第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当企業集団(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当企業集団は、企業理念の第1項として『わたしたちは、環境・安全・安心をテーマにお客様と協働し、生活者の「幸せ」に寄与することを基本使命とします』を掲げております。これは、お客様と同じ視点で、お客様と一緒になって生活者の食生活品質(おいしさと安心、健康、利便性、楽しさ、衛生、鮮度、環境、本物志向など)の向上を考え実現することが最も重要と考えているからです。今後も企業理念に掲げる「幸せ」四則 ①生活者の「幸せ」に寄与 ②お客様の「幸せ」に貢献 ③社員の物心両面の「幸せ」を追求 ④株主各位やお取引先に「幸せ」を提供 その実現に邁進してまいります。

(2) 目標とする経営指標

当企業集団は、利益重視の観点から連結売上高営業利益率10.0%を目標に掲げ、売上拡大を図りつつ付加価値の高い製品の開発・販売及びコスト力の強化を図ってまいります。当期の連結売上高営業利益率は12.7%となりました。

(3) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

当企業集団を取り巻く環境は、エネルギーコスト及び原材料価格の高騰や、通商政策などアメリカの政策動向をはじめとした世界的な政情不安を背景に先行き不透明な状況が続くと予想されます。当企業集団は、社員の人間性、製品・サービス技術力の向上でお客様との信頼関係を構築し、「食といのちの未来を拓く挑戦者」として、広く社会に貢献できる「幸せ創造企業」の実現を目指します。

具体的には下記の課題に取り組んでまいります。

①フードサービス販売では、インバウンド需要により回復基調である一方、人手不足でお困りの飲食店やホテル・レジャー施設などへ2024年4月にグループ入りした日本洗浄機株式会社の食器洗浄機や自動調理機器などの新たな厨房機器や過去から積み上げた凍結解凍技術を駆使したハードとソフトの両面でお客様に徹底的に寄り添った提案営業を行い、一緒に課題を解決してまいります。

※当連結会計年度より連結子会社となった日本洗浄機株式会社の数値を合算するため、従来「冷凍冷蔵庫販 売」としていた販売区分を「フードサービス販売」に名称変更し記載しております。

②医療・理化学製品販売では、環境に配慮した製品の開発や、食の分野で培った精度の高い温度管理を実現するシステム提案を強化することで医療機関向け、薬卸、再生医療関連市場へ引き続き貢献してまいります。特に再生医療については、2024年より入居した「未来医療国際拠点Nakanoshima Qross」に「ガリレイ未来医療国際拠点GIFT(ギフト)」を開設いたしました。細胞大量製造システムに係る開発コンソーシアムに参画し、再生医療の産業化に貢献してまいります。

③冷凍冷蔵ショーケース販売では、スーパーマーケットやドラッグストアにおける全国カバー率の向上、コンビニエンスストア向け製品の開発強化など、販売拡大とシェアアップに対応できる生産体制を構築すべく滋賀県湖南市に新工場建設を計画しております。また、昨今のエネルギーコスト高騰に対し、省エネ性と環境負荷の低い製品の開発や次世代空調システムとして店舗の省エネ・快適性を実現するガリレイエアテックシステムの提案を進め、店舗の電気使用量を抑えるとともに、生活者が買い物しやすい環境づくりに貢献してまいります。

④大型食品加工機械販売では、引き続き冷凍食品やチルド弁当をはじめとした食品メーカー向けのトンネルフリーザーなどの製品開発や「適材適冷」をキーワードに、食品・食材ごとにお客様に最適な冷凍技術や機器提案を強化してまいります。また、新規市場開拓や海外案件に積極的に取り組んでまいります。

⑤エンジニアリング事業※では、食品工場や物流の現場で直面している人手不足や、老朽化に伴う施設改修などの課題に対し、自社で設計、施工、メンテナンスを一貫して担えることを強みに、お客様にお役立ちしてまいります。併せて保守契約の提案を進め、お客様と継続的なリレーションシップ構築を目指します。

※当社では主に、大型プレハブ冷蔵庫・冷蔵倉庫・食品工場の設計、設備、調達、施工を行うことを指しています。

 

⑥サービス・工事事業では、人員増強をさらに推し進め、全国のメンテナンス・施工体制の充実を図り、引き続きメーカーメンテナンス・施工技術を提供してまいります。さらにサービス事業では、取り組みを進めている「Zero Call Company(ZCC)」において、AIを活用したスマート診断の精度向上とプレメンテナンス拡充を実施し、2024年4月からスタートした「冷媒ガス漏れ10年保証」を推進し、製品故障に伴うフードロスの低減や冷媒漏洩量の削減に貢献していきます。

⑦海外事業では、2030年までの中期経営計画「GALILEI Global Vision 2030(GGV2030)」を2024年6月に策定し、その施策として重点国と定めたベトナム、インドネシア、タイで順次ショールームを立ち上げています。グループの各製品だけでなく、これまで培ってきた凍結解凍技術などのソフト提案の強化を図り、今後もグローバル企業としての進化を目指します。

⑧多様な人材が固有の能力を発揮できるよう、職場環境の整備と健康経営の実践で、「働き方改革」を推進します。また、事業の拡大を図るため、優秀な人材の確保及び育成が重要課題と考え、サービス・工事事業の専門人材育成を目的とした「ガリレイアカデミー」などへの取り組みを行っております。今後は、サービス・工事の協力会社の技術者不足などの課題に対応するため、協力会社向けにも取り組みの幅を広げ、次世代のコールドチェーンを支える人材育成に努めてまいります。

⑨取引先との連携・共存共栄を進めるため、国内工場の主要取引先向け「GALILEI Supplier Hub」、サービス・工事の協力会社向け「GALILEI Contractor Hub」にて、技術交流の推進、並びに業務支援を継続的に取り組んでいます。また、「ガリレイグループサステナブル調達ガイドライン」を策定し、取引先へ当社グループの方針を周知するとともに理解と実践を求めています。引き続き取引先との関係強化を図ることで、メーカーとしての供給義務を果たし、持続可能なサプライチェーンの実現に取り組んでまいります。

