第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当項目に記載されている将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針および具体的な方針

当社は、「お客様に“価値”を提供し“信頼”を獲得する(A‘VALue)を企業理念とし、シンプル&スピードを以って、全社すべてのレベルにおいて、シンプル化を目指し、業務にはスピード感を基本方針としております。

このような企業理念・基本方針のもと、具体的な中期経営方針は次のとおりです。

・サステナビリティを推進し、社会の持続可能な発展に貢献する

・攻めの経営による積極投資と固定費最適化を行い、更なる体質強化

・市場の潜在ニーズを先取りし、お客様の装置の進化に貢献する

・新分野及び海外展開でビジネスを確立し、新たな成長の柱を構築する

・品質・納期・コスト・環境対応で業界トップの生産体制を実現

・政策保有株式の縮減を進め、資本効率を改善する

 

(2) 経営戦略 

当社の経営戦略については、業界変革のなか新たな経営環境での飛躍を目指すため、次の7項目を掲げております。

1.サステナビリティ・コーポレートガバナンス

健全かつ公正な企業活動で、社会等からの信頼を高める。

2.風土・マネジメント(人事・組織)

フラットな組織と適材適所で、より強い企業に変革。

3.製品開発戦略

差別化ポイントを『顧客の競争力向上への貢献』と定義し、自社製品をベースに、提案型受託開発で競争力と付加価値を最大化。

新製品への経営資源積極投入と戦略パートナーとの協業により、早期ビジネス化。

4.営業戦略

効率的な営業体制と戦略パートナーとのコラボレーションで新規分野を開拓・収益化。

5.製造戦略

進化し続ける革新工場の確立

6.戦略購買と戦略的在庫政策

戦略的生産計画で管理の効率化を図り、製品競争力強化に貢献する

7.品質の確保

海外展開に必要な規格に適合した品質で、顧客満足を獲得する

 

また、目標とする経営指標につきましては、(3)に記載しているとおりとなります。

 

(3) 目標とする経営指 

当社が目標とする経営指標は、

1.

売上高経常利益率

目標

23.0%以上

2.

自己資本比率

目標

  80%以上

3.

自己資本当期純利益率(ROE)

目標

   9%以上

 

の3指標であります。
当社は、株主価値の最大化を経営の最重要課題とし、付加価値の高い製品の開発と共に収益の安定的な確保を目指しております。また、当社の主たる市場である半導体製造装置業界は、特有の急激な需要変動が生じやすいため、このような経営環境に対応すべく強固な財務体質の維持に注力しております。更にこれらに加えて利益の確保並びに使用資本効率の向上を示す本指標を目標としております。なお、前事業年度より、高付加価値製品の拡充および生産性の向上を更に目指すため、売上高経常利益率の目標数値を22.0%以上から1.0%増の23.0%以上に変更しております。
目標とする経営指標の実績推移は次のとおりとなります。

回次

第62期

第63期

第64期

第65期

決算年月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

売上高経常利益率

21.5%

20.6%

17.3%

18.1%

自己資本比率

78.8%

75.4%

74.7%

82.8%

自己資本当期純利益率(ROE)

9.73%

8.69%

21.74%

24.08%

 

(注)「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第63期の期首から適用しており、主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

なお、第64期及び第65期の自己資本当期純利益率が、第63期以前と比較して大幅に増加しておりますが、これは、投資有価証券売却に伴う影響を受けております。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

成長事業の確立はもとより、スリムな企業体質および生産性拡大を行い、経営資源を有効活用し収益拡大を行い、更なる株主還元の充実を検討してまいります。

優先的に対処すべき課題は、以下のとおりであります。

 
1.市場(顧客)の多角化
 当社の主要市場(顧客)は、半導体製造装置、産業用装置、インフラ関連、医療機器関連、FA全般および検査装置等に及んでおりますが、既存市場(顧客)の拡大に注力するとともに、特に医療、薬剤、食品および社会インフラ関連における新規市場(顧客)の開拓を推進し、半導体製造装置業界を始めとする急激な需要変動を回避し、更なる成長路線の確立に努めてまいります。

 
2.製品開発の差別化と新たな分野の製品開発
 自社製品は、「組込みモジュール」、「画像処理モジュール」、「計測通信機器」に分類しておりますが、既存の要素技術の進化とともに、非可視光カメラのシリーズ化、CoaXPress製品のシリーズ化、更なる高性能・高速性の追求により、主力製品の拡張を目指してまいります。また、新分野の開拓とともに、さまざまな検査要求への対応、IoT・ビッグデータへの提案を行うことで、新たな価値を提供してまいります。

 
3.顧客ニーズを満足する生産体制の更なる充実、新ビジネスモデル生産体制の構築
 当社の主要顧客の一つである半導体製造装置関係の顧客は、業界特有の急激な需要変動を繰り返しており、加えて多品種変量生産でもあります。そのような状況下で、安定供給、コストダウン、生産リードタイム短縮、品質向上および環境負荷削減のご要求に応えることが求められております。そのため、研究開発拠点の新設等の先行投資により潜在的顧客ニーズに備えるとともに、多角化した調達リスクに対応するために戦略購買による部材確保、製品構成の変化に伴う製造技術力の向上等に努め、生産体制を構築、進化してまいります。

