当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、その経営理念である『経営の中心は人であり、健全なものづくりを通じて、豊かな社会の実現に貢献する。』を礎として、絶えず顧客に信頼される製品を提供し、新製品の開発を行い、この事業を通じて会社の繁栄と社会の発展の一致を期すことを目指しております。また、取引先及び従業員などのステークホルダーの信頼と理解を基礎とし、協力的気風を培い総力を結集して、企業としての安定性、成長性、収益性を高めることを重視しており、激しい国際競争が深まる中、いかなる事態にも迅速に対応でき得る強固な経営基盤を確立し、企業価値の最大化を目指し鋭意努力する所存であります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは2024年度から2026年度までの中期経営計画を策定し、経営の質的向上とイノベーションに基づく企業価値の最大化に向けて全従業員の力を結集させることで、経営重点指標と定めている連結ベースでの営業利益率とROEの目標達成を目指して参ります。目標のうち営業利益率は8%以上、ROEについては9%以上の確保を数値目標としております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2021年度から2030年度の10年間に当社グループの事業運営の指針となる、長期経営ビジョン『金型の技術で未来を創る ~より小さく より速く 最先端の技術で暮らしとビジネスのベストパートナーを目指す~』を掲げました。
これは当社グループのコア技術である金型加工の更なる高みを目指すと共に、そこから派生した新規技術を組み合わせ、最先端デバイスの開発と発展に常に寄与する、最も信頼されるビジネスパートナーであり続けるという指針を示したものです。
(4) 経営環境
当社グループの属する電子部品業界には、カーボンニュートラルの実現に向けたGX、DXの推進、5G等の通信技術の発展やxEV化及びADAS技術の進化など多くの成長要因が存在し、中長期的な成長基調が予測されておりますが、中国市場の回復時期や最終製品の販売状況、また米国の関税政策などに起因する全世界的な景況の変動によって出荷量が激しく変動する可能性もあることから、市場の動向を注視しております。
このような環境下、当社グループは長期経営ビジョンの1st STEPで実施した津軽工場の増築による生産能力の強化と共に、従前より進めております品質改善と製造コスト低減を目的とした製造工程の自動化・効率化やメッキ工程の内製化、スマートファクトリーの実現に向けた取組みをさらに力強く推進し、当社の強みである金属と樹脂の精密複合加工技術を基軸に新たな顧客の開拓を積極的に行い、全社一丸となって売上及び収益力の向上に努めております。
(5) 会社の対処すべき課題
当社グループが対処すべき課題としては、下記の6点であると認識しております。
① 成長分野への投資と収益力強化
当社グループは、金属と樹脂の精密複合加工技術を強みとし、現状においても世界最小クラスの部品加工を実現していますが、今後も既存の技術を最大限に生かし常に最先端のデバイスの普及に寄与するほか、従前の事業のカテゴリーにとらわれず蓄積された技術力や生産能力及び品質管理能力を生かせる分野への進出とその準備について、積極的な投資を実施し、収益力の向上を図って参ります。
② 職人技の発掘及び伝承、工程自動化の相乗効果による金型技術の進化
当社に蓄積されている技術は貴重な経営資源であるものの、個人の経験や感覚に委ねられている部分も多くあることから、それらを客観的に分析しデジタルデータ化を進めることで技術の伝承と工程の自動化を促進し、金型技術の新たなステージへの進化を目指して参ります。
③ スマートファクトリーによる経営資源の最適化
自動化・効率化・省人化は従前より取り組んで参りました製造工程改革のテーマであり、津軽工場はスマートファクトリーをコンセプトとして、先進的な自動化システムの導入を進めております。将来的にはコンセプトの他拠点への展開を計画しており、経営資源の効率的な活用を推進いたします。
④ 財務基盤の強化
当社は経営資源の効率化により棚卸資産の圧縮と遊休等不動産の処分を進め、生み出したキャッシュ・フローで成長投資の実施と安定的な配当を行い、企業価値の最大化を図って参ります。
⑤ 人財育成と働き方改革
当社グループの経営理念にもありますとおり『経営の中心は人』であり、培ってきた技術力の継承と発展を担う、特に若い世代の技術者の確保と育成は恒久的な課題です。国内外を問わずより幅広い人財の確保を図るとともに、中長期的視点に基づいた教育により人財育成を行っております。また従業員の能力や要望を正確に把握することで最善のワークライフバランスの実現を目指し、各個人が能力を最大限に発揮できる職場づくりに努めて参ります。
⑥ 環境への取組み
当社グループは経営理念のとおり社会の豊かさや持続性を支える存在であり続けることを目指しており、事業活動における環境負荷の低減とそれを支える分野への参画は永続的な課題であると認識しています。サステナビリティ推進室を中心に中期環境計画の策定と推進を行い、その達成に向けて全社を挙げて積極的に取り組んで参ります。
また、当社グループは、長期経営ビジョン達成のための施策として期間を3つのステップに分け、2024年度から2026年度の3ケ年を2nd STEPと位置付けております。
