文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社は創業以来、「企業の発展を通じて社員の幸福と社会の繁栄につくす」という社是のもとに、全社員が心を一つにして社業に邁進してまいりましたが、今後もこの精神は不変の企業理念として生き続けるものと考えております。
社是にも明示されているとおり、社員の幸福と社会が繁栄することを終局の使命と考えるものであり、この使命を果たすためには会社として常に最大限の業績を維持し、企業価値の増大を図ることが必要であると考えます。業績向上のない企業に社員の幸福と社会的貢献はありえず、社員一人ひとりがたゆまぬ努力を重ね、個々人に与えられた役割を果たすことによって企業の発展を目指してまいります。
当社は、売上高、営業利益のほか、自己資本利益率、自己資本比率を、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として用いております。
今後の我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が収束し、個人消費や設備投資などの社会経済活動の正常化がより一層進展するなかで、緩やかな回復が続くことが期待されておりますが、米中貿易摩擦やウクライナ情勢など、先行きは依然として不透明な状況が続くと予想されます。
当社グループの主要得意先である自動車関連企業につきましては、環境問題や社会課題に対応すべく設備や研究開発に対する投資は引続き堅調に推移すると見込んでおります。
このような経済環境のもとで当社グループは、2027年4月期を最終年度とした新たな中期経営計画を策定いたしました。中期経営計画では、人手不足や人件費の高騰、環境問題への対応などの顧客課題に最適なソリューションの提案ができるグループ体制の構築を目指しております。積極的な成長投資を行うなど、ソリューションの質の向上・領域の拡大を図ることで、収益性の向上、新業界・新分野の開拓を行ってまいります。
主たる取組み課題は、次のとおりであります。
① 変化する社会顧客課題に合致する「トータル・ソリューション」の深化
「トータル」:「共創」を通じたグループ&サプライチェーンによる「総合力」の発揮
「ソリューション」:顧客目線での経済合理性を実現するためのメーカー機能の段階的拡充
② 人的資本経営による社員エンゲージメントの向上
③ グループ成長戦略と連動した機動的な財務体制への変革
④ 適切な情報開示・双方向の対話の推進によるIRの強化
加えて、中期経営計画にも掲げております経営の基本方針「安心をつなぐ企業グループへ」に基づき、ESG視点によるサステナビリティ経営をより一層推進してまいります。
これからもお客様の事業に貢献できるよう当社グループの総合力を結集し、業績の向上と企業価値の増大に努めてまいります。
なお、当連結会計年度において、元業務委託社員による領得行為や循環取引、付替行為などの不正事案が発覚したため、特別調査委員会による調査を行い、調査報告書を受領しております。当該調査報告書で提言頂いた決裁処理の形骸化や納品確認制度の不徹底などに対する再発防止策を策定し、その取組みを進めております。
当社といたしましては、今後策定した再発防止策を着実に実施するとともに、コーポレート・ガバナンスの強化、コンプライアンス意識のさらなる向上を図ってまいります。また、課題や問題点が速やかに発見できるようチェック機能を充実させることで、内部監査体制の強化も併せて図ることで、信頼回復に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、サステナビリティに関する取組みを重要な課題と認識しており、取締役会においてリスクおよび機会を監視・監督しております。
現代はスピードと変革が激しい時代であり、社外取締役および社外監査役が出席する取締役会を中心としたガバナンス体制を構築し、迅速、公正かつ透明性の高いガバナンスを実現しており、取締役会では、サステナビリティに関する取組状況の報告を受け、施策や改善案などを審議しております。
当社グループは、中期経営計画において、ESG視点によるサステナビリティ経営の推進を掲げております。
中期経営計画では、『「安心」をつなぐ企業グループへ』を合言葉に、当社グループを取巻くステークホルダーである「社員」「取引先」「株主・投資家」「社会」に対して、それぞれに「安心」を提供し、それらの「安心」をつなぐことができる企業グループを目指しております。この4つの「安心」の好循環サイクルとさらなる拡大のためには、顧客課題へのソリューション提供を通じた社会課題への貢献と、ESG視点によるサステナビリティ経営に向けた取組みが重要であると認識しており、これを当社グループの各社・各部署が自らのミッションとして認識し、取組んでおります。
具体的な取組内容は、次のとおりであります。
