本文の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は「常に新しい技術に挑戦し、社会に価値ある製品やサービスを展開することで、お客様、株主、従業員の満足を高める企業になる」ことを経営理念としております。また、デジタルの分野において、新しい市場を開拓することで人や社会に貢献し、持続可能な未来の社会を創造することを目指しております。
その上で当社は、企業の社会的責任を十分に認識し、経営の効率性、透明性を向上させ、企業価値・株主価値を増大させることを基本方針としております。その方針の下、経営のスピード化、活性化、透明性の向上を図ってまいります。
(2)経営戦略
当社グループは、組み込み向け電子デバイス事業と、半導体デバイスへのプログラム書込み装置や自動プログラミングシステムの製造・販売及びROM書込みサービスを中心に、テレワーク等で利用されるテレビ・Web会議等のデジタル会議システム関連機器の販売・保守事業、PC周辺機器やeスポーツ向けゲーミング関連製品の販売、デジタルサイネージ等ディスプレイ関連商品の販売、Webサイト構築やシステム開発、ベンチャー投資等、多様な事業を展開しております。
当社グループでは、企業価値のさらなる向上を目指し、「デジタルコンソーシアム構想」を成長戦略として位置づけ、「デジタルコンソーシアムで未来の社会を創造する」というビジョンを推進しております。デジタルコンソーシアム構想とは、以下の内容の実現を目指すものであります。
① デジタル分野に特化した技術力のある企業との提携、M&Aを実施すること
② コンソーシアム(共同体)の枠組みを強化することでシナジーを創出し、新しい製品やサービスの開発にも挑戦すること
③ 新しい市場を開拓することで人や社会に貢献し、持続可能な未来を創造すること
<デジタルコンソーシアム構想イメージ図>

(3)目標とする経営指標
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、利益実額、資本効率及び財務健全性に重点を置いております。また、資本効率の観点から自己資本利益率(ROE)、財務健全性の観点から自己資本比率の向上にそれぞれ取り組んでおります。
2023年1月26日に策定・公表した「中期経営計画2027」における2027年3月期の目標値は、連結売上高480億円、連結営業利益25億円、ROE15%以上、自己資本比率30%以上としております。

(4)対処すべき課題
今後の経営環境につきましては、ウクライナ情勢及び中東情勢の長期化や世界的なインフレの進行、米中貿易摩擦、欧米を中心とする金融市場動向、為替動向、中国経済の先行き懸念などで引き続き本格的な世界経済の回復時期は不透明であり、当社グループを取り巻く事業環境は厳しい状況が続くものと見込まれます。
こうした状況の中、当社グループは成長戦略として位置付けている「デジタルコンソーシアム構想」実現に向けた取り組みを加速させてまいります。「中期経営計画2027」で公表したとおり、 ①既存事業領域のさらなる拡大、②新規事業領域への投資(M&A/ベンチャー投資)、③グローバル展開の3つの重点テーマに基づき、デジタルコンソーシアム構想の実現を目指してまいります。

また、当社はグローバル展開の一環として、2023年11月22日付「DediProg Technology Co.,Ltd(台湾)との資本業務提携に関するお知らせ」にて公表したとおり、2024年1月19日付でDediProg Technology Co.,Ltdの株式12%を保有しデジタルエンジニアリング事業を強化するほか、2024年3月には同社との合弁会社DediProg Japan株式会社を設立し、デバイスプログラマ製品のラインナップ充実を図るとともに、グローバルでの製品サポートや新たなデバイスにも十分に対応できる開発体制を構築してまいります。
サステナビリティの基本方針
当社は「常に新しい技術に挑戦し、社会に価値ある製品やサービスを展開することで、お客様、株主、従業員の満足を高める企業になる」ことを経営理念としております。また、デジタルの分野において、新しい市場を開拓することで人や社会に貢献し、持続可能な未来の社会を創造することを目指しております。
私たちはこれからも、企業の社会的責任を十分に認識し、持続可能な未来の社会の実現と事業の成長のために重要な課題に取組み、社会の変化に柔軟に対応できる企業グループとして、ステークホルダーの皆さまと共に社会に貢献してまいります。
当社では、外部環境や社会動向の変化によるリスク及び機会を総合的に勘案し、2023年1月に公表した「中期経営計画2027」においてサステナビリティ経営に関する4つのマテリアリティを特定し、各マテリアリティに係る課題を設定しました。課題の実施に当たっては、各グループ企業と連携して進捗状況のモニタリングと実施内容の評価を行い、マネジメントミーティングや取締役会において報告、評価する体制としております。
当社が、2023年1月に公表した「中期経営計画2027」で設定した4つのマテリアリティと概要は以下のとおりです。
さらに、ダイバーシティ推進の一環として、全社員向けアンケートを実施しています。質問内容は2022年12月~2023年1月に実施した社内アンケートをベースにエンゲージメントやコミットメントの要素を加えてブラッシュアップし、現状分析と課題解決のためのアンケートとして2024年3月にグループ全社員に向けて実施いたしました。以降、6ヵ月に一度の周期で定期的に実施いたします。アンケートの結果は専門コンサルタントが分析し課題抽出を行い、解決に向けた行動計画立案と実行につなげています。
当社グループが、環境の変化に対応し持続的な成長を実現するための経営基盤及びコーポレート・ガバナンス体制の強化を図ってまいります。