その2年目にあたる2025年度の経営重点テーマとしては『品質第一』を掲げました。企業価値向上の基礎は製品及び業務の品質であるという基本を再確認し、高い水準の実績を示すことでステークホルダーの皆様との信頼関係を一層強固なものとして参ります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「経営理念」「エノモト企業倫理行動指針」等に基づき、事業活動を通じて、豊かな社会の実現に貢献することを目指しております。私たちの社会や豊かな地球環境を未来の世代に繋いでいくため、サステナビリティを意識し、人権の尊重、社会との調和を図りながら、事業活動に伴う環境負荷の低減を推進し、環境に配慮した製品の提供や技術開発、業務改善及び社会貢献活動に積極的に取組みます。
(1)ガバナンス
気候変動対策など環境への取組を推進するため、環境委員会を設置しております。委員会は四半期に一回開催され、経営管理グループ担当執行役員を委員長、各部門長を委員として構成されており、サステナビリティに関する方針・目標・実行計画の策定、サステナビリティ目標(KPI)に対する推進管理や評価、個別施策の審議、重点課題の策定と推進を担っています。
また、その内容を四半期に一回、経営会議で審議した後に取締役会に報告しており、取締役会は中期環境計画に定められた項目の進捗状況に対する監督を行う仕組みとしています。
その他の重点課題に対する体制としましては、
(2)戦略
①気候変動への取組
当社グループは、気候変動に伴う様々なリスクと機会を事業運営における重要な観点の一つと位置づけており、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に基づき、気候変動が当社グループに与える影響について検討いたしました。また、国際エネルギー機関(IEA)や国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)などが公表しているシナリオを参考にし、1.5℃~2℃シナリオと、4℃シナリオの2つのシナリオを用いて、政策や市場動向の変化に伴う移行リスクと、災害などによる物理的変化に関する物理リスクの分析を実施いたしました。
当社グループでは、下記の4つのステップを通してシナリオ分析を実施いたしました。気候変動に関するシナリオとしては脱炭素社会に向かう1.5℃~2℃シナリオと温暖化が進む4℃シナリオを選択し、それぞれのリスクと機会について分析・評価を行いました。
<分析のプロセス>
気候変動シナリオをもとに当社グループの事業に影響を与えるリスク・機会を抽出し、定性・定量評価を行った結果、重要なリスク・機会として判断されたものは以下の項目となります。また、当社グループとしては気候変動リスクの時間軸を短期(~3年)、中期(3年~7年)、長期(7年~27年)と定義しております。
気候変動リスク・機会と事業インパクト
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リスク |
要因 |
事業への影響 |
時間軸 |
対応策 |
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移 行 リ ス ク |
政策・規制 |
炭素税の導入・炭素税率の上昇 |
・炭素税が導入され、CO2排出量に対して炭素税の負担が発生 |
長期 |
・再生可能エネルギーへの切り替え ・省エネルギー設備の導入 |
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・再生可能エネルギー導入などに伴う電力価格上昇で電力料金費用の増加 |
中期 |
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物 理 リ ス ク |
慢性 |
平均気温上昇、降水パターンの変動 |
・労働環境の悪化、気候変動起因の病気による従業員の生産性低下 |
中期 〜長期 |
・空調設備の適切な使用 ・屋根への遮熱塗料塗布による温度上昇の軽減 |
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海面上昇 |
・沿岸地域の施設・設備被害による生産能力の低下 |
中期 〜長期 |
・生産拠点の分散化、他工場での代替生産を検討 |
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・原材料の供給途絶による、工場の生産能力の低下 |
中期 〜長期 |
・リスクの高い調達先へのBCP対策の要請 |
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急性 |
異常気象の激甚化 |
・洪水などにより自社・サプライヤー生産拠点損壊に伴う生産能力の低下 |
中期 〜長期 |
・止水板の設置や電気設備の嵩上げによる防水対策 ・BCPの継続的改善及び水害を想定した訓練の実施 |
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・保有不動産・設備の損壊、設備損壊に伴う事業継続への影響 |
中期 〜長期 |
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機 会 |
エネルギー源 |
再生可能エネルギー電源の導入 |
・エネルギーコストの減少 |
長期 |
・自家消費型太陽光発電所の建設及び導入計画の策定 |