 
4.サステナビリティの推進
 当社は、サステナビリティ基本方針を定め、長期的な企業価値向上と持続的成長に向けた取組みを強化しており、「お客様に価値を提供する製品づくり」、「事業を通じた環境問題への取組み」、「働く環境と社会への取組み」、「ガバナンスの強化」の4つのテーマに基づき、それぞれの重点課題を特定し、当社の基本姿勢を示し、取組んでおります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものとなります。

 

当社は、お客様に“価値”を提供し“信頼”を獲得する(A‘VALue)を企業理念とし、シンプル&スピードを以って、全社すべてのレベルにおいて、シンプル化を目指し、業務にはスピード感を基本方針としております。

このような企業理念・基本方針のもと、中期経営方針においてサステナビリティを推進し、社会の持続的な発展に貢献することを定めるとともに、サステナビリティ基本方針を定め、長期的な企業価値向上と持続的成長に向けた取組みを強化しております。

サステナビリティ基本方針は、「お客様に価値を提供する製品づくり」、「事業を通じた環境問題への取組み」、「働く環境と社会への取組み」、「ガバナンスの強化」の4つに分類しております。

 

以下2つの項目は、特に重要なものとして取り組んでおります。

 

① 気候変動等の環境対応について

「事業を通じた環境問題の取組み」では、顧客への価値創出につながる製品を提供し続けるために①環境経営を推進し、環境負荷低減の製品開発と生産をすすめ②資源の有効活用と環境保全活動への取組みを行うこととしております。

「事業を通じた環境問題の取組み」を重点課題として選定した理由は以下のとおりです。

当社製品の提供により、お客様の装置の進化に貢献するためには、市場のニーズを先取りした製品の開発、生産を進める必要があります。

事業を通じ、省エネルギー、再資源化、環境保全活動などによる資源の有効活用、地域の人々の健康と安全に配慮した気候変動や環境汚染など地球環境問題への取組みは、重要事項と捉えております。

そのうえで、お客様の装置の環境負荷低減を目指した製品の開発・生産や、海外展開に有用または、法令等で指定された化学物質の適正な使用と管理を継続して行うことは、環境経営を推進することにより、市場競争力を高め、事業機会を創出するための重要事項として捉えております。

また、継続的に繁栄する地球に子孫を残すため、地球環境保全に貢献することが重要な使命であるとの認識に基づき、全従業員をあげて、環境負荷の低減活動を展開します。

本方針は、製品及び事業活動全域(電子機器開発・設計、製造、販売、支援業務、修理サポート)に適用します。

② 人的資本について

「働く環境と社会への取組み」では、個々の高度な専門性を最大限に活かし、組織としてお客様へ最大限の貢献を行うプロフェッショナル集団を目指し、公平な処遇、ダイバーシティ&インクルージョンとワークライフバランス、働きやすい職場環境の整備、健康経営の推進に向けた取組みを行うこととしております。

「働く環境と社会への取組み」を重点課題として選定した理由は以下のとおりです。

付加価値のある製品の提供により、お客様の装置の進化、市場競争力の向上に貢献する前提として、お客様へ高い付加価値を提供しつづける組織であることが不可欠となります。

採用が進み、離職率の低い、働きやすい職場の環境づくりや安全確保や危機管理を第一に、心身にわたる健康の増進管理に努める職場づくりへの取組みは、「働きやすい職場環境の整備、健康経営の推進」のための、重要事項と捉えています。

また、同様に人材教育と育成に注力しつつ、差別やハラスメントの禁止、人権尊重へ取組むことにより、公平な処遇、ダイバーシティ&インクルージョンとワークライフバランスに配慮した職場環境の創出のための重要事項と捉えております。

 

ガバナンス

① 気候変動等の環境対応について

環境対応については、中期経営計画の中で課題化され、各部門の部門目標に落とし込み、全社にて取り組んでおります。

全社品質環境会議を組織し、品質保証部の長を議長とし経営会議メンバーを構成メンバーとし、監査等委員である取締役のモニタリングのもと毎月開催しております。協議検討された方針課題等は経営会議メンバーに共有され、必要に応じ経営会議の付議事項として、または取締役会に付議または報告されております。

取締役会は定期的に本プロセスを監督し必要に応じ、対応の指示を行っています。

② 人的資本について

経営戦略と人材戦略の連動をはかるため、経営会議において総務部の長より付議された事項を監査等委員である取締役のモニタリングのもと、協議事項の検討、報告事項の報告とともに、取締役会に人材戦略を提言する役割を担っております。

 

リスク管理

① 気候変動等の環境対応について

当社では、気候変動に係るリスクの管理については、全社品質環境会議において、事業活動におけるさまざまなリスクの洗い出しを実施し、目標値設定と計測を行うとともに、気候変動を含む環境対応を影響度及び事業と関連の高いリスクの一つと位置づけ、低減策の検討や達成度の検証に加え当社事業ごとにCO2排出リスクを評価特定することを検討しております。

