当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の概要
当中間連結会計期間の世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルにおける武力衝突が長期化する中、米欧が中国製EV等への追加関税を発表する等、依然として地政学上の不安定さが高まっています。米欧においては、積極的な金融引き締めが続く中、賃金上昇圧力が弱まっていることから、インフレ圧力は弱まりつつあるように見えます。中国においては、不動産不況の改善に向けて政府が住宅在庫の買い取り等を進めていますが、依然として厳しい景況感が続いています。金融政策においては、6月に欧州ECBがインフレ圧力の緩和を受けて4年9か月ぶりの利下げを決定した一方で、米国FRBは政策金利の据え置きを決定しました。米国の利下げ開始時期に対する市場予想が後ろ倒しになったことを受けて、年初からの円安は更に加速しました。
電子部品業界は、コロナ後の需要増加と供給不安が重なり在庫が膨らんでおり、この調整に時間を要していると見ています。世界の自動車販売は、前年に半導体不足による供給制約が発生した反動で、北米・欧州・中国いずれにおいても前年を上回る台数でした。一方で、米欧においては供給制約によるペントアップ需要が前年末までに一定程度消化していること、自動車ローン金利も高止まりしていること及び原材料費高騰を受けて車両価格が上昇していることから、消費者が自動車を買いづらい状況にあり、当連結会計年度全体での需要見通しは楽観視できません。EVについては、米国において補助金支給要件が厳格化され、またドイツにおいて補助金が打ち切られる等の環境下で、米欧の自動車メーカー各社がEVへの投資時期を遅らせること等を発表しました。また、長引く高金利および政治的な不透明さを受けてEVの普及を後押しする急速充電ネットワークの構築においても投資を手控える動きが見られます。一方で、xEVの最大市場である中国においては、メーカー各社が値引きを強化したこと等を受けて販売台数は引き続き堅調でした。
こうした中、当社グループでは2024年2月に計画期間を2024年から2026年までの3か年とする中期経営計画を発表しました。当社グループは、地政学リスクの高まりや昨今のEVに対する様子見姿勢等の不安定な外部環境においても、中長期的には脱炭素化の流れは継続していくと考えています。脱炭素に関連するxEV関連、充電インフラ、太陽光発電、蓄電池等を含む用途群を「グリーンエネルギー関連」と定義し、重点分野と位置づけて更なる成長を目指します。足元では、これら重点分野における案件獲得活動に加え、省人化並びに品質向上を目的として工程間の材料・製品移送及び検査工程においてロボットやAI活用を進めています。また、生産技術者の往来を促進することで異なる生産拠点間での製造ノウハウ共有を進めています。
当中間連結会計期間における当社グループの業績は以下のとおりです。
売上収益は車載関連で様々な用途の製品需要が好調に推移した一方で、インダストリー関連で太陽光発電関連の需要が低下したこと、家電関連でノートパソコン、タブレット端末、スマートフォン関連の需要が低下したことを受け、円安による増収効果が減殺され、前中間連結会計期間比0.2%減の73,066百万円でした。
前中間連結会計期間において中国がゼロコロナ政策を解除したことに伴いペントアップ需要による受注が多かった一方で、当中間連結会計期間においてはこの要因が剥落した影響で工場操業度が低下したこと及び製造間接費の増加があったこと等から、営業利益は前中間連結会計期間比55.5%減の2,332百万円でした。また、当中間連結会計期間は支払金利等の影響で金融収益/金融費用が1,599百万円のマイナスであったこと等から、税引前中間利益は同81.9%減の733百万円、親会社の所有者に帰属する中間利益は同85.2%減の486百万円となりました。
対前年 利益増減(単位:百万円)
◎参考:期中平均為替レート
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2023年 中間連結会計期間 |
2024年 中間連結会計期間 |
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米ドル/円 |
134.02 |
150.75 |
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ユーロ/円 |
144.43 |
163.47 |
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人民元/円 |
19.36 |
20.88 |
(市場別の概況)
当中間連結会計期間における市場別の概況は次のとおりです。
1) 車載関連
世界的な新車生産台数の伸びを背景に、当社グループにおいてはxEV関連及びその他用途群の売上が好調に推移しました。車載関連の売上収益は前中間連結会計期間比8.3%増の45,426百万円でした。
2) インダストリー関連
米欧のEVシフトにややブレーキがかかる動きもある中で、当社グループにおいてはxEV向け急速充電インフラ関連等が成長しました。他方で、長引く高金利等の影響を受けて太陽光発電関連の投資を手控える動きが顕著になり、当社グループの製品需要が減退しました。インダストリー関連の売上収益は前中間連結会計期間比9.4%減の18,217百万円でした。
3) 家電関連
ノートパソコン、タブレット端末、スマートフォン関連の需要が引き続き弱含みで推移したものの、足元では需要回復の兆しが見えてきています。家電関連の売上収益は前中間連結会計期間比15.5%減の9,421百万円でした。