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製品とサービス |
環境配慮商品の開発促進 |
・パワー半導体に用いられるリードフレームの需要増加 ・燃料電池に用いられる GDL一体型セパレータの需要増加 |
中期 |
・パワー半導体用リードフレームの増産に向けた設備投資の促進 ・燃料電池用GDL一体型セパレーター開発の促進 |
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市場 |
低炭素・クリーン技術の進展 |
・水素社会の進展による燃料電池用部品の需要拡大 |
中期 〜長期 |
・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)共通課題解決型産学官連携研究開発事業に採択され、燃料電池部品の研究開発を加速 |
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レジリエンス |
BCP対応製品ニーズの拡大 |
・燃料電池の需要増加に伴うGDL一体型セパレータの売上増加 |
中期 〜長期 |
・各業界のトップランナー企業と次世代製品を共同開発中 |
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②人材戦略
当社グループにおける、人財の育成に関する方針は、「経営の中心は人であり、健全なものづくりを通じて、豊かな社会の実現に貢献する」という経営理念に基づいております。
中長期的な経営戦略として、長期経営ビジョン「金型の技術で未来を創る より小さく より速く 最先端の技術で 暮らしとビジネスのベストパートナーを目指す」を策定し、ありたい姿として「失敗を恐れずチャレンジする職場環境づくりを通じてイノベーションを生み出す」を掲げ、それらの達成に必要不可欠な従業員一人ひとりの成長と能力の発揮を最大化するために、以下の取組を進めております。
当社では、「エノモトキャリア形成プログラム」を策定し、各階層において課題に沿った教育を実施しており、各管理職には人財育成、組織力向上を目的に1年に渡る研修を実施しているほか、全従業員が対象のWEB研修等でいつでも、どこでも学ぶことのできる環境を整え、成長及び学びの意欲を支えております。
また、毎年の自己申告調査や上司と部下による定期的な1on1ミーティングにより、個人の存在意義を深め、本音で話し合い、失敗を恐れずチャレンジできる職場づくりを実施しております。
加えて、一人ひとりが心身ともに健康な状態で能力を存分に発揮するために、週の労働時間について本人や管理者に通知するアラーム機能などの過重労働防止策、健康手当の支給や禁煙外来受診料の会社負担、特定保健指導の実施によって従業員の健康管理に注力しております。
さらに、多様な働き方を支援するため、以下の取組を行いワークライフバランスの充実を推進しております。
・時間単位で取得可能な有給休暇制度
・失効した有給休暇を育児目的や子の看護、介護に使用できる休暇の積立制度
・小学校3年生までの育児短時間勤務
・連続5日間の有給育児休業制度
・不妊治療のための休暇制度
これらの取組への評価の一つとして厚生労働省より子育てサポート企業「くるみん認定」を2012年に、その上位認定である「プラチナくるみん認定」を2018年に受け、さらに2023年に「プラチナくるみんプラス認定」を受け、現在に至るまで継続しております。
女性活躍の面では女性社員の積極的な採用および管理職への登用に向けた取組や女性が活躍し出産・育児後も復帰しやすい制度を設けております。
・つわり休暇制度
・妊産婦の通院のための休暇制度
(3)リスク管理
①気候関連のリスクを識別・評価するプロセス
当社グループでは、気候関連リスクを含む、グループ全体へのリスクを網羅的に管理するとともに、リスクの発生防止、軽減、対応に取組むため「リスク管理規程」を定め、経営会議を中心に取組を進めております。気候変動リスクに関しては、環境委員会によって当社事業特性などの内部環境や、国の政策などの外部環境を踏まえ、懸念されるリスクの洗い出し、影響度評価を行っております。また、リスクの種類および重要度に応じて、経営会議を通して取締役会に報告しております。
②気候関連のリスクを管理するプロセス
環境委員会において識別・評価された気候関連リスクに関しては、リスクの発生防止、軽減、対応のために随時経営会議に報告され、対応方針を検討しています。経営会議では、リスクの影響度と発生頻度の2軸にて、優先して取組むべきリスクを特定しており、重要度の高いリスクに関しては、取締役会に報告された後、環境委員会と連携して対応策を実施しております。
③全社のリスク管理への統合プロセス
経営会議では、全社のリスク管理のため原則として四半期に一度、各リスク項目への進捗状況の確認を行い、同頻度で「リスクカタログ」を用いて対策後の残余リスクの算定、対応後の評価を実施しております。気候変動リスクに関しても、全社的なリスクと同様のプロセスで管理され、統合的なリスク管理体制を構築しております。
(4)指標及び目標
①気候変動への取組
当社グループでは、気候関連リスクと機会を評価する指標としてScope1、2、3の温室効果ガス排出量を設定しており、グループ全体(海外含む)のScope1、2排出量を2030年度に37.8%削減(2021年度比)するとの目標を掲げた中期環境計画を策定し、2050年カーボンニュートラルに向けバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量削減に努めております。
