第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、経営理念として「企業は公器」を掲げ、企業の社会的存在価値を高めることに経営資源を集中し、人間(組織)の持つ無限の能力と可能性を最大限発揮させる経営の仕組みづくり並びに社会に貢献する経営を優先することを目指しております。

この理念のもと、人体と同様に一人一人が自ら考え、行動、創意工夫し、生き生きと個人と組織が成長と繁栄を実現する『個と組織の調和と永続』、お客様と周囲の人々から沢山の「ありがとう」を頂ける個人と会社であることを目指す『ありがとう創造企業に』の2つの経営目的を通じて、人と地球に優しい高付加価値空間を創造し社会に貢献する会社『エシカル(=倫理的な、道徳上の)ソリューション カンパニー』というコーポレートミッションの実現に向けて取り組みを行っております。                   

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、長期のビジョンとして、『エシカル ソリューションNo.1リーディングカンパニーへ』を掲げ、継続的な成長と安定した高収益を生み出す企業体質を確実なものとするため、各事業セグメントにおける事業体制の強化と総コスト(原価及び経費)の徹底した削減を進めるとともに、経営基盤の更なる強化に取り組み、利益を重視した経営を推進して参ります。
 1.国内照明事業の着実な成長と収益力向上

 ・照明制御及びネットワークソリューション製品の拡充と提案型営業の強化
  ・重点分野への営業集中と顧客の創造、関係強化

・オフィスやパーソナル空間市場など新規市場への展開
  ・品質・在庫などのロスコストの削減と原価低減活動の継続
 2.海外照明事業の持続的成長
  ・アジア・英国への経営資源の集中

・英国電材卸市場の顧客別営業施策強化と英国国外市場の開拓推進
  ・アジア高級建築分野への特化と強い経営体質づくり
 3.環境関連事業の提案力強化
  ・ソリューション提案力の強化を通じた市場の更なる深掘り

・リース事業の強化と新たな製品・サービスの開拓推進
 4.インテリア家具事業の確実な利益確保
  ・照明事業との協業と既製品ビジネスの強化

・オフィス市場など新規分野・新規顧客の開拓の推進
 5.経営基盤の強化
  ・徹底したPDCAの実践による事業計画の完遂
  ・人事制度改革の深化と経営人材の育成
  ・企業風土改革とIT化、デジタル化の推進による業務改善
 

 

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、顧客のニーズや期待に応えるために会社価値と経営品質の向上を経営目標として掲げ、顧客密着型経営を推進しております。

今後、市場競争の更なる激化が予測される環境の下、競争力と組織力の強化を図り、安定した経営体制を構築するために、次の項目に重点を置いて事業経営を推進して参ります。

 

① 商業施設向け照明器具市場で培った製品開発力と事業ノウハウを活かし、業務用照明分野市場において、省エネルギー及び環境保護を重視した無線制御照明市場シェアNo.1メーカーとしての確固たるブランドの確立を図ります。今後は、これまでの光源では行えなかった幅広い光色の再現など独自性の有るLED製品の開発を進め、より豊かな光環境の実現に向けた次世代ソリューション照明の普及に努めて参ります。

② 国内の製造拠点である佐野工場、海外生産子会社であるENDO Lighting(THAILAND)Public Co., Ltd.及び昆山恩都照明有限公司の3製造拠点において、更なる生産性の向上とコストダウンの実現と、生産能力を増強することでグローバルなLED照明器具の供給体制の整備を進めて参ります。

③ 様々な施設における顧客要望に対し、照明とその関連商材・サービスを通したソリューションの提案力の強化とともに、DXを活用した営業システムの構築などを推進し、施主・設計事務所・ゼネコン・サブコンなどからの信頼向上に努めて参ります。

④ 欧州・広域アジアなどの既存攻略市場において、地域ごとにフィットした製品・サービスの供給を進めることでのシェアアップに加え、新規市場 での事業の安定化を図り、更なる海外事業の拡大に努めて参ります。

⑤ 事業の継続的な成長・発展を実現するために、産学協同開発の推進や外部企業とのコラボレーションによる技術開発や共同研究に注力し、光の持つ可能性の追求と実証を進めます。

⑥ 連結子会社のイーシームズ株式会社が実施している環境関連事業に関しては、レンタルスキームを活用したソリューション提案に注力するとともに、組織体制の強化と新規商材・サービスを含めたビジネスモデルの開発により、長期的な事業発展につなげて参ります。

⑦ インテリア家具・用品については、照明事業のチャンネルを活用した販売促進活動や既製品家具の販売強化などを推し進めるとともに、リニューアル需要の増加する オフィス分野への展開も積極的に行って参ります。

⑧ 世界的に不安定な部品供給、高騰する原材料価格並びに為替相場の急激な変動などの原価悪化要因に対し、日本国内にとどまらないグローバルな観点で、柔軟かつ強靭な販売体制、製品供給体制の整備について取り組んで参ります。

⑨ 長期的展望に立ち、次世代ソリューション照明製造の生産設備投資、新製品・制御システム開発のための研究開発投資、データベース構築と新たな付加価値サービスの提供のためのDX関連投資に加え、適切なタイミングでの機動的な成長投資も考慮した上で、 更なる事業収益力の強化に取り組んで参ります。

⑩ サステナブルな社会の実現に向けた社会的責任を認識し、会社と社会の持続可能性の両立と中長期的な企業価値向上を目指すため、気候変動、汚染防止、資源循環、水資源、生物多様性などの環境に関する事項、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇などの社会に関する事項、取引先との公正・適正な取引、腐敗防止、コーポレートガバナンス、自然災害等への危機管理などのガバナンスに関する事項について取り組んで参ります。

