当項目に記載されている将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
このような企業理念・基本方針のもと、具体的な中期経営方針は次のとおりです。
・サステナビリティを推進し、社会の持続可能な発展に貢献する
・攻めの経営による積極投資と固定費最適化を行い、更なる体質強化
・市場の潜在ニーズを先取りし、お客様の装置の進化に貢献する
・新分野及び海外展開でビジネスを確立し、新たな成長の柱を構築する
・品質・納期・コスト・環境対応で業界トップの生産体制を実現
・政策保有株式の縮減等を含め、資本効率を改善する
当社の経営戦略については、業界変革のなか新たな経営環境での飛躍を目指すため、次の7項目を掲げております。
健全かつ公正な企業活動で、社会などからの信頼を高める。
フラットな組織と適材適所で、より強い企業に変革。
差別化ポイントを『顧客の競争力向上への貢献』と定義し、自社製品をベースに、提案型受託開発で競争力と付加価値を最大化。
新製品への経営資源積極投入と戦略パートナーとの協業により、早期ビジネス化。
効率的な営業組織への進化と戦略パートナーとのコラボレーションによるソリューション提案で、新規分野の開拓と付加価値向上を実現する。
進化し続ける革新工場の確立。
戦略的生産計画で管理の効率化を図り、製品競争力強化に貢献する。
高付加価値と高品質を両立させた製品群で、顧客満足を獲得する。
また、目標とする経営指標につきましては、(3)に記載しているとおりとなります。
(注)第64期及び第65期の自己資本当期純利益率が、第63期と比較して大幅に増加しておりますが、これは、投資有価証券売却に伴う影響を受けております。
優先的に対処すべき課題は、以下のとおりであります。
2.製品開発の差別化と新たな分野の製品開発
自社製品は、「組込みモジュール」、「画像処理モジュール」、「計測通信機器」に分類しておりますが、既存の要素技術の進化とともに、非可視光カメラのシリーズ化、CoaXPress製品のシリーズ化、更なる高性能・高速性の追求により、主力製品の拡張を目指してまいります。また、新分野の開拓とともに、さまざまな検査要求への対応、IoT・ビッグデータへの提案を行うことで、お客様の競争力の向上に資する新たな価値を提供してまいります。
3.顧客ニーズを満足する生産体制の更なる充実、新ビジネスモデル生産体制の構築
当社の主要顧客の一つである半導体製造装置関係の顧客は、業界特有の急激な需要変動を繰り返しており、加えて多品種変量生産でもあります。そのような状況下で、安定供給、コストダウン、生産リードタイム短縮、品質向上および環境負荷削減のご要求に応えることが求められております。そのため、研究開発拠点の本格稼働により潜在的顧客ニーズに備えるとともに、多角化した調達リスクに対応するために戦略購買による部材確保、製品構成の変化に伴う製造技術力の向上等に努め、生産体制を構築、進化してまいります。
4.サステナビリティの推進
当社は、サステナビリティ基本方針を定め、長期的な企業価値向上と持続的成長に向けた取組みを強化しており、「お客様に価値を提供する製品づくり」、「事業を通じた環境問題への取組み」、「働く環境と社会への取組み」、「ガバナンスの強化」の4つのテーマに基づき、それぞれの重点課題を特定し、当社の基本姿勢を示し、取組んでおります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりです。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在の当社の判断に基づくものです。
当社は、お客様に“価値”を提供し“信頼”を獲得する(A’VALue)を企業理念とし、シンプル&スピードを基本方針として、全社すべてのレベルにおいて業務の効率化と迅速な意思決定を追求しています。
このような企業理念・基本方針のもと、当社は中期経営方針において「サステナビリティを推進し、社会の持続的な発展に貢献する」ことを掲げており、サステナビリティ基本方針を定め、長期的な企業価値向上と持続的成長に向けた取組みを強化しております。
サステナビリティ基本方針は、「お客様に価値を提供する製品づくり」、「事業を通じた環境問題への取組み」、「働く環境と社会への取組み」、「ガバナンスの強化」の4つに分類されます。
以下2つの項目は、特に重要な領域として重点的に取り組んでおります。
① 気候変動等の環境対応について
「事業を通じた環境問題の取組み」は、当社サステナビリティ基本方針の中でも特に重要なテーマとして位置づけております。当社は、気候変動をはじめとする環境課題を「経営の重要課題」として認識し、持続可能な社会の実現と、次世代への健全な環境の継承に貢献することを目指しております。
2025年4月には環境方針を改訂し、法規制や国際基準への適合はもとより、製品・サービスのライフサイクルを通じた環境負荷の低減、資源の有効活用、化学物質によるリスクの最小化、情報開示の推進など、包括的な環境保全方針を策定しています。
