名称 株式会社Lemon
所在地 福岡県福岡市東区香椎台一丁目8番5号
普通株式
3 【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】
当社は、2025年8月8日開催の当社取締役会において、下記「(2) 意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。
なお、上記取締役会決議は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載の方法により決議されております。
本「(2) 意見の根拠及び理由」の記載のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。
公開買付者は、本公開買付けによる当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)の取得及び所有等を目的として、2025年6月30日付で設立された株式会社であり、本書提出日現在、当社の取締役である田代雅也氏(以下「田代氏」といいます。)及び当社の代表取締役社長かつ当社の第2位株主(2025年3月31日現在。以下、株主順位の記載について同じです。)である渡邉正禮氏(所有株式数:149,699株、所有割合(注1):9.77%)(以下「渡邉正禮氏」といい、田代氏と総称して「田代氏ら」といいます。)がその発行済株式の全てを所有しているとのことです。なお、本書提出日現在、公開買付者は、当社株式を所有していないとのことです。
(注1) 「所有割合」とは、当社が2025年8月8日に公表した「令和8年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」に記載された2025年6月30日現在の発行済株式総数(1,552,500株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(20,503株)を控除した株式数(1,531,997株、以下「本基準株式数」といいます。)に対する割合をいい、小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の記載について同じとします。
今般、公開買付者は、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)スタンダード市場に上場している当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式を除きます。)を取得し、当社株式を非公開化するための一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として本公開買付けを実施することを決定したとのことです。なお、本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)(注2)に該当し、田代氏らは、本取引後も継続して当社の経営にあたることを予定しているとのことです。
(注2) 「マネジメント・バイアウト(MBO)」とは、一般に、買収対象会社の経営陣が、買収資金の全部又は一部を出資して、買収対象会社の事業の継続を前提として買収対象会社の株式を取得する取引をいいます。
本公開買付けの実施にあたり、公開買付者は、2025年8月8日付で、渡邉正禮氏との間で、その所有する当社株式149,699株(所有割合:9.77%)の全てについて本公開買付けに応募する旨を口頭で合意(以下「本応募合意(渡邉正禮氏)」といいます。)しているとのことです。
また、公開買付者は、本公開買付けの実施にあたり、2025年8月8日付で、(ⅰ)渡邉正禮氏及びその親族(渡邉正禮氏の兄弟姉妹、兄弟姉妹の配偶者、兄弟姉妹の子等)が議決権の全てを所有する事業会社であり当社の筆頭株主である株式会社三桂製作所(以下「三桂製作所」といいます。)との間で、その所有する当社株式517,000株(所有割合:33.75%)の全てについて本公開買付けへ応募する旨の契約(以下「本応募契約(三桂製作所)」といいます。)を、(ⅱ)当社の第3位株主である三桂興産株式会社(以下「三桂興産」といいます。なお、同社は三桂製作所の完全子会社であり、電線保護管付属品製造を行っている会社とのことです。)との間で、その所有する当社株式67,100株(所有割合:4.38%)の全てについて本公開買付けへ応募する旨の契約(以下「本応募契約(三桂興産)」といいます。)を、(ⅲ)当社の株主である富士電化工業株式会社(以下「富士電化工業」といいます。なお、同社は三桂製作所の完全子会社であり、電線保護管のメッキを行っている会社とのことです。)との間で、その所有する当社株式15,900株(所有割合:1.04%)の全てについて本公開買付けへ応募する旨の契約(以下「本応募契約(富士電化工業)」といいます。)を、(ⅳ)当社の株主である三桂精機株式会社(以下「三桂精機」といい、三桂製作所、三桂興産、富士電化工業及び三桂精機を総称して「本応募株主(三桂製作所等)」といいます。なお、三桂精機は三桂製作所の完全子会社であり、電線保護管付属品製造を行っている会社とのことです。)との間で、その所有する当社株式10,500株(所有割合:0.69%)の全てについて本公開買付けへ応募する旨の契約(以下「本応募契約(三桂精機)」といいます。)を締結し、本公開買付けが開始された場合、本応募株主(三桂製作所等)が所有する当社株式610,500株(所有割合:39.85%)の全てについて本公開買付けに応募する旨を合意しているとのことです。
加えて、公開買付者は、本公開買付けの実施にあたり、2025年8月8日付で、当社の第4位株主である池田公子氏(所有株式数:60,266株、所有割合:3.93%)及び湯藤大恵子氏(所有株式数:60,266株、所有割合:3.93%)、当社の第6位株主である篠原美枝子氏(所有株式数:58,466株、所有割合:3.82%)、当社の第10位株主である渡邉恒子氏(所有株式数:43,900株、所有割合:2.87%)を含む渡邉正禮氏の親族6名(以下「渡邉正禮氏親族」といいます。なお、渡邉正禮氏親族の構成は、渡邉正禮氏の父(当社の創業者)の配偶者、渡邉正禮氏の兄弟姉妹、その配偶者、渡邉正禮氏の配偶者とのことです。)との間で、その所有する当社株式250,898株(所有割合:16.38%)の全てについて本公開買付けに応募する旨を口頭で合意(以下「本応募合意(渡邉正禮氏親族)」といいます。)しているとのことです。これらの合意の詳細については、下記「(7) 本公開買付けに係る重要な合意に係る事項」をご参照ください。また、渡邉正禮氏、本応募株主(三桂製作所等)及び渡邉正禮氏親族の概要については下表をご参照ください。
公開買付者は、本公開買付けにおいて1,021,400株(所有割合:66.67%)を買付予定数の下限として設定しており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の数の合計が買付予定数の下限(1,021,400株)に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。他方、上記のとおり、公開買付者は、当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式を除きます。)を取得することにより、当社株式を非公開化することを企図しているため、買付予定数の上限は設定しておらず、応募株券等の数の合計が買付予定数の下限(1,021,400株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。なお、買付予定数の下限(1,021,400株)については、本基準株式数(1,531,997株)に係る議決権の数である15,319個に3分の2を乗じた数(10,213個、小数点以下を切り上げ)に当社の単元株式数(100株)1単元に係る議決権の数を加えた数(10,214個)に当社の単元株式数(100株)を乗じた株式数(1,021,400株)としているとのことです。これは、公開買付者が、本取引において、当社株式を非公開化することを目的としているところ、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の株式併合の手続を実施する際には、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。)第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされることから、本取引の実施を確実に遂行すべく、本公開買付け後に公開買付者が当社の総株主の総議決権数の3分の2以上を所有することで、当該要件を満たすことができるように設定したものであるとのことです。
公開買付者は、本公開買付けにより当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後に、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、当社の株主を公開買付者のみとし、当社株式を非公開化するための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実施することを予定しているとのことです。
また、公開買付者は、本公開買付けを含む本取引に要する資金を、株式会社みずほ銀行(以下「みずほ銀行」といいます。)からの25億円を限度とした借入れ(以下「本銀行融資」といいます。)により賄うことを予定しており、本公開買付けの成立等を条件として、本公開買付けに係る決済の開始日の前営業日までに本銀行融資を受けることを予定しているとのことです。なお、本銀行融資に係る融資条件の詳細は、みずほ銀行と別途協議の上、本銀行融資に係る融資契約において定めることとされておりますが、本銀行融資に係る融資契約では、三桂製作所の保有する預金債権が担保に供されることが予定されているとのことです。
当社は、1945年4月に、航空機用セレン及び亜酸化銅の半導体整流素子並びにこれを利用した整流電源装置の製造販売を目的として設立された後、家庭電化器具、各種マイクロモーター等の開発、製造販売を行い、現在は、電子写真プリンタ、複写機、プロッタ及びスキャナ等の大判型デジタル機器の開発及び製造販売を行っております。
また、当社株式については、1991年9月に社団法人日本証券業協会(以下「日本証券業協会」といいます。)に店頭登録銘柄として株式公開し、2004年12月には株式会社ジャスダック証券取引所(以下「ジャスダック証券取引所」といいます。)が創設されたことに伴い、日本証券業協会への株式店頭登録を取り消し、ジャスダック証券取引所に株式を上場しました。その後、2010年4月に行われたジャスダック証券取引所と株式会社大阪証券取引所(以下「大阪証券取引所」といいます。)の合併に伴い大阪証券取引所(JASDAQ市場)に上場、2013年7月に行われた東京証券取引所と大阪証券取引所の統合に伴い、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)市場に上場し、本書提出日現在は2022年4月に行われた東京証券取引所の市場区分見直しに伴い東京証券取引所スタンダード市場に移行しております。
当社及び当社の関係会社(子会社6社、関連会社2社、その他の関係会社1社及びその他の関係会社の子会社2社により構成。以下「当社グループ」といいます。)は、本書提出日現在、画像情報機器(大判型デジタル機器等)の製造販売を主な事業内容とし、さらに各事業に関連する研究及びその他のサービス等の事業活動を展開しており、画像情報機器事業の内容は次のとおりです。
(ア)大判型デジタル機器
大判型デジタル機器(電子写真プリンタ、複写機、プロッタ及びスキャナ等)は、当社が製造販売するほか、当社の連結子会社である台湾三桂股份有限公司が製造し、台湾省内での販売以外は全て当社で仕入れて販売しております。部品の一部については当社が仕入れて台湾三桂股份有限公司に支給しております。また、大判型デジタル機器のソフトウエアは、当社の連結子会社であるKIP America, Inc.より仕入れております。なお、当社グループの製品の一部は子会社であるKIP America, Inc.、KIP Business Solution Korea Ltd.及び関連会社であるKIP(HONG KONG)LTD.ほかを通じて販売されております。
(イ)その他
その他は可撓電線管(注1)で、関係会社である新潟三桂株式会社が製造し、三桂製作所が販売しております。
(注1) 「可撓電線管」とは、電線やケーブルを保護するために使用される、金属又は合成樹脂製のフレキシブルな(可撓性のある)管のことをいいます。
当社グループは、自然・環境を大切にとの理念に基づき「Nature Mind Technology」の標語のもと、環境に与える影響を考慮した製品づくりを基本方針とし、独自のKIP電子写真方式(注2)による画像情報機器及びその周辺機器に経営資源を集中させ、不動産業界、建築・設計業界、広告・デザイン業界、教育機関、公共施設のお客様の作業の効率化や生産性向上の側面で少しでもお役に立ちたいという精神で事業に取り組んでおります。
(注2) 「KIP電子写真方式」とは、光導電現象を利用して感光体上に静電的な電荷像を形成し、帯電微粒子を付着させて可視像とする方式をいいます。
一方、田代氏らは、当社がこれまで複合機を中心とした事業を展開する中で、長期的な市場縮小傾向に加え、ロシア・ウクライナ情勢の影響による資源価格・エネルギーコストの高騰、並びに円安による原材料・輸送費の上昇等により、製造原価の大幅な増加に直面していると認識しているとのことです。加えて、当社の最新の主力商品であるKIP700シリーズ(注3)をはじめとする主力製品は一定の販売実績を上げているものの、競合他社とのコスト競争等の理由から販売価格への十分な転嫁が難しい状況にあり、特に北米市場における競争環境の激化により米国向けの販売では利益率の維持が困難な状況が続いていると認識しているとのことです。加えてトランプ政権下で導入された関税措置において、仮に将来的な追加関税や規制変更がなされた場合には、価格転嫁の限界と当社のコスト負担増大リスクが一層高まるものと予想しているとのことです。
(注3) 「KIPシリーズ」とは、当社が製造販売している大判型の複合機・プリンタのシリーズ(製品群)の名称のことをいいます。
また、当社の事業は、半導体部品を中心とした主要部品の生産中止や入手難の影響を受けやすく、グローバル供給網の不確実性や在庫調整機能の限界といった構造的な課題へのサプライチェーンマネジメント全体の改善による対処も避けられない状況であると認識しているとのことです。
