下記の文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月26日)現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社は「未来に続く架け橋として」をタイトルに、「人の心を尊重し、豊かな価値を創り、社会貢献に努める」ことを経営理念とし、「真のグローバル企業を目指し次のステージへ飛躍。顧客第一主義、業界No.1 ~全社員の知恵をお客様の為に~」を具体的な経営方針とし、お客様の課題解決に繋がる製品を提供して「顧客価値を創造する100年企業」となることを目指しております。
この方針のもと2017年5月に中期経営計画を策定し2020年3月期に売上高500億円、営業利益率20%の達成を掲げました。また2019年5月には長期ビジョンとして、2026年3月期に売上高1,000億円、コネクタ・ハーネスを含む接続部品業界内(海外含む)でトップテン入りを目指すことを公表致しました。
しかしながら、2018年後半からの米中貿易摩擦が長期化し、貿易量の減少や企業の投資活動が低迷するなど、世界経済は大きく減速しました。特に中国を中心に生産・販売活動が低調に推移している中、2020年1月からの新型コロナウイルス感染拡大により中国の経済活動が停滞しました。このような事業環境の下、中期経営計画最終年度である2020年3月期は売上高396億1千4百万円、営業利益率11.7%と目標を達成することはできませんでした。
一方で、現在の市況環境の変化は一時的なものであり、長期的な成長戦略は大きく変更する必要はないと考えております。従って、長期ビジョンで掲げた売上高1,000億に向けた施策に引き続き取り組んで参ります。
(2018年3月期~2020年3月期中期経営計画 総括)
2020年3月期を最終年度とする中期経営計画では、長期ビジョンとして売上高1,000億円を掲げ、その通過点として2020年3月期に売上高500億円、営業利益率20%、EPS320.5円を業績目標としました。そのために、長期ビジョン売上高1,000億円に向けた基盤整備も見据えながら「伸びる市場(車載関連市場)の攻略」、「第2の柱(産業機器向け)の確立」、「生産力とコスト力の強化」を重点施策として取り組みました。
計画時に想定していなかった2018年後半からの米中貿易摩擦、ドイツの国際調和排ガス・燃費試験方法(WLTP)、日本における消費税増税、加えて2020年1月からの新型コロナウイルス感染拡大による生産・販売活動の停滞等のマクロ経済の減速感や先行きの不透明感による影響を受けました。しかしながら、市場環境が低迷している中においても、車載関連市場の中の伸ばすべき領域である安全系向けとパワートレイン(モーターに電力を供給する回路群)向け売上は、自動運転に向けたADAS(先進運転支援システム)の普及や電動車の増加により堅調で、中期経営計画開始前の2017年3月期比で約50億円増とほぼ計画通り増加させることができました。また、2018年4月には中国の南通市に新工場を開業し、売上高1,000億円に向けた生産力の強化も行いました。経営基盤の強化面でも、監査等委員会設置会社への移行、任意の指名委員会及び報酬委員会の設置、役員報酬に業績連動型株式報酬を導入する等、経営責任を明確にし、ガバナンスの強化を図りました。
■業績推移
(注)当社は、2017年9月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。2017年3月期の
期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり当期純利益金額(EPS)を算定しております。
■売上高市場別推移
(単位:百万円)
(注)1 車載(AVN)はカーAV、ナビゲーションシステム等向けです。
2 車載(エレクトロニクス)は安全系、パワートレイン系、電装関連等向けです。
3 コンシューマーはOA、ゲーム機、デジカメ、携帯電話、TV等向けです。
4 インダストリアルは産業機器等向けです。
(2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
当社の事業領域において、車載関連市場では電動化によるパワートレイン部品の増加、自動運転に向けたADAS(先進運転支援システム)の普及という2つの大きな変化が、インダストリアル関連市場では自動化・省人化に向けたFA機器・ロボットの増加、次世代移動通信システム「5G(第5世代移動通信システム)」の導入という変化が起きております。いずれの市場における変化も当社にとっての好機ととらえ、グローバルな成長市場への拡販展開を重点戦略として、顧客ニーズに対応した製品を開発し、グローバルでタイムリーに生産・供給出来る顧客密着型マーケティング・営業体制の構築を目指しております。このため、更にワールドワイドの情報ネットワークを有効に活用し、グローバル展開のメリットを追求すると共に、海外生産拠点での部材の現地調達、内製化・合理化を推進し、国際効率生産体制を構築する事によって、国際的なQCD(品質・コスト・納期)競争力をより一層、強化することを目指しております。