具体的な取組としては、本社工場塩山サイト技術棟への太陽光発電設備の設置、非化石証書購入によるカーボンオフセット、圧縮空気の効率的な使用等を進めたこと等により、2024年度排出量実績は11,632t-CO2と年度目標の15,002t-CO2に対し大幅削減となりました。引き続き、再生エネルギー利用の拡大や省エネ等の取り組みを推進して参ります。
なお、2024年度に温室効果ガス排出量算定ツールの変更を行っており、ツール変更に伴い海外における排出係数に変更が生じたことから、2021年度排出実績値及びそれに伴う排出量目標値の修正を行っております。
2024年度におけるScope1、2排出量
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排出量 (tCO2e) |
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Scope1+2 |
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(内訳) |
国内 |
2,970 |
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海外 |
8,662 |
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Scope1 |
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(内訳) |
国内 |
35 |
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海外 |
235 |
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Scope2 |
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(内訳) |
国内 |
2,934 |
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海外 |
8,427 |
※環境省・経産省「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出量の算定に関するガイドライン」に基づき算出しています。
※Scope2排出量に関しては、マーケット基準にて算定しております。海外の排出量については環境省排出原単位データベースの排出原単位を用いております。
※排出量算定の対象期間に関しては、海外子会社も含め、2024年4月~2025年3月としております。
Scope1、2排出量の推移
②人材戦略
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した人財の育成に関する方針について、次の指標を用いております。当連結会計年度における当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。なお、当該調査は提出会社従業員及び関係会社への出向者を対象としたものであります。
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指標 |
目標 |
実績 |
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(注)1.本指標については具体的数値目標を設けることはいたしておりませんが、継続的改善のためモニタリングを行っております。
2.外部委託した調査機関において算出した上場会社間における偏差値であり、調査対象者にはパートタイマー等の直接雇用者である臨時従業員を含んでおります。
3.2024年4月1日時点の常用労働者数に対する年間の退職者の割合を基に算出しております。
4.本指標における目標値は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づく一般事業主行動計画において定めた2025年3月末における目標値であり、実績値は2025年3月末時点の常用の女性労働者数でありパートタイマー等の直接雇用者である臨時従業員を含んでおります。
5.厚生労働省が算定する有所見率に準じて算出しており、調査対象者にはパートタイマー等の直接雇用者である臨時従業員を含んでおります。
6.2024年度は目標62.0%に対し、実績67.0%となりました。一部の事業所において数値の悪化が垣間見られ、全体的な有所見者率の悪化につながっております。当社は健康経営を第一に推進しており、その原因を追究するとともに対応策の実施に努めて参ります。
7.海外子会社については雇用環境が異なることから、連結グループとしての目標設定及び記載が困難であるため、提出会社の目標及び実績を記載しております。
当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 経済状況に関するリスク
当社グループは、電子部品の中でもパワー半導体用リードフレーム・オプト用リードフレーム・コネクタ用部品に関する製造販売をグローバルに展開しております。これらの製品は多種多様であり、販売地域も多岐に亘っていることから、その製品需要は販売される国や地域の経済変動の影響を受けます。また、電子部品業界は一般的に経済変動の影響を強く受ける業界であるとされ、景気の後退局面においては想定を上回る影響を急激に受ける可能性があります。
