当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、経営理念として「人材の開発と相互信頼に努め、新技術に挑戦して、社会に貢献する。」、経営方針として「環境変化に適応した俊敏な事業活動により、マルチコアカンパニーとして進化し続ける企業を目指す」をかかげ、国内外の市場で、複合技術を活用したソリューション展開により社会貢献することを使命とし、進化し続ける企業を目指します。
(2)経営戦略等
中期経営戦略(2024年12月期~2026年12月期)
~持続可能な社会を実現するために、持続可能な組織を目指す~
全社戦略
「持続可能な組織を実現するためにSeiwa Way(※)の思想に基づき責任ある行動をする」
※Seiwa Wayとは2015年に導入した「経営理念」、「私たちの働く目的」を実現するために、星和電機の社員としてどのような価値観を共有し、どのような仕事の仕方をすべきかあらわした思想。
当社は、中期経営戦略のもと、中期経営方針である「持続可能な組織の実現」に向け、モノづくり、市場創出、技術の観点で取り組んでまいります。
モノづくり
製販のチームワークにより、高品質、低コスト、短納期を追求し、常に進化し続ける
市場創出
既存領域から未知の領域へ情報感度を高め、新市場を開拓し、新規事業を創出する
技術
コア技術の強化・ノウハウの継承により、新技術・新製品開発を加速させる
特に、市場創出においては、既存事業に加えて新たな事業を創生するため、新規事業に特化した本部である新規事業本部を設置することでそのスピードを加速させてまいります。
また、「SEIWA SDGs」を軸としてさまざまな社会課題に取り組み、「持続可能な社会の実現」にも努めてまいります。
ひきつづき内部統制およびコーポレートガバナンスの強化、コンプライアンスの徹底に全社をあげて取り組んでまいります。
セグメント別の事業展開方針及び事業戦略は以下のとおりです。
情報機器事業
事業ミッション
1.公共インフラ分野(道路・河川)での豊富な実績と知名度を基に保有する複合技術を活用して、市場ニーズに適合したソリューションを展開する。
2.顧客から信頼され、安心・安全・便利で経済的な製品提供を実現し社会に貢献する。
事業展開方針
1.品質と技術力の向上と生産構造改革により、低コスト経営の実践と顧客満足を高めて事業収益性を向上させる。
2.独自技術の育成と従来製品群のスマート化を実現し、維持管理時代に向けた省力化・効率化を実現する。
3.エンジニアリング力の強化と販売網の再構築により受注領域を拡大する。
照明機器事業
事業ミッション
1.産業施設、インフラ分野に対し、安心・安全・快適・省エネな「光」によるソリューション事業を展開する。
2.新たな市場ニーズに対応するため、複合技術を活用して付加価値の高い製品とサービスを提供する。
3.製品・サービスの提供を通じて持続可能な社会の実現に貢献する。
事業展開方針
1.差別化および高付加価値提供が可能な多機能製品、システム製品を増強する。
2.新事業領域の創造と既存市場の拡大の両輪により、顧客を増やす。
3.合理的かつ高品質のものづくりを追及し、顧客満足の向上と収益体質の強化を図り、事業収益を増やす。
コンポーネント事業
事業ミッション
1.製品、部品、材料の高機能化と付加価値向上を図り安定的事業基盤を構築する。
2.ニッチトップビジネスを軸に収益力を向上させ深化と探索の両輪で国内外市場に対して積極的に展開する。
3.シーズからニーズ創出を強化し、マーケットアウト思考により新規事業創出を図る。
4.総合エンジニアリング事業を新規市場、海外市場に展開し事業貢献・強化を実行する。
事業展開方針
1.事業領域としては B to B で且つニッチ市場(ニッチトップ)にハードとソフト、システム展開とエンジニアリング領域(シミュレーション評価技術、暗室ソリューション等)の両輪により事業基盤を強化する。
2.既存コア技術の単機能から複合機能への転換を図り新市場領域の創出と参入による事業拡大を目指す。
3.新材料、機能性材料開発、高機能製品化(付加価値製品)及び新技術の研究、新分野領域への開発力を強化する。(領域:EV、自動運転、インフラ、スマートグリッド、AI 等)
(3)経営環境
今後の経済情勢は、雇用・所得環境の改善などを背景に緩やかな回復が続くことが期待されますが、物価上昇、アメリカの政策動向、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動など依然として景気の先行きは不透明な状況にあります。そのようななか、公共設備関連では、防災・減災、国土強靭化の加速化対策が5か年計画の最終年度でもあり、インフラ整備などの公共事業の継続、政府のカーボンニュートラル施策を背景とした照明器具のLED化促進などが予想されます。また、民間設備関連では2027年蛍光灯製造禁止を背景に国内の設備投資においてLED照明器具の需要が堅調に推移すると見込んでおります。
このような状況のもと、情報機器事業では公共インフラ分野(道路・河川)での豊富な実績と保有する複合技術を活用して、市場ニーズに適合したソリューションを展開し、安心・安全・便利で経済的な製品・サービスを提供いたします。照明機器事業では産業施設・インフラ分野に対して安心・安全・快適で省エネルギーな「光」によるソリューションを展開し、複合技術を活用して付加価値の高い製品とサービスを提供いたします。コンポーネント事業では製品、部品、材料の高機能化と付加価値向上を図り、ニッチトップビジネスを軸に収益力を向上させ、シーズからニーズ創出を強化するとともにマーケットアウト思考により新規事業の創出を図ります。さらに全事業において、コスト削減と生産性の向上による収益性の改善を目指します。
そして、当社の経営理念のもとSDGsに賛同し、「SEIWA SDGs」を宣言いたしました。この宣言のもとでさまざまな社会課題に取り組むとともに、持続可能な社会の実現に努めてまいります。