当社グループでは、各事業分野におけるリスクの識別と評価を各グループ会社が実施しております。当社グループの事業活動において発生するリスクについては、各グループ会社が継続的にモニタリングを行うとともに、必要に応じて各グループ会社の取締役会において報告され、当社がリスク対応を支援するとともに、当社のマネジメントミーティング及び取締役会において報告される体制としております。

① 女性管理職比率
2022年3月期の2.2%から2027年3月期には10.0%を目標としておりますが、2024年3月末にはグループ全体で
17.2%と大幅に上昇いたしました。
② 外国人雇用者比率
2022年3月期の3.9%から2027年3月期には8.0%を目標としております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 自然災害・感染症等の異常事態リスクについて
当社グループは、国外及び国内の複数の大都市に拠点を有し製品の販売及びサービスの提供等を行っておりますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大のようなパンデミックや大規模な自然災害等の異常事態が当社の想定を超える規模で発生し、事業運営が困難になった場合、当社グループの経営成績や財政状況に大きな影響を与える可能性があります。
(2) 価格競争と為替リスクについて
電機業界における価格競争は大変厳しいものがありますが、デジタルデバイス及びデジタルエンジニアリングの主要販売先はほとんどが大手電機メーカーでありますことから、当社グループに対しても納入価格の厳しい値下げ要求がなされております。当社グループはこれに対し、独創的な技術に基づく信頼性のある高品質な製品を安定供給することに努力し続けております。しかしながら将来においてもこのことが有効に働き競争力を維持できるとの保証はなく、市場シェアを維持もしくは拡大し、収益性を保つことが難しくなる可能性があります。また、為替リスクにつきましては、主にデジタルデバイス、ICTプロダクツにおいて、外貨建ての営業債権及び製品・原材料等の輸入に伴う仕入価格及び営業債務が為替の変動リスクに晒されております。デリバティブ取引(外国為替証拠金取引)を行うこと等により対策を講じているものの、急激な不測の為替変動が進み、海外から仕入れている製品の販売価格に転嫁できない場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 競合企業について
ICTプロダクツにて展開する各種製品は、同様の製品を取り扱う競合企業が多く、また、製品性能による差別化が困難な製品もあるため、日常的に価格競争が展開されております。当社グループでは、部品調達コストや製品製造コストの削減に努めるとともに、価格競争を避けるために付加価値の高い製品の開発に努めておりますが、想定を超える価格競争となった場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 技術革新について
ICTプロダクツにて展開するデジタル会議市場は、参入企業による技術革新が日常的に起こっております。当社グループでは、常に市場動向を調査するとともに、新たな技術を保有する企業とのリレーション構築を図っておりますが、既存の企業や新たな市場参加者による破壊的イノベーションが起こった場合、従来の製品やサービスの持つ技術特性が一気に陳腐化し、市場から受け入れられなくなる可能性があり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 外部要因による製品価格の変動について
当社グループで販売している製品のうち、主にデジタルデバイスでの調達部材であるDRAMやNAND等の半導体関連製品は、世界的な需要や供給の状況等により急激な価格の上昇や下落が生じる可能性があります。当社グループとしましても、販売価格に適正に転嫁することにより収益性の安定を図っておりますが、想定を超える急激な価格の変動が生じた場合、当社グループの将来の成長と収益性を低下させ、経営成績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 製品の保証について
当社グループは、一定の品質基準に基づいて各種の製品を生産しており、それら製品の販売後の保証につきましても一定の基準を設けて対処し、その費用を毎期の売上高実績に応じて翌期以降の発生に備え見積り計上しておりますが、大規模なリコールや保険金額を上回るような製造物責任賠償につながるような製品の瑕疵が生じた場合には、当社グループの将来の成長と収益性を低下させ経営成績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 新製品開発力について
デジタルエンジニアリングにおける将来の成長は、主に最先端の技術に拠る新製品の開発と販売に依存するものと判断しております。しかしながら、これらが属する業界は技術的進歩が急速でありますことから、全ての製品開発が販売につながる保証はありません。従いまして当社グループが業界と市場の変化を充分予測できず、有効な製品をタイムリーに市場に供給できない場合には、当社グループの将来の成長と収益性を低下させ業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8) IT人材の確保、育成等について