全社品質環境会議にて報告、経営会議で検討された短中長期における全社的なリスク管理については、代表取締役社長の承認を経て各部門に展開されています。

中期経営計画の中で課題化され、各部門にて展開されたリスクは、その対応状況について取締役会へ報告されています。

② 人的資本について

当社では、働く環境と社会に係るリスクの管理については、中期経営計画、経営戦略に連動した人事戦略を実現するにあたり、運用、管理面につき、毎月経営会議において、必要事項を協議検討するとともに、総務部門による全社向けの教育、トレーニングを実施しております。

制度自体の見直しが必要な際には、不定期で従業員アンケートやヒアリングを行うことにより、従業員エンゲージメントを高め、実効性の高い制度構築を行うこととしております。

また、代表取締役社長を統括安全衛生管理者とする安全衛生委員会を設置し、毎月1回以上定期的に開催しております。社内外の課題、危険源の特定、法定要求事項、一般的に事故に結びつきやすい可能性のある事例等につきリスクおよび機会を、調査検討を行っております。重要事項は、従業員へ連絡を行い、従業員の安全確保と健康へのリスク低減につとめております。

 

戦略

① 気候変動等の環境対応について

当社では、全社品質環境会議における事業活動の分析に基づくリスクの洗い出しの結果、取締役会により、持続的な成長と継続的な企業価値向上を実現させるために2021年11月にサステナビリティ基本方針を制定しております。

・環境経営を推進し、環境負荷低減の製品開発と生産

当社の製品開発、ものづくりにおいて、法令で指定された適正な化学物質の使用と管理が充分に行われない場合や、当社が低環境負荷の製品を開発、生産できない場合には、顧客に対する市場競争力は低下し、顧客への出荷が停止したり、売上が減少するリスクが生じます。

当社は、持続可能な社会の実現のため、環境経営を推進し、当社の技術を活かした環境負荷低減の製品開発と生産をすすめてまいります。

・資源の有効活用と環境保全活動、地球環境問題への取組み

当社は、気候変動等地球環境問題への取組みとして事業を通じ、資源の有効活用、省資源、省エネルギー等をすすめており、また、事業所のある地域の河川清掃等環境保全活動を行っており、また、節電や太陽光発電の導入等の施策を行っておりますが、これらの施策によって充分な成果を得られない場合には、エネルギー価格の上昇の程度によっては、当社の利益を圧迫するリスクがあります。

今後におきましては、将来のリスク、機会について充分な情報のもと、よりいっそう精緻に分析を行うことで、外部環境の変化に合わせた、柔軟な対応を実施してまいります。

 

品質と環境への取り組みに関し、当社WEBサイトに掲載しております。

環境マネジメントシステム

https://www.avaldata.co.jp/csr/environment/environmental-management

環境への取り組み

https://www.avaldata.co.jp/csr/environment/introduction

RoHS対応/REACH対応

https://www.avaldata.co.jp/csr/environment/rohs-reach

太陽光発電装置

https://www.avaldata.co.jp/csr/environment/solar-battery

省エネ活動

https://www.avaldata.co.jp/csr/environment/eco

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

② 人的資本について

個々の高度な専門性を最大限に活かし、組織としてお客様へ最大限の貢献を行うプロフェッショナル集団を目指し、公平な処遇、ダイバーシティ&インクルージョンとワークライフバランス、働きやすい職場環境の整備、健康経営の推進に向けた取組みを行うこととしております。

本取組に向け、社内環境整備に関する方針を定めております。

(人材育成に関する方針)

当社では、人材の多様性の確保や人材育成に関する方針として公平な処遇、ダイバーシティ&インクルージョンとワークライフバランスをサステナビリティ基本方針の一つとして定め、不公正な処遇により、社会的な信用を失ったり、退職者の発生を招くことのないよう、不公正な処遇をなくし、多様性を高めるだけでなく、誰もが能力を発揮し、活躍できる人材育成を目指しております。

(社内環境整備に関する方針)

当社では、風土・マネジメント(人事・組織)は、フラットな組織と適材適所で、より強い企業に変革することを中期経営戦略として定めており、企業の変革とともに従業員の、自立、協調、成長がともに行われるよう、また、誰もが活き活きと働くことができる職場環境を整備することを方針としております。

具体的な職場環境整備としては以下の取組みを推進しております。

・健康促進

定期健康診断受診率100%を徹底、健診結果に基づく有所見者へのフォローを行い、社員の健康管理に努めております。

・メンタルヘルス推進

こころの健康増進のため、ストレスチェックを実施し、社内研修や定期的な情報配信などを行いセルフケアおよびラインケアに取り組んでおります。

・ワークライフバランスへの推進

ワークライフバランス実現のため、長時間労働の防止、有給休暇計画的取得の推進、ノー残業デーの設定により、社員の健康保持に努めております。

 

指標及び目標

① 気候変動等の環境対応について

当社は、品質・納期・コスト・環境対応で業界トップの生産体制を実現のため、自社排出のCO2の削減は脱炭素社会実現に向けた責務と考えております。

将来的に排出量の多い事業については排出量削減へのストレスがかかる可能性が高いリスクと捉え、自社工場をもち開発から製造、出荷までトレースできる特徴を活かし、製品不良発生によるやりなおし減少などにより 毎年設定されるKPI(納入製造良品率を99.99%以上)に基づいて目標達成につとめてまいります。