人的資本につきましては、「ビジネスと人権に関する指導原則」(国連)、「多国籍企業行動指針」(OECD)、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」(経産省)等を参照し、「ナ・デックスグループ人権方針」を策定いたしました。当社グループは、あらゆる事業活動の範囲において、従業員を「人財」と認識しております。「個」として各々の多様性や人格、個性を尊重しており、事業活動の中で、社内・サプライチェーン上の強制労働・ハラスメント・差別等の人権リスクを特定し、それを軽減・予防する措置を取る人権デュー・デリジェンスの取組みを進めております。
人材育成につきましては、能力開発に対する基本方針を策定しており、業務遂行に必要な「知識」、「技術」、「技能」の向上、グローバルや国内マーケットで戦うための「戦略構築力」、「実行力」の向上、「リーダーシップ」、「コミュニケーション」等、組織内外で良い影響力を行使するために必要な能力の向上、常に問題意識をもち、改革・改善に取組む態度の向上、企業人としての業務遂行能力の向上のみならず、優れた社会人としてのモラルや幅広い教養を持ち、社会の要請に応えられる人格の涵養と能力の向上などを図ることで、「お互いが切磋琢磨して刺激し合う風土」を醸成していくことを目的としております。人材育成の基本を、日常業務を通じての教育であるOJT(On the Job Training)としつつ、職場での教育を補完するOff-JT(Off the Job Training)として、「階層別・選抜教育」、「選択型教育」、「共通教育」、「キャリア教育」、「自己啓発」に分類し、各種の集合教育や通信教育を積極的に支援しております。
当社は、リスク管理を推進する組織として、代表取締役社長を委員長とするリスク・コンプライアンス委員会を年1回開催し、当社グループのリスクを網羅的、統括的に管理し、定期的にリスクを軽減する対応策の見直しを行っております。また、当社および主要子会社の役職員が参加するグローバル会議を年4回開催し、中期経営計画の進捗状況や業績、当社グループを取巻く経営課題の変化などについて、報告・検討を行っております。さらに、環境マネジメントシステムであるISO14001の認証を取得し、「美しい地球を守ろう」を合言葉に、継続的改善を実施し地域社会との調和を図っております。
人権デュー・デリジェンスにつきましては、皆様へ「安心」を提供する事業活動を進めるうえで根幹となる重要課題と認識しております。2011年に国連で「ビジネスと人権に関する指導原則」が採択されて以降、人権を尊重した事業運営の必要性がこれまで以上に高まる中、ナ・デックスグループは、事業活動を通じて人権の尊重に取組み、人権尊重に関する姿勢を表明するため、2024年3月に「ナ・デックスグループ人権方針」を策定しました。本方針は、 ナ・デックスグループの事業活動における人権に関する最上位の方針として位置付けられ、取締役会にて承認されております。事業活動において自社が直接人権侵害をしないことはもとより、事業活動全体において人権侵害に関与し、助長しないようにするためには、サプライチェーン等の取引関係を通じた取組が必要と認識しており、サプライチェーンにおける人権尊重に関する実態と人権リスクにつながる可能性のある事項を把握し今後の取組みを検討するため、サプライヤーに対するアンケート調査を実施しております。アンケート調査の結果につきましては、当社ホームページに掲載しております。
(
これらの活動を通じて認識されたリスクについては、取締役会に報告を行っております。
当社グループは、国際的な目標である2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、企業行動規範、社員行動規範、環境方針および品質方針を定めるとともに、「NADEXグループ中期経営計画(2024~2026)」において「顧客課題へのソリューション提供を通じた社会課題への貢献」および「ESG視点によるサステナビリティ経営の推進」を掲げております。(CO2削減目標:2050年 ゼロ)
なお、環境保護活動の具体例としましては、本社および技術センターにて使用する電力をすべて水力発電所等の再生可能エネルギー電源に由来する非化石証書の使用によりゼロにする「Greenでんき」の導入や省エネ・節電システムを本社ビル室外機に設置するなどの施策を展開しております。
これらの具体的な取組みによるESG経営の推進が、当社経営基本方針「『安心』をつなぐ企業グループへ」に繋がり、さらには社会問題解決に貢献するものと考えております。
