第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

下記の文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月23日)現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は「未来に続く架け橋として」をタイトルに、「人の心を尊重し、豊かな価値を創り、社会貢献に努める」ことを経営理念とし、「真のグローバル企業を目指し次のステージへ飛躍。顧客第一主義、業界No.1 ~全社員の知恵をお客様の為に~」を具体的な経営方針とし、お客様の課題解決に繋がる製品を提供して「顧客価値を創造する100年企業」となることを目指しております。

 

(2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

当社の事業領域において、車載関連市場では電動化によるパワートレイン部品の増加、自動運転に向けたADAS(先進運転支援システム)の普及という2つの大きな変化が、インダストリアル関連市場では自動化・省人化に向けたFA機器・ロボットの増加、次世代移動通信システム「5G(第5世代移動通信システム)」の導入という変化が起きております。いずれの市場における変化も当社にとっての好機ととらえ、グローバルな成長市場への拡販展開を重点戦略として、顧客ニーズに対応した製品を開発し、グローバルでタイムリーに生産・供給出来る顧客密着型マーケティング・営業体制の構築を目指しております。このため、更にワールドワイドの情報ネットワークを有効に活用し、グローバル展開のメリットを追求すると共に、海外生産拠点での部材の現地調達、内製化・合理化を推進し、国際効率生産体制を構築する事によって、国際的なQCD(品質・コスト・納期)競争力をより一層、強化することを目指しております。

 

(長期ビジョン)

当社は上記の変化をとらえ長期的に成長していくために、2030年3月期に売上高1,000億円を目標とする長期ビジョンを策定して、接続部品業界でグローバルトップ10入りを果たすために、規模の確保とブランド価値の構築を目指し、グローバルに展開している全てのグループ会社で目標達成のための施策に取り組んでおります。

 

(見直し中期経営計画)

2020年8月4日に中期経営計画(2021年3月期~2023年3月期)を公表いたしましたが、その後の自動車販売台数の急回復やNEV(New Energy Vehicle)車の急増等、市場が大きく変化していることを踏まえ、2021年5月10日に業績目標の見直しを中心とする「見直し中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)」を策定しました。

 

①業績目標

当社は、長期ビジョンとして売上高1,000億円の達成を目指しています。今回の中期経営計画の期間を、成長軌道への回帰と長期ビジョン達成の足場を固める3年間に位置付け、2024年3月期に売上高520億円、営業利益率20%の達成を目指します。

市場別では、販売台数が増加する電動車向けの拡販を加速し、パワートレイン、セーフティ等の分野を伸ばします。また、車載や5G等の新たな市場に対してニーズに応え他社を凌駕する新製品を開発し、車載分野の他、5G、ロボット分野を伸ばして参ります。

 

②重点施策

上記の位置付けと業績目標の下、当社は、以下の重点施策に取組んで参ります。

1)戦略的セグメンテーションとグローバル化

・市場セグメントを定め、各セグメントごとに策定した戦略に基づき攻略

・海外営業体制の強化とサポート

・業界№1スピードのワンストップ対応

 

 

 

 2)車載市場の強力推進

・車載市場において伸長する重点領域での一層の拡販強化

 

3)第二の柱の早期確立

・新たな市場ニーズに応える新製品の開発と攻勢

・インダストリアル市場のグローバル顧客に対するカバレッジ強化

・顧客、市場の特性に応じた販売チャネルの多様化

 

4)可動(フローティング)(注)を核とした技術開発力の強化

可動(フローティング)テクノロジーの進化による革新的接続を実現すべく、

・業界№1、Only one製品開発

・付加価値を創造するOnly one製品開発

により、顧客ニーズを先取りした、先進技術製品を活用したソリューション提案を実施

(注)端子と端子のピッチ方向、ピッチ方向に対する垂直方向、篏合方向のすべて、またはいずれかに動き、その篏合ずれを吸収するように設計されたコネクタの技術。

 

5)生産力、コスト力、および品質力の強化

・生産プロセス強化(設備・金型の標準化推進等)

・コスト力強化、生産性向上(スマートファクトリー推進、設計の標準化推進等)

・品質の向上(サプライヤー管理・品質保証体制の充実、クリーンリネスの追求等)

 

6)経営インフラの強化

・基幹システムの刷新(BPRとグローバルシステム構築の同時推進)

・ESGの拡充(CO2排出削減、多様な人財活用、レジリエンス経営の強化)

 

