第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、創業以来の経営基本方針である「3つの安心」の価値観を受け継ぎ、内外環境変化に適応するために発展的に再定義した新たな企業理念「Sysmex Way」を制定し、これに基づき、お客様、従業員、取引先、株主、社会に対する提供価値を示した「行動基準」を掲げております。

 

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Mission   ヘルスケアの進化をデザインする。

Value    私たちは、独創性あふれる新しい価値の創造と、

人々への安心を追求し続けます。

Mind     私たちは、情熱としなやかさをもって、

自らの強みと最高のチームワークを発揮します。

 

 

 当社グループの進むべき方向性と大切にすべき価値観を表した「Sysmex Way」をグループ全体で実践し、社会からのより厚い信頼とさらなる飛躍を目指します。

 

(2) 経営環境の認識

 今後の見通しにつきましては、国内においては、新型コロナウイルス感染症の収束が見えず、設備投資や個人消費は依然として低調に推移しており、景気の先行きは不透明な状況にあります。また、海外においても、ワクチンの接種拡大により収束への期待が高まっているものの、変異ウイルスを含めた感染拡大に加え、米中の通商問題の動向、地政学的リスクの顕在化等、景気の不確実性も一層高まっております。

 医療を取り巻く環境につきましては、先進国の高齢化に伴う医療の効率化、新興国の経済成長に伴う医療需要の拡大と医療の質・サービス向上へのニーズの高まりに加えて、人口知能(AI)、情報通信技術(ICT)などの最先端技術のヘルスケア領域への応用が急速に進展しており、今後も継続した成長が期待されております。また、グローバルでの新型コロナウイルス感染症のパンデミックを起点とした医療体制の在り方や医療環境自体が大きく変化する可能性もあり、さらなる成長機会も見込まれております。

 こうした中、当社グループでは、2021年4月より新たな中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期まで)をスタートさせました。長期ビジョンに基づくポジショニング目標達成に向けて、グループの力強い成長の持続とそれを支える経営基盤の強化を推進いたします。

 2022年3月期の連結業績予想につきましては、前期に新型コロナウイルス感染症拡大の影響により減少した売上高が概ね回復し、さらに製品ラインアップの拡充や販売・サービス体制の強化などにより、売上・利益共に伸張することを想定しており、売上高350,000百万円、営業利益60,000百万円、税引前利益57,000百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益40,000百万円を予想しております。

(注)新型コロナウイルス感染症が収束に向かい、経済活動も徐々に再開する前提であります。

 

(3) 目標とする経営指標

 グループ中期経営計画におきまして、2024年3月期を最終年度として、連結売上高420,000百万円、連結営業利益80,000百万円を達成することを目指します。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループ中期経営計画では、2025年に向けた長期ビジョン(2018年制定)に基づくポジショニング目標の達成に向けて、グループ最大の収益源である血球計数検査分野に加え、血液凝固検査分野、免疫検査分野、ライフサイエンス分野を重点分野と定め、優先的な資源配分により研究開発活動を強化し、新たな価値の創出と製品ラインアップの拡充を実現いたします。さらに、手術支援ロボットを核とした新たな事業の創出と育成にも引き続き取り組み、非連続な成長の実現を目指します。そのため、2021年4月よりビジネスユニットによる事業推進体制から機能別体制へ再編を行い、グループの施策実行力の向上を図ってまいります。

 また、新たな価値創造及び企業体質強化に向けたビジネスプロセス改革をグローバルに推進するため、前中期経営計画に引き続き、次世代基幹システムやデジタル基盤刷新への取り組みを継続いたします。グループ全体の生産性を向上すると共に、お客様に対する新たなソリューションの創出に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指してまいります。

 経営戦略の実行における重要な課題は以下のとおりであります。

 

<ポジショニング目標達成に向けた取り組み>

 ① 成長性・収益性の向上を目指した新製品の投入加速、新興国戦略の推進

 血球計数検査分野では、「多項目自動血球分析装置XRシリーズ」「多項目自動血球計数装置XQシリーズ」の導入に加え、AIを活用した画像解析、システム連携やデータ統合により、早期の診断確定と適正な治療方針決定へのサポートなど、新たな付加価値の提供を目指します。加えて、マーケットニーズに合わせた製品の市場導入、販売体制の強化により、グローバルにおける高成長の実現を目指します。

 また、各事業分野及び分野横断的な新たなクリニカルバリューを継続的に創出するため、戦略的にKOL(Key Opinion Leader)ネットワークを構築し、連携強化を図ります。さらに、新製品投入加速に向け、商品開発に関わるバリューチェーン全体を変革するほか、売上原価率の低減、サービス収益の向上及び事業活動全般のプロセスを効率化し、収益性向上を目指します。

 ② 重点分野(血液凝固検査分野、免疫検査分野、ライフサイエンス分野)への積極的な投資による高成長の実現

 今後、大きな成長が期待される血液凝固検査分野、免疫検査分野、ライフサイエンス分野を重点分野に定め、経営資源を優先配分し、製品ラインアップの拡充と販売・サービス体制の強化により高成長と大幅な収益性の改善を目指します。また、必要に応じて戦略的なアライアンスやM&Aを効果的に活用し、強固な事業構造への変革を推進します。

