第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

当社は、経営理念として「感動と快適さを提供する商品の開発」「相互信頼を通じた豊かな関係づくり」「快活な職場づくりへの参画と社会の発展への寄与」「自己の成長と豊かな生活の実現」を掲げ事業活動を進めております。

また、上場企業としての原点に立ち返り、ステークホルダーズの皆様のご期待にお応えし続けるため、2030年に向かって長期ビジョン「VISION2030」として「お客様満足№1」のその先へ ~燕三条発のイノベーションで、世界中の人々に持続可能な幸せを提供するブランドになる~」を策定しました。

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(2)2025年度の経営戦略及び会社の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

私たちの強みは、TWINBIRDブランドのもと、商品開発型企業として自社工場を含め、企画・開発からアフターサービスまでのバリューチェーンを有しており、加えて、全国でも屈指のものづくりの町である新潟県燕三条地域の協力企業をはじめとする経営資源に恵まれ、お取引先企業と共創の精神をもって新たな付加価値を生み出すことができることです。

中期経営計画(2023-2025)では、需要の大きな生活必需品カテゴリーに、ツインバードの独自性あふれる製品を少人数世帯の生活者に向けて小型から中型までのラインナップで拡充することにより、市場における独自のポジショニングを確立してまいります。2023年8月に発表した2030年を見据えた長期ビジョン「VISION2030『お客様満足№1』のその先へ ~燕三条発のイノベーションで、世界中の人々に持続可能な幸せを提供するブランドになる~」実現のため、中長期的な事業成長に向けた新たな取り組みや戦略的投資を継続してまいります。

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しかしながら、歴史的な円安の継続による原価高騰及び物価上昇等による個人消費回復の遅れの影響が中期経営計画策定当初の想定を大きく上回っていることから、中期経営計画最終年度である2026年2月期の業績予想は、数値目標を大きく下回る見通しとなっております。現中期経営計画の基本戦略を推進する一方で、数値計画未達の要因分析をおこない、2027年2月期から始まる次期中期経営計画(2026-2028)の策定を進めてまいります。

2026年2月期につきましては、上記の状況を真摯に受け止め、収益性の改善に向けて軌道修正をいたします。これまでの当社の収益構造を販売チャネル及び商品分野視点で改めてポートフォリオ分析をおこなった上で、「収益構造の再構築」「固定費・変動費の最適化」「成長事業の推進」の3つの項目から、次のような施策を実行してまいります。

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家電製品事業においては、「匠プレミアム」「感動シンプル」の2つのブランドラインを軸に、お客様起点での製品ラインナップを拡充する方針は継続いたします。

一方、営業と商品開発とのさらなる連携強化により、安定した収益が見込めるB2B等の販売チャネルに向けて、お取引先のプライベートブランド製品やOEM製品の営業活動及び、新製品開発を推進してまいります。また、商品開発の体制を見直し、バリューチェーンの連携強化による新製品開発の効率アップを図り、金額ベースでは前期比倍増の新製品を投入して売上拡大を図ってまいります。

さらに、2025年1月14日付け発表のとおり、家電製品について2025年3月1日より出荷価格を従来価格の約10%以上に順次改定して、円安やエネルギー資源価格の高騰の影響を抑制してまいります。

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一方、地政学リスク及び円安基調の継続などの外部環境に対応するため、国内製造比率を50%までに引き上げることを目指し、新潟県燕三条地域のものづくり資源を活用し国内製造の新製品やOEM製品の開発を推進することにより、さらなる品質向上及び原価低減を推進してまいります。

また、2024年12月より導入のサプライチェーンマネジメント基幹システムによる自動化・省力化を推進し、まずはローコストオペレーションを図ります。さらに生産性向上プロジェクトを立ち上げて業務効率化及び付加価値創造の取り組みを推進してまいります。