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

  なお、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

  [遠藤照明グループのサステナビリティ基本方針]

遠藤照明は、「ありがとう創造企業」を経営理念とし、社会活動のあらゆる場面で求められる光によって、人々の暮らしを明るく照らすだけでなく、より豊かに、幸せにすることを目指しています。

この実現のため、「エシカルソリューションNo.1リーディングカンパニーへ」をビジョンに掲げ、照明の持つ可能性を広げ、照明空間の新たな価値を創造・提供することを追求してきました。遠藤照明が考えるエシカルとは、地球環境と社会に与える影響に配慮すると同時に、人々の暮らしをより快適に・より便利に・より健康にする、光環境の付加価値を探究することであり、照明とそれを応用したソリューションによって、持続可能な地球と社会の実現に貢献していきます。創業以来当社は、その時代が求める照明空間を創り届けるため、社会に先駆けて常に挑戦してきました。これからも、社員一人ひとりが社員憲章に基づく文化・風土を大切にし、個々の能力の成長と同じ目標に進んでいく組織力を基盤に、挑戦を続けていきます。

そして、関わる皆様の人権を尊重しながら、適正な企業統治と社会的責任を果たしていきます。また、ステークホルダーの皆様とも良好な関係を築きながら、サステナビリティ活動を積極的に推進していくことで、本方針を実効性のあるものとして取り組んでいきます。

 

(1) ガバナンス

 当社グループは、気候変動などの重要な経営課題について、サステナビリティの観点を踏まえた経営を推進し、持続可能な社会の実現に貢献するため、代表取締役を委員長とした取締役・監査役全員が参加するサステナビリティ委員会を設置しております。当委員会では取締役会と連携することで課題解決や施策の迅速な実行を可能とし、ガバナンスの効いた体制においてサステナビリティ関連のリスク及び機会のモニタリング・監督・議決を行っております。

 


 

[役員報酬]

 2025年度より、サステナビリティ経営をより強化していくため、取締役の業績連動報酬に、サステナビリティ指標を追加し、その達成度を報酬に連動させる制度を導入いたします。

 サステナビリティ指標を追加することで、持続可能な社会の実現と企業価値向上に対する意識を高めることを目的としています。

 

 

(2) リスク管理

 当社グループは、サステナビリティ基本方針に基づき、各部門にて事業計画を策定するにあたり、発生可能性、投資効果等を検証及び評価し、将来想定されるリスクと事業成長や計画達成の機会の分析を行ったうえで、重要度の高いものについてサステナビリティ委員会に報告します。サステナビリティ委員会では、報告を受けた事案について審議を行い、各部門へ審議結果を基に対応策の策定を指示し、必要に応じて各担当部門から報告を受け、それぞれの事案の進捗管理及びモニタリングを行っております。サステナビリティに関するリスクはコンプライアンスリスク管理委員会に連携されており、統合的なリスク管理体制のもとで管理しています。

 

(3) 戦略

 ① E(環境)S(社会)G(ガバナンス)のテーマ別方針

人々の暮らしをより快適に・より便利に・より健康にする光環境の実現を目指して、サステナビリティ委員会における議論を基に3つのテーマを設け、テーマ別の方針を定めています。

 

 


 

・高効率な照明を追求し続け、世界の地域と人々へより少ない資源とエネルギーで、より豊かな暮らしを届けることで、ゼロエミッション社会に貢献します。

・環境にやさしい製品設計を行うことで、効率的な資源活用を推進します。

・LED照明のパイオニア企業として、事業活動の全過程において環境問題に対して責任ある対応をし、環境負荷の軽減、持続可能な地球環境の維持に努めます。

 


 

・照明が持つ無限の可能性と価値を探究・創造することで、新たな人と光の関わり方を提案していきます。そして、社会と暮らしのあらゆる場面の光と空間にイノベーションを創り出し、人々のライフスタイルをより快適に、便利に、健康に変革します。

・安心安全な照明空間を提供するためにも、健全かつ安定的なサプライチェーンを構築し、社会と共存共栄できる関係性を築きます。

・新たな価値の創造とソリューションの提供の源泉となるのは、その可能性を追求する輝く人材にあります。社員一人ひとりの成長を支え、安心して健康に働ける環境と活躍できる組織づくりを推進し、個人と組織が一体となってともに持続的に発展していきます。

・自社と関わる全てのステークホルダーの人権を尊重し、公正な事業活動を推進します。

 


・社会的責任を果たすべく、経営理念や社員憲章を通じて、ENDOの価値創造を支えてきた文化・風土の共有・醸成を継続します。

・法令を始めとする社会ルールを遵守し、強固なガバナンス体制の構築に努めるとともに、ステークホルダーの皆様へ適時適切な情報開示と、対話を深めていくことで、公正で透明性のある事業活動を遂行します。

 

 

 ② 人的資本に関する方針

当社グループでは、「個と組織の調和と永続」を経営目的として掲げ、社員と組織が目標を共有し、共に成長できる組織を目指しており、人的資本については次の考えに沿い取り組みを進めます。

   <人材育成方針>

経営理念である「ありがとう創造企業」に共感し、光と照明の可能性を追求するために自律的にチャレンジし、そのための高いスキルを学び習得しようとする人材を重視し、そのような人材を輩出するため、人的資本への投資を強化するとともに、社員一人ひとりのスキルアップを実現できる人材育成基盤の整備を進めていきます。

