified Architecture Framework) 1.2」との連携を実現しました。また、お客様のモデリングやモデルレビューの作業を大幅に軽減するテーブルビューやマトリクスビューを新規開発しました。
(4) アジア
該当事項はありません。