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FPSC事業については、注力する4分野のうち、特に「医薬・バイオ」分野の成長を想定しております。今後成長するバイオ医薬品市場における搬送・保管には、厳密な温度管理(冷凍-20~-40℃、極冷凍-70~-85℃)のコールドチェーン構築が不可欠となります。厚生労働省向け可搬型武田モデルナ社製ワクチン用低温冷凍庫(出荷累計 約12,000台)によるコールドチェーン構築実績や2024年10月に取得した世界保健機関(WHO)が定める医療機材品質認証(Performance, Quality and Safety、以下、PQS)を活かし、当社は今後もSDGsの一つである「すべての人に健康と福祉を」の達成に向けて、国内外のネットワークを通じグローバル規模での最新技術に基づくコールドチェーンの構築や医療サービスの拡充に参画し、当社FPSC技術が医療分野でスタンダードの一つとなるよう取り組んでまいります。

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「決算・財務報告プロセスにおける開示すべき重要な不備について」

下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。従って、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。

 

1.開示すべき重要な不備の内容

当社は、2025年2月期の会計監査人による会計監査の過程で、2024年12月より新たに導入した基幹システムにおいて、在庫単価及び仕入に関連する諸掛費の検証が不十分であること等に起因する在庫購買管理に関する会計処理の誤謬が判明し、決算短信発表後に複数の会計処理の修正をすることとなりました。この会計処理の誤謬が生じた原因は、以下のIT全般統制及び全社的な観点に基づく決算・財務報告プロセス統制の不備にあると認識しています。

 

① IT全般統制の不備:新基幹システム導入時におけるシステムテスト工程の不備

当社は、生産性の向上及び業務の効率化を目的として、2024年12月に新たな基幹システムを導入しています。この新基幹システムの導入前のシステムテスト工程において、原価計算及び関連データの連携機能の領域で検証手続が不十分だったため、新基幹システムの本番稼働後にシステム内での原価計算の結果において一部不整合が発生しました。これにより、新基幹システムの原価計算機能を業務に適用せず、システム外で原価計算を行う暫定的な対応を行ったため、原価計算に関する決算手続を適時におこなうことができず、決算作業が遅延したことで、在庫購買管理に関する決算統制を十分に実施することが困難となりました。

 

② 全社的な観点に基づく決算・財務報告プロセス統制の不備:新基幹システムにおける在庫購買管理に関する決算・財務報告プロセスを実行するために必要な人的リソースの不足

上記の新基幹システムの開発を進める中で、情報システム部門及び財務経理部門において、新基幹システムの在庫購買管理に関する開発要件を理解した重要な担当者が退職したものの適切な引継ぎがされず、新基幹システムにおける在庫購買管理に関する決算・財務報告プロセスを実行するために必要な人的リソースが不足することとなりました。その結果、在庫購買管理に関する決算統制が適切に運用できておりませんでした。

 

なお、開示すべき重要な不備に起因する必要な修正事項は、全て財務諸表に適正に反映しております。

 

2.当事業年度末までに是正できなかった理由

上記事実の判明は、当事業年度末日後であったため、当該開示すべき重要な不備を当事業年度の末日までに是正することができませんでした。

 

3.開示すべき重要な不備の是正方針

当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、これらの開示すべき重要な不備を是正するため、以下の方針に基づく改善策を講じて適正な内部統制の整備及び運用をおこないます。

 

① 新基幹システムにおける原価計算及び一部関連データの連携機能の十分な再検証と業務への適用

IT全般統制における開発管理体制を強化し、外部専門家の協力を得て、現状の新基幹システム導入時におけるシステムテスト工程の検証手続が不十分であった領域について、十分に再検証し、新基幹システムの原価計算機能を業務に適用します。

 

② 在庫購買管理に関する決算・財務報告プロセスを実行するために必要な人的リソースの確保

財務経理部門及び関連部門における人員の補強と在庫購買管理に関する業務知識の向上施策を外部専門家からの支援も含め実施します。

 

(3)目標とする経営指標

新中期経営計画(2023-2025)の最終年度となる2025年度について、以下の数値目標を掲げております。

なお、2024年度の経営成績概要については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 

(中期経営計画(2023-2025) 最終年度(2025年度) 数値目標)

 

2025年度

(2026年2月期)

目標値

参考:2024年度

(2025年2月期)

実績

売上高(百万円)

15,000

10,056

営業利益(百万円)

800

4

営業利益率

5.3%

0.0%

ROE(自己資本利益率)

5.0%以上

-%

DOE(純資産配当率)

1.8%以上

1.8%

PBR(株価純資産倍率)

