第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

下記の文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月22日)現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は「人の心を尊重し、豊かな価値を創り、社会貢献に努める」ことを経営理念とし、全社員の知恵をお客様の課題解決に注ぎ、お客様が提供する製品・サービスの未来に続く架け橋となるべく、「顧客価値を創造する100年企業」となることを目指しております。

 

(2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

  当社の事業領域において、車載関連市場では100年に一度と言われる電動化によるパワートレイン部品の増加、自動運転に向けたADAS(先進運転支援システム)の普及という2つの大きな変化が、またインダストリアル関連市場では自動化・省人化に向けたFA機器・ロボットの増加、次世代移動通信システム「5G(第5世代移動通信システム)」の導入・拡大という変化が起きております。

 

 いずれの市場における変化も当社が培ってきた3次元可動並びに大容量情報伝達等独自技術による当社コネクタ事業を飛躍的に拡大する好機ととらえ、グローバルでの成長市場への展開を重点戦略として、顧客ニーズに対応した製品を開発し、グローバルでタイムリーに生産・供給出来る顧客密着型マーケティング・営業体制の構築を目指しております。このため、更にワールドワイドの情報ネットワークを有効に活用し、グローバル展開のメリットを追求すると共に、海外生産拠点での材料の現地調達、内製化・合理化を推進し、高効率生産体制を構築し、グローバルでのQCD(品質・コスト・納期)をより一層強化していくことを目指しております。

 

 当社は、以上の市場環境の変化を確実に捉え、2030年までに接続部品業界でグローバルトップ10入りを果たすことで、事業規模の確保とブランドの向上を図り、売上高1,000億円を目標とする長期ビジョンを策定し、グローバルでの新規顧客開拓並びに、海外生産拠点の拡大を推進して参ります。2020年8月4日に中期経営計画(2020~2022年度)を公表いたしましたが、その後の自動車販売台数の急回復やxEV(EV、FCV、PHV、HEV、HV)車の急増等、市場が大きく変化していることを踏まえ、2021年5月10日に業績目標の見直しを中心とする「見直し中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)」を策定しました。

 

①業績目標

当社は、今回の中期経営計画期間の2021~2023年度を、成長軌道への回帰と長期ビジョン達成の足場を固める3年間に位置付け、2024年3月期に売上高520億円、営業利益率20%の達成を目指します。

市場別では、販売台数が増加する電動車向けの拡販を加速し、パワートレイン、セーフティ等の分野を伸ばします。また、車載や5G等の新たな市場に対してニーズに応え他社を凌駕する新製品を開発し、車載分野の他、5G、ロボット分野を伸ばして参ります。

 

②重点施策

上記の位置付けと業績目標の下、当社は、以下の重点施策に取組んで参ります。

a. 戦略的セグメンテーションとグローバル化

・市場セグメントを定め、各セグメントごとに策定した戦略に基づき攻略

・海外営業体制の強化とサポート

・業界№1スピードのワンストップ対応

 


 

b. 車載市場の強力推進

・車載市場において伸長する重点領域での一層の拡販強化

 

c. 第二の柱の早期確立

・新たな市場ニーズに応える新製品の開発と攻勢

・インダストリアル市場のグローバル顧客に対するカバレッジ強化

・顧客、市場の特性に応じた販売チャネルの多様化

 

d. 可動(フローティング)(注)を核とした技術開発力の強化

可動(フローティング)テクノロジーの進化による革新的接続を実現すべく、

・業界№1、Only one製品開発

・付加価値を創造するOnly one製品開発

により、顧客ニーズを先取りした、先進技術製品を活用したソリューション提案を実施

(注)端子と端子のピッチ方向、ピッチ方向に対する垂直方向、篏合方向のすべて、またはいずれかに動き、その篏合ずれを吸収するように設計されたコネクタの技術。

 

e. 生産力、コスト力、および品質力の強化

・生産プロセス強化(設備・金型の標準化推進等)

・コスト力強化、生産性向上(スマートファクトリー推進、設計の標準化推進等)

・品質の向上(サプライヤー管理・品質保証体制の充実、クリーンリネスの追求等)