当社グループは、Webサイトの構築や広告の制作プロデュース及びマーケティングのコンサルティング事業、システム構築や技術者派遣事業も展開しております。当事業では、顧客のニーズに即した情報処理システムの開発能力を備えた優秀な人材の確保及び高度なサービスを提供でき得る人材の育成が必要不可欠であります。しかしながら、急激な市場環境の変化や雇用情勢の改善による人手不足に伴い、必要な人材の確保等が叶わない場合や人材の流出が生じた場合、減収あるいは新たな費用の増加等により、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(9) M&A・業務提携について
当社グループは事業規模の拡大を図るために、M&Aや他企業との業務提携を重要な経営戦略の一つとして積極的に活用しております。M&Aや業務提携の実行にあたっては、対象企業の財務・税務・法務等について事前にデューデリジェンスを実施し、リスクを吟味し収益力を分析したうえで決定しておりますが、対象企業における偶発債務の発生や、当初の計画どおりに事業が進展しない等の理由により、想定したシナジーや事業拡大の成果が得られなかった場合は、のれんの減損損失が発生する等、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
(10) 内部管理体制について
当社グループは、今後更なる事業拡大を図るために、内部管理体制についても一層の充実を図ることが必要であると考えており、買収対象企業の内部管理体制についても事前にデューデリジェンスを実施・分析し、また買収後においても、上場会社グループとしての高い内部管理体制水準を確保すべく、持株会社(当社)を中心とした管理体制の構築を図っております。しかしながら、事業の急速な拡大や連結対象会社の急速な増加により、当社グループにおける十分な内部管理体制の整備が追いつかない場合、適切な事業運営が困難となり、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 人的資源に関するリスクについて
当社グループは、今後の事業拡大のために、優秀な人材を継続的且つ適切に確保するとともに、人材の育成に努めております。しかしながら、事業規模に応じた優秀な人材の採用や人材の育成が円滑に進まない場合又は在籍する人材の多くが流出する等の状況が生じた場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じる可能性があり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
(資産の部)
資産合計は、前連結会計年度末に比べて17.0%増加し、16,822百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べて1.6%減少し、11,700百万円となりました。これは、電子記録債権が384百万円、商品及び製品が508百万円増加しましたが、現金及び預金が904百万円、原材料及び貯蔵品が146百万円、それぞれ減少したことなどによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて105.6%増加し、5,121百万円となりました。これは、社屋の建て替え、設備の増設等により有形固定資産が2,020百万円、投資その他の資産の投資有価証券が534百万円増加したことなどによるものです。
(負債の部)
負債合計は、前連結会計年度末に比べて10.8%増加し、11,072百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて2.5%増加し、9,005百万円となりました。これは、未払金が286百万円、未払法人税等が576百万円増加しましたが、短期借入金が500百万円、契約負債が157百万円それぞれ減少したことなどによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて71.2%増加し、2,067百万円となりました。これは、長期借入金が854百万円増加したことなどによるものです。
(純資産の部)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて31.1%増加し、5,749百万円となりました。これは、自己株式が90百万円増加したものの、親会社株主に帰属する当期純利益を1,483百万円計上したことなどによるものです。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高は19,018百万円(前年同期比15.8%減)となりました。利益につきましては、営業利益は1,235百万円(前年同期比52.5%増)となり1992年3月期以降の最高益を達成しました。経常利益は1,224百万円(前年同期比36.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,483百万円(前年同期比151.1%増)となりました。
セグメントごとの業績につきましては、次のとおりであります。
<デジタルデバイス>
主要製品のDIMM(Dual Inline Memory Module)及びSSD(Solid State Drive)の主要調達部材である半導体メモリー製品のDRAM、NANDにおいては、前期からのDRAM、NANDメーカー減産が続く中にあっても半導体メモリー市況価格は緩やかな上昇をみせていますが、大手サーバー、パソコン、スマートフォン等の需要は本格回復しない状態が続きました。
当社顧客におきましても、パソコンメーカーはコロナ禍での巣ごもり特需の反動から販売台数は低調のまま推移し、それ以外の産業系顧客においても在庫調整が継続している状況であります。一方で、自社ブランドのメモリーモジュール製品を中心に利益率が向上しており、セグメント利益率の改善に寄与しております。
これらの結果、当セグメントの売上高は8,113百万円(前年同期比16.9%減)、セグメント利益(営業利益)は716百万円(前年同期比8.5%減)となりました。