1.0倍以上

0.6倍

(注)本計画に記載されている内容は、種々の前提に基づいたものであり、記載された将来の計画数値や施策の実現を確約したり、保証するものではありません。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社は、株主総会で委任された事項及び法令や定款に定める事項並びに経営の基本方針やサステナビリティなどの重要課題を審議し決定する機関として取締役会を原則として毎月1回開催しています。また、取締役会の諮問機関としてガバナンス委員会を設置しサステナビリティについても審議しております。

当社は、中長期的な企業価値の向上の観点からサステナビリティに対する取り組みを重要な経営課題として認識しており、取締役会の決議を経て以下のとおりパーパス(存在意義)を定めております。

・感動と快適さの提供により、人々の「持続可能な幸せ」を創造する

・燕三条地域特性を活かした付加価値創造により、地域経済成長を牽引する

・グローバル視点で活動し、国内外の社会課題を解決する

パーパスを踏まえ、取締役会の決議を経て2023年8月に発表した中期経営計画(2023-2025)において、ESG方針「燕三条発のイノベーションで世界中の人々に持続可能な幸せを提供するブランドになるため、家電製品事業、FPSC事業及び経営基盤強化を通じてESGを意識した企業活動を展開していきます。」を掲げるとともに、中長期的な取り組みを以下のように定めております。

 

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(2)リスク管理

当社は、代表取締役社長のもと、リスク管理委員会にて当社を取り巻く外部環境に関するリスクと機会を、環境管理会議にて省資源・省エネルギーに関するリスクと機会について、識別・評価しております。

 

(3)人的資本について

① 戦略

a.人材育成方針

当社は、持続的な企業価値の向上のためには、価値創造の源泉である社員の成長が最重要であると考えており、社員一人ひとりが働きがい(働きやすさ×やりがい)を高め、キャリアを通じた社員幸福を実現することを人事の基本理念として掲げております。

また、当社が社員に対して大切にする価値観や判断基準を明確にするため、人材ビジョンとして「お客様満足No.1を実現する感動メーカー」を定め、当社の人材戦略の方向性及び大切な基準として、人事ポリシー「目指す道を、後押しする」を策定しました。これら人材ビジョンの実現、人事ポリシーの実践に向けて、社員の多様な仕事への価値観を尊重し、それぞれが持てる能力を最大限発揮できる仕組みづくりとして、組織体制の整備、人事制度の再構築、社員が自発的に学ぶための教育制度「TWINBIRDアカデミー」の運用を進めております。

人材育成に関するマテリアリティ(重要課題)としては、中期経営計画(2023-2025)で公表しておりますESG活動において、年齢や性別、人種、国籍、障がいの有無に関わらず多様な人材が能力を発揮できるよう女性管理職のさらなる登用、障がい者雇用の推進、グローバル人材の登用によるダイバーシティの進展、ツインバードらしい働き方改革の推進による働きがいの向上をその取り組みとして掲げております。

 

b.社内環境整備方針

多様な人材がそれぞれの能力を最大限発揮し、働きがいを高めていくには、個々人の価値観や個性を尊重し合える組織風土や働く環境を整備していくことが重要と考えております。多様な働き方の実現に向け、社員のワークライフバランスを重視し、有給休暇の取得を推進、仕事と育児・介護との両立支援制度を整備することで、社員が働きやすい職場環境を構築してまいります。

また、社員が安心して働ける環境と豊富な知識、経験の伝承機会を提供するため、定年65歳制を採用しております。さらに、障がい者雇用を積極的に推進し、法定雇用率の遵守に留まらず、それ以上の障がい者雇用に取り組んでおります。

人材育成方針で記載しております社員の働きがい向上を目的に、当社では毎年社員アンケートをおこなっており、アンケートの回答は経営層及び人事部門が確認し、一人ひとりの声を受け止めています。アンケートの集計結果は、経営層及び担当部門が解決方針や改善策を検討、実行することで働きやすい職場環境の整備を進めております。

 

② 指標及び目標

当社では人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。

当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

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(4)環境への取組みについて

当社は、製品の開発製造を主な事業とする企業として、環境への取り組みを経営の最重要課題の一つとして位置づけています。関連する法令等の遵守はもとより、環境マネジメントシステムの有効な運用とその継続的な改善により、事業活動を通じた積極的な環境負荷の低減に努め、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