③経営目標

・旧中期経営計画(2021年3月期~2023年3月期)

 

2020年3月期

(実績)

2021年3月期

(計画)

2022年3月期

(目標)

2023年3月期

(目標)

売上高

396億円

340億円

405億円

450億円

営業利益

46億円

14億円

49億円

72億円

営業利益率

11.7%

4.1%

12.0%

16.0%

親会社株主に帰属する当期純利益

33億円

11億円

36億円

54億円

総資産

606億円

600億円

620億円

670億円

自己資本比率

84.4%

86.2%

86.2%

86.6%

設備投資

64億円

60億円

65億円

70億円

研究開発費

14億円

15億円

16億円

17億円

EPS

139.5円

46.7円

153.1円

227.6円

ROE

6.4%

2.1%

6.9%

9.6%

 

※為替レート設定はUSD108円、EUR120円(2021年3月期~2023年3月期)

 

・見直し中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)

 

2021年3月期

(実績)

2022年3月期

(計画)

2023年3月期

(目標)

2024年3月期

(目標)

売上高

365億円

420億円

470億円

520億円

営業利益

29億円

67億円

85億円

104億円

営業利益率

7.9%

16.0%

18.0%

20.0%

親会社株主に帰属する当期純利益

21億円

48億円

60億円

75億円

総資産

639億円

670億円

720億円

780億円

自己資本比率

85.0%

86.0%

87.0%

87.5%

設備投資

48億円

68億円

75億円

80億円

研究開発費

12億円

14億円

16億円

18億円

EPS

90.8円

203.7円

256.6円

317.5円

ROE

4.1%

9.0%

10.0%

12.0%

 

※為替レート設定はUSD105円、EUR127円(2022年3月期~2024年3月期)

 

(ESGへの取り組み)

当社は「未来に続く架け橋として」をタイトルに、「人の心を尊重し、豊かな価値を創り、社会貢献に努める」ことを経営理念としており、全社を挙げてCSR/ESGへ取り組んで参ります。

 

①ESGの拡充・取り組み方針

・CSR推進室の新設

・ロードマップに基づく着実な実行

・情報開示の充実

・業務監査への”CSR”の観点の組み込み

 

②見直し中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)における強化項目

・CO2排出削減(2030年、電力由来のCO2排出ゼロ目標)

・多様な人財の活用(外国人役員、女性役員・管理職の増加)

・レジリエンス経営の強化(コロナ禍を契機とするリスクマネジメント、BCPの強化)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

③ESGロードマップ


 

 ④電力に由来するCO2削減ロードマップ


 

 

(3)会社の対処すべき課題について

世界経済は、新型コロナウイルスのワクチン接種率の差などにより国や地域によっては景気回復に強弱があると予想されますが、米国や中国が牽引する形でコロナ禍からの回復傾向にあります。当社の主力領域である車載市場においては、2021年の自動車販売台数が7,800万台から8,600万台へと2020年を底に急激に回復していくと想定しております。

一方で、新型コロナウイルスの感染再拡大、金や銅の価格高騰に伴う材料費の増加、原材料の安定的な調達活動、輸送コストの上昇等、予断を許さない状況が続くものと予想されます。

当社グループの事業領域において、車載市場では自動車の電動化やADASの進展、コンシューマー市場やインダストリアル市場ではロボット化や5G通信など技術の進歩が顕著であり、既存製品の高機能化とともに、新たな製品の開発が進むことが予想されます。

こうした状況の下、車載市場においては、自動車の電動化やADASの進展に伴い、成長が見込まれる5つのアプリケーション分野「セーフティ系、パワートレイン系、モーター系、インフォテインメント系、2輪系」に注力いたします。また、インダストリアル市場においては、省力化に貢献するPLC、センサー、インバーター、ロボットなどの産業機器分野や5Gが到来する通信分野での売上拡大を図ります。

開発面においては、他社より先行したオンリーワン製品とコアコンピタンスである可動技術を核とした付加価値のある製品の開発を行うべく、マーケティング活動を強化して、顧客ニーズを先取りしたソリューションサービスの拡充を行って参ります。

生産面においては、合理化、スマートファクトリー化により生産力の向上を図り、生産リードタイムの短縮と徹底した原価低減を行います。同時に、コロナ禍での教訓を活かして、従業員の安全確保と顧客への供給責任を果たすためのBCPの再構築を行って参ります。