また、ひきつづき内部統制およびコーポレートガバナンスの強化、コンプライアンスの徹底に全社をあげて取り組んでまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財政上の課題
情報機器事業
内部の課題
品質・技術レベルの向上、新製品の企画・開発力強化、生産の計画性向上、売上・利益率の向上、購買力、営業力、熟練技術者の育成、潜在的人員不足の解消、特定市場外の展開
外部の課題
他社の入札機会拡大、建設路線の減少、大型物件の長納期化、公共発注方式変化、情報提供媒体の多様化、部品調達における長納期化や製造中止、自然災害・疾病
照明機器事業
内部の課題
新規顧客開拓力、防爆照明のラインアップ強化と競争力向上、防爆照明以外の製品力・バリエーション、各機能部門専門家の増加、付加価値のある製品開発、システム・ソフト関係の技術力向上
外部の課題
市場参入者増加によるLED照明の価格競争激化、製品サイクルの短期化、海外防爆メーカの市場参入、部材調達遅延、関連法規改正による市場の縮小、電気用品安全法改正への対応、原材料高騰による製品付加価値の減少、中国調達の税制優遇処置縮小
コンポーネント事業
内部の課題
既存市場での活動範囲拡大、市場分析力・マーケティング力の強化、新規顧客開拓力(販売促進)の強化
新技術を製品化する開発・企画力の強化、開発購買力の強化、プロ意識を持った人材の育成
外部の課題
各業界の国内市場縮小、OEM事業の先行き不安、為替変動・税制改革、貿易摩擦による原材料の供給不安、サイバー攻撃の脅威
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高、営業利益率を重要な指標として位置付けており、各期において外部・内部環境等を考慮して計画値を設定し、その基準を達成できるように努めております。2025年12月期は売上高26,000百万円、営業利益1,800百万円、経常利益1,850百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,245百万円、営業利益率7.0%を予想しております。
セグメント別の売上高について、情報機器事業では9,200百万円を予想しております。国土強靭化やインフラ整備のための公共事業の継続が予想されます。
期初の受注残高が多く、製販連携による確実で効率的な生産と品質の確保に取り組み、更なる受注に努めてまいります。
照明機器事業では10,200百万円を予想しております。公共設備関連においては、政府のカーボンニュートラル施策を背景に照明器具のLED化が促進することが見込まれます。
LEDトンネル照明器具の新製品を中心とした受注の確保に努めてまいります。
民間設備関連においては、2027年蛍光灯販売終了を背景に国内の設備投資においてLED照明器具の需要が堅調に推移すると見込んでおります。
LED照明器具の拡販と製品ラインアップの拡充で市場のシェア拡大に努めてまいります。
コンポーネント事業では6,200百万円を予想しております。新製品開発と電波暗室を活用したソリューション営業活動による市場の拡大および新市場の開拓に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、「人材の開発と相互信頼に努め、新技術に挑戦して、社会に貢献する。」と定めた経営理念にもとづき、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に賛同し、持続可能な社会の実現に努めております。また、持続可能な社会を目指すためには持続可能な組織になる必要があるため、2024年12月期からの中期経営戦略では「持続可能な組織を実現するために Seiwa Wayの思想に基づき責任ある行動をする」という方針のもと、モノづくり、市場創出、技術の観点で事業を進めております。
当社グループのサステナビリティに関する取り組みについては、経営企画部が主体となりサステナビリティに関する施策、方針、取組、計画について検討し、関係部署とともに協議・連携して実行しております。
(2)戦略
2019年に宣言いたしました「SEIWA SDGs」では、4つの取り組むテーマ「モノづくり」「人・組織」「環境」「社会貢献」を設定し、さまざまな社会課題に積極的能動的に取り組むため、経営理念や経営戦略等にもとづいた目標を設定し、中長期的な視点で企業価値向上を目指しております。
モノづくり
公共と産業の安心・安全のために高品質な製品・サービスを提供し、持続可能な成長を目指します。
強いモノづくりのこだわりと情熱をもって、最高の製品・サービスをお客様に提供します。
新たな社会課題に気づき、解決のために新たな価値の創造、事業の創出に挑戦します。
人・組織
従業員ひとりひとりが「プロ」として成長します。
お互いを認め合い信頼し、価値の高い仕事の成果により喜びを共有できる組織として成長します。
絶え間なく進化し、長く活躍できる「わくわくする楽しい会社、面白い会社」を目指します。
環境
京都の企業としてお客様、地域社会、取引先のみなさまと連携し、直接的・間接的な取り組みを通して、地球の環境保護に努めます。
社会貢献
社会と共存共栄を図り、ともに進化・成長し続けます。
地域振興事業、文化事業、スポーツ振興への協賛を通して、地域に密着した貢献活動をおこないます。
当社グループにおける人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりです。
人材の多様性の確保については、当社グループは性別・年齢・国籍等によって優遇することなく、求められる能力・知識・経験等に基づいて公正に確保を行っております。女性の採用および管理職への登用については、