また、当社は、品質においてISO9001による品質マネジメントシステムを構築し製造過程において環境に配慮した製品、歩留まり向上により、消費電力を削減するとともにISO14001に基づく環境マネジメントシステムを構築し、それぞれ目標設定のうえ全従業員による環境保全活動を推進しています。

なお、事業年度に算定したGHG排出量に対し、日本の排出削減目標である2050年カーボンニュートラル実現に向け、排出源に応じて「Scope1」、「Scope2」、「Scope3」に区分し、それぞれの目標に対する活動を実施して参ります。

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標

② 人的資本について 

人材育成と働きがいのある職場づくりは、企業経営にとって不可欠であります。

社員一人ひとりが、自らの能力を最大限に発揮できるよう、階層や職種に応じた指導・育成を行い、その能力の伸長に努めることとしております。新入社員には、入社時に5年先の目指すべき姿とそのスキルマップを提示し、プロフェッショナルとなるべく、OJT、OFF-JTでの研修を実施しております。また、一例として、ハードウェア・ソフトウェア実習、工場実習、フォローアップ研修、OJTを実施しており、その期間は6ヶ月間としております。その他に、全社研修、階層別、部署別等の研修を定期的に実施しております。

なお、社員一人ひとりが、より一層、自らの能力を最大限に発揮できるよう、2024年4月1日から新人事制度を導入しております。また、今回の人事制度においては、マネジメントコース、スペシャリストコースを新設し、人材活用経路の多様化を図っております。

経営戦略と人材戦略を紐づけた階層別の人材要件定義を整理し、中長期の組織目標と個人目標を定め、5年先のあるべき姿とスキルマップを提示することで、高度な専門性をもった人材育成を行い、持続的な企業価値向上に一層努めてまいります。

具体的な研修内容としては、従来から定期的に実施しているセキュリティ研修、コンプライアンス研修に加え、マネジメントおよびリーダーといった役割および階層別研修の実施を行います。

女性活躍推進への取り組みとして、女性社員を増やし、性別を問わずより活躍できる雇用環境の整備を行うため、女性活躍促進法に基づく一般事業主行動計画を策定しております。

策定した一般事業主行動計画は、次のリンク先に掲載しております。

https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/detail?id=32704

また、従業員の状況に記載しておりますが、当該リンク先に記載しております、働きやすさに関する実績として、同様の内容を掲載しております。

なお、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画に掲載しておりますが、2022年4月1日~2027年3月31日までの5年間を計画期間とし、採用者(新卒・中途)に占める女性割合を20%以上とした数値目標を掲げております。

 

3 【事業等のリスク】

 

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 半導体市況変動による影響

半導体製造装置関連は当社の重要な事業分野であり、半導体市況の急激な変動は当社業績に最も大きな影響力があります。したがって、予期せぬ市場規模の大幅な減少によって、受注減・在庫増加等により当社の業績およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 競合他社との競争

当社の自社製品は組込みモジュール・画像処理モジュール・計測通信機器の3種類の製品群があります。今後も開発の選択と集中および3製品群の複合技術による製品の差別化を図り、更にマーケットシェアの拡大と高収益の追求に取り組みます。また、受託製品に関しても自社製品の技術リソースを利用した提案営業を積極的に進め、顧客の課題解決とコストダウン要求に応え、あわせて当社の付加価値の改善を図っています。しかしながら、組込みモジュールは年々製品差別化が難しく価格競争が激化しており、中期的には当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 研究開発による影響

当社は組込み・画像処理・高速通信技術をコア技術として最先端の技術を創造すると同時に市場からの新たな要求に対しタイムリーに製品化を進め、製品の差別化と高い利益率の確保に取り組んできました。更には、顧客の装置の進化に貢献する新製品開発のため、先行投資として、研究開発に特化した新拠点を建設いたしました。しかしながら、新技術は未知の要素も多く新製品投入時期の遅れ要因となることもあり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 部材調達による影響

当社の製品は、半導体を中心とする高性能な部材が使用されており、その調達先は代替が困難なケースがあることから、調達先との良好な関係の構築、維持及び推進を図るとともに、不具合が発生した場合には速やかに対応できる体制を準備しておりますが、これらの調達先に一時的な供給遅延や品質問題等が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5) 保有資産による影響

当社は、営業取引関係の維持および発展等を目的として、投資有価証券を保有しております。なお、銘柄数及び貸借対照表計上額等につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(5)株式の保有状況」に記載しておりますが、上場および非上場を問わず保有しております。

上場株式につきましては、株式市場等の動向により多額の減損損失を計上した場合に、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

非上場株式につきましては、新規の事業へ取り組みを行っている企業が多く、投資時点の事業計画の達成可能性及び財務体質並びに回収可能性等を総合的に勘案した結果、減損損失を計上した場合に、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 品質に関する影響

当社は顧客満足を満たす品質確保のためにいち早くISO9001の認証取得を含む品質保証体制を確立すると同時にサービス・サポート体制の充実を図り、多くの顧客の信頼に応えてきました。しかしながら、当社製品が先端技術を利用することによるリスクを含み、予期せぬ不具合品が発生する等により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 人材獲得、流出による影響