また、同方針に基づき、2025年度の環境目標としては、Scope1・2で2023年度比12%以上、Scope3で同7.2%以上の温室効果ガス(GHG)排出量の削減を設定しています。(Scope1:自社施設からの直接排出、Scope2:購入電力などからの間接排出、Scope3:サプライチェーン由来排出を指します。)
さらに中長期の目標として、2030年度までにScope1・2で42.0%、Scope3で25.2%の削減を目指すほか、2040年度にはネットゼロの実現(再生可能エネルギー導入率100%)を目標に掲げ、段階的な達成に向けた取組みを推進しています。これらに加え、廃棄物削減やRoHS対応強化などにも取り組んでおります。2040年のネットゼロ達成に向けて、開発・製造の各領域での具体的な検討と実行を進めております。
今後も環境と事業成長の両立を図り、社会と調和した企業活動を推進してまいります。
② 人的資本について
「働く環境と社会への取組み」は、当社の持続的成長に不可欠な人的資本を強化するための重要な要素と位置づけております。当社では、社員一人ひとりが専門性を最大限に発揮し、価値創出に貢献できる環境を整備することを経営戦略と連動した取組みとして推進しています。
2025年4月には「人権方針」、「調達方針」、「サステナブル調達ガイドライン」、「責任ある鉱物調達方針」を策定・公開し、企業活動およびサプライチェーンにおける人権尊重の方針を明確に示しました。これに先立ち、同年3月には一般職を対象とした「ビジネスと人権」研修を実施し、受講率97%を達成しています。
当社は、採用の強化、離職率の低下、心身の健康確保を図りつつ、継続的な教育・対話を通じて、人材の専門性の伸長とエンゲージメント向上を目指しています。公平な処遇、ダイバーシティ&インクルージョン、ワークライフバランスを重視した職場環境づくりを通じて、持続可能な価値提供を担うプロフェッショナル集団としての基盤を強化してまいります。
① 気候変動等の環境対応について
気候変動に関しては、2025年度に改訂した環境方針および環境目標に基づき、全社的な環境マネジメントを推進しています。ISO14001に基づく環境管理体制は品質保証部が中心となって運営しており、制度の維持・社内展開・外部審査対応などの機能を担っています。一方で、環境目標の策定・進捗管理・法規制対応・経営層への報告などは管理本部ESG推進グループが担当しており、戦略的・実務的な環境推進体制の分担を明確化しています。
さらに、Scope1〜3の温室効果ガス(GHG)排出量の削減をはじめとする脱炭素施策の実行に向け、2024年度より開発・製造の各領域において「ファクトリーチェーン分科会」および「テクノロジーチェーン分科会」を新設し、組織横断的な推進体制を整備しています。
② 人的資本について
人的資本に関しては、経営戦略と連動した人材戦略のもと、取締役会がその方向性と実行状況を監督しています。2025年度には、「人権方針」、「調達方針」などの基礎方針を制定・公開しました。これらの取組みに関する施策・進捗状況については、管理本部内の会議体等を通じて共有・協議し、必要に応じて取締役会へ報告する体制を整えています。
① 気候変動等の環境対応について
当社では、気候変動を含む環境課題を、事業に影響を与える重要なリスクのひとつとして認識しています。2025年度に改訂した環境方針および環境目標に基づき、温室効果ガス(GHG)排出量の削減や法規制への対応を通じて、環境リスクの低減に取り組んでいます。
環境に関するリスク評価および管理は、ISO14001に基づくマネジメントプロセスの一環として、品質保証部を中心に実施されています。また、管理本部ESG推進グループが各部門と連携し、Scope1〜3の温室効果ガス(GHG)排出量に関するリスク要因の特定と目標管理、進捗分析を行い、経営層に適宜報告する体制を整備しています。必要に応じて取締役会にも報告を行っています。
中期的な視点では、開発・製造現場において具体的な温室効果ガス(GHG)排出量の削減施策を検討・実行するため、組織横断の分科会を活用し、将来の法規制・市場要請への対応力強化を図っています。これらの取組については、経営会議での報告・協議を予定しており、必要に応じて取締役会への展開を検討しています。
② 人的資本について
制度見直しや課題抽出にあたっては、従業員アンケートやヒアリングを通じた意見の収集を実施しており、必要に応じて施策の修正や新設を行っています。また、代表取締役社長を統括安全衛生管理者とする安全衛生委員会を設置し、職場における危険源の特定、法令順守状況の確認、健康リスクの低減に向けた定期的な調査・検討を行っています。
こうしたリスク管理の枠組みにより、従業員の安全・健康確保と人的資本の維持・強化を図り、事業継続性の確保につなげています。
① 気候変動等の環境対応について
当社は、気候変動をはじめとする環境課題を、経営の重要テーマと位置づけ、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を両立させるべく、環境経営の推進に取り組んでいます。2021年11月には、取締役会の決議により「サステナビリティ基本方針」を制定し、以降は中期経営方針・戦略とも連動する形で、「環境方針」、「環境目標」等を定め、製品開発・事業活動全体を通じた環境対応を進めています。