 さらに、COVID-19関連の商品開発を社会的課題として捉え、全社横断的に研究開発を継続し、新たな価値の提供を目指します。

 ③ 非連続な成長実現のための新たな事業の育成

 手術支援ロボットシステムである「hinotori™ サージカルロボットシステム」による外科領域のビジネスを日本で着実に拡大し、さらに海外への事業展開も推進します。また、検査データや臨床情報を活用したデータビジネス領域を中心に研究開発を推進し、早期事業化、コア技術獲得を目的としたオープンイノベーションの実践による新たな事業の創出に取り組みます。

 ④ グループのデジタル化推進と顧客価値創出に向けたDXの実現

 新たな価値創造及び企業体質強化に向けたビジネスプロセス改革をグローバルに推進するため、継続的に次世代基幹システムやデジタル基盤の刷新に取り組みます。

 また、既に提供を開始しているCaresphere™のアプリケーションを充実させ、カスタマーサポートの変革及びお客様に対する新たなソリューションの創出に向けたDXの実現を目指します。

 ⑤ 戦略実行に資する人材ポートフォリオの充実と多様な人材を活かす魅力ある組織風土への転換

 持続的な成長を支える次世代リーダーと高度専門人材の獲得及び育成を強化するため、グローバル共通のジョブ型人材マネジメントシステムの定着を推進します。また、健康経営施策の実行による従業員の心身の健康をサポートし、すべての従業員が安心して能力を発揮できる職場環境の実現を目指します。

 ⑥ サステナビリティ経営の強化・実践に向けたビジョン策定、施策展開

 医療課題の解決、品質の向上、環境配慮への対応強化、ガバナンスの強化など、当社の持続的成長に向けた優先的に取り組むべき課題(マテリアリティ)及びサステナビリティ目標に基づき、グループ全体で施策展開することで、多様なステークホルダーからの信頼を獲得すると共に、企業価値の向上を図ります。

 

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループは検体検査に関連する製品及び関連するサービスを提供する「ヘルスケア事業」を主たる事業としております。また、事業活動をグローバルに展開しているため、当社グループの業績は、各国・地域で今後起こりうる様々な要因によって大きな影響を受ける可能性があります。

 当社では、リスクマネジメントを含む当社グループの内部統制全般を統括する組織として「内部統制委員会」を設置しております。メンバーは取締役社長と担当執行役員及び監査等委員(社外取締役を除く)で構成されており、当委員会では、さまざまなリスクについて定期的に抽出を行い、その中でも当社グループとして事業に与える影響が大きなリスクを特定して対策を講じています。さらに各地域、各部門の活動テーマにおいても、年度単位で計画立案し、定期的に報告を行っております。

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 新型感染症の拡大による影響について

 新型コロナウイルス感染症の拡大による各国における外出制限等の影響により、医療機関における検査数が減少する等、短期的な需要減少が見られております。中国等の一部地域では流行が収束傾向にあるものの、依然として感染者が増加している地域もあり、今後、流行が長期化する場合、需要減少の継続や顧客への販売活動の制限等により、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、確実な事業継続のために対策チームを設置しており、今後も製品の安定供給、顧客へのサービス活動の継続、従業員の安全確保等に努めてまいります。また、新型コロナウイルス感染症の診断で使用される検査試薬等、新たな需要に応えるべく、製品の開発・販売を行っております。

 

(2) 為替変動による影響について

 当社グループは海外関係会社及び代理店を経由して海外へ販売を行っており、連結売上高に占める海外売上高の比率は、2020年3月期84.5%、2021年3月期84.0%と高い水準で推移しております。海外関係会社の現地通貨建て財務諸表の各項目は、円換算時の為替レート変動の影響を受けております。当社グループの外貨建て資産及び負債の決済及び期末時価評価については、為替予約等によりリスクを軽減させる措置を講じておりますが、予測を上回る為替変動によって、当社グループの経営成績及び財務状況に影響に与える可能性があります。

 なお、2021年3月期における為替変動の影響は、以下の通りであります。

1円変動の影響

売上高

営業利益

USD

586百万円

126百万円

EUR

483百万円

146百万円

CNY

5,250百万円

3,954百万円

 

(3) 医療制度改革の影響について

 急速な少子高齢化、医療技術の進歩、患者の医療の質に対する要望の高まり等、医療を取り巻く環境変化を背景に、医療費を適正化し質の高い医療サービスを効率的に提供するための医療制度改革が継続して進められております。当社グループの経営成績及び財務状態は、このような医療制度改革の影響を受ける可能性があります。

 当社グループは、今後も医療費の適正化政策が継続し、病院経営の効率化や医療の高度化・新たな検査への対応が求められる環境下で、個別化医療に資する診断技術創出等のライフサイエンスの事業化を進める一方、検体検査機器、検体検査試薬、IT、サービス&サポートを合わせたトータルソリューションを提供し、多様化するニーズにきめ細かく対応できるよう努めてまいります。

 

(4) 製品の品質について

 当社グループが提供する検体検査機器製品及び診断薬製品等には高い信頼性が要求されるため、万全の品質管理体制の下、製品の品質保証に取り組んでおります。しかしながら、万が一製品に品質問題が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、各国の法令・国際規格等に準拠する品質を維持するための仕組みの整備・運用はもとより、国内外の市場及び社内からの信頼性や安全性に関する情報を調査・分析し、設計品質の向上につながる技術情報の蓄積、新製品の量産開始・市場導入前の品質チェックに生かすことによって、品質保証の強化に取り組んでおります。