管理面においては、コーポレートガバナンスの強化を含むESG対応の推進、人財育成とダイバーシティマネジメントの推進、ERPを含む情報インフラの整備を行い、経営基盤を強化して参ります。

以上により、2022年3月期の見通しにつきましては、連結売上高420億円(対前期比15.0%増)、連結営業利益67億円(同131.0%増)、連結経常利益66億円(同122.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益48億円(同124.1%増)を見込んでおります。為替レートは、105円/ドル、127円/ユーロを前提としております。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは、以下のような事項があると考えております。また、以下に記載された項目以外のリスクが生じた場合においても、当社グループの経営成績及び財政状態等に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、これらのリスクを認識し、リスク管理体制を整備した上で、リスクの未然回避及びリスク発生時の影響を最小限に抑えられるように努めております。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月23日)現在において当社グループが判断したものであり、当社グループの事業に関する全てのリスクを網羅したものではありません。

 

(1) 市場環境の変化について

当社グループは、主に自動車向け電装品メーカー、AV音響メーカー及び各種エレクトロニクス製品を製造するメーカーに対して、電子部品を供給することを主たる事業としております。

 連結売上高の過半数を車載関連市場向けが占めており、自動車関連製品、エレクトロニクス関連製品の需要動向は、いずれも世界の経済情勢に大きく影響を受けます。そのために、想定外の世界経済の悪化や自動車関連製品、エレクトロニクス関連製品市場の急激な変化によって当社グループ製品の需要が大幅に落ち込んだ場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、売上高の第2の柱とすべくFA機器や通信機器等の非車載関連市場への販売強化を行っております。

 

(2) 為替変動について

当社グループは、電子部品の製造及び販売を世界各地に展開しており、当社と海外子会社並びに海外子会社間の取引は、米国ドル建て、ユーロ建て及びタイバーツ建てにて行っております。2021年3月期の連結売上高に占める海外売上高の割合は76.8%ですが、一方、海外生産比率も約87.1%となっております。

当社グループは、円高が急激かつ長期に及んだ場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、為替相場の変動リスクを軽減させるためにへッジ目的の対策を講じております。

 

(3) 海外での事業展開について

当社グループは、グローバルな事業展開を積極的に推進しており、生産及び販売活動の多くを米国や欧州並びに中国その他アジア諸国にて展開しております。これらの海外市場への事業進出には、1)予期しない法律・環境等の規制又は税制の変更、2)不利な政治又は経済要因の発生、3)輸送遅延や電力停止などの社会インフラの未整備による混乱、4)政治変動、テロ行為、戦争、感染症の流行及びその他の社会的混乱等のリスクが常に内在されております。これらの事象が発生した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、海外展開にあたっては販売拠点、生産拠点ともにリスクを慎重に検討し、評価した上で判断しております。

 

(4) 量産拠点の集中について

当社グループは、茨城工場、フィリピン生産子会社及びベトナム生産子会社での複数拠点生産品を除いて、中国の上海生産子会社に生産が集中しております。何らかの原因でそれら生産拠点での操業が不可能になる不測の事態が生じた場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、2016年9月に南通生産子会社を設立し、量産拠点の再構築を図っております。また、2016年3月に設立したメキシコ生産子会社につきましても、現時点では生産に寄与しておりませんが、将来的には当社グループの重要な生産拠点になるものと考えております。

 

 

(5) 価格競争について

当社グループが属している電子部品業界は、大手から中小まで様々な規模の同業者が存在する極めて競合色の強い業界であります。また、競合先は国内に留まらず海外各国にも存在しております。国内外を問わず業界における価格競争は激化しており、販売価格の引下げ競争に巻き込まれた場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループは、継続的な開発投資により「可動(フローティング)BtoBコネクタ(注)」等の独自技術の蓄積と新製品・新技術の開発に積極的に取り組んでおります。また、自社製品の価格競争に留まらず、顧客のTCO(Total Cost of Ownership)削減に貢献する製品の提案を行い、顧客価値の創造にも取り組んでおります。

  (注)端子と端子のピッチ方向、ピッチ方向に対する垂直方向、篏合方向のすべて、またはいずれかに可動し、

     その篏合ずれを吸収するように設計したコネクタ。

 

(6) 製品の欠陥に係るリスクについて

当社グループは、国際標準規格である品質マネジメントシステムにより全ての製品を製造しております。しかし全ての製品について欠陥がなく、将来的にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償に対する保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証もありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥が発生した場合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループの製品は、高い信頼性を求められるものが多いため、開発段階から出荷に至る全ての段階において細心の注意を払っております。

