当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の概要
当第1四半期連結累計期間の世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルにおける武力衝突が長期化する中、欧州・アジア間の物流の要衝である紅海において商船が攻撃を受ける等、地政学上の不安定さが増しています。こうした中、米欧においては、コロナ期の景気対策の反動による高インフレを抑え込むための積極的な金融引き締めが実体経済に徐々に波及する兆しを見せています。中国においては、長期化する不動産市況の悪化に出口を見出せないことから、逆資産効果による個人消費の伸び悩みが見られる等、依然として厳しい状況が続いています。また、金融政策においては、国内で春闘による賃上げが前年を上回る見通しであること等を受けて日銀がマイナス金利を解除した一方で、米欧で金融引き締めが続いていることから、年初からの円安は継続しました。
車載市場では、前年に半導体不足による供給制約が発生した反動で、北米・欧州・中国いずれにおいても前年を上回る販売台数でした。一方で、米欧においては供給制約によるペントアップ需要が前年末までに一定程度消化され、かつ自動車ローン金利も高止まりしていることから、当連結会計年度全体での需要見通しは楽観視できない状況です。xEVについては、米国において補助金支給対象が厳格化され、またドイツにおいて補助金が打ち切られる等の環境下で、米欧の自動車メーカー各社がEVへの投資時期を遅らせること等を発表しました。最大市場である中国においては、メーカー各社が値引きを強化したこと等を受けて販売台数は引き続き堅調でした。
こうした中、当社グループでは計画期間を2024年から2026年までの3か年とする中期経営計画を発表しました。当社グループは、地政学リスクの高まり等による不安定な外部環境においても、中長期的には脱炭素化の流れは継続していくと考えています。脱炭素に関連するxEV関連、充電インフラ、太陽光発電、蓄電池等を含む用途群を「グリーンエネルギー関連」と定義し、重点分野と位置づけて更なる成長を目指します。足元では、これら重点分野における案件獲得活動に加え、省人化並びに品質向上を目的として工程間の材料・製品移送及び検査工程においてロボットやAI活用を進めています。また、生産技術者の往来を促進することで異なる生産拠点間での製造ノウハウ共有を進めています。
当第1四半期連結累計期間における当社グループの業績は以下のとおりです。
売上収益はノートパソコン、タブレット端末、スマートフォン関連の家電関連が伸び悩んだものの、車載関連で様々な用途の当社グループ製品需要が好調に推移し、インダストリー関連でxEV向けの急速充電インフラ等も堅調に推移したこと、並びに主要通貨に対し円安が進行したことから前年同四半期連結累計期間比2.1%増の36,313百万円となりました。
前年同四半期連結累計期間において中国がゼロコロナ政策を解除したことに伴いペントアップ需要による受注が多かった一方で、当第1四半期連結累計期間においてはこの要因が剥落した影響で工場操業度が低下したこと及び製造間接費の増加があったこと等から、営業利益は前年同四半期連結累計期間比47.2%減の1,194百万円となりました。また、当第1四半期連結累計期間は支払金利等の影響で金融収益/金融費用が729百万円のマイナスであったこと等から、税引前四半期利益は同71.4%減の464百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同71.8%減の348百万円となりました。
対前年 利益増減(単位:百万円)
◎参考:期中平均為替レート
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2023年第1四半期 |
2024年第1四半期 |
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米ドル/円 |
132.75 |
146.70 |
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ユーロ/円 |
142.03 |
159.92 |
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人民元/円 |
19.28 |
20.44 |
(市場別の概況)
当第1四半期連結累計期間における市場別の概況は次のとおりです。
1) 車載関連
世界的な新車生産台数の伸びを背景に、当社グループにおいてはxEV関連及びその他用途群の売上が好調に推移しました。車載関連の売上収益は前年同四半期連結累計期間比7.6%増の22,886百万円でした。
2) インダストリー関連
米欧のEVシフトにややブレーキがかかる動きもある中で、当社グループにおいてはxEV向け急速充電インフラ関連等が成長しました。インダストリー関連の売上収益は前年同四半期連結累計期間比3.4%増の9,360百万円でした。
3) 家電関連
ノートパソコン、タブレット端末、スマートフォン関連の需要が引き続き弱含みで推移したこと等から、家電関連の売上収益は前年同四半期連結累計期間比22.1%減の4,066百万円でした。
(単位:百万円)
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2023年第1四半期 |
2024年第1四半期 |
増加率(%) |
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車載関連 |
21,278 |
