第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

下記の文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月28日)現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は「人の心を尊重し、豊かな価値を創り、社会貢献に努める」ことを経営理念とし、全社員の知恵をお客様の課題解決に注ぎ、お客様が提供する製品・サービスの未来に続く架け橋となるべく、「顧客価値を創造する100年企業」となることを目指しております。

2023年4月には、新たに当社のパーパス(存在意義)として「私たちは、社会やお客様の期待を超える“つなげる”を実現します」という言葉を策定し、当社が製造するコネクタを通して、人と環境にやさしく、様々な機能を容易につなげる未来を創造していくことを、社会に対して実現したいこととして掲げました。

 

(2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

 当社の事業領域において、車載関連市場では100年に一度と言われる電動化によるパワートレイン部品の増加、自動運転に向けたADAS(先進運転支援システム)の普及という2つの大きな変化が、またインダストリアル関連市場では自動化・省人化に向けたFA機器・ロボットの増加、次世代移動通信システム「5G(第5世代移動通信システム)」の導入・拡大という変化が起きております。

 

 いずれの市場における変化も当社が培ってきた三次元可動並びに大容量情報伝達等の独自技術による当社コネクタ事業を飛躍的に拡大する好機ととらえ、グローバルでの成長市場への展開を重点戦略として、顧客ニーズを先取りするマーケティング、顧客ニーズに対応した顧客密着型営業体制により、お客様の期待を超える製品開発を目指しております。また、生産・サプライチェーンにおいても、グローバル情報ネットワークを活用し、最適生産拠点の決定、集中購買・複数購買、各生産拠点での材料の現地調達、内製化・合理化を推進し、グローバルでのQCD(品質・コスト・納期)をより一層強化していくことを目指しております。

 

 当社は、以上の市場環境の変化を確実に捉え、2030年までに接続部品業界でグローバルトップ10入りを果たすことで、事業規模の確保とブランドの向上を図り、売上高1,000億円を目標とする長期ビジョンを策定し、グローバルでの新規顧客開拓並びに、海外生産拠点の拡大を推進して参ります。

 中期目標として、2020年8月4日に中期経営計画(2020~2022年度)を公表いたしましたが、その後の自動車販売台数の回復やxEV(EV、FCV、PHV、HEV、HV)の急増等、市場が大きく変化していることを踏まえて、2021年5月10日に業績目標の見直しを中心とする「見直し中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)」を策定しました。

 

①業績目標

当社は、この「見直し中期経営計画期間」の2021~2023年度を、成長軌道への回帰と長期ビジョン達成の基盤を固める3年間と位置付け、2024年3月期に売上高520億円、営業利益率20%の達成を目指す計画を策定しました。

市場別では、販売台数が増加する電動車向けの拡販を加速すると共に、5G等の新たな市場に対して新製品を開発し、車載分野、5G、ロボット分野を伸ばす戦略を取っています。

一方、計画時から市況は、コロナ感染の長期化、ロシア・ウクライナ紛争等大きく変化しており、現時点での進捗状況は、後段の「④見直し中期経営計画の進捗状況(売上高、営業利益率)」に記載しております。

 

②重点施策

上記の位置付けと業績目標の下、当社は、以下の重点施策に取組んで参ります。

a. 当社が狙う市場セグメント並びに戦略の明確化

・車載市場において伸長するxEV、ADAS等重点領域での拡販強化

・インダストリアル市場のグローバル顧客に対するカバレッジ強化

・顧客、市場の特性に応じた販売チャネルの多様化

 


 

b. グローバル営業体制強化

・海外営業体制の強化とグローバル・サポート体制構築

・業界№1スピードでのワンストップ顧客対応

 

c. 可動(フローティング)(注)を核とした製品開発力の強化

可動(フローティング)テクノロジーの進化による革新的接続を実現すべく、

・業界№1、Only one製品開発

・お客様の付加価値を創造するOnly one製品開発

新たな市場ニーズに応える新製品の開発と攻勢

により、顧客ニーズを先取りした、先進技術製品を活用したソリューション提案を実施

(注)端子と端子のピッチ方向、ピッチ方向に対する垂直方向、篏合方向のすべて、またはいずれかに

   動き、その篏合ずれを吸収するように設計されたコネクタの技術。

 

d. 品質力、コスト力、生産効率、生産能力の向上

・品質の向上(サプライヤー管理・品質保証体制の充実、クリーンリネスの追求等)

・設計標準化、VE/VAによる材料共通化、再生材料使用等コスト力強化

・設備・金型の標準化、スマートファクトリー等による生産効率・生産能力の向上

 

e. 経営インフラの強化

・基幹システムの刷新(グローバルITシステムの再構築とBPRの推進)

・ESGの拡充(CO2排出削減、多様な人財活用、レジリエンス経営の強化)

 

③経営目標

・見直し中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)

 

2021年3月期

(実績)

2022年3月期

(計画)

2023年3月期

(目標)

2024年3月期

(目標)

売上高

365億円

420億円

470億円

520億円

営業利益

29億円

67億円

85億円

104億円

営業利益率

7.9%

16.0%

18.0%

20.0%

親会社株主に帰属する当期純利益

21億円

48億円

60億円

75億円

総資産

639億円

670億円

720億円

780億円

自己資本比率

85.0%

86.0%

87.0%

87.5%

設備投資

48億円

68億円

75億円

80億円

研究開発費

12億円

14億円

16億円

18億円

EPS

90.8円

203.7円

256.6円

317.5円

ROE

4.1%

9.0%

10.0%

12.0%

 

※為替レート設定はUSD105円、EUR127円(2022年3月期~2024年3月期)

 

④見直し中期経営計画の進捗状況(売上高、営業利益率)

世界経済は、新型コロナウイルスによる経済制限の長期化、ロシア・ウクライナ情勢の長期化等により、グローバルサプライチェーンの混乱、世界的なインフレ等、不透明な状況が継続しました。当社の主力事業領域である自動車市場においても、半導体等の部品不足等の影響も加わり、回復を見込んでいた世界の自動車生産台数は想定より大きく下回り、正常化には至っておりません。そのような環境下ではありますが、売上高は、自動車の電動化の進展による車載関連市場でのパワートレイン分野と中国での設備投資需要に応じたインダストリアル市場の増加、及び為替が円安に推移していることもあり、見直し中期経営計画に対して、2022年3月期までは上回る水準で推移し、2024年3月期も同様の計画としています。一方で営業利益率は、想定していた時点と比較して、操業度の減少、原材料や運送費の価格高騰により、原価低減活動で十分吸収できず、下回る水準となっています。