 

(7) 研究開発活動に係るリスクについて

当社グループの展開する市場では、技術革新とコスト競争について厳しい要求があり、新規製品を継続的に投入していく必要があります。技術の急速な進歩や顧客ニーズの変化により期待通りに新製品開発が進まない場合は、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループでは、十分なマーケティング活動を行い、市場ニーズを的確に把握し、新技術や新製品開発、生産プロセス改革に必要な研究開発投資や設備投資を行っております。当社グループは、継続して新製品を開発できるものと考えております。

 

(8) 外部部品供給元への依存と原材料調達について

当社グループは、全ての主要原材料と一部部材の供給を外部業者に依存しております。これら外部業者とは安定供給のための協力関係を築いておりますが、需要の急激な変動に伴う供給不足や供給先からの供給遅延が起こった場合には、顧客への供給が不可能になる事や納期遅延を誘発する事により競争力を失うことがあります。また、原材料等の市場における需給関係の変化等により市況価格が急激に高騰した場合は、当社グループ製品の原価上昇を招き、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、原材料及び部材の市況の変化に対して、当社グループにおける内製化、グローバル調達による現地調達の推進等の原価低減に努めております。

 

(9) 事故や災害について

当社グループは、想定を超える大規模な災害が発生した場合は、停電又はその他事業運営の中断事象による影響を完全に防止又は軽減できる保証はなく、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これに対して、地震を含めた防災対策を徹底しており、火災や風水害等による事故や災害による損害を防止するため、設備の点検、安全装置・消火設備の充実、各種の安全活動等を継続的に行っております。

 

 

(10) 重要な訴訟等に係るリスクについて

当社グループは、国内及び海外事業に関連して、訴訟、紛争、その他の法律的手続の対象となるリスクがあります。とりわけ、技術革新の激しい電子部品業界においては、知的財産権は重要な経営資源の一つであります。独自開発した技術等に関する特許申請、意匠登録等に基づき当社グループが保有する知的財産権が、第三者によって侵害や模倣された場合には、当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害したとして損害賠償請求を受けた場合は、生産・販売活動が制約を受けることや損害賠償金等の支払いが発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、特許権を含む知的財産権の管理と運営については、技術本部技術部技術管理課にて一元管理を行い、開発者や設計者と技術管理課の知的財産権担当者との間での情報共有及び知的財産権に関する問題提起やその解決について適宜対応がとれる体制を取っております。

 

 (11)人材獲得に係るリスクについて

当社グループは、技術的変化及び競争関係が激しい電子部品業界に属しており、また海外売上高比率や生産に占める海外比率も高いため、多様な専門技術に精通した人材、グローバルでの経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保、育成を継続的に推進していくことが重要となります。専門性の高い優秀な人材は限られていることから、優秀な人材を確保できない場合は、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループは、事業の継続的発展のために、国内に加え海外でも採用を積極的に展開しております。

 

 (12)情報セキュリティに係るリスクについて

当社グループは、事業活動を通して、お客様や取引先の個人情報及び機密情報を入手することがあり、営業上・技術上の機密情報も保有しております。

予想を超えるサイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウイルス侵入等により、万一これらの情報が流出した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、当社グループの信用低下や業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これに対して、当社グループでは、機密情報の管理方法を万全とするために「情報セキュリティ規程」の制定と情報セキュリティ委員会の設置を行い、機密情報管理体制の確立・徹底に努めております。また、役員および従業員の情報セキュリティ意識の向上を目的に、eラーニング等の教育を定期的に実施しております。

なお、2018年5月施行のGDPR(EU一般データ保護規則)については、グローバルで該当個人情報の保護対策を強化しております。

 

(13)新型コロナウイルスの感染拡大に係るリスクについて

新型コロナウイルスの世界的流行に対しては、2020年3月に本社内に社長及び執行役員を中心に構成した対策チームを発足し、また、各国や自治体による感染拡大防止政策に則り、従業員出勤時の体温測定、体調確認、マスク着用を徹底し、リモート会議、時差通勤、在宅勤務の推進などにより感染拡大防止に向けた取り組みを行っております。