当社は上記の変化をとらえ長期的に成長していくために、売上高500億円及び1,000億円を目標とする長期ビジョンを策定して、グローバルに展開している全てのグループ会社で目標達成のための施策に取り組んでおります。
(長期ビジョン)
2026年3月期に売上高1,000億円を達成することを1つの通過点として目標設定し、接続部品業界でグローバルトップ10入りを果たすために、規模の確保とブランド価値の構築を目指しています。しかしながら、米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの感染拡大により前提としていた市場環境が大きく変化しているため、長期ビジョンの目標達成時期を2026年3月期より後に遅らせることの検討や戦略の見直しも行い、2020年8月以降に公表する予定です。
なお、新たな中期経営計画(2021年3月期~2023年3月期)を策定し、公表を含めて準備を進めていましたが、こちらにつきましても新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、公表を2020年8月以降と致します。
(3)会社の対処すべき課題について
世界経済は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大とこれに伴う感染防止策により企業活動・生産活動が著しく停滞しており、収束の時期次第では、さらなる悪影響を及ぼすと予想されます。主力の車載市場においては、2020年内は世界各地域で新型コロナウイルスの影響により、自動車販売台数は前年比で約20%減少すると想定しております。非車載市場においても、インダストリアル市場では新型コロナウイルスの影響により市場規模が縮小すると想定しております。
2021年3月期において、売上面では、上記想定を前提に、第1四半期(2020年4月1日から2020年6月30日まで)までは現在の不安定な状況が続くものとし、第2四半期(2020年7月1日から2020年9月30日まで)以降は、徐々に回復が進んでいくものと仮定し、340億円(対前期比14.2%減)と見込んでおります。市況が不透明な中でも、車載市場では、環境対応車の台数増加に伴い、当社が注力して取り組んできたパワートレイン向けの売上は増加する見通しにあり、コンシューマー市場でもゲーム機及びテレビ向けの自動組立対応コネクタの搭載があり売上が増加する見通しです。これらの当社の伸長製品の売上増に加え、第2四半期以降の市況の回復と相まって、2021年3月期後半は2020年3月期並みに回復し、2022年3月期はさらに拡大すると想定しております。損益面では、販売の状況が厳しい中でも原価低減や全社的なコスト削減、生産性向上のための改善活動をより一層推進し、連結営業利益14億円(対前期比69.8%減)、連結経常利益14億円(同70.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益11億円(同66.5%減)を見込んでおります。
為替レートは、108円/ドル、120円/ユーロを前提としております。
一方で、中長期的には、当社の事業領域である車載市場、コンシューマー市場、インダストリアル市場においては自動車の電動化、ADASの進展、ロボット化、5Gなど技術の進歩が顕著であり、より高機能化された製品や新たな製品の開発が進むことが予想されます。
こうした状況の下、当社は、長期ビジョンで目指す「売上高1,000億円」を掲げ、売上拡大を図ります。
これまで当社は自動車関連の事業拡大に注力して参りましたが、新型コロナウイルスの感染拡大は自動車産業に多大なる影響を及ぼし、当社も大きなインパクトを受け、車載以外の分野での補完ができませんでした。
今後は、車載市場においては自動車の電動化やADASの進展に伴って成長が見込まれる5つのアプリケーション分野「安全系、パワートレイン系、モーター系、インフォテインメント(InformationとEntertainmentの合体造語)系、2輪系」を重点的に拡大させていきます。一方で、ロボット関連及び5G関連についても市場が大きく成長すると考えているため、ここにも強力に注力していき、売上全体に占める車載市場以外の構成比率を高め、不測の事態にも耐え得るような製品ポートフォリオを形成して参ります。
また、将来の成長に向けてマーケティング活動の強化により、他社より先行したオンリーワン製品の開発を行い、生産面においては生産リードタイムの短縮と徹底した原価低減並びにスマートファクトリー化により生産力の向上を図ります。なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響で一時的な売上の減少が想定される中、生産拠点では帰休措置を行いますが、同時に基礎体力をつけるための期間として、「生産性改善」、「リードタイムの短縮」、「設備のメンテナンス」、「工程不良率改善」、「安全総点検」、「人財育成」の6つの工場改善活動を行い、新型コロナウイルス収束後の収益性改善を目指します。管理面では、コーポレートガバナンスの強化、人財育成とダイバーシティマネジメントの推進、ERPを含む情報インフラの整備を行い、経営基盤を強化して参ります。
