文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、以下の経営理念のもと「基本の徹底」と「変化への挑戦」をスローガンに掲げて経営を行っております。
・ミッション 価値創造で未来の安全と安心をカタチに
・ビジョン お客様の期待を超える「ものづくり」のベストパートナー
・バリュー Fenwal WAY (以下、3つの指針を制定。「品質と信頼」、「探求と挑戦」、「挨拶と感謝」)
この経営理念のもと長期的な目線に立ち未来価値を創造し、柔軟な発想と積極的なチャレンジにより技術力を高めることで、お客様の抱える課題解決につながるよう、常に想定を超える結果を意識した「ものづくり」に拘ってまいります。
また、高い倫理観に基づく真摯な「ものづくり」を基本とする事業活動により、社会的責任を果たすとともに、持続的な成長を目指して弛まぬ努力を続けてまいります。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、足元における経営課題と外部環境の変化を踏まえて中期経営計画の方向性を大きく見直し、新たに中期経営計画2025を策定いたしました。人的資本や資本コストを意識した経営基盤の強化と成長事業への積極的な投資を推進することにより企業価値の向上に努めてまいります。
<重点施策>
① 選択と集中による事業構造の整備
② 新製品開発による収益基盤の強化
③ 人的資本の取り組みと成長基盤への積極的な投資
④ ガバナンス体制の更なる強化
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、ROE(自己資本利益率)及びEBITDAマージンを重視しております。中期経営計画2025では、2028年度の目標値をROE6%、EBITDAマージン12%として取り組んでまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、中長期的な持続的成長を実現するため「基本の徹底」と「変化への挑戦」をスローガンとして掲げ、ビジョンの実現に向け、過去に囚われない柔軟な発想で新たな価値を創造してまいります。
当社グループの足元の課題としては、主に以下のとおりであると認識しております。
(事業上の課題)
・製品ポートフォリオの見直しと販売領域の拡大
経営資源の最適化により付加価値の高い製品開発に注力できる環境を整えるとともに、既存市場の深耕と販売領域の拡大に繋がる営業活動を推進することで、収益基盤の強化を図ってまいります。
・事業構造の整備によるリソースの最適化
収益構造の改革として、海外子会社の閉鎖や人工腎臓透析装置ビジネスの撤退など不採算事業の整理を進めており、成長事業へリソース(人財・設備・資金)を集約することで、経営効率を高めてまいります。
・品質管理体制と開発体制の強化
2024年度に品質保証本部を新たに設置するなど、品質保証体制を強化することにより、製品不良の市場流出率ゼロを目指してまいります。また、多様化する顧客の技術課題を解決するため、要素技術の開発に注力できる体制と環境を整え、技術の応用範囲を拡げることにより、新たな製品開発に繋げてまいります。
・持続的な成長を見据えた人財投資の強化
労働人口が減少する中、開発やIT、工事・保守等の専門的スキルと資格を有する人財の確保と育成が急務であり、採用の強化はもちろんのこと、教育体制や評価制度の見直しなど、職場環境の整備にも重点を置いて取り組んでまいります。
(財務上の課題)
・資本効率の改善による資本収益性の向上
資本効率を改善するための取り組みとしましては、不採算分野の整理を進め中核事業と位置付けている防災・制御機器分野へのリソースの集約と開発投資を加速させるなど事業ポートフォリオの見直しを進めてまいります。また、棚卸資産の削減や政策保有株式の縮減など総資産のスリム化を図り資本収益性を高め、併せて、情報開示の充実にも努めていくことでPBR1倍を目指してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、経営理念のもと、安全で高品質な製品の提供を通して、社会インフラの安全・安心を守り、人々の豊かさの実現と健康維持等、社会に貢献できるメーカーを目指しております。今後とも、メーカーとしてESG(環境・社会・ガバナンス)の重要性を意識した企業活動を通じてSDGsの実現に向けて取り組んでまいります。
(1)ガバナンス
当社は、サステナビリティの取り組みを推進するために、サステナビリティ推進委員会を設置しております。代表取締役社長を委員長として、当社の将来の企業活動に関連性の高い社会的課題を洗い出し、当社に及ぼすリスクと機会を検討後、マテリアリティ(重要課題)を設定し、持続的な成長に資する実効性のある取り組みを推進してまいります。また、各本部の責任者をサステナビリティ推進委員会の構成メンバーとして、全社的な目標指標の設定や社内体制の整備及び各種取り組みの意思決定とモニタリングを行ってまいります。
なお、サステナビリティ推進委員会は年2回開催し、重要事項については取締役会に報告することで取締役会による監督が適切に図れる体制を整備しております。
(2)戦略
