第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

本文の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

  当社は「常に新しい技術に挑戦し、社会に価値ある製品やサービスを展開することで、お客様、株主、従業員の満足を高める企業になる」ことを経営理念としております。また、デジタルの分野において、新しい市場を開拓することで人や社会に貢献し、持続可能な未来の社会を創造することを目指しております。

  その上で当社は、企業の社会的責任を十分に認識し、経営の効率性、透明性を向上させ、企業価値・株主価値を増大させることを基本方針としております。その方針の下、経営のスピード化、活性化、透明性の向上を図ってまいります。

 

(2)経営戦略

当社グループは、組み込み向け電子デバイス事業と、半導体デバイスへのプログラム書込み装置や自動プログラミングシステムの製造・販売及びROM書込みサービスを中心に、テレワーク等で利用されるテレビ・Web会議等のデジタル会議システム関連機器の販売・保守事業、PC周辺機器やeスポーツ向けゲーミング関連製品の販売、デジタルサイネージ等ディスプレイ関連商品の販売、Webサイト構築やシステム開発、ベンチャー投資等、多様な事業を展開しております。

当社グループでは、企業価値のさらなる向上を目指し、「デジタルコンソーシアム構想」を成長戦略として位置づけ、「デジタルコンソーシアムで未来の社会を創造する」というビジョンを推進しております。デジタルコンソーシアム構想とは、以下の内容の実現を目指すものであります。

① デジタル分野に特化した技術力のある企業との提携、M&Aを実施すること

② コンソーシアム(共同体)の枠組みを強化することでシナジーを創出し、新しい製品やサービスの開発にも挑戦すること

③ 新しい市場を開拓することで人や社会に貢献し、持続可能な未来を創造すること

 

<デジタルコンソーシアム構想イメージ図>


 

(3)目標とする経営指標

当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、利益実額、資本効率及び財務健全性に重点を置いております。また、資本効率の観点から自己資本利益率(ROE)、財務健全性の観点から自己資本比率の向上にそれぞれ取り組んでおります。

2023年1月26日に策定・公表した「中期経営計画2027」における2027年3月期の目標値は、連結売上高480億円、連結営業利益25億円、ROE15%以上、自己資本比率30%以上としております。


 

(4)対処すべき課題

今後の経営環境につきましては、ウクライナ情勢及び中東情勢の長期化や米国主導での関税の引き上げ、為替動向、中国経済の先行き懸念などで引き続き世界経済の見通しは不透明であり、当社グループを取り巻く事業環境は厳しい状況が続くものと見込まれます。

こうした状況の中、当社グループは成長戦略として位置付けている「デジタルコンソーシアム構想」実現に向けた取り組みの一環として、2025年5月1日付で株式会社ブレーン及びダイキサウンド株式会社を連結子会社化いたしました。音楽コンテンツサービス、映像編集、ライブ・エンターテインメント事業の一層の成長が期待できることから、当社グループ各社との連携によるシナジーの創出とともに、当社グループの顧客基盤の拡大や提供サービスの多様化により当社グループの規模拡大と中長期的な成長力の向上を図ってまいります。

当社グループはデジタルコンソーシアムの拡大と発展を目指して、M&Aや業務提携等で技術力を持つ企業とのつながりを深め、グローバル化を含めた事業拡大に努めるとともに、グループ間での協働を推進しシナジー創出を進めてまいります。「中期経営計画2027」で公表したとおり、 ①既存事業領域のさらなる拡大、②新規事業領域への投資(M&A/ベンチャー投資)、③グローバル展開の3つの重点テーマに基づき、デジタルコンソーシアム構想の実現を目指しております。


 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

サステナビリティの基本方針

当社は「常に新しい技術に挑戦し、社会に価値ある製品やサービスを展開することで、お客様、株主、従業員の満足を高める企業になる」ことを経営理念としております。また、デジタルの分野において、新しい市場を開拓することで人や社会に貢献し、持続可能な未来の社会を創造することを目指しております。