当連結会計年度においては、販売面では、第1四半期を中心に新型コロナウイルスの感染拡大に伴う欧米を中心とした生産・販売活動の停滞により需要が低迷し収益悪化が見られましたが、その後は需要増とともに急激に回復しました。一方で生産面では、所在する地域の都市封鎖(ロックダウン)措置により、当社ベトナム生産子会社が2021年2月3日から2月28日まで稼動停止を余儀なくされました。今後も感染状況や各国の政策により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。生産活動については仮にロックダウン措置で稼動停止になった場合でも影響を最小限にすべく、BCP対応の見直しを2021年2月から行っており、在庫の増量、流動製品のスペア設備配置による生産設備のリードタイム短縮、流動製品の生産体制変更によるマルチ生産化の3つの取り組みを実施して参ります。

また、不測の事態が生じた場合の経営と雇用の安定化及び中長期での成長投資に備えて手許資金を確保すべく、グループ内における資金管理の最適化にも努めて参ります。具体的には、グループ会社間における資金の最適な配分や設備投資の延期による支出の抑制などを実施して参ります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響の詳細については、「2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(1)経営成績

当連結会計年度における世界経済は、第1四半期においては新型コロナウイルスの世界的流行の影響により停滞しておりましたが、第2四半期以降は一部地域での感染再拡大による先行きの不透明さは残しつつも予想を上回る回復局面へと向かいました。

欧米、日本地域の景気は概ね4月を底にして回復し、自動車業界においても生産活動の再開により生産・販売台数に持ち直しの動きが見られましたが、第4四半期には欧米での新型コロナウイルスの感染再拡大や、世界的な半導体不足の影響により減速しました。一方、中国では、新型コロナウイルス流行の早期ピークアウトにより景気の回復が早く、環境対応車への補助金の継続なども奏功し、自動車販売台数は前期を上回りました。

このような事業環境の下、当社グループの売上高は当連結会計年度において前期比で減少したものの、第1四半期を底として回復し、第3四半期連結会計期間(2020年10月~12月)では過去全ての四半期連結会計期間(3カ月間)において、同一為替レートを適用した場合に当社史上最高となり、新型コロナウイルスの第一波感染拡大による生産・消費の停滞局面から回復局面へと向かいました。主力である車載市場の売上高は、新型コロナウイルス感染拡大により、米国や欧州を中心とした主要地域において第1四半期に販売先の生産活動停止や販売低迷の影響を受け、前期比で減少しました。インフォテインメント分野では、コックピット化やコネクティッド対応等の将来の変化を見据えた新たな製品の開発を進めておりますが、自動車販売台数の大幅な減少及び自動車1台あたりのコネクタの搭載数量の減少の影響もあり、売上高が減少しました。セーフティ分野では、安全系のADAS(先進運転支援システム)向けに注力しておりますが、第1四半期での欧米地域での生産停止の影響を受け、前期比で売上高が減少しました。パワートレイン分野では、自動車の販売台数が前年比で減少しているものの、世界的に環境政策が広がり、特に中国での補助金の継続や欧州での補助金増額等により環境対応車の需要が増加しました。その結果、環境対応車で新たに搭載される機器に対応したバッテリー関連や外部給電用インバーター向けが好調となり、売上高が前期比で約70%増加しました。

コンシューマー市場においては、コロナ禍での巣ごもり需要によりゲーム機向けやテレビ向けで売上高が増加し、前期比で増収となりました。インダストリアル市場は、中国での景気回復によるFA関連機器の需要増加により、前期比で増収となりました。

 以上の結果、売上高は、前期比7.8%減の365億2千万円となりました。

 売上原価は、前期比4.9%減の253億1千7百万円となりました。売上原価の売上高に対する比率は前期比2.1ポイント上昇し、69.3%となりました。主な要因は、原価低減活動は一定の成果を挙げたものの、アジア圏での賃金上昇、金や銅などの素材価格の高騰、新製品や合理化のための設備投資に伴う減価償却費の増加等によるものであります。

販売費及び一般管理費は、前期比0.7%減の83億2百万円となりました。この結果、販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は前期比1.6ポイント上昇し、22.7%となりました。主な要因は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に伴い輸送単価が上昇したことに加え、当社ベトナム生産子会社が所在地域の都市封鎖(ロックダウン)により2021年2月3日から2月28日まで稼動停止となった影響で緊急出荷を行ったことで増加したことによるものであります。