 

f. 経営インフラの強化

・基幹システムの刷新(BPRとグローバルシステム構築の同時推進)

・ESGの拡充(CO2排出削減、多様な人財活用、レジリエンス経営の強化)

 

③経営目標

・見直し中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)

 

2021年3月期

(実績)

2022年3月期

(計画)

2023年3月期

(目標)

2024年3月期

(目標)

売上高

365億円

420億円

470億円

520億円

営業利益

29億円

67億円

85億円

104億円

営業利益率

7.9%

16.0%

18.0%

20.0%

親会社株主に帰属する当期純利益

21億円

48億円

60億円

75億円

総資産

639億円

670億円

720億円

780億円

自己資本比率

85.0%

86.0%

87.0%

87.5%

設備投資

48億円

68億円

75億円

80億円

研究開発費

12億円

14億円

16億円

18億円

EPS

90.8円

203.7円

256.6円

317.5円

ROE

4.1%

9.0%

10.0%

12.0%

 

※為替レート設定はUSD105円、EUR127円(2022年3月期~2024年3月期)

 

・進捗状況(売上高、営業利益率)

売上高は、自動車の電動化の進展による車載関連市場でのパワートレイン分野と中国での設備投資需要に応じたインダストリアル市場の増加および為替が円安に推移していることもあり、見直し中期経営計画を上回る水準となりました。一方で営業利益率は、原材料や運送費の単価上昇を原価低減活動で吸収しきれず、下回りました。

 


 

 

(ESGへの取り組み)

当社は「未来に続く架け橋として」をタイトルに、「人の心を尊重し、豊かな価値を創り、社会貢献に努める」ことを経営理念としており、全社を挙げてCSR/ESGへ取り組んで参ります。

 

①ESGの拡充・取り組み方針

・CSR推進室の新設

・ロードマップに基づく着実な実行

・情報開示の充実

・業務監査への”CSR”の観点の組み込み

 

②見直し中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)における強化項目

・CO2排出削減(2030年、電力由来のCO2排出ゼロ目標)

・多様な人財の活用(外国人役員、女性役員・管理職の増加)

・レジリエンス経営の強化(コロナ禍を契機とするリスクマネジメント、BCPの強化)

 

③ESGロードマップ


 

 

④電力に由来するCO2削減ロードマップ


 

 

⑤2022年3月期の主な取り組み実績

・社外取締役の増員(3名→4名)

・生産拠点における太陽光パネルの設置(茨城工場、上海工場、南通工場)

 

⑥TCFD提言に沿った情報開示

TCFD提言はすべての企業に対し、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの項目に基づいて開示することを推奨しています。当社はこの提言の4つの開示項目に沿って、情報開示を行います。

a. ガバナンス

・取締役会の指導・監督の下、ステアリングコミッティを組織し、取締役管理本部長を長として各本部 

 の本部長メンバーを中心にリスクマネジメント全体を統括します。

・各本部長が各部門と連携して中長期の気候変動の影響による事業へのリスク、機会の検証を年4回行

  い、必要な対策を講じます。

・結果はステアリングコミッティの報告を経て、重大な影響の恐れのある事案については2回/年に取締

 役会へ報告・付議します。

・監査等委員会はステアリングコミッティに対し、適宜助言を行います。

 

 

〈ガバナンス及びリスク管理体制図〉

 


 

b. 戦略

(a)事業戦略

当社は事業において気候変動が及ぼすリスクと機会について検討を行いました。リスクと機会は、政策や規制等、社会的要求の変化等によって生じる“移行“リスク・機会と、異常気象の激甚化等によって生じる“物理”リスクを特定しています。

シナリオ分析では、IEA(国際エネルギー機関)等が公表する「科学的根拠を有するシナリオ」を用いて、事業にどのような影響を及ぼすか検討しました。今回実施したシナリオ分析は、イリソグループにおける製品及びサービスの購入、開発、製造、販売、廃棄までのサプライチェーン全体を対象とし、4℃シナリオ、1.5℃シナリオの2つのシナリオを用いて、2030年時点における影響を考察・検討いたしました。

