第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

 また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 世界経済は、エネルギー価格の高止まり、各国経済の減速見通しや不安定な為替相場など、依然として先行きが不透明な状況が続いております。また、トランプ政権による関税政策は、米国とその他の国との貿易において影響を及ぼし、一部のマーケットで停滞が懸念されております。さらに、米国における減税法案の成立を受けた脱炭素政策の見直しにより、脱炭素関連への投資の不確実性が増大しております。こうした背景から、短期的には一部の企業が設備投資に対して慎重になる可能性がありますが、中長期的には脱炭素化の流れが続くと考えられ、引き続き企業の設備投資の拡大が期待されております。

 当社は、再生可能エネルギーの普及や電力インフラの高度化に伴い、エネルギーの効率的な利用や管理を支援する計測技術への需要が拡大すると考えております。また、自動車の電動化の加速に伴い、モーターやインバーター、バッテリーなどの性能向上に加え、電源の高効率化、小型化、軽量化へのニーズがさらに高まると予測しております。これらを背景に、当社グループがビジネスの対象とするコンポーネント、バッテリー、エネルギー、モビリティといった各マーケットにおいては、中長期的に設備投資環境が堅調に推移すると見込んでおります。

 当中間連結会計期間におきましては、受注高及び売上高は前年同期を上回りましたが、各マーケットで当初に予測したほどの需要には至らず、当初の計画は下回りました。

 顧客の所在地別では、中国での需要の回復が顕著であったものの、日本や韓国を中心にその他の地域における需要に力強さが見られませんでした。

 当社グループは、ビジョン2030の実現及び中期経営計画の達成に向けて、「HIOKIの不可欠性を付加した商品開発」、「マーケット軸でのビジネス開発」、「GHGプロトコルにおけるカーボンニュートラル達成」を掲げ、取り組みを進めてまいりました。

 開発面では、EVのメンテナンス市場向けに使いやすさと通信機能をアップグレードした新型抵抗計や、太陽光発電設備の安全点検に対応した直流高電圧プローブ等を新たに市場に投入いたしました。また、発電所や鉄道など、社会の基盤となるインフラ設備の保全と、トラブルを未然に防ぐための異常解析に用いられるメモリハイコーダを新たに市場に投入いたしました。さらに、首都圏近郊で研究開発を志向する人材の確保と、勤務地の選択肢拡大により柔軟に働ける環境づくりを目的に、神奈川県横浜市に横浜R&Dセンターを開設いたしました。

 販売面では、需要が力強さを欠き、受注高が当初の計画を下回る見通しとなったことから、国内外の拠点において業績回復策の立案と確実な実行を進めてまいりました。同時に、グローバルでの効率的かつ積極的なマーケティング活動を推進するため、プロダクト&マーケティング本部の一部の機能をシンガポールへ移転し、中核拠点として人材の採用活動を進めてまいりました。また、各国企業の進出や投資が加速しており、今後さらなる発展が期待されるベトナムに、当社として11か国目となる販売拠点を設立し、2025年6月に稼働を開始いたしました。ベトナムにおけるHIOKIブランドの浸透を図るとともに、販売網の構築、アフターサービスの充実を通じて顧客の拡大に繋げてまいります。

 生産面では、本社工場や坂城工場、上田第二工場で構成される生産体制を最適化し、棚卸資産回転率の向上による営業キャッシュ・フローの改善を推進してまいりました。また、グローバルアフターセールス事業の強化や全社的なサプライチェーン戦略の高度化を推進する観点から、2025年6月1日付で組織体制の見直しを行いました。これらの取り組みにより、さらなる収益性や生産性の向上に努めてまいります。

 管理面では、さらなるグローバル展開に備え、総務本部の出先機関として、人事、財務、法務などのコーポレート業務をより機動的に推進するとともに、勤務地の選択肢拡大による多様な人材の確保を目的に、首都圏における新たな拠点として東京オフィスを開設いたしました(東京都千代田区に開設済の販売拠点 東京SEOに併設)。

 また、コーポレート・ガバナンス強化の観点から、2025年2月に開催した定時株主総会において社外取締役2名を増員し、取締役会に占める社外取締役の比率が過半数を超えることとなりました。

 利益面では、売上高総利益率の改善は進みましたが、販売量の減少により販売費及び一般管理費の増加分を補うだけの売上高は確保できず、営業利益、経常利益ともに前年同期を下回りました。

 以上により、当中間連結会計期間における業績は、売上高195億38百万円(前年同期比4.7%増)、営業利益32億93百万円(同1.5%減)、経常利益32億73百万円(同9.4%減)、親会社株主に帰属する中間純利益22億97百万円(同12.3%減)となりました。

 当中間連結会計期間末における総資産は、現金及び預金が減少したため、前連結会計年度末と比較して23億37百万円減少し、458億22百万円になりました。

 負債は、賞与引当金及び未払法人税等が減少したため、前連結会計年度末と比較して31億97百万円減少し、51億41百万円になりました。

 純資産は、利益剰余金が増加したため、前連結会計年度末と比較して8億60百万円増加し、406億80百万円になりました。

 

 当社グループにおける製品別の受注高及び売上高の実績は、次のとおりであります。

 

① 受注実績

 

 

前中間連結会計期間

(自 2024年1月1日

至 2024年6月30日)