⑩環境先進企業として、GWP(地球温暖化係数)の低いグリーン冷媒への転換(加重平均GWP:2029年目標値150(内蔵型)、750(別置型))や冷媒ガス漏洩防止に取り組み、製品ライフサイクルにおいて環境性能の高い製品を開発・提供し、最新の省エネ技術の積極導入や再生可能エネルギーの活用などを通じて、バリューチェーン全体でCO2排出量削減に貢献してまいります。

⑪2025年2月19日、当社は、公正取引委員会から、当社が下請代金支払遅延等防止法(以下、「下請法」)によ って禁止されている、「価格協力」及び「事務手数料」の徴収による下請代金の減額並びに「価格協力」による不当な経済上の利益の提供の要請を行っていたとして、同法に基づいて、是正勧告(以下、「本勧告」)を受けました。これを受けて、当社は、2025年2月25日に本勧告に従って、これらの当社の一連の行為が同法に違反することを確認する旨と、下請法遵守マニュアルの見直しなどの社内体制の整備や社内研修の実施といった再発防止策を行うことを内容とする取締役会決議を行い、直ちに一連の再発防止策を実施致しました。当社グループでは、この事態を真摯に受け止めるとともに、リスク管理委員会によるグループ全体のリスク管理や内部監査強化により、今後より一層コンプライアンスを徹底し、信頼の回復に努めてまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取り組み】

(1) サステナビリティに関する考え方

ガリレイグループは、企業理念の実現のため、事業活動を通じて社会課題の解決に取り組み、持続可能な社会の実現と中長期的な企業価値の向上を目指すことを掲げた「サステナビリティ基本方針」を、2023年9月に制定しました。また、「食といのちの未来を拓く」というパーパスの実現に向けて、8つのマテリアリティ(重要課題)を特定しております。これらの課題解決を通じて社会や生活者の皆さまへ様々な新しい価値を提供し続け、持続可能な社会の実現と、中長期的な企業価値の向上を目指します。

①ガバナンス

ガリレイグループ全体でサステナビリティの推進を行うため、グループ横断のサステナビリティ委員会を設置しております。委員長は代表取締役 福島豪、メンバーはグループ戦略会議の出席者及び委員長が指名した役職員です。委員会は四半期に一度開催され、サステナビリティ全般に関する事項を議論する体制を整えております。

また、サステナビリティ委員会の中にマテリアリティ分科会を設置し、分科会では各マテリアリティの具体的なアクションを検討する役割を担っております。なお、サステナビリティの推進に関する状況については、定期的に取締役会に報告しております。

②戦略

ガリレイグループは、事業を通じて解決していくべき社会課題を抽出、検討し、8つのマテリアリティ(重要課題)を特定しております。各マテリアリティに対しては中長期的に取り組んでいく具体的な取り組み及び指標・目標を設定し、パーパスの実現を目指し、グループ全体で取り組んでおります。

③リスク管理

リスク管理委員会を設置し、定期的なリスクアセスメントを実施しております。特定したリスクについては発生頻度と影響度により重要性を評価し、リスクが高いと判断したものから優先的に対応策を検討、推進することで、リスク管理を行っております。なお、リスク管理の状況については、定期的に取締役会に報告されます。

また、各マテリアリティの具体的な取り組みについては、ISO14001のPDCAサイクルに沿って全社的に管理しております。指標・目標の進捗状況の管理、達成に向けたアクションについては、サステナビリティ委員会に報告され、マテリアリティごとの指標及び目標の進捗状況の管理、達成に向けた施策を検討しております。

④指標及び目標

マテリアリティごとに中長期的に取り組んでいく指標と目標を設定しており、その詳細は以下の表をご参照ください。

 

8つのマテリアリティと指標及び目標

提供価値

マテリアリティ

具体的な取り組み

指標

目標年

目標

おいしさの喜びと感動をアップデート

①生活者のくらしを向上

MILABを活用した産官学連携による共創の推進

MILAB利用者数

2025年

7,000人/年

食のスタートアップ企業育成

スタートアップ支援数

2030年

累計30社、

2社上場

食のライフラインを支えゆたかな暮らしへ

②フードロスの低減

フードロス低減に貢献する技術開発

フードロス低減に貢献する製品、システム、サービスの提供

アジアのコールドチェーンの発展に貢献

製品、サービスを通じたフードロス低減貢献量

2030年

150,000t/年

③持続可能な

サプライチェーンの実現

サステナブル調達ガイドライン浸透
サステナブル調達の推進

サステナブル調達ガイドラインに沿った調達(アンケート回収率)

2025年

90%

2030年

100%

サプライチェーン最適化の推進

内製化、強靭化、デジタル化の推進

2025年

定性評価

Zero Call Companyの推進

スマート診断によるプレメンテナンス実施件数

2030年

3,000件/年

地球上すべてのいのちをいきいきと健康的に

④健康的な生活への支援

再生医療、ヘルスケア領域への多様なアプローチ

再生医療、ヘルスケア等の新規領域の製品開発

2025年

定性評価

メディカル、ヘルスケアへの貢献

メディカル、

ヘルスケアに貢献する製品、

システム、サービス提供件数

2030年

20,000件/年

⑤脱炭素社会の実現

グリーン冷媒への転換

加重平均GWP

2029年

150以下(内蔵型)
750以下(別置型)

冷媒ガス漏洩防止

冷媒漏洩量

2035年

0t-CO2/年

環境性能の高い製品を開発・提供

LCA評価による環境負荷の少ない製品への移行

2030年

定性評価

CO2排出量削減

ガリレイグループCO2排出量削減率

2030年
2050年

2013年比▲50%
 2013年比▲100%

バリューチェーン全体のCO2排出量削減への取り組み

2030年

定性評価

世界中の一人ひとりのしあわせに貢献

⑥地域社会との共生

ガリレイ1%クラブを通じた社会貢献活動の推進

ガリレイ1%クラブ活動実施件数

2030年

200件/年

ボランティア参加人数

2030年

1000人/年

地域コミュニティや自治体との連携を通して地域社会に貢献

地域コミュニティや自治体との連携推進

2030年

定性評価

⑦人材の育成

人材の育成、教育制度の継続的強化

一人当たり研修時間

2030年

20時間/人

ガリレイアカデミー推進・拡大

技術者養成学校運営による
冷熱技術者の育成

2025年

定性評価

⑧多様な人材の活躍

従業員エンゲージメントの向上

エンゲージメントスコア全社平均

2030年

65

人材基盤の多様性確保
(女性活躍推進、中途採用拡充、若年層の離職低減、シニア人材活用、外国人登用拡充)