人的資本への投資等については、社是「企業の発展を通じて社員の幸福と社会の繁栄につくす」および経営基本方針「『安心』をつなぐ企業グループへ」に基づき、中長期的な企業価値の向上には、社員に対する「安心」の提供は必須と考え、中核人材の多様性の確保の一環として、女性・外国人・中途採用者等の多様な人財の確保に努めており、「NADEXグループ中期経営計画(2024~2026)」のコンセプトに「(4) 人的資本経営による社員エンゲージメントの向上」を掲げております。本コンセプトのもと、社員のスキルの見える化および能力を発揮することができる土壌の醸成による「人財のグループ内最適活用」、社員のキャリアの将来像の明確化による「事業と社員の成長ベクトルの連動」、様々な働き方を実現するための制度を構築し社員の安心とエンゲージメント向上による「多様な働き方」の3施策をグループ方針として、個人の能力を最大限に引き出し事業の成長と個人の成長の両輪の推進力で顧客価値創造を図るとともに、事業の成長を通じて社員の安心とエンゲージメント向上を実現していくことを人的資本の考え方としております。
こうした人的資本の取り組みにつきましては、当社においては関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標および実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスクを十分認識し、発生の回避やリスクの最小化に向けて努力していく所存であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営環境の変化
当社グループは日本のほか、米国・カナダ・メキシコ・中国・タイ・インドネシアにそれぞれ子会社を設立し、事業活動を行っておりますが、これらの国の経済動向は、当社グループの財政状態および経営成績などに重大な影響を及ぼす可能性があります。また、米中貿易摩擦の動向やウクライナ情勢などの地政学的リスクなど、政治情勢の変化または予期しない法律や規制の変更などの不安要因が存在しております。
当社グループは、経済動向の統計資料、法律や規制の変更に関する情報などの入手・分析を行い、グループ会社間で情報の共有を図ることでリスクの低減に努めております。
(2) 自動車関連企業への依存
当社グループの主要取引先は、自動車関連企業であります。自動車の生産台数は中長期的に世界規模で増加していくと予測されておりますが、環境規制の強化などを受けて電動化の流れが加速するなど、同業界は100年に一度と言われる大変革期を迎えており、同業界の設備投資動向や生産計画は、当社グループの財政状態および経営成績などに重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、変化する顧客ニーズに対応するため、積極的な研究開発活動や設備投資など、引続き同業界に貢献できるよう取組みを強化しております。また、業績の拡大と安定化のため、自動車関連以外の業種についても取引先を拡充する取組みを行っております。
(3) 原材料の調達
当社グループは、製品の製造のために半導体などの電子部品をはじめとする原材料を外部から調達しておりますが、市況の変化による品不足や価格の高騰などが発生した場合には、生産活動の遅延や販売機会の喪失、製造原価の上昇などにより、当社グループの財政状態および経営成績などに重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、製品の安定的な生産・供給体制を確保するため、代替品の検討や入手可能な原材料への設計変更、長納期品の先行手配などの取組みを行っております。
(4) 新製品の開発
当社グループは、抵抗溶接製品関連およびレーザ加工技術関連を主体に接合ソリューションの開発活動を行っております。主要取引先である自動車関連企業では、様々な難板組・異種材の接合に関するニーズが高まっておりますが、開発の進捗遅延や開発した製品が市場での優位性を維持することができない場合には、当社グループの財政状態および経営成績などに重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、市場ニーズの調査や競合企業の動向を的確に把握するとともに、必要に応じて産学官連携による共同開発を進めるなどの取組みを行っております。
(5) 製品の品質
当社グループは、品質マネジメントシステムの規格であるISO9001に基づく品質管理体制を構築し、製造および販売を行っておりますが、全ての製品について欠陥が無く、将来的にもクレームが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償保険に加入しておりますが、最終的に負担する損害額を製造物責任賠償保険でカバーできず損失が発生した場合には、当社グループの財政状態および経営成績などに重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、ISO9001の活動を通じて品質管理体制の改善・向上を図り続ける取組みを行っております。
(6) 人財の確保および育成