さらに、印刷業界におけるペーパーレス化が進み、紙出力での需要が減少している中、今後も継続的に需要が見込まれている産業用プリント分野等への事業多角化に取り組まれ、昇華転写プリンタやセラミック用途向け製品等にて一定の成果が出始めていると認識している一方で、業界における技術革新への対応としては積極的な投資が求められており、新分野への本格的な成長を軌道に乗せるためには、研究開発費・設備投資・市場開拓がより一層必要になると考えているとのことです。
このような状況の下、田代氏らは、当社が今後さらに持続的な成長を目指すためには、短期的な業績評価に左右されることなく、変化に柔軟かつ迅速に対応できる経営体制を構築し、中長期的な企業価値向上を最優先とした戦略推進が不可欠であると考えるに至ったとのことです。具体的には、田代氏らは、当社がこのような事業環境の変化に的確に対応できる事業基盤を構築するためには、以下のような施策を実施する必要があると考えているとのことです。
(ア)製品及び技術開発の推進
厳しい市場競争を勝ち抜くためには、当社における主力製品の競争力強化と、新規事業の早期収益化が喫緊の課題であると考えているとのことです。主力製品であるKIP700シリーズにおきましては、堅調な販売実績を踏まえ、安定的な市場供給体制の構築を進めるとともに、収益性の更なる向上に向けた取組みを進めることが必要であると考えているとのことです。一方で、新規事業として注力している産業用プリンタ、昇華転写プリンタ、セラミック用途向けデカールプリンタといった成長分野においては、コア技術の応用による製品差別化を図りつつ、技術面の高度化及び新規マーケティング戦略の展開を通じ、着実な収益化を実現していくことが重要と考えているとのことです。
加えて、電子写真技術とデジタル技術の融合を基盤とした中長期的な技術戦略の下、オープンイノベーションを志向した繊維、セラミック、建材分野等の各業界の企業との協業体制を構築することが、今後の競争優位性確立に資すると認識しているとのことです。例えば、顧客の工程やシステムに合わせたデザイン・印刷・加工に至る一貫したソリューションを提示する等、他社にはない電子写真技術と産業用途の組み合わせという独自の強みを再定義し、パッケージ印刷、テキスタイル印刷、建材用印刷といった多様な用途に対応した製品・技術・提案を再構築することで、新たな価値の創出が可能になると確信しているとのことです。
さらに、これらの技術戦略を着実に推進するためには、産業用プリンタ分野を中心とした技術者の計画的な育成が不可欠と認識しているとのことです。社内研修プログラムの整備をはじめとする人材育成施策を通じて、開発力強化に資する人的基盤の早期構築を進めていくことが重要であると考えているとのことです。
(イ)業務フローの効率化・最適化
当社が今後更なる競争力を高めていくためには、業務フロー全体の抜本的な見直しが必要であると考えているとのことです。具体的には、製造原価の削減に向けた設計の見直しや、部材調達の最適化、生産ラインの効率化、さらには生産と販売の連携強化による在庫管理の最適化や納期短縮といった取組みを進めることが必要であると認識しているとのことです。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した業務改善の推進も重要であると考えているとのことです。例えば、生産現場のIoT化や、品質管理の見える化により、現場の状況をリアルタイムで把握できるようにすることで、収益性の向上が期待できると考えているとのことです。
さらに、製造・営業・開発といった部門ごとに人材スキルマップを策定し、従業員のスキルレベルを可視化することで、適材適所の人員配置が可能となり、業務の効率化が進むと考えているとのことです。加えて、DXを担う人材の早期育成を含め、人的資本の再活性化にも注力する必要があると認識しているとのことです。
(ウ)コスト競争力の強化を目的とした生産工場への投資
当社の生産工程全体の再構築と効率化に向けた戦略的な設備投資も不可欠と考えているとのことです。これにより、製品品質及び歩留まり率の向上、リードタイムの短縮といった改善効果が期待でき、工場全体の収益性向上につながるものと考えているとのことです。具体的には、取引先からのオーダーに対して最小限の在庫水準で柔軟かつ迅速に対応できる生産体制を整備することが急務と考えているとのことです。そのために、受注データをクラウドで一元管理し、関係部門間の情報共有を強化する体制を構築し、さらに、自動化設備の導入による製造工程の効率化・省力化も併せて推進することで、全体最適を実現できると考えているとのことです。
(エ)販売体制及び基盤の強化
製品販売から業界別ソリューション提供への転換を図るにあたっては、ターゲット市場の明確化と重点的な開拓が不可欠であると考えているとのことです。具体的には、製造業、流通業、建築業、サービス業、教育機関、官公庁といった各分野において、用途に特化した製品及びサービスの展開を推進する必要があると認識しているとのことです。
加えて、オンライン展示会等のWebを活用したマーケティング施策を強化し、顧客ニーズを即時に反映できる情報基盤を構築することで、生産・販売部門間の連携体制の強化を通じて、販売活動の効率化とスケール拡大を実現できると考えているとのことです。
また、これらの(イ)~(エ)を通じたサプライチェーンマネジメント全体の改善によって、グローバル供給網の不確実性や在庫調整機能の限界といった構造的な課題に対処することが重要であると考えているとのことです。
しかしながら、田代氏らは、上記の各施策の実施により事業構造の改革を推進していくにあたっては、経営資源を短期集中的に投下する必要があり、多額の先行投資が発生することから、一時的に収益及びキャッシュ・フローが悪化する可能性が否定できず、短期的には当社の業績や財務状況に大きな影響を与えるリスクがあり、当社が上場を維持したまま各施策を実施した場合には、資本市場から十分な評価を得ることができず、当社株式の株価が下落し、当社の少数株主の皆様に対して悪影響を与えてしまう可能性があると考えているとのことです。
また、田代氏らとしては、当社は、2022年4月に行われた東京証券取引所の市場区分の再編に伴い、スタンダード市場を選択しましたが、その移行基準日である2021年6月30日において、当該市場の上場維持基準を充たしていないことから、2021年12月17日に「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」(2025年6月27日付「上場維持基準への適合に向けた計画(改善期間入り)について」による変更を含み、以下「本適合計画書」といいます。)を公表し、当該市場の上場維持基準として流通株式時価総額10億円以上という基準が設けられている中、2027年3月末までに上場維持基準を充たすために各種取組を進める計画であることを公表されておりますが、当社が公表した2025年6月27日付「上場維持基準への適合に向けた計画(改善期間入り)について」に記載のとおり、2025年3月末時点における当社の流通株式時価総額は3.99億円と当該基準を満たしておらず、2026年3月31日まで1年間の改善期間に入っており、当該改善期間内に上場維持基準へ適合できなかったときには、監理銘柄・整理銘柄に指定された後、2027年10月1日に上場廃止となる可能性があるとのことです。このような中、田代氏らとしては、本取引を行うことによって、当社の少数株主の皆様に当社株式の上場廃止に伴う不利益が生じることを回避しつつ、当社株式の売却機会を提供することが、当社の少数株主の皆様にとっての合理的な選択肢であると考えているとのことです。
さらに、田代氏らとしては、当社は1991年9月の株式公開以来、知名度の向上による優れた人材の確保、社会的な信用力の向上等、上場会社として様々なメリットを享受してきたと認識しており、非公開化によりこれらのメリットに影響を生じさせる可能性があると考えられるとのことです。もっとも、当社は今後、必要に応じて間接金融を活用して資金を調達する予定であり、エクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性は当面見込まれないこと、及び、当社グループに蓄積された事業上のノウハウ、当社グループの知名度や取引先に対する信用力は既に確保できていることから、上場を維持する必要性や上場を維持することにより享受できるメリットは相対的に低下している状況にあると考えているとのことです。
これに加え、田代氏らは、近年のコーポレートガバナンス・コードの改訂、資本市場に対する規制の強化等により、金融商品取引法上の有価証券報告書やコーポレート・ガバナンスに関する報告書等を通じたステークホルダーに対する追加的かつ継続的な情報開示のための対応事項が年々増加傾向にあり、上場会社として株式上場を維持するために必要な人的・金銭的コストの負担も増加傾向にあること、及びこれらのコストが当社の経営推進上の大きな負担となる可能性も否定できないことから、当社株式の上場を維持することの意義を見出しにくい状況にあると考えているとのことです。
上記の事情を勘案し、田代氏らは、短期的な業績やキャッシュ・フローの悪化等による当社株式の株価の下落、及び将来的な上場廃止により当社の少数株主の皆様が株式売却の機会を失うリスクを回避しつつ、中長期的な視点で当社の事業構造の改革を推進する経営体制を構築することができるという点で、当社株式を非公開化することが最も有効な手段であると考えているとのことです。
また、田代氏らは、当社株式の非公開化にあたっては、第三者ではなく、当社の事業内容を熟知している田代氏らが主体となってマネジメント・バイアウト(MBO)を実施し、当社の所有と経営を一体化させた上で上記施策を迅速かつ果敢に実行していくことが、当社にとって最善であると考えているとのことです。
以上のような検討を踏まえ、田代氏らは、2025年1月下旬、本取引を通じてマネジメント・バイアウト(MBO)の手法により当社株式を非公開化することが、当社の企業価値向上及び当社の少数株主の皆様の利益の確保の観点から最も有効な手段であると考えるに至ったとのことです。
そこで、田代氏らは、2025年5月14日、当社に対し、本取引を行うことを提案する旨の提案書(以下「本提案書」といいます。)を提出するとともに、本取引の実施に向けた協議・交渉の申入れを行ったとのことです。その後、田代氏らは、2025年5月20日、当社から、特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。なお、本特別委員会は、公開買付者、田代氏ら、本応募株主(三桂製作所等)、渡邉正禮氏親族(以下、これらを総称して「公開買付者ら」といいます。)及び当社並びに本公開買付けの成否から独立した、中本晴邦氏(当社社外取締役)、秋元弘光氏(当社社外監査役)及び片岡良平氏(弁護士、T&K法律事務所)の3名によって構成されております。本特別委員会の具体的な活動内容等については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。)を設置し、本取引の実施に向けた協議・交渉に応じる旨の連絡を受けたとのことです。これを受け、田代氏らは、2025年6月中旬、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)及び本取引の諸条件等についてさらに具体的な検討を開始したとのことです。そして、田代氏らは、2025年6月30日に、本公開買付けによる当社株式の取得及び所有等を目的として、公開買付者を設立するとともに、当社が開示している財務情報等の資料等に基づく当社の事業及び財務の状況を多面的かつ総合的に分析し、また、当社の市場株価の動向を踏まえた本公開買付けに対する応募株式数の見通し等を総合的に勘案し、2025年7月3日に、当社に対して、本公開買付価格を850円(提案日の前営業日である2025年7月2日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値667円に対して27.44%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアム率の計算において同じです。)、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値663円(円未満を四捨五入。以下、終値単純平均値において同じです。)に対して28.21%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値669円に対して27.06%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値718円に対して18.38%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の初回の価格提案を行ったとのことです。これに対して、公開買付者は、2025年7月7日に、本特別委員会より、当該価格提案は、過去一定期間における当社株式の取引状況、当社の第三者算定機関による当社株式の株式価値の試算結果及び過去に公表された類似事例のプレミアム水準等を踏まえ、当社の企業価値及び株主利益に鑑み不十分であるとして、本公開買付価格を再考するよう要請する旨の回答を受けたとのことです。本特別委員会からの要請を受け、公開買付者は、本公開買付価格について、慎重に検討を進め、2025年7月10日に、当社に対して、本公開買付価格を900円(提案日の前営業日である2025年7月9日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値660円に対して36.36%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値660円に対して36.36%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値670円に対して34.33%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値714円に対して26.05%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の再提案を行ったとのことです。これに対して、公開買付者は、2025年7月14日に、本特別委員会より、当該再提案した本公開買付価格は、過去一定期間における当社株式の取引状況、当社の第三者算定機関による当社株式の株式価値の試算結果及び過去に公表された類似事例のプレミアム水準等を踏まえ、依然として当社の企業価値及び株主利益に鑑み不十分であるとして、本公開買付価格を再考するよう要請する旨の回答を受けたとのことです。