当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは、以下のような事項があると考えております。また、以下に記載された項目以外のリスクが生じた場合においても、当社グループの経営成績及び財政状態等に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、これらのリスクを認識し、リスク管理体制を整備した上で、リスクの未然回避及びリスク発生時の影響を最小限に抑えられるように努めております。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月26日)現在において当社グループが判断したものであり、当社グループの事業に関する全てのリスクを網羅したものではありません。
当社グループは、主に自動車向け電装品メーカー、AV音響メーカー及び各種エレクトロニクス製品を製造するメーカーに対して、電子部品を供給することを主たる事業としております。
連結売上高の過半数を車載関連市場向けが占めており、自動車関連製品、エレクトロニクス関連製品の需要動向は、いずれも世界の経済情勢に大きく影響を受けます。そのために、想定外の世界経済の悪化や自動車関連製品、エレクトロニクス関連製品市場の急激な変化によって当社グループ製品の需要が大幅に落ち込んだ場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、売上高の第2の柱とすべくFA機器や通信機器等の非車載関連市場への販売強化を行っております。
当社グループは、電子部品の製造及び販売を世界各地に展開しており、当社と海外子会社並びに海外子会社間の取引は、米国ドル建て、ユーロ建て及びタイバーツ建てにて行っております。2020年3月期の連結売上高に占める海外売上高の割合は78.0%ですが、一方、海外生産比率も約86.2%となっております。
当社グループは、円高が急激かつ長期に及んだ場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、為替相場の変動リスクを軽減させるためにへッジ目的の対策を講じております。
当社グループは、グローバルな事業展開を積極的に推進しており、生産及び販売活動の多くを米国や欧州並びに中国その他アジア諸国にて展開しております。これらの海外市場への事業進出には、1)予期しない法律・環境等の規制又は税制の変更、2)不利な政治又は経済要因の発生、3)輸送遅延や電力停止などの社会インフラの未整備による混乱、4)政治変動、テロ行為、戦争、感染症の流行及びその他の社会的混乱等のリスクが常に内在されております。これらの事象が発生した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、海外展開にあたっては販売拠点、生産拠点ともにリスクを慎重に検討し、評価した上で判断しております。
当社グループは、茨城工場、フィリピン生産子会社及びベトナム生産子会社での複数拠点生産品を除いて、中国の上海生産子会社に生産が集中しております。何らかの原因でそれら生産拠点での操業が不可能になる不測の事態が生じた場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、2016年3月にメキシコ生産子会社を、2016年9月に南通生産子会社を設立し、量産拠点の再構築を図って参ります。
当社グループが属している電子部品業界は、大手から中小まで様々な規模の同業者が存在する極めて競合色の強い業界であります。また、競合先は国内に留まらず海外各国にも存在しております。国内外を問わず業界における価格競争は激化しており、販売価格の引下げ競争に巻き込まれた場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループは、継続的な開発投資により「可動(フローティング)BtoBコネクタ(注)」等の独自技術の蓄積と新製品・新技術の開発に積極的に取り組んでおります。また、自社製品の価格競争に留まらず、顧客のTCO(Total Cost of Ownership)削減に貢献する製品の提案を行い、顧客価値の創造にも取り組んでおります。
(注)端子と端子のピッチ方向、ピッチ方向に対する垂直方向、篏合方向のすべて、またはいずれかに可動し、
その篏合ずれを吸収するように設計したコネクタ。
当社グループは、国際標準規格である品質マネジメントシステムにより全ての製品を製造しております。しかし全ての製品について欠陥がなく、将来的にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償に対する保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証もありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥が発生した場合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループの製品は、高い信頼性を求められるものが多いため、開発段階から出荷に至る全ての段階において細心の注意を払っております。