 

 


 

 

 

(3)2024年3月期の重点施策、対処すべき課題

①市場環境

a. 車載市場

当社の主力である車載関連市場においては、半導体などの供給制約の緩和により生産活動は正常化へと向かうものの、グローバルでの生産台数は各国の景気減速を受けて前期比微増に留まると見込んでいます。一方でxEVは世界的な脱炭素の動きによる推進効果や各自動車メーカーの取り組みにより成長を見込んでいます。

b. コンシューマー市場、インダストリアル市場

巣籠り需要の終了による反動や中国での設備投資需要の一服感から上期を中心に調整局面が続くと見込んでいます。

 

2024年3月期の重点施策

このような不透明な環境下ではありますが、xEV市場の成長を捉え売上拡大に努めて参ります。利益面では、自動車生産台数減、原材料費等の高騰影響等により、中期経営計画を下回る状況となりますが、以下の5つの施策を継続して注力して参ります。

・収益構造改善プロジェクトの刈り取り

・戦略製品のラインナップ強化

・営業力の強化

・生産能力拡大、BCPの強化

・新ERPシステムの円滑な立ち上げ

 

③2024年3月期の見通し

連結売上高550億円(対前期比4.0%増)、連結営業利益77億円(対前期比10.9%増)、連結経常利益75億5千万円(対前期比1.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益 57億円(対前期比2.9%増)を見込んでおります。為替レートは、130円/ドル、140円/ユーロ、19.5円/人民元を前提としております。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社は「人の心を尊重し、豊かな価値を創り、社会貢献に努める」という経営理念のもと、全社員の知恵をお客様の課題解決に注ぎ、お客様が提供する製品・サービスの未来に続く架け橋として、「顧客価値を創造する100年企業」となることを目指しております。

 このビジョンは、2016年、創業50周年時に作成し、更に50年以上存続できる企業でありたいとの想いを込めたものです。100年以上存続できる企業になるには、厳しい企業間競争に勝っていくと共に、気候変動等の地球環境問題や社会課題の解決に貢献し、社員を始め全てのステークホルダーの皆さまへの誠実な態度と行動が必要であると考えます。

 このビジョンを実現し、イリソ電子工業を更に発展させていくために、社会との共存、社会貢献の取組を積極的に進め、当社の事業拡大を推進して参ります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月28日)現在において当社グループが判断したものであり、実際の結果は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

①CSR方針

 当社は2022年10月に以下のとおりCSR方針を策定しました。当社の事業活動そのものが社会貢献や環境・社会課題の解決に寄与していると認識しており、例えば、当社のコネクタの活用が、お客様の作業性向上、作業時間削減、機器の小型軽量化、ロボット活用による生産の自動化を通じて、省資源、省エネ、労働人口減少対応へ貢献しています。

 当社のCSRを「社会との共存、社会貢献」と改めて定義し、事業を通じた活動をCSRのメインとし、“サステナブルな企業”を目指して参ります。

 


 

②見直し中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)における強化項目

・CO2排出削減(2030年、電力由来のCO2排出ゼロ目標)

・多様な人財の活用(外国人役員、女性役員・管理職の増加、経験者採用の増加、社内ローテーションの

 推進)

・レジリエンス経営の強化(コロナ禍を契機とするリスクマネジメント、BCPの強化)

 

③ESGロードマップ(2023年6月に見直し実施)


 

 

 

 

 

 

 

 

 

④電力に由来するCO2削減ロードマップ(2023年6月に見直し実施)


 

⑤2023年3月期の主な取組実績

・CSR方針の策定

・イリソグループ企業行動憲章の改訂

「持続可能な社会の創造への貢献」、「サイバーセキュリティ、データセキュリティを含む危機管理の徹底と体制構築」、「持続可能な社会の発展を支える責任ある調達の推進」、「贈収賄防止」、「ダイバーシティを含む人権の尊重」に関する内容を追加及び改訂

・CSR調達ガイドラインの改訂

人権侵害・環境破壊等のリスクや、不正や武装勢力の活動資金源となる懸念のある「紛争鉱物」をサプライチェーンにおける重要な社会問題として認識し、CSR調達ガイドラインを改訂

・グリーン調達基準書の作成

製品への有害化学物質の混入を防止し、地球環境に与える負荷を最小限にすることを目的とし、調達する製品、部品、材料に使用を禁止する化学物質、使用を管理する化学物質を定めたグリーン調達を推進するために、「グリーン調達基準書」を制定しました。お取引先様のご理解・ご協力をいただきながら、サプライチェーン全体で製品に含有する有害化学物質の削減に取り組んでいます。

・金使用量の削減

コネクタのピンのめっきに使用される金において、比重、膜厚、処理エリアの見直をすることで、使用量を削減し、環境負荷を軽減しています。

・再生材料活用拡大による廃棄量の削減

コネクタのモールドに使用される樹脂において、今までは工程において出た端材を廃棄していましたが、再生材LCP(液晶ポリマー)化することで、廃棄量を削減し、環境負荷を軽減しています。

 

・省エネ設備への更新

電気使用量削減のために、工場を含む拠点の設備の省エネ化に取り組んでいます。本社では事業所のエアコンの更新工事を2023年3月期から4年間で段階的に実施し、これにより、本社事業所の年間電気使用量135MWhの削減を見込んでいます。2023年3月期は、対象の約15%の更新工事を実施し、この効果もあり、当社本社事業所の年間電気使用量は24MWh減少しました。なお、対象のうち、2024年3月期は約20%、2025年3月期は約30%、2026年3月期は約35%の更新工事を実施予定です。

また、茨城工場でも空調設備の改善及びエアコン更新工事により、使用電気量の削減を計画しています。

・当社ウェブサイトの「ESG/CSR」ページを整理・刷新して「サステナビリティ」ページを新設し、開示

  情報を拡充

・TCFD提言に基づく情報の開示

・SCOPE1、2、3データの開示

 

(1)気候変動への対応(TCFD提言に基づく情報開示)

 当社はサステナビリティに関する取組のうち、気候変動への対応を重要な経営課題の一つと捉え、TCFDの4つの開示項目に沿って、情報開示を行います。

 