なお、デジタルデバイスの一部を形成する、サンマックス・テクノロジーズ株式会社とジー・ワーカー株式会社は、2023年4月1日付けで合併し、新生「サンマックス・テクノロジーズ株式会社」として営業を開始しました。
<デジタルエンジニアリング>
ROM書込みサービス事業では、日本サムスン株式会社、株式会社トーメンデバイスと共同で実施する国内大手メーカーに向けたプロジェクトにおいて、今後の需要拡大に備えて増設したオートハンドラやデバイスプログラマ等の設備に係る減価償却の開始等がありましたが、前年同期と比較して書込み数量の増加と書込み単価の上昇等によりセグメント売上高及びセグメント利益の大幅な増収をけん引いたしました。
デバイスプログラマ事業では、車載メーカーへのオートハンドラの納入を行い、電子機器・車載メーカーへのデバイスプログラマ及び変換アダプタ関連の販売が安定的に推移した一方で、アミューズメント関連メーカーへの販売が減少し、ほぼ前年同期と同様の結果となりました。
ディスプレイソリューション事業では、超薄型サイネージ「WiCanvas」は大手GMS、店舗、ショールームなどへの多店舗導入があり導入件数は堅調に推移しましたが、大口導入案件が減少したことや、ATM向けタッチパネルの顧客における在庫調整が続いていることにより、前年同期を下回る結果となりました。
ソフトウエアやハードウェアの設計・開発を行うエレクトロニクス設計事業では、コロナ禍で控えられていた開発案件において産業機器向けODM案件が前年同期比で増加に転じました。
これらの結果、当セグメントの売上高は3,543百万円(前年同期比40.7%増)、セグメント利益(営業利益)は1,223百万円(前年同期比128.0%増)となりました。
なお、横浜市にある社屋建て替え工事につきましては、2024年2月に第一期工事が完了し、稼働し始めるとともに本年度中には第二期工事が完了し、竣工予定です。新社屋におけるオートハンドラやデバイスプログラマ等の新たな設備投資につきましては、2024年3月末までにほぼ完了いたしました。
<ICTプロダクツ>
テレワークソリューション事業におきましては、出社とリモートワークを組み合わせたハイブリッドワークが社会的に認知を得、企業がその環境を整えるための設備投資が行われたため、実績は堅調に推移しました。Web会議用ライセンス及びウェブカメラ、高性能ヘッドセットなどは前期より引き続き堅調な販売実績となりました。
デジタル関連機器事業におきましては、物価上昇などに伴う生活防衛思考の強まりなどが原因のひとつと考えられる需要減退傾向が年度を通じて見られ、販売実績は総じて軟調に推移しました。
セグメント売上高が大幅に減少する中におきましても、仕入れや販売戦略の見直しに基づく利益率の向上と、前期後半より取り組んだ販管費削減の効果も本格的に発現し、セグメント利益の大幅な改善に大きく寄与しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は6,997百万円(前年同期比17.8%減)、セグメント利益(営業利益)は114百万円(前年同期比156.1%増)となりました。
<その他>
Webサイトの構築や広告の制作プロデュース及びマーケティングのコンサルティング事業、システム構築や技術者派遣事業、国内外のベンチャー企業や太陽光発電事業等への投資及び財務・金融等に関するコンサルティング事業などの様々な事業を手掛けております。
なお、2023年6月に全株式を譲渡した株式会社クレイトソリューションズにつきましては当連結会計年度より連結範囲から除外しております。このことから、セグメント売上高及びセグメント利益は大幅に縮小したものの、日本ジョイントソリューションズ株式会社の営業利益が過去最高益を達成したことから、セグメント利益率は大きく向上しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は887百万円(前年同期比61.0%減)、セグメント利益(営業利益)は114百万円(前年同期比46.1%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は2,490百万円と前年同期に比べて1,049百万円(29.6%)の減少となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、144百万円の収入(前年同期1,768百万円の収入)となりました。増加要因として、税金等調整前当期純利益2,251百万円、減価償却費366百万円、減少要因として関係会社株式売却益1,278百万円、棚卸資産の増加額366百万円、売上債権の増加額432百万円等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,541百万円の支出(前年同期289百万円の支出)となりました。増加要因として、関係会社株式の売却による収入1,228百万円、減少要因として、社屋の建て替え、事業拡大に係る設備投資としての有形固定資産の取得による支出2,152百万円、投資有価証券の取得による支出552百万円等があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、336百万円の収入(前年同期631百万円の支出)となりました。増加要因として、社屋の建て替え、事業拡大に係る設備投資として長期借入れによる収入1,589百万円、減少要因として、長期借入金の返済による支出525百万円、短期借入金の減少により500百万円、自己株式の取得による支出155百万円等があったことによるものです。当社グループでは資金調達及び管理を持株会社である当社に集約して当社グループ全体での効率的な財務運営を進めるとともに、必要な資金の機動的な見直しを行っております。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、製造原価によっております。