 

(5) 製品の安定供給について

 当社グループでは、検体検査機器製品及び診断薬製品等を世界190カ国以上に供給しており、市場への製品の安定的供給に努めております。しかしながら、サプライヤーの事業停止等により原材料の調達が困難となった場合や、製造拠点が大規模な自然災害や感染症等の発生、また火災等の重大な事故に罹災した場合には、市場への製品供給に支障をきたす可能性があります。その場合には、特に当社グループ売上高の55.8%(2021年3月期)を占める診断薬製品に大きな影響を与えます。

 そのため、当社グループが取り扱う診断薬に関しては、安全在庫の1カ月以上確保、生産拠点の複数化を推進すると共に、原材料等については複数社購買や備蓄などによるリスク回避に努める等、製造拠点においても災害等に対する予防・復旧対策の充実に取り組んでおります。特に主力事業である血球計数検査分野の診断薬については、欧州・米州・日本の主要拠点間での相互供給体制を構築し、供給を継続できるよう備えております。

 

(6) 情報システム利用におけるリスクについて

 当社グループでは、情報伝達や基幹業務支援、稟議等の決裁手続きに各種情報システムを導入しており、事業上の情報の多くはネットワークを通じて処理しております。

 そのため、情報システムやネットワーク回線の障害、あるいはコンピュータウイルスや外部からの情報システムへの侵入等による業務への影響を最小限に抑えるために、不正通信検知やマルウェアの隔離等の仕組みの導入、24時間の監視、CSIRT(Computer Security Incident Response Team)の設置と団体加盟等によるセキュリティ対策とIT-BCP(事業継続計画)の見直しのほか、厳格なユーザー管理やアクセス制限等の内部統制の強化に取り組んでおります。

 

(7) 企業買収等に関わるリスクについて

 当社グループでは、持続的成長や事業展開の手段としてM&Aまたは資本提携等を実施することがあります。これらのM&A等の実施にあたっては事前に十分な調査を行い、当社の負担するリスクを限定するよう努めております。しかし、対象会社の経営環境や事業の変化、事前調査において判明しなかった情報の露呈、または買収後の対象企業の経営環境や事業の変化等の影響を受け、期待されていた効果等が実現されない可能性があります。

 

(8) その他のリスクについて

 当社グループは、製造、販売、研究等の活動をグローバルに展開しており、世界中に拠点を有しています。これらの拠点や周辺地域において、地震・風水害等の大規模な自然災害や、テロ・紛争、国家間の経済摩擦等の地政学的な問題が発生し、当社グループの設備・インフラ及び人材に甚大な被害が生じて生産・販売等の活動が制限されたり、顧客からの需要の低下等が起きた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の概要

(1) 経営成績の分析

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により経済活動が大きく抑制された結果、個人消費や企業収益が急速に悪化するなど、極めて厳しい状況で推移いたしました。その後、社会経済の活動レベルの段階的な引き上げや各種政策の効果によって持ち直しているものの、再度の感染拡大、それに伴う緊急事態宣言の発令などもあり、未だ先行きが不透明な状況が続いております。海外においても、新型コロナウイルス感染症拡大は深刻な状況であり、主要都市のロックダウン(都市封鎖)や外出禁止令などにより経済活動が大きく制限されました。その後、各政府の金融財政政策なども打ち出され、段階的に回復基調に戻りつつあるものの、収束の目途は依然としてつかない状況にあり、景気の先行きは不透明になっております。

 医療面におきましては、国内では医療及びヘルスケア分野は高齢化や健康・医療ニーズの多様化を背景に、需要期待が高まっております。政府も成長戦略の一つと位置付けており、医療関連産業は引き続き活性化が見込まれております。海外においても先進国の高齢化に伴う医療の効率化、新興国の経済成長に伴う医療需要の拡大と医療の質・サービス向上へのニーズの高まりに加えて、人工知能(AI)や情報通信技術(ICT)などの最先端技術のヘルスケア領域への応用が急速に進展しており、今後も継続した成長が期待されております。また、グローバルでの新型コロナウイルス感染症のパンデミックを起点とした医療体制の在り方や医療環境自体が大きく変化する可能性もあり、さらなる成長機会が見込まれております。

 このような状況の下、当社は血球計数検査分野における製品ポートフォリオの持続的な進化を目指し、次世代フラッグシップモデル「多項目自動血球分析装置XRシリーズ」と、白血球3分類コンパクトモデル「多項目自動血球計数装置XQシリーズ」を日本国内において発売いたしました。今後、各国における許認可取得を経て、グローバルな販売活動を推進すると共に、地域の特性や施設のニーズに応じた検査室運営の最適化に貢献すべく、血球計数検査分野における製品ポートフォリオの進化に引き続き取り組んでまいります。

 血液凝固検査分野においては、さらなる効率化と質の向上を目指し「全自動血液凝固測定装置CN-6500/CN-3500」を日本国内において発売いたしました。Siemens Healthcare Diagnostics Incとの血液凝固検査関連製品に関するグローバルアライアンスにおいて、取り扱い製品・テリトリーの見直しを含む契約更新を行い、全自動血液凝固測定装置CNシリーズの販売を強化すると共に、引き続き世界各地のお客様へ豊富なソリューションの提案を推進してまいります。