従いまして、世界的または各国、各地域における景気後退等は当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは専用性の高い製品から汎用性の高い製品まで対応する技術力と設備を保持し、幅広い分野に対応することで受注急減のリスクの軽減を図っています。
② 海外進出リスク
当社グループは、顧客ニーズのグローバル化に対応するために、生産拠点として海外(中国・フィリピン)に進出しております。これらの進出国における予期しない法律、税制の変更や当社に不利な政治的または経済的事象の発生、進出国のみならず関係国を含むテロ・戦争・その他の要因による社会的混乱等の発生により、当社グループの事業の遂行に深刻な影響を与える可能性があります。
当社グループは国内外拠点において技術交流や相互支援を積極的に行い、技術と知識を共有することで有事の際には早急かつ的確に相互のバックアップを行える体制の構築を推進しています。
③ 競合及び技術革新に関するリスク
当社グループの属する電子部品業界は価格、技術両面において激しい競合の状況にあります。当社グループは、高品質な製品供給体制を築き顧客満足を得られるよう競争力の向上に努めておりますが、急速な技術革新へ迅速な対応ができない場合や顧客ニーズに合わせた新製品の導入ができない場合の受注機会の損失のほか、販売価格の急激な下落等不測事態の発生により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは高度な技術を要する製品の受注と設備投資を積極的に行い、大学や取引先との良好な関係性を保ち交流を行うことで情報と技術の共有を図り、常に最先端の加工技術を保持するメーカーであることを目指しております。
④ 製品の品質に関するリスク
当社グループは、品質マネジメントの国際規格ISO9001や自動車産業に特化した品質マネジメントの国際規格IATF16949の取得、運用によりシステム化された品質管理により安定して高品質な量産体制を構築しております。しかしながら、予期せぬ品質不具合や当社の製品に起因する最終製品の欠陥等が発生した場合、多額のコストの発生や社会的信用の低下等により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは最先端の自動検査装置の開発及び導入を推進し、国内外の人財交流を行うことでグループ全体の品質管理能力と品質保証水準の向上を図っております。
⑤ 原材料価格及び調達リスク
当社グループは主要原材料である鋼材・銅・ニッケル等を外部より購入しております。市場環境や購入先の供給能力または品質検査データの再精査等により、生産に必要な量の確保ができない場合や急激に素材価格が高騰した場合には、製品の利益率の悪化や機会損失の発生により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが製造する製品や金型部品加工の一部工程においては、外部の協力会社へ加工委託しております。これらの協力会社や原材料購入先の供給能力が何らかの事情により不足する場合や、地政学的なリスク等により正常な物流体制が阻害され当社への供給が滞った場合、生産活動が十分に行えず業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは原材料メーカー及び加工委託先との良好な関係構築と経営者レベルにおいての重要な情報の共有を図っており、リスクの早期発見と対処に努めております。また独立した企業グループであるメリットを生かし、有事の際には複数の調達先による代替提案が可能な体制を構築しています。
⑥ 取引先に関するリスク
当社グループはデバイスメーカーを主要な顧客としております。当社グループは、個々の顧客の要求に対応し、かつ日頃から顧客の水準を満たすべく製品や金型の製造販売を行っておりますが、当社グループのコントロールが及ばない経済全般及び事業環境の変化により、デバイスの使用先となる最終製品の世界的な需要の急激な変動に起因する顧客の製品戦略変更や注文の解約等が行われた場合には、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは独立した企業グループであるメリットを十分に活用し、自由な営業活動を行っており、多様な用途に対応することでリスクの分散を行っております。
⑦ 為替・金利の変動リスク
当社グループでは、金利上昇リスクへの対策としては長期・固定金利化の実施等により、また為替変動リスクに対しては、主要な外貨建て資産及び負債について為替ヘッジを行うことにより、これらのリスクの最小化に取り組んでいます。しかしながら市場の動向によっては、これらのリスクを完全に回避できない可能性があります。
⑧ 情報セキュリティに関するリスク
当社グループの管理する情報資産の流出が発生した場合、当社グループの信用低下や再発防止策の実施、損害賠償等による多額の費用発生により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「情報セキュリティ基本方針」を制定し、情報セキュリティ推進責任者を中心に、全社的な情報漏洩のリスク回避に努めております。
⑨ 知的財産権に関するリスク
当社グループによる何らかの行為が他社の保有する知的財産権を侵害した場合、生産の差し止めや損害賠償の請求を受ける可能性があります。