女性役員比率

2030年

30

女性管理職比率

10

海外グループ会社の現地社員の
管理職比率

55

働きやすい職場環境と

多様な働き方の整備

時間外労働平均時間

2025年

15時間/月

有給休暇取得率

70

 

 

 

(2) 気候変動に関する具体的な取り組み

ガリレイグループは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、TCFDに沿ってリスク・機会のシナリオ分析をするなど、取り組みを進めております。

①ガバナンス

ガリレイグループ全体でサステナビリティ推進を行うため、サステナビリティ委員会を設置しております。気候変動についてもサステナビリティ委員会の中の「脱炭素社会の実現」に関する分科会において、分科会の責任者の下、推進活動を行っております。

②戦略

ガリレイグループは、気候変動対策に取り組み、持続可能な地球環境を次世代に引き渡すことを目的に、サステナブルビジョン「Dramatic Future2050」を策定しております。2050年までの「カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現」に向け、「環境ビジョン2050」を掲げ、それを実現するためのアクションとして「環境アクション2030」を策定し、環境先進企業としてステークホルダーからの期待、社会に対して責任を果たしていきます。当社グループでは気候上昇のシナリオとして1.5℃及び4℃の温度帯を想定し、シナリオ分析を実施しております。シナリオ分析の詳細は、以下の表をご参照ください。

 

気候変動領域における主なリスク・機会

リスク

機会

種類

リスク・機会の概要

財務的影響

対処

1.5℃

4℃

リスク

移行

リスク

冷媒規制の強化と対応コストの増加(製品・拠点)

・環境アクション2030「グリーン冷媒への転換」、「冷媒ガス漏洩防止」推進

・新冷媒取扱いのための設備投資、技術習得のための研究開発、教育訓練

省エネルギー規制の強化と対応コストの増加(製品・拠点)

・環境アクション2030「環境性能の高い製品を開発・提供」推進

炭素税の導入によるコストの増加

・環境アクション2030「CO2排出量削減」推進

原材料価格・調達コストの増加

・「GALILEI Supplier Hub」、「GALILEI Contractor Hub」発足。サプライチェーンと協働した対策の強化、売価への転嫁

物理

リスク

自然災害の甚大化などの異常気象の深刻化による操業影響

・BCPの策定、高リスク事業拠点の代替策計画

サプライチェーンの寸断による調達遅延

・複数購買、部品の共通化、在庫水準の引き上げ

機会

製品・サービス

環境対応製品の需要増(グリーン冷媒・省エネ製品)

・環境アクション2030「グリーン冷媒への転換」、「環境性能の高い製品を開発・提供」推進

断熱パネルの非冷空間への用途拡大

・非冷空間へのパネル化の推進

・高断熱住宅等への技術応用の推進

Zero Call Company推進による顧客信頼獲得

・環境アクション2030「冷媒ガス漏洩防止」推進

コールドチェーンの拡大による冷凍設備・パネルの需要増

・食の上流へのグループシナジーの拡大

・生産性、施工性の向上推進

エネルギー源

再生可能エネルギーの低コスト化

・再生可能エネルギーの有効活用

 

 

③リスク管理

気候変動に関するリスク管理については、サステナビリティ委員会の中の「脱炭素社会の実現」に関する分科会において行っております。

④指標及び目標

「環境アクション2030」のアクションごとに指標と目標を設定しています。取り組みテーマと中長期目標については、以下の表をご参照ください

 

重点取り組みテーマの中長期目標

重点取り組みテーマ

指標

中長期目標

目標

目標年

グリーン冷媒への転換

冷凍機内蔵製品

加重平均GWP(単位:GWP

150以下

2029

冷凍機別置製品及び工事

加重平均GWP(単位:GWP)

750以下

2029

お客様製品・設備

フロン冷媒が封入されている環境負荷の高い製品の切換を推進

-

毎年

冷媒ガス漏洩防止

冷媒漏洩量

10年以内の製品・施工物件の冷媒漏洩量(単位:t-CO2)

0

2035

冷凍機内蔵製品

フロン冷媒漏れ10年保証

開始

2025

冷凍機別置製品及び工事

保守契約によるフロン冷媒漏れ10年保証

開始

2025

環境性能の高い製品を開発・提供

LCA評価実施

主要機種のLCA評価を実施

公表

2023

環境配慮製品へ移行

LCA評価より環境負荷の少ない製品へ移行

-

毎年

CO2排出量削減

脱炭素

Scope1・2 CO2排出量(絶対量)削減率(基準年:2013年)

50%

2030

お客様との協働によるCO2排出削減貢献

-

毎年

 

 

<中長期CO2排出量削減目標>

2030年目標 Scope1・2 50%削減

2050年目標 Scope1・2 ネット・ゼロ

 

Scope1・2・3排出量の実績は、当社ホームページをご参照ください。なお、2023年度の当該数値については、第三者検証を受けております。集計範囲、算出方法及び第三者保証の詳細については、当社ホームページ掲載の検証意見書をご参照ください。

https://www.galilei-group.co.jp/sustainability/esg-data/index.html

 

 