かかる要請を受け、公開買付者は、再度本公開買付価格について慎重に検討を進め、2025年7月17日に、当社に対して、本公開買付価格を930円(提案日の前営業日である2025年7月16日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値666円に対して39.64%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値660円に対して40.91%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値670円に対して38.81%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値710円に対して30.99%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の再提案を行ったとのことです。これに対して、公開買付者は、2025年7月22日に、本特別委員会より、当該再提案した本公開買付価格は、過去一定期間における当社株式の取引状況、当社の第三者算定機関による当社株式の株式価値の試算結果及び過去に公表された類似事例のプレミアム水準等を踏まえ、依然として当社の企業価値及び株主利益に鑑み十分とはいえないとして、本公開買付価格を1,050円に引き上げることを要請する旨の回答を受けたとのことです。かかる要請を受け、公開買付者は、再度本公開買付価格について、慎重に検討を進め、2025年7月24日に、当社に対して、本公開買付価格を940円(提案日の前々営業日である2025年7月22日(提案日の前営業日である2025年7月23日は当社株式の約定がなかったため、前々営業日を基準としているとのことです。)の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値662円に対して41.99%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値661円に対して42.21%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値669円に対して40.51%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値707円に対して32.96%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の再提案を行ったとのことです。これに対して、公開買付者は、2025年7月28日に、本特別委員会より、当該再提案した本公開買付価格は、過去一定期間における当社株式の取引状況、当社の第三者算定機関による当社株式の株式価値の試算結果及び過去に公表された類似事例のプレミアム水準等を踏まえ、依然として当社の企業価値及び株主利益に鑑み十分とはいえないとして、本公開買付価格を1,000円に引き上げることを要請する旨の回答を受けたとのことです。かかる要請を受け、公開買付者は、再度本公開買付価格について慎重に検討を重ねた結果、2025年7月31日に、当社に対して、本特別委員会の意見及び当社の少数株主(一般株主)の利益に最大限の配慮をしたうえで公開買付者として検討できる最大限の価格として、本公開買付価格を950円(提案日の前営業日である2025年7月30日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値707円に対して34.37%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値666円に対して42.64%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値667円に対して42.43%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値701円に対して35.52%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の提案を行ったとのことです。これに対して、公開買付者は、2025年8月4日に、本特別委員会より、当該再提案した本公開買付価格は、当社の一般株主の利益への一定の配慮がみられると捉えているものの、一般株主の利益に最大限配慮する観点から、本公開買付価格を990円に引き上げることを要請する旨の回答を受けたとのことです。かかる要請を受け、公開買付者は、本特別委員会の意見を最大限尊重し、当社の少数株主に最大限の配慮を示した水準とすべく、改めて再検討した結果、2025年8月6日に、当社に対して、本公開買付価格を960円(提案日の前営業日である2025年8月5日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値685円に対して40.15%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値676円に対して42.01%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値669円に対して43.50%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値698円に対して37.54%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の最終提案を行ったとのことです。これに対して、公開買付者は、2025年8月6日に、本特別委員会より、当該再提案した本公開買付価格は、当社の一般株主の利益への一定の配慮がみられると捉えているものの、一般株主の利益に最大限配慮する観点から、本公開買付価格を970円に引き上げることを要請する旨の回答を受けたとのことです。かかる要請を受け、公開買付者は、同日、当社に対して、本公開買付価格を960円とする2025年8月6日の提案は、従前の本特別委員会の指摘事項を最大限考慮した結果として提案したものであり、当社の一般株主に最大限の配慮を示した水準であると判断し、本公開買付価格の引き上げは行わない旨の回答を行ったとのことです。これに対して、公開買付者は、2025年8月7日に、本特別委員会より、公開買付者による最終提案を応諾し、これ以上の価格引き上げの再要望は行わないことを決定した旨の回答を受けたとのことです。
これらの協議・交渉を重ねた上で、公開買付者は、2025年8月8日、本取引の一環として、本公開買付価格を960円として本公開買付けを実施することを決定したとのことです。
なお、公開買付者は、当社の事業及び財務の状況、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の株価推移及び本公開買付けに対する応募の見通し等の各種要素を総合的に勘案し、かつ、当社との協議・交渉を経て本公開買付価格を決定しており、第三者算定機関からの株式価値算定書は取得していないとのことです。
本取引は、マネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、田代氏らは、本取引後も継続して当社の経営にあたることを予定しており、上記「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の経営施策を推進する予定とのことです。
なお、公開買付者は、本書提出日現在において、当社のその他の取締役との間で、本取引後の役員就任や処遇について何ら合意しておらず、当社の役員構成を含む経営体制については、本公開買付けの成立後、当社と協議しながら決定していく予定とのことです。また、当社の従業員については、本公開買付け後も原則として現在の雇用条件を維持することを予定しているとのことです。
当社は、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、2025年5月14日に田代氏らから本提案書を受領したことを受け、本公開買付けがマネジメント・バイアウト(MBO)のための本取引の一環として行われるものであり、構造的な利益相反の問題が存在すること等を踏まえ、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、本取引の公正性を担保すべく、2025年5月中旬に、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として株式会社AGS FAS(以下「AGS FAS」といいます。)を、リーガル・アドバイザーとして西村あさひ法律事務所・外国法共同事業(以下「西村あさひ」といいます。)を、それぞれ本特別委員会の承認を得られることを条件として選任し、西村あさひから受けた本取引に関する意思決定の過程、方法その他の本取引に関する意思決定に関する留意点等についての法的助言を踏まえ、当社の企業価値の向上及び当社の一般株主の皆様の利益の確保の観点から、公開買付者ら及び当社並びに本取引の成否から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための社内における検討体制の構築(なお、社内における検討体制の構築の詳細については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における独立した検討体制の構築」をご参照ください。)を開始しました。
さらに、当社は、当社の一般株主の皆様の保護を目的として、本取引における公正性の担保、本取引の実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の観点から本取引の公正性を担保する措置の一つとして、2025年5月20日開催の当社取締役会において、本特別委員会を設置する旨を決議いたしました。本特別委員会は、2025年5月29日に、公開買付者ら及び当社並びに本取引の成否からの独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてのAGS FASの選任、並びにリーガル・アドバイザーとしての西村あさひの選任をそれぞれ承認しております。上記体制の下、当社は、本公開買付価格を含む本取引の条件等に関する交渉方針について意見や指示を受ける等公開買付者との交渉において本特別委員会より意見、指示及び要請を受けるとともに、AGS FAS及び西村あさひの助言を受けながら、本提案書に記載された本取引の目的を含む本公開買付けの概要、本取引が当社に与える影響、本取引後の経営方針の内容や足元の株価動向を踏まえ、協議・検討を重ねてきました。
具体的には、本公開買付価格について、2025年7月3日に、当社が公開買付者から本公開買付価格を850円とする旨の提案を受けた後、本特別委員会は、過去一定期間における当社株式の取引状況、当社の第三者算定機関による当社株式の株式価値の試算結果及び過去に公表された類似事例のプレミアム水準等を踏まえ、当社の企業価値及び株主利益に鑑み不十分であると考え、2025年7月7日、本公開買付価格の再考を要請いたしました。これを受け、公開買付者は、2025年7月10日、当社に対して本公開買付価格を900円とする旨の提案を行いましたが、本特別委員会は、過去一定期間における当社株式の取引状況、当社の第三者算定機関による当社株式の株式価値の試算結果及び過去に公表された類似事例のプレミアム水準等を踏まえ、依然として当社の企業価値及び株主利益に鑑み不十分であると考え、2025年7月14日、本公開買付価格の再考を求めました。これを受け、公開買付者は、2025年7月17日、当社に対して本公開買付価格を930円とする旨の提案を行いましたが、本特別委員会は、過去一定期間における当社株式の取引状況、当社の第三者算定機関による当社株式の株式価値の試算結果及び過去に公表された類似事例のプレミアム水準等を踏まえ、依然として当社の企業価値及び株主利益に鑑み十分とはいえないと考え、2025年7月22日、本公開買付価格を1,050円とすることを要請いたしました。これを受け、公開買付者は、2025年7月24日、当社に対して本公開買付価格を940円とする旨の提案を行いましたが、本特別委員会は、過去一定期間における当社株式の取引状況、当社の第三者算定機関による当社株式の株式価値の試算結果及び過去に公表された類似事例のプレミアム水準等を踏まえ、依然として当社の企業価値及び株主利益に鑑み十分とはいえないと考え、2025年7月28日、本公開買付価格を1,000円とすることを要請いたしました。これを受け、公開買付者は、2025年7月31日、当社に対して本公開買付価格を950円とする旨の提案を行いましたが、本特別委員会は、当該再提案した本公開買付価格は、当社の一般株主の利益への一定の配慮がみられると捉えているものの、一般株主の利益に最大限配慮する観点から、2025年8月4日、本公開買付価格を990円とすることを要請いたしました。これを受け、公開買付者は、2025年8月6日、当社に対して、本公開買付価格を960円とする旨の最終提案を行いましたが、本特別委員会は、当該再提案した本公開買付価格は、当社の一般株主の利益への一定の配慮がみられると捉えているものの、一般株主の利益に最大限配慮する観点から、2025年8月6日、当社に対して、本公開買付価格を970円に引き上げることを要請いたしました。これを受け、公開買付者は、同日、当社に対して、本公開買付価格を960円とする2025年8月6日の提案は、従前の本特別委員会の指摘事項を最大限考慮した結果として提案したものであり、当社の一般株主に最大限の配慮を示した水準であると判断し、本公開買付価格の引き上げは行わない旨の回答を行いました。これに対して、本特別委員会は、2025年8月7日、公開買付者による最終提案を応諾し、これ以上の価格の引き上げの再要望は行わないことを決定いたしました。
さらに、当社は、リーガル・アドバイザーである西村あさひから、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けるとともに、本特別委員会から2025年8月7日付で答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けました(本答申書の概要及び本特別委員会の具体的な活動内容等については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。)。
また、当社は、AGS FASから、2025年8月7日付で当社株式に係る株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(AGS FAS)」といいます。)の提供も受けております(本株式価値算定書(AGS FAS)の概要については、下記「(3) 算定に関する事項」をご参照ください。)。その上で、当社は、リーガル・アドバイザーである西村あさひから受けた法的助言及び第三者算定機関であるAGS FASから取得した本株式価値算定書(AGS FAS)の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引により当社の企業価値の向上を図ることができるか、本公開買付価格を含む本取引の諸条件は妥当なものか等の観点から慎重に協議・検討を行いました。その結果、当社は、以下の点等を踏まえると、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の公開買付者が企図する施策の内容は合理的であり、本取引が当社の企業価値向上に資するものであると考えるに至りました。