3.当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。その内容等については、「第2「事業の状況」4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。その内容等については、「第2「事業の状況」4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しております。
3.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。その内容等については、「第2「事業の状況」4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討の内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行など社会環境の変化に合わせて経済活動の正常化が進み、個人消費やインバウンド需要が回復し、景気回復の動きが継続しております。世界経済においては、ウクライナや中東地域などでの地政学リスクの高まり、我が国及び欧米を中心とする金利上昇に伴う経済の減速懸念、為替の動向、中国経済の先行きの懸念等、不透明さが継続しております。
当社グループの主要な市場である半導体関連市場におきましては、特にパソコン・サーバー需要の減速に伴う部品調達の調整や製品の在庫調整の動きが継続しております。一方で、メモリー価格の上昇も始まり、企業の設備投資やシステム投資に関連する製品・サービスへの需要には一部回復が見え始めております。
このような状況のなか、当社は、デジタル分野において他企業との連携やM&Aを進めることでコンソーシアム(共同体)を形成し、これを拡大することでシナジーを創出し企業価値を高めていくことを柱とする「デジタルコンソーシアム構想」を成長戦略として位置付け、「デジタルコンソーシアムで未来の社会を創造する」というビジョンを推進しております。
なお、当社の連結子会社である日本ジョイントソリューションズ株式会社(以下、「日本ジョイントソリューションズ」といいます。)は2023年4月3日、株式会社リバース(以下、「リバース」といいます。)の全株式を取得し、当社の連結子会社化をいたしました。リバースが当社グループに加わったことにより、今後成長が期待されるWebサイトの構築や広告の制作プロデュース及びマーケティングのコンサルティング事業の拡大が進んでおります。
また、当社は2023年6月1日、成長分野へ経営資源を重点的に配分することが当社グループ経営において重要であるとの認識のもと、連結子会社である株式会社クレイトソリューションズ(以下、「クレイトソリューションズ」といいます。)について、当社が保有する全株式を株式会社SHIFTグロース・キャピタルに譲渡いたしました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べて15.8%減少し、19,018百万円となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べて8.4%増加し、4,815百万円となりました。これは主にデジタルエンジニアリングでの売上高の増加及び売上総利益率改善等によるものです。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べて1.4%減少し、3,579百万円となりました。これは主に人件費及び事業税等が増加となった一方で、全株式を譲渡したクレイトソリューションズを連結範囲から除外したこと、及びICTプロダクツにおける削減の効果が発現したことによるものです。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べて52.5%増加し、1,235百万円となりました。これは主にデジタルエンジニアリングでの売上総利益の増加及びICTプロダクツにおける販管費の削減等によるものです。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べて36.8%増加し、1,224百万円となりました。これは主に営業利益の増加によるものです。
(特別損益)
当連結会計年度においては、特別利益としてクレイトソリューションズの全株式を譲渡したことから関係会社株式売却益1,278百万円を計上したこと、及び、当社の取引先であるFCNT株式会社が、2023年5月30日付けで東京地方裁判所に民事再生法に基づく民事再生手続き開始申立てを行い、2024年2月7日に再生計画認可決定がなされたことから、特別損失(貸倒損失及び棚卸資産評価損)248百万円を計上したことなどによるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べて151.1%増加し1,483百万円となりました。
(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況について)
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 目標とする経営指標」に記載しております。また、営業利益及び経常利益については「 a.経営成績の分析」に記載しております。
なお、自己資本比率については、流動負債の増加がありましたが、利益計上に伴う株主資本の増加等により34.1%(前期は30.1%)に上昇しました。自己資本利益率(ROE)については、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比で151.1%増となったことから29.5%(前期は14.4%)となりました。