   <社内環境整備方針>

人権と多様性を尊重し、様々なバックグラウンドや個性を持った社員を区別することなく、一人ひとりがその能力を発揮し、活躍し、成長できる職場づくりを推進し、全ての社員のエンゲージメント向上に取り組み、誇りとやりがいを持って働ける職場環境を目指します。

 

 ③ 当社グループのマテリアリティと戦略

        当社グループでは、サステナビリティ経営を推進するにあたり、2022年に優先的に取り組む重要課題(以 

      下、マテリアリティ)を策定し取り組んでまいりましたが、昨今の外部環境の変化と、2025年から始まる新

      たな中期経営計画に向けた取り組みとを勘案し、マテリアリティを整理し見直しを行いました。

        特に注力すべき最重要マテリアリティとして再特定したのは以下の6項目となります。

マテリアリティ

戦略

より高効率な照明の追求

当社グループは、主力の提供製品がLED照明であることから、関連する温室効果ガス排出のほとんどが販売した製品の使用によるものとなっており、LEDを中心とした照明の高効率化と無線コントロールを中核に据えた照明制御技術の熟成により、使用される当社製品が排出する温室効果ガスの排出量の抑制に取り組みます。

環境に配慮した資源の活用(注)1

製造工程での効率的な資源の活用を進めるとともに、製品の配送、利用中、廃棄後を含めた製品利用サイクルトータルにおける環境負荷低減の取り組みを進めます。

新たな照明ソリューションの創造

省エネルギーと快適性やウェルネス・ウェルビーイングを両立させる照明システムの研究に取り組み、社会的課題の解決への貢献を目指します。

 

付加価値・ソリューション創造に応える人材

顧客の多様化するニーズを捉え、新たな付加価値やソリューションを創出できる人材を輩出すべく、そのために必要な高いスキルを社員が学び・習得するための環境と人事制度の構築を進め、社員のスキルアップの実現を促します。

社員の活躍が組織の持続的成長を生み出す組織づくり

当社の経営目的である「個と組織の調和と永続」の実現のためには、社員の高いエンゲージメントが重要であると考え、そのために必要な人事制度や業務効率の改革を進めます。

強固なガバナンス体制の整備(注)2

多様な社会からの要請や期待に応え、企業価値を向上していくためには、強固なガバナンス体制を整備し、改善し続けていくことが重要な課題であることから、コーポレートガバナンス・コードへの対応の強化等、社内の基盤強化に取り組んで参ります。

 

(注)1 環境に対するより広義な取り組みとするためマテリアリティの名称を「より効果的な資源の活用」から「環境に配慮した資源の活用」に変更しました。

   2 企業全体として、ガバナンスの強化が重要と考え「強固なガバナンス体制の整備」を最重要マテリアリティに追加しました。

     ※マテリアリティ全16項目の詳細は、当社Webサイトをご参照ください。

     サステナビリティサイト https://www.endo-lighting.co.jp/about/sustainability/

 

(4) 指標及び目標

 ① マテリアリティに関する指標及び目標

当社の事業活動において地球環境と社会に与える影響に配慮し、持続可能な社会と企業の成長の実現に向け、優先的に取り組む課題として6項目を最重要課題として選定しています。

これらの課題の解決を目指し、定期的にサステナビリティ委員会において進捗確認をおこない、様々な取り組みのもと着実に推進しています。

マテリアリティ

指標

2025年3月期

実績

2031年3月期

目標

より高効率な照明の追求

日本国内で販売した製品の使用による温室効果ガス排出の削減率 (注)1

(各年の基礎排出係数を使用した場合)

2013年度比

19%削減

(38%削減)

2013年度比

26%削減

(43%削減)

日本国内で販売した製品の調光制御可能製品の販売台数割合

53.8%

75.0%

日本国内で販売した調光制御可能製品の使用による温室効果ガス削減貢献量 [kt-CO2] (注)2

(各年の基準排出係数を使用した場合)

 

81 

(62)

 

102 

(78)

環境に配慮した資源の活用

自社が保有する事業所における、Scope2に係る温室効果ガス削減量 [t-CO2]

1,094

2050年のカーボンニュートラルを実現。

中期目標として、2030年までに温室効果ガス削減量3,500t-CO2を目指す。

新たな照明ソリューションの創造

IoTで全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出す「Society 5.0」に対応する次世代の照明システムを開発し、社会課題の解決に貢献する。

「Society 5.0」に対応する次世代の照明システムを2030年までに開発し製品化する。

付加価値・ソリューション創造に応える人材

日々変化する経営環境に適応した、次世代を担うソリューションを創造できる人材の育成に向けた人的資本投資の推進状況。

スキルポイントの毎年向上(注)3

社員の活躍が組織の持続的成長を生み出す組織づくり

社員エンゲージメントサーベイの良好回答割合

(注)4

60%

良好回答割合

70%以上

強固なガバナンス体制の整備

重大な不正、コンプライアンス違反の発生件数

0件

0件

コンプライアンス関連の研修受講率

100%

重大な情報インシデントの発生件数

0件

0件

 

(注)1.製品の性能改善による温室効果ガス排出量削減率を求めるため、2013年基礎排出係数0.000551tCO2/kwhを使用し、2025年3月期日本国内で販売した製品の総定格光束を基準に算出しております。

  2.調光制御可能製品を4万時間経過後の光量に調光制御(初期20%、4万時間後0%調光制御)した場合の削減量となります。2013年基礎排出係数0.000551tCO2/kwhを使用しています。推計量であるため、製品の使用による温室効果ガス排出量算定には含めておりません。