人材の育成については、「人財開発基本方針」に基づき、当社が目指す「人と組織のありたい姿」への実現に向けて「人の成長」に焦点を当てた人材開発を推進するべく階層別、職種別、個人別の教育計画の企画・実施をとおして従業員ひとりひとりの多様なキャリアゴールの実現をサポートしています。
(3)リスク管理
各事業部、部門単位で抽出したリスクと機会にSEIWA SDGsのテーマとの関連付けを行っております。取り組みの進捗および実践について、経営企画部で取りまとめを行い、経営会議にて報告しております。経営会議での審議の結果を次年度のリスク及び機会、中期事業戦略等に反映させております。
(4)指標及び目標
環境側面
本社工場及び全営業拠点を含め環境マネジメントの国際規格である「ISO14001:2015」の認証を維持し、その仕組みに沿って環境マネジメントシステムを運用しています。企業活動や製品が環境に及ぼす影響を評価し、管理サイクルを回しながら、継続的な環境負荷低減活動を実施しています。
重点課題として、環境配慮製品の普及、環境技術の向上と製品開発、省エネルギー・省資源、廃棄物削減について目標の設定を行っております。
|
指標 |
目標(当連結会計年度) |
実績(当連結会計年度) |
|
省エネルギー(電気) |
前年比4%削減 |
前年比2.6%削減 |
|
同上 (ガス) |
前年比4%削減 |
前年比2.6%増加 |
|
産業廃棄物排出量 |
前年比1%削減 |
前年比19.9%増加 |
人材の多様性の確保および人材の育成
上記「
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指標 |
目標( |
実績(当連結会計年度) |
|
|
|
|
|
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|
|
当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性のあるリスク及び変動要因は以下のとおりであります。
当社グループでは、経営上発生することが予測される様々な事象に伴うリスクに、迅速かつ的確に対応するため、取締役社長を委員長とする危機管理委員会を設置するとともに、年2回定例会議を開催し、また必要により臨時の会議を開催して、迅速に対応できる危機管理体制の整備、管理に努めております。当社グループではこれらリスクの発生を十分に認識した上で、発生を極力回避し、また発生した場合に的確な対応を行うための努力を継続してまいります。
当社グループは重要性に応じて、「事業等のリスク」の記載順を判断しております。
(1)公共事業予算
当社グループの情報機器事業及び照明機器事業の一部では、国や地方自治体の公共事業の動向に大きく影響を受け、公共事業予算規模の増減は、当社グループの売上高に影響を与える可能性があります。
2024年12月期は、防災・減災、国土強靭化の加速化対策が5か年計画の中間期でもあり、インフラ整備などの公共事業の継続、政府のカーボンニュートラル施策を背景とした照明器具のLED化促進などを背景にLEDトンネル照明器具を中心とした新規受注物件の確保に努めてまいります。
(2)公共事業依存に関するリスク
当社グループの情報機器事業及び照明機器事業は、売上高に占める公共事業の割合が非常に高いため、当社グループの経営成績は公共事業予算の増減に影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、公共事業への依存度を低減するため、民需関連市場の新規開拓や新製品の開発、新規事業の創出に取り組んでおります。
売上高官需比率
|
|
2020年12月期 |
2021年12月期 |
2022年12月期 |
2023年12月期 |
2024年12月期 |
|
官需比率(%) |
53 |
56 |
45 |
47 |
49 |
|
民需比率(%) |
47 |
44 |
55 |
53 |
51 |
(3)原材料・部品の価格高騰及び入手難によるリスク
当社グループは製品の製造のため外部から原材料、部品、組立外注品等を調達しており、市況の変動に伴う価格の高騰等は経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、供給元における不測の事由による原材料等の供給不足、供給中断により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。BCPに基づく対策として、開発段階から複数社で調達できる検討を事前に行うことやセカンドベンダーとなる取引先を確保し、特定の仕入先に依存しない施策を実施しております。
(4)公共工事の大型化・長期化
受注から引渡しまでの工期が長期かつ大型の物件は、期間中に経済情勢の変動等により原材料価格や人件費が大幅に上昇するなど、契約を締結した時点の見積原価と実際の原価との間に差異が生じる可能性があり、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(5)公共工事の工期延長
公共工事施工中における重大事故による納期遅延や自然災害等の予期しない事態による工事の中断や変更による大幅な工期延長は、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(6)入札制度について
当社グループの情報機器事業及び公共設備関連の照明機器事業の受注形態は一般競争入札制度によっております。そのため、入札制度が大きく変更されたり、競争の激化による入札価格の低下により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社営業本部内に、入札情報(入札公告・結果)等の集約管理を行い、情報の分析と総合評価対策(技術資料作成)により入札競争力向上をサポートする部署を設け、対策を行っております。
(7)法的規制について