 ライフサイエンス分野においては、がんゲノムプロファイリング検査用システムとして日本で初めて保険適用された「遺伝子変異解析セット(がんゲノムプロファイリング検査用)OncoGuide™ NCCオンコパネル システム」に関し、製造販売承認の一部変更承認を取得いたしました。124遺伝子の変異・増幅、13遺伝子の融合及びマイクロサテライト不安定性(MSI)の検出が可能になることで、診断や抗がん剤選定など、医師の治療方針決定を補助する、より詳細な遺伝子情報の提供が可能となります。

 当社と川崎重工業株式会社が共同出資する株式会社メディカロイド(以下、メディカロイド)が、国産初の手術支援ロボットシステムである「hinotori™ サージカルロボットシステム」の製造販売承認を取得いたしました。グローバル総代理店である当社は、日本の医療機関を対象にhinotori™を発売し、泌尿器科から製品の導入を開始いたしました。さらに、メディカロイドが進める海外における薬事承認の取得活動と連携し、海外市場においても順次製品の導入を推進してまいります。

 新型コロナウイルス感染症拡大の防止に貢献すべく、「全自動免疫測定装置HISCL™-5000/HISCL™-800」を用いた、新型コロナウイルス感染症を引き起こすコロナウイルス抗原の検出が可能な試薬や、新型コロナウイルス感染症の患者さんの重症化リスク判定を補助する試薬を発売いたしました。今後も、PCR検査、抗原検査、抗体検査、サイトカイン検査に加え、既存の血球計数検査及び血液凝固検査などさまざまな検査によって、新型コロナウイルス感染症に関する研究や診断・治療の確立に貢献いたします。

 

<参考>地域別売上高

 

前連結会計年度

(自 2019年4月1日

 至 2020年3月31日)

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

 至 2021年3月31日)

前期比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

国内

46,725

15.5

48,756

16.0

104.3

 

米州

71,037

23.5

65,890

21.6

92.8

 

EMEA

77,250

25.6

82,140

26.9

106.3

 

中国

80,048

26.5

83,830

27.5

104.7

 

アジア・パシフィック

26,919

8.9

24,454

8.0

90.8

海外計

255,255

84.5

256,316

84.0

100.4

合計

301,980

100.0

305,073

100.0

101.0

 

 国内販売につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により尿検査分野、免疫検査分野において試薬の売上が減少しましたが、大手検査センター向けの血球計数検査分野における機器の売上が増加しました。また、新型コロナウイルス感染症の検査に関する血液凝固検査分野の試薬、ライフサイエンス分野の試薬及びサービスの売上が増加しましたその結果、国内売上高は48,756百万円(前期比4.3%増)となりました。

 海外販売につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により血球計数検査分野、尿検査分野を中心に試薬の売上が減少しましたが、尿検査分野、血液凝固検査分野及び免疫検査分野において機器の売上が増加しました。その結果、海外売上高は256,316百万円(前期比0.4%増)、構成比84.0%(前期比0.5ポイント減)となりました。

 国内及び海外販売において増収となりましたが、試薬売上の減少に伴う売上原価率の悪化により売上総利益は154,302百万円(前期比3.4%減)となりました。販売費及び一般管理費は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う活動制限等により減少し、80,839百万円(前期比3.2%減)となりました。

 この結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高は305,073百万円(前期比1.0%増)、営業利益は51,792百万円(前期比6.3%減)、税引前利益は48,033百万円(前期比2.8%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は33,142百万円(前期比5.0%減)となりました。

 

 セグメントの経営成績は、以下のとおりであります。

 ① 日本

 国内では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により尿検査分野、免疫検査分野において試薬の売上が減少しましたが、大手検査センター向けの血球計数検査分野における機器の売上が増加しました。また、新型コロナウイルス感染症の検査に関する血液凝固検査分野の試薬、ライフサイエンス分野の試薬及びサービスの売上が増加しました。その結果、売上高は52,672百万円(前期比4.2%増)となりました。

 利益面につきましては、グループ間輸出売上における試薬の売上減少や、売上原価率の悪化による売上総利益の減少、主に研究開発費の増加により、セグメント利益(営業利益)は30,434百万円(前期比16.1%減)となりました。

 ② 米州

 北米では、新製品を発売した尿検査分野及び血液凝固検査分野において機器の売上が増加しましたが、主に新型コロナウイルス感染症拡大の影響により血球計数検査分野において機器及び試薬の売上が減少し、減収となりました。中南米では、血球計数検査分野において試薬の売上が減少し、減収となりました。その結果、米州全体での売上高は61,501百万円(前期比7.1%減)となりました。

 利益面につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う活動制限もあり、販売費及び一般管理費が減少しましたが、減収及び売上原価率の悪化により売上総利益が減少し、セグメント利益(営業利益)は2,512百万円(前期比12.1%減)となりました。

 ③ EMEA

 主に新型コロナウイルス感染症拡大の影響により血球計数検査分野及び尿検査分野において試薬の売上が減少しましたが、ドイツで大手検査センター向けに機器の販売が伸長したこと、中東での大型案件の獲得もあり血球計数検査分野において機器の売上が増加しました。また、血液凝固検査分野も増収となったほか、ドイツにおいて新型コロナウイルス抗原検査キットの仕入販売を開始したこともあり、関連試薬の売上が増加しました。その結果、売上高は82,854百万円(前期比5.4%増)となりました。