当社は、持続的な成長を実現するために「基本の徹底」と「変化への挑戦」を経営基本方針として掲げ、メーカーとして“ものづくり”の原点に立ち返り、過去に囚われない柔軟な発想で新たな価値を創造することに取り組んでおります。メーカーとしての社会的責任を果たすため、関係法令・取引先要求事項・社内規程等の遵守は勿論のこと、報告・連絡・相談の徹底、挨拶や期限の遵守など社会人としての「基本の徹底」により、社員の意識改革を図り、組織風土の改善に努めてまいります。また、社員のスキル向上のための人財育成と社内環境の向上にも力を注ぎ、社員が誇りとやりがいを持って「変化への挑戦」に取り組み、お客様の期待を超える「ものづくり」のベストパートナーを目指してまいります。
経営の持続的な成長を実現するためには、人的資本への継続的な投資が重要であると考えております。当社は、人的資本経営を実現するために以下を基本方針としております。
Ⅰ.企業理念の定着による全役職員の一体感を醸成
Ⅱ.多様な研修と適所配置による社員能力の最大化
Ⅲ.成長機会の提供によるチャレンジ精神の向上
Ⅳ.ワークライフバランスの充実による健康促進と活力の向上
上記の基本方針に基づく人的資本経営を実現するために採用強化、育成強化・適材配置、職場環境整備を重点施策として取り組んでおります。
また、気候変動に関しては、CO2排出による地球環境の悪化が、当社の経営活動(資材価格高騰、エネルギ―価格高騰、災害リスク増加など)へ及ぼす影響も大きいと考えており、事業活動におけるCO2排出量の削減を推進することは勿論のこと、当社の防災製品の拡販を図ることにより社会の災害リスク低減に向けて取り組んでまいります。
①人財育成に関する方針
持続的な成長を実現するためには、人財確保と人財育成が重要課題であると認識しております。特にSSP部門における工事施工関連においては、業界全体で人財が不足しており、施工人財の確保と育成が課題となっております。また、製品開発力の強化及び品質保証体制の強化に向けた専門人財の確保も厳しさを増しております。この様な環境のもと、当社としては、多様な価値観を尊重しつつ社員のスキル向上を図るために充実した教育機会の提供に努めております。
主に以下の取り組みを推進しております。
・新入社員研修:ビジネスマナーなどを習得する(毎年実施)
・中途入社社員研修:当社の規定・基準を中心とした社内ルールを理解する(毎年実施)
・階層別研修:当社の求める各階層の役割を正しく理解する(階層を分けてローリングにより毎年実施)
・オンライン研修:ビジネススキルを中心とした知識を習得する(毎年実施)
・専門教育:各本部における専門的知識を習得する(毎年実施)
・コンプライアンス研修:社員のコンプライアンス意識の向上を目的(年2回実施)
②社内環境整備に関する方針
当社は、社内環境整備の一環として社員のモチベーション、健康維持、ワークライフバランスの向上のために様々な制度を導入しております。
主に以下の制度を導入しております。
・資格取得手当:資格取得報奨規程を定めて社員の資格取得を奨励
・特許取得手当:職務発明報奨制度規程を定めて開発人財のモチベーションを向上
・ストレスチェック:社員の健康促進と健康サポート
・産業医制度:社員の健康促進と健康サポート
・育児休業や介護休業などの制度:育児、介護環境に対応すべく働きやすい職場環境を推進
・再雇用制度:60歳以上の再雇用者の働き方の多様性に対応した短時間勤務制度を導入
(3)リスク管理
当社は、リスクの体系的管理を目的として「リスク管理規程」を設け、定期的にモニタリングを行い経営会議及び取締役会にて報告するとともに、監査役会が内部監査室と連携し定期的に監査を実施することにより、リスクの早期発見と未然防止に努めております。また、リスク管理委員会を設置し、同規程に定めるリスク発生時においては、損失抑制の具体策を速やかに講じるとともに適切な対応を図る体制としております。
(4)指標及び目標
①人的資本に関する指標
当社は、人的資本に関する取り組みとして以下の指標の改善に努めてまいります。具体的には対前年比数値を改善していくことを目標として、その向上に努めてまいります。
|
項目 |
2023年度実績 |
2024年度実績 |
|
|
15.1% |
|
|
|
4.0% |
|
|
|
64.9% |
|
|
|
99,403円 |
|
|
|
96.3% |
|
|
|
1名/1名 |
|
|
|
1名/5名 |
|
②脱炭素化の推進による安定した事業活動の確保
当社は、脱炭素社会に向けての活動として、使用している電力の再生可能エネルギーへの切り替えや設備の省エネ対応などを通じて、2035年度のCO2排出量を2023年度比で60%削減、2045年度に実質ゼロとするロードマップを策定し気候変動リスクの低減に貢献してまいります。
なお、当社の2023年のCO2排出量の実績は、GHGプロトコルのスコープ1、スコープ2の合計で
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、以下の将来におけるリスクは当連結会計年度末現在で当社が判断したものであります。
[方針]
当社グループは、事業活動に関わるあらゆるリスクを的確に把握し、リスクの発生頻度や経営への影響を低減していくため、全社的な視点でリスクマネジメントを統括・推進するためにリスク管理委員会及びリスク管理事務局を設置しております。
緊急又は重大と思われるリスクが発生した際には、各本部長が遅滞なく社長に報告し、社長が重大なリスクと判断した場合、リスク管理委員会を招集し、取締役会に報告することにしております。
また、上記以外のリスクに関しては、識別・評価したリスクを定期的にリスク管理委員会に報告し、リスク発生の未然防止とモニタリングを行っております。