当社はISO14001認証を取得していますが、環境方針を以下のとおり定めています。

 

1.「感動と快適さを提供する」という経営理念に則って、持続可能な社会の実現を目指した行動を継続的に推進し、環境負荷の低減に努めます。

2.環境に関する法規制、協定などを遵守します。

3.環境マネジメントシステムを有効に運用し、その継続的改善を図ります。

 

家電製品事業においては、環境負荷の低減や循環型社会に向けた重要課題の設定及び取り組みはこれからの課題であると認識しており、具体的な検討を進めてまいります。

一方、FPSC事業においては、CO排出量全体の約4分の1を占める製造業では各社が排出量削減に向けた技術革新に取り組んでおりますが、こうした動きを捉え、省電力・低排熱・フロン不使用といったFPSC技術の優れた省エネ性能が評価され、コンプレッサーに代わる脱炭素に貢献する次世代の産業用冷却装置として自動車部品業界にて新たに導入されました。この実績を活かし、今後も提案活動を強化してまいります。

 

3【事業等のリスク】

当社グループは、事業活動に関わるあらゆる潜在的リスクを的確に把握し、リスクの発生防止又は危機が発生した場合の損失の最小化を図るため、「リスク管理委員会」を設置し、リスクに対して主体的に対応できる体制を整備しています。

「リスク管理委員会」の委員長は、リスク管理担当役員が務め、委員会は常勤取締役、委員長、本部長、内部監査担当部長及び委員長が必要に応じ指名する者で構成されています。

 

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「リスク管理委員会」は、リスク事象の識別、分析、評価をおこなうことで、当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼす可能性のある「重大リスク」を抽出し、その予防と対応策を検討し、その結果は取締役会に報告しています。重大リスクに対する対策方針は、業務執行部門に周知され、各部門は自己点検の結果や監査指摘事項を踏まえて、是正・改善措置を実施します。

また、万が一、不祥事やトラブルが発生した際は、状況を総合的に把握し、迅速なリスク管理対応をおこないます。平時においては、危機に対する再発防止策を検討し、業務執行部門に実施を指示します。

 

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有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社グループが判断したものであります。これらのリスクは必ずしも全ての事象を抽出したものではありません。想定していないリスクによる影響を将来的に受ける可能性があります。

 

(1)経済環境に関するリスク

為替相場の変動について [発生可能性:中 影響度:高]

当社は、海外の製造委託会社から製品や部材を輸入しております。それらの取引は日本円以外の通貨で決済しているため、為替変動リスクに晒されています。予測を超えて為替相場等が急激に変動した場合、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応策]

きめ細かな為替予約によりリスクをヘッジし、また海外向け販売の拡大や、国内製造比率を50%まで引き上げることを目指し、為替相場に影響されにくい体質づくりを推進してまいります。

 

海外事業におけるカントリーリスクについて [発生可能性:低 影響度:高]

当社グループは、海外の製造委託先から製品や部材を調達し、また海外市場のお客様に対し主に販売代理店等を通じた販売活動をおこなっています。各国における急激な政策変更や経済変動、国際紛争等が生じた場合、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応策]

かかるリスクの低減を図るため、国内製造比率を50%までに引き上げることを目指し、新潟県燕三条地域のものづくり資源を活用し国内製造の新製品やOEM製品の開発を推進することで、海外の製造委託先からの製品や部材調達に対する依存度を低減してまいります。

 

(2)当社グループの事業活動に関するリスク

新製品開発におけるリスクについて [発生可能性:中 影響度:高]

当社グループは、新製品の開発に鋭意注力しておりますが、市場から支持を獲得できる新製品または新技術を正確に予想できるとは限らず、その結果これら製品の販売が成功しない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応策]

新製品の企画において新製品の訴求ポイントと市場の位置づけの妥当性を慎重に見極め、市場ニーズに応じた高付加価値製品や価格競争力のある製品の開発を目指しております。

 

製造委託先からの調達価格の高騰や供給不足について [発生可能性:高 影響度:高]