 利益面につきましては、売上原価率が悪化したものの、増収による売上総利益の増加及び新型コロナウイルス感染症拡大に伴う活動制限もあり、販売費及び一般管理費が減少し、セグメント利益(営業利益)は10,085百万円(前期比20.8%増)となりました。

 ④ 中国

 主に新型コロナウイルス感染症拡大の影響により血球計数検査分野及び尿検査分野において試薬の売上が減少しましたが、血球計数検査分野及び尿検査分野において機器の売上が増加しました。また、血液凝固検査分野及び免疫検査分野において機器及び試薬の売上が増加しました。その結果、売上高は83,735百万円(前期比4.7%増)となりました。

 利益面につきましては、販売費及び一般管理費が減少しましたが、売上原価率の悪化による売上総利益の減少により、セグメント利益(営業利益)は5,066百万円(前期比11.5%減)となりました。

 ⑤ アジア・パシフィック

 南アジアでは、インドでの入札案件の獲得により血球計数検査分野において機器の売上が伸長したほか、オーストラリアで大手検査センター向けに血液凝固検査分野の新製品の販売が伸長しましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により血球計数検査分野及び尿検査分野において試薬の売上が減少しました。その結果、売上高は24,309百万円(前期比8.9%減)となりました。

 利益面につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う活動制限もあり、販売費及び一般管理費が減少しましたが、減収及び売上原価率の悪化により売上総利益が減少し、セグメント利益(営業利益)は2,134百万円(前期比31.6%減)となりました。

 

(2) 財政状態の分析

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて38,183百万円増加し、427,475百万円となりました。この主な要因は、営業債権及びその他の債権が14,991百万円増加、現金及び現金同等物が9,875百万円増加、無形資産が7,927百万円増加したこと等によるものであります。

 一方、負債合計は、前連結会計年度末と比べて7,862百万円増加し、118,806百万円となりました。この主な要因は、その他の非流動負債が1,999百万円増加、未払費用が1,719百万円増加、その他の短期金融負債が976百万円増加、未払賞与が916百万円増加したこと等によるものであります。

 

 資本合計は、前連結会計年度末と比べて30,321百万円増加し、308,669百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が18,155百万円増加、その他の資本の構成要素が10,614百万円増加したこと等によるものであります。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の71.3%から0.7ポイント増加して72.0%となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末より9,875百万円増加し、66,467百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

 営業活動の結果得られた資金は、58,813百万円(前期比5,631百万円増)となりました。この主な要因は、税引前利益が48,033百万円(前期比1,400百万円減)、減価償却費及び償却費が25,575百万円(前期比1,620百万円増)、営業債権の増加額が9,066百万円(前期比4,642百万円増)、棚卸資産の減少額が3,851百万円(前期は9,807百万円の増加)、営業債務の減少額が834百万円(前期は2,762百万円の増加)、契約負債の減少額314百万円(前期は3,292百万円の増加)、法人所得税の支払額が13,172百万円(前期比3,036百万円減)となったこと等によるものであります。

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

 投資活動の結果使用した資金は、31,131百万円(前期比5,224百万円増)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が9,930百万円(前期比3,699百万円減)、無形資産の取得による支出が15,863百万円(前期比3,020百万円増)、長期前払費用の増加を伴う支出が4,050百万円(前期比1,563百万円増)、資本性金融商品の取得による支出が623百万円(前期比3,930百万円減)、定期預金の払戻による収入が1,438百万円(前期比5,889百万円減)となったこと等によるものであります。

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

 財務活動の結果使用した資金は、20,253百万円(前期比343百万円減)となりました。この主な要因は、株式の発行による収入549百万円(前期比201百万円増)、配当金の支払額が15,037百万円(前期比9百万円増)、リース負債の返済による支出が5,911百万円(前期比2百万円減)となったこと等によるものであります。

 

(4) 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

184,307

108.5

米州

6,410

84.7

EMEA

12,616

105.5

中国

3,037

102.0

アジア・パシフィック

1,185

82.1

合計

207,558

107.1

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

52,672

104.2

米州

61,501

92.9

EMEA

82,854

105.4

中国

83,735

104.7

アジア・パシフィック

24,309

91.1

合計

305,073

101.0

(注)1.セグメント間の内部売上高は相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 当連結会計年度の経営成績の分析

 当連結会計年度の売上高は前期比3,092百万円増加1.0%増)の305,073百万円、営業利益は前期比3,491百万円減少6.3%減)の51,792百万円、税引前利益は前期比1,400百万円減少2.8%減)の48,033百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比1,740百万円減少5.0%減)の33,142百万円となりました。また、親会社所有者帰属持分当期利益率は前連結会計年度の12.9%から当連結会計年度は11.3%へと低下いたしました。

 当社グループは、前中期経営計画において2022年3月期を最終年度として、連結売上高380,000百万円、連結営業利益78,000百万円を達成することを目指し、2021年3月期の目標数値を、連結売上高310,000百万円、連結営業利益48,500百万円としておりました。その結果、当連結会計年度の売上高は、計画を下回るも増収を達成しており、営業利益は新型コロナウイルス感染症の拡大により検査数が減少したものの、特に当第3四半期以降に試薬需要の回復が見られ、減益となったものの計画は達成いたしました。