当社はこれからも、企業の社会的責任を十分に認識し、持続可能な未来の社会の実現と事業の成長のために重要な課題に取組み、社会の変化に柔軟に対応できる企業グループとして、ステークホルダーの皆さまと共に社会に貢献してまいります。

 

ガバナンス

 当社では、外部環境や社会動向の変化によるリスク及び機会を総合的に勘案し、2023年1月に公表した「中期経営計画2027」においてサステナビリティ経営に関する4つのマテリアリティを特定し、各マテリアリティに係る課題を設定しました。課題の実施に当たっては、各グループ企業と連携して進捗状況のモニタリングと実施内容の評価を行い、マネジメントミーティングや取締役会において報告、評価する体制としております。

 

戦略

 当社が、2023年1月に公表した「中期経営計画2027」で設定した4つのマテリアリティと概要は以下のとおりです。

   QOL向上の実現

当社では、デジタルコンソーシアム構想の実現により、高品質なデジタル製品やデジタル技術を多くの方に届けることで、人々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上に資することができるものと考えております。

   地球環境の保全

環境に配慮したオペレーションを実施するとともに、環境負荷を低減するための技術、サービスを提供してまいります。

 

   人材ダイバーシティを重視した働きやすい職場

当社グループでは女性活躍推進のための社内プロジェクト「MiWs(Minato Women Shine/ミュウズ)」を運営しております。社員が各人の志向や状況に応じて能力を最大限に発揮できるよう、自分の強みと伸びしろ、女性のライフスタイルとキャリア、リーダーシップの発揮など様々なテーマの研修プログラムを女性管理職候補者を対象として実施しており、組織変更や女性管理職のポジション設置も行った結果、多くの女性管理職が誕生しました。

また、新任管理職向け研修なども適宜実施しているほか、グループ全社員を対象としたハラスメント研修、コンプライアンス研修、情報セキュリティ研修も定期的に開催しております。

さらに、ダイバーシティ推進の一環として、年2回、全社員向けアンケートを実施しています。アンケートの結果は専門コンサルタントが分析し課題抽出を行い、解決に向けた行動計画立案と実行につなげています。

④ 健康経営の推進

 当社グループの従業員の健康増進を目的とした健康経営を推進しております。

  健康診断受診率の向上のための管理体制を構築し、二次健診の受診勧奨も行っております。

 健康増進・生活改善に向けた取り組みの全社員向けアナウンス、健康イベントの開催も予定しております。

 将来的には健康優良法人認定を目指しております。

   持続的な成長を可能にする経営基盤

当社グループが、環境の変化に対応し持続的な成長を実現するための経営基盤及びコーポレート・ガバナンス体制の強化を図ってまいります。

 


 

リスク管理

 当社グループでは、各事業分野におけるリスクの識別と評価を各グループ会社が実施しております。当社グループの事業活動において発生するリスクについては、各グループ会社が継続的にモニタリングを行うとともに、必要に応じて各グループ会社の取締役会において報告され、当社がリスク対応を支援するとともに、当社のマネジメントミーティング及び取締役会において報告される体制としております。

 

 

指標及び目標

当社ではサステナビリティ経営の方針として、各マテリアリティに対応した課題・目標を設定し、取り組みを推進しています。

 


 

当社で設定している人材ダイバーシティに係る目標値は次のとおりです。

   女性管理職比率

2022年3月期の2.2%から2027年3月期には10.0%を目標としておりますが、2025年3月末実績はグループ全体で15.6%と目標値を上回っております。

   外国人雇用者比率

2022年3月期の3.9%から2025年3月期は4.5%に上昇しました。2027年3月期には8.0%を目標としております。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 自然災害・感染症等の異常事態リスクについて

当社グループは、国内外の複数の大都市に拠点を有し、製品の販売およびサービスの提供等を行っております。新型コロナウイルス感染症の感染拡大のようなパンデミックや、大規模な自然災害等の異常事態が当社の想定を超える規模で発生し、事業運営に支障をきたす事態となった場合には、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 価格競争と為替リスクについて