22,886 |
7.6 |
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インダストリー関連 |
9,051 |
9,360 |
3.4 |
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家電関連 |
5,222 |
4,066 |
△22.1 |
(報告セグメントの状況)
当第1四半期連結累計期間における報告セグメントの状況は次のとおりです。
1) アジア・パシフィック事業
アジア・パシフィック事業では、車載関連が堅調に推移した一方で、家電製品関連で大きく落ち込みました。また、米ドル高/円安での影響もあり、売上収益は前第1四半期連結累計期間比2.2%減の22,520百万円でした。前年同四半期連結累計期間において中国ではゼロコロナ政策の解除を受けて工場操業度が高水準であった一方で、当第1四半期連結累計期間における操業度は低水準であったことから、セグメント利益は同56.4%減の574百万円でした。
2) EU事業
EU事業では、前第1四半期連結累計期間に比べ円安/ユーロ高で推移したこと等から、売上収益は前第1四半期連結累計期間比5.2%増の15,411百万円でした。為替の影響を除くとマイナス成長となっており、特に家電関連で落ち込みました。減収の影響に加え、工場操業度が低下したことを受け、セグメント利益は同48.5%減の554百万円でした。
②財政状態に関する説明
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は152,361百万円となり、前連結会計年度末比9,575百万円増加しました。当社の保有資産の9割超は外貨建てですが、当期に進行した円安の影響で、外貨建て資産の評価額が大きくなったことから全体に資産残高が増加しました。
当第1四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は6,002百万円で、2,894百万円増加しました。手元資金については、国内外連結子会社各社に資金が滞留することにより資金効率が低下するリスクに鑑み、主要子会社の最低手持資金額を設定し毎月その設定額と実際手持資金とを比較することで、グループ全体での余剰資金を削減し借入金の圧縮に努めています。また、3か月先までのローリング・フォーキャストを毎月実施することで資金管理を行っています。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における負債合計は、有利子負債の借入及び返済による残高の変動等により92,131百万円となり、前連結会計年度末比6,657百万円増加しました。
当第1四半期連結会計期間末におけるネット有利子負債残高は、前連結会計年度末から3,240百万円増加し、51,509百万円となりました。当第1四半期連結会計期間末のネットDEレシオは0.89倍で、前連結会計年度末から0.01ポイント上昇しました。当第1四半期連結会計期間末現在、短期有利子負債(1年内返済予定又は償還予定の長期有利子負債を含む)の残高は37,436百万円で、長期有利子負債の残高は20,075百万円です。なお、当社グループの借入金のうち約71%が変動金利、約29%が固定金利によるものです。
当社グループでは、主要な銀行と定期的にミーティングを行い、良好な関係を築いています。銀行団のオープン・コミットメントラインは110億円を維持しており、これら全てが未使用です。
当社グループの保有する資産のうち大部分が外貨建てであることに対応し、為替の影響を少なくするため、現地通貨での調達を増やしています。外貨建て借入金の割合が借入金全体の約86%を占めており、借入金の平均金利は3.9%です。
(資本)
当第1四半期連結会計期間末の資本合計は、前連結会計年度末比2,917百万円増加し、60,229百万円となりました。四半期利益の計上、配当金の支払、また在外営業活動体の換算差額の変動を主要因としたその他の包括利益の計上等により、親会社の所有者に帰属する持分合計は57,875百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の38.6%から当第1四半期連結会計期間末は38.0%となりました。また、1株当たり親会社所有者帰属持分は前連結会計年度末の1,687.39円から、当第1四半期連結会計期間末は1,773.80円となりました。
◎参考:期末為替レート
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2023年12月期末 |
2024年第1四半期連結会計期間末 |
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米ドル/円 |
141.51 |
151.43 |
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ユーロ/円 |
156.54 |
163.36 |
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人民元/円 |
19.90 |
20.86 |
③キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末比2,894百万円増加し、6,002百万円でした。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2,571百万円(前第1四半期連結累計期間は3,285百万円の収入)でした。税引前四半期利益464百万円、減価償却費及び償却費2,626百万円の計上等があったことによります。