当社グループは、事業活動を行うにあたり人財は重要な財産と位置付けており、中長期的な視野のもとその確保および育成に努めておりますが、昨今の少子高齢化に伴う労働人口の減少などにより十分な人財確保ができず、当社グループが長年培ってきた技術の伝承に支障が出た場合、当社グループの財政状態および経営成績などに重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、ダイバーシティの推進、働き方改革によるより働きやすい労働環境の整備を進めることで人財確保に努め、新卒採用のみならず必要な能力を備えた即戦力となる人財の中途採用を実施してまいります。
(7) 情報セキュリティ
当社グループは、事業活動を行うにあたり様々な機密情報や個人情報を有しておりますが、外部からのサイバー攻撃や不正アクセス、コンピューターウイルスへの感染などにより、これらの情報が外部へ流出・漏洩した場合、当社グループの社会的信用の低下や損害賠償請求などにより、当社グループの財政状態および経営成績などに重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、情報セキュリティに関する各種規程を制定するとともに、情報セキュリティ委員会を中心とした社員教育や啓発活動などに取組んでおります。
(8) 固定資産の減損
当社グループは、M&Aを持続的な成長による企業価値向上のための経営戦略の一つとして実施しており、のれんなどの無形固定資産を連結貸借対照表に計上しておりますが、経営環境の著しい変化等により期待される将来キャッシュ・フロー等の見積額が減少した場合、のれんなどの無形固定資産について減損損失が計上され、当社グループの財政状態および経営成績などに重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、当連結会計年度の連結貸借対照表に計上されているのれん(8億2千万円)および顧客関係資産(4億4千9百万円)は、株式会社タマリ工業およびUptime EV Charger, Inc.の株式を取得したことに伴い計上したものであります。
当社グループは、M&A実施時に対象企業の財務内容等について十分な検討を行うとともに、シナジー効果の最大化に向けた事業戦略の推進などに取組んでおります。
(9) 災害の発生
当社グループの事業所の多くは、東海地震防災対策強化地域に所在しており、この地域で大規模な地震等の災害が発生した場合、事業活動に遅延や停止が生じ、当社グループの財政状態および経営成績などに重大な影響を及ぼす可能性があります。また、原材料または商品の調達先が被災した場合、生産活動または営業活動の機会損失が発生する可能性があります。
当社グループは、調達先と連携を密に図りリスク管理を強化するとともに、調達先の複数化を図るなどサプライチェーンの強化に取組んでおります。
(10) 為替レートの変動
当社グループは日本のほか、米国・カナダ・メキシコ・中国・タイ・インドネシアで事業活動を行っております。在外子会社等の現地通貨建ての財政状態および経営成績は、連結財務諸表の作成のために円換算されており、換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。また、主に当社において、一部の在外顧客への販売は外貨建てにより行っており、換算時の為替レートにより、当社グループの財政状態および経営成績などに重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、外貨建取引や在外子会社等への投資等を実行する場合には、為替の変動リスクを軽減するため、為替予約等によるヘッジ取引を行っております。
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度における我が国経済は、堅調な企業収益を背景に雇用・所得環境が改善する中で、設備投資や生産に持直しの動きがみられるなど緩やかな回復基調で推移いたしました。世界経済につきましては、先進国を中心に持直しの動きが継続しておりますが、ウクライナ情勢や中東地域などの地政学的リスク、金融資本市場の変動、米国の通商政策の動向など、景気の先行きは依然として不透明な状況で推移いたしました。
当社グループの主要得意先である自動車関連企業につきましては、国内市場では販売台数が前年同期に比べ減少しており、海外市場では順調に販売台数を増やしてきた電気自動車(EV)に一服感がみられました。
このような経済環境のもとで当社グループは、2027年4月期を最終年度として策定いたしました新たな中期経営計画に基づき、人手不足や人件費の高騰、環境問題への対応などの顧客課題に最適なソリューションの提案ができるグループ体制の構築を推進し、ソリューションの質の向上・領域の拡大を図ることで、収益性の向上、新業界・新分野の開拓を進めております。