当社グループでは、2030年に電力由来によるCO2排出量を“ゼロ”、2050年にはカーボンニュートラルを目標としています。今回外部のシナリオを用い当社グループにおける事業インパクトを算出いたしました。その分析の結果、当社は自社事業におけるCO2排出量の削減と共にCO2排出に貢献するxEV車に事業を注力する事でのCO2排出量削減に貢献できると考えています。

 

(b)各シナリオにおける事業インパクト、財務的影響

・4℃シナリオ

4℃シナリオでは、気候変動対策が現状から進展せず、地球平均気温が産業革命以前と比較して21世紀末ごろに約4℃上昇するとしています。異常気象の激甚化や海面上昇等、物理的なリスクが大きくなる一方、企業活動や消費活動に対する締め付けは現状より強化されないとされています。

この4℃シナリオにおける事業インパクトは、気温上昇等による操業地域で働く社員について、健康リスクとなり対応コストが増加するほか、異常気象の激甚化によるサプライチェーンの混乱により仕入が遅延または停止により事業継続が困難となると認識しています。

長期ビジョンである2030年3月期に売上高1,000億円を達成する前提での2030年3月期の利益影響額は約6億円の減少と試算しています。

 

 

・1.5℃シナリオ

1.5℃シナリオでは、カーボンニュートラル実現を目指した取り組みが活発化し、地球平均気温が産業革命以前と比較して21世紀末ごろに約1.5℃の上昇に抑えられるとしています。物理的なリスクの高まりは抑制される一方で、税制や法規制という形で企業活動や消費活動に対する締め付けが強まるとされています。

この1.5℃シナリオにおける事業インパクトは、カーボンニュートラル実現を目指した取り組みが活発化し、炭素税の導入や排出権取引の拡大により追加費用が発生する一方で、脱炭素社会に向け再生エネルギーやxEV車の増加等、低炭素技術の需要が拡大する事で当社製品の機会が増えると認識しています。

長期ビジョンである2030年3月期に売上高1,000億円を達成する前提での2030年3月期の利益影響額は約11億円の増加と試算しています。

 

・リスク項目と事業インパクトの分析


 

 

 

 

c. リスク管理

・当社の気候変動リスクは、ステアリングコミッティにおいて識別・評価・管理しています。

・各部門が行うリスク評価の結果に基づき、対策の要否や優先順位を考慮した上でステアリングコミッ

  ティに報告します。

・評価の結果、重大な影響の恐れがある事案および対応は、取締役会に報告・付議し決定します。

・各部門は、ステアリングコミッティをフィードバックされる取締役会の指示・指導に基づき、リスク

  低減計画を立案、遂行します。

・なお、当社は、ISO14001に基づく環境マネジメントシステムを構築しており、気候変動リスク管理の

  中には当該マネジメントシステムに基づく法令遵守等のリスクモニタリングも組み込まれています。

 

d. 指標と目標

温室効果ガスの削減については下記を目標に設定して、現在は太陽光発電設置、各工場での自動化、メッキラインの効率化による生産効率向上での省電力、再生エネルギー使用への切替に取り組んでいます。将来的にはカーボンプライシングへの対応も行ってまいります。

〈削減目標〉

・電力由来のCO2排出量:2025年に実質50%削減、2030年に実質100%削減

・SCOPE3排出量:2050年にカーボンニュートラル

 

(3)2023年3月期の重点施策、対処すべき課題

①市場環境

a. 車載関連市場

当社の主力領域である車載関連市場においては、半導体需給逼迫の継続、ウクライナ問題や中国等での新型コロナウイルス政策によるサプライチェーンの混乱等を背景に回復が遅れ、生産台数は前期並みに留まると見込んでいます。一方でxEV車は、各国での推奨政策や各自動車メーカーの取り組み強化により成長を見込んでいます。

b. インダストリアル関連市場

省力化に貢献するPLC、センサー、インバーター、ロボット等の産業機器の中国での需要や、5Gが到来する通信分野での需要は堅調に継続すると見込んでいます。

 