(3)人的資本に関する取り組み

①人材の育成に関する方針

ガリレイグループでは、「食といのちの未来を拓く」人材を育てるための教育制度の整備、教育体制の整備、従業員エンゲージメントの向上に取り組んでおります。

冷凍冷蔵技術は、食のインフラを支えていくうえでなくてはならない技術です。技術向上と技術サービスの安定供給を指して、2022年に「ガリレイアカデミー」を設立し、2024年度は61名の卒業生を輩出しました。あわせて、近年成長しているエンジニアリング事業分野における技術力の強化のため、建設業関連資格の保有者の増員を目指し、資格取得手当の充実や社内講師によるWEB研修「ガリレイ塾」などでフォローアップをしております。着実に効果も表れており、2022年3月末時点と比較し、一級管工事施工管理技士の保有者数は78.4%増となりました。2023年度からは営業職の新入社員を対象に、営業として必要な基本技術や現場知識を実際の体験を通じて習得していく「営業アカデミー」を開校し、配属後の不安解消やより早期に活躍できるよう取り組んでおります。

また、階層別研修を実施し、全社研修制度の拡充を図っております。入社時の研修だけではなく、中堅社員の成長・キャリアアップ支援、組織力強化のための研修、管理職向けのマネジメントスキル習得のための研修などを実施しております。

2027年春には“ガリレイバリューアップセンター”を設立し、食といのちの未来を拓く育成・開発拠点として、人と技術を共に育てていきます。

社内環境整備に関する方針

ガリレイグループは、従業員の物心両面の「幸せ」の追求を基本使命の一つとして掲げており、従業員一人ひとりが安心して働ける職場づくりと働きがいが得られる環境づくりを推進しております。

2022年よりエンゲージメントサーベイを実施しており、従業員一人ひとりが安心して働ける職場であるかどうか、働きがいを得られているかどうかを評価・把握し、職場改善活動を推進しております。今後はサーベイ及び職場改善の取り組みを全社で共有し、制度改革や風土醸成に活かしていきます。

また、物価上昇など社会状況への対応ならびに従業員のエンゲージメント向上、優秀な人材の確保を目的に、2023年度より賃上げを実施し、2024年度は5.2%増となりました。

③ダイバーシティ&インクルージョン推進に関する方針

ガリレイグループは、従業員一人ひとりが国籍、人種、信条、性別、障がい等に関わりなくお互いの多様性を認め合い、個性や能力を活かし挑戦できる職場環境づくりに取り組むことで、新しい価値創造を実現します。

2015年より「キラリ推進室」という専門部署を設けてダイバーシティを推進しており、特に女性の活躍推進について「採用」、「定着」、「活躍」の観点から目標を掲げ、働きやすい職場づくりに向けた就業継続や、活躍を支援するための施策を展開しております。

引き続き2024年度も外国人採用、男性育休、シニアの賃金改定などの取り組みも行っており、多様な人材が活躍できる職場環境づくりに努めております。また、ノー残業デーの実施、在宅勤務の活用、インターバル制度の導入などにより長時間労働の抑制に努め、また計画的な有給休暇取得によるワークライフバランスを実践しております。

④健康経営に関する方針
ガリレイグループは、「幸せ創造企業」を目指し、心と体の健康増進に取り組み、明るく元気な職場を推進するとともに、フードビジネスを通じて生活者の健康増進を応援することを宣言しております。また、従業員自身が自律的に健康の保持・増進に取り組むことを積極的に支援すること、疾病の早期発見と予防に努め、サポートの充実を図ること、仕事と生活の調和を実現し、育児や介護、病気等の状況に応じて働くことのできる、多様な働き方を推進することを方針として掲げております。

2021年には健康施策の企画・立案・実行・効果検証を行う健康経営委員会(通称:アオハル隊)を発足しました。アオハル隊では、従業員が心も体も健康であり続け、豊かな人生を送れるよう、全従業員向けに保健師による健康講座、管理職向けにラインケア研修、ハラスメント防止研修を実施するなど、従業員の健康維持・増進を支援する活動を行っております。

 なお、健康経営の詳細は、当社ホームページをご参照ください。

https://www.galilei-group.co.jp/sustainability/social/work-environment/

 

⑤人的資本に関する指標及び目標

「人材の育成」及び「多様な人材の活躍」のマテリアリティに関する指標・目標を定め、サステナビリティ委員会の分科会の責任者の下、推進活動を行っております。

 なお、人的資本に関する目標については、(1) サステナビリティに関する考え方の④指標及び目標「8つのマテリアリティと指標及び目標」を、実績については当社ホームページをご参照ください。

 https://www.galilei-group.co.jp/sustainability/esg-data/index.html

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した当企業集団の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項として、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当企業集団が判断したものであります。

(1) 経済状況

当企業集団の営業収入のうち、重要な部分を占める冷凍冷蔵庫・冷凍冷蔵ショーケース販売の需要は、当企業集団が販売している国または地域の流通業界、外食産業等の経営環境に影響を受けます。当企業集団を取り巻く市場の景気後退によるスーパーマーケット・百貨店等での売上高の鈍化、個人消費の低迷による外食産業の収益悪化、或いは産地偽装等の食品の安全性懸念による市況の悪化等のほか、新たな感染症の発生により大規模なパンデミックが生じた場合の感染拡大防止措置による需要の減少、また、顧客の財政状態の悪化により売掛債権を回収できない場合等には、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2) 価格競争

既存の冷凍冷蔵庫・冷凍冷蔵ショーケースの商品群においては、競合メーカーとの競争は大変厳しいものになっております。当企業集団は、コスト低減だけでなく、他社にはない技術、ソフト、サービス力などを武器に高付加価値商品を提供してまいりますが、これらの企業努力を超えて低価格競争が激化した場合には当企業集団の利益の維持及び確保が困難となり、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります

 

(3) 知的所有権について

当企業集団は、研究開発活動上様々な知的所有権を使用しており、それらは当企業集団所有のものであるか或いは適法に使用許諾を受けたものであると認識しておりますが、当社の認識の範囲外で第三者の知的所有権を侵害しているとの申し立てがなされる可能性があります。また、知的所有権を巡っての係争が発生した場合には、多額の費用と経営資源が費やされ、当企業集団が重要な技術を利用できなくなることや多額の損害賠償責任を負うなどにより、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4) 製品及び工事の欠陥

製品及び工事施工の品質管理には万全を期すとともに、問題発生時の製品の無償修理費用に備える製品保証引当金の設定及びPL保険等に加入しておりますが、契約不適合責任及び製造物責任による損害賠償や対策費用が多額に発生した場合や、当該事象の発生により当企業集団のイメージが低下し、需要の減少を惹起した場合には、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5) 法的規制