当社の戦略の柱は、以下の3点に集約されます。
・環境負荷低減型の製品開発と生産の推進
法令で指定された化学物質の適正な管理を徹底し、環境規制や顧客ニーズに対応した製品設計・製造を進めています。これにより、製品競争力を維持しつつ、環境規制による供給停止リスクや売上減少リスクの低減を図っています。
・資源の有効活用と地域・地球環境保全への貢献
省エネルギー、生産効率化、再資源化等を通じて、事業活動全体の環境負荷を継続的に低減するとともに、地域との共生を目的にした環境保全活動(河川清掃・省電力運用・太陽光発電導入等)も推進しています。エネルギーコストの上昇リスクへの対応も視野に入れています。
・外部環境変化への柔軟な対応
将来的な法制度・市場要求の変化に備え、Scope1~3の温室効果ガス(GHG)排出量の削減目標の設定・見直しや、組織横断の分科会を通じた脱炭素施策の検討・実行を進めています。これらにより、事業機会の創出と環境リスクの緩和を両立しています。
こうした戦略の方向性や取組状況の詳細は、以下の
環境方針
https://www.avaldata.co.jp/csr/environment/policy
環境マネジメント
https://www.avaldata.co.jp/csr/environment/management
環境保全活動
https://www.avaldata.co.jp/csr/environment/activity
脱炭素化の推進
https://www.avaldata.co.jp/csr/environment/decarbonation
汚染防止と生態系への配慮
https://www.avaldata.co.jp/csr/environment/consideration
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
② 人的資本について
当社は、個々の高度な専門性を最大限に発揮し、組織としてお客様への価値提供を最大化することを目指しています。このため、公平な処遇の実現、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、ワークライフバランスの確保、働きやすい職場環境の整備、健康経営の推進に取り組んでいます。
これらを支えるため、中期経営方針・戦略と連動し、人材育成と社内環境整備に関する方針を以下のとおり定めています。
(人材育成に関する方針)
公平な処遇、多様性の尊重、働き方の柔軟性確保をサステナビリティ基本方針の一つとして位置づけています。不公正な処遇の防止と、多様な人材が能力を最大限に発揮できる環境の整備を推進しています。
(社内環境整備に関する方針)
フラットな組織づくりと適材適所の推進を基本とし、企業変革と従業員の自立・協調・成長を両立させる環境整備を進めています。
誰もが活き活きと働き、成長できる職場づくりを目指し、組織力の強化と働きがいの向上を図っています。
(具体的な取り組み)
・健康促進
定期健康診断受診率100%の徹底、有所見者へのフォローを実施し、従業員の健康管理を推進しています。
・メンタルヘルス推進
ストレスチェック、社内研修、情報配信により、セルフケア・ラインケアを促進しています。
・ワークライフバランス推進
長時間労働防止、有給休暇取得推進、ノー残業デー設定により、健康保持と生活の質向上を図っています。
これらの取組みを通じて、社員の成長とともに組織の利益・価値の向上を目指し、競争力を強化することで企業価値の持続的向上につなげてまいります。
① 気候変動等の環境対応について
当社は、品質・納期・コスト・環境対応の各面で業界トップクラスの生産体制を確立することを目標に掲げています。この達成に向け、脱炭素社会の実現に貢献する責務を果たすべく、自社から排出する温室効果ガス(GHG)削減に取り組んでいます。
特に、将来的に排出量が多くなる事業活動においては、排出削減への圧力が高まるリスクを認識しており、自社工場での一貫した開発・製造・出荷体制を活かし、製品不良による再作業を減少させることで、KPI(納入製造良品率99.99%以上)を目標に、品質向上と環境負荷低減の両立を図っています。
また、当社は、ISO9001に基づく品質マネジメントシステムを構築し、全社的な活動を推進しています。加えて、ISO14001に基づく環境マネジメントシステムを構築し、温室効果ガス(GHG)排出量の削減、資源循環、化学物質管理、歩留まり改善など、事業活動全体を通じた環境負荷低減を推進しています。
上記「戦略」にて記載した活動や取り組みを考慮し当社での主な指標及び目標、実績は以下のとおりです。
今後も、Scope1・Scope2・Scope3の区分に応じた排出源ごとの管理を徹底し、国内外の法規制や顧客要請の動向にも柔軟に対応しつつ、日本政府の掲げる2050年カーボンニュートラル実現目標と整合させながら、継続的な排出削減活動を推進してまいります。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標