②主要課題

a. 原材料費、輸送費の更なる高騰

金、銅、並びに樹脂等の原材料費の価格高騰、輸送費の価格上昇等により、利益が悪化する可能性があります。

b. 生産工場稼動の低下、サプライチェーンの混乱

地域ごとの新型コロナウイルスへの政策、ロシアのウクライナ侵攻による地政学リスクにより、当社生産工場での稼動停止、原材料の供給不足、輸送期間の長期化等が発生する可能性があります。

c. 自動車生産台数の変動

部品調達難の継続、ロシアのウクライナ侵攻や中国等での新型コロナウイルス拡大によるロックダウン政策により、自動車業界全体の生産やサプライチェーンに問題が生じ生産台数が減少する可能性があります。

 

③2023年3月期の重点施策

このような不透明な環境下ではありますが、当初予想を上回るxEV車市場の成長を捉え、売上拡大に努めて参ります。利益面では、原材料費、輸送費の高騰影響等により、中期経営計画を下回る状況が当面継続しますが、収益改善に向けた施策として、以下の3つの施策を全社をあげて注力します。

a. 収益構造体質の改善

(a)価格政策の見直し、粗利率改善

(b)主力製品シリーズの原価低減推進

(c)工場生産性向上、物流改革、PSIコントロール強化

b. BCPの強化

(a)マルチ生産体制構築:生産能力並びに地産地消比率向上

(b)生産拠点への原材料の安定供給

c. ERP刷新によるSCMの可視化、マネジメントの強化

 

④2023年3月期の見通し

連結売上高515億円(対前期比17.4%増)、連結営業利益61億6千万円(対前期比36.3%増)、連結経常利益62億円(対前期比28.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益45億円(対前期比15.0%増)を見込んでおります。為替レートは、130円/ドル、135円/ユーロを前提としております。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは、以下のような事項があると考えております。また、以下に記載された項目以外のリスクが生じた場合においても、当社グループの経営成績及び財政状態等に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、これらのリスクを認識し、リスク管理体制を整備した上で、リスクの未然回避及びリスク発生時の影響を最小限に抑えられるように努めております。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月22日)現在において当社グループが判断したものであり、当社グループの事業に関する全てのリスクを網羅したものではありません。

 

(1) 市場環境の変化について

当社グループは、主に自動車向け電装品メーカー、AV音響メーカー及び各種エレクトロニクス製品を製造するメーカーに対して、電子部品を供給することを主たる事業としております。

 連結売上高の過半数を車載関連市場向けが占めており、自動車関連製品、エレクトロニクス関連製品の需要動向は、いずれも世界の経済情勢に大きく影響を受けます。そのために、想定外の世界経済の悪化や自動車関連製品、エレクトロニクス関連製品市場の急激な変化によって当社グループ製品の需要が大幅に落ち込んだ場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、売上高の第2の柱とすべくFA機器や通信機器等の非車載関連市場への販売強化を行っております。

 

(2) 為替変動について

当社グループは、電子部品の製造及び販売を世界各地に展開しており、当社と海外子会社並びに海外子会社間の取引は、米国ドル建て、ユーロ建て及びタイバーツ建てにて行っております。2022年3月期の連結売上高に占める海外売上高の割合は75.3%ですが、一方、海外生産比率も約87.0%となっております。

当社グループは、円高が急激かつ長期に及んだ場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、為替相場の変動リスクを軽減させるためにヘッジ目的の対策を講じております。

 

(3) 海外での事業展開について

当社グループは、グローバルな事業展開を積極的に推進しており、生産及び販売活動の多くを米国や欧州並びに中国その他アジア諸国にて展開しております。これらの海外市場への事業進出には、1)予期しない法律・環境等の規制又は税制の変更、2)不利な政治又は経済要因の発生、3)輸送遅延や電力停止などの社会インフラの未整備による混乱、4)政治変動、テロ行為、戦争、感染症の流行及びその他の社会的混乱等のリスクが常に内在されております。これらの事象が発生した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、海外展開にあたっては販売拠点、生産拠点ともにリスクを慎重に検討し、評価した上で判断しております。

 