①ガバナンス

・取締役会の指導・監督の下、ステアリングコミッティを組織し、取締役管理本部長を長として各本部 

 の本部長メンバーを中心にリスクマネジメント全体を統括します。

・各本部長が各部門と連携して中長期の気候変動の影響による事業へのリスク、機会の検証を年4回行

  い、必要な対策を講じます。

・結果はステアリングコミッティの報告を経て、重大な影響の恐れのある事案については年2回取締

 役会へ報告・付議します。

・監査等委員会はステアリングコミッティに対し、適宜助言を行います。

 

〈ガバナンス及びリスク管理体制図〉


 

 

②戦略

a. 事業戦略

当社は事業において気候変動が及ぼすリスクと機会について検討を行いました。リスクと機会とは、政策や規制等、社会的要求の変化等によって生じる“移行”リスク・機会と、異常気象の激甚化等によって生じる“物理”リスクを指し、それぞれ当社の損益に影響を及ぼす可能がある項目を特定しています。

シナリオ分析では、IEA(国際エネルギー機関)等が公表する「科学的根拠を有するシナリオ」を用いて、事業にどのような影響を及ぼすか検討しました。今回実施したシナリオ分析は、イリソグループにおける製品及びサービスの購入、開発、製造、販売、廃棄までのサプライチェーン全体を対象とし、4℃シナリオ、1.5℃シナリオの2つのシナリオを用いて、2030年時点における影響を考察・検討いたしました。

当社グループ全体で、2030年に電力由来によるCO2排出量を“ゼロ”、2050年にはカーボンニュートラルを目標としています。今回外部のシナリオを用い当社グループにおける事業インパクトを算出いたしました。その分析の結果、当社は自社事業におけるCO2排出量の削減と共にCO2排出削減に貢献するxEVに事業を注力することで、CO2排出量削減に貢献しています。

具体的には、ネガティブインパクトを抑制するため、エネルギー使用量の削減及びエネルギー使用原単位を改善する施策として、エネルギー効率のよい生産設備への入替促進等の実施、ポジティブインパクトの促進として、xEV向け事業への注力、地産地消化を推進し輸送効率の改善を推進します。また、製品そのものに着目したリサイクル原材料の活用、製造プロセスそのものの見直しによる生産効率改善も進めています。

 

b. 各シナリオにおける事業インパクト、財務的影響

(a)4℃シナリオ

4℃シナリオでは、気候変動対策が現状から進展せず、地球平均気温が産業革命以前と比較して21世紀末ごろに約4℃上昇するとしています。異常気象の激甚化や海面上昇等、物理的なリスクが大きくなる一方、企業活動や消費活動に対する締め付けは現状より強化されないとされています。

この4℃シナリオにおける事業インパクトは、気温上昇等による操業地域で働く社員について、健康リスクとなり対応コストが増加するほか、異常気象の激甚化によるサプライチェーンの混乱により仕入が遅延または停止により事業継続が困難となると認識しています。

長期ビジョンである2030年3月期に売上高1,000億円を達成する前提での2030年3月期の利益影響額は約6億円の減少と試算しています。(注)

 

(b)1.5℃シナリオ

1.5℃シナリオでは、カーボンニュートラル実現を目指した取り組みが活発化し、地球平均気温が産業革命以前と比較して21世紀末ごろに約1.5℃の上昇に抑えられるとしています。物理的なリスクの高まりは抑制される一方で、税制や法規制という形で企業活動や消費活動に対する締め付けが強まるとされています。

この1.5℃シナリオにおける事業インパクトは、カーボンニュートラル実現を目指した取り組みが活発化し、炭素税の導入や排出権取引の拡大により追加費用が発生する一方で、脱炭素社会に向け再生エネルギーやxEVの増加等、低炭素技術の需要が拡大することで当社製品の機会が増えると認識しています。

長期ビジョンである2030年3月期に売上高1,000億円を達成する前提での2030年3月期の利益影響額は約31億円の減少と試算しています。(注)

 

(注)2021年3月期を基準とする売上総利益への影響(2023年3月試算)    (単位:億円)

 

4℃シナリオ

1.5℃シナリオ

ガソリン車の市場縮小とxEVの市場拡大の影響

16.8

原材料コストへの影響

-43.8

異常気象の激甚化/降水・気象パターンの変化による被害額

-6.7

-3.8

その他

0.4

-0.4

合計

-6.3

-31.2

 

 

(c)リスク項目と事業インパクトの分析

分類

事業インパクトの考察

大分類

中分類

小分類

発生する時間軸

計測する指標

リスクの内容

機会の内容

影響度

移行

政策

規制

炭素価格

(炭素税)

中期~

長期

損益

・炭素税が導入された場合、輸送費用の増加が重大な財務影響を及ぼすリスク
・炭素税を製品に転嫁した場合、製品の価格競争力低下による売上減少のリスク

・早期から低炭素技術への投資や設備の採用により、エネルギーコスト削減だけでなく、炭素税が導入された場合の操業コストの増加を回避できる可能性

・製品価格への炭素価格の反映を最小限に抑制し得る場合、市場における価格優位性が向上し売上・利益の拡大が期待できる可能性

排出権取引

短期~

長期

損益

・国際社会の脱炭素化の潮流から、各国で排出権取引制度導入が拡大した場合、排出量削減に資する設備への切替コストが発生するリスク

・削減義務を達成できなかった場合、排出枠購入による費用増加のリスク

・削減義務を超えて排出量を削減できる場合、排出権売却により収益拡大に繋がる可能性

 

GHG排出

規制への

対応

短期~

長期

損益

・GHG排出削減規制の強化により、対応費用が増加するリスク
・削減義務を達成できなかった場合、罰金や排出枠の購入による追加的な費用が生ずるリスク

・GHG排出規制等により自動車の電動化・省エネルギー化が進展し、コネクタ需要が拡大する場合、自動車市場に強みを持つ当社の売上・利益拡大に繋がる可能性
・インダストリアル市場(工作・産業用機械、スマートグリッド、通信機器、医療機器等)やコンシューマ機器市場(OA、映像機器等)等、他市場の省エネルギー化及び関連技術需要の拡大がコネクタ需要の拡大に繋がり、当社は車載用コネクタで培った技術を背景に低炭素技術を成長領域として事業を展開、幅広く製品を投入する場合、売上・利益機会が拡大する可能性