(1) 主要取引先の事業動向
当社グループのメディカル事業は限定された取引先との繋がりが強く、その取引先の経営戦略・事業動向が当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
なお、2024年12月期におけるメディカル事業の主要取引先に対する売上高構成比は、東レ・メディカル㈱が約9割となっております。
(2) 製品の品質
当社グループは、2022年3月31日に公表いたしました一部製品に関する不正行為について、特別調査委員会による詳細な経緯に関する調査結果、原因分析及び再発防止策等の提言を踏まえ、品質保証体制の強化や法令遵守・コンプライアンスに関する定期的な研修の実施等の再発防止策を策定し、実施しております。
しかしながら、再発防止策を実施してもコンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(3) コンプライアンス
当社グループは、コンプライアンス遵守への実効性を高めるため、コンプライアンス委員会を設置しております。
また、全役職員がコンプライアンスに対する意識を高め取り組むことが重要であることから、監査役及び内部監査室が行う監査の他、役職員相互の牽制機能としての「役職員によるコンプライアンス関連事項 報告・相談ルート」を設けるとともに、全役職員に向けた「コンプライアンス宣言」を発出しております。
しかしながら、諸施策を講じてもコンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 資材等の調達に伴うリスク
当社グループの主要原材料は、電気・電子部品、金属及びプラスチック等の材料部品であります。これら資材の需要が急激に増加あるいは供給量が減少し、必要量が確保できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 外注委託先の事業動向
当社グループは、製品の生産の一部を外部に委託しております。これらの外注先の選定にあたっては、技術力や供給能力などについて、信用調査等情報収集を実施し、信頼できる会社を選定しておりますが、外注先の生産能力不足や予期せぬ操業停止などにより、当社グループが十分な製品供給を行えない可能性があります。
(6) 情報セキュリティ
当社グループは、「情報セキュリティ基本方針」に基づき、企業や組織の重要な財産である情報資産のセキュリティ確保と維持を目的とした「情報セキュリティ管理規程」、「情報セキュリティ対策マニュアル」を定め、運用しております。また、昨今のセキュリティ情勢やテレワーク対応に伴い、情報機器・ネットワーク基盤に対し、「マルウェア対策(EDR)、不法侵入対策、情報漏洩対策」等の強化を実施しております。
しかしながら、サイバー攻撃等による情報セキュリティ事故が発生した場合は、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い、法的罰則等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 製造物責任
当社グループは、取扱製品の品質維持に努めておりますが、製品の製造上の欠陥、設計上の欠陥、指示・警告上の欠陥によって第三者に被害を与えるリスクが存在します。その場合、当社グループに相応の責任があると認定された場合、当社グループの事業継続、財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 法的規制及び変更
当社グループの取扱製品の一部は、消防法または医薬品医療機器等法による法律の規制を受けており、その動向によっては、生産及び販売活動を阻害するリスクの他、法的規制に違反した場合には、各種認定機関による認証にも影響を及ぼすリスクが存在します。
当社グループでは、日々の事業活動においてコンプライアンス遵守に努めておりますが、コンプライアンスに関するリスクを完全には回避できない可能性があり、万が一重大なコンプライアンス違反を起こした場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 政治・経済情勢
当社グループでは、主に半導体市場向けに販売している熱板及びセンサーは、市場の景気動向の影響を受けやすく、また、医療機器である人工腎臓透析装置や、主に官公庁向けに販売している消防ポンプと消防車については、国や地方の政策等の影響を受ける可能性があります。
(10) 投資有価証券に係るリスク
当社グループは、投資有価証券を保有しておりますが、株式相場の著しい変動により評価損が発生した場合に、 財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、株価下落は、その他有価証券評価差額金を減少させることにより、純資産の減少を引き起こす可能性が あります。
(11) 事業展開を行う地域での社会的な混乱等
当社グループは事業を展開するうえで、以下の潜在的なリスクを抱えております。
・ 地震又は風水害等の天変地異に起因する自然リスク
・ 戦争、テロ、犯罪に起因する社会リスク
・ サイバー攻撃、情報システム障害に起因する業務リスク
(12) 人財確保に関するリスク
当社グループの成長と利益は、当社独自の専門的技術、熟練した施工管理技術を有する人財の確保・育成に大きく 影響されます。こうした人財の確保・育成が想定通りに進まない場合、当社グループの財政状態及び経営成績等 に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 感染症について