電機業界における価格競争は大変厳しいものがありますが、デジタルデバイス及びデジタルエンジニアリングの主要販売先はほとんどが大手電機メーカーでありますことから、当社グループに対しても納入価格の厳しい値下げ要請をうけております。当社グループでは、独自技術に基づく信頼性のある高品質な製品を安定的に供給することにより、競争力の維持に努めておりますが、将来的にその優位性が確保できない場合には、市場シェアの維持や収益性の確保が困難となり、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、為替リスクにつきましては、主にデジタルデバイス、ICTプロダクツにおいて、外貨建ての営業債権及び製品・原材料等の輸入に伴う仕入価格及び営業債務が為替変動の影響を受けます。デリバティブ取引(外国為替証拠金取引)を行うこと等により対策を講じているものの、想定を超える急激な為替変動が発生し、海外から仕入れている製品について販売価格への転嫁が困難となった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 競合企業について

ICTプロダクツにおいて取り扱う各種製品は、同様の製品を取り扱う競合企業が多数存在し、また、製品性能による差別化が困難な製品もあることから、日常的に価格競争が発生しております。当社グループでは、部品調達コストや製品製造コストの削減に取り組むとともに、価格競争を回避すべく、付加価値の高い製品の開発に努めております。しかしながら、想定を超える価格競争が発生した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 技術革新について

ICTプロダクツが属するデジタル会議市場においては、参入企業による技術革新が継続的に行われております。当社グループでは、市場動向の継続的な調査と、新たな技術を有する企業との連携強化に取り組んでおりますが、既存企業または新規参入企業による破壊的イノベーションが生じた場合には、従来の製品やサービスの技術的優位性が急速に失われ、市場からの支持を喪失する可能性があり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 外部要因による製品価格の変動について

当社グループで販売している製品のうち、主にデジタルデバイスでの調達部材であるDRAMやNAND等の半導体関連製品は、世界的な需要や供給の変動により、価格が急激に変動する可能性があります。当社グループでは、販売価格への適正な転嫁を通じて収益性の安定化を図っておりますが、想定を超える急激な価格変動が発生した場合には、将来的な成長および収益性が損なわれ、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 製品の保証について

当社グループは、一定の品質基準に基づき製品を製造しており、販売後の保証対応についても一定の基準を設けており、その費用は毎期の売上高実績に応じて翌期以降の発生に備え見積り計上しております。しかしながら、規定外の製品瑕疵により、大規模なリコールや保険金額を超える製造物責任賠償が発生した場合には、将来的な成長および収益性に悪影響を及ぼし、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(7) 新製品開発力について

デジタルエンジニアリングにおける当社グループの将来的な成長は、主に最先端技術を用いた新製品の開発と市場投入に大きく依存しております。しかしながら、当該業界では技術革新の速度が速く、すべての製品開発が市場ニーズに合致し、販売につながるとは限りません。そのため、業界動向や市場ニーズの変化を的確に捉えられらず、有効な製品を適時投入できない場合には、将来的な成長と収益性を低下させ、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) IT人材の確保、育成等について

当社グループは、Webサイトの構築、広告制作プロデュース及びマーケティングのコンサルティング事業、システム構築や技術者派遣事業といった分野において、顧客ニーズに対応したサービスを提供しております。これら事業の遂行には、高度なスキルを有する人材の確保と育成が不可欠です。しかしながら、急激な市場環境の変化や雇用情勢の改善等により、必要な人材の確保や育成が困難となった場合、または人材の流出が発生した場合には、収益の減少や費用の増加を招き、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(9) M&A・業務提携について

当社グループは事業規模の拡大を目的として、M&Aおよび他企業との業務提携を重要な経営戦略の一つとして積極的に推進しております。これらの実行にあたっては、対象企業の財務・税務・法務面でのデューデリジェンスを実施し、リスクおよび収益性を十分に評価した上で判断しておりますが、対象企業における偶発債務の発生や、事業の進捗が当初の計画どおりに進まない場合には、期待していたシナジーや事業拡大の成果が得られず、のれんの減損損失が発生する等、当社グループの経営成績及び将来の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。