上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、田代氏らは、(a)当社が、長期的な市場縮小傾向に加え、ロシア・ウクライナ情勢の影響による資源価格・エネルギーコストの高騰、及び円安による原材料・輸送費の上昇等により、製造原価の大幅な増加に直面しており、また、KIP700シリーズをはじめとする主力製品は一定の販売実績を上げているものの、競合他社とのコスト競争等の理由から販売価格への十分な転嫁が難しい状況にあり、特に北米市場における競争環境の激化により米国向けの販売では利益率の維持が困難な状況が続いていると認識しており、加えてトランプ政権下で導入された関税措置において、仮に将来的な追加関税や規制変更がなされた場合には、価格転嫁の限界と当社のコスト負担増大リスクが一層高まるものと予想しており、(b)当社の事業は、半導体部品を中心とした主要部品の生産中止や入手難の影響を受けやすく、グローバル供給網の不確実性や在庫調整機能の限界といった構造的な課題へのサプライチェーンマネジメント全体の改善による対処も避けられない状況であると認識しており、(c)印刷業界におけるペーパーレス化が進み、紙出力での需要が減少している中、今後も継続的に需要が見込まれている産業用プリント分野等への事業多角化に取り組まれ、昇華転写プリンタやセラミック用途向け製品等にて一定の成果が出始めていると認識している一方で、業界における技術革新への対応としては積極的な投資が求められており、新分野への本格的な成長を軌道に乗せるためには、研究開発費・設備投資・市場開拓がより一層必要になると考えているとのことですが、当社としても同様の認識を有しております。当社は、2024年3月期には2009年3月期以来の営業黒字化をしたものの、2025年3月期には、主には米国市場の販売鈍化による減収、原材料、経費の高騰といった要因により再び営業赤字に陥っております。また、今後も、ペーパーレスやクラウドサービスの浸透による複合機需要の低調推移、資源・エネルギー・物流などの製造コスト上昇、不透明な米国関税政策の影響など、当社の経営環境は厳しいものになると想定されるところ、当社の2025年6月27日付「上場維持基準への適合に向けた計画(改善期間入り)について」に記載のとおり、当社は従来から収益構造の改善や新規事業などの各側面に沿った取組みを進めており、加えて、現状の極めて厳しい経営環境の下、不透明な米国関税政策への対応及び為替の急激な変動対応、マーケットの活用、拡大、価格競争に耐えうるコスト構造の構築、人的資本の増強並びにITを駆使した業務効率化の施策に取り組む方針でありますが、当社の持続的な成長のためには、スピーディかつ積極的な投資を通じた、工場の再編、DX・品質改善による生産性の向上、事業の選択と集中、一定の需要がある産業用の製品拡販・北米比率の相対的低下などが必要になると考えております。
当社として上記の考えを有しているところ、当社は田代氏らから、2025年5月14日に本提案書により、「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、(ア)製品及び技術開発の推進、(イ)業務フローの効率化・最適化、(ウ)コスト競争力の強化を目的とした生産工場への投資、(エ)販売体制及び基盤の強化といった具体的な施策を企図している旨の提案を受け、これを慎重に検討した結果、当社としても、2025年6月中旬には、これらの施策は、厳しい事業環境に対応していくために当社として積極的に推進していくべきものであり、ひいては当社の中長期的な企業価値の向上に資するものであると考えるに至っております。
この点、当社は、上記(ア)から(エ)の各施策の実施により事業構造の改革を推進していくにあたっては、経営資源を短期集中的に投下する必要があり、多額の先行投資が発生することから、一時的に収益及びキャッシュ・フローが悪化する可能性が否定できず、短期的には当社の業績や財務状況に大きな影響を与えるリスクがあり、資本市場から十分な評価が得られず、当社の株主の皆様に対して、当社株式の市場株価の下落といった不利益を与えるおそれが懸念され、当社株式の上場を維持したまま各施策を実施することは難しいと考えております。一方で、本取引により当社株式を非公開化することで、長期的な視点で田代氏らからの提案にあるような各施策の実行に取り組むことが可能となると考えており、本取引の実行は当社の企業価値向上の観点からもメリットがあると考えております。
また、当社は、2022年4月に行われた東京証券取引所の市場区分の再編に伴い、スタンダード市場を選択しましたが、その移行基準日である2021年6月30日において、当該市場の上場維持基準を充たしていないことから、2021年12月17日に本適合計画書を公表し、当該市場の上場維持基準として流通株式時価総額10億円以上という基準が設けられている中、2027年3月末までに上場維持基準を充たすために各種取組を進める計画であることを公表しておりますが、当社が公表した2025年6月27日付「上場維持基準への適合に向けた計画(改善期間入り)について」に記載のとおり、2025年3月末時点における当社の流通株式時価総額は3.99億円と当該基準を満たしておらず、2026年3月31日まで1年間の改善期間に入っており、当該改善期間内に上場維持基準へ適合できなかったときには、監理銘柄・整理銘柄に指定された後、2027年10月1日に上場廃止となる可能性があります。このような中、本取引を行うことによって、当社の少数株主の皆様に当社株式の上場廃止に伴う不利益が生じることを回避しつつ、当社株式の売却機会を提供することが、当社の少数株主の皆様にとっての合理的な選択肢であると考えております。
加えて、当社株式の非公開化を行った場合には、当社が1991年9月の株式公開以来上場会社として享受してきた、知名度の向上による優れた人材の確保、社会的な信用力の向上等に影響を生じさせる可能性があると考えておりますが、当社は今後、必要に応じて間接金融を活用して資金を調達する予定であり、エクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性は当面見込まれないこと、及び、当社グループに蓄積された事業上のノウハウ、当社グループの知名度や取引先に対する信用力は既に確保できていることから、非公開化によるデメリットは限定的であると考えております。
さらに、当社株式の非公開化により、当社株式の上場を維持するために必要な費用(有価証券報告書等の継続的な情報開示に要する費用、監査費用、株主総会の運営や株主名簿管理人への事務委託に要する費用等)を削減することができ、かつ、上場会社として必要となる管理部門の維持のための費用その他のコスト等、当社株式の上場を維持することによるその他の経営負担も軽減され、より一層、経営資源の集中を図ることも可能になると考えております。
上記の事情を勘案し、当社は、短期的な業績やキャッシュ・フローの悪化等による当社株式の株価の下落、及び将来的な上場廃止により当社の少数株主の皆様が株式売却の機会を失うリスクを回避しつつ、中長期的な視点で当社の事業構造の改革を推進する経営体制を構築することができるという点で、当社株式を非公開化することが最も有効な手段であると考えており、また、当社株式の非公開化にあたっては、第三者ではなく、当社の事業内容を熟知している田代氏らが主体となってマネジメント・バイアウト(MBO)を実施し、当社の所有と経営を一体化させた上で上記施策を迅速かつ果敢に実行していくことが、当社にとって最善であると考えております。
また、当社は、以下の点等から、本公開買付価格(960円)は当社の少数株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは、当社の少数株主の皆様に対して適切なプレミアムを付した価格での合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると判断しました。
(ⅰ)本公開買付価格が、下記「(3) 算定に関する事項」の「① 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されているAGS FASによる本株式価値算定書(AGS FAS)における算定結果のうち、市場株価法に基づく算定結果のレンジを上回り、かつDCF(ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー)法に基づく算定結果のレンジの中央値を上回ること
(ⅱ)本公開買付価格(960円)が、2025年8月7日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値712円に対して34.83%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値681円に対して40.97%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値670円に対して43.28%及び同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値695円に対して38.13%のプレミアムが加算された価格であり、これらのプレミアムは類似案件(経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降に公表され、2025年8月7日までに公開買付けが成立した旨が公表された、非公開化を目的としたMBO案件の事例85件(公表の前営業日を基準日として、基準日終値、同日までの過去1ヶ月間、同過去3ヶ月間及び同過去6ヶ月間の終値単純平均値におけるそれぞれのプレミアム率の中央値が42.25%、44.68%、46.08%、47.96%))との比較においては、公表日の前営業日及び過去6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムが相対的に高いとは評価できない水準となっているものの、一時的・短期的な株価変動の影響が一定程度平準化される過去1ヶ月間及び過去3ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準は類似案件におけるプレミアム水準と遜色のない水準が確保されており、また、類似案件のプレミアム率の分布を5%刻みで見ていくと、過去1ヶ月間の終値単純平均に対するプレミアム率は35%以上40%未満が、過去3ヶ月間の終値単純平均に対するプレミアム率は40%以上45%未満がそれぞれ最頻値であり、過去6ヶ月間の終値単純平均に対するプレミアム率が35%以上40%未満の事例も相応にあることから、本公開買付価格は類似案件との比較において相応のプレミアムが付された価格であると評価できること
(ⅲ)本公開買付価格は、当社の2025年6月30日現在の連結簿価純資産である4,324百万円を自己株式控除後の発行済株式数(1,531,997株)で割ることにより算出した1株当たり連結簿価純資産額(2,822円(円未満を四捨五入。))を下回っているものの(65.98%のディスカウント)、仮に当社の株主総会において解散決議がなされ清算する場合、簿価純資産額がそのまま換価されるわけではなく、棚卸資産について当社による販売後の保守が行われなくなることで売却が困難になると見込まれること、製造工場の土地・建物について解体及び更地化に係る費用の発生が見込まれること、その他の有形固定資産について汎用性、換価性が乏しいこと等から、帳簿価額について相当程度の毀損が想定されること、また、清算に伴い、従業員の割増退職金、弁護士費用、清算完了までの一定期間のランニングコスト及び賃借物件の原状回復費用等の追加コストや損失の発生が相当程度見込まれること等にも鑑みると、当社の清算価値は、現実的には連結簿価純資産額から相当程度棄損された金額となることが想定され、1株当たり連結簿価純資産が当社株式の公正価値の最低価格となるという考え方は採用し難いと考えており、また、純資産額は将来の収益性を反映するものではないため、継続企業である当社の企業価値算定において重視することは合理的でないと考えられること
(ⅳ)下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の利益相反を解消するための措置が取られていること等、一般株主の利益への配慮がなされていると認められること
(ⅴ)本公開買付価格が、上記利益相反を解消するための措置が取られた上で、本特別委員会と田代氏らとの間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉が複数回行われた上で決定された価格であること
(ⅵ)本公開買付価格が、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会から取得した本答申書においても妥当であると判断されていること
さらに、当社は、本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)及び買付予定数の下限といったその他の本取引に係る取引条件についても、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保」に記載のとおり、公開買付期間については、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについて適切な判断を行う機会を確保するとともに、当社株式について対抗的買収提案者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保するものとなっているため公正なものと判断しました。
なお、当社の2025年5月20日付「令和7年3月期 連結・個別業績予想値と実績値との差異及び営業外費用の計上に関するお知らせ」に記載のとおり、2025年3月期の通期業績の予想値との差異について開示しておりますが、かかる開示は当該時点における業績状況に基づくものであって、本取引とは無関係の要因によるものであり、また当社が意図的に当社株式の価値を下げる目的で当該開示を行ったものではないため、下記「(3) 算定に関する事項」に記載のAGS FASによる市場株価法の算定及び上記プレミアム水準の判断において、当該開示以降の当社株価も考慮の対象とすることに問題はないと考えております。