当社グループの情報機器事業及び公共設備関連の照明機器事業では建設業許可を受け、電気工事業者として登録し、道路情報機器及び照明機器の工事を受注しております。これらの電気工事業務は、建設業法並びに電気工事業の業務の適正化に関する法律の規制を受けているため、当社営業本部内の専門部署にて有効期限の管理及び更新を行っておりますが、当該許可及び登録の更新がなされない場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、建設業許可には、一定の経験もしくは専任技術者が要件となっており、退職等の不在に備え、適任者の選任、教育を実施しております。
また、独占禁止法違反や官製談合等の不正な入札行為を行った場合は、公正取引委員会から排除勧告が行われることがあります。排除勧告を受けた場合は、営業禁止や営業停止の行政処分の他、国及び地方自治体から指名停止の処分が科された場合、当社グループの社会的信用失墜及び損害賠償請求等により経営成績に影響を及ぼす恐れがあります。
当社グループでは、法令順守の対応として、役員で構成される企業倫理委員会を設置し、規程及びマニュアルを整備し、コンプライアンスを徹底しております。また、監査部による監査(業務監査・内部監査)を原則年1回全部門及び子会社を対象に実施し、会社の業務活動が法令・定款・諸規程に準拠し、かつ経営目的達成のために合理的・効率的に運営されているか否かを監査しております。
(8)自然災害又は新規感染症等のパンデミック
自然災害やパンデミック等により事業活動の停滞や工場等が操業停止になった場合、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
・大地震発生時の対応
地震(震度5強以上)における従業員の安否確認として、安否確認システムを導入し、災害発生の直後での従業員の安否確認を優先し、被災状況の情報収集を行っております。
激甚災害であると危機管理委員長が判断した場合は、速やかに災害対策本部を設置し、ひきつづき情報収集を行ないながら災害復旧の指揮を執る体制をとっております。
(9)製品の品質によるリスク
当社グループは、製品品質の維持、向上に努めておりますが、重大な欠陥や瑕疵等が発生した場合、当社グループの社会的信用失墜及び損害賠償請求等により経営成績に影響を及ぼす恐れがあります。そのため、製品納入後に発生する保証費用に備えるため、製品保証引当金を計上しております。
顧客等からのトラブルやクレーム等は全て当社品質保証部に報告され、即座に必要な応急対策や処置のとれる体制を整えております。また、根本的な原因まで掘り下げ、最適で具体的な対策が立案できるまで原因を追究し、原因に対応した対策を立てております。当該クレーム・欠陥が危機的クレームに該当すると判断した場合、危機管理委員会事務局へ報告を行い、危機レベルが高いものについて、危機管理委員会を開催し、経営的観点に基づき対応を決定しております。また発生製造部門に原因究明及び再発防止対策を行わせ、危機事象報告書で報告しております。
(10)新製品の開発リスク
当社グループが製造する新製品の開発において次の能力が不足した場合は当社グループの経営成績に変動を及ぼす可能性があります。
①多様・高度化する顧客要求に対応する能力
②新製品を適時に開発し、適正な価格で生産する能力
③市場の変化を十分に予測する能力
当社は、社内又は顧客より提案を受けた新製品開発テーマに対し、その市場性・技術力・生産能力・販売力・資金力その他の必要事項について評価するとともに開発に着手することの可否を検討し、開発の早期実現により機会損失の発生を防止し、経営効率の向上に資することを目的として新製品開発委員会を設置しております。原則として年2回、企画会議を開催して開発テーマの情報収集とマーケットリサーチ、開発企画の審議、開発計画の立案、開発品の販売戦略の検討を行っております。
(11)人材獲得と人材育成に関するリスク
当社グループは優秀な人材を確保することが極めて重要な要素であると考えており、外部からの人材獲得及び社内の人材育成に加え、人材流出を防止するための環境整備を重要課題として取り組んでおります。人材育成では、当社グループが目指す「人と組織のありたい姿」の実現に向けて「人の成長」に焦点を当てた人材開発を推進し、さらに技術ノウハウの継承や従業員の意欲向上を図り、より長く活躍できる会社を目指してまいります。
しかしながら、必要な人材を必要な時期に十分に確保できない場合や当社グループの有能な人材が流出してしまった場合には、今後の事業展開に制約を受けることとなり、その結果、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)情報セキュリティ
当社グループの情報セキュリティについては、当社の取り扱う様々な情報を漏洩リスクから回避するため情報セキュリティ管理規程を定め、情報管理責任者及び情報管理者を中心に経営的な立場から会社全体の情報セキュリティ対策の実施及び改善活動を管理・監督しております。
また、「個人情報の保護に関する法律」や「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」に対応するため、当社で保有する特定個人情報及び個人情報の機密性を確保するため、社内体制・運用ルールを確立し危機管理マニュアルに基づき、障害発生時には迅速に対応できよう、危機管理体制を構築しております。
しかし、予期しえない不正アクセス等による社内システムへの侵入やサイバー攻撃等によるシステムリスクが発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)海外進出に潜在するリスク