(4) 量産拠点の集中について

当社グループは、茨城工場、フィリピン生産子会社及びベトナム生産子会社での複数拠点生産品を除いて、中国の上海生産子会社に生産が集中しております。何らかの原因でそれら生産拠点での操業が不可能になる不測の事態が生じた場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、2016年9月に南通生産子会社を設立し、量産拠点の再構築を図っております。また、2025年稼動を目指して日本での第2量産拠点となる秋田に新工場を建設し、よりマルチ生産体制を強化します。なお、2016年3月に設立したメキシコ生産子会社につきましても、現時点では生産に寄与しておりませんが、将来的には当社グループの重要な生産拠点になるものと考えております。

 

 

(5) 価格競争について

当社グループが属している電子部品業界は、大手から中小まで様々な規模の同業者が存在する極めて競合色の強い業界であります。また、競合先は国内に留まらず海外各国にも存在しております。国内外を問わず業界における価格競争は激化しており、販売価格の引下げ競争に巻き込まれた場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループは、継続的な開発投資により「可動(フローティング)BtoBコネクタ(注)」等の独自技術の蓄積と新製品・新技術の開発に積極的に取り組んでおります。また、自社製品の価格競争に留まらず、顧客のTCO(Total Cost of Ownership)削減に貢献する製品の提案を行い、顧客価値の創造にも取り組んでおります。

  (注)端子と端子のピッチ方向、ピッチ方向に対する垂直方向、篏合方向のすべて、またはいずれかに可動し、

     その篏合ずれを吸収するように設計したコネクタ。

 

(6) 製品の欠陥に係るリスクについて

当社グループは、国際標準規格である品質マネジメントシステムにより全ての製品を製造しております。しかし全ての製品について欠陥がなく、将来的にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償に対する保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証もありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥が発生した場合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループの製品は、高い信頼性を求められるものが多いため、開発段階から出荷に至る全ての段階において細心の注意を払っております。

 

(7) 研究開発活動に係るリスクについて

当社グループの展開する市場では、技術革新とコスト競争について厳しい要求があり、新規製品を継続的に投入していく必要があります。技術の急速な進歩や顧客ニーズの変化により期待通りに新製品開発が進まない場合は、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループでは、十分なマーケティング活動を行い、市場ニーズを的確に把握し、新技術や新製品開発、生産プロセス改革に必要な研究開発投資や設備投資を行っております。当社グループは、継続して新製品を開発できるものと考えております。

 

(8) 外部部品供給元への依存と原材料調達について

当社グループは、全ての主要原材料と一部部品の供給を外部業者に依存しております。これら外部業者とは安定供給のための協力関係を築いておりますが、需要の急激な変動に伴う供給不足や供給先からの供給遅延が起こった場合には、顧客への供給が不可能になる事や納期遅延を誘発する事により競争力を失うことがあります。また、原材料等の市場における需給関係の変化等により市況価格が急激に高騰した場合は、当社グループ製品の原価上昇を招き、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、原材料及び部品の市況の変化に対して、当社グループにおける内製化、グローバル調達による現地調達の推進等の原価低減に努めております。

 

(9) 事故や災害について

当社グループは、想定を超える大規模な災害が発生した場合は、停電又はその他事業運営の中断事象による影響を完全に防止又は軽減できる保証はなく、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これに対して、地震を含めた防災対策を徹底しており、火災や風水害等による事故や災害による損害を防止するため、設備の点検、安全装置・消火設備の充実、各種の安全活動等を継続的に行っております。

 

 

(10) 重要な訴訟等に係るリスクについて

当社グループは、国内及び海外事業に関連して、訴訟、紛争、その他の法律的手続の対象となるリスクがあります。とりわけ、技術革新の激しい電子部品業界においては、知的財産権は重要な経営資源の一つであります。独自開発した技術等に関する特許申請、意匠登録等に基づき当社グループが保有する知的財産権が、第三者によって侵害や模倣された場合には、当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害したとして損害賠償請求を受けた場合は、生産・販売活動が制約を受けることや損害賠償金等の支払いが発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、特許権を含む知的財産権の管理と運営については、技術本部技術部技術管理課にて一元管理を行い、開発者や設計者と技術管理課の知的財産権担当者との間での情報共有及び知的財産権に関する問題提起やその解決について適宜対応がとれる体制を取っております。