当企業集団では、日本及び諸外国・地域における関連法令等を遵守して事業運営を行っており、現時点で事業の運営に支障をきたすような法的規制はありませんが、より厳格な法的規制の導入や当局による解釈変更があった場合には、事業運営の一部に制限を受ける可能性があります。また、当企業集団の商品群にはフロン等の環境法的規制を受ける冷媒が含まれるため、フロン等に比べ地球温暖化係数の低い自然冷媒を用いた商品群の充実を図っておりますが、将来、環境に関する規制がより厳しくなるなど、今後の法的規制の改正内容によっては、事業展開等に影響を受ける可能性があります。

 

(6) コンプライアンスリスク

当企業集団は、「企業行動憲章」において、国内外の関係法令や国際ルールを遵守し、透明で公正な企業活動を行うことを定め、当企業集団の従業員に対し、年間を通じてコンプライアンスの徹底に取り組み、倫理・法令遵守意識の強化に努めております。このような取り組みに関わらず、当企業集団においてコンプライアンス違反行為が発生した場合や、コンプライアンス上の問題に直面した場合には、課徴金等の行政処分、刑事処分及び損害賠償請求の対象となり、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、当該事象の発生により当企業集団のイメージが低下し、需要の減少を惹起した場合には、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。なお、当社は、当事業年度において、下請法に基づく是正勧告を受けており、直ちにその再発防止策を実施いたしました。この件については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題」に記載しております。

 

 

(7) 退職給付債務

当企業集団の従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されております。割引率の低下や運用利回りの悪化は当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(8) 有価証券の価値変動リスク

当企業集団は2025年3月末時点で、取引先を中心に113億6千1百万円の市場性のある有価証券を保有しており、これらの市場価格変動のリスクを負っております。同時点での市場価格により評価しますと83億7百万円の含み益となっておりますが、今後の株価等の動向次第でこの数値は変動します。

 

(9) 金利の変動リスク

急激な金利の変動に伴う金融資産や負債の価値への影響により、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(10) 調達資材の供給不足・価格変動等

当企業集団の製品の生産活動に当たっては、鋼材や部品等の資材を適宜に調達しております。当企業集団は、信頼のおける供給元を選定するとともに分散化を図るだけでなく、一定数の在庫を確保するなどしております。しかし、大規模な自然災害や社会不安(戦争、テロ、感染症、地政学的リスク等)による供給元への損害発生や、その倒産等により、供給が不足または中断した場合や需要が急増した場合には、供給元の代替や追加、他の部品への変更が困難な場合があります。

また、供給元とは常に市況価格に留意しながら、随時価格交渉を行っておりますが、昨今の原材料や燃料費等の市況価格の大幅な高騰が調達価格(労務費や運搬コスト等を含む)に波及し、生産性向上などの内部努力や製品価格への転嫁などにより吸収できない場合があります。このような場合には、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(11) 情報セキュリティに関するリスク

当企業集団は、事業活動の過程で、取引先に関する種々の情報を入手しております。また、当企業集団自身の営業秘密も取扱っております。これらの情報保護について社内管理体制を整備しておりますが、システムの不正アクセスやサイバー攻撃を含む外部からの意図的な行為や過失等により、外部に流出する可能性があります。また、当企業集団の製品またはサービスでのインターネットの利用も増加しているため、これらの利用にあたっては、セキュリティ対策に取り組んでおりますが、ネットワークを介した予期せぬ侵入、不正操作などによる情報の外部流出やサービスの停止、製造工程への影響が発生する可能性があります。このような場合には、当企業集団の信用低下や損害賠償責任の発生等により、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、当該事象の発生により当企業集団のイメージが低下し、需要の減少を惹起した場合には、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(12)地政学的リスク

当企業集団は、海外市場においても事業活動を実施しているため、為替リスクに加え、各地域における政情不安(戦争、内乱、紛争、暴動、テロ行為、その他の著しい治安の悪化を含む)、経済動向の不確実性、宗教及び文化の相違等、現地における労使関係等のリスクや、また、投資規制、収益の本国送金に関する規制、現地事業の国有化、輸出入規制や外国為替規制の変更、税率変更等を含む税制改正及び移転価格税制等の国際課税リスク、海外での商慣習の差異といった様々な政治的、法的その他のリスクに直面する可能性があります。そのような場合には、需要の減少やコストの増幅、その他の事業活動への問題発生により、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります

 

(13)優秀な人材の確保

当企業集団の今後の事業活動には、各分野において優秀な人材の確保が不可欠であり、魅力的な企業文化の維持と新たな創出を継続してまいりますが、労働人口が減少傾向にある現況において、採用競争力が低下した場合や人材流出が深刻化した場合には、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

(14)労務管理に関するリスク

従業員の長時間労働は、精神疾患を含めた健康障害の発生や長期休業につながるリスクがあります。また、当企業集団は、従業員が当企業集団の事業所、製造及び施工現場において労働災害を被ることなく、安心して働ける環境の整備を進めておりますが、万が一、重篤な事故や重大な労働災害が発生した場合には、当企業集団の社会的な信用低下や損害賠償責任の発生等により、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、当該事象の発生により当企業集団のイメージが低下し、需要の減少を惹起した場合には、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(15)災害・事故等に関するリスク

当企業集団の活動拠点において、地震、津波、洪水等の自然災害(気候変動によって発生するものを含む)や火災、事故、戦争、テロ行為、感染症の流行等が発生した場合、当企業集団の従業員、設備、情報システム等に多大な損害が生じ、営業及び生産活動が遅延または停止し、損害復旧のための費用が発生するなどにより、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(16)人権に関するリスク

当企業集団は、すべての人が生まれながらにして持つ基本的権利である人権について、尊重する責任を果たすべく、「人権方針」を定め、供給元への人権デュー・デリジェンスの実施や、従業員への人権に関する勉強会を実施し、人権尊重の意識付けに努めておりますが、当企業集団を取り巻く国内外のステークホルダーの人権問題が発生した場合、当企業集団の社会的信用や評価が低下し、当企業集団の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当企業集団の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当企業集団が判断したものであります。