当社グループは、生産又は販売活動を東南アジア諸国並びに中国等の海外市場において行っております。これらの海外市場への事業進出には各国の経済情勢、自然災害、事故、戦争・テロ、法令や政府による諸規制、仕入先の供給体制等の要因により、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
また為替相場の変動は、当社グループの外貨建取引から発生する債権債務の元本、売上高及び利益に影響を与える可能性があります。当社グループは、為替リスクを軽減し回避すべく様々な手段を行っておりますが、為替リスクを完全に回避することはできないため為替相場の変動が当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(14)価格競争
当社グループは、全ての事業分野で価格競争に直面しております。新製品の開発、顧客満足の向上等を通じて価格競争力の維持に努めておりますが、製品の需要動向によっては価格競争の更なる激化も予想されます。これにより当社グループの経営成績が変動する可能性があります。
(15)知的財産
当社グループは、独自開発した技術等について、特許権その他の知的財産権を取得する等保護に努めていますが、出願した技術内容等について権利が与えられない場合や、当社グループが保有する知的財産権が第三者から無効とされる可能性も有しております。当社グループの知的財産権が大きく損なわれた場合は当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)天候
当社グループのコンポーネント事業におけるエアコン用配管保護機材の売上高は、最需要期の天候の影響を受けます。これにより当社グループの経営成績が変動する可能性があります。
(17)債権の貸倒れ
当社グループは、債権の貸倒れに備えるため、与信管理を徹底する一方、売掛債権に対し回収不能見込額を引当計上しておりますが、想定以上の貸倒れが発生した際に、損失により当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(18)財務制限条項
当社は複数の金融機関とシンジケーション方式による金銭消費貸借契約を締結しております。本シンジケートローン契約には財務制限条項が付されており、条項に抵触した場合は当社グループの資金繰りに影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1)当期の経営成績等の概況
①経営成績の状況
(単位:百万円)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率(%) |
|
売上高 |
23,760 |
25,215 |
1,454 |
6.1 |
|
営業利益 |
1,041 |
1,772 |
730 |
70.2 |
|
経常利益 |
1,159 |
1,921 |
762 |
65.8 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
793 |
1,350 |
556 |
70.1 |
当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかな回復傾向がみられました。しかしながら、円安や人手不足、海外景気の減速・停滞など依然として景気の先行きは不透明な状況が続きました。
このようななか、当社グループにおきましては、マーケティング機能の拡充とソリューション営業力の強化を図り、競争力ある新商品の開発を進め、生産体制の強化により原価低減を図ることで収益性の向上に取り組んでまいりました。
この結果、売上面では民間設備関連の産業用照明器具と配管保護機材は増加しましたが、配線保護機材、電磁波環境対策部品は前年同期に比べ減少しました。公共設備関連の道路情報表示システムと道路・トンネル照明器具は増加となりました。
利益面では、民間設備関連の産業用照明器具は前年同期に比べ増益となりましたが、電磁波環境対策部品は減益となりました。公共設備関連の道路情報表示システムと道路・トンネル照明器具は売上の増加と収益性の改善により増益となりました。
その結果、当連結会計年度の経営成績は、増収増益となりました。
売上高は25,215百万円、営業利益1,772百万円、経常利益1,921百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,350百万円となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
|
|
売上高 |
セグメント損益 |
||||||
|
|
前連結 会計年度 |
当連結 会計年度 |
増減額 |
増減率(%) |
前連結 会計年度 |
当連結 会計年度 |
増減額 |
増減率(%) |
|
情報機器 |
9,128 |
9,590 |
462 |
5.1 |
957 |
1,365 |
408 |
42.7 |
|
照明機器 |
8,653 |
9,533 |
880 |
10.2 |
1,375 |
1,823 |
447 |
32.6 |
|
コンポーネント |
5,481 |
5,592 |
111 |
2.0 |
389 |
348 |
△41 |
△10.6 |
|
その他 |
496 |
497 |
0 |
0.2 |
22 |
33 |
11 |
50.0 |
情報機器事業
主力製品であります道路情報表示システムにおきましては、高速道路向けは前年同期に比べ増加しましたが、一般道路向けは減少しました。
この結果、売上高は9,590百万円となりました。セグメント利益は収益性の改善により1,365百万円となりました。
照明機器事業
民間設備関連の産業用照明器具におきましては、売上高が前年同期に比べ増加しました。
公共設備関連におきましても、道路・トンネル照明器具の売上高が前年同期に比べ増加しました。
この結果、売上高は9,533百万円となりました。セグメント利益は道路・トンネル照明器具の増収により1,823百万円となりました。