 

 (11)人材獲得に係るリスクについて

当社グループは、技術的変化及び競争関係が激しい電子部品業界に属しており、また海外売上高比率や生産に占める海外比率も高いため、多様な専門技術に精通した人材、グローバルでの経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保、育成を継続的に推進していくことが重要となります。専門性の高い優秀な人材は限られていることから、優秀な人材を確保できない場合は、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループは、事業の継続的発展のために、国内に加え海外でも採用を積極的に展開しております。

 

 (12)情報セキュリティに係るリスクについて

当社グループは、事業活動を通して、お客様や取引先の個人情報及び機密情報を入手することがあり、営業上・技術上の機密情報も保有しております。

予想を超えるサイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウイルス侵入等により、万一これらの情報が流出した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、当社グループの信用低下や業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これに対して、当社グループでは、機密情報の管理方法を万全とするために「情報セキュリティ規程」の制定と情報セキュリティ委員会の設置を行い、機密情報管理体制の確立・徹底に努めております。また、役員および従業員の情報セキュリティ意識の向上を目的に、eラーニング等の教育を定期的に実施しております。

なお、2018年5月施行のGDPR(EU一般データ保護規則)については、グローバルで該当個人情報の保護対策を強化しております。

 

(13)新型コロナウイルスの感染拡大に係るリスクについて

新型コロナウイルスの世界的流行に対しては、2020年3月に本社内に社長及び執行役員を中心に構成した対策チームを発足し、また、各国や自治体による感染拡大防止政策に則り、従業員出勤時の体温測定、体調確認、マスク着用を徹底し、リモート会議、時差通勤、在宅勤務の推進などにより感染拡大防止に向けた取り組みを行っております。

当連結会計年度においては、生産面では、当社ベトナム生産子会社が2021年11月に断続的に約2週間稼動停止を余儀なくされました。今後も感染状況や各国の政策により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。生産活動については仮にロックダウン措置で稼動停止になった場合でも影響を最小限にすべく、BCP対応の見直しを2021年2月から行っており、在庫の増量、流動製品のスペア設備配置による生産設備のリードタイム短縮、流動製品の生産体制変更によるマルチ生産化の3つの取り組みを実施して参ります。

また、不測の事態が生じた場合の経営と雇用の安定化及び中長期での成長投資に備えて手許資金を確保すべく、グループ内における資金管理の最適化にも努めて参ります。具体的には、グループ会社間における資金の最適な配分や設備投資の延期による支出の抑制などを実施して参ります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響の詳細については、「2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(1)経営成績

当連結会計年度における世界経済は、約2年に及ぶコロナ禍の中、各国において経済活動正常化に向けた諸施策が展開されましたが、第2四半期以降、半導体不足を始めとした部品供給不足の長期化、原材料の供給不足と価格高騰、輸送費の高騰、コンテナ不足等によるサプライチェーンの混乱、ウクライナ情勢の悪化等、様々な問題が顕在化し、当社グループの事業領域である自動車生産だけでなく家電等、市場の伸び悩みが見られました。

このような事業環境のもと当社グループは、電動化関連におけるパワートレイン分野の拡大と、インダストリアル市場が好調に推移し、為替が円安に推移したことも影響して、過去最高売上を更新しました。主力である車載市場の売上高は、半導体等部品供給不足影響等で欧米を中心に自動車の減産影響を大きく受けたものの、前期比で約17%増となりました。特にパワートレイン分野では売上高が前期比で約90%増加し、環境対応車向けの旺盛な需要や当社独自のパワートレイン機器向け耐振ソリューションサービスによる受注獲得を背景に増収の牽引役となりました。コンシューマー市場では、半導体等の部品不足の影響が一部あったものの、ゲーム機向けや在宅勤務増加によるOA機器向けの増加で増収となりました。インダストリアル市場は、中国でのFA関連機器の需要増加や5G通信基地局向けの新規搭載により、増収となりました。以上、売上高は、前期比20.1%増の438億6千3百万円となりました。