 こうした中、2021年4月より2024年3月期を最終年度とする新たな中期経営計画をスタートしており、長期ビジョンに基づくポジショニング目標達成に向けて引き続き重要な課題に取り組み、2024年3月期の経営指標(連結売上高420,000百万円、連結営業利益80,000百万円)を達成することを目指します。

 

 ① 売上高

 当連結会計年度は、国内販売につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により尿検査分野、免疫検査分野において試薬の売上が減少しましたが、大手検査センター向けの血球計数検査分野における機器の売上が増加しました。また、新型コロナウイルス感染症の検査に関する血液凝固検査分野の試薬、ライフサイエンス分野の試薬及びサービスの売上が増加しました。その結果、国内売上高は48,756百万円(前期比4.3%増)となりました。海外販売につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により血球計数検査分野、尿検査分野を中心に試薬の売上が減少しましたが、尿検査分野、血液凝固検査分野及び免疫検査分野において機器の売上が増加しました。その結果、海外売上高は256,316百万円(前期比0.4%増)、構成比84.0%(前期比0.5ポイント減)となりました。この結果、売上高は前連結会計年度に比べて3,092百万円増加1.0%増)の305,073百万円となりました。

 国内での売上高は48,756百万円2,031百万円の増加4.3%増)となり、海外での売上高は256,316百万円1,061百万円の増加0.4%増)となった結果、海外売上高比率は前期比0.5ポイント減少84.0%となりました。

 海外の地域別では、米州が65,890百万円(前期比5,146百万円減7.2%減)、EMEAが82,140百万円(前期比4,890百万円増6.3%増)、中国が83,830百万円(前期比3,782百万円増4.7%増)、アジア・パシフィックが24,454百万円(前期比2,464百万円減9.2%減)となりました。

 ② 売上原価

 売上原価は、前期比8,596百万円増加6.0%増)の150,770百万円となりました。また、売上原価率は49.4%(前期比2.3ポイント増加)でありました。

 ③ 販売費及び一般管理費

 販売費及び一般管理費は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う活動制限等により減少し、前期比2,705百万円減少3.2%減)の80,839百万円となりました。また、売上高に対する比率は26.5%(前期比1.2ポイント減少)でありました。

 ④ 研究開発費

 研究開発費は、商品ポートフォリオ充実のために新商品の開発及び新型コロナウイルス感染症関連の分野を中心に研究開発を推進したこと等により、前期比755百万円増加3.5%増)の22,517百万円となりました。また、売上高に対する比率は7.4%(前期比0.2ポイント増加)でありました。

 ⑤ 損益の状況

 営業利益は、売上高が伸張し販売費及び一般管理費が減少したものの、原価率の悪化や研究開発費の増加により、前期比3,491百万円減少6.3%減)の51,792百万円、売上高営業利益率は17.0%(前期比1.3ポイント減少)となりました。なお、為替の影響は、前連結会計年度と比較して49百万円の増益要因となりました。

 税引前利益は、為替差損が前期比2,787百万円減少したものの、営業利益が減益となったこと等によって、前期比1,400百万円減少2.8%減)の48,033百万円となりました。

 親会社の所有者に帰属する当期利益は、法人所得税費用が前期比310百万円増加(2.1%増)の14,930百万円となり、前期比1,740百万円減少5.0%減)の33,142百万円となりました。

 

(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループが事業を展開していく上で、経営成績に重大な影響を及ぼす可能性のある事項については、「2 事業等のリスク」に記載しておりますので、ご参照ください。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 ① 資金調達と流動性マネジメント

 運転資金は必要に応じて短期銀行借入等で調達いたします。各連結子会社については、運転資金確保のために必要に応じて銀行借入を行いますが、国内の子会社については、2003年10月より当社と各社との資金決済にCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、資金の調達・運用を一元化して効率化を図っております。

 また、当社は、現在、株式会社格付投資情報センター(R&I)よりAA-(ダブルAマイナス)の発行体格付を取得しており、毎年レビューを受けて格付を更新しております。高い格付は資本市場から資金調達する際の調達コストを低減するだけではなく、ステークホルダーや世間一般からの信用向上にも貢献します。今後も格付を維持・向上していくために、売上高・利益と資産及び負債・資本のバランスに考慮してまいります。

 設備投資等の長期資金需要に関しては、投資回収期間とリスクを勘案したうえで調達方法を決定しております。なお、当連結会計年度は、設備投資及び研究開発活動等の資金について、主に営業活動の結果得られた資金から充当しております。

 

 ② 財政状態の分析

 財政状態の分析については、「1.経営成績等の概要 (2) 財政状態の分析」に記載しておりますので、ご参照ください。

 

 ③ キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析については、「1.経営成績等の概要 (3) キャッシュ・フローの分析」に記載しておりますので、ご参照ください。

 

(4) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しております。この連結財務諸表の作成に関する重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 3.重要な会計方針」に記載しておりますので、ご参照ください。

 なお、会計上の見積りに対する新型コロナウイルスの影響に関して、2022年3月期の連結業績予想は、前期に新型コロナウイルス感染症拡大の影響により減少した売上高が概ね回復すると想定しており、当連結会計年度において会計上の見積りを行った結果、当連結会計年度における連結財務諸表に及ぼす影響は軽微なものと判断しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