コンポーネント事業
配電盤や機械装置に用いる産業用配線保護機材は前年同期に比べ減少しましたが、エアコン用の配管保護機材は前年同期に比べ増加となりました。
電磁波環境対策部品は顧客の在庫調整の影響を受け、売上高・利益ともに減少しました。
この結果、売上高は5,592百万円となりました。セグメント利益は348百万円となりました。
その他の事業
商品仕入販売は331百万円、情報サービスは166百万円となりました。
この結果、その他の事業の売上高は497百万円となりました。セグメント利益は33百万円となりました。
②財政状態の状況
(単位:百万円)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 |
|
資産合計 |
27,939 |
30,378 |
2,439 |
|
負債合計 |
12,292 |
13,107 |
815 |
|
純資産合計 |
15,647 |
17,270 |
1,623 |
|
1株当たり純資産(円) |
1,187.78 |
1,318.44 |
- |
|
自己資本比率(%) |
55.9 |
56.8 |
- |
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ2,439百万円増加し、30,378百万円となりました。負債につきましては、前連結会計年度末に比べ815百万円増加し、13,107百万円となりました。純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ1,623百万円増加し、17,270百万円となりました。
主な増減要因は次のとおりであります。
流動資産
当連結会計年度末における流動資産は20,914百万円で前連結会計年度末に比べ1,723百万円増加しました。これは、現金及び預金、受取手形、売掛金及び契約資産が増加したこと等によるものであります。
固定資産
当連結会計年度末における固定資産は9,463百万円で前連結会計年度末に比べ715百万円増加しました。これは、投資有価証券及び退職給付に係る資産が増加したこと等によるものであります。
流動負債
当連結会計年度末における流動負債は10,370百万円で前連結会計年度末に比べ211百万円減少しました。これは、未払法人税等は増加しましたが短期借入金が減少したことによるものであります。
固定負債
当連結会計年度末における固定負債は2,737百万円で前連結会計年度末に比べ1,027百万円増加しました。これは、長期借入金及び繰延税金負債が増加したことによるものであります。
純資産
当連結会計年度末における純資産合計は17,270百万円で前連結会計年度末に比べ1,623百万円増加しました。これは、利益剰余金が増加したこと等によるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下資金という)は、前連結会計年度末に比べ1,022百万円増加し、3,609百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果、獲得した資金は981百万円(前年同期は529百万円の獲得)となりました。これは税金等調整前当期純利益の増加等によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果、使用した資金は203百万円(前年同期は364百万円の使用)となりました。これは有形固定資産の取得等によるものであります。財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果、獲得した資金は98百万円(前年同期は989百万円の使用)となりました。これは長期借入を行ったこと等によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前連結会計年度比(%) |
|
情報機器 |
9,588,895 |
104.6 |
|
照明機器 |
9,556,226 |
110.4 |
|
コンポーネント |
5,637,072 |
102.5 |
|
その他 |
497,843 |
100.2 |
|
合計 |
25,280,036 |
106.1 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前連結会計年度比 (%) |
受注残高(千円) |
前連結会計年度比 (%) |
|
情報機器 |
10,478,636 |
78.9 |
12,539,057 |
107.6 |
|
照明機器 |
9,580,464 |
104.0 |
2,861,262 |
99.8 |
|
コンポーネント |
5,649,611 |
114.3 |
427,943 |
97.9 |
|
その他 |
497,843 |
100.2 |
- |
- |
|
合計 |
26,206,555 |
93.8 |
15,828,262 |
105.8 |
(注)受注残高は確定契約による残存取引高と予約取引高を合算しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前連結会計年度比(%) |
|
情報機器 |
9,590,549 |
105.1 |
|
照明機器 |
9,533,885 |
110.2 |
|
コンポーネント |
5,592,935 |
102.0 |
|
その他 |
497,843 |
100.2 |
|
合計 |
25,215,213 |
106.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
|
相手先 |
前連結会計年度 |
相手先 |
当連結会計年度 |
||
|
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