この結果、当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高は368億9千万円と前連結会計年度に比べ25億2百万円(7.2%)の増収となりましたが、営業利益は7億6千2百万円と前連結会計年度に比べ1億9千9百万円(△20.7%)、経常利益は8億9千4百万円と前連結会計年度に比べ3億2千万円(△26.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益は、元業務委託社員による不正事案に関連して発生した特別損失などを計上したことにより、2億5千1百万円と前連結会計年度に比べ5億6千2百万円(△69.0%)のそれぞれ減益となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(日本)
日本につきましては、自動車関連企業向け自社製品および生産設備の売上が増加したことなどにより、売上高は299億4千1百万円と前連結会計年度に比べ17億7千9百万円(6.3%)の増収となり、営業利益は6億6千2百万円と前連結会計年度に比べ1億4千3百万円(27.6%)の増益となりました。
(北米)
北米につきましては、M&Aに伴う販売費及び一般管理費の増加などにより、売上高は38億1千1百万円と前連結会計年度に比べ3千2百万円(△0.8%)の減収となり、営業利益は1億8百万円と前連結会計年度に比べ3億5千5百万円(△76.6%)の減益となりました。
(中国)
中国につきましては、工作機械関連企業向け制御部品の売上が増加したものの、自動車関連企業向け自社製品および生産設備の売上が減少したことなどにより、売上高は16億4千1百万円と前連結会計年度に比べ2億3千5百万円(△12.5%)の減収となり、営業損失は1億3千4百万円(前連結会計年度は6千9百万円の営業損失)となりました。
(東南アジア)
東南アジアにつきましては、自動車関連企業向け生産設備の売上が増加したことなどにより、売上高は23億4千6百万円と前連結会計年度に比べ8億7千万円(58.9%)の増収となり、営業利益は1億3千万円と前連結会計年度に比べ4千9百万円(61.5%)の増益となりました。
(総資産)
当連結会計年度末における総資産は307億8千2百万円と前連結会計年度末に比べ5億4百万円減少いたしました。その主な要因は、流動資産の受取手形、売掛金及び契約資産の増加6億6千万円、仕掛品の増加4億2千5百万円、前渡金の増加4億9千5百万円および投資その他の資産の繰延税金資産の増加1億4千万円などがあったものの、流動資産の現金及び預金の減少8億5千3百万円、電子記録債権の減少5億4千8百万円、商品及び製品の減少7億2百万円および原材料の減少2億3千8百万円などがあったためであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は118億4千6百万円と前連結会計年度末に比べ8百万円増加いたしました。その主な要因は、流動負債の支払手形及び買掛金の減少5億8百万円、短期借入金の減少9億円、固定負債の長期借入金の減少1億3千万円および繰延税金負債の減少1億2千8百万円などがあったものの、流動負債の電子記録債務の増加5億2千7百万円、未払法人税等の増加2億7千7百万円および契約負債の増加10億3千6百万円などがあったためであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は189億3千6百万円と前連結会計年度末に比べ5億1千2百万円減少いたしました。その主な要因は、株主資本の自己株式の増加3億8千7百万円およびその他の包括利益累計額のその他有価証券評価差額金の減少3億6千6百万円などがあったためであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ8億5千3百万円減少し、36億2千7百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、20億2千7百万円(前連結会計年度は4千1百万円の収入)となりました。これは主に、売上債権の増加額1億3千6百万円、その他の資産の増加額4億3千6百万円および法人税等の支払額2億9千1百万円などによる資金の減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益7億2千万円、減価償却費5億5千1百万円、のれんの償却額1億4千3百万円、棚卸資産の減少額4億8千万円およびその他の負債の増加額9億8千4百万円などによる資金の増加要因があったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、10億5千3百万円(前連結会計年度は6億3千8百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3億9千9百万円および関係会社株式の取得による支出6億6千7百万円などによる資金の減少要因があったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