  3.職務や業務に必要なスキルをポイント化し、個人別に割り当てた全社平均ポイント。

  4.海外出向者を含む全社員を対象にエンゲージメントサーベイを実施しています。

    ※連結グループ全てにおける記載が困難であるため、連結グループにおいて主要な事業を営む提出会社単体

     の記載としています。

 

(上記マテリアリティにおける具体的な取り組み及び今後の施策)

a.日本国内で販売した製品の使用による温室効果ガス排出の削減に向けた取り組み

・高出力ダウンライト、スポットライトの1,524型番にて、LED光源をCOBからMid Power LEDに変更を実施。2024年4月発刊LEDZ Pro.6に掲載、2024年5月から販売を開始。これにより日本国内で販売した製品の使用による温室効果ガス排出の削減率は2013年度比19%となりました。

 

b.日本国内で販売した調光制御可能製品の使用による温室効果ガス削減に向けた取り組み 

調光調色製品(当社呼称Synca,Tunableシリーズ)の強化を図り、日本国内で販売した製品の調光制御可能製品の販売台数割合は53.8%、総定格光束量割合は63%となりました。

 

c.環境に配慮した資源の活用に向けた取り組み

・日本国内6拠点にて2023年9月から、英国1拠点にて2022年12月からグリーン電力への切替えを行いました。これによる2025年3月期のScope2に係る温室効果ガス削減量は日本国内で1,002t-CO2、英国で92t-CO2です。

 

d.新たな照明ソリューションの創造

・無線コントロールによる調光制御可能製品の導入範囲を拡大するため、既存建屋に導入されている照明制御DALI(Digital Addressable Lighting Interface)システムにて当社無線制御システム「Smart LEDZ」を制御するためのDALIコンバーターを開発。2024年4月発刊 LEDZ Pro.6に掲載、2024年5月から販売を開始しました。また、新たなソリューションとして環境事業において「レンタルプラス」(多店舗一括操作サービス)を2024年5月から開始しました。

 

e.人的資本に関する取り組み

 前年度より、海外出向者を含む全社員を対象にエンゲージメントサーベイを実施しています。社員が仕事へのやりがいを高く持ち、様々なライフサイクルに合わせた働き続けやすい職場環境に近づけるため、会社への貢献意欲・仕事へのやりがい、働きやすさ等を可視化し、結果の分析及び施策を実施し、エンゲージメントの向上に繋げました。

(昨年度比3%向上)

・教育制度の向上施策

(施策)階層別研修の実施及び自律選択型研修 e-ラーニングの導入

・給与制度の向上施策

(施策)ベースアップ継続実行

※インフレによる物価上昇に対し、従業員が安心して就業できる環境を確保し、持続的成長に向けた従業員のモチベーションの向上につなげるため、2023年4月に引き続きベースアップを実施しました。

 また、物価の上昇が継続する傾向にあることから、2025年4月からの給与についても検討し、ベースアップの実施を決定しました。これにより3年連続のベースアップとなります。

 

② 人的資本に関する指標及び目標

当社は、個と組織が共に成長していくためには、女性の活躍が不可欠であり、女性がそれぞれの個性を活かし活躍できる職場環境を目指しています。

2027年3月期においての目標を設定し、改善に向け取り組みました。

 

2025年3月期実績

2027年3月期目標

女性管理職比率

10.6

12

男性育児休業等取得率

87.5

100

 

※表示数値は、第1企業の状況5.従業員の状況にある「(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」の(注)1(注)2に対応して算出しております。

※当事業年度に配偶者が出産した男性労働者において、翌事業年度以降に育児休暇を取得する者がいるため、取得率が100%を下回っております。なお、当事業年度に配偶者が出産した男性労働者の全員(100%)が育児休暇を翌年度4月までに取得しました。

※人的資本に関する指標及び目標は、各連結子会社の規模・制度の違いから一律記載は困難であるため、提出会社単体の記載としております。

 

(人的資本の目標に向けた施策及び取り組み)

  男性の育児休業等の取得につきましては、当事業年度に配偶者が出産した男性労働者において、全員が育児休業等を取得しました。

今期、男性の育児休業等の取得に向けた積極的な啓蒙活動と制度の見直しを行い、休暇を取得しやすい雰囲気づ くりと、本人が負担なく育児休業等を取得できるよう制度改正を行い、取得率の向上に繋がりました。引き続き、目標達成に向け取り組んでまいります。

 

女性活躍の推進については、他業種と女性管理職を中心とした異業種交流会を双方の会社で実施しました。互いの職場環境等を理解し、それに対する自身の考えを忌憚なく発言する場を設け、互いに共通する悩みや課題には、それぞれの経験や知見からのアドバイスなど活発な意見交換がなされました。また、社内では女性社員が働き続けやすくするための課題や要望を収集分析するためにアンケートを実施いたしました。そのアンケートや交流会で得られた貴重な意見は、今後の施策や制度設計に反映する等、社員が働きやすい環境づくりに向け取り組んでまいります。

 

(5) TCFDに関する取り組み

 建物において経常的に使用される照明は電力消費量も多く、温室効果ガスの削減においても責任と期待のある分野と考えられています。当社グループにおいても、販売した製品の使用による温室効果ガスの排出量が全体の9割を超えており、照明器具メーカーの責任としてTCFDの考えに賛同し、気候変動に関する情報開示を行って参ります。