当社グループは、感染防止策を講じたうえで事業活動の継続に努めておりますが、今後、感染症の発生や長期 化により、生産および営業活動の停滞や経済情勢が悪化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等 に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
イ 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ446百万円(2.3%)増加の19,521百万円、負債は、前連結会計年度末に比べ458百万円(7.2%)減少の5,936百万円、純資産は、前連結会計年度末に比べ904百万円(7.1%)増加の13,585百万円となりました。
ロ 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、好調な企業収益を起点とした設備投資の拡大や雇用・所得環境が改善する中で緩やかな回復基調で推移したものの、欧米における高い金利水準の継続に伴う影響や中国経済の先行き懸念の他、物価の上昇、円安の進行など先行き不透明な状況が続きました。
このような環境の中、受注高につきましては、SSP部門における消火設備の改修工事等が減少したものの、サーマル部門の半導体製造装置用の熱板や消防ポンプ部門の消防車の受注が堅調に推移したことにより前期比で微増となりました。売上高につきましては、SSP部門における大型工事案件の竣工等があったものの、サーマル部門のセンサーの落ち込み等により前期比で減少いたしました。
以上の結果、受注高は12,207百万円(前期比2.9%増)、売上高は12,515百万円(前期比0.7%減)となりました。
利益面におきましては、SSP部門における大型工事案件の竣工に伴う売上総利益の増加等により、営業利益は1,181百万円(前期比14.2%増)、経常利益は円安に伴う為替差益等により、1,359百万円(前期比17.2%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、製品改修関連損失引当金を一部戻し入れて特別利益に計上したこと等により、1,115百万円(前期比189.1%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ、530百万円減少し6,289百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フローの状況)
当連結会計年度の営業活動によって得られた資金は949百万円(前期比165百万円減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益1,461百万円、製品改修関連損失引当金の減少額308百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フローの状況)
当連結会計年度の投資活動によって使用した資金は659百万円(前期は940百万円の獲得)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出633百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フローの状況)
当連結会計年度の財務活動の結果、使用した資金は920百万円(前期比273百万円増)となりました。これは主に配当金の支払額615百万円によるものであります。
(キャッシュ・フロー指標の推移)
|
|
2021年12月期 |
2022年12月期 |
2023年12月期 |
2024年12月期 |
|
自己資本比率(%) |
63.8 |
65.4 |
66.5 |
69.6 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
48.0 |
40.9 |
45.3 |
49.0 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
1.8 |
4.4 |
1.4 |
1.3 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
70.7 |
30.0 |
96.1 |
81.2 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。
※利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を採用しております。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
|
SSP部門 |
876,908 |
89.7 |
|
サーマル部門 |
1,914,863 |
76.4 |
|
メディカル部門 |
1,400,602 |
116.1 |
|
PWBA部門 |
1,129,840 |
112.7 |
|
消防ポンプ部門 |
1,548,444 |
81.0 |
|
合計 |
6,870,660 |
90.3 |
|
備考 |
(SSP部門) 上記生産実績の外、防災設備工事の施工高は下記のとおりであります。 |
|
|
4,428,259 |
106.6 |
|