以上の結果、営業利益は、前期比37.3%減の29億円となりました。

営業外損益は、前期3千9百万円の収益(純額)から6千9百万円の収益(純額)へと、収益が3千万円増加いたしました。主な要因は、補助金収入が発生したことによります。

特別損益は、前期の3億2千8百万円の損失(純額)から1億8千1百万円の損失(純額)へと損失が1億4千7百万円減少いたしました。主な要因は、前期に減損損失1億5千6百万円を計上したことによります。

以上の結果、経常利益は29億7千万円、税金等調整前当期純利益は27億8千8百万円及び親会社株主に帰属する当期純利益は21億4千1百万円となりました。

  

セグメントの業績を示すと次のとおりであります。

〔日本〕

国内においては、車載市場で中国や欧州での環境対応車の需要増加によりパワートレイン分野の増加、コンシューマー市場でコロナ禍での巣ごもり需要によるテレビ機向けやゲーム機向けの増加、及びインダストリアル市場では中国でのFA関連器機器向けの増加があったものの、その他が減少した結果、売上高は前期比2.8%減の84億5千7百万円となりました。営業利益は46.4%減の19億9千6百万円となりました

〔アジア〕

アジア地域においては、車載市場でセーフティ分野と中国や欧州の環境対応車の需要増加によりパワートレイン分野が増加し、中国ではコロナ禍での巣ごもり需要によるテレビ機向けやゲーム機向けでコンシューマー市場が好調だったものの、為替が円高傾向で推移したした結果、売上高は前期比0.2%減の163億9千3百万円となりました。営業利益は50.6%増の20億1百万円となりました

〔欧州〕

ヨーロッパ地域においては、ドイツやフランスといった主要地域での環境対応車への補助金増額や環境規制強化の動きもあり車載市場のパワートレイン分野が大幅に増加したものの、その他が減少した結果、売上高は前期比15.1%減の66億6千7百万円となりました。また、営業利益は前期比41.8%減の1億3千9百万円となりました

〔北米〕
北米地域においては、車載市場が減少したこととドルが円高傾向で推移した結果、売上高は前期比24.6%減の50億1百万円となりました。営業利益は26.8%減の2億3千2百万円となりました

 

 (2) 財政状態

当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末(2020年3月末)に比べ33億3百万円増加し、639億4千1百万円となりました。流動資産は、現金及び預金4億4千万円の増加、受取手形及び売掛金10億7千3百万円の増加、商品及び製品4億8千9百万円の増加、原材料及び貯蔵品5億8千3百万円の増加等により28億1千4百万円増加し352億9百万円となりました。固定資産は、機械装置10億5千2百万円の増加、建設仮勘定9億1千8百万円の減少等により4億8千9百万円増加し287億3千2百万円となりました。

負債は、前連結会計年度末に比べ9千2百万円増加し、92億1千万円となりました。流動負債は、支払手形及び買掛金4億2千9百万円の増加、未払金4億5千3百万円の減少等により2千8百万円増加し79億5千6百万円となりました。固定負債は、6千3百万円増加し12億5千4百万円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益による増加21億4千1百万円、剰余金の配当による減少11億8千3万円、為替調整勘定の増加20億8千6百万円等により前連結会計年度末に比べ、32億1千1百万円増加し547億3千1百万円となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動により62億3千4百万円増加し、投資活動により48億8千1百万円、財務活動により13億7千9百万円、それぞれ減少した結果、前連結会計年度末に比べ4億4千万円増加し、142億6千万円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動では、税金等調整前当期純利益27億8千8百万円、減価償却費47億8千9百万円に伴う資金の増加から、たな卸資産の増加額6億7千9百万円、法人税等の支払額5億3千2百万円に伴う資金の減少を差し引き、資金の増加額は62億3千4百万円(前期は68億3千万円の増加)となりました。

 
(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動では、有形固定資産及び無形固定資産の取得48億1千1百万円の支出により、資金の減少額は48億8千1百万円(前期は64億8千2百万円の減少)となりました。

 
(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動では、長期借入金の返済5千6百万円、配当金の支払11億8千4百万円等により、資金の減少額は13億7千9百万円(前期は16億6千4百万円の減少)となりました。

 

翌連結会計年度については、コネクタ生産設備等を中心に68億円の資本的支出を計画しており、その資金の調達源については、自己資金を想定しております。

 

(4) 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

 

区分

生産高(百万円)

前期比(%)

日本

3,721

91.6

アジア

25,173

99.0

欧州

北米

合計

28,894

98.0

 

(注) 1 金額は生産出荷高によっております。

2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

 