以上より、当社は、2025年8月8日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社取締役(代表取締役社長である渡邉正禮氏及び取締役である田代氏を除く6名)の全員一致で、本公開買付けへの賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をいたしました。当該取締役会には、当社監査役(太田義弘氏を除く2名)が出席し、出席した監査役はいずれも上記決議を行うことについて異議がない旨の意見を述べております。
なお、当社の取締役のうち、田代氏らは、それぞれ、本取引の提案者であるとともに本取引終了後も継続して当社の代表取締役又は取締役として当社の経営にあたることを予定しているため、当社取締役会における本公開買付けへの意見表明に係る議案の審議及び決議には一切参加しておらず、また、本取引に関し、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切参加しておりません。また、当社の監査役である太田義弘氏は、公開買付者と本応募契約(三桂製作所)を締結している三桂製作所の顧問(2025年5月以前は特別顧問。以下同じです。)を兼務しているため、当社取締役会における本公開買付けへの意見表明に係る議案の審議及び決議には一切参加しておらず、また、本取引に関し、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切参加しておりません。
また、当社の取締役のうち、常務取締役である朝倉敬一氏は、1977年4月から1979年1月まで三桂製作所に在籍していましたが、1979年1月に当社に入社するとともに三桂製作所を退職し、以降、公開買付者又は本応募株主(三桂製作所等)の役職員を兼任していないこと、また同じく取締役である佐合有司氏は1983年4月から1992年4月まで三桂製作所に在籍していましたが、1992年4月に当社に入社するとともに三桂製作所を退職し、以降、公開買付者又は本応募株主(三桂製作所等)の役職員を兼任していないことから、いずれも公開買付者又は本応募株主(三桂製作所等)との関係で利益相反のおそれは僅少であると判断し、本特別委員会の承認を得た上で、上記取締役会に参加しております。
以上より、当社は、2025年8月8日開催の当社取締役会において、本公開買付けへの賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対しては本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。なお、かかる当社取締役会決議は、本公開買付け及び本スクイーズアウト手続の実施により当社株式が上場廃止となる予定であることを前提として行われたものです。
当該取締役会における決議の詳細は下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者ら及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるAGS FASに対して、当社株式の価値算定を依頼し、2025年8月7日付で本株式価値算定書(AGS FAS)を取得しております。なお、当社は、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置が講じられており、本取引に係る公正性が十分に担保されていると判断したことから、AGS FASから本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。また、AGS FASは、公開買付者ら及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。なお、本取引に係るAGS FASに対する報酬には、本取引の過程に複数のマイルストーンを設定し、各マイルストーンに到達する都度支払われるマイルストーン報酬が含まれているところ、AGS FASとしては、本取引の成否が不明な中において、報酬体系を固定報酬のみとするよりもむしろ、報酬の一部をマイルストーン報酬とする方が当社の金銭的負担の観点から望ましく、双方にとっても合理性があると考えているとのことであり、また、当社が本取引の検討を中止した場合においても、稼働時間に時間単価を乗じた報酬が発生する体系になっていることを勘案すれば、当社としてはマイルストーン報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるものではないと判断の上、上記の報酬体系によりAGS FASを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しております。
AGS FASは、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所スタンダード市場に上場していることから市場株価法を用い、また、将来の事業活動の状況を算定に反映させるためにDCF法を用いて当社株式の株式価値の算定を行いました。
AGS FASによれば、当社株式の株式価値算定にあたり、採用した手法及び当該手法に基づいて算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価法 :670円~712円
DCF法 :720円~1,053円
市場株価法では、2025年8月7日を算定基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日終値712円、直近1ヶ月間の終値単純平均値681円、直近3ヶ月間の終値単純平均値670円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値695円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を670円から712円までと算定しております。
DCF法では、当社が作成した2026年3月期から2030年3月期までの事業計画(以下「本事業計画」といいます。)における収益や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2026年3月期第2四半期以降において創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引くことにより当社の企業価値や株式価値を算定し、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を720円から1,053円までと算定しております。割引率は加重平均資本コスト(WACC:Weighted Average Cost of Capital)を採用し、6.18%から8.18%としております。継続価値の算定にあたっては、永久成長率法を採用し、外部環境等を総合的に勘案した上で永久成長率を0.00%から1.00%とし、継続価値を790百万円から1,298百万円と算出しております。また、非事業用資産として、賃貸用不動産、投資有価証券及び余剰現預金を当社の事業価値に加算しております。
AGS FASがDCF法の算定の前提とした本事業計画に基づく財務予測は以下のとおりです。本事業計画は、印刷業界におけるペーパーレス化の進行に伴う市場縮小等による、厳しい経営環境の継続が見込まれることを前提に、当社として、新製品の投入や生産工場の再編といった各種施策により、収益性の確保を見込むものとなっております。また、本事業計画の対象期間は、上記施策の実現可能性を見込むことができ、効果が反映され、かつ業績が平準化すると考えられるまでの期間として、2026年3月期から2030年3月期までの5期分となっております。
本事業計画には、大幅な利益の増減を見込んでいる事業年度(2028年3月~2030年3月期)及び大幅なフリー・キャッシュ・フローの増減を見込んでいる事業年度(2027年3月~2030年3月期)が含まれております。営業利益は2028年3月期に1百万円(対前年比100%増加)、2029年3月期に63百万円(対前年比6,200%増加)、2030年3月期に171百万円(対前年比171%増加)となることを見込んでおります。これは、当該各期にわたり、新製品の市場投入や、各種施策による製品コストの総合的な改善、各種投資による効果等が見込まれているためです。また、フリー・キャッシュ・フローは2027年3月期における前年度の運転資本の減少の影響が剥落することにより△489百万円(対前年比190%減少)、2028年3月期における営業利益の増加により△141百万円(対前年比71%増加)、2029年3月期における営業利益の増加及び運転資本の増加額の減少により△27百万円(対前年比81%増加)、2030年3月期における営業利益の増加により54百万円(対前年比299%増加)となることを見込んでおります。なお、本取引により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、本事業計画には加味しておりません。
また、本事業計画は、本取引において使用することを目的として、当社における独立した社内検討体制の下、策定されたものであり、足元の事業環境を踏まえて努力要素を十分に織り込んだ上で実現可能性を見込むことができる計画数値が設定されているところ、本特別委員会が、作成の前提、内容等について当社に質疑応答を行った上で、その合理性について確認及び承認を行っております。
(単位:百万円)
(注) AGS FASは、当社株式の株式価値の算定に際して、当社から提供を受けた資料及び情報、一般に公開された情報を原則としてそのまま使用し、分析及び検討の対象とした全ての資料及び情報が正確かつ完全であることを前提としており、これらの資料及び情報の正確性又は完全性に関し独自の検証を行っておらず、またその義務を負うものではありません。また、当社株式の株式価値の算定に重大な影響を与える可能性がある事実でAGS FASに対して未開示の事実はないこと等を前提としており、当社及び当社の関係会社の全ての資産又は負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含み、これらに限られません。)について、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、また第三者機関への評価、鑑定又は査定の依頼も行っておりません。AGS FASは提供された本事業計画その他将来に関する情報が、当社の経営陣による現時点において可能な最善の予測と判断に基づき、合理的に確認、検討又は作成されていることを前提としており、独自に検証することなくこれらの情報に依拠しております。AGS FASの算定は、2025年8月7日現在における金融、経済、市場その他の状況を前提としており、提出した当社株式の株式価値の算定結果は、本公開買付価格の公平性について意見を表明するものではありません。
本書提出日現在、当社株式は、東京証券取引所スタンダード市場に上場していますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、当社株式は、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。
また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後に、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、公開買付者は、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しておりますので、その場合、当社株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所スタンダード市場において取引することはできません。
公開買付者は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けにより、当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、以下の方法により、当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式を除きます。)を取得することを目的とした本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことです。
公開買付者は、本公開買付けの成立により、公開買付者が所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の数の90%以上となり、公開買付者が会社法第179条第1項に規定する特別支配株主となる場合には、本公開買付けの決済の完了後速やかに、会社法第2編第2章第4節の2の規定に基づき、当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)の全員(以下「売渡株主」といいます。)に対し、その所有する当社株式の全部を売り渡すことを請求(以下「株式売渡請求」といいます。)する予定とのことです。株式売渡請求においては、当社株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を売渡株主に対して交付することを定める予定とのことです。この場合、公開買付者は、その旨を当社に通知し、当社に対し株式売渡請求の承認を求めるとのことです。当社がその取締役会の決議により株式売渡請求を承認した場合には、関係法令の定める手続に従い、売渡株主の個別の承諾を要することなく、公開買付者は、株式売渡請求において定めた取得日をもって、売渡株主からその所有する当社株式の全部を取得するとのことです。この場合、売渡株主が所有していた当社株式1株当たりの対価として、公開買付者は、当該各売渡株主に対し、本公開買付価格と同額の金銭を交付する予定とのことです。
なお、当社は、公開買付者より株式売渡請求をしようとする旨及び会社法第179条の2第1項各号の事項について通知を受けた場合には、当社取締役会において株式売渡請求を承認する予定です。
株式売渡請求に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、会社法第179条の8その他関係法令の定めに従って、売渡株主は、裁判所に対して、その所有する当社株式の売買価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められているとのことです。なお、上記申立てがなされた場合の当社株式の売買価格は、最終的には裁判所が判断することになるとのことです。
本公開買付けの成立後、公開買付者が所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の数の90%未満である場合には、公開買付者は、会社法第180条に基づき、当社株式の併合を行うこと(以下「株式併合」といいます。)及び株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を開催することを、本公開買付けの決済の完了後速やかに当社に要請する予定とのことです。なお、公開買付者は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。