当社グループは製造委託先から十分な品質の製品、部材等をタイムリーに調達することが競争力を維持する上で不可欠となります。製造委託先の人件費高騰などにより調達価格が上昇した場合、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応策]

優良な製造委託先とのパートナーシップをさらに強化するとともに、VA/VE活動を通じて品質の向上と部品の共通化促進などを推進し、調達コスト低減と安定供給体制の強化に努めてまいります。また調達価格が著しく高騰した場合においては、市場の状況に応じた売価反映を検討いたします。

 

販売価格の下落について [発生可能性:中 影響度:高]

当社グループの主要な販売先である家電量販店やECサイト販売においては熾烈な価格競争が展開されており、さらなる販売価格の低下が継続する場合には、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応策]

多様化・細分化するお客様のニーズの中からターゲットユーザーを絞り込み、その価値観に刺さる商品・サービスを提供し続けてまいります。また、お客様との様々な繋がりを通じて、当社グループの商品やサービスの「本質的な価値」を実感いただけるようにお客様との接点を強化してまいります。

 

(3)法的規制・訴訟に関するリスク

製造物責任等による費用発生について [発生可能性:中 影響度:高]

万が一、当社グループの製品及びサービスに重大な欠陥が発生した場合、その欠陥に起因して損害賠償責任を負い、多大な対策費用が発生し、当社グループの信用やブランドイメージの低下などにより、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応策]

当社グループは、当社及び製造委託先において厳格な品質保証体制を構築し、お客様に対して高い性能と品質を備えた製品及びサービスの提供に努めております。公的安全基準の遵守にとどまらず、ISO9001認証を取得し品質マニュアルを定め、安全性の向上に努めております。万が一、製品に重大な欠陥等が生じた場合のメーカー責任を果たすために、製造物責任に基づく賠償に備え保険に加入しております。

 

知的財産権に関連した損害について [発生可能性:中 影響度:高]

当社グループは、知的財産権の確保とその保護に努めておりますが、それらを使用した第三者による類似製品等の製造、販売を完全に防止できない可能性があります。また、当社グループの製品が第三者の知的財産権を侵害しているとの主張を受ける可能性もあります。当社グループが第三者の知的財産権を侵害しているとの申立てが認められた場合、重要な技術を利用することができなくなり、また多額の損害賠償責任を負う可能性があります。

[対応策]

当社グループは、知的財産権を経営上重要な資産と認識し、競争上重要な特許、意匠、商標権などの権利化に取り組んでおります。また、当社グループの製品を市場導入する前に、第三者の知的財産権を侵害するリスクを回避するために、事前の確認を徹底しております。

 

情報セキュリティ及び個人情報保護について [発生可能性:中 影響度:高]

当社グループは、様々な事業活動を通して、お客様や取引先の個人情報及び機密情報を入手することがあります。また、お客様や取引先の情報以外に、当社自身の機密情報(当社グループの技術情報等)を取り扱っています。不測の事態により重要データが、改ざん、破壊、漏洩及びシステム停止等が生じた場合には、当社グループの信用やブランドイメージの低下、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応策]

当社グループでは、これらの情報管理につきましては、サイバー攻撃等による不正アクセスやデータの改ざん、データの破壊や漏洩に対する技術的対策、情報セキュリティ委員会及び情報セキュリティ対策部会(CSIRT)による活動を含む組織的対策、従業員との秘密保持契約締結・情報セキュリティ教育などを含む人的対策などを講じております。

また、個人の権利利益を保護するため、「個人情報保護方針」に基づき、保有する個人情報の適正な取り扱いの確保に関し必要な事項を「個人情報取扱規程」に定め、運用を徹底しております。

 

(4)自然災害等に関するリスク [発生可能性:低 影響度:高]

当社グループは、国内外の事業活動地域において、地震、洪水、台風、感染症等の自然災害が発生した場合、当社グループや取引先企業の生産、販売、物流、サービス等の事業活動が停止し、サプライチェーンが混乱する事態が生じる恐れがあります。そのため、それらの事態が生じた場合、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

[対応策]