区分

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

日本

9,530

107.1

2,079

206.6

アジア

18,361

113.2

3,733

211.5

欧州

7,649

98.6

2,482

165.4

北米

5,078

75.0

540

116.6

合計

40,619

102.4

8,836

186.5

 

(注) 1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

 

区分

販売高(百万円)

前期比(%)

日本

8,457

97.2

アジア

16,393

99.8

欧州

6,667

84.9

北米

5,001

75.4

合計

36,520

92.2

 

(注) 1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

2 販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。

 

  (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債及び収益、費用の報告金額に影響を与える会計上の見積りを行う必要があります。経営者は、これらの見積りや仮定について、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りや仮定と異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

  (6) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、2021年5月に2024年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定し、売上高、営業利益、営業利益率、親会社株主に帰属する当期純利益、総資産、自己資本比率、設備投資額、研究開発費、EPS、ROEについて目標を設定しております。なお、本中期経営計画に関しては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略」にも記載しております。

中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)における指標

 

2021年3月期

(実績)

2022年3月期

(計画)

2023年3月期

(目標)

2024年3月期

(目標)

売上高

365億円

420億円

470億円

520億円

営業利益

29億円

67億円

85億円

104億円

営業利益率

7.9%

16.0%

18.0%

20.0%

親会社株主に帰属する当期純利益

21億円

48億円

60億円

75億円

総資産

639億円

670億円

720億円

780億円

自己資本比率

85.0%

86.0%

87.0%

87.5%

設備投資

48億円

68億円

75億円

80億円

研究開発費

12億円

14億円

16億円

18億円

EPS

90.8円

203.7円

256.6円

317.5円

ROE

4.1%

9.0%

10.0%

12.0%

 

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、豊かな価値を作り、社会貢献に努めるという経営理念のもとに重点市場である自動車機器、デジタル機器、インダストリアル機器に使用される製品及び新技術の開発を中心に取組んでおります。特にBtoBコネクタのうち、フローティングBtoBコネクタについては顧客の課題解決を目指し積極的に製品開発をしております。また、拠点においては、中国国内に展開する機器メーカーが相次いで現地での開発体制を積極的に整備するなか、当社は日本国内の設計開発部門の他に、上海に開設した技術センターにて技術強化を推進しております。その他の海外重要販売拠点では、技術スタッフの常駐化によるグローバル・エンジニアリング・ネットワークの構築を目指しており、今後も、欧米諸国と新興国への市場展開を考慮し、さらなる強化を進めて参ります。

 

最近の研究開発活動は次のとおりであります。

(1) オートモーティブ機器用製品

近年は、車載機器がADAS(先進運転支援システム)、EV/HEVの促進により変化し各用途へのコネクタ要求が変化しております。

 パワートレイン内部接続向けで「Z-Move®」(注)機能を搭載したコネクタの品種追加を行いました。

 自動運転向けで信号端子と電源端子を一体化し、尚且つ高速伝送対応のハイブリッドBtoBコネクタの開発を行いました。平行接続の基板間設定は10~30㎜まで計画をしており、順次量産開始に向けて準備しております。同様にECU内部接続向けに当社では最大極数である320pinの高速伝送対応フローティングBtoBコネクタの試作品を開発しました。

センシングカメラ向けでは、同軸、差動の伝送速度に対応したフローティングコネクタの試作品を開発しました。

  (注)接点が固定されたまま篏合方向の三次元まで可動するコネクタで、耐振動性、耐衝撃性に優れ、振動(共

     振)・衝撃による半田付け部のストレス緩和が可能。

 

(2) デジタル機器用製品

デジタル機器では、0.4㎜ピッチZIF Lock付きFPCコネクタの開発を行い、供給を開始しました。

   監視カメラ向けで高速伝送対応の多極BtoBコネクタの開発を行い、供給を開始しました。

 

(3) インダストリアル機器用製品

産業機器は、小型化、自動組立化を重視した構造を求められております。

当社は、車載用で開発されたフローティングBtoBコネクタ及びAuto I-Lockコネクタにて機器の自動組立化を推進しております。

 

当連結会計年度における研究開発費の金額は1,208百万円で、セグメントごとの研究開発費は、日本は1,165百万円、アジアは42百万円であります。なお、当社のセグメントは生産・販売の管理体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、研究開発活動の大部分を日本セグメントで行っているため、セグメントごとの研究開発活動の状況につきましては、記載を省略しております。