市場

エネルギーコストの

変化

中期~

長期

損益

・脱炭素化の進展、再エネ利用の急拡大によりエネルギー価格が高騰した場合、自社工場で製造している当社は操業コストが増加するリスク

・脱炭素化の進展、再エネ利用の急拡大によりエネルギー価格が高騰した場合、インダストリアル市場他の企業の省エネルギー化を一層促進する結果、コネクタ需要が拡大する場合、当社の売上・利益拡大に繋がる可能性

顧客行動

変化

中期~

長期

損益

・顧客からの再生可能エネルギー利用やカーボンニュートラル対応等の要求に対応できない場合、ビジネスチャンスを喪失し売上が減少するリスク

・自動車業界のサプライチェーン全体でGHG排出量を削減する動きに対して、サステナブル企業・製品と認知されることにより売上増加につながる可能性

物理

急性

異常気象の激甚化
(台風、豪雨、土砂、高潮等)

短期

損益

・当社はグローバルに製造・販売地域を有するため、サプライチェーンが混乱し仕入が遅延/停止した場合、事業継続が困難となるリスク
・事業活動の停滞により、売上減少や対応費用の増加等が財政状態を悪化させるリスク

・異常気象による災害多発により、復興・救済用ロボットの需要が増加した場合、売上増加の機会となる可能性

慢性

平均気温の上昇

中期~

長期

損益

・気温上昇地域で働く従業員の健康悪化リスク
・従業員の体調悪化、生産性低下を防ぐため、冷房費用等の追加費用が増加するリスク

・気温上昇地域において冷房設備の需要が増加した場合、売上増加の機会となる可能性

 

(注) 1 移行リスク/機会(チャンス)とは、政策、規制・法制度、及びそれらに伴う社会的要求や事業環境等の変化によって生じる企業収支・財政に対するリスク・機会のことです。

2 物理的リスク/機会(チャンス)とは、地球温暖化ガスの排出量増加の影響が大きいとされる台風激甚化等の異常気象や平均気温の上昇・海面上昇等、物理的な事象が企業の収支・財政状態に及ぼすリスク/機会(チャンス)のことです。

 

③リスク管理

・当社の気候変動リスクは、ステアリングコミッティにおいて識別・評価・管理しています。

・各部門が行うリスク評価の結果に基づき、対策の要否や優先順位を考慮した上でステアリングコミッ

 ティに報告します。

・評価の結果、重大な影響の恐れがある事案及び対応を、取締役会に報告・付議し決定します。

・各部門は、ステアリングコミッティ並びに取締役会の指示・指導に基づき、リスク低減計画を立案、

 遂行します。

・なお、当社は、ISO14001に基づく環境マネジメントシステムを構築しており、気候変動リスク管理の

 中には当該マネジメントシステムに基づく法令遵守等のリスクモニタリングも組み込まれています。

 

④指標及び目標 

 温室効果ガスの削減については下記を目標に設定して、現在は太陽光発電設置、各工場での自動化、めっきラインの効率化による生産効率向上での省電力、再生エネルギー使用への切替に取り組んでいます。将来的にはカーボンプライシングへの対応も行ってまいります。

 (削減目標)

・電力由来のCO2排出量:2025年に実質100%削減

・SCOPE3排出量:2050年にカーボンニュートラルを達成

(推進目標)

a. 数値目標

項目

目標

年目標

電力消費原単位

(電力消費量/工場売上高)

2030

2021年度比-30%

2021年度比-3.5%/年

電力消費原単位

(電力消費量/1人あたり売上)

2030

2021年度比-30%

-3.5%/年

電力消費量削減

2030

2021年度消費量維持

社有車EV化

2030

100%

調達先のSCOPE1~3調査

(CO2排出量の把握)

2030

調達額比80%カバー

2023年度:15%、

以降+10%/年

 

 

b. その他の目標

・脱炭素貢献商品開発、ケミカルリサイクル等の技術開発支援利用電力の見直し

・CO2排出が少ない電力会社、再エネ由来電力の利用

 

 

(2)人的資本経営に関する取組

 当社は、経営理念である「~未来に続く架け橋として~人の心を尊重し、豊かな価値を創り、社会貢献に努める」に基づき、全社員参加型経営と、お互いの人権と尊厳を大切にするインクルーシブな職場環境の醸成に務めております。

 

①ガバナンス

 当社は人財の育成及び社内環境整備について以下のようにガバナンスしています。

・組織の改編や重要人事、経営幹部並びにグローバル人財の育成、ダイバーシティ等の会社の持続的な

 成長に関わる人財戦略については、執行役員以上がメンバーとなる経営戦略会議での審議を経て実施

 されます。また、各部門の代表者から構成される安全衛生委員会が全社的なエンゲージメントの向上

 や健康経営の推進に努めています。

・これらの施策については従業員主体で運営される「従業員代表委員会」からの意見や、各事業拠点へ

 の役員視察での現場での対話を踏まえて、より実効性のある形に見直しを行っております。

 

〈ガバナンス及びリスク管理体制図〉


 

②方針、戦略

当社は、「顧客価値を創造する100年企業」=サステナブルな企業となるために、中期経営計画等において、車載市場に次ぐ第二の柱の確立、技術開発力の強化、品質力、コスト力、生産効率、生産能力の向上を掲げております。必要な人員の確保(採用、定着、育成)を行うと同時に、グローバルで多様な価値観を持った人財が活躍できる組織体制と職場作り(ダイバーシティへの取り組み)、安全・安心な職場環境の整備も重要であると認識しています。

 

a. 人財育成方針、戦略

女性、外国人、経験者採用者だけでなく、技術職、事務職等、様々な背景や価値観を持った社員が各々の特性に合わせ、充分に力を発揮できるよう努めております。

具体的には、次のとおりの人財育成を行っております。

・中堅社員、リーダークラス、新任管理職等の階層別にその段階に応じた研修

・それぞれの社員が業務を遂行する上で必要なスキル習得のための研修

・多様性の尊重、ハラスメント防止等の基礎知識向上を目的とした全社員向け研修

 

b. 社内環境整備方針、戦略

育児・介護、そのほかの様々なライフイベントが発生する際等でも仕事と両立できるよう支援制度を整えることで、すべての社員が継続して働きやすい職場となるよう環境整備を進めております。