当社グループの展開する市場では、技術革新とコスト競争について厳しい要求があり、新規製品を継続的に投入していく必要があります。技術の急速な進歩や顧客ニーズの変化により期待通りに新製品開発が進まない場合は、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループでは、十分なマーケティング活動を行い、市場ニーズを的確に把握し、新技術や新製品開発、生産プロセス改革に必要な研究開発投資や設備投資を行っております。当社グループは、継続して新製品を開発できるものと考えております。
当社グループは、全ての主要原材料と一部部材の供給を外部業者に依存しております。これら外部業者とは安定供給のための協力関係を築いておりますが、需要の急激な変動に伴う供給不足や供給先からの供給遅延が起こった場合には、顧客への供給が不可能になる事や納期遅延を誘発する事により競争力を失うことがあります。また、原材料等の市場における需給関係の変化等により市況価格が急激に高騰した場合は、当社グループ製品の原価上昇を招き、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、原材料及び部材の市況の変化に対して、当社グループにおける内製化、グローバル調達による現地調達の推進等の原価低減に努めております。
当社グループは、想定を超える大規模な災害が発生した場合は、停電又はその他事業運営の中断事象による影響を完全に防止又は軽減できる保証はなく、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これに対して、地震を含めた防災対策を徹底しており、火災や風水害等による事故や災害による損害を防止するため、設備の点検、安全装置・消火設備の充実、各種の安全活動等を継続的に行っております。
当社グループは、国内及び海外事業に関連して、訴訟、紛争、その他の法律的手続の対象となるリスクがあります。とりわけ、技術革新の激しい電子部品業界においては、知的財産権は重要な経営資源の一つであります。独自開発した技術等に関する特許申請、意匠登録等に基づき当社グループが保有する知的財産権が、第三者によって侵害や模倣された場合には、当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害したとして損害賠償請求を受けた場合は、生産・販売活動が制約を受けることや損害賠償金等の支払いが発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、特許権を含む知的財産権の管理と運営については、技術本部技術部技術管理課にて一元管理を行い、開発者や設計者と技術管理課の知的財産権担当者との間での情報共有及び知的財産権に関する問題提起やその解決について適宜対応がとれる体制を取っております。
(11)人材獲得に係るリスクについて
当社グループは、技術的変化及び競争関係が激しい電子部品業界に属しており、また海外売上高比率や生産に占める海外比率も高いため、多様な専門技術に精通した人材、グローバルでの経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保、育成を継続的に推進していくことが重要となります。専門性の高い優秀な人材は限られていることから、優秀な人材を確保できない場合は、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループは、事業の継続的発展のために、国内に加え海外でも採用を積極的に展開しております。
(12)情報セキュリティに係るリスクについて
当社グループは、事業活動を通して、お客様や取引先の個人情報及び機密情報を入手することがあり、営業上・技術上の機密情報も保有しております。
予想を超えるサイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウイルス侵入等により、万一これらの情報が流出した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、当社グループの信用低下や業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して、当社グループでは、機密情報の管理方法を万全とするために「情報セキュリティ規程」の制定と情報セキュリティ委員会の設置を行い、機密情報管理体制の確立・徹底に努めております。また、役員および従業員の情報セキュリティ意識の向上を目的に、eラーニング等の教育を定期的に実施しております。
なお、2018年5月施行のGDPR(EU一般データ保護規則)については、グローバルで該当個人情報の保護対策を強化しております。
(13)新型コロナウイルスの感染拡大に係るリスクについて
新型コロナウイルスの世界的流行に対しては、2020年3月に本社内に社長及び執行役員を中心に構成した対策チームを発足し、また、各国や自治体による感染拡大防止政策に則り、全面的な予防措置に最大限注力しております。