 気候変動に関するガバナンス、リスク管理等は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に組み込まれております。詳細は、「(1) ガバナンス」「(2)リスク管理」「(3) 戦略」並びに「(4)指標及び目標」を参照ください。

項目

2025年3月期 実績

算出内容

排出量

 [kt-CO2]

構成比

Scope1

直接排出

0.8

0.0%

(燃料別)Σ{(使用量)×(燃料別排出原単位)}

Scope2

間接排出

8.0

0.4%

(電気事業者別)Σ{(電力使用量)×(排出原単位)}

Scope3

Category1

購入した製品・サービス

79

3.6%

Σ{(購入額)×(製品分類別排出原単位)}

Category2

資本財

2.0

0.1%

Σ{(取得額)×(民生用電気機器部門の排出原単位)}

Category3

燃料・エネルギー関連の活動

該当する事業活動がないため

Category4

輸送、配送(上流)

4

0.2%

(輸送手段別)Σ{(輸送トンキロ)×(排出原単位)}

※1 海外拠点は輸送費用(Category1)で算定

Category5

事業から出る廃棄物

0.2

0.0%

(廃棄物種類別)Σ{(廃棄物数量)×(排出原単位)}

Category6

出張

0.8

0.0%

(移動手段別)Σ{(支給額)×(排出原単位)}

+Σ{(宿泊日数)×(排出原単位)}

+(拠点別)Σ{(従業員数)×(排出原単位)}

※2 出張費用を支払っていない拠点のみ

Category7

雇用者の通勤

0.5

0.0%

Σ{(ガソリン使用量)×(排出原単位)}

+ (移動手段別) Σ { (支給額) × (排出原単位) }

+ (勤務形態・都市階級別) Σ { (従業員数) × (営業日数) ×(排出原単位) }

※3 通勤手当を支給していない拠点のみ

Category8

自社が賃借しているリース資産の稼働

燃料消費量(Scope1)や電力消費量(Scope2)で算定しているため分離集計未実施。

Category9

出荷輸送(自社が荷主となる輸送以降)

直送比率が高く概ねCategory4集計値に含まれており、販売代理店納品後の二次配送先特定が困難で、かつ近隣配送であることから排出削減に影響力を及ぼすことが軽微であるため集計未実施。

Category10

事業者による中間製品の加工

該当する事業活動がないため

Category11

販売した製品の使用

2,109

95.7%

(製品別)Σ{(消費電力)×(想定生涯使用時間40,000 [h])×(排出原単位)}

Category12

販売した製品の廃棄

0.5

0.0%

(材質別)Σ(製品重量×売上台数×排出原単位)

Category13

他者に賃貸しているリース資産の稼働

イーシームズのリース資産は、販売した製品の使用(Category 11)に包含されているため、分離集計未実施

Category14

自社が主宰するフランチャイズ加盟店のScope1,2の排出量

該当する事業活動がないため

Category15

株式投資、債券投資

該当する事業活動がないため

合 計

2,205

100.0%

 

 

(注) 1.環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」に基づき算定を実施しております。

2.グループ全社を対象に集計実施しております。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.事業活動に関するリスク

(1) 経済情勢・需要変動等について

当社グループの製品需要は経済情勢及び景気動向の影響を受け、特に主要取扱製品であるLED照明器具は建築物等の照明設備であるため、建築需要動向、企業の設備投資動向によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(2) 製品ライフサイクルと在庫について

当社グループの主力製品であるLED照明器具のライフサイクルは、新しいLED素子の開発による性能、品質の向上の影響を直接的に受けます。昨今、技術革新の速度が増しており、在庫の陳腐化のリスクが高まっております。当社グループとしましても、LED素子、電源等の部品の在庫管理には万全を期しておりますが、環境が急変し想定していた売上数量が確保出来なかった場合には、棚卸資産処分損が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(3) 技術革新について

当社グループは、高効率、高機能を有する製品づくりを目指し、研究開発に取り組んでおりますが、長期的に市場ニーズに合致した新技術を創造し続けられるとは限らず、想定とは異なる市場ニーズの変化や、急激な業界の技術革新に追随できず優位性のある製品を提供できなくなった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、LED照明の製品開発において、ロードマップの策定と商品群のメジャーチェンジを計画的に実施するなど、照明の調光調色技術、ワイヤレス技術の分野で優位性のある製品開発の強化に努めております。

(4) 販売価格等について

当社グループが属する照明器具業界は、新規企業が参入する厳しい価格競争の環境にあります。したがって、当社グループの想定とは異なる販売価格の引下げを余儀なくされる可能性があり、大口需要獲得のための特値による価格下落など、想定以上に価格競争が厳しくなった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、収益確保のため部材の調達コスト及び製造コスト等の削減に継続して取り組むとともに製品の高付加価値化に努めております。

(5) グローバルな事業展開について

当社グループは、タイ、中国、インド、イギリス、シンガポール、ベトナムに製造子会社・販売子会社を展開し、グローバルな事業運営を行っております。海外では、政情不安、経済動向の不確実性、宗教及び文化の相違等のいわゆるカントリーリスクに直面する可能性があります。当社グループでは、現地子会社と本社の間で緊密なコミュニケーションを実施することと合わせて、現地情報の積極的な収集に努めており、情勢の変化に対して機敏に対応していく方針でありますが、予測不能な事態が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 製品の品質について

当社グループは、所定の品質基準に基づき、製品の品質確保に細心の注意を払っておりますが、基幹部品の不良等により製品に重大な欠陥が発生した場合には、製品の回収及び交換による費用、企業イメージのダウン等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 知的財産権について