当社はフラットな組織と適材適所により、変化に強い組織づくりを目指すとともに、健康優良企業や次世代育成への取り組みを行い、働きやすい職場環境の創出に努めております。更に、人事制度を大幅に見直すなど継続した改善に努めておりますが、雇用管理のありかたは大きく変化し複雑化しており、充分な人材が確保できず、または人材の流出により、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 外国為替変動による影響

現在、当社の海外への直接の売上比率は概ね1%ですが、顧客の大半は、海外の売上依存度が高い状況であります。また、部材の調達においても外貨建ての取引があります。したがって、急激な為替変動は売上高・納入価格面等のリスク要因となり、間接的に、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 災害等による影響

大地震・火災・台風洪水等の自然災害や各種感染症への対策には充分な注意を払い、従業員の安全はもとより、顧客への供給責任、地域社会への貢献を骨子とする事業継続計画(BCP)を策定し、積極的な取組みを行っております。しかしながら、当社の開発・製造拠点および調達先等に壊滅的な損害が生じた場合、操業が中断し、生産や出荷に遅延が生じるおそれがあり、これにより売上が減少し、事業の復旧に多大な費用が生じた場合、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当事業年度の末日現在において当社が判断したものであります

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1)経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、個人消費や設備投資が持ち直し、景気は一部に足踏みがみられるものの緩やかに回復しております。一方で世界経済では、地政学的なリスクの増大、金融引締めや物価上昇などが景気の下押しリスクとなり、先行きが不透明な状況となっております。

当社に関連深い半導体製造装置市場は、設備投資需要については、足元では底打ちから回復の兆しも見られますが、部材等の在庫調整は続いており、発注までの需給ギャップの解消には、なお時間を要する状況となっております。

このような経営環境のもと、当社では、引続き中長期での需要の増加に備えた必要な先行投資を行いつつ、お客様の装置の付加価値向上に資する製品の提供に努めてまいりました。一部で在庫調整が生じ次期にずれ込んだことから、当事業年度の売上高は減少いたしました。

この結果、当事業年度における売上高は12,580百万円前期比12.6%減)、営業利益は2,095百万円前期比12.6%減)、経常利益は2,274百万円前期比8.9%減)、政策保有株式の見直しによる資産効率の向上を図るため、前事業年度と同様に投資有価証券の一部を売却したことによる、投資有価証券売却益の計上により、当期純利益は5,256百万円前期比23.1%増)となりました。

 

当社は、事業内容を2つの報告セグメントに分けております。当事業年度におけるセグメント別の状況は次のとおりであります。

 

① 受託製品

当該セグメントは、半導体製造装置関連、産業用制御機器および計測機器の開発・製造・販売を行っております。部材入手難の解消が進み、受注残の製品が完成、納品されましたが、一部で在庫調整が生じ、次期にずれ込んだことにより、全般的な産業用装置における設備投資は、想定を下回り推移いたしました。

この結果、売上高は8,108百万円前期比18.7%減)、主に、セグメント利益(営業利益)は1,444百万円前期比2.1%減)となりました。

 

当該セグメントの品目別売上の状況は次のとおりであります。

 

イ)半導体製造装置関連

当該品目は、半導体製造装置の制御部を提供しております。部材の供給難の解消が進み、受注残の製品の完成、納入が進みましたが、高額部材の価格転嫁分が減少したこと、一部で在庫調整が生じ、次期にずれ込んだことから、出荷全体として想定を下回り推移いたしました。

この結果、売上高は6,631百万円前期比25.7%減)となりました。

ロ)産業用制御機器

当該品目は、各種の産業用装置、社会インフラ関連の制御部の開発・製造を行いカスタマイズ製品として提供しております。受注残の消化が進んだことにより、検査装置関連の増加もあり堅調に推移いたしました。

この結果、売上高は1,026百万円前期比41.1%増)となりました。

ハ)計測機器

当該品目は、各種計測機器のコントローラ、通信機器の制御部の開発・製造を行いカスタマイズ製品として提供しております。一部顧客の増加もあり、ほぼ想定どおりで推移いたしました。

この結果、売上高は450百万円前期比42.8%増)となりました。

 

② 自社製品
当該セグメントは、組込みモジュール、画像処理モジュールおよび計測通信機器の開発・製造・販売と、自社製品関連商品の販売を行っております。部材入手難の解消が進み、受注残の製品が完成、納入されたことにより、堅調に推移いたしました。

この結果、売上高は4,471百万円前期比1.1%増)、セグメント利益(営業利益)は、主に、研究開発費の継続投資により1,387百万円前期比11.6%減)となりました

 

当該セグメントの品目別売上の状況は次のとおりであります。

 

イ)組込みモジュール

当該品目は、半導体製造装置、医療機器関連、FA全般、電力・通信関連向けに提供しております。医療機器関連および電力関連を中心に想定を上回り推移いたしました。

この結果、売上高は644百万円前期比23.5%増)となりました。

ロ)画像処理モジュール

当該品目は、FA全般、各種検査装置、液晶関連機器に提供しております。一部製品において入手難であった部材の入手が進み、受注残の一部が解消されたことで、全体として想定どおりで推移いたしました。