・アライアンス契約

契約会社名

相手先

国名

契約の内容

契約期間

当社

シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティックス社

米国

血液凝固検査関連製品の相互供給、販売及びサービスのグローバルでの実施

自 2021年2月1日

至 2023年12月31日

当社

ロシュ・ダイアグノスティックス社(以下、ロシュ社)

スイス

当社とロシュ社とのグローバルパートナーシップ(注)

自 2021年1月1日

至 2030年12月31日

(注)本契約には以下3つの個別契約を含んでおります。

・ロシュ社による当社の血球計数検査分野製品の販売・サービスに関する契約(契約期間:自 2021年1月1日 至 2026年8月31日)

・生化学検査分野、免疫検査分野及び血球計数検査分野製品を1社から同時に求められる案件に関する非独占協業契約(契約期間:自 2021年1月1日 至 2030年12月31日)

・両社のITプラットフォームを活用し、短中期的には顧客サービスの向上を、長期的にはクリニカルバリューの向上を狙いとした協業検討に関する契約(契約期間:自 2021年1月1日 至 2030年12月31日)

 

5【研究開発活動】

 当社グループは既存の体外診断領域の拡充を図ると共に、個人毎の特性に応じた個別化医療の推進と、より患者さんの近くで検査を提供するプライマリケアの推進に取り組んでおります。

 個別化医療においては、医薬品の投与に関わるコンパニオン診断薬の開発や、血液からより多くの情報を得るためのリキッドバイオプシー技術の開発に取り組んでおり、プライマリケアにおいては、患者負担の少ない検査法の樹立や、装置の小型化、操作性の向上を目指した開発などに取り組んでおります。

 当連結会計年度における、主な研究開発活動の状況は以下のとおりであります。

 

(1) 2020年4月 2019年6月に国内で初めて保険適用を受けた遺伝子変異解析セット(がんゲノムプロファイリング検査用)「OncoGuide™ NCCオンコパネル システム」について、当該システムを用いて行う“固形がん患者における初回治療時の包括的ゲノムプロファイル検査の実現性と治療選択への有用性を評価する前向き研究”が先進医療として適用されました。

(2) 2020年6月 当社と株式会社オプティムは、デジタル医療に関するオープンプラットフォームとアプリケーションを活用したソリューションサービスの企画、開発、運営を担う「ディピューラメディカルソリューションズ株式会社」を共同で設立し、活動を開始いたしました。

(3) 2020年6月 2020年3月に国内で初めて新型コロナウイルス検査キットの体外診断用医薬品製造販売承認を取得した「2019-nCoV検出蛍光リアルタイムRT-PCRキット」について、検体種に唾液を追加する変更申請を行い、承認を取得いたしました。なお、唾液についても保険適用の対象となりました。

(4) 2020年6月 当社は、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)を引き起こすウイルス(以下、SARS-CoV-2)のヌクレオカプシドタンパク質※1(以下、N抗原)とスパイクタンパク質※2(以下、S抗原)に対して、特異的に反応する血中のIgG抗体※3及びIgM抗体※4を検出可能な4つの研究用抗体検出試薬を開発し、受託サービスの提供を開始いたしました。

※1 ヌクレオカプシドタンパク質(N抗原):

ウイルスの基本構造であり、ウイルスの性質に大きく影響するタンパク質。

※2 スパイクタンパク質(S抗原):

ウイルスの周りに無数に突き出したタンパク質であり、細胞の受容体と結合することで感染が生じる。

※3 IgG抗体:

血中に最も多く存在し、強い中和作用等を有するとされる抗体。

※4 IgM抗体:

異物が体内に侵入することで最初に生産され一定期間増加する抗体。

(5) 2020年6月 当社、国立研究開発法人国立がん研究センター及び国立研究開発法人国立国際医療研究センターにおいて、SARS-CoV-2の抗原・抗体検査法に関する共同研究を実施しており、当社が開発した前述(④項)の試薬を用いた「SARS-CoV-2陰性群」と「退院時のSARS-CoV-2患者群」間における血中のN抗原、S抗原に対するIgG抗体の濃度の比較において、明らかな弁別性能を示す結果を得ました。

(6) 2020年6月 当社は、神戸市、神戸医療産業都市推進機構及び地方独立行政法人神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院と連携し、当社が開発した新たな検査方法である、SARS-CoV-2抗原・抗体検査、免疫学的な病態生理検査法※5等を用いた新たな検査フローの臨床実装に向けた取り組みを開始いたしました。

※5 病態生理検査法:

生体機能の破綻により症状や疾病が引きおこされる機序や経過を検査する方法。今回の免疫学的な病態生理検査法は、例えば、COVID-19の重症化を引き起こす免疫関連物質の量を測定すること示す。

(7) 2020年6月 当社は、多くのアプリケーション解析が可能な「Flow Cytometer XF-1600」を北米において発売いたしました。

(8) 2020年7月 当社は、「多項目自動血球分析装置 XN-31」について、マラリアの診断に活用可能な高度管理医療機器(クラスⅢ)※6として、国内で初めて医療機器製造販売承認を取得いたしました。

※6 高度管理医療機器(クラスⅢ):

不具合が生じた場合、人体へのリスクが比較的高いと考えられる医療機器を指す。

(9) 2020年7月 当社は、COVID-19の重症化リスクや治療効果モニタリングにおいて、有用な指標と示唆されているサイトカインの研究用受託測定サービスの提供を開始いたしました。