 

(1)経営成績

当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)におけるわが国経済は、物価上昇による一部足踏みが残るものの、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要により個人消費の持ち直しの動きがみられ、景気は緩やかに回復しております。一方で、エネルギーコスト及び原材料価格の高騰や、通商政策などアメリカの政策動向をはじめとした世界的な政情不安を背景に、引き続き先行き不透明な状況にあります。

当企業集団を取り巻く環境は、外食産業では人流の増加やインバウンド需要により回復傾向が続いていますが、米などの原材料費・人件費の高騰に加えて、継続的な物価上昇により消費者の節約志向が高まるなど、先行き不透明な状況にあります。流通産業では、所得環境の改善や商品価格上昇により売上高は回復基調にありますが、物価上昇による消費者の節約志向、店舗のエネルギーコストや原材料価格、人件費の高騰により、設備投資について依然として慎重な傾向が継続しております。しかし、食品製造業界では、エネルギーコストや人件費の高騰などが影響を受けつつも、人手不足に伴う自動化や省人化などの需要が増加しており、食品メーカーや流通産業のプロセスセンターなどを中心に設備投資需要に回復傾向がみられております。また、低温物流業界では、物流の2024年問題と総称される自動車運転業務における労働時間の上限規制への対応や、主要都市を中心とした冷蔵倉庫の満床・老朽化により、物流センター・冷蔵倉庫の建設需要が継続しております。

当連結会計年度より連結子会社となった日本洗浄機株式会社の数値を合算するため、従来「冷凍冷蔵庫販売」としていた販売区分を「フードサービス販売」に名称変更し記載しております。なお、前連結会計年度までの数値についての影響はありません。

フードサービス販売では、外食産業の人手不足問題に省人化で貢献するブラストチラーやドゥコンディショナーなど高単価商品の売上が復調したことに加え、当連結会計年度よりグループ入りし連結子会社となった日本洗浄機株式会社の大手外食チェーン向けの食器洗浄機を中心とした売上が堅調に推移したことなどにより、売上高は305億9千2百万円(前年比20.3%増)となりました。

医療・理化学製品販売では、薬用保冷庫の調剤薬局・ドラッグストア向け販売が増加傾向にある一方で、病院・クリニックや理化学市場向けの販売が減少したことなどにより、売上高は12億9千3百万円(前年比1.2%減)となりました。

冷凍冷蔵ショーケース販売では、流通産業において主に省エネ改装需要が引き続き堅調に推移し、スーパーマーケットやドラッグストア向けの販売が増加しました。また、コンビニエンスストア向けの自然冷媒を採用したショーケースの販売も引き続き堅調に推移したため、売上高は529億1千5百万円(前年比13.3%増)となりました。

大型食品加工機械販売では、エネルギーコストや人件費の高騰の影響を受け、設備投資について慎重な傾向は継続しているものの、人手不足で自動化や省人化などを背景に食品メーカーの投資意欲が回復基調となりトンネルフリーザー及びラインシステムやコンベアの売上が堅調に推移したため、売上高は84億9千9百万円(前年比17.9%増)となりました。

大型パネル冷蔵設備販売では、物流の2024年問題を背景に低温物流拠点の需要や主要都市を中心とした冷蔵倉庫の満床・老朽化などによる物流センター・冷蔵倉庫の建設需要や、スーパーマーケットのプロセスセンターや食品工場の需要が継続したものの、半導体製造工場などのクリーンルームの需要が低調となったため、売上高は158億1千3百万円(前年比1.0%減)となりました。

小型パネル冷蔵設備販売では、スーパーマーケットやコンビニエンスストア向けの売上が堅調に推移したことなどにより、売上高は78億2千9百万円(前年比10.4%増)となりました。

サービス販売では、スーパーマーケットやコンビニエンスストア向けの冷凍冷蔵ショーケースのメンテナンス、保守契約の売上は引き続き堅調に推移しました。また、冷凍冷蔵庫やトンネルフリーザーのメンテナンスの売上も増加したため、売上高は136億9千6百万円(前年比13.2%増)となりました。

 

製造部門においては、原材料価格の高騰や海外からの部品購入における為替の影響は依然として続いておりますが、影響額を軽減するため、さらなる生産性の向上や代替部材使用などに取り組んでおります。2024年3月に滋賀県に冷凍冷蔵ショーケースの新工場建設を発表しております通り、次世代の高付加価値製品の開発や生産性向上を図り、冷凍冷蔵ショーケースのさらなるシェア伸長に対応できる生産体制を構築してまいります。加えて、2024年9月に主に業務用冷蔵庫・製氷機を製造する岡山工場の新配送センターの建設を発表しております。新配送センターでは、現配送センターの1.5倍にあたる6,000台以上へ製品収容能力を高め、入出庫能力も2倍以上に高めることで、これまで以上にお客様からの多様なニーズにお応えしてまいります。

ガリレイグループでは、サステナブルビジョン「Dramatic Future 2050」を策定し、2050年までに食品の生産からテーブルに並ぶまで温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることに取り組んでおります。また、「グリーン冷媒への転換」「環境性能の高い製品を開発・提供」「冷媒ガス漏洩防止」のアクションを戦略的に推進し、バリューチェーン全体のCO2排出量削減に取り組むことで、環境先進企業として価値を提供してまいります。主な取り組みとして、ノンフロン冷媒R1234yf(GWP1)仕様へとモデルチェンジを実施したタテ型・ヨコ型業務用冷凍冷蔵庫及び小型タイプのキューブアイス製氷機や、自然冷媒採用大型コンデンシングユニット「NOBRAC」、ノンフロン冷媒仕様のスライド扉リーチインショーケース、その他製品についても計画的に地球温暖化係数の低い冷媒に切り替えております。また、冷媒ガス漏洩による地球温暖化ゼロを目指し、2024年4月よりグリーン冷媒R1234yf採用の冷凍冷蔵庫と小型製氷機において、「冷媒ガス漏れ10年保証」を開始しました。なお、2025年4月からはその対象を当社製造の冷凍機内蔵型製品の全機種に拡大しております。さらに、スーパーマーケットなどの小売りや物流施設などの自社施工物件において、冷媒ガス漏洩における冷却不良・修理に関わる費用を10年間保証する「冷媒ガス漏れ10年保証メンテナンス契約」を開始しております。