(10) 内部管理体制について

当社グループは、今後の事業拡大を見据え、内部管理体制の強化が重要であると認識しております。買収対象企業についても、事前に内部統制状況の調査・分析を行い、買収後は、上場会社グループとしての高い内部管理体制水準を確保すべく、持株会社(当社)を中心とした管理体制の整備を推進しております。しかしながら、事業の急速な拡大や連結対象会社の急速な増加により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない場合には、適正な事業運営が困難となり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 人的資源に関するリスクについて

当社グループは、継続的な成長のために、優秀な人材を継続的かつ適切に確保するとともに、人材の育成に注力しております。しかしながら、事業規模に見合った人材の確保や育成が適切に行えない場合、または人材の大量流出が生じた場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因となり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 a.財政状態

(資産の部)

資産合計は、前連結会計年度末に比べて4.3%増加し、17,553百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べて7.0%増加し、12,523百万円となりました。これは、売掛金が588百万円、営業投資有価証券が431百万円、その他流動資産が659百万円増加したものの、現金及び預金が480百万円、電子記録債権が245百万円、それぞれ減少したこと等によるものです。

固定資産は、前連結会計年度末に比べて1.8%減少し、5,029百万円となりました。これは、建物及び構築物が278百万円、投資その他の資産のその他に含まれる関係会社株式が181百万円増加したものの、工具、器具及び備品が509百万円減少したこと等によるものです。

 

(負債の部)

負債合計は、前連結会計年度末に比べて5.1%増加し、11,643百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末に比べて9.7%増加し、9,879百万円となりました。これは、短期借入金が1,680百万円増加したものの、未払金が522百万円、未払法人税等が479百万円それぞれ減少したこと等によるものです。

固定負債は、前連結会計年度末に比べて14.7%減少し、1,763百万円となりました。これは、長期借入金が303百万円減少したこと等によるものです。

 

(純資産の部)

純資産合計は、前連結会計年度末に比べて2.8%増加し、5,910百万円となりました。これは、その他有価証券評価差額金が74百万円減少し、自己株式の取得に伴い84百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益を373百万円計上したこと等によるものです。

 

  b.経営成績

当連結会計年度の経営成績につきましては、ROM書込みサービス事業での書込み数量の減少等がありましたが、大型スポット案件を含むデジタルデバイス及びICTプロダクツのデジタル関連機器事業での好調により売上高は24,540百万円(前年同期比29.0%増)となりました。前期までに実施した設備投資による減価償却費の増加もあり、営業利益は767百万円(前年同期比37.9%減)、経常利益は582百万円(前年同期比52.4%減)となりました。また、前期において子会社株式売却に係る特別利益1,278百万円を計上していたこと等の影響により、親会社株主に帰属する当期純利益は373百万円(前年同期比74.8%減)となりました。

 

セグメント別の業績につきましては、次のとおりであります。

 

<デジタルデバイス>

主要製品のDIMM(Dual Inline Memory Module)及びSSD(Solid State Drive)の主要調達部材である半導体メモリー製品のDRAM、NANDにおいては、サーバー、パソコン、スマートフォン等の需要は本格回復しない状態が続きました。当社顧客におきましても、パソコンメーカーの販売台数は低調のまま推移し、それ以外の産業系顧客においても在庫調整が継続している状況であります。一方で、大型スポット案件の受注や、新規案件の獲得等により、売上高、セグメント利益ともに前年同期を大幅に上回りました。

これらの結果、当セグメントの売上高は13,960百万円(前年同期比72.1%増セグメント利益(営業利益)は1,477百万円(前年同期比106.2%増)となりました。

 

<デジタルエンジニアリング>

ROM書込みサービス事業では、日本サムスン株式会社、株式会社トーメンデバイスと共同で実施する国内大手メーカーに向けたプロジェクトにおいて、一時的な書込み数量の減少に加え、前期までに実施した設備投資による減価償却費が増加しました。

デバイスプログラマ事業では、大手電機メーカー向けに国内製新型オートハンドラの納入を行いましたが、顧客の生産調整が続いており変換アダプタの販売数量は減少しました。

一方、ディスプレイソリューション事業におきましては、超薄型サイネージ「WiCanvas」の大手GMS、SC、店舗、ショールーム等への導入が堅調に推移し、ショールーム向けの大型タッチパネルやATM向けのタッチパネルの販売も堅調に推移しました。