当社グループの事業活動におきましては、特許権等の様々な知的財産権が関係している場合があり、第三者の所有する知的財産権を侵害するリスクを必ずしも否定できません。他社との間に知的財産を巡って紛争が生じたりする可能性は皆無とはいえず、当社グループ製品の生産、販売に制限を受けたり、損害賠償金等の支払が発生する場合があり、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループでは他社の知的財産権の調査を行うなど社内の管理体制を強化しており、問題の発生を回避するために細心の注意を払っております。

 

2.マーケット変動によるリスク

(1) 原材料の仕入価格の高騰について

当社グループが製造している照明器具は鋼材、アルミニウム、樹脂等を主な材料として使用しており、原油価格やその他原材料価格変動の影響を受けます。これらの仕入価格が急激に変動した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 為替変動による影響について

当社グループは、LED照明器具に使用するLED素子並びに電源等の海外輸入比率が高く、中国、タイに所在する子会社にて製造した製品の大部分を日本で販売する事業体制のため、為替変動の影響を受けます。また、海外に所在する連結子会社の連結財務諸表作成において、貸借対照表及び損益計算書は円換算されるため、為替相場の変動の影響を受けます。当社グループは、為替予約等により為替相場の変動をヘッジ又は軽減する対策を講じてはおりますが、為替レートが急激に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) デリバティブ取引について

当社グループは、輸出入取引の為替変動リスクをヘッジする目的で、為替予約取引等を実行しております。そのため、為替レートの変動状況により、相当額の評価損益が発生する可能性があります。

 

3.自然災害・事故等によるリスク

地震、台風等の自然災害や火災等の事故災害が発生した場合、従業員等への人的被害はもとより、当社グループの拠点の設備等の損壊や電力、ガス、水の供給困難により、一部または全部の操業が中断し、生産及び出荷が遅延するなど、国内外のサプライチェーンの混乱を含め、事業活動に多大な影響を及ぼす可能性があります。また、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、結果として、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
 その他、深刻な感染症等の拡大が発生した場合、従業員等への感染被害による休業や市場経済が大きく停滞した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
 

4.情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、事業を展開する上で、技術や営業に関する機密情報の他、多数の情報を保有しており、常に最適な情報セキュリティを目指して対策を講じておりますが、これらの情報が重要な情報の紛失、コンピュータウイルスの感染、不正アクセス等、誤ってまたは避けられない理由で外部に流出した場合には、被害者に対する賠償責任の発生や、当社グループの市場評価の低下、社会的信用の失墜、顧客の流出等を招き、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

5.その他のリスク

(1)繰延税金資産について

当社グループは、当連結会計年度において1,481百万円の繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産につきましては、今後の利益(課税所得)をもって全額回収可能と考えておりますが、業績の悪化によって一部取崩を求められることとなった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2)のれんについて

当社グループは、当連結会計年度末において2,335百万円ののれんを計上しております。のれんは、他の固定資産と同様に減損会計の対象であり、事業の展開等が計画どおりに進まずのれんの減損処理を行う必要が生じる事態が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、歴史的な株価及び為替の急激な変動並びに資源価格の高騰による物価上昇に加えて政策金利の引上げ等、複数の不確実性を抱える状況にありました。しかし、かかる状況においても雇用・所得環境の着実な改善及びインバウンド需要の増加等により、企業の設備投資意欲は堅調に推移し、全体としては穏やかな回復基調となりました。世界経済においては、米国の政策動向及び米中対立激化に起因する貿易の不安定化、加えて不透明感を増す国際情勢を背景とした地政学リスクの高まり等により、景気減速懸念が拡大し先行き不透明な状況となりました。

このような状況の中、当社グループは、高付加価値空間創造企業として、持続可能でよりよい社会の実現を目指し、高い省エネ性能に加え、顧客価値を創造する光の質を高めた新製品の開発、製造及び販売に注力して参りました。

業界に先駆け製品をLED化して以降、製品のエネルギー効率の継続的な改善は製造メーカーの責務と考え、さらなる高効率照明器具の開発を進めるとともに、「人と地球にやさしい未来の光」を実現し、人々の暮らしを明るく照らすだけでなく、より豊かに幸せにすることを目指したサステナビリティ経営を推進しております。

また、製造部門においては、環境に配慮した製品の提供を目指し、継続した品質改善活動及び原価低減活動を行うとともに、販売管理費の抑制に努めて参りました。

この結果、当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

財政状態の状況

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産は、43,072百万円(前連結会計年度末比3,147百万円の増加)となりました。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産は、24,595百万円(前連結会計年度末比1,766百万円の増加)となりました。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債は、14,551百万円(前連結会計年度末比686百万円の減少)となりました。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債は、9,064百万円(前連結会計年度末比116百万円の増加)となりました。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、44,052百万円(前連結会計年度末比5,484百万円の増加)となりました。

 

 経営成績の状況

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、53,735百万円(前連結会計年度比3.9%の増収)となりました。

(営業利益)

当連結会計年度における営業利益は、4,930百万円(前連結会計年度比5.3%の減益)となりました。

(経常利益)

当連結会計年度における経常利益は、5,411百万円(前連結会計年度比5.5%の減益)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、4,799百万円(前連結会計年度比3.2%の増益)となりました。

 

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(照明器具関連事業)