||
|
因幡電機産業(株) |
4,707,034 |
19.8 |
因幡電機産業(株) |
5,089,654 |
20.2 |
|
西日本高速道路(株) |
1,096,422 |
4.6 |
西日本高速道路(株) |
3,095,612 |
12.3 |
(2)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当連結会計年度における財政状態の分析
前連結会計年度末と比較した財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)当期の経営成績等の概況 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
b.当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、前連結会計年度に比べ増収増益となりました。前連結会計年度と比較した経営成績については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)当期の経営成績等の概況 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
なお、当社グループは、売上高、営業利益率を重要な指標として位置付けており、各期において外部・内部環境等を考慮して計画値を設定し、その基準を達成できるように努めております。
当連結会計年度の達成・進捗状況は以下のとおりです。
売上高は計画比284百万円減(1.1%減)とほぼ計画通りとなりました。
営業利益は計画比292百万円増(19.7%増)、経常利益は計画比371百万円増(24.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は計画比280百万円増(26.2%増)となりました。これは、情報機器事業および照明機器事業の増収および収益性の改善により増益となりました。
(単位:百万円)
|
指 標 |
当連結会計年度 (計 画) |
当連結会計年度 (実 績) |
増減額 |
増減率(%) |
|
売上高 |
25,500 |
25,215 |
△284 |
△1.1 |
|
情報機器事業 |
9,800 |
9,590 |
△209 |
△2.1 |
|
照明機器事業 |
9,200 |
9,533 |
333 |
3.6 |
|
コンポーネント事業 |
6,100 |
5,592 |
△507 |
△8.3 |
|
その他 |
400 |
497 |
97 |
24.5 |
|
営業利益 |
1,480 |
1,772 |
292 |
19.7 |
|
経常利益 |
1,550 |
1,921 |
371 |
24.0 |
|
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
1,070 |
1,350 |
280 |
26.2 |
|
営業利益率 |
5.8% |
7.0% |
1.2PT |
- |
|
ROE (自己資本当期純利益率) |
6.5% |
8.2% |
1.7PT |
- |
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)当期の経営成績等の概況 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金及び設備資金につきましては、主として内部資金又は借入により資金調達することとしております。
短期の運転資金の調達は短期借入金で、大規模な設備投資や長期の運転資金は長期借入金で対応しております。
また当社は株主に対する安定配当の維持と将来の事業展開のための内部留保の充実を考慮して、毎事業年度における財政状態及び経営成績を総合的に勘案し、配当を実施しております。
内部留保資金につきましては、将来の事業展開を見据えて、新製品開発や技術・生産能力向上等経営体質の強化を図るため有効に投資しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項」に記載されているとおりであります。
当社グループの連結財務諸表の作成において、財政状態及び経営成績の状況に影響を与える見積りや判断は、合理的と考えられる要因を考慮した上で行っております。
一定の期間にわたり充足される履行義務による収益
当社は、情報機器事業及び照明機器事業の一定の要件を満たす工事案件において、期間がごく短い工事を除き、工事収益総額、工事原価総額及び履行義務の充足に係る進捗度を見積ることにより、「一定の期間にわたり履行義務を充足し収益を認識する方法」を適用しております。履行義務の充足に係る進捗度の見積り方法は、工事原価総額の見積額に対する発生原価の割合(インプット法)で算出しています。工事売上高については、工事原価総額を基礎として期末までの既発生原価額に応じた進捗度に工事収益総額を乗じて算定しております。工事収益総額、工事原価総額及び工事進捗度の見積りに際しては、事業環境や工事の施工状況や発注者との協議状況等を踏まえ、合理的な予測・判断を行っております。
なお、工事契約について、工事原価総額が工事収益総額を超過する可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、その超過すると見込まれる額(以下「受注損失」という。)のうち、当該工事契約に関して既に計上された損益の額を控除した残額を、受注損失が見込まれた期の損失として処理し、受注損失引当金を計上しております。
該当事項はありません。
当社グループでは「省エネルギー」と「人と環境を考えたものづくり」を基本として、各分野にわたって「環境配慮」をキーワードにした研究開発に取り組んでおり、今後の事業の中心となる製品の研究開発を進めております。