本臨時株主総会において株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主の皆様は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなるとのことです。株式併合により株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた当社の株主の皆様に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却すること等によって得られる金銭が交付されることになるとのことです。公開買付者は、当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者及び当社を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該株主の皆様が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に対して要請する予定とのことです。また、当社株式の併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者は、当社に対して、公開買付者が当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定するよう当社に対して要請する予定とのことです。なお、当社は、本公開買付けが成立した場合には、公開買付者によるこれらの要請に応じる予定です。
株式併合に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、株式併合により株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従って、当社の株主の皆様(公開買付者及び当社を除きます。)は、当社に対してその所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格決定の申立てを行うことができる旨が定められているとのことです。
上記のとおり、株式併合においては、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数は1株に満たない端数となる予定ですので、株式併合に反対する当社の株主の皆様(公開買付者及び当社を除きます。)は、上記申立てを行うことができることになる予定とのことです。なお、上記申立てがなされた場合の当社株式の買取価格は、最終的には裁判所が判断することとなるとのことです。
上記の株式売渡請求及び株式併合の各手続については、関係法令についての改正、施行、当局の解釈等の状況等によっては、実施の方法及び時期に変更が生じる可能性があるとのことです。ただし、その場合でも、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定とのことです。
以上の場合における具体的な手続及びその実施時期等については、当社と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定とのことです。
なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様において自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。
公開買付者及び当社は、本公開買付けがマネジメント・バイアウト(MBO)のための本取引の一環として行われるものであり、構造的な利益相反の問題が存在すること等を踏まえ、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の措置を実施いたしました。
なお、公開買付者は、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する少数株主の皆様の利益に資さない可能性もあると考え、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限は設定していないとのことです。もっとも、公開買付者としては、公開買付者及び当社において以下の措置を講じていることから、当社の少数株主の皆様の利益には十分な配慮がなされていると考えているとのことです。
また、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の過程における公正性を担保するために、公開買付者ら及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として、AGS FASに当社株式の価値算定を依頼しました。なお、当社は、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置が講じられており、本取引に係る公正性が十分に担保されていると判断したことから、AGS FASから本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。また、AGS FASは、公開買付者ら及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。なお、本取引に係るAGS FASに対する報酬には、本取引の過程に複数のマイルストーンを設定し、各マイルストーンに到達する都度支払われるマイルストーン報酬が含まれているところ、AGS FASとしては、本取引の成否が不明な中において、報酬体系を固定報酬のみとするよりもむしろ、報酬の一部をマイルストーン報酬とする方が当社の金銭的負担の観点から望ましく、双方にとっても合理性があると考えているとのことであり、また、当社が本取引の検討を中止した場合においても、稼働時間に時間単価を乗じた報酬が発生する体系になっていることを勘案すれば、当社としてはマイルストーン報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるものではないと判断の上、上記の報酬体系によりAGS FASを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しております。また、本特別委員会において、AGS FASを当社の第三者算定機関とすることについて承認しております。
本株式価値算定書(AGS FAS)の概要は、上記「(3) 算定に関する事項」の「① 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。
当社は、本公開買付けを含む本取引に係る当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を確保するために、公開買付者ら及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして西村あさひを選任し、同事務所から、本公開買付けを含む本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けております。なお、西村あさひは、公開買付者ら及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。また、本特別委員会において、西村あさひを当社のリーガル・アドバイザーとすることについて承認しております。また、西村あさひの報酬は、本取引の成否にかかわらず、稼働時間に時間単価を乗じて算出するものとされており、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。
当社は、本取引がいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)の一環として行われるものであり、構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存在することを踏まえ、2025年5月20日開催の当社取締役会決議に基づき、本公開買付けを含む本取引における当社の意思決定の恣意性を排除し、意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保することを目的として、公開買付者ら及び当社並びに本公開買付けの成否から独立した、中本晴邦氏(当社社外取締役)、秋元弘光氏(当社社外監査役)及び片岡良平氏(弁護士、T&K法律事務所)の3名によって構成される本特別委員会を設置いたしました。当社は、当初から上記3名を本特別委員会の委員として選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。また、本特別委員会の互選により、片岡良平氏を本特別委員会の委員長として選定しております。なお、本特別委員会の委員のうち、片岡良平氏は当社の役員ではありませんが、当社は、片岡良平氏が本取引と同種の案件の特別委員会の委員としての豊富な経験を有することに加え、長年にわたり企業法務をはじめとした法律に関する職務に携わり、その経歴を通じて培った専門家としての豊富な経験及び知見を有する社外有識者として、本特別委員会の委員に相応しい人物であると考えております。また、本特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、答申内容にかかわらず、固定の報酬を支払うものとしております。
そして、当社は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対し、①(a)当社の企業価値向上に資するか否かの観点から、本取引の目的の正当性・合理性について検討・判断するとともに、(b)当社の一般株主の利益を図る観点から、取引条件の公正性・妥当性及び手続の公正性について判断・検討した上で、当社取締役会が本公開買付けに賛同するべきか否か、及び、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨するべきか否かについて当社取締役会に勧告を行うこと、②当社取締役会において、本取引についての決定が、当社の一般株主にとって公正なものであるか(2025年7月7日に東京証券取引所が公表した「MBOや支配株主による完全子会社化に関する上場制度の見直し等に係る有価証券上場規程等の一部改正について」が本取引に適用されることを踏まえ、2025年8月1日開催の当社取締役会の決議に基づき、諮問事項の一部を修正しております。)について検討し、当社取締役会に意見を述べること(上記①及び②の事項を「本諮問事項」といいます。)について諮問いたしました。
また、本特別委員会への諮問にあたり、当社取締役会は、本公開買付けへの賛否を含め、本特別委員会の意見を最大限尊重して本取引に関する意思決定を行うこととし、本特別委員会が本取引を実施することが妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は本取引の実施を決定しない(本取引に賛同しない)こととする旨を決議しております。併せて、当社は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対して、(a)本取引の取引条件の公正性が確保されるよう、当社と公開買付者らとの取引条件に関する交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うことなどにより、取引条件に関する交渉過程に実質的に関与するとともに、必要に応じて公開買付者らと直接交渉を行う権限、(b)本諮問事項の検討等にあたり必要と判断した場合には、本取引に関して適切な判断を確保するために、本特別委員会のアドバイザー等を選任する権限(なお、当社のアドバイザー等が高い専門性を有しており、独立性にも問題がないなど、本特別委員会として当社のアドバイザー等を信頼して専門的助言を求めることができると判断した場合には、当社のアドバイザー等に対して専門的助言を求めることができる。)、並びに、(c)答申を行うにあたって必要となる一切の情報の収集を当社又は当社のアドバイザーに対して求める権限をそれぞれ付与しております。
本特別委員会は、2025年5月29日から2025年8月7日まで合計12回開催され、本諮問事項について、慎重に検討及び協議を行いました。具体的には、本特別委員会は、当社から、本取引の提案を受けた経緯、本取引の目的、経営環境、本事業計画、経営課題等に関する説明を受け、質疑応答を行いました。また、本特別委員会は、公開買付者らから、本取引を提案するに至った経緯及び理由、本取引の目的、本取引の諸条件等について説明を受け、質疑応答を行いました。加えて、公開買付者らとの交渉過程への関与方針として、直接の交渉は当社のファイナンシャル・アドバイザーであるAGS FASが当社の窓口として行うこととしつつ、本特別委員会は、適時に交渉方針に関して意見を述べ、交渉担当者に対して指示・要請を行うことなどにより、取引条件に関する交渉過程に実質的に関与することができることを確認しております。
そして、本特別委員会は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、当社が、2025年7月3日に公開買付者から本公開買付価格を1株当たり850円とする提案を受領して以降、第三者算定機関であるAGS FASによる当社株式の価値算定の結果や公開買付者らとの交渉方針等を含めた助言、また、西村あさひからの特別委員会の意義・役割等を含む本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置の内容についての助言を踏まえ、公開買付者らの影響を排除した公正な手続によって本公開買付価格の検討を重ね、AGS FASを通じて、取引条件に関する公開買付者との交渉過程に実質的に関与してまいりました。本特別委員会は、このように本諮問事項について慎重に協議・検討した結果、2025年8月7日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出いたしました。
1.本取引の目的は、当社の企業価値の向上に資するものと認められ、正当かつ合理的と考えられる。
2.本取引の取引条件は公正かつ妥当なものであると考えられる。
3.本取引に係る手続は公正であると考えられる。
4.本取引は当社の一般株主にとって公正なものであると考えられる。
5.上記1.乃至4.の観点から、本公開買付けに対して当社取締役会が賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することは、妥当であると考えられる。