当社グループでは、BCP文書を策定し危機発生時の対応マニュアルを整備するとともに、保険によるリスクの移転を図っております。これらの対応を継続的に実施することにより事業活動への影響の低減を図っております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末において、当社が判断したものであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、インバウンド需要の拡大や半導体の供給制約の緩和などにより、景気は緩やかな回復傾向にあります。一方で、エネルギー資源の高騰やドル円相場の円安傾向の進行による物価高騰・実質賃金の低下などにより個人消費の回復が遅れており、依然として先行きは不透明な状況にあります。

このような経営環境の中、当社の当事業年度における業績につきましては、当第3四半期まで業績が低調に推移したため、年末商戦や新生活商戦を含む最大需要期である当第4四半期に「3合IH炊飯ジャー」や「匠ブランジェトースター」の新色調理家電等の新製品を投入するなど収益拡大を図るべく業績改善活動を推進してまいりました。

しかしながら、新生活における消費行動の多様化により物販が比較的低調であったことや、病院用冷蔵庫において案件が期末までに獲得できなかったことなどにより、下期は前年同期比増収に転じるも、上期の減収を挽回するまでには至らず、売上高は前期比減収となりました。

利益面につきましても、売上高の減収に加えて、冷蔵庫や洗濯機などの在庫が増加し委託倉庫代を含む物流費が当初予算を超過したこと等により営業利益は前期比減益となりました。

また、政策保有株式の売却を当第1四半期から進めており、通期では投資有価証券売却益115百万円を特別利益に計上いたしました。一方、現時点における将来の当社の課税所得を合理的に見積り、繰延税金資産の回収可能性を検討した結果、貸借対照表上に計上する繰延税金資産を取り崩し、法人税等調整額(損)204百万円を計上いたしました。

この結果、当社の当事業年度における売上高は10,056百万円となり、前期比△2.4%の減収となりました。利益面につきましては、営業利益は4百万円となり、前期比△95.8%の減益、経常利益は42百万円となり、前期比△74.3%の減益、当期純損失は101百万円(前期は当期純利益108百万円)となりました。

 

セグメント別の業績は、次のとおりであります。

 

(a) 家電製品事業

売上高につきましては、大型OEM製品の出荷が前期に完了した影響により前期より減収となりました。一方、「3合IH炊飯ジャー」や「匠ブランジェトースター」の新色調理家電等の新製品導入により好調な調理家電や、インバウンド需要に対応したホテル向け製品、病院向け業務用冷蔵庫などの売上は増加いたしました。

利益面につきましては、為替相場の円安進行による物価高騰や家電市場の競争激化の中、原価低減の推進、販売費及び一般管理費の抑制を進めましたが、セグメント利益は前期比減益となりました。

この結果、家電製品事業の当事業年度における売上高は9,633百万円となり前期比△0.4%の減収、セグメント利益は664百万円となり前期比△20.5%の減益となりました。

 

※ 家電製品事業に関する四半期業績の特性について

家電製品事業につきましては、年末年始商戦や新生活商戦における販売需要が最も多くなるため業績に季節的変動があり、売上高及び利益は第4四半期会計期間に集中する傾向があります。

 

(b) FPSC(フリー・ピストン・スターリング・クーラー)事業

FPSC事業につきましては、米国向けワクチン用運搬庫がコロナ禍収束に伴い販売一巡したため、前期より減収となりました。また昨年11月にJICAと連携し「ラスト・ワン・マイル支援」(日本政府によるODA)を通じて、中東パレスチナに出荷いたしました。

この結果、FPSC事業の当事業年度における売上高は423百万円となり前期比△33.1%の減収、セグメント利益は121百万円となり前期比△26.6%の減益となりました。

 

② 財政状態の状況

当事業年度末の総資産は10,868百万円となり、前期末比344百万円減少いたしました。主な内訳は、現金及び預金が260百万円の減少、為替予約が212百万円の減少、無形固定資産が182百万円の増加であります。

負債は3,124百万円となり、前期末比101百万円増加いたしました。主な内訳は、買掛金が129百万円の減少、短期借入金が800百万円の増加、長期借入金が230百万円の減少、未払金が199百万円の減少であります。

純資産は7,743百万円となり、前期末比446百万円減少いたしました。2024年5月定時株主総会で決議いたしました資本金の額の減少等に伴い、資本金が2,424百万円減少し、資本剰余金が2,430百万円増加しております。一方、利益剰余金が配当と当期純損失の計上により243百万円減少しております。また円相場の変動と為替予約の消化に伴い繰延ヘッジ損益が152百万円減少しております。