照明器具関連事業の売上高は47,975百万円(前連結会計年度比4.8%の増収)(セグメント間取引含む。以下同じ。)となり、セグメント利益(営業利益。以下同じ。)は5,283百万円(前連結会計年度比6.1%の減益)となりました。

(環境関連事業)

環境関連事業の売上高は10,190百万円(前連結会計年度比0.8%の減収)となり、セグメント利益は960百万円(前連結会計年度比7.0%の増益)となりました。

(インテリア家具事業)

インテリア家具事業の売上高は1,394百万円(前連結会計年度比18.7%の増収)となり、セグメント利益は78百万円(前連結会計年度は210百万円のセグメント損失)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、15,467百万円(前連結会計年度は16,163百万円)となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、2,916百万円の増加(前連結会計年度は10,152百万円の増加)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、4,322百万円の減少(前連結会計年度は2,904百万円の減少)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、6百万円の減少(前連結会計年度は4,094百万円の減少)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

照明器具関連事業

9,357

52.85

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は製造原価としております。

b.受注実績

当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)は主に需要予測に基づく見込生産方式を採用しているため、該当事項はありません。

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

照明器具関連事業

42,198

4.7

環境関連事業

10,143

△0.7

インテリア家具事業

1,394

18.7

合計

53,735

3.9

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、業績予想として売上高53,000百万円、営業利益5,300百万円、経常利益5,500百万円及び親会社株主に帰属する当期純利益4,200百万円を2024年4月30日に公表し、その達成のため、高付加価値空間創造企業として、持続可能でよりよい社会の実現を目指し、高い省エネ性能に加え、顧客価値を創造する光の質を高めた新製品の開発、製造及び販売に注力して参りました。

国内では電気料金の高騰及びサステナビリティに対する社会的要請の高まりが追い風となり、海外では英国市場の悪化が見られたものの、為替のポンド高がその影響をカバーし、当連結会計年度における売上高は、53,735百万円(前連結会計年度比3.9%の増収、業績予想比1.4%の増収)となりました。

また、一定の原価改善への取組の効果はあったものの、円安に伴う仕入原価への影響並びに人件費及びその他の販売管理費の増加等により、営業利益は4,930百万円(前連結会計年度比5.3%の減益、業績予想比7.0%の減益)、経常利益は5,411百万円(前連結会計年度比5.5%の減益、業績予想比1.6%の減益)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,799百万円(前連結会計年度比3.2%の増益、業績予想比14.3%の増益)となりました。

 

2025年3月期 

(2024年4月30日公表

の業績予想)

2025年3月期

(実績)

増減

増減率(%)

売上高(百万円)

53,000

53,735

735

1.4

営業利益(百万円)

5,300

4,930

△370

△7.0

経常利益(百万円)

5,500

5,411

△89

△1.6

親会社株主に帰属する

当期純利益(百万円)

4,200

4,799

599

14.3

 

 

なお、2025年4月30日に「中期経営計画の策定に関するお知らせ」を公表し、長期ビジョンの達成に向けて、5つの指標を重点経営指標とおき、数値目標を定めております。

 

現状
2025年3月期

中期経営計画
2028年3月期

長期ビジョン

連結売上高

537億円

610億円

1,000億円

連結営業利益

49億円

70億円

120億円

SmartLEDZ
売上構成比

57.2%

2/3超

-

ROE(連結)

11.6%

10%以上

15%

株主還元(連結)

配当性向
15.4%

配当性向
30%目安

-

 

 

 

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

(照明器具関連事業)

当セグメントにおきましては、業務用LED照明器具分野で業界トップクラスの品揃えを実現し、高いブランドイメージの確立に努めました。

国内市場については、無線照明コントロールシステム「SmartLEDZ Fit/Fit Plus」及び無線調光調色器具「Tunable LEDZ」、自然の光、カラー演出、色味調整の三役を1台で備えた次世代無線調光調色器具シリーズ「Synca」の販売促進に注力しました。電気料金の高騰やサステナビリティに関する社会的要請の高まりを背景に既存照明器具の取り換え需要に加え、新設の商業施設やオフィス等の大型施設向け需要の取込みを強化しました。

 

また、商業施設・店舗DXの専門展示会に出展し、照明の新たな可能性を積極的に提案し、AIカメラや映像・音響機器と照明を連携させる「SmartLEDZ Connect」のソリューション提案を行いました。調光調色技術を活用し、働きやすい環境づくりと省エネを両立する「快適×健康×省エネオフィス」のコンセプトを提示し、商業施設・店舗分野における新たな照明の可能性を広げました。

さらに、医療・福祉施設分野においては、「心地よい病院は光でつくる」をテーマに、調光調色技術による心と体に寄り添う快適空間の創出や、食事を美味しく見せる照明の効果を体感できるホスピタルライトシリーズを提案しました。

海外市場については、上半期に発刊した英国市場向け「S17」カタログ及びアジア市場向け「sync5 Residential Collection」が、それぞれの市場に適合した製品として顧客から高い評価を得ており、現地企業に対して積極的なプロモーション活動を展開しました。

タイにおいては新製品「DALIコンバータ」を活用し、「Synca」をDALI信号で制御した製品が高い評価を得ました。また、インドでは高級住宅照明を空間で体感できる「エクスペリエンスセンター」を設立し、プロモーション活動を継続的に推進しました。

この結果、売上高は47,975百万円(前連結会計年度比4.8%の増収)(セグメント間取引含む。以下同じ。)となり、セグメント利益(営業利益。以下同じ。)は5,283百万円(前連結会計年度比6.1%の減益)となりました。

(環境関連事業)