② 人的資本の多様性・包括性および働きやすさについて
当社は、人材育成と働きがいのある職場づくりを、持続的な企業経営の基盤と位置づけています。
社員が自らの能力を最大限に発揮できるよう、階層・職種に応じた育成、OJT・OFF-JTによる研修プログラム、階層別研修を推進しています。
2024年4月導入の新人事制度では、マネジメント・スペシャリスト両コースを設け、個々の適性に応じたキャリア形成支援を進め、経営戦略と連動した階層別要件整理や中長期目標設定を通じて計画的な成長支援に取り組んでいます。
また、ダイバーシティ&インクルージョンの推進に注力し、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定、採用者に占める女性比率20%以上を目標とし、2024年度は23.1%を達成しました。直近3年間(2021年度~2023年度)では、男性7名、女性4名が育児休業を取得し、女性の取得率・復帰率は100%です。正社員の平均継続勤務年数は男性16.2年、女性16.3年、有給休暇取得率78.4%、平均所定外労働時間月19.9時間、女性社員比率18.9%、女性管理職比率11.8%、障がい者雇用率3.35%と、働きやすさや多様性の指標でも成果を上げています。
さらに、「プラチナくるみん」「えるぼし」「健康経営優良法人2025」などの外部認定を取得し、両立支援・健康経営の分野でも高い水準の取組みを実践しています。
詳細については、
https://www.avaldata.co.jp/csr/social/staff
今後も、多様な人材が活躍できる職場環境を整備し、社員の成長と企業の持続的な競争力の向上に努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
半導体製造装置関連は当社の重要な事業分野であり、半導体市況の急激な変動は当社業績に最も大きな影響力があります。したがって、予期せぬ市場規模の大幅な減少によって、受注減・在庫増加等により当社の業績およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
当社の自社製品は組込みモジュール・画像処理モジュール・計測通信機器の3種類の製品群があります。今後も開発の選択と集中および3製品群の複合技術による製品の差別化を図り、更にマーケットシェアの拡大と高収益の追求に取り組みます。また、受託製品に関しても自社製品の技術リソースを利用した提案営業を積極的に進め、顧客の課題解決とコストダウン要求に応え、あわせて当社の付加価値の改善を図っています。しかしながら、年々価格競争が激化しており、中期的には当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は組込み・画像処理・高速通信技術をコア技術として最先端の技術を創造すると同時に市場からの新たな要求に対しタイムリーに製品化を進め、製品の差別化と高い利益率の確保に取り組んできました。更には、顧客の装置の進化に貢献する新製品開発のため、研究開発に特化した新拠点において要素技術の研究開発を推進しております。しかしながら、要素技術に関しては新規開発の要素も多く新製品投入時期の遅れ要因となることもあり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の製品は、半導体を中心とする高性能な部材が使用されており、その調達先は代替が困難なケースがあることから、調達先との良好な関係の構築、維持及び推進を図るとともに、不具合が発生した場合には速やかに対応できる体制を準備しておりますが、これらの調達先に一時的な供給遅延や品質問題等が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、営業取引関係の維持および発展等を目的として、投資有価証券を保有しております。なお、銘柄数及び貸借対照表計上額等につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(5)株式の保有状況」に記載しておりますが、上場および非上場を問わず保有しております。
上場株式につきましては、株式市場等の動向により多額の減損損失を計上した場合に、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
非上場株式につきましては、新規の事業へ取り組みを行っている企業が多く、投資時点の事業計画の達成可能性及び財務体質並びに回収可能性等を総合的に勘案した結果、減損損失を計上した場合に、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は顧客満足を満たす品質確保のためにいち早くISO9001の認証取得を含む品質保証体制を確立すると同時にサービス・サポート体制の充実を図り、多くの顧客の信頼に応えてきました。しかしながら、当社製品が先端技術を利用することによるリスクを含み、予期せぬ不具合品が発生する等により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 人材獲得、流出による影響