これらの結果、自己資本比率は71.2%(前期末比△1.8pt)となりました。資本コストを意識した経営の実現に向け、段階的に資産の圧縮や適切な財務レバレッジの活用を進めてまいります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは213百万円の支出となりました。主な内訳は、減価償却費が360百万円、棚卸資産の増加額が118百万円、仕入債務の減少額が130百万円であります。

投資活動によるキャッシュ・フローは391百万円の支出となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出が207百万円、無形固定資産の取得による支出が313百万円であります。

財務活動によるキャッシュ・フローは365百万円の収入となりました。主な内訳は、短期借入金の純増加額が800百万円、長期借入金の返済による支出が230百万円、配当金の支払額が142百万円であります。

これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は255百万円となり、前期末から239百万円の減少となりました。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この財務諸表を作成するに当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。

なお、棚卸資産の評価については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しています。

 

固定資産の減損処理

減損損失は、減損の兆候が見られる資産グループについて減損損失の認識を判定し、当該資産グループから得られる将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を計上することとしています。

減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては決算時点で入手可能な情報に基づき合理的に判断していますが、経営環境の変化や地価の変動等、前提とした条件や仮定に変更が生じ回収可能価額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

繰延税金資産

繰延税金資産の回収可能性は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性に基づき、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかにより判断しています。

当該見積り及び仮定について、外部環境の変化等により見直しが必要となった場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

② 経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの状況の分析

「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しています。

資本の財源及び資金の流動性については「(4)資本の財源及び資金の流動性」に記載しています。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

前年同期比(%)

家電製品事業(千円)

6,897,249

96.7

FPSC事業(千円)

303,134

65.0

合計(千円)

7,200,383

94.7

 

② 商品仕入実績

商品仕入実績については、当社の業務形態上、重要性が乏しいため記載を省略しております。

 

③ 受注実績

当社の生産活動は、その多くを見込生産でおこなっておりますので、受注実績は記載しておりません。

 

④ 販売実績

当事業年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

前年同期比(%)

家電製品事業(千円)

9,633,333

99.6

FPSC事業(千円)

423,385

66.9

合計(千円)

10,056,718

97.6

(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2023年3月1日

至 2024年2月29日)

当事業年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

㈱ケーズホールディングス

1,133,838

11.0

※ 最近2事業年度の主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性

当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

運転資金需要のうち主なものは、材料の仕入のほか、製造原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

当事業年度における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は2,042百万円となっております。

また、当事業年度における現金及び現金同等物の残高は255百万円となっております。

 

(5)目標とする経営指標の分析

目標とする経営指標の分析につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社の研究開発体制は、開発本部の開発部門総勢82人で構成しており、これは総従業員の約29%に当たっております。

当事業年度における各セグメント別の研究の方針及び研究開発費は次のとおりです。なお、当事業年度の研究開発費は総額549百万円であります。

 

(1)家電製品事業

主力事業の家電製品事業におきましては、本質的な豊かさを創造する「ライフスタイルメーカー」として、「匠プレミアム」と「感動シンプル」のブランドラインを中心に高付加価値型製品をお客様にお買い求めいただき、より良い製品体験を通じてツインバードのファンを増やし、お客様のライフバリュー最大化を目指してまいります。需要の大きな生活必需品カテゴリーに、ツインバードの独自性あふれる製品を、小型から中型までのラインナップで拡充するため、積極的な新商品開発投資を実行しております。当事業に係る研究開発費は490百万円であります。

 

(2)FPSC事業

新冷却技術FPSCにおきましては、応用分野として「化学・エネルギー」「計測・環境」「医療・バイオ」「食品・流通」に注力し、お客様の要望に沿った商品開発を進めてまいります。また、SDGsの一つである「すべての人に健康と福祉を」の達成に向けて、国内外のネットワークを通じグローバル規模での最新技術に基づくコールドチェーンの構築や医療サービスの拡充に参画し、当社スターリング冷凍技術が医療分野でスタンダードの一つとなるよう取り組んでまいります。当事業に係る研究開発費は59百万円であります。