(単位:百万円)
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2023年中間 |
2024年中間 |
増減率(%) |
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車載関連 |
41,952 |
45,426 |
8.3 |
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インダストリー関連 |
20,107 |
18,217 |
△9.4 |
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家電関連 |
11,154 |
9,421 |
△15.5 |
(報告セグメントの状況)
当中間連結会計期間における報告セグメントの状況は次のとおりです。
1) アジア・パシフィック事業
アジア・パシフィック事業では、車載関連が堅調に推移した一方で、家電製品関連で大きく落ち込みました。また、米ドル高/円安での影響もあり、売上収益は前中間連結会計期間比2.7%減の46,842百万円でした。前中間連結会計期間において中国ではゼロコロナ政策の解除を受けて工場操業度が高水準であった一方で、当中間連結会計期間における操業度は低水準であったことから、セグメント利益は同50.4%減の1,428百万円でした。
2) EU事業
EU事業では、前中間連結会計期間に比べ円安/ユーロ高で推移したものの、家電関連での減収影響により、売上収益は前中間連結会計期間比0.3%減の29,679百万円でした。減収の影響に加え、工場操業度が低下したことを受け、セグメント利益は同58.7%減の962百万円でした。
②財政状態に関する説明
(資産)
当中間連結会計期間末における資産合計は159,600百万円となり、前連結会計年度末比16,814百万円増加しました。当社の保有資産の9割超は外貨建てですが、当期に進行した円安の影響で、外貨建て資産の評価額が大きくなったことから全体に資産残高が増加しました。
当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物は5,156百万円で、2,048百万円増加しました。手元資金については、国内外連結子会社各社に資金が滞留することにより資金効率が低下するリスクに鑑み、主要子会社の最低手持資金額を設定し毎月その設定額と実際手持資金とを比較することで、グループ全体での余剰資金を削減し借入金の圧縮に努めています。また、3か月先までのローリング・フォーキャストを毎月実施することで資金管理を行っています。
(負債)
当中間連結会計期間末における負債合計は、有利子負債の借入及び返済による残高の変動等により95,477百万円となり、前連結会計年度末比10,003百万円増加しました。
当中間連結会計期間末におけるネット有利子負債残高は、前連結会計年度末から5,749百万円増加し、54,018百万円となりました。当中間連結会計期間末のネットDEレシオは0.88倍で、前連結会計年度末と同水準でした。当中間連結会計期間末現在、短期有利子負債(1年内返済予定又は償還予定の長期有利子負債を含む)の残高は39,225百万円で、長期有利子負債の残高は19,949百万円です。なお、当社グループの借入金のうち約69%が変動金利、約31%が固定金利によるものです。
当社グループでは、主要な銀行と定期的にミーティングを行い、良好な関係を築いています。銀行団のオープン・コミットメントラインは110億円を維持しており、これら全てが未使用です。
当社グループの保有する資産のうち大部分が外貨建てであることに対応し、為替の影響を少なくするため、現地通貨での調達を増やしています。外貨建て借入金の割合が借入金全体の約85%を占めており、借入金の平均金利は4.3%です。
(資本)
当中間連結会計期間末の資本合計は、前連結会計年度末比6,810百万円増加し、64,122百万円となりました。中間利益の計上、配当金の支払、また在外営業活動体の換算差額の変動を主要因としたその他の包括利益の計上等により、親会社の所有者に帰属する持分合計は61,653百万円となり、当中間連結会計期間末の親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末と同水準の38.6%となりました。また、1株当たり親会社所有者帰属持分は前連結会計年度末の1,687.39円から、当中間連結会計期間末は1,867.56円となりました。
◎参考:期末為替レート
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2023年12月期末 |
2024年中間連結会計期間末 |
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米ドル/円 |
141.51 |
160.93 |
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ユーロ/円 |
156.54 |
172.14 |
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人民元/円 |
19.90 |
22.03 |
③キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末比2,048百万円増加し、5,156百万円でした。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は5,324百万円(前中間連結会計期間は8,751百万円の収入)でした。税引前中間利益733百万円、減価償却費及び償却費5,446百万円の計上等があったことによります。