Ⅰ.本取引の目的の正当性・合理性(本取引が当社の企業価値向上に資するかを含む。)
以下の点を踏まえると、本取引は当社の企業価値向上に資するものであり、その目的は合理的であると認められる。
・ 当社は、1945年4月に、航空機用セレン及び亜酸化銅の半導体整流素子並びにこれを利用した整流電源装置の製造販売を目的として設立された後、家庭電化器具、各種マイクロモーター等の開発、製造販売を行い、現在は、電子写真プリンタ、複写機、プロッタ及びスキャナ等の大判型デジタル機器の開発及び製造販売を行っている。当社は、長期的な市場縮小傾向に加え、ロシア・ウクライナ情勢の影響による資源価格・エネルギーコストの高騰、並びに円安による原材料・輸送費の上昇等により、製造原価の大幅な増加に直面していると認識している。加えて、当社の最新の主力商品であるKIP700シリーズをはじめとする主力製品は一定の販売実績を上げているものの、競合他社とのコスト競争等の理由から販売価格への十分な転嫁が難しい状況にあり、特に北米市場における競争環境の激化により米国向けの販売では利益率の維持が困難な状況が続いていると認識している。加えて、トランプ政権下で導入された関税措置において、仮に将来的な追加関税や規制変更がなされた場合には、価格転嫁の限界と当社のコスト負担増大リスクが一層高まるものと予想している。これらの内容については、当社の属する業界及び市場の環境として一般に説明されている内容や当社取締役会の理解とも整合すると考えられる。
・ 田代氏らは、当社がこのような事業環境の変化に的確に対応できる事業基盤を構築するためには、①製品及び技術開発の推進、②業務フローの効率化・最適化、③コスト競争力の強化を目的とした生産工場への投資、④販売体制及び基盤の強化といった施策を実施する必要があると考えている。これらの施策は、当社の現在の事業内容及び経営状況を前提とした合理的なものであり、当社における将来の中長期的な企業価値の向上のための施策として、現実的なものであると考えられる。そして、当該施策が実現されれば、短期的な業績やキャッシュ・フローの悪化等による当社株式の株価の下落、及び将来的な上場廃止により当社の少数株主の皆様が株式売却の機会を失うリスクを回避しつつ、中長期的な視点で当社の事業構造の改革を推進する経営体制を構築することができるという公開買付者及び田代氏らの説明についても、不合理な点は認められない。
・ 本取引の実施により、当社は上場を廃止することが企図されているところ、これが実現されれば、①抜本的な施策の実行、②迅速な意思決定、及び、③情報管理の円滑化といった目的の達成が容易になるとともに、④上場維持コストの削減といった効果も併せて見込まれ、これらは当社の企業価値の向上に大きく資するものと認められる。他方で、一般的に上場廃止に伴うデメリットとして懸念されている事項に関して、公開買付者及び田代氏らからの説明を踏まえると、当社の企業価値を大きく毀損するおそれは低いと考えられる。
Ⅱ.本取引の取引条件の公正性・妥当性
以下の点を踏まえると、本公開買付価格は公正かつ妥当なものであり、その決定過程に不合理な点は見当たらず、本取引の取引条件は妥当なものであると考えられる。
・ 本公開買付価格は、専門家及び本特別委員会の助言を踏まえて、当社と公開買付者との間の真摯な価格交渉の結果決定されており、これらの当社と公開買付者との間の本公開買付価格の交渉に係る経緯には、不合理な点は認められない。したがって、公開買付者との取引条件に関する協議・交渉過程は、独立した当事者間の交渉と認められる公正なものであり、企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件で本取引が行われることを目指した合理的な努力が行われる状況が確保されていたものと認められる。
・ 当社は、公開買付者ら及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるAGS FASに対して、当社株式の価値算定を依頼し、本株式価値算定書(AGS FAS)を取得している。本特別委員会は、本株式価値算定書(AGS FAS)の内容を検討するとともに、AGS FASから、本株式価値算定書(AGS FAS)の内容について説明を受けた。この結果、AGS FASが当社株式の株式価値算定に用いた上記の各手法は、いずれも現在の実務に照らして一般的かつ合理的な手法であると考えられ、その算定の内容についても現在の実務に照らして一般的かつ合理的なものであると考えられる。また、当該算定の基礎となった事業計画について、当社からの詳細な説明及び質疑応答を踏まえ、本特別委員会においても、当該事業計画の作成経緯(公開買付者らが事業計画の作成に関与していないことを含む。)及び当社の現状を把握した上で検討したが、その内容に不合理な点は認められなかった。
・ 本株式価値算定書(AGS FAS)における算定結果のうち、市場株価法に基づく算定結果のレンジを上回り、かつDCF法に基づく算定結果のレンジの中央値を上回っており、第三者算定機関による株式価値算定に照らして妥当性が認められる。
・ 本公開買付価格のプレミアムは類似案件の事例と比較して公表日の前営業日及び過去6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムが相対的に高いとは評価できない水準となっているものの、一時的・短期的な株価変動の影響が一定程度平準化される過去1ヶ月間及び過去3ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準は類似案件におけるプレミアム水準と遜色のない水準が確保されており、また、類似案件のプレミアム率の分布を5%刻みで見ていくと、過去1ヶ月間の終値単純平均に対するプレミアム率は35%以上40%未満が、過去3ヶ月間の終値単純平均に対するプレミアム率は40%以上45%未満がそれぞれ最頻値であり、過去6ヶ月間の終値単純平均に対するプレミアム率が35%以上40%未満の事例も相応にあることから、本公開買付価格は類似案件との比較において相応のプレミアムが付された価格であると評価できる。
・ 本公開買付価格は、当社の1株当たり連結簿価純資産額を下回っている。しかし、簿価純資産額は、当社が継続企業として保有する資産等についての会計原則に基づく評価を前提にしたものであって、当社の保有する資産の交換価値と必ずしも近似するとはいえない。仮に当社の株主総会において解散決議がなされ清算する場合、簿価純資産額がそのまま換価されるわけではなく、棚卸資産について当社による販売後の保守が行われなくなることで売却が困難になると見込まれること、製造工場の土地・建物について解体及び更地化に係る費用の発生が見込まれること、その他の有形固定資産について汎用性、換価性が乏しいこと等から、帳簿価額について相当程度の毀損が想定されること、また、清算に伴い、従業員の割増退職金、弁護士費用、清算完了までの一定期間のランニングコスト及び賃借物件の原状回復費用等の追加コストや損失の発生が相当程度見込まれること等にも鑑みると、当社の清算価値は、現実的には連結簿価純資産額から相当程度に棄損された金額となることが想定される。また、純資産額は将来の収益性を反映するものではないため、継続企業である当社の企業価値の算定において重視することは合理的ではない。そのため、継続企業である当社の企業価値の算定において、必ずしも1株当たり連結簿価純資産額が当社株式の公正価値の最低価格となるものではないと整理することには合理性がある。
・ 本公開買付けが成立した場合の完全子会社化に向けた少数株主からの株式取得手続の方法は、本取引のような完全子会社化の取引において一般的に採用されている方法であり、本取引の方法として妥当であると考えられる。さらに、本スクイーズアウト手続の条件についても、本公開買付価格と同一の価格を基準として算定・決定される予定であって、この点、本スクイーズアウト手続は、本公開買付けに続く手続として予定されているものであり、時間的に近接した両手続において交付される対価が同一のものとなるようにすることは合理的であると考えられる。
・ 公開買付者は、本公開買付けを含む本取引に要する資金を、みずほ銀行からの借入れにより賄うことを予定しており、本公開買付けの成立等を条件として、本公開買付けに係る決済の開始日の前営業日までに本銀行融資を受けることを予定しているとのことである。なお、本銀行融資に係る融資条件の詳細は、みずほ銀行と別途協議の上、本銀行融資に係る融資契約において定めることとされているものの、本銀行融資に係る融資契約では、三桂製作所の保有する預金債権が担保に供されることが予定されており、当社の資産に対する担保設定は予定されておらず、また、財務制限条項等の設定も想定されていないとのことであるから、これらの融資条件が当社の財務状況に重大な悪影響を及ぼすおそれは認められない。
Ⅲ.本取引の手続の公正性
以下の点を踏まえると、本取引に係る交渉過程及び意思決定に至る手続には公正性が確保されていると考えられる。
・ 当社取締役会は、2025年5月14日に田代氏らより本取引の実施に向けた協議・交渉の申入れを受けたことを踏まえ、直近の2025年5月20日に本特別委員会を設置する旨の決議を行っており、その後第1回本特別委員会は2025年5月29日に開催されている。したがって、本取引においては、取引条件の形成過程の初期段階から、本特別委員会が関与していたことが認められる。
・ 当社取締役会は、公開買付者ら及び当社から独立しており、本取引に関して一般株主と異なる重要な利害関係を有していない、当社の社外取締役である中本晴邦氏及び当社の社外監査役である秋元弘光氏の2名に加えて、公開買付者ら及び当社から独立性を有する社外有識者であり、弁護士としてM&Aの経験に長けている片岡良平氏を委員に選定した。本特別委員会の委員は、それぞれ独立性を有することが確認されており、専門性・属性にも十分配慮して選定されたものであることが認められる。
・ 当社取締役会は、本特別委員会の委員に意見を仰ぎ、西村あさひの助言も踏まえ、本特別委員会の設置、権限及び職責、委員や報酬の検討を開始した。また、特別利害関係取締役である田代氏ら及び独立性を有しないおそれのある社外監査役である太田義弘氏はこれらの検討並びに特別委員会の設置及び委員の選定に係る審議及び決議に一切参加しておらず、実質的な関与を行っていない。このように、本特別委員会については、本特別委員会の設置、権限及び職責、委員の選定や報酬の決定の各過程において、当社の独立社外取締役及び独立社外監査役が主体性をもって実質的に関与する形で行われる体制が確保されていたことが認められる。
・ 当社取締役会は、本特別委員会の設置に際し、本公開買付けへの賛否を含め、本特別委員会の意見を最大限尊重して本取引に関する意思決定を行うこととし、本特別委員会が本取引を実施することが妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は本取引の実施を決定しないこと、並びに、本特別委員会に対して、(a)当社と公開買付者との交渉方針に関して意見を述べ、交渉担当者に対して指示・要請を行う権限、及び必要に応じて公開買付者と直接交渉を行う権限、(b)本諮問事項に関する検討及び判断を行うに際し、必要に応じ本特別委員会独自のリーガル・アドバイザー、ファイナンシャル・アドバイザー、第三者算定機関その他のアドバイザーを選任若しくは指名する権限、又は、当社のリーガル・アドバイザー、ファイナンシャル・アドバイザー、第三者算定機関その他のアドバイザーに対して専門的助言を求める権限、並びに、(c)必要に応じ、当社の役職員その他本特別委員会が必要と認める者から本諮問事項の検討及び判断に必要な一切の情報を収集する権限をそれぞれ付与すること等を決議している。また、実際に本特別委員会は、当社及びAGS FASから、公開買付者と当社との間における本取引に係る協議、交渉の経緯及び内容等につき、適時に報告を受けるだけでなく、公開買付者との交渉過程に関与してきた。このように、本特別委員会は、公開買付者との取引条件に関する交渉過程に、当社取締役会を通じて直接かつ実質的に関与してきたことが認められる。
・ 本特別委員会においては、本取引に関する検討過程において適時に西村あさひ及びAGS FASの専門的な助言・意見等を取得しながら、当社の企業価値向上の観点及び一般株主の利益を図る観点から、本取引の目的の正当性・合理性、取引条件の公正性・妥当性及び手続の公正性等について慎重に検討及び協議が行う体制が確保されていたと認められる。
・ 本特別委員会は、公開買付者及び田代氏らから、現状の経営課題、本取引の意義及び目的、本取引のスキーム、本取引後の経営方針、本取引による影響、及び本取引実行に際して想定される条件等について説明を受け、質疑応答を実施した。また、本特別委員会は、当社から、本取引に係る田代氏らとの検討経緯、現在の経営課題や認識しているリスク、本取引が当社の事業及びステークホルダー等に与えうる影響、AGS FASが本株式価値算定書(AGS FAS)の作成にあたり前提とした事業計画の内容、並びに田代氏らの提案内容等に係る事項等に関する説明を受け、これらの事項を含む、かかる現在の経営課題の前提等、事業計画の前提・策定の経緯等についての質疑応答を行い、その合理性を検証した。このように、本特別委員会は非公開情報も含めて重要な情報を入手し、これを踏まえて検討・判断を行うことのできる状況を確保していることが認められる。
・ 本取引の検討に際しては、当社は、本特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、答申内容にかかわらず、固定額の報酬を支払うこととしている。このように、本取引の検討について特別委員会に求められる役割を適切に果たすための特別の報酬が、本取引の成否と関係なく支払われることとなっていることを踏まえると、特別委員が時間的・労力的なコミットメントを行いやすく、かつ本取引の成否から独立した立場から判断を行うための環境が整えられていることが認められる。
・ 当社取締役会は、本公開買付けへの賛否を含め、本特別委員会の意見を最大限尊重して本取引に関する意思決定を行うこととし、本特別委員会が本取引を実施することが妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は本取引の実施を決定しないことを決議している。このように、本取引については取締役会が特別委員会の意見を最大限尊重して意思決定を行うことのできる体制が確保されていることが認められる。