その結果、当連結会計年度の売上高は1,306億3千9百万円(前年比12.8%増)、営業利益は165億7千2百万円(前年比8.3%増)、経常利益は171億7千5百万円(前年比6.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は120億8百万円(前年比2.4%減)となりました。

 

(2)財政状態

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は963億1千8百万円(前連結会計年度は928億5百万円)となり、35億1千3百万円増加しました。これは主として受取手形、売掛金及び契約資産が増加したことによるものです。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は452億4千4百万円(前連結会計年度は377億2千7百万円)となり、75億1千7百万円増加しました。これは主として土地が増加したことによるものです。 

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は360億3千2百万円(前連結会計年度は353億4千7百万円)となり、6億8千5百万円増加しました。これは主として未払法人税が増加したことによるものです。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は23億2千3百万円(前連結会計年度は23億5千7百万円)となり、3千4百万円減少しました。これは主として繰延税金負債が減少したことによるものです。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は1,032億6百万円(前連結会計年度は928億2千6百万円)となり、103億7千9百万円増加しました。これは主として親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことによるものです。

 

 

(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析・検討内容

    ① キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益は173億7千4百万円計上し、投資活動や財務活動に116億4千6百万円使用した結果、前連結会計年度末に比べ11億9千7百万円減少し、528億2千8百万円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、103億7千5百万円(前年同期比22億8百万円減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、95億2千3百万円(前年同期比66億4千6百万円増)となりました。これは主に有形固定資産の取得を行ったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、21億2千2百万円(前年同期比1億7千2百万円減)となりました。これは主に配当金の支払いを行ったことによるものです。

 

    ② 資金需要

当社グループは、事業運営上、必要な資金を安定的に確保することを基本方針としております。

当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、設備投資、法人税等の支払い、配当金の支払い等であります。また、その資金の原資といたしましては、営業活動によるキャッシュ・フローによるものを基本としております。

 

なお、最近3連結会計年度におけるキャッシュ・フロー指標のトレンドを示すと以下のとおりとなります。

項目

2023年3月

2024年3月

2025年3月

自己資本比率(%)

70.7

71.0

72.4

時価ベースの自己資本比率(%)

84.7

90.4

78.0

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(倍)

0.0

0.0

0.0

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

0.0

0.0

0.0

 

(注) 1 上表中の各指標は以下のとおり算出しております。

   自己資本比率:自己資本/総資産

   時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

   キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

   インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

2 いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

3 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。

4 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

5 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

6 利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

(5)生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

製品生産実績

当連結会計年度における生産実績を品目区分別に示すと、以下のとおりであります。

区分

生産高(百万円)

前年同期比
(%)

フードサービス

22,018

102.7

医療・理化学製品

1,195

106.5

冷凍冷蔵ショーケース

28,859

120.5

合計

52,073

112.0

 

(注) 1 当企業集団の製品は単位に大きな差があるため、販売価格によっております。

2 当連結会計年度において、冷凍冷蔵ショーケースの生産実績に著しい変動がありました。その内容等については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績」に記載しております。

 

② 受注実績

重要な受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績を品目区分別に示すと、以下のとおりであります。

 

区分

販売高(百万円)

前年同期比
(%)

フードサービス

30,592

120.3

医療・理化学製品

1,293

98.8

冷凍冷蔵ショーケース

52,915

113.3

大型食品加工機械

8,499

117.9

大型パネル冷蔵設備

15,813

99.0

小型パネル冷蔵設備

7,829

110.4

サービス

13,696

113.2

合計

130,639

112.8

 

(注) 当連結会計年度において、フードサービス、冷凍冷蔵ショーケース、大型食品加工機械、小型パネル冷蔵設備、サービスの販売実績に著しい変動がありました。その内容等については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績」に記載しております。

 

 

5 【重要な契約等】

当社は、2024年5月8日開催の取締役会において、当社を吸収分割会社とする会社分割により、当社が営む業務用冷凍冷蔵庫及び冷凍冷蔵ショーケースの製造、販売及び施工並びに付随する一切の事業を、当社の100%子会社である株式会社フクシマガリレイ分割準備会社(現フクシマガリレイ株式会社)に対し承継させ、持株会社体制に移行することを決議し、同日付で当該会社分割にかかる吸収分割契約を締結いたしました。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の(重要な後発事象)をご参照ください。

 

6 【研究開発活動】

ガリレイグループは、サステナブルビジョン「Dramatic Future 2050」を策定しており、2050年までの「カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現」に向け、持続可能な地球環境を次世代に引き渡すことを目的に「環境ビジョン2050」を掲げ、それを実現するためのアクションとして「環境アクション2030」を策定しております。「グリーン冷媒への転換」、「冷媒ガス漏洩防止」、「環境性能の高い製品を開発・提供」、「CO2排出量削減」の4つをテーマに、環境負荷低減に貢献する製品開発に取り組んでおります。

また、近年の人手不足の問題に対して、省人化・省力化に貢献する製品開発にも積極的に取り組んでおります。ガリレイグループは、社会課題の解決により、新たな価値を創造してまいります。

当連結会計年度における当企業集団が支出した研究開発費の総額は1,349百万円です。

 

 (1)  環境負荷低減に貢献する製品開発

  ① グリーン冷媒への転換

フクシマガリレイでは、「環境アクション2030」に掲げる「グリーン冷媒への転換」を目指し、製品に使用する冷媒を地球環境に優しいものへと転換を進めております。当事業年度では、業務用冷凍冷蔵庫、製氷機において、グリーン冷媒をした製品へと全面切り替えを行いました。また、メディカル製品においても、ノンフロン冷媒R1234yfを採用した血液用冷蔵庫やメディカルフリーザー、R448Aを採用した低温作業台コールドベンチFMCシリーズなどを開発し、グリーン冷媒へと転換を進めております。