具体的には、次のとおりの環境整備をしています。

在宅勤務制度、フレキシブルタイム制度の導入

育児・介護、ボランティア活動等に利用できる失効有給休暇の積立制度の導入

子の看護休暇の有給化

 

c. ダイバーシティに関する方針、戦略

当社は、多様な一人ひとりの個性を尊重し、その特徴を活かすことこそが豊かな価値を生み出し、それが企業成長につながると考えております。中長期的な企業価値を向上させていくうえで、能力発揮度合いに基づく公正な評価を踏まえた登用・処遇を行い、女性、外国人、経験者採用者に限らず、多様な個性、特徴、多様な経験をもつ人財育成を行うことを心掛けております。

 

d. 安全に関する方針、戦略

当社は「安全はすべてに優先する」という言葉のもと、当社で働くすべての人々が、より豊かに、平和に、文化的な生活を維持するために、負傷・疾病を防止し、安全で健康的な労働条件を提供することを第一に優先し、すべての人々が、生き生きと働ける明るい快適な職場環境づくりを、全員が参加し、アイデアを自由に出し合うオープンな協議により進めることを労働安全衛生方針としております。

 

e. 賃金体系、昇格・昇給体系の改善

(a)男女間賃金格差

当社は、2023年3月末現在、3,104名の社員を有しており、国内537名、海外2,567名と約80%が海外人財で構成されております。国内の賃金格差状況は、全社平均でみると女性社員の年収は男性社員の70%程度となりますが、これは主に従事する業務による違いに起因します。同一等級での平均年収を比較すると、管理職での賃金格差はなく、非管理職では時間外労働の違いより約13%の賃金格差が生じています。

 

男性を100とした場合の女性の賃金(%)

全ての従業員

60.8

 

正社員

70.3

 

管理職

98.9

非管理職

87.0

 

 

(b)施策

多様な社員の活躍が当社成長の重要な一要素であることを認識し、ジェンダーギャップの解消とワークライフバランスの確保を積極的に推進しております。2023年3月期では、以下の施策を実施致しました。

・女性社員が主となっていた「一般職」の職制を廃止し、女性活躍の更なる推進及び賃金制度上の

 格差是正を実施。

・賃金制度の改定や昇格制度の運用改訂により、若年層を積極的に管理職へ抜擢することで、社内活

 性化及び男女間賃金格差の是正を図っており、管理職ポストへの女性登用の増加を目指します。

 

③リスク管理

当社が今後事業を継続、発展させていく上で、人財の確保・育成が重要であり、必要な人財の確保、社員の成長のための人財育成、社員個々人の能力発揮による組織の活性化が不可欠であると考えています。必要とする人財採用が困難となること、社員の離職や健康状態の悪化により人財育成が進まなくなること、社内環境の多様性が損なわれることにより個々人の能力発揮が阻害されることがリスクであり、社員に対し、安全で健康的な労働条件の提供及び、多様性のある社内環境を整備することでリスク低減に努めています。

・当社の人的資本リスクは経営戦略会議において識別・評価・管理しています。

・各部門、各事業拠点からの報告は安全衛生委員会や従業員代表委員会にて担当部門を交えて協議さ 

 れ、対策の要否や優先順位を考慮したうえで経営戦略会議に報告されます。

・審議の結果、重大な影響の恐れがある事案及び対応を、取締役会に報告・付議し決定します。

・人事部門、安全衛生委員会は、経営戦略会議ならびに取締役会の指示・指導に基づき、リスク低減計

 画を立案、遂行します。

・なお、当社はISO45001に基づく労働安全衛生マネジメントシステムを構築しており、人的資本リスク

 管理の中には当該マネジメントシステムに基づく法令遵守等のリスクモニタリングも組み込まれてい

 ます。

 

 

④指標及び目標

中期経営計画等で掲げている車載市場以外の第二の柱の確立、技術開発力の強化、生産力・コスト力・品質力の向上を図るため、必要な人財の確保と育成を目指しており、現在、新卒・中途採用ともに技術系人財の採用強化、金型製作会社のM&A、海外拠点を含む専門人財の採用を強化しています。また、給与水準の段階的な引上げにも取り組んでいます。

ダイバーシティの観点では、当社グループでは管理職に占める女性の割合は25.1%ですが、当社単体では2.2%に留まっており、課題として認識しています。このダイバーシティの課題と、社内環境に関する課題の解決に向け、下表の通り当社単体の指標・目標を設定し、取り組んでまいります。

 

課題

解決に向けた取り組み

指標・目標

2023年3月期実績

グローバルで多様な価値観を持った人財が活躍できる職場作り

・新卒での女性採用強化

・新卒採用に占める女性比率:2025年 30%

・新卒採用に占める女性比率:27.8%

・女性育成強化
・人事制度・評価制度改定による若年層の管理職への積極登用

・女性管理職比率:2030年 5%

・女性管理職比率:2.2%
・一般職廃止による女性管理職候補の増強

・海外拠点での外国人の重要ポジション登用による育成

・本社外国人役員比率:2025年 10%

※執行役員含む

・本社外国人役員比率:5.6%
・海外法人代表者の現地化率:41.7%

・本社役員の経験者採用比率:77.8%

経営方針「顧客第一、業界No.1」を追求し、長期ビジョン売上1,000億円の実現とその先を見据えた組織体制作り

・次世代経営者候補の充足
・キャリアアップのための研修(リーダー研修、階層別研修)の実施

・グループ全体で人財の可視化

・1年間にキャリアアップのための研修を受講した正社員の割合:2025年 35%(3年に1回受講)

・1年間にキャリアアップのための研修を受講した正社員の割合: 23.1%(5年に1回受講)
・海外コア人財を含めた管理システム運用開始

・離職防止による長期的な人材育成と組織体制作り

・正社員離職率:5%未満維持

・正社員離職率:4.8%

・コンプライアンス意識の徹底

→eラーニング、弁護士による研修の実施

・コンプライアンス研修受講率:100%

・コンプライアンス研修受講率:89.9%

安全・安心な職場環境作り

・安全衛生委員会主導での安全情報の各拠点への展開し労働災害をなくす

・労働災害度数率:0

・労働災害度数率:0.53

・ISO45001国際規格取得

・国内/海外全工場IS045001取得率:100%

・国内/海外全工場ISO45001取得率:100%達成

・健康経営施策の推進
・多様な働き方を認める制度の確立
・自動化、設計、設備の標準化、AIなどの活用による業務負荷軽減

・子の看護休暇取得率:2025年 100%
・在宅勤務率:2025年 30%

・ストレスチェック偏差値:55(評価B)