当社グループでは運転資本をモニターするKPIとしてCash Conversion Cycle(CCC)を採用しています。当中間連結会計期間末のCCCは104日で、前連結会計年度末から13日長くなりました。
当社グループはB-to-Bビジネスを営んでいるため、DSO(売上債権回転日数)の短縮、つまり営業債権の回収期日の短縮は顧客からの値下げ圧力になりかねません。同様に、DPO(仕入債務回転日数)についての取り組みも仕入先からの値上げ圧力になりかねません。したがって、DIO(在庫回転日数)の管理が現実的な取り組みとなっています。DIOはサプライ・チェーンの混乱等のため顧客から納品の先延ばし要請を受けた影響で、2022年6月末時点で116日まで伸びました。その後、地域別、会社別に毎月モニタリングを実施し棚卸資産を減らす取り組みを行い、当中間連結会計期間末のDIOは87日でした。
当中間連結会計期間末のDSOは78日、DPOは61日でした。
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実績 |
増減 (日) |
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2023年12月期 (日) |
2024年中間期 (日) |
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DSO(売上債権回転日数) |
68 |
78 |
10 |
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DIO(在庫回転日数) |
84 |
87 |
3 |
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DPO(仕入債務回転日数) |
61 |
61 |
0 |
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Cash Conversion Cycle |
91 |
104 |
13 |
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は4,981百万円(前中間連結会計期間は4,595百万円の支出)でした。
当社グループでは、顧客からの受注に基づき設備投資をしています。設備投資については、新製品、増産、生産効率改善、更新と目的別に計画を立て、規模の大きい設備投資については、NPV分析、モンテカルロシミュレーション等の手法を採用し、その採算性について検討後、設備投資を決定しています。当中間連結会計期間は、インダストリー関連の新規案件に対応するための青森工場の拡張に加え、車載関連を中心とした受注済み案件に係る設備投資等に投資を行いました。これら有形固定資産の取得による支出は4,661百万円でした。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は1,222百万円(前中間連結会計期間は2,514百万円の収入)でした。有利子負債が2,771百万円純増したことによる収入があったものの、配当金の支払額913百万円、リース債務の返済による支出635百万円等の支出があったことによるものです。
(単位:百万円)
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2023年中間 連結会計期間 |
2024年中間 連結会計期間 |
増減 |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
8,751 |
5,324 |
△3,426 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△4,595 |
△4,981 |
△386 |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
2,514 |
1,222 |
△1,292 |
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現金及び現金同等物に係る換算差額 |
287 |
482 |
195 |
|
現金及び現金同等物の増減額 |
6,958 |
2,048 |
△4,910 |
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現金及び現金同等物の期首残高 |
2,944 |
3,107 |
163 |
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現金及び現金同等物の中間期末残高 |
9,903 |
5,156 |
△4,747 |
(2)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等については、有価証券報告書(2024年3月21日提出)の記載から重要な変更はありません。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題については、有価証券報告書(2024年3月21日提出)の記載から重要な変更又は新たな発生はありません。
(4)研究開発活動
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は2,820百万円です。なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。