当社グループは知的財産権を始め他者が保有する権利を侵害しないよう細心の注意を払い、専門性の高い弁理士などと適宜アドバイザリー契約を結び訴訟リスクの軽減を図っております。
⑩ 環境汚染に関するリスク
当社グループでは、環境負荷の低減に努めており土壌や地下水の調査及び浄化活動、温室効果ガスの排出削減や省資源化を推進していますが、今後環境汚染が発生または判明した場合、浄化処理等の対策費用が発生し当社グループの損益に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは法令の遵守はもとより、ISO14001に基づいた社内管理マニュアルを策定し、それに準拠した社内活動を常時実行することにより環境の保全に努めております。
⑪ 法的規制等に関するリスク
当社グループが事業活動を行っている国及び地域では、投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、独占禁止、製造物責任、環境、労務、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用を受けています。これら法令及び法解釈の変更などは、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
当社グループではグローバルなネットワークを保持する監査法人や弁護士事務所との連携をもとに、適切かつ適時的に関係法令や法解釈を理解し、運用することでリスクの軽減を図っております。
⑫ 人財の確保
当社グループは、人財戦略を事業活動における重要課題の一つとして捉えており、今後の事業展開には適切な人財の確保・育成が必要と認識しています。適切な人財を十分に確保できなかった場合、当社グループの事業遂行に制約を受け、または機会損失が生じるなど事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、大学及び各種学校との十分な情報交換と連携を行い、優秀な人財の採用に繋げております。また、「プラチナくるみんプラス」や「健康優良企業認定」などの高い評価を得ており、「働き方改革」「子育て支援」などへの積極的な活動から人財の定着率の向上を図っております。
⑬ 固定資産の減損会計
当社グループでは、既存事業に係る設備について、今後の事業の収益性や市況等の動向によっては、固定資産の減損会計の適用に伴う損失処理が発生し、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、今後の地価動向や景気動向等によっては固定資産の減損会計の適用に伴う損失処理が発生する可能性がありますが、遊休の固定資産等については売却・転用を進めるなど、リスクの軽減を図っています。
⑭ 災害・サイバー攻撃・疫病等のリスク
地震、台風等の自然災害や火災等の事故災害、インターネットやデジタル機器を介したサイバー攻撃、または疫病の深刻な流行等が発生した場合、当社グループの拠点の設備や労働力等の経営資源が大きな被害を受け、その一部または全部の操業が中断し生産及び出荷が遅延する可能性があります。また、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、結果として当社グループの事業、業績及び財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは各拠点の技術及び知識の平準化を推し進め、拠点に損傷が発生した場合の代替生産の早期実現に努めることで業績への影響の最小化を図っております。サイバー攻撃に対してはファイアウォールの構築や全社での定期的な従業員教育・訓練を行っております。また、疫病の深刻な流行等が発生した場合の対策として、本社を中心として画一的な対策方針を策定し全拠点で同水準の防疫体制を取っております。引き続き、従業員の感染リスクの軽減と安全確保を図り、円滑な事業活動を継続するため、速やかな情報収集と状況に応じた対策を迅速に実施して参ります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、地政学リスクの高まりなどにより不透明な見通しの中で推移いたしました。一方、国内の景況については、雇用情勢、所得環境及びインバウンド需要の改善などによって国内の消費は緩やかながら回復基調で推移しましたが、為替変動や資源価格の高騰などが景況感への下方圧力となっております。
当社グループの属する電子部品業界におきましては、中国の景気低迷の影響などによる民生用機器向けや産業用機器向けの在庫調整が長期化しており、需要回復の顕著化は2025年の後半以降になるものと見込まれます。また、自動車向けは海外のEV市場の減速から、成長は一時的に鈍化しております。
このような状況下、当社グループは従前よりメッキ工程における内製化や生産能力の強化、製造工程の自動化及び効率化に注力し、収益力の改善を推進して参りました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ4億6千3百万円増加し、328億3千4百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ4億6千1百万円減少し、109億3千2百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ9億2千4百万円増加し、219億2百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高は268億8千万円(前年同期比6.4%増)、営業利益は6億1千8百万円(同285.9%増)、経常利益は6億6千9百万円(同129.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4億4千7百万円(同269.3%増)となりました。