当セグメントにおきましては、主にレンタル契約の拡大を目指し、新サービス「レンタルプラス」の販売促進及び自家消費型太陽光発電システムのレンタル提案に注力しました。

また、電気代の高騰により節電志向が高まる中、単なるLED照明の更新にとどまらず、調光調色機能を活用した省エネと快適性の向上につながる提案を行い、さらに照明の更新による電気代削減及び照明を活かした内装リニューアルの提案を実施し、高い評価を得ました。特にスーパーマーケットやホームセンターでは、これらの提案が顧客ニーズに合致し、多くの成功事例へとつながりました。

この結果、売上高は10,190百万円(前連結会計年度比0.8%の減収)となり、セグメント利益は960百万円(前連結会計年度比7.0%の増益)となりました。

 

(インテリア家具事業)

当セグメントにおきましては、増加するオフィスのリニューアル需要に応えるため、オフィス緑化を取り入れた休憩スペース及び音環境の改善に効果的な吸音パネルの提案を積極的に展開し、同市場におけるブランド確立に向けた活動を推進しました。

また、デザイン性の高い製品や環境に配慮した素材を特徴とする総合カタログ『AbitaStyle 13』を発刊し、毎月のメールマガジン配信を通じてAbitaStyleの魅力を伝える情報発信を強化し、顧客ニーズに合わせた商品の提案・提供を通じてAbitaStyleの認知拡大及び市場浸透を図りました。

この結果、売上高は1,394百万円(前連結会計年度比18.7%の増収)となり、セグメント利益は78百万円(前連結会計年度は210百万円のセグメント損失)となりました。

 

 

財政状態に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

当社グループの当連結会計年度末における自己資本比率は65.1%(前連結会計年度末比3.6ポイントの増加)となり、当連結会計年度末における1株当たり純資産額は2,981円30銭(前連結会計年度末比371円19銭の増加)となりました。

(資産)

当連結会計年度末の資産合計は、67,667百万円(前連結会計年度末比4,914百万円の増加)となりました。

主な要因は、「棚卸資産」の増加1,981百万円、「有形固定資産」の増加1,304百万円及び「受取手形及び売掛金」の増加1,384百万円によるものであります。

(負債)

当連結会計年度末の負債合計は、23,615百万円(前連結会計年度末比570百万円の減少)となりました。

主な要因は、「有利子負債」の増加664百万円及び「未払金」の減少196百万円によるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は、44,052百万円(前連結会計年度末比5,484百万円の増加)となりました。

主な要因は、「親会社株主に帰属する当期純利益」の計上4,799百万円、「為替換算調整勘定」の増加1,273百万円及び「配当金の支払い」による減少627百万円によるものであります。

 

経営成績及び財政状態等に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績及び財政状態等に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの運転資金の需要は、原材料の仕入及び製造費用並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新製品のための設備投資が中心となっております。

当社グループは、これらの事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

運転資金の需要につきましては、自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資等の長期資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入金を基本としております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。

過去の実績及び当該取引の状況に照らして、合理的と考える見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、「人と地球にやさしい未来の光」を創造し、持続可能な社会を実現するため「エシカルライティング」を提唱しております。「より豊かな光環境をより少ないエネルギーで」を実現する為に日々研究、開発の活動をしております。

なお、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費の総額は、826百万円であります。

 

当社グループの研究開発活動は、次のとおりであります。

地球環境の保全及び地球温暖化の防止並びに電力使用量の削減に向けた取り組みに加え、光環境が人体及び心理に与える影響に関する研究開発を行っております。

また、「Smart LEDZ SYSTEM」を活用しDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進することで、顧客の価値創造に貢献するシステム開発にも取り組んでおります。

2024年4月には、総合カタログ『LEDZ Pro.6』を発刊し、高出力ダウンライト器具のエネルギー消費効率を大幅に改善。消費電力を最大19%削減可能な新製品を発売しました。

「Smart LEDZ SYSTEM」においては高さ10mの高天井空間でも人物の動きを検知できる「モーションセンサ」及びDALIシステムとの連携を可能にする「DALIコンバータ」等の新機能を追加し、より多様な用途での活用が可能となりました。

2025年6月にはオフィス用照明パンフレット『LIGHTING+FOR WORKSPACE VOL.2』の発刊し、健康的な建築環境を推進するWELL及び省エネルギー化を目指すZEB(Net Zero Energy Building)の両立を提案します。

さらに、「Smart LEDZ SYSTEM」の新たな活用方法として制御速度を向上させる「マスターゲートウェイ」に加え、人の動き及び外光を検知して照明制御が可能なオフィス向け「モーション人感センサ」を発売し、600mm×600mmスクエア型システム天井器具として業界最高水準の170 lm/Wという高効率を誇る製品を新たにラインナップに加えました。

これらの機器を「モーション人感センサ」と併用することでBEI(Building Energy Index)値0.1の実現が可能となります。また、執務室における快適な空間づくりを実現する埋込型の「fu:ryu:」も新たに発売しました。

これらの各種機器を組み合わせて活用することで快適性の向上とZEBに求められる高いエネルギー効率の両立を提案することが可能となりました。

研究開発においては、中央研究所を中心に子会社である中国の昆山恩都照明有限公司、タイのENDO Lighting(THAILAND)Public Co.,Ltd.と連携し、照明空間マネジメントシステム機能の向上及び拡充により、高効率LED照明システムの国内外への展開を加速し、更なる高付加価値空間創造を実現できるLED照明製品の開発を推し進めてまいります。