  ② 省エネ製品の開発

フクシマガリレイでは、エネルギーコスト高騰の問題に対して、省エネ性能向上を目指した製品開発を行っております。ノンフロン冷媒R1234yfを採用したスライド扉リーチインショーケース、ワインセラー、2段ドロアーテーブルなどを開発し、インバータ制御により省エネを実現。電気代やCO2排出量削減に貢献しております。また、自然冷媒CO2冷媒を採用した冷凍機内蔵型リーチインショーケース無通電扉仕様ショーケースを開発しました。無通電扉採用により従来機種比較で20%の省エネを実現。本製品は冷凍機上置き仕様であるため、陳列最上段でも別置ケースと同じ高さのため商品が取り出しやすく、またショーケース同士の連結も可能にするなど、利便性の高い製品仕様となっております。

  ③ 海外(ASEAN地域)向けノンフロンインバータ業務用冷凍冷蔵庫の開発

フクシマガリレイでは、海外(ASEAN地域)向け製品として、ノンフロン冷媒R1234yfを採用したインバータ業務用冷凍冷蔵庫を開発しました。地球環境に優しい製品として縦型冷蔵庫・冷凍庫で20機種、ヨコ型冷蔵庫、冷凍庫、冷凍冷蔵庫で30機種をラインナップしました。インバータ制御で大幅に省エネ性能が向上し、従来一定速機種比31.8%から58.2%の省エネを実現しております。

 

 

(2)省人化・省人化に貢献する製品開発

① マンション向け受取り用コールドロッカーの開発

フクシマガリレイでは、ノンフロン冷媒R1234yfを採用したマンション向け受取り用コールドロッカーを開発しました。近年、宅配便の再配達が増加し、CO2排出量増加やドライバー不足を深刻化させるなど、社会問題になっております。その問題解決の手段の一つとして、受取りロッカーの利用を国土交通省も推奨しています。2023年度省エネ大賞を受賞した受取り用コールドロッカーをベースに開発することで、省エネで環境に優しく、社会問題解決に貢献する製品を実現しております。

② ストックスペース付きデュアルショーケースの開発

フクシマガリレイでは、ケース上部のリーチイン部分を大型化し、商品をストックすることができるデュアルショーケースCTX-Jシリーズを開発しました。店舗バックヤードにプレハブ保管庫を設置するスペースがない店舗においても使い勝手が良く、ドラッグストアなどでご使用していただきやすい製品となっております。品出しにかかる時間を大幅に削減し、省人化・省力化に貢献します。

③ ノンフロンミートパティー3段ドロワー冷凍保管庫の開発

フクシマガリレイは、ノンフロン冷媒R1234yfを採用したミートパティー3段ドロワー冷凍保管庫を開発しました。ドロワー内に段ボール梱包されたミートパティーの梱包上部を開封し、段ボールごと収納可能な製品としています。ドロワーを引き出した後に、ドロワー正面の扉は扉下部を支点として90度回転させることで、正面から段ボールを入れやすくしています。従来機種と比較して扉・引き出し部は強度をアップし、耐久性を向上させています。さらに省エネ性能も向上し、従来比5.6%から11.9%の省エネを実現しております。

④ コンパクト2ステップ自動洗浄システムSD360の開発

日本洗浄機株式会社では、ファミリーレストラン向けコンパクト2ステップ自動洗浄システムSD360を開発しました。ホールスタッフが食器を並べればあとの残菜処理、下洗いを本システムが自動で行うため専任の洗浄スタッフが不要となり、省力化・省人化に大きく寄与します。

(3) 新規製品開発

① 海外(ASEAN地域)向け冷凍機内蔵型平形ショーケースAMシリーズの開発

フクシマガリレイでは、海外(ASEAN地域)向けにタイ工場で生産する冷凍機内蔵型平形ショーケースAMシリーズを開発しました。冷媒には地球温暖化係数の低いR448Aを採用。ASEAN各国に合わせた仕様と電源50/60Hz・単相220V-240V仕様に対応し、現地で部品調達をしながらも日本製と変わらないクオリティの製品としました。

② 医療医薬向けクリーンルームパネル内装システム「PURE CIS」の開発

ガリレイパネルクリエイトは、再生医療をはじめとする医療医薬向けパネル内装システム「PURE CIS ~ピュアシス~」をリリースしました。これまで培ってきたパネル技術とシステムエンジニアリング力を活かし、断熱性に加え“清掃性”、“気密性”、“耐薬品性”に優れたクリーンルームを提供します。

 ③ SPIN SHOCK(スパイラルフリーザー)の開発

タカハシガリレイでは、新型スパイラルフリーザー「SPIN SHOCK」を開発しました。冷凍食品の需要拡大に伴い、新工場建設や既存設備の更新需要が急増しております。この需要に応えるため、限られたスペースでより多くの商品が凍結可能な“スパイラルフリーザー”に新たなラインナップとして「SPIN SHOCK」を加えました。“省スペース”、“省エネ”、“時短洗浄”を追求した製品で、生産性を高めるだけではなく、高品質な凍結により社会課題でもあるフードロス削減にも貢献します。

④ 食品工場向け包装工程機器の開発

ショウケンガリレイでは、食品工場の人手不足の問題や生産性向上の要望を受け、グループ初の包装工程機器の設計・開発・製造を行いました。特殊な包装形状に対応できる特定ユーザー向けの包装工程ラインとして納品し、お客様の省人化効果として工数40%以上を自動化し、約3%の生産性向上に貢献しました。

⑤ 大阪・関西万博「録食R」調理器

フクシマガリレイは、2025年日本国際博覧会 (大阪・関西万博)のテーマ事業「シグネチャーパビリオン」の中で、小山薫堂テーマ事業プロデューサー が担当する EARTH MART 館に製品協賛しています。EARTH MART 館のコンテンツの一つの「味を記憶し、 再現できるキッチン」内では、ソニーグループ株式会社が研究開発中の調理記録・再生を行う技術「録食R」に対応した調理機器の試作品の展示に協力しています。

「録食R」はソニーグループの登録商標です。