製品群別の経営成績は次のとおりであります。
パワー半導体用リードフレーム
当製品群は自動車向けや民生用機器向け及び産業用機器向けが主なものであります。前期より続く民生用機器向け及び産業用機器向けの在庫調整や世界的なEV市場の成長鈍化の影響を強く受け、需要の回復は遅れております。その結果、当製品群の売上高は107億7千1百万円(前年同期比3.0%減)となりました。
オプト用リードフレーム
当製品群は、LED用リードフレームが主なものであります。市場は依然として海外の交通インフラ向けや大型ディスプレイ向けなどが在庫調整局面にありますが、民生用機器向けハイエンド品の量産により増加いたしました。その結果、当製品群の売上高は33億7千1百万円(同27.3%増)となりました。
コネクタ用部品
当製品群は、自動車向け、モバイル端末向けが主なものであります。スマートフォン向けは前年同期と同等の水準でありましたが、ウェアラブル端末向けの需要が好調に推移しました。その結果、当製品群の売上高は120億8千5百万円(同9.9%増)となりました。
その他
その他の製品群は、金型用部品、リレー用部品が主なものであります。当製品群の売上高は6億5千1百万円(同31.5%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ5億8千6百万円減少し、当連結会計年度末には44億4千5百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は7億3千2百万円(前年同期は30億9千6百万円)となりました。これは主に減価償却費21億8千2百万円及び売上債権の回収5億6千4百万円による資金の増加であります。前年同期に比べ減少した要因は、棚卸資産12億6千9百万円の増加及び一部の支払いサイトの短縮による仕入債務14億2千2百万円の減少によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は16億4千5百万円(前年同期は17億5千7百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出16億3千7百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は9千8百万円(前年同期は5億1千1百万円)となりました。これは主に自己株式の取得のための短期借入金4億5千万円による増加と、自己株式の取得による支出5億4百万円及び配当金の支払4億7千2百万円による資金の減少であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績については、単一セグメントのため製品群別ごとに記載しております。
|
製品群別の名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
パワー半導体用リードフレーム(千円) |
11,376,571 |
5.2 |
|
オプト用リードフレーム(千円) |
3,472,810 |
36.7 |
|
コネクタ用部品(千円) |
12,083,847 |
11.5 |
|
その他(千円) |
641,037 |
25.2 |
|
合計(千円) |
27,574,266 |
11.6 |
(注)金額は販売価格で表示しております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績については、単一セグメントのため製品群別ごとに記載しております。
|
製品群別の名称 |
受注高 |
受注残高 |
||
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
パワー半導体用リードフレーム |
10,806,142 |
△2.7 |
1,024,662 |
3.4 |
|
オプト用リードフレーム |
3,404,371 |
22.8 |
446,669 |
8.0 |
|
コネクタ用部品 |
12,568,739 |
13.6 |
1,146,563 |
72.7 |
|
その他 |
618,721 |
17.5 |
18,026 |
△64.4 |
|
合計 |
27,397,974 |
7.5 |
2,635,921 |
24.4 |
(注)金額は販売価格で表示しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績については、単一セグメントのため製品群別ごとに記載しております。
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製品群別の名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
パワー半導体用リードフレーム(千円) |
10,771,931 |
△3.0 |
|
オプト用リードフレーム(千円) |
3,371,116 |
27.3 |
|
コネクタ用部品(千円) |
12,085,887 |
9.9 |
|
その他(千円) |
651,459 |
31.5 |
|