この結果、売上高は1,872百万円前期比4.1%減)となりました。

ハ)計測通信機器

当該品目は、超高速シリアル通信モジュール「GiGA CHANNEL」シリーズを提供しております。「GiGA CHANNEL」シリーズ関連の検査装置向けの受注は、全体として想定どおりで推移いたしました

この結果、売上高は1,820百万円前期比2.3%減)となりました。

ニ)自社製品関連商品

当該品目は、自社製品の販売促進とシステム販売による高付加価値化を図るため、ソフトウェアおよび付属の周辺機器を提供しております。自社製品関連商品は、概ね堅調に推移いたしました。

この結果、売上高は134百万円前期比62.8%増)となりました。

 

 

当社を取り巻く環境はあるものの、経営方針に基づき、経営資源を投入し、自社製品技術をベースにした提案型製品の増強等により受託製品の販売の増加を継続するとともに、自社製品においては、更なるシリーズ化を継続し、受託製品の複合化も含めての製品の差別化を行い、受託製品および自社製品の両輪にて、強固な経営基盤および事業基盤を確立いたします。

 

(2)財政状態の状況

① 資産

当事業年度末における資産は27,503百万円(前事業年度末比447百万円の減少)となりました。

流動資産につきましては、増加要因として、現金及び預金が45百万円、商品及び製品が353百万円、原材料及び貯蔵品が846百万円とそれぞれ増加しております。

なお、棚卸資産の増加のうち、原材料及び貯蔵品は、顧客に対する供給責任を果たすため原材料を購入し確保しておりますが、当社に関連深い半導体製造装置市場の設備投資需要の影響により、発注までの需給ギャップが生じており在庫が増加しております。

減少要因として、営業債権の減少となり、売掛金が119百万円、契約資産が40百万円、電子記録債権が36百万円とそれぞれ減少しております。

この結果、1,060百万円増加し18,843百万円となりました。

固定資産につきましては、主に、生産拠点である厚木事業所の増築工事が、2023年9月に完了し、工事完了に伴い生産ラインの再構築を行い、設備導入を行ったことによる増加(472百万円)となります。

また、建設仮勘定は、主に、新たに開発拠点を山梨県韮崎市にR&Dセンターとして設置するため建設を行っており、445百万円増加しております。

減少要因として、投資その他の資産が投資有価証券の時価変動の影響等により2.433百万円減少しております。

この結果、1,507百万円減少8,660百万円となりました。

② 負債

当事業年度末における負債は4,723百万円(前事業年度末比2,352百万円の減少)となりました。

流動負債につきましては、主に、支払手形が688百万円、買掛金が466百万円、未払法人税等が286百万円、未払消費税等が127百万円とそれぞれ減少しております。

この結果、1,544百万円減少し3,474百万円となりました。

固定負債につきましては、繰延税金負債が808百万円減少1,249百万円となりました。

③ 純資産

当事業年度末における純資産は22,780百万円(前事業年度末比1,905百万円の増加)となりました。

増加要因として、その他資本剰余金が12百万円、利益剰余金が3,717百万円それぞれ増加しております。

減少要因として、主に、その他有価証券評価差額金が1,825百万円減少しております。

また、当社が目標とする経営指標の自己資本比率(80%以上)は、82.8%(前事業年度末比8.1%の増加)となり、自己資本当期純利益率(9%以上)は、24.08%(前事業年度21.74%)となりました。

なお、自己資本当期純利益率が目標の9%以上を大きく上回っておりますが、これは、投資有価証券売却に伴う影響を受けております。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物は、6,738百万円(前事業年度末比45百万円の増加)となりました。

また、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計した、フリー・キャッシュ・フローは、当事業年度は 1,582百万円の増加(前事業年度は3,761百万円の増加)であります。

営業活動、投資活動および財務活動によるキャッシュ・フローの主な内容は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、2,354百万円の減少(前事業年度は454百万円の増加)となりました。

主に、投資有価証券売却益の計上、棚卸資産の増加、仕入債務の減少、法人税等の支払等の減少要因が、税引前当期純利益および減価償却費の計上、売上債権の減少といった増加要因を上回ったことによる減少となります

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、3,937百万円の増加(前事業年度は3,306百万円の増加)となりました。

これは、投資有価証券の売却による収入といった増加要因が、固定資産の取得等の減少要因を上回った事による増加となります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、1,537百万円の減少(前事業年度は565百万円の減少)となりました。

これは、配当金の支払による減少となります。

 

(4) 生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

     当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称及び詳細品目

金額(千円)

前期比(%)

受託製品

 

 

  半導体製造装置関連

4,918,743

△31.0

  産業用制御機器

746,580

37.5

  計測機器

380,287

58.7

  小計

6,045,611

△23.6

自社製品

 

 

  組込みモジュール

420,983

19.8

  画像処理モジュール

1,200,496

6.7

  計測通信機器

1,162,286

33.0

  小計

2,783,765

18.4

合計

8,829,377

△14.0

 