、18億9千5百万円(前連結会計年度は3億6千9百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の返済による支出9億円、長期借入金の返済による支出2億3千9百万円、自己株式の取得による支出4億1百万円および配当金の支払額3億7百万円などによる資金の減少要因があったためであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額は販売価額で表示しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメントのうち受注販売を行っているのは、製品売上のみでありますので、上記金額は、その製品の受注高、受注残高であります。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.金額は販売価額で表示しております。
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は仕入価額で表示しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における我が国経済は、堅調な企業収益を背景に雇用・所得環境が改善する中で、設備投資や生産に持直しの動きがみられるなど緩やかな回復基調で推移いたしました。世界経済につきましては、先進国を中心に持直しの動きが継続しておりますが、ウクライナ情勢や中東地域などの地政学的リスク、金融資本市場の変動、米国の通商政策の動向など、景気の先行きは依然として不透明な状況で推移いたしました。当社グループの主要得意先である自動車関連企業につきましては、国内市場では販売台数が前年同期に比べ減少しており、海外市場では順調に販売台数を増やしてきた電気自動車(EV)に一服感がみられ、自社製品および生産設備の売上において、中国セグメントにおきましては減少いたしましたが、日本・東南アジアセグメントにおきましては底堅く増加しております。販売費及び一般管理費につきましては、M&Aに伴う経費の計上、人件費の増加などにより前連結会計年度に比べ増加しております。この結果、当連結会計年度の売上高は368億9千万円と前連結会計年度に比べ25億2百万円(7.2%)の増収となり、営業利益は7億6千2百万円と前連結会計年度に比べ1億9千9百万円(△20.7%)の減益となりました。
営業外損益は1億3千2百万円の利益と前連結会計年度に比べ1億2千1百万円の減益となり、経常利益は8億9千4百万円と前連結会計年度に比べ3億2千万円(△26.3%)の減益となりました。
特別損益は、元業務委託社員による不正事案に関連して発生した特別損失などを計上したことにより、1億7千4百万円の損失(前連結会計年度は5千6百万円の損失)となり、法人税等合計は4億4千7百万円と前連結会計年度に比べ1億1千2百万円増加し、非支配株主に帰属する当期純利益は2千万円と前連結会計年度に比べ1千万円増加したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は2億5千1百万円と前連結会計年度に比べ5億6千2百万円(△69.0%)の減益となりました。
当社グループの資金需要の主なものは、商品および原材料などの購入のほか、製造経費、販売費及び一般管理費などの運転資金および有形固定資産、無形固定資産などの設備資金であり、自己資金のほか必要に応じて金融機関からの借入れにより調達しております。
運転資金については、当社および国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、各社における余剰資金を当社へ集中し一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。また、取引銀行1行とコミットメントライン契約(借入未実行残高9億7千万円)および取引銀行4行と当座貸越契約(借入未実行残高62億8千万円)を締結しており、資金の流動性を確保しております。
当連結会計年度における当社グループのキャッシュ・フローは、営業活動により20億2千7百万円の収入、投資活動により10億5千3百万円の支出の結果、フリー・キャッシュ・フローは9億7千4百万円の収入となり、財務活動により18億9千5百万円の支出などにより、現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ8億5千3百万円減少し、36億2千7百万円となりました。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