当中間連結会計期間

(自 2025年1月1日

至 2025年6月30日)

増減

金額

(千円)

構成比

(%)

金額

(千円)

構成比

(%)

金額

(千円)

増減率

(%)

自動試験装置

1,493,397

7.7

1,397,382

7.1

△96,014

△6.4

記録装置

2,904,074

14.9

3,055,575

15.5

151,501

5.2

電子測定器

9,760,261

50.1

9,952,110

50.6

191,848

2.0

現場測定器

4,271,937

21.9

4,185,287

21.3

△86,650

△2.0

周辺装置他

1,035,731

5.3

1,082,671

5.5

46,940

4.5

合計

19,465,401

100.0

19,673,026

100.0

207,624

1.1

 

② 売上実績

 

 

前中間連結会計期間

(自 2024年1月1日

至 2024年6月30日)

当中間連結会計期間

(自 2025年1月1日

至 2025年6月30日)

増減

金額

(千円)

構成比

(%)

金額

(千円)

構成比

(%)

金額

(千円)

増減率

(%)

自動試験装置

1,697,927

9.1

1,759,583

9.0

61,656

3.6

記録装置

2,844,093

15.2

2,909,428

14.9

65,334

2.3

電子測定器

9,207,971

49.3

9,535,962

48.8

327,990

3.6

現場測定器

3,940,375

21.1

4,222,523

21.6

282,148

7.2

周辺装置他

971,835

5.2

1,111,237

5.7

139,401

14.3

合計

18,662,203

100.0

19,538,735

100.0

876,531

4.7

 

 また、顧客の所在地別の受注高及び売上高の実績は、次のとおりであります。

 当中間連結会計期間の海外売上高は、123億3百万円(前年同期比8.3%増)、海外売上高比率は63.0%になりました。

 

① 受注実績

 

 

 

 

 

前中間連結会計期間

(自 2024年1月1日

至 2024年6月30日)

当中間連結会計期間

(自 2025年1月1日

至 2025年6月30日)

増減

金額

(千円)

構成比

(%)

金額

(千円)

構成比

(%)

金額

(千円)

増減率

(%)

国  内

7,456,735

38.3

7,340,547

37.3

△116,188

△1.6

海外

アジア

8,827,397

45.3

9,037,966

45.9

210,568

2.4

アメリカ

1,562,764

8.0

1,683,873

8.6

121,108

7.7

ヨーロッパ

1,232,441

6.3

1,204,327

6.1

△28,114

△2.3

その他の地域

386,063

2.0

406,312

2.1

20,249

5.2

12,008,666

61.7

12,332,479

62.7

323,813

2.7

合  計

19,465,401

100.0

19,673,026

100.0

207,624

1.1

(注)1.国又は地域の区分は、地理的近接度によっております。

2.各区分に属する主な国又は地域

(1)アジア ……………… 中国・韓国・台湾・東南アジア・インド

(2)アメリカ …………… 北米・中南米

(3)ヨーロッパ ………… ドイツ・フランス・イタリア・イギリス

(4)その他の地域 ……… 中近東・オーストラリア・アフリカ

3.受注高は顧客の所在地を基礎とし、分類しております。

 

② 売上実績

 

 

 

 

 

前中間連結会計期間

(自 2024年1月1日

至 2024年6月30日)

当中間連結会計期間

(自 2025年1月1日

至 2025年6月30日)

増減

金額

(千円)

構成比

(%)

金額

(千円)

構成比

(%)

金額

(千円)

増減率

(%)

国  内

7,300,540

39.1

7,235,719

37.0

△64,821

△0.9

海外

アジア

8,319,929

44.6

9,113,507

46.6

793,577

9.5

アメリカ

1,605,946

8.6

1,600,144

8.2

△5,801

△0.4

ヨーロッパ

1,187,478

6.4

1,277,934

6.5

90,455

7.6

その他の地域

248,307

1.3

311,429

1.6

63,121

25.4

11,361,662

60.9

12,303,015

63.0

941,353

8.3

合  計

18,662,203

100.0

19,538,735

100.0

876,531

4.7

(注)1.国又は地域の区分は、地理的近接度によっております。

2.各区分に属する主な国又は地域

(1)アジア ……………… 中国・韓国・台湾・東南アジア・インド

(2)アメリカ …………… 北米・中南米

(3)ヨーロッパ ………… ドイツ・フランス・イタリア・イギリス

(4)その他の地域 ……… 中近東・オーストラリア・アフリカ

3.売上高は顧客の所在地を基礎とし、分類しております。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して18億51百万円減少し、146億56百万円になりました。

 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、22億34百万円(前年同期比34.2%増)の収入になりました。主な増加要因は、税金等調整前中間純利益32億71百万円、減価償却費8億36百万円、売上債権の減少額6億56百万円及び棚卸資産の減少額4億46百万円であります。主な減少要因は、賞与引当金の減少額14億29百万円、法人税等の支払額10億15百万円及び未払費用の減少額4億38百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、24億75百万円の支出(前年同期比17.4%増)になりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額等により、13億52百万円の支出(前年同期比10.1%

増)になりました。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

 当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、17億35百万円であります。また、研究開発関連の設備投資金額も含めますと、18億90百万円であります。

 なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。