・子の看護休暇取得率:33.5%
・在宅勤務率:24.3%
・ストレスチェック偏差値:45.9(評価D)

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは、以下のような事項があると考えております。また、以下に記載された項目以外のリスクが生じた場合においても、当社グループの経営成績及び財政状態等に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、これらのリスクを認識し、リスク管理体制を整備した上で、リスクの未然回避及びリスク発生時の影響を最小限に抑えられるように努めております。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月28日)現在において当社グループが判断したものであり、当社グループの事業に関する全てのリスクを網羅したものではありません。

 

(1) 市場環境の変化について

当社グループは、主に自動車向け電装品メーカー、AV音響メーカー及び各種エレクトロニクス製品を製造するメーカーに対して、電子部品を供給することを主たる事業としております。

 連結売上高の過半数を車載関連市場向けが占めており、自動車関連製品、エレクトロニクス関連製品の需要動向は、いずれも世界の経済情勢に大きく影響を受けます。そのために、想定外の世界経済の悪化や自動車関連製品、エレクトロニクス関連製品市場の急激な変化によって当社グループ製品の需要が大幅に落ち込んだ場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、売上高の第2の柱とすべくFA機器や通信機器等の非車載関連市場への販売強化を行っております。

 

(2) 為替変動について

当社グループは、電子部品の製造及び販売を世界各地に展開しており、当社と海外子会社並びに海外子会社間の取引は、米国ドル建て、ユーロ建て及びタイバーツ建てにて行っております。2023年3月期の連結売上高に占める海外売上高の割合は81.0%ですが、一方、海外生産比率も約87.2%となっております。

当社グループは、円高または円安が急激かつ長期に及んだ場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、為替相場の変動リスクを軽減させるために、地産地消の推進、為替ヘッジ等の対策を講じております。

 

(3) 海外での事業展開について

当社グループは、グローバルな事業展開を積極的に推進しており、生産及び販売活動の多くを米国や欧州並びに中国その他アジア諸国にて展開しております。これらの海外市場への事業進出には、1)予期しない法律・環境等の規制又は税制の変更、2)不利な政治又は経済要因の発生、3)輸送遅延や電力停止などの社会インフラの未整備による混乱、4)政治変動、テロ行為、戦争、感染症の流行及びその他の社会的混乱等のリスクが常に内在されております。これらの事象が発生した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、海外展開にあたっては販売拠点、生産拠点ともにリスクを慎重に検討し、評価した上で判断しております。

 

(4) 量産拠点の集中について

当社グループは、茨城工場、フィリピン生産子会社及びベトナム生産子会社での複数拠点生産品を除いて、中国の上海生産子会社に生産が集中しております。何らかの原因でそれら生産拠点での操業が不可能になる不測の事態が生じた場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、2016年9月に南通生産子会社を設立し、量産拠点の再構築を図っております。また、2025年稼動を目指して日本での第2量産拠点となる秋田に新工場を建設し、生産拠点の分散、地産地消、BCP対応を強化します。

 

 

(5) 価格競争について

当社グループが属している電子部品業界は、国内外において大手から中小まで様々な規模の同業者が存在する極めて競合色の強い業界であり、業界における価格競争は激化しております。販売価格の引下げ競争に巻き込まれた場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループは、継続的な先行開発により「可動(フローティング)BtoBコネクタ(注)」等の独自技術の蓄積と新製品・新技術の開発を進め、顧客のTCO(Total Cost of Ownership)削減に貢献する製品の提案を行い、顧客価値の創造に取り組んでおります。

  (注)端子と端子のピッチ方向、ピッチ方向に対する垂直方向、篏合方向のすべて、またはいずれかに可動

     し、その篏合ずれを吸収するように設計したコネクタ。

 

(6) 製品の欠陥に係るリスクについて

当社グループは、国際標準規格である品質マネジメントシステムにより全ての製品を製造し、製品の欠陥、リコール等の発生を最小にする生産体制を取っており、製造物責任賠償に対する保険にも加入しております。しかし、大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥が発生した場合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、車載を中心にお客様から高い信頼性を求められてきたノウハウを活かし、開発段階から出荷に至る全ての段階において細心の注意を払っております。

 

(7) 研究開発活動に係るリスクについて

当社グループの展開する市場では、技術革新とコスト競争について厳しい要求があり、新規製品を継続的に投入していく必要があります。技術の急速な進歩や顧客ニーズの変化により期待通りに新製品開発が進まない場合は、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループでは、十分なマーケティング活動を行い、市場ニーズを的確に把握し、新技術や新製品開発、生産プロセス改革に必要な研究開発投資や設備投資を行っております。当社グループは、継続して新製品を開発できるものと考えております。

 

(8) 外部部品供給元への依存と原材料調達について

当社グループは、全ての主要原材料と一部部品の供給を外部業者に依存しております。これら外部業者とは安定供給のための協力関係を築いておりますが、需要の急激な変動に伴う供給不足や供給先からの供給遅延が起こった場合には、顧客への供給が不可能になる事や納期遅延を誘発する事により競争力を失うことがあります。また、原材料等の市場における需給関係の変化等により市況価格が急激に高騰した場合は、当社グループ製品の原価上昇を招き、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、原材料及び部品の市況の変化に対して、当社グループにおける内製化、グローバル調達による現地調達の推進等の原価低減に努めております。

 

(9) 事故や災害について

当社グループは、想定を超える大規模な災害が発生した場合は、停電又はその他事業運営の中断事象による影響を完全に防止又は軽減できる保証はなく、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これに対して、地震を含めた防災対策を徹底しており、火災や風水害等による事故や災害による損害を防止するため、設備の点検、安全装置・消火設備の充実、各種の安全活動等を継続的に行っております。

 

 