生産拠点においては、中国にある上海生産子会社及び南通生産子会社は2020年1月24日から同年2月9日まで、フィリピン生産子会社では2020年3月18日から稼動停止措置を取りました。販売拠点においては外出自粛が要請されている地域では原則テレワークとしました。また、各拠点において、従業員出勤時の体温測定、体調確認、マスク着用を徹底し、リモート会議、時差通勤、在宅勤務の推進などにより感染拡大防止に向けた取り組みを行っております。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う収益悪化による当社グループの資金繰りへの影響は軽微でありますが、2021年3月期の上半期は厳しい経営環境が継続するものと想定し、収束の時期によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。従いまして、不測の事態が生じた場合の経営と雇用の安定化及び中長期での成長投資に備えて手許資金を確保すべく、グループ内における資金管理の最適化にも努めて参ります。具体的には、グループ会社間における資金の最適な配分や設備投資の延期による支出の抑制などを実施して参ります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響の詳細については、「2 事業等のリスク」をご参照ください。
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦による貿易量の減少と企業の投資活動の低迷に加えて、2020年始からの新型コロナウイルスの世界的流行により米国、欧州、アジアでの経済活動が停滞しました。米国経済では、良好な雇用・所得環境を背景に内需が底堅く推移していましたが、3月には消費者マインドが大きく低下し自動車販売台数も前月比約3割減となるなど不透明な状況が続いております。中国経済では、米中貿易摩擦の影響及び新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動・生産活動の制限により大きく停滞しました。自動車の生産・販売台数は前期比約84%に留まり、特に第4四半期では前年同期比で約40%減少しました。欧州では、世界的な景気減速により外需が低迷したことで製造業が低調に推移したことに加え、3月には新型コロナウイルス感染拡大により景気は大きく押し下げられ、自動車販売は前年同月比約55%減少と他地域同様に大幅に減少しました。
わが国の経済におきましても、個人消費や設備投資を中心とした国内需要が増加し堅調に推移しておりましたが、消費税増税後は消費マインドが冷え込み、さらに新型コロナウイルス感染拡大により不透明感が一層強まっております。
このような事業環境の下、当社グループの主力である車載市場の販売は、主要消費地である中国を中心に自動車販売が低迷した影響を大きく受けました。カーオーディオやカーナビを中心としたカーAVN分野では、コックピット化(計器類からカーナビゲーションまで一体化されること)やコネクティッド化(自動車が外部と様々な情報を通信すること)対応等の将来の変化を見据えた新たな開発を進めてまいりましたが、自動車販売台数の減少及び自動車1台あたりのコネクタの搭載数量の減少の影響により、販売が減少しました。一方で、注力分野である安全系のADAS(先進運転支援システム)向けや電動化の進展に伴い新たに自動車に搭載されているパワートレイン向け等のコネクタについては、市況が低迷している環境下においても好調を維持しました。ADAS向けでは先進国の自動車販売台数減少の影響を受けたものの、車載カメラ向けを中心に新規搭載が進み前期比約5%増加となりました。パワートレイン向けにおいても環境対応車の増加により前期比約50%増加と成長を維持しました。コンシューマー市場においては、OA機器向けやゲーム機向けなどで販売は総じて減少しましたが、第3四半期からテレビの自動組立用途の新開発可動BtoBコネクタ製品の出荷が開始されております。インダストリアル市場においては、上半期は米中貿易摩擦を背景とした中国での設備投資抑制により販売が減少しましたが、下半期は回復傾向で推移し前期比で概ね横ばいとなりました。
なお、新型コロナウイルスによる第4四半期における売上高減少への影響は約9億円であり、地域別には中国を中心としたアジア地域で約7億円、欧州地域で約1億3千万円、北米地域で約4千万円、日本で約3千万円であります。
以上の結果、売上高は、前期比7.5%減の396億1千4百万円となりました。
売上原価は、前期比4.7%減の266億2千6百万円となりました。売上原価の売上高に対する比率は前期比2.0ポイント上昇し、67.2%となりました。主な要因は、原価低減活動は一定の成果を挙げたものの、アジア圏での賃金上昇、金などの素材価格の高騰、新製品や合理化のための設備投資に伴う減価償却費の増加等によるものであります。
販売費及び一般管理費は、前期比5.1%減の83億5千9百万円となりました。この結果、販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は前期比0.5ポイント上昇し、21.1%となりました。主な要因は、物流改革による経費低減や当連結会計年度初めより取り組んだ経費削減施策を推進したものの、成長計画に基づく人員増加の他、事業基盤の整備、大型台風や新型コロナウイルス感染症の対策費用等の一時的な費用が増加したことによるものであります。