当社は、レーザに関する生産設備の設計・製作において高い技術力を有しており、システムインテグレーターとしての機能を備えている株式会社タマリ工業の株式を取得することで、これまで当社グループが培ってきたレーザ事業においてシナジー効果が見込まれ、更にはFAシステム事業とも有機的な連携を図ることで、顧客への提供価値を向上させ、トータルソリューションを提供できる体制の構築を一層加速させることが可能と判断し、2019年11月に株式会社タマリ工業の株式を取得しており、取得原価の一部を株式会社タマリ工業およびその子会社に関連するのれんおよび顧客関係資産に配分しております。
当該のれんおよび顧客関係資産のうち、株式会社タマリ工業について減損の兆候を識別しましたが、減損損失を認識するかどうかの判定に際して、割引前将来キャッシュ・フローの総額と、のれんを含むより大きな単位での資産グループ合計の帳簿価額とを比較した結果、割引前将来キャッシュ・フローが帳簿価額を上回ったため、当連結会計年度において、減損損失の認識は不要と判断しました。
将来キャッシュ・フローは、株式会社タマリ工業の経営者により承認された事業計画を基礎とし、将来の不確実性を考慮して見積っております。当該将来キャッシュ・フローは将来の売上の予測や利益率の予測、その他の費用の予測などの不確実性を伴う重要な会計上の見積りが含まれるものであり、主として受注獲得予測、売上の成長率、変動費率、固定費の発生状況などに仮定を用いており、これらの影響を受けて変動します。株式会社タマリ工業に関連する市場環境の悪化、技術的な環境の悪化等により、将来キャッシュ・フローの予測が大きく変動した場合には、翌連結会計年度において、減損損失を認識する可能性があります。
当社グループでは繰延税金資産の計上に当たり、経営環境等が当社グループの業績へ及ぼす影響および将来減算(加算)一時差異の解消スケジュール等を検討し、将来の課税所得等の予測を行っております。その結果、将来実現が困難と判断された繰延税金資産については、評価性引当額を計上しております。
当社グループの退職給付に係る負債または資産については、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率および年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。割引率は、期末における安全性の高い債券の利回りを基礎として決定しております。長期期待運用収益率は、年金資産が投資されている資産の種類毎の長期期待運用収益率の加重平均に基づいて計算しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合には、将来期間において認識される費用および計上される債務に影響を及ぼします。
当社グループは、売上高、営業利益のほか、自己資本利益率、自己資本比率を、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として用いており、各指標等の状況は次のとおりであります。
なお、2027年4月期を最終年度とする当社グループの中期経営計画において、売上高443億円、営業利益22億円、自己資本利益率8.0%を業績目標として掲げております。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発活動は、抵抗溶接製品関連およびレーザ加工技術関連を主体に開発活動を行っております。
セグメント別の研究開発活動につきましては、主に日本および中国で研究開発活動を行っており、次のとおりであります。
抵抗溶接製品関連につきましては、顧客のニーズを取入れた付加価値の高い研究開発に取組んでおります。当連結会計年度では、インバータ式抵抗溶接制御装置の新型機について、日系自動車関連企業向け仕様と並行して、海外規格へ対応させるべく開発・製品化を進めております。また、中国市場向けの顧客ニーズに対応した低価格かつ機能を向上させた抵抗溶接制御装置の新型機についても、開発・製品化を進めております。このほか、抵抗溶接の品質の向上および効率化に資する適応制御機能の開発の一環として、非破壊検査をせずとも溶接品質の判定が可能となる機能の開発を進めております。また、現行製品のコストダウンや操作性の改良、顧客ニーズに対応するバリエーション展開、使用部品の生産中止に伴う設計変更なども行っております。
レーザ加工技術関連につきましては、産学官連携によるAI制御を活用した高速・高品質なレーザ溶接加工装置の開発やレーザ溶接のモニタリング技術の開発を引続き行っております。
当社グループの主要得意先である自動車関連企業では、環境規制の強化に伴い車両の軽量化を図るため、従来の鉄に加えアルミなどの採用を拡大するマルチマテリアル化が進展しております。当社グループは、このようなニーズに対応するため、溶融接合が困難である異種材料の接合技術を、抵抗溶接製品およびレーザ加工技術の両面で研究開発活動を続けており、展示会などでその研究成果を発表しております
なお、当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の金額は