(10) 重要な訴訟等に係るリスクについて

当社グループは、国内及び海外事業に関連して、訴訟、紛争、その他の法律的手続の対象となるリスクがあります。とりわけ、技術革新の激しい電子部品業界においては、知的財産権は重要な経営資源の一つであります。独自開発した技術等に関する特許申請、意匠登録等に基づき当社グループが保有する知的財産権が、第三者によって侵害や模倣された場合には、当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害したとして損害賠償請求を受けた場合は、生産・販売活動が制約を受けることや損害賠償金等の支払いが発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、特許権を含む知的財産権の管理と運営については、技術本部技術部技術管理課にて一元管理を行い、開発者や設計者と技術管理課の知的財産権担当者との間での情報共有及び知的財産権に関する問題提起やその解決について適宜対応がとれる体制を取っております。

 

 (11) 人材獲得に係るリスクについて

当社グループは、技術的変化及び競争関係が激しい電子部品業界に属しており、また海外売上高比率や生産に占める海外比率も高いため、多様な専門技術に精通した人材、グローバルでの経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保、育成を継続的に推進していくことが重要となります。専門性の高い優秀な人材は限られていることから、優秀な人材を確保できない場合は、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループは、事業の継続的発展のために、国内に加え海外でも採用を積極的に展開しております。

 

 (12) 情報セキュリティに係るリスクについて

当社グループは、事業活動を通して、お客様や取引先の個人情報及び機密情報を入手することがあり、営業上・技術上の機密情報も保有しております。

予想を超えるサイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウイルス侵入等により、万一これらの情報が流出した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、当社グループの信用低下や業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これに対して、当社グループでは、機密情報の管理方法を万全とするために「情報セキュリティ規程」の制定と情報セキュリティ委員会の設置を行い、機密情報管理体制の確立・徹底に努めております。また、役員及び従業員の情報セキュリティ意識の向上を目的に、eラーニング等の教育を定期的に実施しております。

なお、2018年5月施行のGDPR(EU一般データ保護規則)については、グローバルで該当個人情報の保護対策を強化しております。

 

(13) 新型コロナウイルスなどの感染症の世界的流行に係るリスクについて

新型コロナウイルスの世界的流行に対しては、2020年3月に本社内に社長及び執行役員を中心に構成した対策チームを発足し、また、各国や自治体による感染拡大防止政策に則り、従業員出勤時の体温測定、体調確認、マスク着用を徹底し、リモート会議、時差通勤、在宅勤務の推進などにより感染拡大防止に向けた取り組みを行っております。

今後も感染症の世界的流行に関して、感染状況や各国の政策により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。生産活動については仮にロックダウン措置で稼動停止になった場合でも影響を最小限にすべく、BCP対応の見直しを2021年2月から行っており、在庫の増量、流動製品のスペア設備配置による生産設備のリードタイム短縮、流動製品の生産体制変更によるマルチ生産化の3つの取り組みを実施して参ります。

また、不測の事態が生じた場合の経営と雇用の安定化及び中長期での成長投資に備えて手許資金を確保すべく、グループ内における資金管理の最適化にも努めて参ります。具体的には、グループ会社間における資金の最適な配分や設備投資の延期による支出の抑制などを実施して参ります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(1)経営成績

当連結会計年度における世界経済は、地域により新型コロナウイルスによる制限からの経済活動正常化の動きが進んだ一方、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や世界的なインフレや金融引き締めなど、不透明な状況が継続しました。

 当社グループの主要事業領域である自動車の生産・販売は、半導体等の部品不足が穏やかに解消することにより回復傾向にはありますが、中国のコロナ政策転換による生産活動の停滞などの要因も加わり、未だ正常化には至りませんでした。

このような不透明な事業環境ではありますが、当社グループは、電動化関連におけるパワートレイン分野の販売拡大と為替が円安で推移したことにより、連結会計年度での最高売上高を更新しました。主力である車載市場の売上高は、第1四半期における中国でのロックダウンによる影響や、半導体等の供給制約の影響を受けたものの、前期比22.0%増となりました。特にパワートレイン分野では、xEV(EV、FCHV、PHV、HEV)の台数増加や当社独自のパワートレイン機器向け耐振ソリューションサービスによる受注拡大により、売上高は前期比で84.2%増加し、増収の牽引役となりました。コンシューマー市場では、ゲーム機向けが増加し増収となりました。インダストリアル市場は、第3四半期から中国向けでの設備需要の調整があったものの、上期にFA関連機器向けが増加したことにより、増収となりました。以上の結果、売上高は、前期比20.6%増の529億3百万円となりました。

利益面では、第1四半期での中国でのロックダウンに伴う上海生産子会社の稼働停止の影響、原材料価格の高騰等の要因がある一方で、第2四半期からの売上高の回復、収益構造改善の取り組み、原価低減の推進により、営業利益は前期比53.5%増の69億4千万円、経常利益は前期比58.3%増の76億6千1百万円、親会社株主に帰属する純利益は前期比41.6%増で過去最高の55億4千1百万円となりました。

なお、第1四半期のロックダウンに伴う上海生産子会社の稼働停止の影響を、特別損失として3億6千4百万円計上しました。

  

セグメントの業績を示すと次のとおりであります。

〔日本〕

国内においては、車載市場でxEVの需要増加によるパワートレイン分野の増加があったものの、半導体等の供給不足等で自動車の生産調整があったため、売上高は前期比7.4%減の100億3千5百万円となりました。営業利益は5.3%増の37億6百万円となりました。

〔アジア〕

アジア地域においては、半導体等の供給不足や第1四半期における中国のロックダウンの影響で自動車生産の落ち込みがあったものの中国における車載市場でのxEVの需要増加によりパワートレイン分野が大幅に増加したこととコンシューマー市場が堅調であったことに加え、為替が円安に推移した結果、売上高は前期比38.3%増の281億8千5百万円となりました。営業利益は50.8%増の43億2百万円となりました。

〔欧州〕

 欧州地域においては、車載市場でインフォテイメント分野やパワートレイン分野を中心に増加したことと為替が円安に推移した結果、売上高は前期比16.7%増の83億7千7百万円となりました。営業利益は160.1%増の6億1千2百万円となりました。

〔北米〕

 北米地域においては、車載市場で半導体等の供給不足等の影響があったものの、為替が円安に推移した結果、売上高は前期比15.4%増の63億4百万円、営業利益は3千7百万円(前期は営業損失6千2百万円)となりました。

 

 