利益面では、売上高増加による固定費回収増、内製化強化等による原価低減を推進したものの、原材料並びに輸送費の価格高騰、サプライチェーン混乱による物流費増加等の悪化により、営業利益は前期比55.9%増の45億2千万円、経常利益は前期比62.9%増の48億3千8百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比82.7%増の39億1千3百万円となりました。

  

セグメントの業績を示すと次のとおりであります。

〔日本〕

国内においては、コロナ禍からの回復に加えて、車載市場で環境対応車の需要増加によりパワートレイン分野が増加したことと、インダストリアル市場で5G基地局向けや中国でのFA関連機器向けで増加した結果、売上高は前期比28.1%増の108億3千3百万円となりました。また、営業利益は76.3%増の35億1千9百万円となりました。

〔アジア〕

アジア地域においては、コロナ禍からの回復に加えて、車載市場で環境対応車の需要増加によりパワートレイン分野が増加したことや、コンシューマー市場でテレビ機向けやOA機器向けが好調だったことと為替が円安に推移した結果、売上高は前期比24.3%増の203億8千4百万円となりました。また、営業利益は42.5%増の28億5千2百万円となりました。

〔欧州〕

欧州地域においては、車載市場で半導体不足の影響があったものの、前期のコロナ禍から回復したことと為替が円安に推移した結果、売上高は前期比7.7%増の71億7千9百万円となりました。また、営業利益は68.4%増の2億3千5百万円となりました。

〔北米〕
北米地域においては、欧州地域と同じく車載市場で半導体不足の影響があったものの、前期のコロナ禍から回復したことと為替が円安に推移した結果、売上高は前期比9.3%増の54億6千5百万円となりました。営業損失は6千2百万円(前期は営業利益2億3千2百万円)となりました。

 

 

 (2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末(2021年3月末)に比べ、92億1千1百万円増加し、731億5千3百万円となりました。流動資産は、受取手形、売掛金及び契約資産17億1千1百万円の増加、商品及び製品28億8千2百万円の増加、現金及び預金1億9千3百万円の減少等により52億2千7百万円増加し404億3千6百万円となりました。固定資産は、機械装置13億4千7百万円の増加、建設仮勘定5億4千2百万円の増加等により39億8千4百万円増加し327億1千6百万円となりました。

負債は、前連結会計年度末に比べ21億6千5百万円増加し、113億7千6百万円となりました。流動負債は、支払手形及び買掛金8億2千9百万円の増加、未払金6億5千4百万円の増加等により19億3千3百万円増加し98億8千9百万円となりました。固定負債は、2億3千2百万円増加し14億8千6百万円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益による増加39億1千3百万円、配当による減少11億8千3百万円、為替換算調整勘定の増加45億4千3百万円等により前連結会計年度に比べ、70億4千5百万円増加し、617億7千6百万円となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動により66億9千1百万円増加し、投資活動により62億4千8百万円、財務活動により16億1千1百万円、それぞれ減少した結果、前連結会計年度末に比べ1億9千3百万円減少し、140億6千6百万円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動では、税金等調整前当期純利益45億7千万円、減価償却費53億5千6百万円に伴う資金の増加から、棚卸資産の増加額26億7千4百万円、法人税等の支払額7億6百万円に伴う資金の減少を差し引き、資金の増加額は66億9千1百万円となりました。

 
(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動では、有形固定資産及び無形固定資産の取得61億7千2百万円の支出により、資金の減少額は62億4千8百万円となりました。

 
(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動では、配当金の支払11億8千3百万円、自己株式の取得による支出3億1千6百万円等により、資金の減少額は16億1千1百万円となりました。

 

翌連結会計年度については、コネクタ生産設備等を中心に90億円の資本的支出を計画しており、その資金の調達源については、自己資金を想定しております。

 

(4) 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

 

区分

生産高(百万円)

前期比(%)

日本

4,626

124.3

アジア

30,831

122.5

欧州

北米

合計

35,458

122.7

 

(注) 1 金額は生産出荷高によっております。

 

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

 