(注)1 金額は製造原価にて表示しております。

2 自社製品セグメントにおいては、記載した詳細品目に付属する周辺機器の提供として、自社製品関連商品の販売を行っておりますが、当該仕入実績は、② 商品仕入実績として別途記載しております。

 

② 商品仕入実績

     当事業年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称及び詳細品目

金額(千円)

前期比(%)

自社製品

 

 

  自社製品関連商品

14,050

△2.7

  小計

14,050

△2.7

合計

14,050

△2.7

 

(注) 金額は仕入価格にて表示しております。

 

③ 受注実績

     当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

及び詳細品目

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

受託製品

 

 

 

 

  半導体製造装置関連

805,036

△91.7

4,429,207

△56.8

  産業用制御機器

519,933

△57.8

775,806

△39.5

  計測機器

394,558

△3.3

205,288

△21.5

  小計

1,719,529

△84.9

5,410,301

△54.1

合計

1,719,529

△84.9

5,410,301

△54.1

 

(注)1 金額は販売価格にて表示しております。

2 自社製品セグメントにおいては、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

 

④ 販売実績

     当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称及び詳細品目

金額(千円)

前期比(%)

受託製品

 

 

  半導体製造装置関連

6,631,746

△25.7

  産業用制御機器

1,026,051

41.1

  計測機器

450,733

42.8

  小計

8,108,530

△18.7

自社製品

 

 

  組込みモジュール

644,054

23.5

  画像処理モジュール

1,872,713

△4.1

  計測通信機器

1,820,619

△2.3

  自社製品関連商品

134,363

62.8

  小計

4,471,750

1.1

合計

12,580,281

△12.6

 

(注)1 主な相手先別の販売実績及び総販売額に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

東京エレクトロン テクノロジーソリューションズ㈱

6,109,021

42.5

4,456,955

35.4

東京エレクトロン宮城㈱

2,350,512

16.3

1,788,211

14.2

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当項目に記載されている将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社の事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 (1)経営成績の状況」に記載したとおりですが、その他の事項としては以下のとおりであります。

 

 ① 売上原価、販売費及び一般管理費 

売上原価は、前事業年度10,167百万円に対し、当事業年度は1,678百万円減少し、8,489百万円となりました。

当事業年度における、売上高に対する売上原価の比率は、前事業年度70.7%に対して当事業年度は67.5%と3.2%減少となりました。これは、前事業年度は、高額部材の価格転嫁を行っておりましたが、部材入手難の解消が進み、受託製品と自社製品の売上に占める構成比率は、前事業年度は、それぞれ受託製品売上は69.3%、自社製品売上は30.7%、当事業年度はそれぞれ受託製品売上は64.5%、自社製品売上は35.5%と、自社製品売上割合が増加したことが要因となります。

販売費及び一般管理費は、前事業年度1,826百万円に対し、当事業年度は168百万円増加し、1,995百万円となりました。

これは、主に、新たな技術リソース獲得のための積極的な研究開発活動による、研究開発費の増加によるものとなります。また、当事業年度は、厚木事業所の増築工事(事務棟)に伴う備品等の購入も増加要因となっております。

当社が、目標とする経営指標の1つに、売上高経常利益率を23.0%以上と掲げております。実績としては、18.1%となっております。 

 

 

 ② 営業外損益 

営業外収益は、前事業年度98百万円に対し、当事業年度は80百万円増加し、178百万円となりました。主な要因としては、助成金収入の計上および受取配当金の受入による増加となります。

 

 ③ 特別損益 

特別利益は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 (1)経営成績の状況」に記載したとおり、投資有価証券売却益5,154百万円を計上しております。

特別損失は、固定資産除却損の計上となります。

 

 ④ 法人税等 

税効果会計適用後の法人税等は、前事業年度1,719百万円に対し、453百万円増加し、2,172百万円となりました。これは主に税引前当期純利益の増加に伴い、法人税、住民税及び事業税の増加によるものとなります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 

 

  ① キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 (3) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローの安定的な確保による自己資本を中心として財源を確保しております。

短期運転資金は自己資金を基本といたします。

なお、当社の資金の流動性につきましては、投資有価証券売却に伴う収入、棚卸資産の増加といった要因があり当事業年度の流動比率は542.4%と前事業年度の流動比率354.3%から増加しております。

 

  ② 資金需要 

当社の運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための材料の仕入、外注費の支払および製造費用並びに販売費及び一般管理費等によるものであります。また設備資金需要のうち主なものは、品質および生産並びに製造技術効率の向上のための設備投資であります。なお、当事業年度においては、新製品開発のため、研究開発に特化した拠点の建設投資を行っております。

 

   ③ 財務政策 

当社の主たる市場である半導体業界は、特有の急激な需要変動が生じやすいため、このような経営環境に対応すべく自己資本比率の向上により強固な財務体質の強化・維持に努めております。このような方針のもとに、現在、運転資金だけでなく設備投資資金における需要についても、内部資金にて対応しております。

 

 

(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これらの財務諸表の作成にあたって、期末日における資産・負債の報告金額および報告期間における収益・費用の報告金額に対して、影響を与える見積り、判断および仮定を行う必要があります。見積りおよび判断は、過去の実績や状況等に応じ合理的であると考えられる方法に基づいて行われております。当社の重要な会計方針のうち、見積り及び当該見積りに用いた仮定は以下のものであります。