以上の結果、営業利益は、前期比23.9%減の46億2千8百万円となりました。
営業外損益は、前期2億4千1百万円の収益(純額)から3千9百万円の収益(純額)へと、収益が2億1百万円減少いたしました。主な要因は、為替差損が発生したことによります。
特別損益は、前期の1億5千1百万円の損失(純額)から3億2千8百万円の損失(純額)へと損失が1億7千7百万円増加いたしました。主な要因は、減損損失を計上したことによります。
以上の結果、経常利益は46億6千8百万円、税金等調整前当期純利益は43億3千9百万円及び親会社株主に帰属する当期純利益は32億8千7百万円となりました。
セグメントの業績を示すと次のとおりであります。
国内においては、車載市場のカーエレクトロニクス分野で増収となったものの、その他の市場で減収となったことから、売上高は前期比2.0%減の86億9千6百万円となりました。営業利益は22.4%減の37億2千6百万円となりました。
アジア地域においては、中国における米中貿易摩擦及び2020年1月から新型コロナウイルス感染症に伴う生産活動の著しい停滞とインド市場の低迷などの影響で自動車販売台数が減少し、売上高は前期比12.3%減の164億3千万円となりました。営業利益は44.2%減の13億2千8百万円となりました。
ヨーロッパ地域においては、車載市場においてカーエレクトロニクス分野で好調だったものの、円高の影響を大きく受け、売上高は前期比1.2%減の78億5千4百万円となりました。また、営業利益は前期比8.7%減の2億4千万円となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末(2019年3月末)に比べ8億3千3百万円減少し、606億3千8百万円となりました。流動資産は、現金及び預金16億3千7百万円の減少、受取手形及び売掛金2億7千7百万円の減少、商品及び製品4億7千6百万円の減少、原材料及び貯蔵品3億9千5百万円の減少等により27億8百万円減少し323億9千5百万円となりました。固定資産は、建物3億4千3百万円の増加、機械装置9億4千2百万円の増加、土地4億6千3百万円の増加、建設仮勘定3億8千8百万円の増加等により18億7千4百万円増加し282億4千2百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べ10億2千3百万円減少し、91億1千8百万円となりました。流動負債は、未払金5億6千4百万円の増加、支払手形及び買掛金4億4千1百万円の減少、未払法人税等16億5千2百万円の減少等により15億1千4百万円減少し79億2千8百万円となりました。固定負債は、その他に含まれる長期未払金3億8千4百万円の増加等により4億9千1百万円増加し11億9千万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益による増加32億8千7百万円、剰余金の配当による減少14億2千万円、為替調整勘定の減少15億6千万円等により前連結会計年度末に比べ、1億8千9百万円増加し515億1千9百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動により68億3千万円増加し、投資活動により64億8千2百万円、財務活動により16億6千4百万円、それぞれ減少した結果、前連結会計年度末に比べ16億3千7百万円減少し、138億1千9百万円となりました。前連結会計年度に比べて資金は減少しましたが、これは当社グループは長期ビジョンとして売上高1,000億円を掲げており、その達成のための設備投資を継続して実施したこと、また、当社の重要な経営施策である株主の皆様への安定的な利益還元を行うべく、財務体質を勘案して十分な配当を実施したことによる結果となります。
なお、当連結会計年度において、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う収益悪化による当社グループの資金繰りへの影響は軽微であります。しかしながら、不測の事態に備えて当社の資金57億8千5百万円及び連結子会社の資金80億3千3百万円を有効活用すべく、グループ内での資金管理の最適化に取り組んで参ります。また、当社の仮定に基づく次期の業績見通しにおいては、新たな資金調達の必要性は乏しいと考えておりますが、機動的な財務基盤を確立するために、銀行融資枠(コミットメントライン)を拡大しております。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動では、税金等調整前当期純利益43億3千9百万円、減価償却費45億3千5百万円、たな卸資産の減少額6億9百万円に伴う資金の増加から、法人税等の支払額26億3千5百万円に伴う資金の減少を差し引き、資金の増加額は68億3千万円となりました。
前期の資金の増加額66億9千5百万円に対して1億3千5百万円増加(前期比2.0%増)しましたが、これは主に、前期に比べて税金等調整前当期純利益が18億3千4百万円減少し、法人税等の支払額が8億2千9百万円増加したものの、減価償却費の増加4億1千8百万円、たな卸資産の減少16億3千8百万円により資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動では、有形固定資産及び無形固定資産の取得64億3千1百万円の支出により、資金の減少額は64億8千2百万円となりました。