・ 本取引の検討に際しては、本取引の提案を実施した田代氏ら、及び、当社の一般株主と異なる利害関係に基づいて本取引の賛否を判断するインセンティブが生じるおそれがあると考えられる社外監査役の太田義弘氏が当社の意思決定過程に不当な影響力を行使することを防止するため、本取引に関連した当社取締役会の審議及び決議からは除外され、本取引に関する当社における検討・交渉過程にも一切関与していない。また、当社は、2025年5月14日、田代氏らより本取引の提案書を受領し、当社が当該提案について検討を開始した段階で、その後の当社における本取引の検討・交渉を進めるにあたり、本取引に利害関係を有しない取締役である嶋崎壽夫氏を中心とした事務局を組成した。このように、本取引の検討・交渉に際しては、公開買付者らから独立した社内検討体制、並びに利害関係を有する取締役及び監査役を本取引の検討・交渉に関与させない体制が当社に構築されていたことが認められる。
・ 本取引においては、当社は、本公開買付けに係る当社取締役会の意思決定の過程における公正性及び適正性を確保するために、公開買付者ら及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして西村あさひを選任し、同事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けていたことが認められる。
・ 本取引の検討に際して、当社は、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の過程における公正性を担保するために、公開買付者ら及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてAGS FASを選任して当社株式の株式価値の算定を依頼し、本株式価値算定書(AGS FAS)を取得している。
・ 本取引においては、公開買付期間が法令に定められた最短期間である20営業日を超える30営業日に設定されている。また、公開買付者は、当社が対抗的買収提案者と接触することを制限するような内容の合意を行っていないとのことである。このように、対抗的な買付け等の機会が確保されている事情からは、公開買付期間が30営業日に設定されていることと併せて、本公開買付けの公正性の担保に配慮した、いわゆる間接的なマーケット・チェックが実施されていることが認められる。
・ 本公開買付けにおいて、公開買付者と重要な利害関係を有さない当社の株主が所有する当社株式の数の過半数(いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティに相当する数)を上回るように設定されていないが、本取引後も経営に関与する渡邉正禮氏の所有株式数、及び自己が所有する当社株式の全てを本公開買付けに応募する旨を公開買付者との間で合意する予定である者の所有株式数を勘案し、本公開買付けにマジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定した場合の買付予定数の下限の高さや、一般株主の中には、本公開買付に賛同していたとしても応募が困難な株主が一定数含まれることも勘案すると、本公開買付けの成立を過度に不安定にし、応募する少数株主の利益に資さない可能性が認められる。さらに、本取引においては、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件が設定されていないものの、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施していることから、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えることができ、本公開買付けと重要な利害関係を有しない一般株主の過半数の賛同(応募)を要しないとしても、一般株主にとって不利益な取引条件で本取引が行われるものとは認められないと考えられる。
・ 当社の開示資料において、①本特別委員会の委員の独立性、専門性に関する情報、②本特別委員会の意見を最大限尊重する旨の当社取締役会の決議内容、③本特別委員会の検討経過、④本特別委員会が当社と公開買付者との間の交渉に実質的に関与したことに関する情報、⑤本特別委員会の答申内容及びその理由、及び⑥本特別委員会の委員が役員報酬とは別個に報酬を受領して本特別委員会に臨んでいる旨が開示される予定であるから、特別委員会に関して「公正なM&Aの在り方に関する指針」が求める情報は十分に開示されるものと認められる。
・ 本取引においては、①本公開買付け後の本スクイーズアウト手続は株式併合又は株式売渡請求により行うことが予定されており、本取引に反対する株主に株主買取請求権又は価格決定請求権が確保できないスキームは採用されておらず、②(i)本公開買付けが成立した場合には速やかにスクイーズアウトを行う旨、及び(ⅱ)スクイーズアウト時の価格は本公開買付価格と同一の価格を基準にする旨が開示される予定である。そのため、一般株主に対する強圧性を生じさせないような配慮がなされている。
Ⅳ.本取引が当社の一般株主にとって公正なものであるか
上記Ⅰ.乃至Ⅲ.の検討のとおり、本取引は、当社の一般株主にとって公正なものであると考えられる。
Ⅴ.当社取締役会が本公開買付けに対して賛同する意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非
上記Ⅰ.乃至Ⅳ.の検討のとおり、本取引の目的は正当性・合理性を有すると考えられること、本取引の取引条件は公正・妥当であると考えられること、及び本取引に係る手続は公正なものであると考えられることから、当社取締役会が本公開買付けに賛同意見を表明し、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することは妥当であると考えられる。
当社は、AGS FASより取得した本株式価値算定書(AGS FAS)、西村あさひから得た法的助言を踏まえつつ、本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本公開買付けを含む本取引の諸条件について慎重に検討しました。その結果、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社取締役会は、本公開買付けについて、本公開買付けにより当社の企業価値が向上すると見込まれるとともに、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2025年8月8日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社取締役(代表取締役社長である渡邉正禮氏及び取締役である田代氏を除く6名)の全員一致で、本公開買付けへの賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をいたしました。当該取締役会には、当社監査役(太田義弘氏を除く2名)が出席し、出席した監査役はいずれも上記決議を行うことについて異議がない旨の意見を述べております。
なお、当社の取締役のうち、田代氏らは、それぞれ、本取引の提案者であるとともに本取引終了後も継続して当社の代表取締役又は取締役として当社の経営にあたることを予定しているため、当社取締役会における本公開買付けへの意見表明に係る議案の審議及び決議には一切参加しておらず、また、本取引に関し、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切参加しておりません。また、当社の監査役である太田義弘氏は、公開買付者と本応募契約(三桂製作所)を締結している三桂製作所の顧問を兼務しているため、当社取締役会における本公開買付けへの意見表明に係る議案の審議及び決議には一切参加しておらず、また、本取引に関し、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切参加しておりません。
当社は構造的な利益相反の問題を排除する観点から、公開買付者らから独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築いたしました。具体的には、代表取締役社長である渡邉正禮氏及び取締役である田代氏は、それぞれ、本取引の提案者であるとともに本取引終了後も継続して当社の代表取締役又は取締役として当社の経営にあたることを予定していることから、それぞれ本取引に関して当社と構造的な利益相反状態にあるため、本取引に関する当社取締役会における審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において公開買付者らとの協議及び交渉にも一切参加しておりません。また、当社の監査役である太田義弘氏は、公開買付者と本応募契約(三桂製作所)を締結している三桂製作所の顧問を兼務していることから、本取引に関して当社と構造的な利益相反状態にあるため、本取引に関する当社取締役会における審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において公開買付者らとの協議及び交渉にも一切参加しておりません。当該検討体制は、全て公開買付者らから独立性の認められる役職員のみで構成することとし、本書提出日に至るまでかかる取扱いを継続しております。
また、当社の検討体制(本取引の検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)に独立性・公正性の観点から問題がないことについては、本特別委員会の確認を得ております。
公開買付者は、法令において定められた公開買付けに係る買付け等の最短期間が20営業日であるところ、公開買付期間を30営業日に設定しているとのことです。公開買付期間を法定最短期間より長期に設定することにより、当社の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するとともに、当社株式について公開買付者以外の者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保することにより、本公開買付けの公正性を担保することを企図しているとのことです。
また、公開買付者は、当社との間で、公開買付者以外の者による公開買付け等の機会が不当に制限されることがないよう、当社が公開買付者以外の対抗的買収提案者と接触することを制限するような合意は行っておらず、上記公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しているとのことです。
公開買付者は、2025年8月8日付で、三桂製作所との間で本応募契約(三桂製作所)を締結し、本公開買付けが開始された場合、三桂製作所が所有する当社株式517,000株(所有割合:33.75%)の全てについて本公開買付けへ応募し、かかる応募を撤回せず、応募の結果成立した応募対象株式の買付けに係る契約を解除しない旨を合意しているとのことです。なお、本応募契約(三桂製作所)において、三桂製作所による応募の前提条件は定めていないとのことです。
また、本応募契約(三桂製作所)以外に、三桂製作所との間で本公開買付けに関する合意は存在せず、また、本公開買付けにおいて三桂製作所が応募する当社株式に係る対価以外に、本取引に関して公開買付者から三桂製作所に対して供与される利益は存在しないとのことです。
公開買付者は、2025年8月8日付で、三桂興産との間で本応募契約(三桂興産)を締結し、本公開買付けが開始された場合、三桂興産が所有する当社株式67,100株(所有割合:4.38%)の全てについて本公開買付けへ応募し、かかる応募を撤回せず、応募の結果成立した応募対象株式の買付けに係る契約を解除しない旨を合意しているとのことです。なお、本応募契約(三桂興産)において、三桂興産による応募の前提条件は定めていないとのことです。
また、本応募契約(三桂興産)以外に、三桂興産との間で本公開買付けに関する合意は存在せず、また、本公開買付けにおいて三桂興産が応募する当社株式に係る対価以外に、本取引に関して公開買付者から三桂興産に対して供与される利益は存在しないとのことです。
公開買付者は、2025年8月8日付で、富士電化工業との間で本応募契約(富士電化工業)を締結し、本公開買付けが開始された場合、富士電化工業が所有する当社株式15,900株(所有割合:1.04%)の全てについて本公開買付けへ応募し、かかる応募を撤回せず、応募の結果成立した応募対象株式の買付けに係る契約を解除しない旨を合意しているとのことです。なお、本応募契約(富士電化工業)において、富士電化工業による応募の前提条件は定めていないとのことです。
また、本応募契約(富士電化工業)以外に、富士電化工業との間で本公開買付けに関する合意は存在せず、また、本公開買付けにおいて富士電化工業が応募する当社株式に係る対価以外に、本取引に関して公開買付者から富士電化工業に対して供与される利益は存在しないとのことです。
公開買付者は、2025年8月8日付で、三桂精機との間で本応募契約(三桂精機)を締結し、本公開買付けが開始された場合、三桂精機が所有する当社株式10,500株(所有割合:0.69%)の全てについて本公開買付けへ応募し、かかる応募を撤回せず、応募の結果成立した応募対象株式の買付けに係る契約を解除しない旨を合意しているとのことです。なお、本応募契約(三桂精機)において、三桂精機による応募の前提条件は定めていないとのことです。
また、本応募契約(三桂精機)以外に、三桂精機との間で本公開買付けに関する合意は存在せず、また、本公開買付けにおいて三桂精機が応募する当社株式に係る対価以外に、本取引に関して公開買付者から三桂精機に対して供与される利益は存在しないとのことです。
公開買付者は、2025年8月8日付で、渡邉正禮氏及び渡邉正禮氏親族との間で、その所有する当社株式(所有株式数:400,597株、所有割合:26.15%)の全てについて、本公開買付けに応募する旨を口頭で合意しているとのことです。なお、本応募合意(渡邉正禮氏)及び本応募合意(渡邉正禮氏親族)において、渡邉正禮氏及び渡邉正禮氏親族による応募の前提条件は合意の内容に含まれていないとのことです。
また、本応募合意(渡邉正禮氏)及び本応募合意(渡邉正禮氏親族)以外に、渡邉正禮氏及び渡邉正禮氏親族との間で本公開買付けに関する合意は存在せず、また、本公開買付けにおいて渡邉正禮氏及び渡邉正禮氏親族が応募する当社株式に係る対価以外に、本取引に関して公開買付者から渡邉正禮氏及び渡邉正禮氏親族に対して供与される利益は存在しないとのことです。
4 【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】
(注1) 役職名、所有株式数及び議決権の数は、本書提出日現在のものです。
(注2) 取締役 中本晴邦氏は社外取締役であります。監査役 太田義弘氏及び秋元弘光氏は社外監査役であります。
5 【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】
6 【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】
7 【公開買付者に対する質問】
8 【公開買付期間の延長請求】
以 上