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 SSP部門の生産高には、防災設備工事で使用する機器も含まれております。
ロ 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
SSP部門 |
4,536,063 |
86.2 |
2,153,223 |
77.5 |
|
サーマル部門 |
2,010,802 |
127.8 |
479,565 |
96.7 |
|
メディカル部門 |
1,423,953 |
107.0 |
372,136 |
93.8 |
|
PWBA部門 |
1,007,391 |
116.8 |
194,399 |
106.7 |
|
消防ポンプ部門 |
3,229,053 |
114.1 |
1,286,075 |
136.9 |
|
合計 |
12,207,265 |
102.9 |
4,485,400 |
93.6 |
(注) SSP部門には、完成工事高も含まれております。
ハ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
SSP部門 |
5,162,611 |
106.6 |
|
サーマル部門 |
2,027,134 |
79.3 |
|
メディカル部門 |
1,448,469 |
112.2 |
|
PWBA部門 |
995,173 |
109.1 |
|
消防ポンプ部門 |
2,882,550 |
96.1 |
|
合計 |
12,515,938 |
99.3 |
(注)1 SSP部門には、完成工事高も含まれております。
(注)2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
|
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
|
東レ・メディカル株式会社 |
1,219,210 |
9.7 |
1,353,807 |
10.8 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ 経営成績の分析
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
SSP(Safety Security Protection)部門
当該部門におきましては、電力基幹産業向けの大型更新案件が一巡したことにより受注高が減少いたしまし
た。
一方、売上高はハロン消火設備等の大型案件が竣工したことにより、増加いたしました。
以上の結果、受注高は4,536百万円(前年同期比13.8%減)、売上高5,162百万円(前年同期比6.6%増)となりま
した。
サーマル部門
当該部門におきましては、半導体市場における旺盛な装置需要に伴い、熱板を中心に受注高が増加いたしま
した。一方、売上高は主力製品の一つである半導体製造装置向けセンサーの特需が落ち着き、出荷が減少した
影響等により減少いたしました。
以上の結果、受注高は2,010百万円(前年同期比27.8%増)、売上高は2,027百万円(前年同期比20.7%減)となりました。
メディカル部門
当該部門におきましては、主力製品である海外市場向け人工腎臓透析装置及び関連製品の需要が前年を上回
り、受注高、売上高ともに増加いたしました。
以上の結果、受注高は1,423百万円(前年同期比7.0%増)、売上高は1,448百万円(前年同期比12.2%増)となりま
した。
PWBA(Printed Wiring Board Assembly)部門
当該部門におきましては、産業機器向け製品の需要が底堅く推移したことにより、受注及び売上ともに増加
いたしました。
以上の結果、受注高は1,007百万円(前年同期比16.8%増)、売上高は995百万円(前年同期比9.1%増)となりま
した。
消防ポンプ部門
当該部門におきましては、国や地方自治体向け消防車の大口受注の獲得により、受注は増加いたしました。
一方、売上高は消防ポンプ及び消防車の販売低迷により減少いたしました。
以上の結果、受注高は3,229百万円(前年同期比14.1%増)、売上高は2,882百万円(前年同期比3.9%減)となり
ました。
ロ 財政状態の分析
(資産の状況)
当連結会計年度末の資産合計は、19,521百万円となり、前連結会計年度末19,075百万円に比べ446百万円(2.3%)増加しております。主な増加要因は「投資有価証券」1,213百万円(72.6%)であり、主な減少要因は「現金及び預金」530百万円(7.8%)であります。
(負債の状況)
当連結会計年度末の負債合計は、5,936百万円となり、前連結会計年度末6,395百万円に比べ458百万円(7.2%)減少しております。主な減少要因は「製品改修関連損失引当金」308百万円(40.6%)、「長期借入金」295百万円(46.2%)であります。
(純資産の状況)
当連結会計年度末の純資産合計は、13,585百万円となり、前連結会計年度末12,680百万円に比べ904百万円(7.1%)増加しております。主な増加要因は「その他有価証券評価差額金」519百万円(66.2%)であります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの分析につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、当社グループの事業活動における運転資金の需要の主なものは、製造業に関わる部品仕入、外注費、建設業に関わる材料仕入、外注費及び各事業における一般管理費などがあります。また、投資資金の需要としては、人財投資、新規事業創出等に係る投資のほか、工場の生産設備及び全社システムのシステム投資等があります。