研究スタッフはグループ全員で67名であり、これは従業員の10.8%にあたります。
当連結会計年度におけるセグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は
情報機器事業
情報機器事業では、道路における付帯設備の老朽化・延命化を主眼に、保守メンテナンスの高度化のための技術開発として道路情報板などのモニタリング技術の研究開発を推進しており、路上設備などの状態を遠隔から収集し、遠隔から対処できるシステム製品などを積極的に提案して参ります。
新製品として、遠隔から電子機器等の電源リセット操作が行えように配線用遮断器とレバー駆動機構がIPネットワークに直接接続できる一体化製品を開発し、販売を開始しました。
この製品は、近年の現場機器のIoT化に伴い、ネットワークに接続される電子機器は増え続けており、高度・高速化により現場で生じている電子機器のフリーズ発生時に遠隔から電源リセット操作ができ、現場に急行する煩わしさを減らし、屋外機器のメンテナンス性を向上させます。
本装置は、道路情報板、気象観測局、CCTVカメラなどの路上端末設備での導入を想定しており、トラブル時の迅速な運用復旧により、道路利用者のサービス向上とインフラメンテナンスの省力化・効率化に貢献します。
また、既存設備の維持管理の向上をテーマに、当社の主力事業である道路情報板などの構造物の維持管理の軽減を主眼とし、支柱の異常検知ができるシステムを株式会社ネクスコ東日本エンジニアリング・東京理科大学と共同研究によりシステムが完成し、センサ端末と状態収集システムの販売を開始しました。
このシステムは、道路情報板の支柱の揺れ方を常時遠隔監視することにより、倒壊に直結する異常事象を早期に発見することができるモニタリングシステムです。遠隔監視による定量評価が可能なため、人口減少による労働者不足、維持管理業務の省力化および高度化、目視点検の属人化解消に貢献します。
当連結会計年度における当セグメントの研究開発費は
照明機器事業
照明機器事業では、産業用・インフラ用照明製品を中心に技術力強化と製品拡充に努めております。
産業用照明関連では、防爆照明器具を中心とした製品ラインアップのモデルチェンジを拡充し、業界初となる安全増防爆形LED捕虫器をリリースしました。紫外線LEDを採用したことで、従来製品よりも省エネ・長寿命を実現し、社会課題であるCo2排出量の削減にもつながります。
当連結会計年度における当セグメントの研究開発費は
コンポーネント事業
コンポーネントシステム事業では電磁波環境対策部品を中心に、社会変化に伴うお客様での課題を解決できる技術、製品拡充に努めております。
製品としては、従来の製品より耐熱性を向上させた、耐熱ガスケット、耐熱シールドシート、耐熱電磁波制御材(熱伝導タイプ)を新製品としてリリースしました。対策市場の多様化が進んでおり、これまでの製品では対応が困難であった車載ECUやインバーター等新たな市場での採用が期待できます。今後も更なる性能向上に向け、技術開発と製品拡充に努めてまいります。
また、シミュレーションモデルの拡充、10m法電波暗室における「ISO/IEC17025:2017試験所」認定範囲の拡大を実施しており、お客様に提供するサービスの信頼性向上を図りました。今後も信頼性向上に向け、技術構築を図ると共に、サービス提供からお客様が抱える課題の抽出、解決できる仕組み強化に努めます。
上記の開発以外にも植物成分から独自開発した環境に配慮した技術で抽出した材料を用いた、カーボンナノチューブ向け分散剤の開発、リリースをしました。今後もサスティナブル社会に貢献する材料開発に努めます。
今後も予想されるリスクや社会の変化に対応し、ソリューションの提供とエンジニアリング力の強化、持続可能な開発に努めてまいります。
当連結会計年度における当セグメントの研究開発費は
その他
要素技術の研究開発
当社は各事業の新製品開発だけでなく要素技術にも研究開発を進めております。
空中ディスプレイ研究の一環として、空中像の浮遊感向上に取り組んでいます。人の奥行き知覚は距離が遠くな
るほど小さくなるため、空中像を長距離で浮いて見えるようにする工夫が必要でした。この課題に対し、空中像
の周りを囲む枠である空中ガイドを導入し、回転させることで観察者の浮遊感が向上することを発見しました。今
後は、空中ガイドの色による違いについて一対比較法を用いて検証を進めます。
本成果として当社社員と国立大学法人宇都宮大学 共同研究者で執筆した研究開発論文が学術雑誌に掲載されま
した。
タイトル
「Enhancement of Floating Sensation by Introducing Aerial Guide to Aerial Signage Formed with AIRR
Using Fresnel Lens」
フレネルレンズを用いたAIRRによって形成した空中サイネージへの空中ガイド導入による浮遊感向上
出版社:映像情報メディア学会
雑誌名:ITE Transactions on Media Technology and Applications
リンク:https://doi.org/10.3169/mta.13.14
今後も、要素技術の研究開発を推進してまいります。
新規事業創成
当事業年度、既存事業に加えて新たな事業の創成に向けて新規事業本部を創設しました。
「新しい事業を技術から創出することにより、持続可能な社会を実現する」をビジョンとし、豊かな社会、環境
に配慮した社会、安心社会の実現に向けて、技術開発と事業企画の両輪で新たな価値創造を目指します。次年度よ
り、新規事業創成本部に改称し、カーボンニュートラル、Society5.0、SDGsといった社会動向、社会問題の解決に
貢献する事業創出を目指します。
当連結会計年度における各セグメントに配分していない全社費用は309百万円となりました。