これらの結果、当セグメントの売上高は2,802百万円(前年同期比20.9%減セグメント損失(営業損失)は74百万円(前年同期は1,223百万円の利益)となりました。

なお、横浜市にあるミナト・アドバンスト・テクノロジーズ株式会社の社屋建て替え工事につきましては、2024年11月18日に工事が完了し、竣工しました。今後のROM書込みサービスの需要拡大に向けた設備の拡充を完了し、稼働を始めています。

 

<ICTプロダクツ>

テレワークソリューション事業におきましては、ハイブリッドワークの環境整備に伴う高性能ヘッドセット等の販売が堅調に推移しました。据置型会議システム全体においては、当連結会計年度の後半に需要の回復が見られるようになりましたが、前期後半に取り扱いを開始した新たなデジタル会議システムの立ち上がりが遅れたこと、据置型端末の平均単価が下落したこと等により、販売実績は前年同期を下回る結果となりました。

デジタル関連機器事業におきましては、特に法人向け市場でのハードウェアの入れ替え需要を的確に捉えたことによりパソコン周辺機器の販売実績は前年同期比で大幅に伸長しました。また、新規プロダクトの取り扱い開始等があり、前年同期を上回る販売実績となりました。

これらの結果、当セグメントの売上高は7,585百万円(前年同期比8.4%増)、セグメント利益(営業利益)は191百万円(前年同期比67.6%増)となりました。

 

<その他>

その他では、Webサイトの構築や広告の制作プロデュース及びマーケティングのコンサルティング事業、システム構築や技術者派遣事業、国内外のベンチャー企業への投資や太陽光発電事業等のアセット投資等の各事業において、新たな案件獲得が進みましたが、当連結会計年度においては費用が先行する形となりました。また、2023年6月に全株式を譲渡した株式会社クレイトソリューションズを連結の範囲から除外したことにより、前年同期比では売上高、利益ともに大幅な減少となりました。

これらの結果、当セグメントの売上高は546百万円(前年同期比38.5%減)、セグメント利益(営業利益)は16百万円(前年同期比85.5%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は2,068百万円前年同期に比べて421百万円(16.9%)の減少となりました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、92百万円の収入(前年同期144百万円の収入)となりました。増加要因として、税金等調整前当期純利益610百万円、減価償却費668百万円、仕入債務の増加額128百万円、棚卸資産の減少額271百万円、減少要因として、売上債権の増加額336百万円、営業投資有価証券の増加額431百万円、法人税等の支払額1,003百万円等があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、1,642百万円の支出(前年同期1,541百万円の支出)となりました。減少要因として、社屋の建て替えによる有形固定資産の取得による支出882百万円、貸付けによる支出572百万円等があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、1,122百万円の収入(前年同期336百万円の収入)となりました。増加要因として、グループの運転資金を目的とした短期借入金の増加により1,680百万円、社屋の建て替えを目的とした長期借入れによる収入400百万円、減少要因として、長期借入金の返済による支出674百万円、自己株式の取得による支出191百万円等があったことによるものです。

当社グループ全体の資金調達及び管理を持株会社である当社に集約して効率的な財務運営を進めるとともに、必要な資金の機動的な見直しを行っております。

 

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

デジタルデバイス

11,263,347

153.0

デジタルエンジニアリング

1,939,582

149.5

ICTプロダクツ

6,257,720

115.8

その他

419,107

63.6

合計

19,879,758

135.0

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、製造原価によっております。

3.当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。その内容等については、「第2「事業の状況」4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 

 

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

デジタルデバイス

13,574,656

174.4

374,925

68.7

デジタルエンジニアリング

2,892,196

87.4

356,363

143.7

ICTプロダクツ

7,399,782

109.0

267,173

79.0

その他

533,724

121.2

60,877

89.8

合計

24,400,359

133.2

1,059,339

88.3

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。その内容等については、「第2「事業の状況」4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