 (2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末(2022年3月末)に比べ、93億3千8百万円増加し、824億9千1百万円となりました。流動資産は、現金及び預金45億7千4百万円の増加、受取手形、売掛金及び契約資産10億6千7百万円の増加、商品及び製品4億1千1百万円の増加等により57億5千8百万円増加し461億9千4百万円となりました。固定資産は、建設仮勘定20億8千2百万円の増加、ソフトウエア仮勘定12億8千万円の増加等により35億8千万円増加し362億9千7百万円となりました。。

負債は、前連結会計年度末に比べ30億9千5百万円増加し、144億7千2百万円となりました。流動負債は、未払金7億9千5百万円の増加、短期借入金3億2千1百万円の増加、1年内返済予定の長期借入金2億8千5百万円の増加等により14億2百万円増加し112億9千2百万円となりました。固定負債は、長期借入金14億7千6百万円の増加等により16億9千3百万円増加し31億7千9百万円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益による増加55億4千1百万円、配当による減少14億2千万円、為替換算調整勘定の増加19億6千6百万円等により前連結会計年度に比べ、62億4千2百万円増加し、680億1千9百万円となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動により116億1千3百万円増加し、投資活動により81億7千9百万円減少し、財務活動により5億1千6百万円増加した結果、前連結会計年度末に比べ45億7千4百万円増加し、186億4千万円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動では、税金等調整前当期純利益70億3千4百万円、減価償却費61億6千8百万円に伴う資金の増加から、法人税等の支払額11億5千3百万円に伴う資金の減少を差し引き、資金の増加額は116億1千3百万円となりました。

 
(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動では、有形固定資産及び無形固定資産の取得84億2千7百万円の支出等により、資金の減少額は81億7千9百万円となりました。

 
(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動では、長期借入による収入20億円、配当金の支払額14億2千万円等により、資金の増加額は5億1千6百万円となりました。

 

翌連結会計年度については、コネクタ生産設備等を中心に100億円の資本的支出を計画しており、その資金の調達源については、自己資金を想定しております。

 

(4) 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

 

区分

生産高(百万円)

前期比(%)

日本

5,104

110.3

アジア

34,928

113.3

欧州

北米

合計

40,033

112.9

 

(注) 1 金額は生産出荷高によっております。

 

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

 

区分

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

日本

10,490

91.3

2,534

92.5

アジア

29,773

130.5

5,321

86.4

欧州

10,350

149.8

4,455

201.3

北米

6,688

121.5

924

159.7

合計

57,303

122.6

13,236

113.2

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

 

区分

販売高(百万円)

前期比(%)

日本

10,035

92.6

アジア

28,185

138.3

欧州

8,377

116.7

北米

6,304

115.4

合計

52,903

120.6

 

(注) 1 販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。

 

 

  (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債及び収益、費用の報告金額に影響を与える会計上の見積りを行う必要があります。経営者は、これらの見積りや仮定について、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りや仮定と異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

  (6) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、2021年5月に2024年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定し、売上高、営業利益、営業利益率、親会社株主に帰属する当期純利益、総資産、自己資本比率、設備投資額、研究開発費、EPS、ROEについて目標を設定しております。なお、本中期経営計画に関しては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略」にも記載しております。

中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)における指標

 

2021年3月期

(実績)

2022年3月期

(計画)

2023年3月期

(目標)

2024年3月期

(目標)

売上高

365億円

420億円

470億円

520億円

営業利益

29億円

67億円

85億円

104億円

営業利益率

7.9%

16.0%

18.0%

20.0%

親会社株主に帰属する当期純利益

21億円

48億円

60億円

75億円

総資産

639億円

670億円

720億円

780億円

自己資本比率

85.0%

86.0%

87.0%

87.5%

設備投資

48億円

68億円

75億円

80億円

研究開発費

12億円

14億円

16億円

18億円

EPS

90.8円

203.7円

256.6円

317.5円

ROE

4.1%

9.0%

10.0%

12.0%

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

社グループの研究開発活動は、豊かな価値を作り、社会貢献に努めるという経営理念のもとに重点市場である自動車機器、デジタル機器、インダストリアル機器に使用される製品及び新技術の開発を中心に取組んでおります。特にBtoBコネクタのうち、フローティングBtoBコネクタについては顧客の課題解決を目指し積極的に製品開発をしております。また、拠点においては、中国国内に展開する機器メーカーが相次いで現地での開発体制を積極的に整備するなか、当社は日本国内の設計開発部門の他に、上海に開設した技術センターにて技術強化を推進しております。その他の海外重要販売拠点では、技術スタッフの常駐化によるグローバル・エンジニアリング・ネットワークの構築を目指しており、今後も、欧米諸国と新興国への市場展開を考慮し、さらなる強化を進めて参ります

 

最近の研究開発活動は次のとおりであります。

(1) オートモーティブ機器用製品

自動運転への取組が加速されEV/NEV車においても統合ECUの重要性が高まっております。ECUを統合することにより、自動運転システムを一元的に制御することが可能となり、運転性能/省エネ性能/安全性などの向上が期待されます。当社はそこに貢献できるコネクタとしてコネクタの省スペース化及び、FAKRA/HSD両方の性能を維持する『Scalable Connector』(注1)の試作開発を行いました

またBMS向けで製品供給しているWtoBに機能を追加させたCPA付(注2)を試作開発し、欧州規格のLV214に準拠した性能を確保しております

 

(注1)FKARAとHSDの電気的性能を満足させた其々のウエハーブロックを形成して必要本数に応じ拡張可能とし

た構造

(注2)CPAはConnector Position Assuranceの略で確実にロックして外れを防止する機能

 

(2) デジタル機器用製品

ナビゲーション向けで、0.5㎜ピッチ高速伝送対応R/A BtoBの量産開発を行いました。

5Gbps対応となる為、デジタル機器全般へ展開していきます。

 

(3) インダストリアル機器用製品

インダストリアル機器においてもデジタル化が進んでおります。

当社は、車載向けで開発した高速伝送対応フローティングBtoBコネクタ及びAuto I-Lockコネクタを展開して自動組立化を推進しております。

 

当連結会計年度における研究開発費の金額は1,227百万円で、セグメントごとの研究開発費は、日本は1,173百万円、アジアは53百万円であります。なお、当社のセグメントは生産・販売の管理体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、研究開発活動の大部分を日本セグメントで行っているため、セグメントごとの研究開発活動の状況につきましては、記載を省略しております。