前期の資金の減少額66億8千7百万円に対して2億5百万円減少(前期比3.0%増)しましたが、これは主に、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出が前期に比べて3億1百万円減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動では、長期借入金の返済6千1百万円、配当金の支払14億2千万円等により、資金の減少額は16億6千4百万円となりました。
前期の資金の減少額19億5千万円に対して2億8千5百万円減少(前期比14.6%減)しましたが、これは主に、前期において自己株式の取得により6億7千万円の支出があったこと及び前期に比べて配当金の支払額が2億3千7百万円増加したことによるものであります。
翌連結会計年度については、コネクタ生産設備等を中心に60億円の資本的支出を計画しており、その資金の調達源については、自己資金を想定しております。
当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は生産出荷高によっております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債及び収益、費用の報告金額に影響を与える会計上の見積りを行う必要があります。経営者は、これらの見積りや仮定について、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りや仮定と異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等は不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(6) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、2017年5月に2020年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定しました。2021年3月からの新しい中期経営計画に関しては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略」にて記載の通り、公表を含めて準備を進めていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により前提としていた市場環境が大きく変化しており、公表を2020年8月以降と致します。また長期ビジョンで掲げる売上高1,000億円の目標達成時期を2026年3月期より後に遅らせることも検討致します。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、豊かな価値を作り、社会貢献に努めるという経営理念のもとに重点市場である自動車機器、デジタル機器、インダストリアル機器に使用される製品及び新技術の開発を中心に取組んでおります。特にBtoBコネクタのうち、フローティングBtoBコネクタについては顧客の課題解決を目指し積極的に製品開発をしております。また、拠点においては、中国国内に展開する機器メーカーが相次いで現地での開発体制を積極的に整備するなか、当社は日本国内の設計開発部門の他に、上海に開設した技術センターにて技術強化を推進しております。その他の海外重要販売拠点では、技術スタッフの常駐化によるグローバル・エンジニアリング・ネットワークの構築を目指しており、今後も、欧米諸国と新興国への市場展開を考慮し、さらなる強化を進めて参ります。
最近の研究開発活動は次のとおりであります。
近年は、車載機器がADAS(先進運転支援システム)、EV/HEVの促進により変化し各用途へのコネクタ要求が変化しております。
2015年より量産開始した「Z-Move®」(注)BtoBコネクタでは、多岐用途への対応を進めるため、品種追加開発を行いました。「Z-Move®」コネクタの技術を使い、新たなモジュールへの品種追加を行いました。
カメラ向けでは、0.4mmフローティングBtoBコネクタを供給しておりますが、より省スペースな世界最小コネクタ開発を行いました。また、カメラ筐体を接続するフローティングBtoBコネクタの開発も行いました。
(注)接点が固定されたまま篏合方向の三次元まで可動するコネクタで、耐振動性、耐衝撃性に優れ、振動(共
振)・衝撃による半田付け部のストレス緩和が可能。
デジタル機器では、従来のAuto I-Lock(注)へ機能追加を行いました。
TV向けフローティングBtoBコネクタの開発を行い、供給を開始しました。
(注)スライダーやカバーの開閉動作を排し、FPC/FFCカード挿入と同時にロックがかかる独自の抜け防止構造の
ことで、当社の登録商標。
産業機器は、小型化、自動組立化を重視した構造を求められております。
当社は、車載用で開発されたフローティングBtoBコネクタ及びAuto I-Lockコネクタにて機器の自動組立化を推進しております。
当連結会計年度における研究開発費の金額は