合計(千円) |
26,880,395 |
6.4 |
(注)1.金額は販売価格で表示しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
DDK(THAILAND)Ltd. |
3,262,822 |
12.9 |
3,266,399 |
12.1 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は268億8千万円(前年同期比6.4%増)となりました。これは主にオプト用リードフレームとコネクタ用部品の増加によるものです。営業利益は6億1千8百万円(同285.9%増となりました。これは主に付加価値の高いマイクロコネクタ用部品や、クリップボンディングタイプのリードフレームの比率が増加したことによるものです。また、経常利益は6億6千9百万円(同129.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4億4千7百万円(同269.3%増)となりました。
売上高については、パワー半導体用リードフレームでは民生用機器向け及び産業用機器向けでは在庫調整が続いております。オプト用リードフレームでは、市場環境は調整局面から完全には脱していないものの、当社受注は民生向けハイエンド品の量産により増加しました。また、今後は自動車向けの増加も見込まれております。コネクタ用部品は、スマートフォン向けは大きな成長はなかったものの、ウェアラブル端末向けが調整局面を脱し、顕著に回復いたしました。
利益面では、状況はまだら模様ではあるものの、一部製品で底打ちして稼働率が上昇したことから、利益率は前年同期と比較して改善いたしました。
b.財政状態の分析
当社グループの当連結会計年度の財政状態は、総資産は前連結会計年度に比べ4億6千3百万円増加し、328億3千4百万円となりました。
流動資産は、電子記録債権は減少しましたが、売掛金及び棚卸資産の増加により、前連結会計年度に比べ4億7千6百万円増加の176億1千万円となりました。
固定資産は、減価償却費計上等により、前連結会計年度に比べ1千3百万円減少の152億2千4百万円となりました。
一方、負債合計は、前連結会計年度に比べ4億6千1百万円減少し、109億3千2百万円となりました。これは、主に仕入債務減少によるものです。
また、純資産は為替換算調整勘定の増加等により219億2百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載の通りです。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は主に大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。
運転資金需要のうち主なものは生産活動に必要な運転資金及び販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としましては生産性向上のための機械装置等固定資産購入によるものであります。
当社グループは現在、運転資金につきましては、内部資金より充当し、不足が生じた場合は短期借入金で調達を行っております。また、設備資金につきましては、設備資金計画に基づき調達計画を作成し、内部資金で不足する場合は、長期借入金等により調達を行っております。また、金融機関には充分な借入枠を有しており、当社グループの事業に必要な運転資金及び設備資金の調達は今後も可能であると考えております。
なお、海外子会社につきましては、運転資金、設備資金とも、直接現地金融機関等より調達を行っております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループは、情報技術(IT)の発展により拡大を続ける半導体及び通信機器市場に対応していくため、長年にわたり培ってきた金型技術・精密プレス加工技術を基盤に、電子部品業界に限らずに、将来のダイナミックな事業展開に備えた研究開発を進めております。
現在の研究開発活動は、開発部の主管において、通常の生産活動を通して推進されている新たな生産技術の研究開発の他、既存の生産活動の枠を超える次世代製品の開発を見込んだプロジェクト案件に対して、積極的に参画することによって推進されております。山梨大学との共同開発による燃料電池スタックの基幹部品の一つであるセパレータの新技術につきましては、実用化に向けた量産技術確立と製造コスト削減をテーマに置き、燃料電池車・家庭用燃料電池への参入を目指しております。
これに関わる山梨大学及び大阪大学との共同プロジェクトは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「共通課題解決型産学官連携研究開発事業」に2025年3月までの期間で採択され、その期間内においては性能について高い評価を得ることができました。その後、同じく山梨大学及び大阪大学との共同プロジェクトで応募いたしました2025年度から2029年度の事業期間が予定されている同機構の「水素利用拡大に向けた共通基盤強化のための研究開発事業」への採択も2025年6月11日付で発表されており、近年では山梨大学及び自動車メーカーとの共著論文が公開されるなど、事業化に向けて着実に歩んでおります。
上記のとおり、当社グループの研究開発の内容は、応用研究を基本としており、新製品開発のための設計・製作や従来にはない製品の製造方法が主なものであり、当連結会計年度における研究開発費は