当社はフラットな組織と適材適所により、変化に強い組織づくりを目指すとともに、健康優良企業や次世代育成への取り組みを行い、働きやすい職場環境の創出に努めております。更に、人的資本にかかる基本方針の制定、制度の見直しや課題抽出など継続した改善に努めておりますが、採用環境のありかたは大きく変化し複雑化しており、充分な人材が確保できず、または人材の流出により、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 外国為替変動による影響
現在、当社の海外への直接の売上比率は概ね1%ですが、顧客の大半は、海外の売上依存度が高い状況であります。また、部材の調達においても外貨建ての取引があります。したがって、急激な為替変動は売上高・納入価格面等のリスク要因となり、間接的に、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 災害等による影響
大地震・火災・台風洪水等の自然災害や各種感染症への対策には充分な注意を払い、従業員の安全はもとより、顧客への供給責任、地域社会への貢献を骨子とする事業継続計画(BCP)を策定し、積極的な取組みを行っております。しかしながら、当社の開発・製造拠点および調達先等に壊滅的な損害が生じた場合、操業が中断し、生産や出荷に遅延が生じるおそれがあり、これにより売上が減少し、事業の復旧に多大な費用が生じた場合、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当事業年度の末日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度におけるわが国経済は、個人消費や設備投資が持ち直し、景気は一部に足踏みがみられるものの緩やかに回復しております。一方で世界経済では、米国の政権交代に伴う経済・外交政策の影響や、中国経済の停滞の継続に伴う影響、地政学的リスクの高まりなどが、海外景気の下押しリスクとなり、先行きが不透明な状況となっております。
当社に関連深い半導体製造装置市場は、AIサーバ向けGPU関連への設備投資が堅調に推移しておりますが、需要の停滞により踊り場を迎える分野も見られ、全体的な回復には、なお一定程度の時間を要するとみられます。
このような経営環境のもと、当社では、引続き中長期での需要の増加に備えた必要な先行投資を行いつつ、お客様の装置の付加価値向上に資する製品の提供に努めてまいりましたが、FA分野における回復の遅れと一部顧客の在庫調整による需要減少の継続により、売上高が減少し、想定を下回りました。また、成長投資積極化の中での当該トップライン低下の影響により、営業利益、経常利益及び当期純利益についても減少し、前年同期比で減少いたしました。
この結果、当事業年度における売上高は10,980百万円(前期比12.7%減)、営業利益は1,420百万円(前期比32.2%減)、経常利益は1,535百万円(前期比32.5%減)、当期純利益は1,137百万円(前期比78.4%減)となりました。
なお、当期純利益は前期比で78.4%減少しております。
これは、売上高、営業利益、経常利益の減少要因に加え、前事業年度は、政策保有株式の見直しによる資本効率の向上を図るため、投資有価証券の一部を売却したことにより多額の売却益を計上していることが要因となります。
当該セグメントは、半導体製造装置関連、産業用制御機器および計測機器の開発・製造・販売を行っております。部材入手難の解消が進み、受注残の製品が完成、納品されましたが、一部顧客で在庫調整が長期化しており、全般的な産業用装置における設備投資は回復に至らず、前年同期比で減少いたしました。
この結果、売上高は7,161百万円(前期比11.7%減)、セグメント利益(営業利益)は1,131百万円(前期比21.6%減)となりました。
イ)半導体製造装置関連
この結果、売上高は5,763百万円(前期比13.1%減)となりました。
ロ)産業用制御機器
この結果、売上高は1,015百万円(前期比1.0%減)となりました。
ハ)計測機器
当該品目は、各種計測機器のコントローラ、通信機器の制御部の開発・製造を行いカスタマイズ製品として提供しております。一部顧客の需給調整があり、前年同期比で減少いたしました。
この結果、売上高は381百万円(前期比15.3%減)となりました。
この結果、売上高は3,819百万円(前期比14.6%減)、セグメント利益(営業利益)は971百万円(前期比30.0%減)となりました。
イ)組込みモジュール
この結果、売上高は617百万円(前期比4.1%減)となりました。
ロ)画像処理モジュール
この結果、売上高は1,624百万円(前期比13.2%減)となりました。
ハ)計測通信機器
当該品目は、超高速シリアル通信モジュール「GiGA CHANNEL」シリーズを提供しております。「GiGA CHANNEL」シリーズ関連の検査装置向けの受注は、一部顧客で在庫調整が生じ、全体として前年同期比で減少いたしました。