 

 ① 棚卸資産 

当社は、棚卸資産については、滞留期間に応じて収益性の低下に基づく簿価切り下げ額の測定を行っており、将来、正味売却可能価額がさらに低下した場合または陳腐化資産が増加した場合、追加の評価減が必要となる場合があります。

なお、棚卸資産の評価に関しては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 ② 繰延税金資産

当社は、繰延税金資産については、将来の一定期間における課税所得の発生やタックス・プランニングに基づき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得見積りに依存しているため、その見積りの前提となる仮定に変更が生じた場合には、繰延税金資産の取り崩しが必要となり、当該期間における税金費用が増加する可能性があります。また、追加的に繰延税金資産の回収可能性があると判断された場合には、当該期間において税金費用が減少することになります。

 

 ③ 非上場株式の評価

非上場株式の評価については、投資時点の事業計画の達成可能性および財務体質並びに回復可能性等を総合的に勘案した結果、減損損失を計上した場合には、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ④ その他

開発業務における収益認識に関しては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社は、常に産業基盤の構築を支援するため、A’VALue+(お客様に“価値(Value)”を提供して“信頼”を獲得する。)の追求を基本理念とし、自社製品の開発の根源となるコアテクノロジーの活用、顧客ニーズに対応した自社製品より培った既存テクノロジーをベースとする製品開発、さらには、開発から生産までの一貫した生産技術の蓄積など、積極的な研究開発活動を行っております。現在、当社の研究開発は独自に行うとともに、他社と密接な協力・技術交流を行い、効率的な研究開発活動を行っております。また、当事業年度においても、製品開発だけではなく、地球環境に配慮し、EUの「RoHS(Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment:電機電子機器に含まれる特定有害物質使用制限指令)」対応を継続的に進めております。

当事業年度における研究開発費は、895百万円を投入しております。

なお、研究開発は、組込みモジュール及び画像処理モジュール並びに計測通信機器の自社製品に係る技術開発に投入しており、受託開発は自社製品開発の開発成果等をもとに提供しております。

このため、報告セグメント別の研究開発費は、受託製品 427百万円、自社製品 467百万円であります。

 

当事業年度における各品目別の研究開発の状況および研究開発に要した金額は次のとおりであります。

 

〔組込みモジュール〕

インターコネクト(装置、デバイス間インターフェース)で重要なテクノロジーとなる高速シリアル汎用バスのPCI Expressに注力した開発および関連OS(Operating System)のソフトウェア開発を進めております。

また、高速アナログモジュールとして、産業機器分野や医療機器分野等の計測や測定で必要とされている、より高速性を追求したアナログ-デジタル変換モジュールの開発を進めております。

当事業年度は、最大サンプリングレート 6.4GSPS 1ch又は3.2GSPS 2chに対応した高速ADモジュール「APX-5640」を開発いたしました。また、継続的にパワフルな画像処理向け小型処理PCの他、4ch、200kSPS アナログ入力可能なエッジ端末向け製品を研究開発しております。

IP関連としましては、PCI Express Gen4への対応や、高速転送や処理に対応した各種IPの開発を進めております。

ソフトウェア関連といたしましては、上記開発製品へのWindows、Linux等、各種OS対応のドライバ開発を継続的に進めております。

なお、当該品目における研究開発に要した金額は、212百万円であります。

 

〔画像処理モジュール〕

外観検査装置、測定機器や各種製造装置等の産業用機械に視覚機能を持たせるための機能モジュールである、画像処理モジュール、近赤外線カメラおよび関連ソフトウェアの開発を進めております。

当事業年度は、カメラに関しては、ソニー社InGaAs イメージセンサー「IMX992 / IMX993」を搭載した近赤外線カメラ 「ABA-052VIR / ABA-032VIR」の他、近赤外4バンドの分光が可能なマルチスペクトカメラ「AMS-013VIRLF2」を開発いたしました。「AMS-013VIRLF2」は、一度のスキャンで1200nmから1600nmまでの近赤外4バンドの画像撮像が可能な為、特に食品分野の検査システムへの採用が期待できます。画像入力モジュールでは、カメラ6ch接続可能な「APX-3666」、大容量カメラデータに対しデイジーチェーン方式で分配処理に対応した「APX-36124-DF」を開発いたしました。

ソフトウェア関連といたしましては、新規開発製品へのWindows、Linuxへのドライバ対応を継続的に進めております。併せて、画像ライブラリーの開発を継続的に進めております。

なお、当該品目における研究開発に要した金額は、645百万円であります。

 

〔計測通信機器〕

光ファイバーケーブルを使用した独自の技術である高速シリアルネットワーク用の高速通信モジュール「GiGA CHANNEL」シリーズに加え「GiGA CONNECTION」シリーズの開発を進めております。

当事業年度は、200Gbpsの高速伝送に対応した製品「APX-71002」を開発いたしました。また、ラインナップが揃った「GiGA CHANNEL」および「GiGA CONNECTION」技術をベースとした受託開発案件を多数受託しました。

なお、当該品目における研究開発に要した金額は、37百万円であります。