デジタルデバイス

13,745,122

175.8

デジタルエンジニアリング

2,783,846

79.8

ICTプロダクツ

7,470,883

109.4

その他

540,608

61.4

合計

24,540,461

129.0

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

ダイワボウ情報システム株式会社

4,036,949

16.5

 

3.前連結会計年度の販売高及び割合に記載のない相手先につきましては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

4.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。その内容等については、「第2「事業の状況」4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討の内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a. 経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)における我が国経済は、経済活動の正常化や企業収益の回復と設備投資の持ち直し、インバウンド需要の拡大等が続き緩やかな景気回復基調となりました。一方、物価高による消費マインドの停滞等、景気が下振れするリスクは存在しています。世界経済においては、ウクライナ問題や中東情勢の長期化や、中国経済の成長鈍化、米国主導での関税の引き上げ等により、景気減速リスクが高まり、不透明さが継続しております。

 当社グループの主要な市場である半導体関連市場におきましては、特にパソコン、サーバー需要の回復は顕在化せず部品調達の調整や製品の在庫調整の動きが継続しております。

 このような状況のなか、当社は、デジタル分野において他企業との連携やM&Aを進めることでコンソーシアム(共同体)を形成し、これを拡大することでシナジーを創出し企業価値を高めていくことを柱とする「デジタルコンソーシアム構想」を成長戦略として位置付け、「デジタルコンソーシアムで未来の社会を創造する」というビジョンを推進しております。

これらの結果、当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べて29.0%増加し、24,540百万円となりました。これは主にROM書込みサービス事業での書込み数量の減少等がありましたが、大型スポット案件を含むデジタルデバイス及びICTプロダクツのデジタル関連機器事業での好調によるものです。

 

(売上総利益)

当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べて10.4%減少し、4,315百万円となりました。これは主に大型スポット案件を含むデジタルデバイス及びICTプロダクツのデジタル関連機器事業での好調による増加がありましたが、デジタルエンジニアリングにおけるROM書込みサービス事業での一時的な書込み数量の減少に加え、前期までに実施した設備投資による減価償却費が増加したこと等によるものです。

 

(販売費及び一般管理費)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べて0.9%減少し、3,548百万円となりました。これは主に人件費等が増加となった一方で、貸倒引当金繰入及び事業税の減少によるものです。

 

(営業利益)

当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べて37.9%減少し、767百万円となりました。これは主にデジタルエンジニアリングでの売上総利益の減少等によるものです。

 

(経常利益)

当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べて52.4%減少し、582百万円となりました。これは主に営業利益の減少に加え、為替差損および支払利息等の増加によるものです。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べて74.8%減少373百万円となりました。これは主に経常利益の減少に加え、前連結会計年度において子会社株式売却に係る特別利益を計上していたこと等によるものです。

 

 

(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況について)

当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 目標とする経営指標」に記載しております。また、営業利益及び経常利益については「 a.経営成績の分析」に記載しております。

なお、自己資本比率については、利益計上等に伴う株主資本の増加がありましたが、流動負債の増加により33.7%(前期は34.1%)になりました。自己資本利益率(ROE)については、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比で74.8%減となったことから6.4%(前期は29.5%)となりました。

 

 b. 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

なお、セグメントごとの経営成績の状況は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況  b.経営成績」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 a. キャッシュフローについて

「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 b. 資本の財源及び資金の流動性について

当社グループは、グループとしての健全な財務体質を維持しながら、必要な資金を機動的に調達・運用を行い、企業価値向上のために戦略的に経営資源の選択と集中を推進しております。

健全な財務体質の面では、当社が2023年1月に策定・公表しました「中期経営計画2027」にて目標値と定めた連結での自己資本比率30%以上を維持すべく運営し、リスク耐性の強化を図ります。