この結果、売上高は1,463百万円(前期比19.6%減)となりました。
ニ)自社製品関連商品
この結果、売上高は112百万円(前期比16.0%減)となりました。
当社を取り巻く環境はあるものの、経営方針に基づき、経営資源を投入し、自社製品技術をベースにした提案型製品の増強等により受託製品の販売の増加を継続するとともに、自社製品においては、更なるシリーズ化を継続し、受託製品の複合化も含めての製品の差別化を行い、受託製品および自社製品の両輪にて、強固な経営基盤および事業基盤を確立いたします。
当事業年度末における資産は22,236百万円(前事業年度末比5,267百万円の減少)となりました。
流動資産につきましては、増加要因として、主に、電子記録債権が183百万円、有価証券が99百万円、未収還付法人税等が802百万円とそれぞれ増加しております。
減少要因として、現金及び預金が2,913百万円、売掛金が304百万円、前払費用が11百万円、未収入金が33百万円、そして棚卸資産(商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品)が491百万円とそれぞれ減少しております。
この結果、2,670百万円減少し16,173百万円となりました。
固定資産につきましては、主に、建物が905百万円、構築物が20百万円増加しております。これは、新たに開発拠点として、山梨R&Dセンターの建設工事が完了したことに伴い、固定資産の計上を行ったことによります。
減少要因として、山梨R&Dセンターの建設工事が完了したことに伴い、建設仮勘定が597百万円、投資有価証券が時価変動の影響等により2,967百万円とそれぞれ減少しております。
この結果、2,596百万円減少し6,063百万円となりました。
当事業年度末における負債は2,177百万円(前事業年度末比2,546百万円の減少)となりました。
流動負債につきましては、主に、支払手形が27百万円、材料等の購入が減少したことから買掛金が320百万円、未払金が20百万円、未払費用が12百万円、未払法人税等が1,332百万円、そして賞与引当金が103百万円とそれぞれ減少しております。
この結果、1,818百万円減少し1,655百万円となりました。
固定負債につきましては、繰延税金負債が727百万円減少し522百万円となりました。
当事業年度末における純資産は20,059百万円(前事業年度末比2,721百万円の減少)となりました。
減少要因として、その他資本剰余金が113百万円、利益剰余金が828百万円、自己株式が218百万円、その他有価証券評価差額金が1,997百万円減少しております。
また、当社が目標とする経営指標の自己資本比率(80%以上)は、90.2%(前事業年度末比7.4%の増加)となり、自己資本当期純利益率(9%以上)は、5.31%(前事業年度24.08%)となりました。
なお、自己株式の減少は、自己株式の処分に加えて、30万株の自己株式を消却したことが主な要因となります。
当事業年度末における現金及び現金同等物は、3,824百万円(前事業年度末と比べ2,913百万円の減少)となりました。
また、当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは、 1,039百万円の減少(前事業年度は1,582百万円の増加)であります。
営業活動、投資活動および財務活動によるキャッシュ・フローの主な内容は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、522百万円の減少(前事業年度は2,354百万円の減少)となりました。
主に、仕入債務の減少、法人税等の支払等の減少要因が、税引前当期純利益および減価償却費の計上、棚卸資産の減少等の増加要因を上回ったことによる減少となります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、516百万円の減少(前事業年度は3,937百万円の増加)となりました。
主に、固定資産の取得による減少となります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,874百万円の減少(前事業年度は1,537百万円の減少)となりました。
これは、配当金の支払による減少となります。
① 生産実績
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は製造原価にて表示しております。
2 自社製品セグメントにおいては、記載した詳細品目に付属する周辺機器の提供として、自社製品関連商品の販売を行っておりますが、当該仕入実績は、② 商品仕入実績として別途記載しております。
② 商品仕入実績
当事業年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は仕入価格にて表示しております。
③ 受注実績
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は販売価格にて表示しております。