b. 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
なお、セグメントごとの経営成績の状況は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュフローについて
「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b. 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループは、グループとしての健全な財務体質を維持しながら、必要な資金を機動的に調達・運用を行い、企業価値向上のために戦略的に経営資源の選択と集中を推進しております。
健全な財務体質の面では、当社が2023年1月に策定・公表しました「中期経営計画2027」にて目標値と定めた連結での自己資本比率30%以上を維持すべく運営し、リスク耐性の強化を図ります。
必要資金の調達・運用については、フリー・キャッシュフローの増大による資金創出への努力とともに、グループ各社の資金調達及び管理を持株会社である当社に集約し、グループ全体の手元現預金及び有利子負債の管理を行うことで、当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を効率的に調達・運用しております。当社グループの資金需要は、グループ各社の営業活動に伴う運転資金と、今後の成長に必要な設備投資資金やM&Aに関する資金などがあります。このうち、グループ各社で必要となる在庫、仕入資金や、売掛金回収までの運転資金などについては、主に短期借入金及び長期借入金で調達しておりますが、グループ各社の手元現預金の水準を勘案しつつ、取引金融機関との間で締結した複数年でのコミットメントライン契約により機動的に借入金の増減を行い、効率的な資金調達に努めております。また将来の成長に資する設備投資に係る資金や、連結の範囲の変更を伴う子会社株式取得のための資金及び当該子会社の既存借入の借換資金等については、金融機関からの長期借入金や第三者割当増資等を活用しております。主要な取引金融機関とは良好な取引関係を維持しており、当社グループの事業の運営に必要な資金は問題なく調達可能と考えており、また取引金融機関との間での複数年のコミットメントライン契約により緊急時の流動性を確保しております。
また当社グループでは、中長期的な企業価値向上のために既存事業の成長戦略の精査を行い、より高い成長が見込まれる分野への経営資源の重点的な配分について議論、検討をしております。引き続き当社グループにとってより高い成長が見込まれる事業のための設備投資、M&A、グローバル展開に資金を配分することにより、財務の健全性を維持しつつ、当社のさらなる企業価値向上を図る考えです。
③ 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの必要と思われる見積り及び仮定は、合理的な基準に基づいて実施しております。これらの見積り及び仮定には不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なる可能性があります。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に、会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼす事項であると考えております。
a. 固定資産の減損損失
当社グループが保有しております固定資産のうち、減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローを見積り、その総額が帳簿価額を下回る場合には、減損損失の測定を行い、回収可能価額(正味売却価額又は使用価値のいずれか高い金額)が帳簿価額を下回る場合に、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。将来キャッシュ・フローの見積りにあたっては、将来の予測不能な事業環境の著しい悪化等により見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があります。
b. のれんの減損損失
当社グループののれんの償却については、その効果の発現する期間を合理的に見積り、当該期間において均等償却を行っております。将来の予測不可能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、収益性が低下し、減損損失が発生する可能性があります。
c. 繰延税金資産
繰延税金資産は、過去の課税所得の推移や将来の課税所得の見込等を勘案して、回収可能性を慎重に検討し計上しております。回収の実現性が低いと判断した場合には適正と考えられる金額へ減額する可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは顧客ニーズに応える最先端の製品を市場に供給するために製品開発を継続的に行っております。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発に直接要した額の総額は
セグメント別の製品開発は、次のとおりであります。
デジタルエンジニアリング事業
フラッシュメモリデバイス等へデータを高速に、かつ高い精度を保ちつつ移植するための高性能なデバイスプログラマ及びプログラマ用アダプタ並びに各種デバイスをプログラマに自動挿入するオートハンドラ等のプログラマ関連周辺機器の開発を行っております。
当連結会計年度における研究開発に直接要した額は