必要資金の調達・運用については、フリー・キャッシュフローの増大による資金創出への努力とともに、グループ各社の資金調達及び管理を持株会社である当社に集約し、グループ全体の手元現預金及び有利子負債の管理を行うことで、当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を効率的に調達・運用しております。当社グループの資金需要は、グループ各社の営業活動に伴う運転資金と、今後の成長に必要な設備投資資金やM&Aに関する資金等があります。このうち、グループ各社で必要となる在庫、仕入資金や、売掛金回収までの運転資金等については、主に短期借入金及び長期借入金で調達しておりますが、グループ各社の手元現預金の水準を勘案しつつ、取引金融機関との間で締結した複数年でのコミットメントライン契約により機動的に借入金の増減を行い、効率的な資金調達に努めております。また、将来の成長に資する設備投資に係る資金や、連結の範囲の変更を伴う子会社株式取得のための資金及び当該子会社の既存借入の借換資金等については、金融機関からの短期借入金や長期借入金及び第三者割当増資等を活用しております。主要な取引金融機関とは良好な取引関係を維持しており、当社グループの事業の運営に必要な資金は問題なく調達可能と考えており、また、取引金融機関との間での複数年のコミットメントライン契約により緊急時の流動性を確保しております。

また当社グループでは、中長期的な企業価値向上のために既存事業の成長戦略の精査を行い、より高い成長が見込まれる分野への経営資源の重点的な配分について議論、検討をしております。引き続き当社グループにとってより高い成長が見込まれる事業のための設備投資、M&A、グローバル展開に資金を配分することにより、財務の健全性を維持しつつ、当社のさらなる企業価値向上を図る考えです。

 

 

③ 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの必要と思われる見積り及び仮定は、合理的な基準に基づいて実施しております。これらの見積り及び仮定には不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なる可能性があります。

なお、当社グループの連結財務諸表の作成で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に、会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼす事項であると考えております。

 

 a. 固定資産の減損処理

当社グループが保有しております固定資産のうち、減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローを見積り、その総額が帳簿価額を下回る場合には、減損損失の測定を行い、回収可能価額(正味売却価額又は使用価値のいずれか高い金額)が帳簿価額を下回る場合に、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。将来キャッシュ・フローの見積りにあたっては、将来の予測不能な事業環境の著しい悪化等により見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があります。

 

 b. のれんの減損処理

当社グループののれんの償却については、その効果の発現する期間を合理的に見積り、当該期間において均等償却を行っております。将来の予測不可能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、収益性が低下し、減損損失が発生する可能性があります。

 

 c. 繰延税金資産

繰延税金資産は、過去の課税所得の推移や将来の課税所得の見込等を勘案して、回収可能性を慎重に検討し計上しております。回収の実現性が低いと判断した場合には適正と考えられる金額へ減額する可能性があります。

 

5 【重要な契約等】

当社は、財務上の特約が付された金銭消費貸借契約(シンジケートローン)を締結いたしました。
 契約に関する内容等は、以下のとおりであります。
 1.(1) 契約締結日

   2025年3月25日
   (2) 金銭消費貸借契約の相手方の属性

    都市銀行 、地方銀行
   (3) 金銭消費貸借契約に係る債務の期末残高及び契約期限並びに当該債務に付された担保の内容

    金銭消費貸借契約に係る債務の期末残高:1,300,000千円

    契約期限              :2026年3月30日

    当該債務に付された担保の内容    :担保はありません

   (4) 財務上の特約の内容

    ①又は②に抵触した場合、多数貸付人の請求により期限の利益を喪失する。

     ①各年度末の連結貸借対照表における純資産の部の金額を、当該決算期の直前の決算期末又は2024年3月

      期末の連結貸借対照表における純資産の部の金額のいずれか大きい方の75%以上に維持すること。

     ②2期連続して経常損失を計上しないこと。

 

2.2024年4月1日前に締結されたローン契約については、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは顧客ニーズに応える最先端の製品を市場に供給するために製品開発を継続的に行っております。

当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発に直接要した額の総額は8百万円であります。

 

セグメント別の製品開発は、次のとおりであります。

 

 デジタルエンジニアリング事業

フラッシュメモリデバイス等へデータを高速に、かつ高い精度を保ちつつ移植するための高性能なデバイスプログラマ及びプログラマ用アダプタ並びに各種デバイスをプログラマに自動挿入するオートハンドラ等のプログラマ関連周辺機器の開発を行っております。

当連結会計年度における研究開発に直接要した額は8百万円であります。