これらの事業活動に必要な資金は、内部資金の活用を基本としておりますが、必要に応じて金融機関からの借入又は社債の発行による資金調達も行っております。借入につきましては、金額・期間等を考慮し、必要に応じて金利スワップなどの手段を活用し、金利変動リスクに備えます。充分な手元流動性資金と金融機関の借入枠を有しているため、今後の運転資金及び投資資金需要に対しても充分対処できる状況であります。
また、株主に対する継続的で安定的な利益還元を経営上の重要政策に位置づけているため、配当政策として、株主資本と連動した株主資本配当率(DOE)を採用することといたします。企業価値向上のための積極的な投資を実施しつつ、安定的な配当を継続するために株主資本配当率(DOE)3.5%程度を配当総額の目安とし、可能な範囲で積極的な利益還元を実施していく方針であります。
③ 経営方針、経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、ROE(自己資本利益率)及びEBITDAマージンを重視しており、目標値をROE6%、EBITDAマージン12%として収益力の強化に取り組んでおります。
なお、当連結会計年度におきましてはROEは8.5%、EBITDAマージンは12.7%となりました。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当該事項につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
また、当該見積りに関する新型コロナウイルス感染症拡大による影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」を参照ください。
(提出会社)
当社は、下記のとおり製造等に関する契約を締結しております。
|
提携先 |
契約内容 |
備考 |
契約期間 |
|
東レ・メディカル㈱ |
製造委託基本契約 人工腎臓透析装置等の製造委託に関する基本契約 |
―――――― |
2024年12月25日から 2026年12月31日まで |
なお、上記以外に当連結会計年度において経営上の重要な契約等は行われておりません。
当社グループにおける研究開発活動は下記基本方針を掲げ、SSP、サーマル、メディカル、消防ポンプそれぞれの部門における製品に関わる開発や各種製品の品質・信頼性の改善及び生産性向上を図るための開発を実施しております。なお、PWBA部門は研究開発活動を行っておりません。
以下、当社(提出会社)及び株式会社シバウラ防災製作所におけるその活動状況について言及しております。
研究開発活動基本方針
1 熱のコントロールを目的とした、高付加価値で創造的な製品とシステムの開発
2 ソフトウエア及びエレクトロニクス技術をベースにした機器制御に関する顧客満足度の高い製品の研究開発とその応用
3 自社のコア・テクノロジーと外部の優れた技術の組み合せによる複合的な技術の創出
当連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動の経過及び成果は次のとおりであり、当連結会計年度における研究開発費の総額は
SSP(Safety Security Protection)部門
SSP部門では、自動火災報知設備、消火設備、産業用異常検知システム等の市場動向を視野に入れ、お客様に安全、安心をお届けすべく、製品の基本性能及び品質向上に向けた基礎研究を行っております。
当連結会計年度は、耐圧防爆型煙感知器のリニューアル開発を完了いたしました。また、自動火災報知設備の受信機及び感知器につきましては、リニューアル開発を継続しております。
当連結会計年度における研究開発費は
サーマル部門
サーマル部門では、高性能化する半導体製造装置市場の動向を視野に入れ、熱板及び温度センサーの基礎研究を継続しております。また、新製品開発、ラインアップ拡充のため、温度調節器、サーモスイッチの基礎研究も継続しております。
当連結会計年度は、熱板については、特定顧客や市場ニーズに合わせた機能・性能の実現を目指した開発を継続しており、温度調節器、サーモスイッチについては、既存製品のリニューアルに向けた製品開発の継続した取り組みを実施いたしました。
当連結会計年度における研究開発費は
メディカル部門
メディカル部門では、透析治療に関連した現場のニーズから、新たなセンシング技術と蓄積されたソフトウエア技術で、安全・安心を実現する医療機器の基礎研究を行っております。
当連結会計年度は、ソフトウエア開発について、医療現場のニーズや利便性向上など、更なる機能改善に継続した取り組みを実施いたしました。
当連結会計年度における研究開発費は
消防ポンプ部門
消防ポンプ部門では、消火消防用機器、防災減災用機器等の市場動向を視野に入れ、製品の使いやすさや品質の改善・向上に向けての取り組みと共に、各商品の将来に必要な要素の面から基礎研究を行っております。
当連結会計年度は、主力製品の水冷式消防ポンプ及び非常用浄水機のモデルチェンジに取り組み、販売を開始いたしました。また、新規開発となる小型の非常用浄水機については、引き続き開発を継続しております。
当連結会計年度における研究開発費は