当社グループでは運転資本をモニターするKPIとしてCash Conversion Cycle(CCC)を採用しています。当第1四半期連結会計期間末のCCCは94日で、前連結会計年度末から3日長くなりました。
当社グループはB-to-Bビジネスを営んでいるため、DSO(売上債権回転日数)の短縮、つまり営業債権の
回収期日の短縮は顧客からの値下げ圧力になりかねません。同様に、DPO(仕入債務回転日数)についての
取り組みも仕入先からの値上げ圧力になりかねません。したがって、DIO(在庫回転日数)の管理が現実的
な取り組みとなっています。DIOはサプライ・チェーンの混乱等のため顧客から納品の先延ばし要請を受け
た影響で、2022年6月末時点で116日まで伸びました。その後、地域別、会社別に毎月モニタリングを実施
し棚卸資産を減らす取り組みを行い、当第1四半期連結会計期間末のDIOは82日でした。
当第1四半期連結会計期間末のDSOは71日、DPOは59日でした。
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実績 |
増減 (日) |
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2023年12月期 (日) |
2024年第1四半期 (日) |
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DSO(売上債権回転日数) |
68 |
71 |
+3 |
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DIO(在庫回転日数) |
84 |
82 |
△2 |
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DPO(仕入債務回転日数) |
61 |
59 |
△2 |
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Cash Conversion Cycle |
91 |
94 |
+3 |
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は2,512百万円(前第1四半期連結累計期間は1,786百万円の支出)でした。
当社グループでは、顧客からの受注に基づき設備投資をしています。設備投資については、新製品、増産、生産効率改善、更新と目的別に計画を立て、規模の大きい設備投資については、NPV分析、モンテカルロシミュレーション等の手法を採用し、その採算性について検討後、設備投資を決定しています。当第1四半期連結累計期間は、インダストリー関連の新規案件に対応するための青森工場の拡張に加え、車載関連を中心とした受注済み案件に係る設備投資等に投資を行いました。これら有形固定資産の取得による支出は2,384百万円でした。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は2,631百万円(前第1四半期連結累計期間は513百万円の支出)でした。有利子負債が3,855百万円純増したことによる収入があったものの、配当金の支払額913百万円、リース債務の返済による支出309百万円等の支出があったことによるものです。
(単位:百万円)
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2023年第1四半期 |
2024年第1四半期 |
増減 |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
3,285 |
2,571 |
△714 |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
△1,786 |
△2,512 |
△725 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△513 |
2,631 |
3,145 |
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現金及び現金同等物に係る換算差額 |
50 |
204 |
153 |
|
現金及び現金同等物の増減額 |
1,036 |
2,894 |
1,858 |
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現金及び現金同等物の期首残高 |
2,944 |
3,107 |
163 |
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現金及び現金同等物の四半期末残高 |
3,980 |
6,002 |
2,021 |
(2)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等については、有価証券報告書(2024年3月21日提出)の記載から重要な変更はありません。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題については、有価証券報告書(2024年3月21日提出)の記載から重要な変更又は新たな発生はありません。
(4)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は1,439百万円です。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。