2 自社製品セグメントにおいては、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
④ 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 主な相手先別の販売実績及び総販売額に対する割合は、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当項目に記載されている将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社の事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 (1)経営成績の状況」に記載したとおりですが、その他の事項としては以下のとおりであります。
売上原価は、前事業年度8,489百万円から当事業年度は838百万円減少し、7,651百万円となりました。
当事業年度における、売上高に対する売上原価の比率は、前事業年度67.5%から当事業年度は69.7%と2.2%増加となりました。これは、受託製品と自社製品の売上に占める構成比率は、前事業年度は、それぞれ受託製品売上は64.5%、自社製品売上は35.5%、当事業年度はそれぞれ受託製品売上は65.2%、自社製品売上は34.8%と、受託製品売上割合が増加したことが要因となります。
販売費及び一般管理費は、前事業年度1,995百万円から当事業年度は86百万円減少し、1,908百万円となりました。これは主に租税公課の減少によるものです。
当社が、目標とする経営指標の1つに、売上高経常利益率を20.5%以上と掲げております。当事業年度の実績は、14.0%にとどまりました。
営業外収益は、前事業年度178百万円から当事業年度は64百万円減少し、114百万円となりました。主な要因としては、受取配当金および助成金収入の計上が前事業年度に比べて減少したことによるものです。
特別利益は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 (1)経営成績の状況」に記載したとおり、投資有価証券売却益73百万円を計上しております。
税効果会計適用後の法人税等は、前事業年度2,172百万円から当事業年度は1,701百万円減少し、470百万円となりました。これは主に税引前当期純利益の減少に伴い、法人税、住民税及び事業税の減少したことによるものとなります。
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 (3) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローの安定的な確保による自己資本を中心として財源を確保しております。
短期運転資金は自己資金を基本といたします。
なお、当社の資金の流動性につきましては、流動性比率が、前事業年度542.4%から当事業年度は977.2%と434.8%増加いたしました。
この主な要因は、未収還付法人税等の計上増加による流動資産の増加と、買掛金及び未払法人税等の減少に伴う流動負債の減少によるものです。
当社の運転資金需要のうち主な内容は、製品製造のための材料の購入、外注費を含む製造費用並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
また設備資金需要の主なものは、品質向上、生産性の向上、並びに製造技術効率化を目的とした設備投資によるものです。
当社の主たる市場である半導体業界は、特有の急激な需要変動が生じやすいため、このような経営環境に対応すべく自己資本比率の向上により強固な財務体質の強化・維持に努めております。このような方針のもとに、現在、運転資金及び設備投資資金については、自己資金にて対応しております。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これらの財務諸表の作成にあたって、期末日における資産・負債の報告金額および報告期間における収益・費用の報告金額に対して、影響を与える見積り、判断および仮定を行う必要があります。見積りおよび判断は、過去の実績や状況等に応じ合理的であると考えられる方法に基づいて行われております。当社の重要な会計方針のうち、見積り及び当該見積りに用いた仮定は以下のものであります。
当社は、棚卸資産については、滞留期間に応じて収益性の低下に基づく簿価切り下げ額の測定を行っており、将来、正味売却可能価額がさらに低下した場合または陳腐化資産が増加した場合、追加の評価減が必要となる場合があります。
なお、棚卸資産の評価に関しては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社は、繰延税金資産については、将来の一定期間における課税所得の発生やタックス・プランニングに基づき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得見積りに依存しているため、その見積りの前提となる仮定に変更が生じた場合には、繰延税金資産の取り崩しが必要となり、当該期間における税金費用が増加する可能性があります。また、追加的に繰延税金資産の回収可能性があると判断された場合には、当該期間において税金費用が減少することになります。