区分

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

日本

11,494

120.6

2,741

131.8

アジア

22,812

124.2

6,161

165.0

欧州

6,911

90.4

2,213

89.2

北米

5,503

108.4

578

107.0

合計

46,721

115.0

11,694

132.3

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

 

区分

販売高(百万円)

前期比(%)

日本

10,833

128.1

アジア

20,384

124.3

欧州

7,179

107.7

北米

5,465

109.3

合計

43,863

120.1

 

(注) 1 販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。

 

 

  (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債及び収益、費用の報告金額に影響を与える会計上の見積りを行う必要があります。経営者は、これらの見積りや仮定について、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りや仮定と異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

  (6) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、2021年5月に2024年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定し、売上高、営業利益、営業利益率、親会社株主に帰属する当期純利益、総資産、自己資本比率、設備投資額、研究開発費、EPS、ROEについて目標を設定しております。なお、本中期経営計画に関しては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略」にも記載しております。

中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)における指標

 

2021年3月期

(実績)

2022年3月期

(計画)

2023年3月期

(目標)

2024年3月期

(目標)

売上高

365億円

420億円

470億円

520億円

営業利益

29億円

67億円

85億円

104億円

営業利益率

7.9%

16.0%

18.0%

20.0%

親会社株主に帰属する当期純利益

21億円

48億円

60億円

75億円

総資産

639億円

670億円

720億円

780億円

自己資本比率

85.0%

86.0%

87.0%

87.5%

設備投資

48億円

68億円

75億円

80億円

研究開発費

12億円

14億円

16億円

18億円

EPS

90.8円

203.7円

256.6円

317.5円

ROE

4.1%

9.0%

10.0%

12.0%

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、豊かな価値を作り、社会貢献に努めるという経営理念のもとに重点市場である自動車機器、デジタル機器、インダストリアル機器に使用される製品及び新技術の開発を中心に取組んでおります。特にBtoBコネクタのうち、フローティングBtoBコネクタについては顧客の課題解決を目指し積極的に製品開発をしております。また、拠点においては、中国国内に展開する機器メーカーが相次いで現地での開発体制を積極的に整備するなか、当社は日本国内の設計開発部門の他に、上海に開設した技術センターにて技術強化を推進しております。その他の海外重要販売拠点では、技術スタッフの常駐化によるグローバル・エンジニアリング・ネットワークの構築を目指しており、今後も、欧米諸国と新興国への市場展開を考慮し、さらなる強化を進めて参ります。

 

最近の研究開発活動は次のとおりであります。

(1) オートモーティブ機器用製品

近年は、車載機器がADAS(先進運転支援システム)、EV/HEVの促進により各用途へのコネクタ要求が変化しております。EV/HEVの促進ではパワートレイン内部接続向けでラインナップ追加としてIFコネクタに接続される「Z-Move®」(注)機能を搭載したコネクタを開発しました。

自動運転向けではOEM各社でECUの統合化を検討している為、ユニットに複数のFAKRAとHSDコネクタが必要となってきます。今後は仕様により必要数量が変化することを考え、拡張性を持たせたコンセプトで高速伝送性能を満足させたハイブリッドWtoBコネクタの研究を行い、原理試作で電気特性の見極め迄を実施いたしました。

 

(注)接点が固定されたまま篏合方向の三次元まで可動するコネクタで、耐振動性、耐衝撃性に優れ、

振動(共振)・衝撃による半田付け部のストレス緩和が可能。

 

(2) デジタル機器用製品

デジタル機器では、2点接点の0.4㎜ピッチZIF Lock付きFPCコネクタのH=2.0㎜品の開発を行いました。

 

(3) インダストリアル機器用製品

産業機器は、小型化、自動組立化を重視した構造を求められております。当社は、車載用で開発されたフローティングBtoBコネクタ及びAuto I-Lockコネクタにて機器の自動組立化を推進しております。

 

当連結会計年度における研究開発費の金額は1,241百万円で、セグメントごとの研究開発費は、日本は1,177百万円、アジアは64百万円であります。なお、当社のセグメントは生産・販売の管理体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、研究開発活動の大部分を日本セグメントで行っているため、セグメントごとの研究開発活動の状況につきましては、記載を省略しております。