(10) 2020年7月 当社は、がんゲノムプロファイリング検査におけるエキスパートパネル※7の運用効率化に向けて、エキスパートパネル支援システム「OncoGuide™ NET」を発売いたしました。

※7 エキスパートパネル:

がん薬物療法に関する専門家、遺伝医学に関する専門家、遺伝カウンセリング技術を有する者、病理学に関する専門家、分子遺伝学やがんゲノム医療に関する専門家、主治医等、複数の病院から各分野の専門家が集まって検討し、がんゲノムプロファイリング検査の解析結果の意義づけと治療法の提案を行う会議。

(11) 2020年8月 当社は、血液凝固検査分野における新製品「全自動血液凝固測定装置 CN-6500/CN-3500」を発売いたしました。本製品は、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA法)を用いた測定ユニットを搭載しており、従来の「全自動血液凝固測定装置 CN-6000/CN-3000」で測定可能な血液凝固項目や血小板凝集能項目に加え、凝固分子マーカー等の測定が可能となります。これにより、血栓・止血領域における幅広い検査オーダーに対して本製品1台で測定が可能となります。

(12) 2020年8月 当社が製造販売を行うRAS遺伝子変異検出キット「OncoBEAM™※8 RAS CRCキット」を用いた、血液を対象とする大腸がんRAS遺伝子※9変異検査が保険適用されました。

※8 OncoBEAM™:

Johns Hopkins大学が開発したBEAMing技術(Bead, Emulsion, Amplification, and Magneticsの各頭文字をとって命名された、高感度PCR技術とフローサイトメトリー技術を融合させた遺伝子解析手法)によって血中の微量遺伝子変異を検出する当社の技術名称。

※9 RAS遺伝子:

RAS遺伝子(KRAS/NRAS遺伝子)変異を有する患者さんは、抗EGFR抗体薬投与により利益(延命効果、腫瘍縮小)が得られない可能性が高いため、コンパニオン診断として治療に先立ちそれらの遺伝子変異検査が行われる。

(13) 2020年8月 川崎重工業株式会社及び当社の共同支配企業である株式会社メディカロイドは、国産初の手術支援ロボットシステム「hinotori™ サージカルロボットシステム」の製造販売承認を取得いたしました。

(14) 2020年9月 川崎重工業株式会社及び当社の共同支配企業である株式会社メディカロイドが、製造販売を行う手術支援ロボットシステム「hinotori™ サージカルロボットシステム」が保険適用されました。

(15) 2020年11月 当社とエーザイ株式会社が共同で開発を進める、血漿を用いたアルツハイマー病診断法に関する最新データを第13回アルツハイマー病臨床試験会議において、当社が発表いたしました。

(16) 2020年11月 当社は、自社の全自動免疫測定装置 HISCL™-5000/HISCL™-800を用いて、SARS-CoV-2の抗原検出が可能なSARS コロナウイルス抗原キット「HISCL™ SARS-CoV-2 Ag 試薬」について、体外診断用医薬品としての製造販売承認を取得し保険適用されました。

(17) 2020年12月 当社は、インターフェロン-λ3 キット「HISCL™ IFN-λ3 試薬」の製造販売承認を取得いたしました。本製品と全自動免疫測定装置 HISCL™-5000/HISCL™-800を用いて血清中のインターフェロン-λ3を測定することで、SARS-CoV-2陽性患者における重症化リスク判定を補助するための情報を提供いたします。

(18) 2020年12月 国立大学法人 神戸大学と当社は、COVID-19の新たな血液検査法として、SARS-CoV-2に対するT細胞免疫応答を検出可能とするELISPOT法に関する共同研究を実施しており、その臨床評価の概要と結果について発表いたしました。

(19) 2021年2月 当社が製造販売を行うインターフェロン-λ3 キット「HISCL™ IFN-λ3 試薬」が、SARS-CoV-2陽性患者における重症化リスク判定を補助する検査キットとして保険適用されました。

(20) 2021年2月 当社が製造販売を行う遺伝子変異解析セット(がんゲノムプロファイリング検査用)「OncoGuide™ NCCオンコパネル システム」に関して、製造販売承認の一部変更承認を取得いたしました。124遺伝子の変異・増幅、13遺伝子の融合及びマイクロサテライト不安定性(MSI)の検出が可能になることで、診断や抗がん剤選定など、医師の治療方針決定を補助する、より詳細な遺伝子情報の提供が可能となります。

(21) 2021年2月 当社は、A型インフルエンザウイルス抗原及びB型インフルエンザウイルス抗原を個別に検出可能な検査試薬「HISCL™ インフルエンザ 試薬」について、体外診断用医薬品としての製造販売承認を取得し保険適用されました。

(22) 2021年3月 当社は第15回アルツハイマー・パーキンソン病学会において、エーザイ株式会社と共同で開発を進めている、血液を用いたアルツハイマー病診断法に関する最新データを発表いたしました。

(23) 2021年3月 当社は血球計数検査分野における次世代フラッグシップモデル「多項目自動血球分析装置XRシリーズ」及び白血球3分類コンパクトモデル「多項目自動血球計数装置XQシリーズ」の発売を発表いたしました。

 

 なお、当連結会計年度における研究開発費は22,517百万円であります。