非上場株式の評価については、投資時点の事業計画の達成可能性および財務体質並びに回復可能性等を総合的に勘案した結果、減損損失を計上した場合には、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ その他
開発業務における収益認識に関しては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当社は、常に産業基盤の構築を支援するため、A’VALue+(お客様に“価値(Value)”を提供して“信頼”を獲得する。)の追求を基本理念とし、自社製品の開発の根源となるコアテクノロジーの活用、顧客ニーズに対応した自社製品より培った既存テクノロジーをベースとする製品開発、さらには、開発から生産までの一貫した生産技術の蓄積など、積極的な研究開発活動を行っております。現在、当社の研究開発は独自に行うとともに、当事業年度に開設いたしました山梨R&Dセンターにおいても研究開発を実施しております。また、他社と密接な協力・技術交流を行い、効率的な研究開発活動を行っております。また、当事業年度においても、製品開発だけではなく、地球環境に配慮し、EUの「RoHS(Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment:電機電子機器に含まれる特定有害物質使用制限指令)」対応を継続的に進めております。
当事業年度における研究開発費は、
なお、研究開発は、組込みモジュール及び画像処理モジュール並びに計測通信機器の自社製品に係る技術開発に投入しており、受託開発は自社製品開発の開発成果等をもとに提供しております。
このため、報告セグメント別の研究開発費は、受託製品
当事業年度における各品目別の研究開発の状況および研究開発に要した金額は次のとおりであります。
〔組込みモジュール〕
インターコネクト(装置、デバイス間インターフェース)で重要なテクノロジーとなる高速シリアル汎用バスのPCI Expressに注力した開発および関連OS(Operating System)のソフトウェア開発を進めております。
また、高速アナログモジュールとして、産業機器分野や医療機器分野等の計測や測定で必要とされている、より高速、多チャンネルのアナログ-デジタル変換モジュールの開発を進めております。
当事業年度は、CPUモジュールに関しては、低消費電力タイプのCompactPCI CPUモジュール「ACP-146」を開発いたしました。また、継続的にパワフルな画像処理向け小型処理PCの他、4ch、200kSPS アナログ入力可能なエッジ端末向け製品を研究開発しております。
IP関連としましては、PCI Express Gen4への対応や、高速転送や処理に対応した各種IPの開発を進めております。
ソフトウェア関連といたしましては、上記開発製品へのWindows、Linux等、各種OS対応のドライバ開発を継続的に進めております。
なお、当該品目における研究開発に要した金額は、208百万円であります。
〔画像処理モジュール〕
外観検査装置、測定機器や各種製造装置等の産業用機械に視覚機能を持たせるための機能モジュールである、画像処理モジュール、近赤外線カメラおよび関連ソフトウェアの開発を進めております。
当事業年度は、カメラに関しては、ソニー社InGaAs イメージセンサー「IMX992」を搭載した可視領域から近赤外領域まで最大1680バンドの分光を取得可能なハイパースペクトルカメラ「AHS-052VIR」を開発いたしました。画像入力モジュールでは、産業用機器向けとして業界で初めてソニー社「GVIF2」インターフェースを採用した「APX-3701」および、最大10Gbpsの「GigE Vision」規格に対応した「APX-34102」、「CoaXPress」対応のラインナップ拡充として「APX-36124-Q / APX-36121」を開発いたしました。
ソフトウェア関連といたしましては、新規開発製品へのWindows、Linuxへのドライバ対応を継続的に進めております。併せて、画像ライブラリーの開発を継続的に進めております。
なお、当該品目における研究開発に要した金額は、638百万円であります。
〔計測通信機器〕
光ファイバーケーブルを使用した独自の技術である高速シリアルネットワーク用の高速通信モジュール「GiGA CHANNEL」シリーズに加え「GiGA CONNECTION」シリーズの開発を進めております。
当事業年度は、WiFiを使った同期無線モジュールを研究開発しております。また、ラインナップが揃った「GiGA CHANNEL」および「GiGA CONNECTION」技術をベースとした受託開発案件を多数受託しました。
なお、当該品目における研究開発に要した金額は、50百万円であります。